JP2006128834A - 複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナおよびその焦点距離調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電率のばらつきに関係なくその焦点距離をほぼ一定に調整でき、アンテナ利得に優れ、かつ個体バラツキを小さくできるレンズアンテナを提供する。
【解決手段】誘電体無機フィラーと有機高分子材料とを含む複合誘電体材料を成形してなる複合誘電体レンズ11を用いたレンズアンテナ10であって、複合誘電体レンズ11は誘電率異方性を有するレンズである。複合誘電体レンズ11をアンテナ本体12に対してその軸心Oを中心として角度調整可能に取り付ける焦点距離調整機構11d,12b,15を設ける。
【選択図】 図4

Description

本発明は複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナおよびその焦点距離調整方法に関するものである。
近年、次世代の高度道路交通システム(ITS)の開発が進められ、走行時の安全運転を支援するための機能が次々と開発されている。特に、前方を走行している車等との距離を高精度に測定できる外部環境検知システムとして、ミリ波(76GHz)を利用した車載用ミリ波アンテナが開発されている。ミリ波アンテナとしては、平面アンテナやレンズアンテナがあるが、中でもレンズアンテナはアンテナ効率や検知角度の面において優れた性能を有する。車載用レンズアンテナの場合、レンズの厚みを薄くする必要があるため、レンズの材質として、厚みが薄くても高誘電率であり、かつ生産性に優れた複合誘電体レンズが用いられている。複合誘電体レンズとは、誘電体無機フィラーと有機高分子材料(樹脂)とを含む複合誘電体材料を成形してなるものである。
レンズアンテナ1の構造は、例えば図1に示すように、レンズ2と、レンズ2を支持するアンテナ本体(ハウジング)3と、アンテナ本体3の内部に固定された電波を送受信するためのRF部4と、RF部4にレンズ2に向けて固定された一次放射器5などで構成されている。この例のレンズ2は、出射面が凸状で、入射面が平面状の複合誘電体成形物からなるレンズ本体2aと、レンズ本体2aの外面を薄く覆うように成形され、複合誘電体成形物または樹脂単体からなる整合層2bとで構成されている。レンズ2の外周部にフランジ部2cが一体に形成され、このフランジ部2cがアンテナ本体3の前面にネジ6で固定されている。レンズアンテナ1の場合、アンテナ利得が最大となるように、レンズ2の焦点を一次放射器5の位置に合わせるのが一般的である。
複合誘電体レンズの焦点距離fはレンズの誘電率によって決定される。しかし、レンズの材料誘電率はロット間でばらつきを持つことから、個々で焦点距離fを調整する必要がある。例えば、複合誘電体レンズ2をアンテナ本体3に組み込む場合、レンズ2の焦点を一次放射器5の位置に調整するために、スペーサ7をレンズ2とアンテナ本体3との間に介在させる方法がある。しかし、複合誘電体レンズ2の誘電率に応じた厚みtのスペーサ7を複数種類準備しておかなければならず、コスト上昇を招くという問題がある。さらに、スペーサ7の厚みtによって個々のアンテナのサイズが異なってしまうため、車載用機器として適さないという欠点がある。
特許文献1では、誘電率異方性が1.00〜1.05の範囲にある複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナが提案されている。すなわち、誘電率異方性を小さい範囲に制限することで、レンズの焦点距離のばらつきを少なくし、アンテナ利得やサイドローブ等の特性に優れ、かつ個体バラツキを小さくしたものである。
しかし、誘電率異方性を1.00〜1.05の範囲に制御するには、射出成形時の溶融粘度を調整したり、誘電体無機フィラーの組成や含有率を調整しなければならず、製造コストの上昇を招く恐れがある。
特開2002−197923号公報
そこで、本発明の目的は、誘電率のばらつきに関係なくその焦点距離をほぼ一定に調整でき、アンテナ利得に優れ、かつ個体バラツキを小さくできる複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナおよびその焦点距離調整方法を提供することにある。
また、他の目的は、アンテナのサイズを変えずに、レンズの焦点距離を調整可能なレンズアンテナおよびその焦点距離調整方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、誘電体無機フィラーと有機高分子材料とを含む複合誘電体材料を成形してなる複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナであって、上記複合誘電体レンズは誘電率異方性を有するレンズであり、上記複合誘電体レンズをその軸心を中心として角度調整可能に保持する焦点距離調整機構を備えたことを特徴とするレンズアンテナを提供する。
請求項6に係る発明は、誘電体無機フィラーと有機高分子材料とを含む複合誘電体材料を成形してなる複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナであって、上記複合誘電体レンズは誘電率異方性を有するレンズであり、上記複合誘電体レンズをその軸心を中心として回転させることにより、焦点距離を調整することを特徴とするレンズアンテナの焦点距離調整方法を提供する。
複合誘電体レンズは、誘電率異方性を持つものが多い。誘電率異方性は図2のような楕円を用いて表すことができる。例えば、誘電率が最大値εmax の角度をθ=0°とした場合、θ=90°のときに誘電率は最小値εmin となる。この誘電率が最大となる方向での誘電率εmax と誘電率が最小となる方向での誘電率εmin との比(εmax /εmin )が誘電率異方性である。角度θによって誘電率εrは変化する。
このように誘電率異方性を有する(誘電率異方性が1より大きい)複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナでは、誘電率つまり焦点距離がレンズの軸心を中心とする回転位置によって変化する。焦点距離を最大のアンテナ利得が得られる距離に合わせる必要があるため、本発明では、焦点距離調整機構により複合誘電体レンズをその軸心を中心として角度調整可能とすることにより、レンズを誘電率が目標値となる角度に合わせ、焦点距離を最適値に調整可能としたものである。
誘電率異方性が大きくなればなるほど、誘電率の調整範囲つまり焦点距離の調整範囲が広くなる。誘電率の調整範囲は、電界方向ごとに各サンプルの誘電率を測定し、それらの平均値を求め、この平均値の中で最大のものを上限値、最小のものを下限値とし、その差によって求めることができる。誘電率の調整範囲が広すぎると、図2から分かるように回転角度θ当たりの誘電率の変化が大きくなるため、微調整が困難になるという問題がある。一方、調整範囲が狭すぎると、レンズを回転させても調整する意味がなくなる。実用上、誘電率異方性が1.06〜1.90程度の場合に調整しやすく、アンテナ利得も高い。
請求項2のように、レンズアンテナは、複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、焦点距離調整機構は、レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に設けられた軸部材と、レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に複合誘電体レンズの軸心を中心として周方向に複数個設けられ、軸部材が選択的に嵌合される位置決め穴と、を有する構造とすることができる。
この場合は、位置決め穴と軸部材との嵌合によってレンズをアンテナ本体に対して一定角度ごとに位置決めできるので、焦点距離を段階的に調整できる。レンズとアンテナ本体とを位置決め穴と軸部材との嵌合によって位置決めするので、構造が簡単であり、かつ組み立てた後で角度ずれが発生することがない。
軸部材を位置決め穴に嵌合固定する方法としては、圧入固定、接着剤、溶着など任意の方法を用いることができる。
軸部材の本数および位置決め穴の数は任意に選定可能であるが、例えば軸部材が1本であっても、位置決め穴が複数あれば角度調整は可能である。軸部材と位置決め穴との嵌合だけではレンズがアンテナ本体に十分固定されない場合は、レンズの角度を調整した後に、別の箇所で接着剤などの別の手段により、レンズとアンテナ本体とを固定すればよい。
請求項3のように、レンズアンテナは、複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、焦点距離調整機構は、レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に設けられたネジ挿通穴と、レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に複合誘電体レンズの軸心を中心として周方向に複数個設けられたネジ穴と、ネジ挿通穴に挿通され、ネジ穴のいずれかに螺着されるネジと、を有する構造とすることができる。
この場合は、ネジをネジ挿通穴を介してネジ穴に螺着することで、レンズの角度調整とレンズの固定とを同時に実施できる。
請求項4のように、レンズアンテナは、複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、焦点距離調整機構は、レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に複合誘電体レンズの軸心を中心として周方向に複数個設けられたネジ挿通穴と、レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に設けられたネジ穴と、ネジ挿通穴のいずれかに挿通され、ネジ穴に螺着されるネジと、を有する構造としてもよい。
この場合は、いずれかのネジ挿通穴にネジを挿通し、このネジをネジ穴に螺着することで、請求項2と同様に、レンズの角度調整とレンズの固定とを同時に実施できる。
請求項5のように、レンズアンテナは、複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、焦点距離調整機構は、上記レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に設けられたガイド部と、上記レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に、上記レンズの軸心を中心とする円弧状に設けられ、上記ガイド部と摺動自在に係合するレール部と、上記ガイド部をレール部の任意の位置で固定する固定手段と、を有する構造とすることができる。
この場合は、ガイド部とレール部との摺動によってレンズの角度を連続的に調整できるので、焦点距離も無段階に調整できる。ガイド部をレール部に固定する固定手段としては、例えばネジ、クリップ、接着剤、溶着などを用いることができる。
以上のように、本発明によれば、誘電率異方性を持つ複合誘電体レンズを用い、このレンズを回転させることによってレンズの誘電率を調整するようにしたので、材料誘電率にばらつきがあっても、常に焦点距離をほぼ一定に調整できる。そのため、アンテナ利得に優れ、個体バラツキの小さなレンズアンテナを提供できる。また、レンズを回転させるだけで誘電率(焦点距離)を調整できるので、アンテナ自体のサイズ(厚み)が変化せず、しかも安価に構成でき、車載用機器として適したレンズアンテナを提供できる。さらに、レンズの誘電率異方性を殊更小さくする必要がないので、製造コストを低減できるという利点がある。
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を参照して説明する。
図3,図4は本発明にかかるレンズアンテナの第1実施例を示す。
このレンズアンテナ10Aの基本構造は、図1と同様であり、レンズ11と、レンズ11を支持するアンテナ本体(ハウジング)12と、アンテナ本体12の内部に固定された電波を送受信するためのRF部13と、RF部13にレンズ11に向けて固定された一次放射器14などで構成されている。
アンテナ本体12の前面にはレンズ11に対応した開口部12aが形成されており、レンズ11はアンテナ本体12の前面の開口部12aを閉じるように取り付けられる。このレンズ11も図1と同様に、出射面が凸球面状で、入射面が平面状の複合誘電体成形物からなるレンズ本体11aと、レンズ本体11aの外面を薄く覆うように成形された整合層11bとで構成されている。レンズ11を構成するレンズ本体11aは、誘電体無機フィラーと有機高分子材料とを含む複合誘電体材料を成形してなる複合誘電体レンズであり、誘電率異方性を有する。つまり、誘電率が最大となる方向での誘電率εmax と誘電率が最小となる方向での誘電率εmin との比(εmax /εmin )で与えられる誘電率異方性が1より大きい。
レンズ11の外周部には、整合層11bから一体に円環状のフランジ部11cが形成されており、このフランジ部11cには、レンズ11の軸心Oを中心として等距離に2個のネジ挿通穴11dが形成されている。これらネジ挿通穴11dにネジ15が挿入される。レンズ11のフランジ部11cと対向するアンテナ本体12の前面には、複数のネジ穴12bがレンズ11の軸心Oを中心として周方向に等間隔で設けられている。この例では、90°の範囲内に5個のネジ穴12bが、左右対称位置にそれぞれ設けられているが、ネジ穴12bの周方向のピッチ角度は任意に設定できる。上記ネジ穴12bにレンズ11のネジ挿通穴11dに挿通されたネジ15が螺着され、レンズ11はアンテナ本体12の前面に固定される。このとき、ネジ15を螺着すべきネジ穴12bを選択することにより、レンズ11の取付角度を22.5°間隔で調整できる。上記ネジ15とネジ挿通穴11dとネジ穴12bとで焦点距離調整機構が構成される。
なお、ネジ穴12bは必ずしも等間隔で設けられていなくてもよい。また、ネジ挿通穴11dの個数は2個に限らず、ネジ15の本数に応じて選定すればよく、1個または3個以上であってもよい。
ここで、上記レンズアンテナ10Aの焦点距離調整方法について説明する。
まずレンズ11の誘電率特性(図2参照)を求める。この誘電率特性は、例えばレンズ本体11aである複合誘電体成形物から円周方向に10点以上サンプルを切り出し、そのサンプルをTE10モードの電界を用いた摂動法によって回転方向の誘電率を測定することで求めることができる。複合誘電体成形物の誘電率異方性は、各サンプルの最大誘電率と最小誘電率との比である誘電率異方性を算出し、各サンプルの誘電率異方性の平均を算出することで求めることができる。
上記のように求めたレンズ11の誘電率特性と焦点距離とによって、レンズ11の取付角度を決定する。すなわち、焦点距離から決定される誘電率εrにより、図2の誘電率特性からレンズ11の角度θを求め、この角度θに合うようにネジ15をネジ穴12bに螺着する。なお、ネジ穴12bは間欠的に設けられているので、角度θに最も近いネジ穴12bにネジ15を螺着すればよい。
表1は、複合誘電体レンズの材料組成およびその誘電率特性を示す幾つかの例を示す。
Figure 2006128834
表1において、SPSとはシンジオタクチックポリスチレン、CTとはチタン酸カルシウム、PPとはポリプロピレン、PSとはポリスチレン、BTとはチタン酸バリウムを指す。
試料1〜4については、0.2以上の誘電率調整範囲を有し、良好な結果が得られた。例えば試料1については、レンズを回転させることで、誘電率を4.1〜7.5の範囲で調整できる。誘電率の設計値が4.1〜7.5の範囲に入るレンズアンテナであれば、レンズを回転させるだけで組み込み可能である。
試料5については、誘電率異方性が大き過ぎ、レンズ内部の場所による誘電率バラツキが増大し、利得自体が低下するので、実用的でない。
試料6は、誘電率調整範囲として、実用上必要な0.20以上が得られていない。このような狭い調整範囲では、レンズの回転による誘電率調整の効果が小さい。
なお、各試料のεmax およびεmin を知るためには、0°<θ<180°または−90°<θ<90°の角度でレンズを回転させれば十分である。
図5は本発明にかかるレンズアンテナの第2実施例を示す。
この実施例のレンズアンテナ10Bは、アンテナ本体12に例えば2個のネジ穴12bを設け、レンズ11のフランジ部11cにレンズ11の軸心Oを中心として周方向に複数のネジ挿通穴11dを形成したものである。この場合には、ネジ15をいずれかのネジ挿通穴11dを介してネジ穴12bに螺着することで、レンズ11を固定できる。
この場合も、ネジ挿通穴11dを選択することにより、レンズ11の角度を調整可能であり、かつネジ15をネジ穴12bに螺着するだけで、レンズ11を簡単に固定できる。
図6は本発明にかかるレンズアンテナの第3実施例を示す。
この実施例のレンズアンテナ10Cでは、レンズ11の外周部後面に例えば2本のピン11fを突設するとともに、アンテナ本体12の前面にピン11fが嵌合する複数の位置決め穴12dを形成してある。位置決め穴12dは、レンズ11の軸心Oを中心として周方向に配列されている。
この場合は、ピン11fをいずれかの位置決め穴12dに嵌合させることにより、レンズ11の角度を段階的に調整できる。なお、レンズ11とアンテナ本体12との固定は、ピン11fと位置決め穴12dとの圧入嵌合で固定してもよいし、接着などの他の方法を用いて固定してもよい。
図7は本発明にかかるレンズアンテナの第4実施例を示す。
この実施例のレンズアンテナ10Dでは、第3実施例におけるピンと位置決め穴との関係を逆に設定したものである。すなわち、アンテナ本体12の前面には2本のピン12eが突設されており、レンズ11の外周部にはピン12eが嵌合する複数の位置決め穴11dが形成されている。位置決め穴11dは、レンズ11の軸心Oを中心として周方向に配列されている。
この場合も、第3実施例と同様に、ピン12eをいずれかの位置決め穴11dに嵌合させることにより、レンズ11の角度を調整できる。なお、レンズ11とアンテナ本体12との固定方法は、圧入嵌合、接着のほか、ピン12eを熱カシメしてもよい。
図8は本発明にかかるレンズアンテナの第5実施例を示す。なお、第1実施例と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施例のレンズアンテナ10Eでは、レンズ11の外周部のフランジ部11cに円弧状の2本の長穴(レール部)11eが形成されている。長穴11eは、レンズ11の軸心を中心とする同心円弧状で、約90°の範囲に形成されている。一方、アンテナ本体12の前面には、長穴11eに摺動自在に挿入される2本のネジ軸(ガイド部)12cが前方に向かって突設されている。ネジ軸12cを長穴11eに挿入し、レンズ11のアンテナ本体12に対する取付角度を調整した後、ネジ軸12cの端部にナット(固定手段)16を螺着することにより、レンズ11をアンテナ本体12に対して固定することができる。
レンズ11のアンテナ本体12に対する回転角度は、第1実施例と同様に、レンズ11の誘電率特性と焦点距離とによって決定される。
この実施例では、レンズ11をアンテナ本体12に対して連続的に角度調整できるので、第1実施例に比べて細かな角度調整を行うことができ、焦点距離に最適な角度位置へ調整できる。つまり、よりアンテナ利得の高いレンズアンテナを実現できる。
なお、長穴をアンテナ本体12に設け、ネジ軸をレンズ11側に設けても、同様の角度調整を行うことができる。
図9は本発明にかかるレンズアンテナの第6実施例を示す。
この実施例のレンズアンテナ10Fでは、第5実施例と同様にレンズ11のフランジ部11cに円弧状の2本の長穴(レール部)11eが形成されている。長穴11eはレンズ11の軸心Oを中心とする同心円弧状である。アンテナ本体12の前面には2個のネジ穴12bが形成され、2本のネジ(ガイド部)15が長穴11eを介してネジ穴12bに螺着される。この場合は、ネジ15とネジ穴12bとで固定手段が構成される。
ネジ15を長穴11eを介してネジ穴12bに緩く螺合させた状態で、レンズ11のアンテナ本体12に対する取付角度を調整し、その後でネジ15をネジ穴12bに強く締め付けることにより、レンズ11をアンテナ本体12に対して任意の角度で固定することができる。
この実施例の場合も、レンズ11をアンテナ本体12に対して連続的に角度調整できるので、細かな角度調整を行うことができ、焦点距離に最適な角度位置へ調整できる。
上記実施例では、アンテナ本体を箱型のハウジングで構成した例を示したが、アンテナ本体の形状や構造は任意であり、レンズを直接または間接的に支持できるものであればよい。したがって、アンテナ本体とハウジングとは別個の部品であってもよく、この部品とレンズとの間に焦点距離調整機構を設け、この部品をハウジングに固定してもよい。
上記実施例では、ネジ手段を用いてレンズ11をアンテナ本体12に固定する例や、レンズまたはアンテナ本体の一方からピンを突設し、このピンを他方のピン穴に嵌合固定する例を示したが、固定方法は任意に選定できる。
従来の一般的なレンズアンテナの断面図である。 誘電率異方性を有する複合誘電体レンズの誘電体特性を示す図である。 本発明に係るレンズアンテナの第1実施例の断面図である。 図3に示すレンズアンテナの分解斜視図である。 本発明に係るレンズアンテナの第2実施例の分解斜視図である。 本発明に係るレンズアンテナの第3実施例の分解斜視図である。 本発明に係るレンズアンテナの第4実施例の分解斜視図である。 本発明に係るレンズアンテナの第5実施例の分解斜視図である。 本発明に係るレンズアンテナの第6実施例の分解斜視図である。
符号の説明
10A〜10F レンズアンテナ
11 レンズ
11c フランジ部
11d ネジ挿通穴
12 アンテナ本体
12b ネジ穴
13 RF部
14 一次放射器
15 ネジ

Claims (6)

  1. 誘電体無機フィラーと有機高分子材料とを含む複合誘電体材料を成形してなる複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナであって、
    上記複合誘電体レンズは誘電率異方性を有するレンズであり、
    上記複合誘電体レンズをその軸心を中心として角度調整可能に保持する焦点距離調整機構を備えたことを特徴とするレンズアンテナ。
  2. 上記レンズアンテナは、上記複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、
    上記焦点距離調整機構は、
    上記レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に設けられた軸部材と、上記レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に上記複合誘電体レンズの軸心を中心として周方向に複数個設けられ、上記軸部材が選択的に嵌合される位置決め穴と、を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズアンテナ。
  3. 上記レンズアンテナは、上記複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、
    上記焦点距離調整機構は、
    上記レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に設けられたネジ挿通穴と、上記レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に上記複合誘電体レンズの軸心を中心として周方向に複数個設けられたネジ穴と、上記ネジ挿通穴に挿通され、上記ネジ穴のいずれかに螺着されるネジと、を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズアンテナ。
  4. 上記レンズアンテナは、上記複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、
    上記焦点距離調整機構は、
    上記レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に上記複合誘電体レンズの軸心を中心として周方向に複数個設けられたネジ挿通穴と、上記レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に設けられたネジ穴と、上記ネジ挿通穴のいずれかに挿通され、上記ネジ穴に螺着されるネジと、を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズアンテナ。
  5. 上記レンズアンテナは、上記複合誘電体レンズと、このレンズの外周部後面を支持するアンテナ本体とを備え、
    上記焦点距離調整機構は、
    上記レンズの外周部およびアンテナ本体の一方に設けられたガイド部と、
    上記レンズの外周部およびアンテナ本体の他方に、上記レンズの軸心を中心とする円弧状に設けられ、上記ガイド部と摺動自在に係合するレール部と、
    上記ガイド部をレール部の任意の位置で固定する固定手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズアンテナ。
  6. 誘電体無機フィラーと有機高分子材料とを含む複合誘電体材料を成形してなる複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナであって、
    上記複合誘電体レンズは誘電率異方性を有するレンズであり、
    上記複合誘電体レンズをその軸心を中心として回転させることにより、焦点距離を調整することを特徴とするレンズアンテナの焦点距離調整方法。
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