以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ装置M1は、図1・2に示すように、助手席前方のインストルメントパネル(以下、インパネとする)1の上面1a側に搭載されるトップマウントタイプの助手席用エアバッグ装置M1である。このエアバッグ装置M1は、折り畳まれたエアバッグ24と、エアバッグ24に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ24及びインフレーター8を収納保持するケース13と、エアバッグ24をケース13に取り付けるためのリテーナ10と、折り畳まれたエアバッグ24を覆うエアバッグカバー17と、を備えて構成されている。
なお、第1実施形態の前後・上下・左右の方向は、車両に搭載された状態における車両の直進時の前後・上下・左右の方向に一致するものである。
エアバッグカバー17は、第1実施形態の場合、インパネ1と一体的に形成されている。このエアバッグカバー17は、周囲に薄肉の破断予定部20を配置させた二つの扉部18を配設させて、構成されている。破断予定部20は、インパネ1の上方から見てH字形状に配置されており、二つの扉部18が、それぞれ、前端側と後端側とをヒンジ部19として、前後両側に開くように、構成されている。
また、エアバッグカバー17の部位には、扉部18・18の配置位置を囲むように、裏面側から下方へ突出する略四角筒形状の連結壁部21が、配設されている。連結壁部21には、前後方向で対向する部位の所定位置に、複数の係止孔21aが貫通されている。これらの係止孔21aには、ケース13に形成された係止爪15aが挿入され、連結壁部21が係止爪15aに係止されている。各係止爪15aの連結壁部21の係止は、連結壁部21とケース13との連結状態を確保して、膨張時のエアバッグ24が、円滑に、扉部18・18を押し上げて破断予定部20を破断できるようにするためである。
ケース13は、上端側に長方形状の開口13aを有した板金製の略直方体形状に形成され、長方形板状の底壁部14と、底壁部14の外周縁から略四角筒形状に、エアバッグカバー17側の上方へ延びる周壁部15と、を備えて構成されている。底壁部14は、左右方向に長く延びた長方形板状としており、中央に、インフレーター8の上部側を下方からエアバッグカバー17側の上方へ挿入可能な略円形に開口した挿入孔14aを、備えている。底壁部14の挿入孔14aの周縁には、リテーナ10の各ボルト10aを挿通可能な取付孔14bが、形成されている。また、底壁部14には、ケース13を車両のボディ3側に連結させるブラケット14cが、底壁部14の左右両側部位の下面側に、固定されている。各ブラケット14cには、ボルト6を螺合させるためのナット14dが、固着されている。ボディ3側には、リインフォースメント4から延びるブラケット5が配設され、ボルト6は、ブラケット5の取付座5aを貫通して、ナット14dに螺合されることとなる。各ボルト6のナット14dへの締め付けにより、ケース13、すなわち、エアバッグ装置M1が、ボディ3側に取付固定されることとなる。
また、ケース13の周壁部15には、車両の前後の部位の上端に、ケース13の外方でかつ下方へ反転する複数の係止爪15aが、形成されている。各係止爪15aは、既述したように、エアバッグカバー17の連結壁部21の係止孔21aに挿入されて、連結壁部21を係止している。
インフレーター8は、外周にフランジ部8bを突出させた略円柱状として、フランジ部8bの上方側に、膨張用ガスを吐出可能な複数のガス吐出口8aを配設させて構成されている。フランジ部8bは、略四角環状(略正方形板状)として、その四隅に、それぞれ、リテーナ10の各ボルト10aを挿通させる取付孔8cを、貫通させている。各取付孔8cは、ケース13の底壁部14の各取付孔14bと対応する位置に配置されるとともに、取付孔14bの内径寸法と同一の内径寸法としている。
リテーナ10は、インフレーター8を下方から挿入可能な四角環状として、四隅に下方に延びるボルト10aを突設させて構成されている。
エアバッグ24は、図1〜3に示すように、袋状の外周壁を構成するエアバッグ本体25と、エアバッグ本体25内に配設される補助バッグ31と、を備えて構成されている。エアバッグ本体25は、展開膨張完了時の形状として、左右方向に軸方向を配置させた三角柱状とし、三角柱状の周面の乗員側に位置して、略鉛直面に沿って配置される乗員側壁部26と、乗員側壁部26の外周縁から車両の前方側にかけて上下寸法を狭めるように配設される周壁部27と、を備えて、構成されている。三角柱状の周面となる位置における周壁部27の前部側の下面には、膨張用ガスを流入させるために円形に開口したガス流入口28が配設され、ガス流入口28の周縁には、4個の取付孔29が貫通されている。ガス流入口28には、インフレーター8の上部側が挿入され、各取付孔29には、リテーナ10の各ボルト10aが挿入されることとなる。また、エアバッグ本体25における周壁部27の左右の側面部位、すなわち、三角柱状の左右方向の両端面には、それぞれ、余剰の膨張用ガスを排出する図示しないベントホールが開口されている。
なお、エアバッグ本体25と補助バッグ31とは、可撓性を有したポリアミド等の合成繊維からなる糸で織った織布から形成されている。
補助バッグ31は、左右方向に延びた筒状として、左右方向の中央下部に膨張用ガスの流入口32を備えて構成されている。なお、補助バッグ31は、長方形板状の織布の前後両端相互を縫合して、筒状に形成して、製造されている。そして、流入口32は、エアバッグ本体25のガス流入口28と同じ形状の円形に開口され、流入口32の周縁には、リテーナ10の各ボルト10aを挿通させる取付孔33が、配設されている。第1実施形態の場合、膨張完了時の補助バッグ31は、左右方向の長さ寸法L1(図4のC・図8参照)を、図5のCに示すように、折り畳み完了時のエアバッグ24の左右方向の幅寸法L2より大きく、詳しく述べれば、エアバッグ24を蛇腹折りした際のリテーナ10に最も近接している前後方向に沿う山折りの折目LMの左右の離隔距離L2より大きく、それらの左右の折目LMを越えて折り畳まれるような寸法とし、さらに、車両搭載状態で膨張を完了させた際に、両端の開口37aを、インパネ1の上面1a上に配置可能で、かつ、膨張を完了させたエアバッグ本体25の左右方向の幅寸法より小さく設定され、さらに、図4のCに示すように、平らに展開したエアバッグ本体25の前後方向の寸法を狭めるように、左右方向の折目を付けた横折り完了時のエアバッグ本体25の左右方向の幅寸法L0より小さく設定されている。また、膨張完了時の補助バッグ31は、内径寸法を、流入口32の上方で流入口32と対向する上端部位37bが、インパネ1の上面1aより上方に配置されるように、設定されている。
そして、補助バッグ31は、エアバッグ24が折り畳まれてケース13に収納された際、膨張用ガスGの上流側部位である流入口32からエアバッグ24の展開膨張方向の後方側に沿った断面、すなわち、流入口32を通る車両の前後方向に沿う断面において、図2に示すように、膨張用ガスの上流側部35、下流側部37、及び、上流側部35と下流側部37とを連結する連結部36、を備えて構成されている。具体的には、第1実施形態の場合、補助バッグ31の流入口32の配置位置の前後方向に沿った断面、すなわち、エアバッグ24の膨張完了時に、補助バッグ31は前後方向の断面で円環状に膨張することから、流入口32を通る円環状の断面、において、流入口32の周縁の下部側周壁を、上流側部35とし、流入口32と対向するように流入口32の上方に位置する上部側周壁を、下流側部37とし、上部側周壁と下部側周壁との間の前後で対向する周壁相互を連結部36としている。
なお、図2に示す下流側部37の上方におけるエアバッグ本体25の符号47bの部位は、横折り完了体47(図5のC参照)の左右の縁側を蛇腹折りして、ガス流入口28の上方に載せた部位であり、エアバッグ24が折り畳まれてケース13に収納された状態での流入口32を通る車両の前後方向に沿う断面では、左側部47a(図5のC参照)とともに、断面として表れない。
また、第1実施形態の場合、図2に示すように、補助バッグ31の連結部36が、エアバッグ本体25の折り畳みの折り塊部位45・46の折目に折り込まれることなく折り塊部位45・46の周囲、すなわち、折り塊部位45・46の間、に配置されて、上流側部35と下流側部37とを直線的に連結するように、配設されている。
さらに、補助バッグ31の下流側部37は、連結部36と略直交するように周壁を平らに展開させて、エアバッグ本体25におけるエアバッグ24の展開膨張方向に沿う外周側の壁部26aの裏面に、接して沿うように、配設されている。さらに、第1実施形態の場合、補助バッグ31の下流側部37は、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体25における二つの折り畳みの折り塊部位45・46の外表面(上面)側に、跨って配置されている。
この第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1の組み立てについて述べると、まず、エアバッグ24を折り畳む。その際、図4のA・Bに示すように、エアバッグ本体25のガス流入口28の周縁における前側・後側周縁部位39・40を、エアバッグ本体25内に折り込むように、谷折りしつつ、乗員側壁部26を平らに展開させて、乗員側壁部26における乗員の頭部付近と干渉する乗員側壁部26の上部側のエリア(下流側部37と接することとなる外周壁部)26a付近を、エアバッグ本体25の内周面側におけるガス流入口28に重ねるように、エアバッグ本体25を予備折りし、ガス流入口28の前方側に、平らに展開した前側展開部位42を形成し、ガス流入口28の後方側に、平らに展開した後側展開部位43を形成する。
ついで、図4のB・Cに示すように、前側展開部位42におけるエリア26aから前側周縁部位39までの部位を、ガス流入口28付近まで接近する左右方向に沿った複数の谷折りの折目HVを付けて、上下方向で折り重ねるように、蛇腹折りして、前側折り塊部位45を形成し、また、後側展開部位43では、後縁43aを車両搭載時の下方側で前方側に巻くように、ロール折りして、後側折り塊部位46を形成し、エアバッグ本体25の横折り完了体47を形成する。
その後、図4のC・図5のAに示すように、予め筒状に形成しておいた補助バッグ31をガス流入口28からエアバッグ本体25内に入れ、流入口32や取付孔33をエアバッグ本体25のガス流入口28や取付孔29に一致させて、補助バッグ31の流入口32の周縁の上流側部35を、エアバッグ本体25の内周面側のガス流入口28の周縁における前側・後側周縁部位39・40に沿わせるとともに、連結部36を、折り塊部位45・46の間に配置させ、さらに、下流側部37を、平らに展開させて、二つの折り塊部位45・46の上面側と乗員側壁部26における外周壁部26aの裏面側との間に、配置させる。
さらに、図5のBに示すように、リテーナ10を、流入口28・32を経てエアバッグ24内に挿入させ、各ボルト10aを取付孔29・33を経てエアバッグ24外に突出させ、ついで、図5のCに示すように、左右の部位47a・47bを、前後方向に沿う折目を付けて蛇腹折りして、折り畳み、さらに、折り崩れしないように、折り畳んだエアバッグ24を破断可能なラッピングシート48(図2参照)でくるんでおく。
そして、各ボルト10aを、上方から取付孔14bに挿通させつつ、開口13aから、折り畳んだエアバッグ24を、ケース13の底壁部14上に載置させる。ついで、インフレーター8の上部側を、下方から、挿入孔14a、流入口28・33に挿入させるとともに、底壁部14から下方に突出している各ボルト10aを、インフレーター8のフランジ部8bの取付孔8cに挿通させる。その後、インフレーター8のフランジ部8bから突出した各ボルト10aに、ナット11を締結させれば、ケース13の底壁部14に対して、折り畳んだエアバッグ24とインフレーター8とを取り付けることができる。
その後、車両に搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー17の連結壁部21内に、ケース13の周壁部15を挿入させて、ケース13の各係止爪15aを連結壁部21の係止孔21aに挿入させて、各係止爪15aを連結壁部21に係止させる。そしてさらに、各ブラケット14cのナット14dに、ブラケット5を経て、ボルト6を締結すれば、助手席用エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
なお、エアバッグ装置M1の車両への搭載は、予め、インパネ1のエアバッグカバー17に対して、エアバッグ24とインフレーター8とを取り付けたケース13を組み付けて、インパネ1を車両に取り付ける際、ボルト6を利用して、エアバッグ装置M1をボディ3側に連結固定して、エアバッグ装置M1を車両に搭載してもよい。
エアバッグ装置M1の車両への搭載後、インフレーター8の各ガス吐出口8aから膨張用ガスGが吐出されれば、エアバッグ24が、膨張して、ラッピングシート48を破断するとともに、エアバッグカバー17の破断予定部20を破断させて扉部18・18を図1・2の二点鎖線に示すように前後に開かせることにより、エアバッグ24は、エアバッグカバー17における扉部18・18の開いた開口22から、大きく突出することとなる。
そして、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、折り畳まれて収納されたエアバッグ24が、膨張用ガスGによって展開膨張する際、まず、膨張用ガスGが補助バッグ31の上流側部35から連結部36を経て下流側部37に流れて、上流側部35・連結部36・下流側部37が、順次、膨張する。その際、図6のA・Bに示すように、補助バッグ31の連結部36が、エアバッグ本体25の折り畳みの折り塊部位45・46の折目に折り込まれることなく、上流側部35と下流側部37とを直線的に連結していることから、エアバッグ本体25の折り塊部位45・46の折りの解消に影響を受けず、瞬時に、膨張用ガスGを上流側部35から下流側部37に流すことができて、エアバッグ本体25の横折り完了体47における蛇腹折りした左・右側部47a・47bを展開させつつ、補助バッグ31の膨張完了が迅速に完了される。その結果、膨張を完了させた補助バッグ31が、左右両側の下流側部37・37の開口37aから、多量の膨張用ガスGをエアバッグ本体25側に流出させることとなって、図6のBや図8の一点鎖線に示すように、膨張初期のエアバッグ本体25の展開が迅速に行われることとなる。
さらに、補助バッグ31の下流側部37は、エアバッグ24の車両への収納時、周壁を平らに展開させた状態で、エアバッグ本体25におけるエアバッグ25の展開膨張方向に沿った外周側の壁部26aの裏面に対し、接して沿うように、配設されていることから、エアバッグ本体25の膨張時、エアバッグ本体25における補助バッグ31の下流側部37を配置させている部位26aが、極めて迅速に、押されて広く展開膨張する。そして、膨張を完了させた補助バッグ31の左右の開口37a・37aから流出される膨張用ガスGによるエアバッグ本体25の迅速な左右方向の展開と併せて、膨張初期時のエアバッグ本体25が迅速に容積を増大させることができ、膨張初期時におけるエアバッグ本体25の内圧の上昇を抑えることができて、エアバッグ24は、膨張初期に、近接している乗員Oと干渉しても、クッション効果を確保して乗員Oを保護することが可能となる。
そして、エアバッグ24は、初期膨張後、さらに、補助バッグ31の開口37a・37aからの膨張用ガスGを流入させて、図7のA・B、あるいは、図8の二点鎖線・三点鎖線に示すように、展開膨張を完了させることとなる。
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、膨張初期の内圧の上昇を抑えて、迅速に広い範囲でエアバッグ24を展開させることができ、接近している乗員Oが移動してきても、円滑にエアバッグ24によって保護可能となる。
また、第1実施形態では、エアバッグ24として、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体25における裏面側を補助バッグ31の下流側部37と接触させている部位26aが、展開膨張完了時の乗員を保護する面として構成されて、補助バッグ31の連結部36が、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体25における二つの折り畳みの折り塊部位45・46の間に、配置され、かつ、補助バッグ31の下流側部37が、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体25における二つの折り畳みの折り塊部位45・46の外表面側に、跨って配置されている。
このような構成では、補助バッグ31の下流側部37の膨張時に、エアバッグ本体25における乗員を保護する面における二つの折り塊部位の外表面側の広い面26aに関して、迅速に、展開膨張方向に厚さを確保できるように膨張させることができ、その結果、エアバッグ24は、膨張初期に近接している乗員Oと干渉しても、的確に保護することができる。
また、補助バッグ31の連結部36が、エアバッグ本体25の二つの折り塊部位45・46の間に挟まれるように配置されており、補助バッグ31の上流側部35から連結部36を経て下流側部37に流れる膨張用ガスGは、エアバッグ本体25の二つの折り塊部位45・46の間で案内されるように、直線的に下流側部37に流れることから、下流側部37に流れる膨張用ガスGの方向が安定して、下流側部37と接しているエアバッグ本体25の部位26aが、エアバッグ24毎に安定して、展開膨張することができる。
さらに、補助バッグ31の連結部35が、エアバッグ本体25の二つの折り塊部位45・46の間に挟まれており、連結部35自体の膨張により、二つの折り塊部位45・46をそれぞれ押し出すことができて、折り塊部位45・46の展開を、促進することもできる。
そして、第1実施形態の場合、補助バッグ31が、左右方向に延びた筒状として、左右方向の中央下部に膨張用ガスGの流入口32を備えて構成され、流入口32の配置位置の前後方向に沿った断面における補助バッグ31の連結部36を間にした前後に、エアバッグ本体25の二つの折り塊部位45・46が配置されて、車両前方側の折り塊部位45が、蛇腹折りとして、折り畳まれ、車両後方側の折り塊部位46が、後縁46aを下方側で前方側に巻くロール折りとして、折り畳まれている。
そのため、エアバッグ24の初期膨張時、流入口32から流入する膨張用ガスGによって補助バッグ31が膨張すれば、エアバッグ本体25における補助バッグ31の下流側部37の配置部位26aが、初期膨張時に干渉する乗員Oを保護可能に膨らむとともに、左右方向に延びた筒状の補助バッグ31における左右両端の開口37aから、膨張用ガスGが、左右方向の両側外方に流れて、エアバッグ本体25が、図8の一点鎖線に示すように、インパネ1の上面1a側で、左右方向に長く延びる状態で膨らみ、初期膨張時に干渉するインパネ1に接近していた近接乗員(助手席搭乗者)Oを、左右方向で幅広となっているエアバッグ本体25によって、的確に保護することが可能となる。さらに、このような構成では、後方側の折り塊部位46が、下方側で前方側に巻くロール折りとして、折り畳まれていることから、折りの解消時、インパネ1の上面1aに沿うように展開しつつ、膨張することから、インパネ1の後面1b(図7のB参照)と近接乗員との間の狭い隙間に、円滑に侵入可能となって、助手席用のエアバッグ24として、好適となる。
第2実施形態のエアバッグ装置M2は、図9〜15に示すように、運転席前方のステアリングホイールWのボス部Bに搭載される運転席用エアバッグ装置M2である。このエアバッグ装置M2は、図9・10に示すように、ステアリングホイールWの中央のボス部Bにおける上部に配置されている。ステアリングホイールWは、操舵時に把持するリング部Rと、中央に配置されてステアリングシャフトSS(図15参照)に連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する四本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。また、ステアリングホイールWは、構成部品上では、エアバッグ装置M2とステアリングホイール本体51とを備えて、構成されている。
なお、第2実施形態における前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後方向を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の左右方向を左右方向として、前後・上下・左右の方向を示すものである。
ステアリングホイール本体51は、リング部R・ボス部B・スポーク部Sの各部を連結するように配置されるアルミニウム合金等からなる芯金52と、リング部Rとリング部R側の各スポーク部Sとの芯金52を被覆する合成樹脂製の被覆層53と、ボス部Bの下部に配置される合成樹脂製のロアカバー54と、を備えて構成されている。
エアバッグ装置M2は、図10に示すように、折り畳まれたエアバッグ71と、エアバッグ71に膨張用ガスを供給するインフレーター58と、折り畳まれたエアバッグ71を覆うエアバッグカバーとしてのパッド64と、エアバッグ71とインフレーター58とを保持するケースとしてのバッグホルダ60と、を備えて構成されている。
インフレーター58は、第1実施形態のインフレーター8と同様に、上部に膨張用ガスを吐出させるための複数のガス吐出口58aを配置させた円柱状として、外周面から略四角環状のフランジ部58bを突設させている。フランジ部58bには、四角環状のリテーナ56の四隅から下方に突出するボルト56aを挿通させるための取付孔58cが、形成されている。リテーナ56は、第1実施形態のリテーナ10と同様に、板金製として、エアバッグ71とインフレーター58とをバッグホルダ60に取り付けるために使用される。
バッグホルダ60は、上方を開口させた略直方体形状のホルダプレート61と、ホルダプレート61と協動してパッド64の連結壁部69の下端の係止部69aを挟持する略直方体形状のバックアッププレート62と、から構成されている。各プレート61・62は、インフレーター58の上部を下方から挿入させる挿入孔61a・62aと、挿入孔61a・62aの周囲に配置されてリテーナ56のボルト56aを挿通させる取付孔61b・62bと、を備える。また、バックアッププレート62は、ステアリングホイール本体51の芯金52に接続される図示しないブラケットを備える。
パッド64は、ボス部Bの上部を覆う蓋体部65と、蓋体部65の周縁の下面から略四角筒形状に下方へ突出する連結壁部69と、を備える。蓋体部65は、連結壁部69に囲まれた部位に、エアバッグ71の膨張時、ステアリングホイールWの前後両側に開く2つの扉部66を備えて構成され、それらの扉部66の周囲には、上方から見てH字形状に配設されて、エアバッグ71に押されて破断して、扉部66を円滑に前後両側に開かせる薄肉の破断予定部68が、形成されている。破断予定部68のH字の左右の縦棒部位の前端相互と後端相互を連結する部位が、前後の各扉部66が開く際のヒンジ部67となる。また、連結壁部69は、バッグホルダ60を構成するホルダプレート61とバックアッププレート62とにより、下端付近を挟持されて、バッグホルダ60に保持されている。
エアバッグ71は、膨張用ガスを流入させて略球状の袋状に膨張するエアバッグ本体72と、エアバッグ本体72内に挿入される補助バッグ80と、を備えて構成されている。これらのエアバッグ本体72や補助バッグ80も、第1実施形態のエアバッグ24と同様に、可撓性を有したポリアミド等の織布から形成されている。
エアバッグ本体72は、膨張完了時に乗員としての運転者D側に配置される運転者側壁部73と、ステアリングホイール本体51側に配置される車体側壁部74と、を備えて、壁部73・74は、相互に円板状として、外周縁相互を縫合して、エアバッグ本体72を形成している。また、車体側壁部74の中央には、円形に開口したガス流入口75が形成され、ガス流入口75には、下方からインフレーター58の上部側が挿入されることとなる。
また、ガス流入口75の周縁には、リテーナ56の各ボルト56aを挿通させる取付孔76が形成されている。また、ガス流入口75の左右両側には、ガス流入口75の上方で対向する運転者側壁部73の中央部73a付近と車体側壁部74のガス流入口75の周縁付近とを連結して、膨張完了時のエアバッグ71の上下方向の厚さ寸法を規制するテザー78・78が、配設されている。各テザー78は、それぞれ壁部73・74側に連結させた布材の先端相互を結合させて、形成されている。
補助バッグ80は、前後方向に延びた筒状として、前後方向の中央下部に、エアバッグ本体72のガス流入口75と連通する膨張用ガスGの流入口81を備え、流入口81の周囲には、取付孔76と対応して、リテーナ56の各ボルト56aを挿通させる取付孔82が、配設されている。筒状の補助バッグ80の内径寸法は、補助バッグ80の膨張完了時に、流入口81の上方で流入口81と対向する上端部位86bが、扉部66・66を開かせたパッド64の上方で、かつ、ステアリングホイールWのリング部Rの上面より上方に配置されるように、設定されている。
また、補助バッグ80の前後方向の長さ寸法L1(図12のC参照)は、エアバッグ71の膨張完了時に、壁部73・74と当接して屈曲しない長さで、かつ、バッグホルダ60の前後方向の寸法より長く、図13のCに示すように、エアバッグ71の折り畳み完了時のエアバッグ71の前後方向の幅寸法L2より大きく、詳しく述べれば、エアバッグ71を蛇腹折りした際のリテーナ56に最も近接している左右方向に沿う山折りの折目HMの前後の離隔距離L2より大きく、それらの左右の折目HMを越えて折り畳まれるような寸法とし、さらに、エアバッグ71の膨張完了時に、前後の開口86aがボス部Bから上方に突出できる長さ寸法に、設定されている。
この補助バッグ80は、エアバッグ71が折り畳まれてケースとしてのバッグホルダ60に収納された際、膨張用ガスの上流側部位である流入口81からエアバッグ71の展開膨張方向の上方側に沿った断面、すなわち、流入口81を通る車両の左右方向に沿う断面において、図10に示すように、膨張用ガスGの上流側部84、下流側部86、及び、上流側部84と下流側部86とを連結する連結部85、を備えて構成されている。具体的には、第2実施形態の場合、補助バッグ80の流入口81の配置位置の左右方向に沿った断面、すなわち、エアバッグ71の膨張完了時に、補助バッグ80は左右方向の断面で円環状に膨張することから、流入口81を通る円環状の断面、において、流入口81の周縁の下部側周壁を、上流側部84とし、流入口81と対向するように流入口81の上方に位置する上部側周壁を、下流側部86とし、上部側周壁と下部側周壁との間の左右で対向する周壁相互を連結部85としている。
なお、図10に示す下流側部86の上方におけるエアバッグ本体72の符号94aの部位は、縦折り完了体94(図13のC参照)の前後の縁側を蛇腹折りして、ガス流入口75の上方に載せた部位であり、エアバッグ71が折り畳まれてバッグホルダ60に収納された状態での流入口81を通る車両の左右方向に沿う断面では、後側部94b(図13のC参照)とともに、断面として表れない。
また、第2実施形態でも、補助バッグ80の連結部85が、エアバッグ本体72の折り畳みの折り塊部位91・92の折目に折り込まれることなく折り塊部位91・92の周囲、すなわち、折り塊部位91・92の間、に配置されて、上流側部84と下流側部86とを直線的に連結するように、配設されている。
さらに、補助バッグ80の下流側部86は、連結部85と略直交するように周壁を平らに展開させて、エアバッグ本体72におけるエアバッグ71の展開膨張方向に沿う外周側の壁部73aの裏面に、接して沿うように、配設されている。さらに、第2実施形態の場合も、補助バッグ80の下流側部86は、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体72における二つの折り畳みの折り塊部位91・92の外表面(上面)側に、跨って配置されている。
この第2実施形態の運転席用エアバッグ装置M2の車両への搭載を説明すると、まず、エアバッグ71を折り畳む。その際、エアバッグ本体72を、内部にテザー78を配設させて袋状に形成しておき、図12のA〜Cに示すように、運転者側壁部73と車体側壁部74とを重ねて平らにした後、ガス流入口75を中心とした左右の運転者側・車体側壁部73・74の両者を含めた左側・右側周縁部位88・89を、それぞれ、前後方向に沿う谷折りの折目LVを長く付けつつ、壁部73・74相互を上下方向に折り重ねるように、エアバッグ本体72内に折り込んで、左右方向の幅寸法を狭め、ガス流入口75の左右に左側・右側折り塊部位91・92を形成し、エアバッグ本体72の縦折り完了体94を形成する。
その後、図12のC・図13のAに示すように、予め筒状に形成しておいた補助バッグ80をガス流入口75からエアバッグ本体72内に入れ、流入口81や取付孔82をエアバッグ本体72のガス流入口75や取付孔76に一致させて、補助バッグ80の流入口81の周縁の上流側部84を、エアバッグ本体72の内周面側のガス流入口75の周縁における左側・右側周縁部位88・89の部位に沿わせるとともに、連結部85を、折り塊部位91・92の間に配置させ、さらに、下流側部86を、平らに展開させて、二つの折り塊部位91・92の上面側と運転者側壁部73の中央付近の外周壁部73aの裏面側との間に、配置させる。
さらに、図13のBに示すように、リテーナ56を、流入口75・81を経てエアバッグ71内に挿入させ、各ボルト56aを取付孔76・82を経てエアバッグ71外に突出させ、ついで、図13のCに示すように、前後の部位94a・94bを、左右方向に沿う折目を付けて蛇腹折りして、折り畳み、さらに、折り崩れしないように、折り畳んだエアバッグ71を図示しない破断可能なラッピングシートでくるんでおく。
その後、折り畳んだエアバッグ71から突出しているリテーナ56の各ボルト56aを、バッグホルダ60のホルダプレート61に形成された各取付孔61bに貫通させて、エアバッグ71をホルダプレート61上に載置する。
ついで、パッド64をエアバッグ71の上方から被せて、係止部69aにホルダプレート61を係止させ、さらに、バックアッププレート62をホルダプレート61の下方に配置させて、パッド64の連結壁部69の係止部69aを、ホルダプレート61とバックアッププレート62とで挟持して、パッド64をバッグホルダ60に保持させる。この時、リテーナ56の各ボルト56aは、バックアッププレート62に形成された取付孔62bに貫通させておく。
そして、インフレーター58の上部側を、下方から、バッグホルダ60の挿入孔61a・62a・流入口75・81に挿入させるとともに、リテーナ56の各ボルト56aを、インフレーター58のフランジ部58bに形成された取付孔58cから下方へ突出させ、各ボルト56aにナット57を螺合させれば、エアバッグ71・バッグホルダ60・インフレーター58・パッド64を一体的に組み付けることができて、エアバッグ装置M2の組み立てが完了することとなる。
そして、ステアリングホイール本体51のボス部Bの芯金52を、車両のステアリングシャフトSSに締結させた状態で、バッグホルダ60の図示しないブラケットを利用すれば、エアバッグ装置M2を、ステアリングホイールWに取り付けることができる。
ステアリングホイールWが車両に装着されて、インフレーター58のガス吐出口58aから膨張用ガスが吐出されれば、折り畳まれていたエアバッグ71が、パッド64の破断予定部68を破断させて扉部66・66を開かせ、開かれた扉部66・66によって形成された突出用開口65aから突出して、大きく膨張することとなる。
そして、この第2実施形態のエアバッグ装置M2でも、図10・図14のA・図15のAに示すように、エアバッグ71の膨張初期時における補助バッグ80が膨張する際、補助バッグ80の連結部85が、エアバッグ本体72の折り畳みの折り塊部位91・92の折目に折り込まれることなく、上流側部84と下流側部86とを直線的に連結していることから、エアバッグ本体72の折り塊部位91・92の折りの解消に影響を受けず、瞬時に、膨張用ガスGを上流側部84から下流側部86に流すことができて、エアバッグ本体72の縦折り完了体94における蛇腹折りした前・後側部94a・94bを展開させつつ、補助バッグ80の膨張完了が迅速に完了され、その結果、膨張を完了させた補助バッグ80が、下流側部86の前後両端の開口86a・86aから多量の膨張用ガスGをエアバッグ本体72側に流出させることとなって、膨張初期のエアバッグ本体72の展開が迅速に行われることとなる。
さらに、補助バッグ80の下流側部86が、エアバッグ71の収納時、周壁を平らに展開させた状態で、エアバッグ本体72におけるエアバッグ71の展開膨張方向の上下方向に沿った外周側の壁部73aの裏面に対し、接して沿うように、配設されていることから、膨張する際に、エアバッグ本体72における補助バッグ80の下流側部86を配置させている部位73aが、極めて迅速に、押されて広く展開膨張する。そして、膨張を完了させた補助バッグ80の開口86a・86aから流出される膨張用ガスGによるエアバッグ本体72の迅速な展開と併せて、膨張初期時のエアバッグ本体72が迅速に容積を増大させることができ(図14のA・図15のA参照)、膨張初期時におけるエアバッグ本体72の内圧の上昇を抑えることができて、エアバッグ71は、膨張初期に、運転者Dの頭部Hと干渉しても、クッション効果を確保して運転者Dを保護することが可能となる。
したがって、第2実施形態の運転席用エアバッグ装置M2でも、膨張初期の内圧の上昇を抑えて、迅速に広い範囲でエアバッグ71を展開させることができ、接近している運転者Dの頭部Hが移動してきても、円滑にエアバッグ71によって保護可能となる。
さらに、この第2実施形態のエアバッグ71でも、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体72における裏面側を補助バッグ80の下流側部86と接触させている部位73aが、展開膨張完了時の運転者を保護する面73の中央部73aとして構成されて、補助バッグ80の連結部85が、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体72における二つの折り畳みの折り塊部位91・92の間に、配置され、補助バッグ80の下流側部86が、折り畳まれて収納された状態のエアバッグ本体72における二つの折り畳みの折り塊部位91・92の外表面(上面)側に、跨って配置されている。
そのため、補助バッグ80の下流側部86の膨張時に、エアバッグ本体72における運転者Dの頭部Hを保護する面73における二つの折り塊部位91・92の上面側の広い面73aに関して、迅速に、展開膨張方向の上方側に厚さを確保できるように膨張させることができ、その結果、エアバッグ71は、膨張初期に運転者Dの頭部Hと干渉しても、的確に保護することができる。
また、補助バッグ80の連結部85が、エアバッグ本体72の二つの折り塊部位91・92の間に挟まれるように配置されており、第1実施形態と同様に、補助バッグ80の上流側部84から連結部85を経て下流側部86に流れる膨張用ガスGは、エアバッグ本体72の二つの折り塊部位91・92の間で案内されるように、直線的に下流側部86に流れることから、下流側部86に流れる膨張用ガスGの方向が安定して、下流側部86と接しているエアバッグ本体72の部位が、エアバッグ71毎に安定して、展開膨張することができる。
さらに、補助バッグ80の連結部85が、エアバッグ本体72の二つの折り塊部位91・92の間に挟まれていることから、第1実施形態と同様に、連結部85自体の膨張により、二つの折り塊部位91・92をそれぞれ押し出すことができて、折り塊部位91・92の展開を、促進することもできる。
また、この第2実施形態では、補助バッグ80が、前後方向に延びて前後両端に開口86a・86aを設けた筒状として、前後方向の中央下部に膨張用ガスGの流入口81を備えて構成され、上流側部84と下流側部86とを直線状に連結する連結部85を間にした左右に、エアバッグ本体72の二つの折り塊部位91・92を、配置させている。
そのため、エアバッグ71の初期膨張時、流入口81から流入する膨張用ガスGによって補助バッグ80が膨張すれば、エアバッグ本体72における補助バッグ80の下流側部86の配置部位73aが、初期膨張時に干渉する乗員(運転者)Dを保護可能に膨らむとともに、前後方向に延びた筒状の補助バッグ80の前後両端の開口86a・86aから、膨張用ガスGが、前後方向の両側外方に流れて、エアバッグ本体72が、ステアリングホイールWのボス部Bの上方側で、前後方向に長く延びる状態で膨らみ、初期膨張時に干渉するステアリングホイールWに接近していた運転者Dの腹部BB(図15参照)と、ステアリングホイールWのリング部Rの後部RBとの間に、エアバッグ71を円滑に展開させて配置させることができる。また、エアバッグ71は、膨張初期に、前後方向の長さ寸法を長くして膨らむものの、左右方向の幅寸法を小さくしていることから、リング部Rを把持している運転者Dの左右両腕を、強く押圧しない(図14参照)。
第3実施形態のエアバッグ装置M3は、図16・17に示すように、シート101の背もたれ部102における車外側の側面に配置された側突用エアバッグ装置M3である。
なお、第3実施形態の前後・上下・左右の方向は、側突用エアバッグ装置M3を車両に搭載させた際の車両の前後・上下・左右の方向と一致するものである。
そして、背もたれ部102には、略上下方向に配置されるシートフレーム103が配設され、側突用エアバッグ装置M3は、背もたれ部102の前面側から延びるクッション104に囲まれるとともに、インフレーター111を保持した取付ブラケット112から突出する取付ボルト112bをナット113止めして、フレーム103に固定されている。なお、105・106は、クッション104の外周面を覆う装飾布等からなる表皮である。
側突用エアバッグ装置M3は、折り畳まれたエアバッグ115と、エアバッグ115内に収納されてエアバッグ115に膨張用ガスを供給するインフレーター111と、折り畳まれたエアバッグ115を覆うとともに、膨張時のエアバッグ115に押されて開くエアバッグカバー108と、を備えて構成されている。
エアバッグカバー108は、背もたれ部102に搭載されたエアバッグ装置M3の車外側を覆っているクッション104と表皮106との車外側部位から、構成され、膨張するエアバッグ115に押された際、後端側をヒンジ部108bとして、前端側を車外側に向けるように開く扉部108aを、備えて構成されている。扉部108aの前端側には、クッション104の車外側部位と前面側部位との境界付近に、前方側に凹む凹部104aが設けられて、破断予定部108cが配設されている。エアバッグ115の膨張時には、破断予定部108cが破断して、扉部108aが、後端側のヒンジ部108bを回転中心として車外側に開いて、突出用開口109が形成され、エアバッグ115が、開口109から前方側に突出することとなる。なお、扉部108aの開き時には、表皮105に縫合されていた表皮106は、その縫合部位の縫合糸を破断させて、表皮105から分離することとなる。
インフレーター111は、図17〜20に示すように、シートフレーム103に沿って略上下方向に配置される略円柱状のシリンダタイプとして、円柱状の大径部111aと、大径部111aの上下端に設けられた小径部111bと、を備えて構成され、上下の小径部111b・111cには、膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口111dが形成されている。
そして、インフレーター111は、大径部111aに取り付けられた二つの取付ブラケット112に保持されて、エアバッグ115とともに、シートフレーム103にナット113止めされている。各取付ブラケット112は、大径部111aを挟持する板金製の円環状のクランプ部112aと、クランプ部112aに固着されてナット113と螺合する取付ボルト112bと、を備えて構成されている。
エアバッグ115は、図18〜20に示すように、膨張完了時に略長方形板状とするエアバッグ本体116と、二つの円筒状の補助バッグ120・121と、から構成されている。これらのエアバッグ本体116と補助バッグ120・121も、各実施形態と同様に、可撓性を有したポリアミド等の合成繊維等の織布から形成されている。
エアバッグ本体116は、膨張完了時の乗員側に位置する乗員側壁部117と、乗員側壁部117と対向して車外側に位置する車体側壁部118と、を備えて構成されている。なお、エアバッグ本体116は、乗員側・車体側壁部117・118をエアバッグ本体116の後縁116b側で連結した一枚の布材を、後縁116b側に折目をつけて、二つ折りし、重ねた外周縁相互を縫合して、形成されている。そして、エアバッグ本体116の後縁116b側の乗員側壁部117には、インフレーター111を保持した各取付ブラケット112のボルト112bを突出させる取付孔117aが、上下に配設されている。
なお、エアバッグ本体116には、膨張完了時の板形状を維持可能に、壁部117・118相互の離隔距離を規制するための壁部117・118相互を連結する図示しないテザーが配設されている。
各補助バッグ120・121は、各実施形態と同様に、円筒状となるように、一枚の布材の対向する縁相互を縫合して、形成されている。そして、各補助バッグ120・121は、インフレーター111の大径部111aの上下に外装され、取付ブラケット112のクランプ部112aに共締めされて、大径部111aに保持されて、エアバッグ本体116内に配設されることとなる。各補助バッグ120・121の上下方向の長さ寸法は、エアバッグ本体116内に、インフレーター111とともに配設された際、上下方向の端部側が、エアバッグ本体116の後縁116bから上下の縁116c・116d側に沿って湾曲して、上下の縁116c・116d側に若干侵入する長さとし、さらに、図21のA・B・図22のAに示すように、エアバッグ本体116の前縁116aを後縁116bに接近させるように蛇腹折りし、さらに、図22のA・Bに示すように、蛇腹折りした蛇腹折り完了体126の上下の端部126a・126bを前方側に折り返した際の、エアバッグ本体116内における折り畳み完了体128の上下の端面128b・128cから前端面128aの上下の略中間部位まで延びる長さ寸法としている。
そして、各補助バッグ120・121は、インフレーター111の大径部11aに外装された付近を、膨張用ガスの上流側部122とし、大径部111aから離れた先端側を下流側部124とし、上流側部122と下流側部124との間を略直線状に連結する連結部123として、構成されている。さらに具体的に述べれば、エアバッグ本体116の折り畳みを完了した折り畳み完了体128において、各補助バッグ120・121は、後端面128d側に配置される部位を、上流側部122とし、前端面128a側に配置される部位を、下流側部124とし、上下端面128b・128c側に配置される部位を、連結部123として、構成されている。
第3実施形態の側突用エアバッグ装置M3の車両への搭載について説明すると、まず、インフレーター111を内蔵させたエアバッグ115を製造する。その際、インフレーター111には、補助バッグ120・121の上流側部122の側を大径部111aに外装し、さらに、各取付ブラケット112のクランプ部112aを嵌めて縮径させて、予め、補助バッグ120・121と取付ブラケット112とを取り付けておく。そして、エアバッグ115の製造は、エアバッグ本体116を構成する一枚の布材を本体116の後縁116b側に折目を付けて、二つ折りして、重ねた外周縁相互を縫合する。その際、外周縁の全周を縫合する前に、乗員側壁部117の取付孔117aからボルト112bを外方へ突出させるように、エアバッグ本体116内に、補助バッグ120・121を取り付けたインフレーター111を収納するとともに、図示しないテザーを配設させておく。また、インフレーター111の作動用の図示しないリード線をエアバッグ115内のインフレーター111からエアバッグ115外に出しておく。
その後、エアバッグ115を折り畳む。その際、まず、図21のA・B・図22のAに示すように、エアバッグ本体116の前縁116aを後縁116b側に接近させるように、上下方向に沿う折目を付けた蛇腹折りを行って、蛇腹折り完了体126を形成する。ついで、図22のA・Bに示すように、蛇腹折り完了体126の上下の端部126a・126bを、エアバッグ本体116の前縁116a側を前方側から包むように、折り、折り畳み完了体128を形成する。その際、上下の補助バッグ120・121は、折り畳み完了体128の外表面側における後端面128aに、上流側部122を配置させ、上下の端面128b・128cに、連結部123を配置させ、前端面128aの上側に、上補助バッグ120の下流側部124を配置させ、前端面128aの下側に、下補助バッグ121の下流側部124を配置させることとなる。そして、折り畳み完了体128を形成したならば、エアバッグ115の折り崩れを防止するために、図示しない破断可能なラッピング材により、完了体128を包む。この時、取付ブラケット112の取付ボルト112bやインフレーター111の作動用の図示しないリード線は、ラッピング材から突出させておく。
その後、各取付ボルト112bを、シートフレーム103にナット113止めして、シート101の背もたれ部102にエアバッグ装置M3を取り付け、さらに、クッション104や表皮105・106等を取り付けてシート101を組み立て、その後、シート101を車両に装着させて、インフレーター111から延びる図示しないリード線を、図示しないエアバッグ作動用回路に結線させれば、エアバッグ装置M3を車両に搭載することができる。
エアバッグ装置M3の車両への搭載後、所定の作動信号がインフレーター本体111に入力されて、上下のガス吐出口111dから膨張用ガスGが吐出されれば、エアバッグ115が、膨張して、図示しないラッピング材を破断するとともに破断予定部108cを破断させて、エアバッグカバー108の扉部108aを押して開かせ、扉部108aが開いて形成された突出用開口109を経て、前方側へ展開膨張することとなる。
そして、第3実施形態では、インフレーター111の上下のガス吐出口111d・111dから膨張用ガスGが吐出された際、膨張用ガスGが、インフレーターの上下に配置された各補助バッグ120・121の上流側部122から、折り畳まれたエアバッグ本体116の上下の端面128b・128c側に略直線状に配置された各補助バッグ120・121の連結部123を経て、折り畳まれたエアバッグ本体116の前端面128a側に配置された補助バッグ120・121の下流側部124に、エアバッグ本体128の折り塊部位129の折目と干渉することなく、瞬時に流れる。そして、L字状に屈曲させていた各補助バッグ120・121は、下流側部124と連結部123とをインフレーター111の上下部位付近を回転中心として旋回させて、インフレーター111から上下方向に沿って棒状に延ばすように膨張させることとなり、その際、図23のA・Bを経て図24のAに示すように、エアバッグカバー108の扉部108aを迅速に開かせつつ、前縁116a側を後縁116b側に接近させるように蛇腹折りしていたエアバッグ本体116の前縁116a側を、開いた突出用開口109を経て、前方側に引き出す態様となって、エアバッグ115の膨張初期に、内圧を抑えた状態で、エアバッグ本体116の前縁116a側の一部を、乗員Oの車外側の側方に、迅速に展開させることができる。そしてさらに、上下の補助バッグ120・121の下流側部124の開口124aから流出する膨張用ガスGにより、エアバッグ本体116は、図24のA・Bに示すように、全体の蛇腹折りを解消しつつ円滑に前方側に突出して、乗員Oの側方での展開膨張を完了させることができる。
そして特に、上下の補助バッグ120・121が、折り畳んだエアバッグ本体116の後端面128d側からエアバッグ本体116内における上下端面128b・128cを経て前端面128a側に伸びて、エアバッグ本体116の周囲を包むように、配置されており、エアバッグ本体116を、上下方向と前後方向との長さ寸法を狭めるように、コンパクトに折り畳んで背もたれ部102に収納させていても、迅速に、展開膨張させることができる。