JP4296868B2 - 光ピックアップ装置用の光学系、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置用の光学系、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の光ディスクの高密度化に伴い、光ディスクへの記録/再生に使用される光ピックアップ装置の対物レンズは、集光スポットをより小さくするという要求からその開口数(NA)が高いものが用いられるようになっている。
例えば、波長λが405nmの青紫色半導体レーザー光源を使用する高密度光ディスク用の光ピックアップ装置では、高密度化を達成するために開口数NAが0.85の対物レンズを用いることが提案されている。
【0003】
開口数が0.85の対物レンズとして、入射光束に対する屈折力を二つのレンズに分担させることで、個々のレンズの製造公差を緩和することでNA0.85を達成したガラス製の2群レンズが以下の特許文献1に記載されている。
しかし、波長405nmのレーザー光束と、NA0.85の対物レンズを使用する高密度ディスクでは、0.1mmの厚さの保護層を採用しているので、保護層表面の傷が情報の記録/再生特性に与える影響が大きい。そのため、対物レンズの設計において作動距離を確保することは、対物レンズが光ディスクとの干渉により保護層表面を傷つけることを防ぐ上で非常に重要となる。
【0004】
2群構成の対物レンズでは、入射光束を2つのレンズのそれぞれで屈折させて光ディスクの情報記録面上に集光させるため、光ディスクに対向する光学面を通過する際のマージナル光線の光軸からの高さが小さくなり、対物レンズから光ディスクまでの距離(作動距離)が短くなるので、対物レンズと光ディスクが干渉しやすくなる。特に、特許文献1に記載されている様なガラス製の2群対物レンズでは、その質量が大きくなるため、対物レンズが光ディスクとの干渉により保護層表面に傷を付ける可能性が非常に高くなる。
【0005】
かかる問題に対応すべく、以下の特許文献2に記載されているような、NA0.85のガラス製の単レンズが提案されている。
単レンズ構成とすることで、作動距離を大きく確保でき、又、軽量となるので、対物レンズと光ディスクとの干渉による保護層表面の破損を防ぐことが可能となるが、NA0.85の単レンズでは、光源側の光学面の曲率が大きくなりがちであるので、光学面同士の光軸ずれにより容易にコマ収差が発生してしまう。そのため、NA0.85の単レンズの生産効率を高めるためには、高屈折率ガラス材料を使用することで、光学面同士の光軸ずれに対するマージンを十分に確保する必要がある。
【0006】
また、光ピックアップ装置では、一般に情報の再生時のパワーよりも記録時のレーザーパワーのほうが大きいため、再生から記録に切り替える際に出力変化によりレーザー光源の中心波長が瞬時的に数nmとぶ、モードホッピングを起こす場合がある。かかるモードホッピングにより発生するフォーカス位置ずれは対物レンズをフォーカシングすることで除去できるが、対物レンズがフォーカシングするまでの数nsecの間は、フォーカス位置ずれによる記録不良などの不具合が生じる。このフォーカス位置ずれは光源波長が短くなるほど大きくなるので、光源波長が短くなるほどモードホッピングによる波面収差劣化は大きくなる。
【0007】
単レンズは2群レンズと比較して、入射光束の同じ波長変化に対する色収差の発生量は大きくなる傾向があり、特に、上述のガラス製の単レンズにおいて、光学面同士の光軸ずれに対するマージンを十分に確保するために、高屈折率ガラス材料を使用した場合には、かかるフォーカス位置ずれがより大きくなる。これは、高屈折率ガラス材料は一般的に波長分散が大きく、かかる高屈折率ガラス材料からなる単レンズの色収差が大きくなるためである。以上の理由から、青紫色半導体レーザーを光源として使用し、対物レンズとして高屈折率ガラス製の単レンズを使用する場合には、対物レンズの色収差の補正は必須となる。
【0008】
ところで、従来、CD、MO、DVDなどの光情報記録媒体の記録/再生用の光ピックアップ装置に用いられる対物レンズには、主にプラスチック製の単レンズが用いられている。
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて比重が小さいため、対物レンズを駆動するアクチュエータへの負担を軽減でき、対物レンズの追従を高速に行うことができる。
また、プラスチック材料を金型で射出成形して製造されるプラスチックレンズは、所望の金型を製造よく作製することで、高精度に大量生産することが可能であり、レンズの高性能や低コスト化を図ることが可能となる。
【0009】
従って、作動距離を大きく確保するという点で、2群構成のレンズに対して有利な高密度光ディスク用の単レンズ構成の対物レンズにおいても、軽量、且つ、安定した性能で低コストに大量生産可能なプラスチックレンズを使用するのが好ましい。
しかるに、高NAの単レンズをプラスチックレンズとした場合、温度変化に伴う屈折率変化により発生する球面収差(以下、本明細書ではかかる球面収差を「温度収差」と呼ぶ)が問題となる。これは、温度変化に伴う屈折率変化において、プラスチックレンズがガラスレンズに比べて2桁程度大きいことに起因する。この温度収差は、NAの4乗に比例するので、高密度光ディスクに用いられるNA0.85の対物レンズをプラスチックレンズとした場合には、使用可能な温度範囲が非常に狭くなるという問題があった。
【0010】
このような問題に対して、プラスチック材料中に直径10nm〜15nmの無機材料を混合することで、プラスチック材料の成形性を保持したまま、温度変化に伴う屈折率を低減した新しい光学材料(以下、本明細書では、かかる光学材料を「アサーマル樹脂」と呼ぶ)が発表された(2003年7月4日付け日刊工業新聞)。この発表によると、温度が上昇すると屈折率が下がるプラスチック材料(この発表による例では、アクリル樹脂)に、温度が上昇すると屈折率が上昇する無機材料(この発表による例では、酸化ニオブ(Nb2O5))を体積比で4:1の割合で均質に混成することで両者の屈折率の温度依存性を打ち消すことが可能となる。
このようなアサーマル樹脂を使用することで環境温度が変化しても集光性能が劣化しないNA0.85の単レンズが射出成形により大量生産することが可能となるが、依然として色収差に関する問題は残る。
【0011】
対物レンズの色収差を簡単な構成で補正するための素子として、回折作用を利用した回折素子が公知である。青紫色半導体レーザーを光源として使用する光ピックアップ装置において、対物レンズの色収差を補正するためのかかる回折素子を備えた光ピックアップ装置が、以下の特許文献3に記載されている。
特許文献3に記載された光ピックアップ装置は、青紫色半導体レーザー光源と対物レンズとの間の平行光束中に配置された回折素子により、対物レンズの色収差を補正するものであり、半導体レーザーの波長が長くなる方向に変化した場合には、回折素子から射出されて対物レンズに向かう光束が回折作用により収斂光束となり、半導体レーザーの波長が短くなる方向に変化した場合には、発散光束となることで対物レンズの色収差が補正される。
【0012】
尚、本明細書においては、光学素子により集光されたスポットの径が最小となる集光位置を「フォーカス位置」といい、入射光束の波長変化によるフォーカス位置の移動を「フォーカス位置ずれ」という。本明細書においては、「フォーカス位置ずれ」と「色収差」とは同義であり、入射光束の所定量の波長変化に対する光学素子の色収差に起因して発生する波面収差変化を回折限界以下となるように補正することを「色収差の補正」という。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−123410号公報
【特許文献2】
特開2003−114383号公報
【特許文献3】
特開2001−256672号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体レーザーの波長変化により、回折素子を透過して対物レンズに向かう光束の発散度が変化すると、対物レンズの倍率が変化するため球面収差が発生する。特に、高屈折率ガラス製の単レンズの色収差を補正するためには、回折素子を透過して対物レンズに向かう光束の、半導体レーザーの波長変化に伴う発散度変化(即ち、近軸における回折パワー)を大きく設定する必要があり、この結果、半導体レーザーの波長が変化した場合に、対物レンズの倍率変化に伴う球面収差変化がより大きくなる。
【0015】
半導体レーザーは、環境温度の変化やアクチュエータからの放熱により温度が上昇すると、発振波長が長くなる特性を有するが、高屈折率ガラス製の単レンズの色収差の補正のために、回折素子を使用する光ピックアップ装置では、波長変化に対する球面収差変化が大きくなるため、温度変化に伴う半導体レーザーの波長変化により発生する球面収差変化は無視できない量となる。
更に、光ピックアップ装置において光源として使用される半導体レーザーは、製造誤差により個々の発振波長に±10nm程度の波長ばらつきがある。そのため、対物レンズの波長変化に対する球面収差変化が大きいと、基準となる波長からずれた半導体レーザーを使用することを用いることができず、半導体レーザーの選別が必要となり、光ピックアップ装置の製造コストが上昇する。
【0016】
また、前述した、アサーマル樹脂製の単レンズにおいても、回折素子により色収差を補正した場合には、やはり、環境温度の変化や個々の発振波長ばらつきにより回折素子への入射波長が変化した際の、対物レンズの倍率変化に伴う球面収差変化は無視できない量となる。
これは、倍率変化に伴う球面収差変化量がNAの4乗と、1/λとに比例して増大するからであり、仮に、アサーマル樹脂の波長分散が、現在において光ディスク用の光学素子の材料として使用可能なガラス材料のうち、最小の波長分散を有する材料(d線におけるアッベ数が70程度)と同等まで改善されたとしても、回折素子への入射波長が変化した際に、倍率変化に伴って発生する球面収差の補正は必要となる。
【0017】
ここで、上述の回折素子に球面収差の波長依存性を持たせることで、波長変化に対する球面収差変化を補正することも可能であるが、入射光束の波長変化に対するフォーカス位置ずれに加えて、入射光束の波長変化に対する球面収差変化も補正する場合には、回折構造の輪帯に垂直な方向の幅が小さくなるので、成形時の転写不良による回折効率の低下や、輪帯の光軸方向の段差に入射する光束がその進路を遮断されることに伴う光利用効率の低下が懸念される。更に、輪帯の数が増大するので金型加工に要する時間が長くりなり回折素子の製造コストが上昇する。
【0018】
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、十分な作動距離を確保でき、色収差及び入射光束の波長変化に対する球面収差が補正され、更に、光利用効率の高い光ピックアップ装置用の光学素子、及びこの光学素子を対物レンズとして搭載した光ピックアップ装置、この光ピックアップ装置を搭載した光情報記録再生装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有し、前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、Φ b =b 2 ・h 2 +b 4 ・h 4 +b 6 ・h 6 +・・・・・・で定義される光路差関数Φ b (mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b 2 、b 4 、b 6 、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、2次の光路差関数係数b 2 以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする。
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光レンズに持たせることで、作動距離を大きく確保することが可能となり、対物レンズと光ディスクとの干渉を防ぐことが出来る。更に、回折構造により集光レンズの色収差を補正しているので、レーザーのモードホッピングにより、入射光束の波長が瞬時的に変化した場合においても良好な記録/再生特性を維持できる。
【0021】
また、光路差付与構造により色球面収差を補正しているので、温度変化に伴う半導体レーザーの波長が変化した場合においても球面収差が大きくなりすぎることは無く、且つ、製造誤差により発振波長が基準波長からずれた半導体レーザーを使用しても球面収差が大きくなりすぎることは無い。
そして、回折構造を軸上色収差補正用として用い、光路差付与構造を色球面収差補正用として用いることにより、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなり収差補正素子成形時の転写性が向上する。更に、収差補正素子の光学面上に、回折構造や光路差付与構造の如き微細な段差を有する構造を形成しているので、回折構造に入射する光束のうち、その進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
さらに、2次以外の光路差関数係数を全て0にすることで、回折構造で色球面収差も補正する場合に比べて、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなるので、収差補正素子成形時の転写性が向上し、回折効率が向上し、集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
【0022】
尚、入射光束煮対する屈折力のほとんどを負担する集光レンズは、製造における光学面同士の光軸ずれに対するマージンを十分に確保するために、本発明による光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の発振波長における屈折率が1.55以上のガラス材料から構成されるのが望ましい。
なお、本明細書においては、情報の記録/再生用の光源として、青紫色半導体レーザーや青紫色SHGレーザー等の青紫色レーザーを使用する光ディスクを、総称して「高密度光ディスク」といい、NA0.85の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.1mm程度である規格の光ディスクのほかに、NA0.65の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.6mm程度である規格の光ディスクも含むものとする。また、このような保護層をその情報記録面上に有する光ディスクのほかに、情報記録面上に数〜数十nmの厚さの保護膜を有する光ディスクや、あるいは保護膜の厚さが0である光ディスクも含むものとする。また、本明細書においては、高密度光ディスクには、情報の記録/再生用の光源として、青紫色レーザーを使用する光磁気ディスクも含むものとする。
【0023】
また、本明細書においては、「収差補正素子」とは入射光束の波長変化に伴い他の光学素子で発生する波面収差変化を抑制する機能を有する光学素子を指し、「集光レンズ」とは、「収差補正素子」から射出された光束を集光し結像する機能を有する光学素子をさす。即ち、「収差補正素子」は、入射光束の波長変化に伴い「集光レンズ」で発生する波面収差変化を抑制する。
そして、「収差補正素子」と「集光レンズ」から構成される光学素子を、光ピックアップ装置において対物レンズとして使用する場合は、「収差補正素子」は集光レンズよりもレーザー光源に近い位置に配置され、「集光レンズ」は収差補正素子よりも光ディスクに近い位置に配置される。
【0024】
また、本明細書においては、「光路差付与構造」は、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に微細な段差を持って分割された複数の輪帯とから構成される構造であって、入射光束の波長が所定の波長においては、隣接する輪帯を通過する波面間で入射光束の波長の整数倍の光路差を発生し、波長が前記所定の波長から変化した場合においては、隣接する輪帯を通過する波面間で発生する光路差が入射光束の波長の整数倍からずれるような特性を有する構造を指す。
かかる「光路差付与構造」の具体的な構造は、中心領域の外側に隣接する輪帯は、該中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されかつ、最大有効径位置の75%の位置における輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されている構造である。
ここで、「中心領域」とは光軸を含み、光軸から最も近い位置の段差で囲まれる光学領域を指す。
【0025】
また、本明細書において、「回折構造」は、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に微細な段差をもって分割された複数の輪帯とから構成される構造であって、入射光束が所定の波長である場合には、隣接する輪帯を通過する波面間で入射光の波長の整数倍の光路差を、回折作用により発生し、入射光束の波長が、前記所定の波長から変化した場合においては、隣接する輪帯を通過する波面間で発生する光路差が入射光束の波長の整数倍からずれるような特性を有する構造を指す。
かかる「回折構造」の具体的な構造は、光軸を含む断面形状が、光軸から離れるに従い、光路長が長くなるように光軸方向に変移している階段形状である構造や、光軸を含む断面形状が鋸歯形状である構造である。
【0041】
請求項2に記載の発明は、プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有した1群1枚構成の単レンズであり、前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、Φ b =b 2 ・h 2 +b 4 ・h 4 +b 6 ・h 6 +・・・・・・で定義される光路差関数Φ b (mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b 2 、b 4 、b 6 、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、2次の光路差関数係数b 2 以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光レンズに持たせることで、作動距離を大きく確保することが可能となり、対物レンズと光ディスクとの干渉を防ぐことが出来る。更に、回折構造により集光レンズの色収差を補正しているので、レーザーのモードホッピングにより、入射光束の波長が瞬時的に変化した場合においても良好な記録/再生特性を維持できる。
また、光路差付与構造により色球面収差を補正しているので、温度変化に伴う半導体レーザーの波長が変化した場合においても球面収差が大きくなりすぎることは無く、且つ、製造誤差により発振波長が基準波長からずれた半導体レーザーを使用しても球面収差が大きくなりすぎることは無い。
そして、回折構造を軸上色収差補正用として用い、光路差付与構造を色球面収差補正用として用いることにより、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなり収差補正素子成形時の転写性が向上する。更に、収差補正素子の光学面上に、回折構造や光路差付与構造の如き微細な段差を有する構造を形成しているので、回折構造に入射する光束のうち、その進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
さらに、2次以外の光路差関数係数を全て0にすることで、回折構造で色球面収差も補正する場合に比べて、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなるので、収差補正素子成形時の転写性が向上し、回折効率が向上し、集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
【0042】
請求項3に記載の発明は、プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有し、前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、Φb=b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・・で定義される光路差関数Φb(mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、PD=−2・b2で定義される近軸における回折パワーPD(mm-1)と、前記収差補正素子と前記集光レンズとを組み合わせて得られる近軸における合成パワーPT(mm-1)とが、以下の(1)式を満たし、2次の光路差関数係数b 2 以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする。
0.03≦PD/PT≦0.15 (1)
【0043】
請求項3に記載の発明によれば、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光レンズに持たせることで、作動距離を大きく確保することが可能となり、対物レンズと光ディスクとの干渉を防ぐことが出来る。更に、回折構造により集光レンズの色収差を補正しているので、レーザーのモードホッピングにより、入射光束の波長が瞬時的に変化した場合においても良好な記録/再生特性を維持できる。
また、光路差付与構造により色球面収差を補正しているので、温度変化に伴う半導体レーザーの波長が変化した場合においても球面収差が大きくなりすぎることは無く、且つ、製造誤差により発振波長が基準波長からずれた半導体レーザーを使用しても球面収差が大きくなりすぎることは無い。
そして、回折構造を軸上色収差補正用として用い、光路差付与構造を色球面収差補正用として用いることにより、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなり収差補正素子成形時の転写性が向上する。更に、収差補正素子の光学面上に、回折構造や光路差付与構造の如き微細な段差を有する構造を形成しているので、回折構造に入射する光束のうち、その進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
さらに、2次以外の光路差関数係数を全て0にすることで、回折構造で色球面収差も補正する場合に比べて、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなるので、収差補正素子成形時の転写性が向上し、回折効率が向上し、集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
また、PD/PTは全系に占める回折パワーの割合、つまり軸上色収差の補正度合いを示す。この値を(1)式を満足するように定めれば軸上色収差を良好に補正出来る。
【0044】
請求項4に記載の発明は、プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有した1群1枚構成の単レンズであり、前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、Φ b =b 2 ・h 2 +b 4 ・h 4 +b 6 ・h 6 +・・・・・・で定義される光路差関数Φ b (mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b 2 、b 4 、b 6 、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、P D =−2・b 2 で定義される近軸における回折パワーP D (mm -1 )と、前記収差補正素子と前記集光レンズとを組み合わせて得られる近軸における合成パワーP T (mm -1 )とが、以下の(2)式を満たし、2次の光路差関数係数b2以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする。
0.03≦P D /P T ≦0.15 (2)
【0045】
請求項4に記載の発明によれば、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光レンズに持たせることで、作動距離を大きく確保することが可能となり、対物レンズと光ディスクとの干渉を防ぐことが出来る。更に、回折構造により集光レンズの色収差を補正しているので、レーザーのモードホッピングにより、入射光束の波長が瞬時的に変化した場合においても良好な記録/再生特性を維持できる。
また、光路差付与構造により色球面収差を補正しているので、温度変化に伴う半導体レーザーの波長が変化した場合においても球面収差が大きくなりすぎることは無く、且つ、製造誤差により発振波長が基準波長からずれた半導体レーザーを使用しても球面収差が大きくなりすぎることは無い。
そして、回折構造を軸上色収差補正用として用い、光路差付与構造を色球面収差補正用として用いることにより、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなり収差補正素子成形時の転写性が向上する。更に、収差補正素子の光学面上に、回折構造や光路差付与構造の如き微細な段差を有する構造を形成しているので、回折構造に入射する光束のうち、その進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
さらに、2次以外の光路差関数係数を全て0にすることで、回折構造で色球面収差も補正する場合に比べて、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが長くなるので、収差補正素子成形時の転写性が向上し、回折効率が向上し、集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
また、P D /P T は全系に占める回折パワーの割合、つまり軸上色収差の補正度合いを示す。この値を(2)式を満足するように定めれば軸上色収差を良好に補正出来る。
【0046】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記回折構造は、光軸を含む中心領域と、該中心領域の外側に微細な段差をもって分割された複数の輪帯から構成され、最大有効径位置における前記輪帯の光軸に垂直な方向の幅Pf(mm)と、最大有効径の50%の位置における前記輪帯の光軸に垂直な方向の幅Ph(mm)とが以下の(3)式を満たすことを特徴とする。
0≦|Ph/Pf−2|<0.5 (3)
【0047】
請求項5に記載の発明によれば、PhとPfが(3)式を満たすことで、回折構造の輪帯の光軸垂直方向の長さが回折構造で色球面収差も補正する場合に比べて長くなるので、収差補正素子成形時の転写性が向上し、回折効率が向上し、集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
【0048】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、Φb=b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・・で定義される光路差関数Φb(mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、PD=−2・b2で定義される近軸における回折パワーPD(mm-1)と、前記収差補正素子の近軸における屈折パワーPR(mm-1)とが、以下の(4)式を満たすことを特徴とする。
−1.2≦PD/PR≦−0.8 (4)
【0049】
請求項6に記載の発明によれば、PD/PRは前記収差補正素子から射出される光束の収束度を示し、(4)式の条件を満足すれば射出光はほぼ平行光になり、集光レンズの設計・製造が容易になる。
【0050】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記光路差付与構造は、光軸を含む中心領域と、該中心領域の外側に微細な段差をもって分割された複数の輪帯とから構成され、入射光束の波長が長波長側に変化した場合に、透過波面の球面収差が補正不足方向へ変化するような光路差を隣接する前記輪帯間で発生することで、前記集光レンズで発生する補正過剰方向への球面収差変化を補正し、かつ、入射光束の波長が短波長側に変化した場合に、透過波面の球面収差が補正過剰方向へ変化するような光路差を隣接する前記輪帯間で発生することで、前記集光レンズで発生する補正不足方向への球面収差変化を補正することを特徴とする。
【0051】
請求項7に記載の発明によれば、入射光束の波長が変化した場合に前記光路差付与構造によって色球面収差が補正出来る。
【0052】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記入射光束の波長の長波長側への変化、及び/又は、前記入射光束の波長の短波長側への変化は、前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の、環境温度変化に伴う発振波長変化であることを特徴とする。
【0053】
請求項8に記載の発明によれば、光路差付与構造により色球面収差を補正しているので、温度変化に伴い半導体レーザーの発振波長が変化した場合においても球面収差が大きくなりすぎることは無い。
【0054】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記入射光束の波長の長波長側への変化、及び/又は、前記入射光束の波長の短波長側への変化は、前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の、製造誤差による発振波長ばらつきであることを特徴とする。
【0055】
請求項9に記載の発明によれば、光路差付与構造により色球面収差を補正しているので、製造誤差によりレーザーの発振波長が基準波長からずれた半導体レーザーを使用しても、球面収差が大きくなりすぎることは無い。
【0058】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記光路差付与構造の前記微細な段差の光軸方向の深さをd(μm)、前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の波長をλ(nm)、前記収差補正素子の前記波長λに対する屈折率をnとしたとき、以下の(5)式を満たすことを特徴とする。
3≦d・(n−1)/(λ×10-3)≦10 (5)
【0059】
請求項10に記載の発明によれば、d・(n−1)/(λ×10-3)≦10を満たすとき半導体レーザーの発振波長が変化したことに起因する球面収差が良好に補正出来、しかも、3≦d・(n−1)/(λ×10-3)を満たすとき、前記光路差付与構造の輪帯の光軸に垂直な方向の長さが、光路差付与構造が容易に成形可能なほど確保出来、収差補正素子成形時の転写性が良く、透過率が向上し、集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
【0060】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の波長をλ(nm)、前記収差補正素子と前記集光レンズとを組み合わせて得られる開口数をNAとしたとき、以下の(6)及び(7)式を満たすことを特徴とする。
λ≦450nm (6)
0.60≦NA≦0.95 (7)
【0061】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記収差補正素子と前記集光レンズは共に、波面収差がマレシャル限界内となるように収差補正されていることを特徴とする。
【0062】
請求項12に記載の発明によれば、収差補正素子及び集光レンズとをそれぞれ単独で評価することが可能となるので、製造が容易となる。
【0063】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系において、前記収差補正素子と前記集光レンズは、それぞれ、接合部材を介して接合されていることを特徴とする。
【0064】
請求項13に記載の発明によれば、集光レンズを収差補正素子と一体にトラッキングさせることが出来るので、入射光束が設計波長からずれた場合においてもコマ収差の発生が無く、良好なトラッキング特性を得られる。
【0065】
請求項14に記載の発明は、レーザー光源と、前記レーザー光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光するための対物光学系と、を有する光ピックアップ装置において、前記対物光学系として、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学系を備えたことを特徴とする。
【0066】
請求項15に記載の発明は、光情報記録再生装置において、請求項14に記載の光ピックアップ装置を搭載して光ディスクに対する情報の記録及び光ディスクに記録された情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする。
【0067】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の光ピックアップ装置10の概略図であり、光ピックアップ装置10は、光源としての青紫色半導体レーザー11、偏光ビームスプリッター12、1/4波長板16、コリメータ13、絞り18、対物レンズ30、フォーカシング/トラッキング用の2軸アクチュエータ19、シリンドリカルレンズ17、凹レンズ14、及び光検出器15とから構成される。
なお、詳しい説明は後述するが、本発明に係る光ピックアップ装置用の光学系は、対物レンズ30を構成する収差補正素子40と集光レンズ50とから成る。青紫色半導体レーザー11から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッター12を通過し、1/4波長板16、及びコリメートレンズ13を経て円偏光の平行光束となった後、絞り18により光束径が規制され、対物レンズ30によって高密度光ディスク20の保護層22を介して情報記録面21上に形成されるスポットとなる。
【0068】
情報記録面21で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズ30、絞り18、及びコリメートレンズ13を経て収斂光束となった後、1/4波長板16を透過することで直線偏光となり、偏光ビームスプリッター12によって反射され、シリンドリカルレンズ17、凹レンズ14を経ることにより批点収差が与えられ、光検出器15に収束する。そして、光検出器15の出力信号を用いて高密度光ディスク20に記録された情報を読み取ることが出来る。
尚、波長400nm程度のレーザー光を射出する光源として、青紫色半導体レーザーの代わりに、第二高調波発生法を利用したSHG青紫色レーザーを使用しても良い。
【0069】
対物レンズ30は、青紫色半導体レーザー11から発したレーザー光を高密度光ディスク20(例えば、ブルーレイディスク)の保護層22を介して情報記録面21上に集光させる機能を有し青紫色半導体レーザー11側に配置されたプラスチック製の収差補正素子40と、高密度光ディスク20側に配置されたガラス製の集光レンズ50とから構成される。収差補正素子40と集光レンズ50とを組み合わせて得られるNAは0.85である。
更に、収差補正素子40と集光レンズ50、接合部材80を用い接合されていることで、収差補正素子40と集光レンズ50は一体となってフォーカシングやトラッキングを行う。
【0070】
図2に示すように、対物レンズ30は、物体側から順に配置されたプラスチック製の収差補正素子40とガラス製の集光レンズ50、接合部材80とにより構成されている。
集光レンズ50は、非球面を少なくともひとつ(本実施の形態においては入射面51と出射面52の2面)有する一群一枚構成の屈折単レンズである。
収差補正素子40は、図3に示すように、その入射面41の光軸近傍の形状が平面状で、出射面42が凹面状とされた光学素子であり、入射面41には光路差付与構造60が形成され、出射面42には回折構造70が形成されている。
【0071】
本発明の実施の形態における収差補正素子40では、その入射面41に、光路差付与構造60を形成し、射出面42に回折構造70を形成する構成としたが、これとは逆に、入射面41に回折構造70を形成し、出射面42に光路差付与構造60を形成しても良い。また、入射面41又は出射面42のいずれか一方の光学面に光路差付与構造60を形成し、さらに光路差付与構造60の各輪帯上に、回折構造70を形成しても良い。又凹面上とされた光学面に光路差付与構造60を形成し、かつ平面状とされた光学面に回折構造70を形成しても良い。
【0072】
図3に示すように、光路差付与構造60は、光軸Lを含むと共に光軸Lに直交する平面からなる中心領域61と、この中心領域61の外側に形成される複数の輪帯62とから構成される。
各輪帯62は光軸Lを中心とした同心円状に形成されており、その内周縁部分と外周縁部分とが光軸L方向に伸びる微細な段差63により分割されている。
複数の輪帯62の内、中心領域61の外側に隣接する輪帯(輪帯62a)は、中心領域61に対して光路長が短くなるように、つまり光軸L方向に沿って光ディスク20側に変移して成形されており、光学面の最大有効径D1に相当する位置の輪帯(輪帯62b)は、その内側に隣接する輪帯62(c)に対して光路長が長くなるように、つまり光軸L方向沿って光源11側に変移しており、最大有効径D1の75%に相当する位置の輪帯62(d)は、その内側に隣接する輪帯62(e)とその外側に隣接する輪帯62(f)とに対して光路長が短くなるように光軸L方向に沿って光ディスク20側に変移して形成されている。
【0073】
図4は、本実施の形態の光ピックアップ装置10'の概略図であり、光ピックアップ装置10'は、光源としての青紫色半導体レーザー11、偏光ビームスプリッター12、1/4波長板16、コリメータ13、絞り18、対物レンズ30'、フォーカシング/トラッキング用の2軸アクチュエータ19、シリンドリカルレンズ17、凹レンズ14、及び光検出器15とから構成される。
なお、詳しい説明は後述するが、本発明に係る光ピックアップ装置用の光学系は、対物レンズ30'を構成する収差補正素子40'と集光レンズ50'とから成る。
青紫色半導体レーザー11から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッター12を通過し、1/4波長板16、及びコリメートレンズ13を経て円偏光の平行光束となった後、絞り18により光束径が規制され、対物レンズ30によって高密度光ディスク20の保護層22を介して情報記録面21上に形成されるスポットとなる。
【0074】
情報記録面21で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズ30'、絞り18、及びコリメートレンズ13を経て収斂光束となった後、1/4波長板16を透過することで直線偏光となり、偏光ビームスプリッター12によって反射され、シリンドリカルレンズ17、凹レンズ14を経ることにより非点収差が与えられ、光検出器15に収束する。そして、光検出器15の出力信号を用いて高密度光ディスク20に記録された情報を読み取ることが出来る。
尚、波長400nm程度のレーザー光を射出する光源として、青紫色半導体レーザーの代わりに、第二高調波発生法を利用したSHG青紫色レーザーを使用しても良い。
【0075】
対物レンズ30'は、青紫色半導体レーザー11から発したレーザー光を高密度光ディスク20(例えば、ブルーレイディスク)の保護層22を介して情報記録面21上に集光させる機能を有し青紫色半導体レーザー11側に配置されたプラスチック製の収差補正素子40'と、高密度光ディスク20側に配置されたアサーマル樹脂製の集光レンズ50'とから構成される。収差補正素子40'と集光レンズ50'とを組み合わせて得られるNAは0.85である。
更に、収差補正素子40'と集光レンズ50'、接合部材80を用い接合されていることで、収差補正素子40'と集光レンズ50'は一体となってフォーカシングやトラッキングを行う。
【0076】
集光レンズ50'は、非球面を少なくともひとつ(本実施の形態においては入射面51と出射面52の2面)有する一群一枚構成のアサーマル樹脂製の屈折単レンズである。
収差補正素子40'は、その入射面の光軸近傍の形状が平面状で、射出面が凹面状とされた光学素子であり、入射面41には回折構造70が形成され、出射面42には光路差付与構造60が形成されている。
【0077】
本発明の実施の形態における収差補正素子40'では、その入射面41に回折構造70を形成し、出射面42に光路差付与構造60を形成する構成としたが、これとは逆に、入射面41に光路差付与構造60を形成し、出射面42に回折構造70を形成しても良い。また、入射面41又は出射面42のいずれか一方の光学面に光路差付与構造60を形成し、更に光路差付与構造60の各輪帯上に、回折構造70を形成しても良い。
尚、本実施の形成における収差補正阻止40'に形成された光路差付与構造60、及び回折構造70の構成及び機能は、前述した収差補正素子40の光路差付与構造60及び回折構造70と同じであるので詳細な説明は割愛する。
【0078】
そして、青紫色半導体レーザー11からの出射光束は、収差補正素子40の入射面41において、各輪帯62を通過する際に、輪帯62の中心領域61からの変位量(段差63の光軸L方向の長さ)に応じた光路差が付与され、各光束に位相差が生じるようになっている。
【0079】
そして、青紫色半導体レーザー11の発振波長が収差補正素子40の設計波長と同じである場合には、各輪帯62を通過した光束の位相が情報記録面21上でほぼ揃うように各光束に対して光路差が付与され、青紫色半導体レーザーの発振波長が収差補正素子40の設計波長より長い場合には、透過波面の球面収差が補正不足方向に変化するような光路差を隣接する各輪帯62間で発生することで、集光レンズ50で発生する補正過剰方向への球面収差の変化を補正するようになっている。同様に、青紫色半導体レーザーの発振波長が収差補正素子40の設計波長より短い場合には、透過波面の球面収差が補正過剰方向に変化するような光路差を隣接する各輪帯62間で発生することで、集光レンズ50で発生する補正不足方向への球面収差の変化を補正するようになっている。
【0080】
回折構造70は、光軸Lを含む中心領域71と中心領域71の外側に光軸L方向の微細な段差74を持って分割された複数の輪帯72(回折輪帯)から構成され、各回折輪帯72の光軸Lを含む断面形状が階段形状に凹面73上に形成されている。
そして、Φb=b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・で定義される光路差関数Φb(mm)により、回折構造70を透過する波面に付加される光路差を表した場合に、PD=−2・b2で定義される近軸における回折パワーPD(mm-1)と、収差補正素子40と集光レンズ50とを組み合わせて得られる近軸における合成パワーPT(mm-1)とが(4)式を満たすことにより、回折構造70が入射光束の波長変化に伴って集光レンズ50で発生する軸上色収差を補正するようになっている。
0.03≦PD/PT≦0.15 (4)
但し、hは光軸Lからの高さ(mm)、b2, b4, b6,…はそれぞれ2次、4次、6次…の光路差関数係数を示す。
また、収差補正素子の近軸における屈折パワー(mm-1)と回折構造70の近軸における回折パワーPD(mm-1)とが(6)式を満たすように収差補正素子の射出面42と回折構造70が設計されている。
−1.2≦PD/PR≦−0.8 (6)
【0081】
また、最大有効径D2の位置における回折輪帯72aの光軸Lに垂直な方向の幅Pf(mm)と、最大有効径D2の50%の位置における輪帯72bの光軸Lに垂直な方向の幅Ph(mm)とが(5)式を満たすよう回折構造70が設計されている。
0≦|Ph/Pf−2|<0.5 (5)
【0082】
以上のように、本実施の形態に示した対物レンズ系30によれば、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光レンズ50に持たせることで、作動距離を大きく確保することが可能となり、対物レンズ系30と光ディスクの保護層22との干渉を防ぐことが出来る。
更に、回折構造70により集光レンズ50の色収差を補正しているので、青紫色レーザー11のモードホッピングにより入射光束の波長が瞬時的に変化した場合においても良好な記録/再生特性を維持出来る。
【0083】
また、光路差付与構造60により色球面収差を補正しているので、温度変化に伴う青紫色半導体レーザー11の発振波長が変化した場合においても球面収差が大きくなりすぎることは無い。そして、回折構造70を軸上色収差補正用として用い、光路差付与構造60を色球面収差補正用として用いることにより、最大有効径D2の位置における回折輪帯輪帯72aの光軸Lに垂直な方向の幅Pf(mm)が長くなり、収差補正素子40を成形するときの転写性が向上する。
更に、収差補正素子40の光学面上に、回折構造70や光路差付与構造60の如き微細な段差を有する構造を形成しているので、回折構造70に入射する光束の内、その進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることが出来、光量の低下を防止できる。
【0084】
なお、図示は省略するが、上述した光ピックアップ装置10及び10´に、光ディスク20を回転自在に保持する回転駆動装置やこれら各種装置の駆動を制御する制御装置等を組み合わせることで、光ディスク20に対する情報の記録及び光ディスク20に記録された情報の再生のうち少なくとも一方の実行が可能な光情報記録再生装置を得ることができる。
【0085】
また、本実施の形態においては、光ピックアップ装置10及び10´が1つのレーザ光源11を備え、1種類の規格(或いは、記録密度)の光ディスク(本実施の形態においては、高密度光ディスク20)に対して用いられるものとしたが、これに限らず、2つ以上の光源を用いて、2種類以上の規格の光ディスク間での互換性を有する光ピックアップ装置の構成としてもよい。
【0086】
【実施例】
次に、上述した対物レンズ系の実施例について説明する。本実施例における光学系は焦点距離f=1.765mm,近軸パワーPT=0.567mm-1、開口数NA=0.85、設計波長λ=405nm、設計基準温度T=25℃に設定されている。
収差補正素子は、第1面(入射面)が平面で、第2面(出射面)が凹レンズのプラスチック製レンズであり、第1面に光路差付与構造、第2面に回折構造(回折輪帯が階段形状)が形成されている。最大有効径位置での回折輪帯幅Pf=6.75μm、最大有効径の50%の位置での回折輪帯幅Ph=13.5μmである。
また、集光レンズは、両面(第3面及び第4面)が非球面のガラス製レンズであり、焦点距離f=1.765nm、倍率m=0、開口数NA=0.85に設定されている。表1に収差補正素子及び集光レンズの曲率半径r、第I面から第i+1面までの光軸L方向の位置d、設計波長405nmにおける屈折率をn405、406nmにおける屈折率をn406、410nmにおける屈折率をn410、d線のアッベ数をνdで表す。
【0087】
【表1】
また、集光レンズの非球面は、その面の頂点に接する平面からの変形量をX(mm)、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、曲率半径をr(mm)とするとき、次の数2に表2中の係数を代入した数式で表される。但し、κを円錐係数、A2iを非球面係数とする。
【0088】
【数2】
【表2】
【0089】
また、収差補正素子の回折構造は、この回折構造により透過波面に付加される光路差で表される。かかる光路差は、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、b2jを光路差関数係数とするとき次の数3で定義される光路差関数Φb(mm)に表3中の係数を代入した数式で表される。
【0090】
【数3】
【表3】
【0091】
また、光路差付与構造の各輪帯の形状は、表4で表される。
【表4】
【0092】
表4中のiは光路差付与構造の中心領域及び各輪帯の番号を表し、光軸を含む中心領域をi=1、中心領域の外側(光軸から離れる方向)に隣接する輪帯をi=2、さらに外側に隣接する輪帯をi=3、…とする。即ち、本実施例における対物レンズの収差補正素子には、中心領域の外側に4本の輪帯が形成されている。そして、hi-1と、hiはそれぞれ中心領域及び各輪帯の始点高さ、終点高さを示す。midは中心領域に対する各輪帯の光軸方向の変移量(光源から光ディスク方向に向かって変移する場合を正とする)を表す。例えば、中心領域の外側に隣接する輪帯(i=2)は、中心領域に対して光ディスク側に3.86μm変移している。また、miは、設計基準波長405nmにおいて、各輪帯を透過する光束に付与される中心領域を透過する拘束に対する光路差を表し、たとえば中心領域の外側に隣接する輪帯(i=2、m=5)を透過する光束は、中心領域を透過する光束に対して5λ(但し、λ=405nm)の光路差が付与されるので、位相差に換算して2π×5(rad)だけ位相が遅れることになる。
【0093】
入射光束の波長が設計基準波長405nmから410nmに変化した場合における波面収差は0.012λrmsとなった。また、青紫色半導体レーザーのモードホッピングにより、本実施例における対物レンズに対する入射光束の波長が、設計波長の405nmから406nmになった場合の波面収差のデフォーカス成分は0.024λrmsとなった。また、本実施例の対物レンズ系において、収差補正素子除いた対物レンズのみに対して、入射光束の波長が、設計波長の405nmから406nmになった場合の波面収差のデフォーカス成分は0.111λrmsとなった。
これにより、上記実施例ではガラス製対物レンズのみのときに比べ、収差補正素子の回折構造の作用により、軸上色収差が補正されていることが分る。
【0094】
【比較例】
次に、上記実施例における光路差付与構造の球面収差補正効果を説明する。比較例として、上記実施例の収差補正素子の第1面に形成した光路差付与構造が無い場合を考える。
【0095】
この比較例において、入射光束の波長が設計基準波長405nmから410nmに変化した場合における波面収差は0.058λrmsとなった。
これにより上記実施例の対物レンズ系では、光路差付与構造の作用により、入射光の波長が変化したときに発生する球面収差が良好に補正されていることが分る。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な作動距離を確保出来、更に色収差及び入射光束の波長が変化した際の球面収差を補正出来、光利用効率の高いピックアップ装置用の光学素子、及びこの光学素子を対物レンズとして搭載した光ピックアップ装置、この光ピックアップ装置を搭載した光情報記録再生装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る光学系の構成を示す横断面図である。
【図3】回折構造及び光路差付与構造を示す横断面図である。
【図4】本発明に係る光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
10 光ピックアップ装置
40 収差補正素子
50 集光レンズ
60 光路差付与構造
61 中心領域
62 輪帯
70 回折構造
71 中心領域
72 輪帯
80 接合部材
Claims (15)
- プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、
前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有し、
前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、
Φ b =b 2 ・h 2 +b 4 ・h 4 +b 6 ・h 6 +・・・・・・で定義される光路差関数Φ b (mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b 2 、b 4 、b 6 、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、2次の光路差関数係数b 2 以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学系。 - プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、
前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有した1群1枚構成の単レンズであり、
前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、
Φ b =b 2 ・h 2 +b 4 ・h 4 +b 6 ・h 6 +・・・・・・で定義される光路差関数Φ b (mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b 2 、b 4 、b 6 、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、2次の光路差関数係数b 2 以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学系。 - プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、
前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有し、
前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、
Φb=b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・・で定義される光路差関数Φb(mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、PD=−2・b2で定義される近軸における回折パワーPD(mm-1)と、前記収差補正素子と前記集光レンズとを組み合わせて得られる近軸における合成パワーPT(mm-1)とが、以下の(1)式を満たし、2次の光路差関数係数b 2 以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学系。
0.03≦PD/PT≦0.15 (1) - プラスチック製の収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を結像させるためのガラス製の集光レンズと、から構成される光ピックアップ装置用の光学系において、
前記収差補正素子は、回折構造が形成された光学面と、光路差付与構造が形成された光学面と、を少なくとも1つずつ有した1群1枚構成の単レンズであり、
前記集光レンズは、非球面を少なくとも1つ有する1群1枚構成の屈折単レンズであり、
Φ b =b 2 ・h 2 +b 4 ・h 4 +b 6 ・h 6 +・・・・・・で定義される光路差関数Φ b (mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b 2 、b 4 、b 6 、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、P D =−2・b 2 で定義される近軸における回折パワーP D (mm -1 )と、前記収差補正素子と前記集光レンズとを組み合わせて得られる近軸における合成パワーP T (mm -1 )とが、以下の(2)式を満たし、2次の光路差関数係数b2以外の次数の光路差関数係数が全て0であることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学系。
0.03≦P D /P T ≦0.15 (2) - 前記回折構造は、光軸を含む中心領域と、該中心領域の外側に微細な段差をもって分割された複数の輪帯から構成され、最大有効径位置における前記輪帯の光軸に垂直な方向の幅Pf(mm)と、最大有効径の50%の位置における前記輪帯の光軸に垂直な方向の幅Ph(mm)とが以下の(3)式を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
0≦|Ph/Pf−2|<0.5 (3) - Φb=b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・・で定義される光路差関数Φb(mm)により、前記回折構造を透過する波面に付加される光路差を表した場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・・・・はそれぞれ、2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数である)、PD=−2・b2で定義される近軸における回折パワーPD(mm-1)と、前記収差補正素子の近軸における屈折パワーPR(mm-1)とが、以下の(4)式を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
−1.2≦PD/PR≦−0.8 (4) - 前記光路差付与構造は、光軸を含む中心領域と、該中心領域の外側に微細な段差をもって分割された複数の輪帯とから構成され、入射光束の波長が長波長側に変化した場合に、透過波面の球面収差が補正不足方向へ変化するような光路差を隣接する前記輪帯間で発生することで、前記集光レンズで発生する補正過剰方向への球面収差変化を補正し、かつ、入射光束の波長が短波長側に変化した場合に、透過波面の球面収差が補正過剰方向へ変化するような光路差を隣接する前記輪帯間で発生することで、前記集光レンズで発生する補正不足方向への球面収差変化を補正することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
- 前記入射光束の波長の長波長側への変化、及び/又は、前記入射光束の波長の短波長側への変化は、前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の、環境温度変化に伴う発振波長変化であることを特徴とする請求項7に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
- 前記入射光束の波長の長波長側への変化、及び/又は、前記入射光束の波長の短波長側への変化は、前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の、製造誤差による発振波長ばらつきであることを特徴とする請求項7又は8に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
- 前記光路差付与構造の前記微細な段差の光軸方向の深さをd(μm)、前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の波長をλ(nm)、前記収差補正素子の前記波長λに対する屈折率をnとしたとき、以下の(5)式を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
3≦d・(n−1)/(λ×10-3)≦10 (5) - 前記光学系が搭載される光ピックアップ装置のレーザー光源の波長をλ(nm)、前記収差補正素子と前記集光レンズとを組み合わせて得られる開口数をNAとしたとき、以下の(6)及び(7)式を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
λ≦450nm (6)
0.60≦NA≦0.95 (7) - 前記収差補正素子と前記集光レンズは共に、波面収差がマレシャル限界内となるように収差補正されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
- 前記収差補正素子と前記集光レンズは、それぞれ、接合部材を介して接合されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学系。
- レーザー光源と、前記レーザー光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光するための対物光学系と、を有する光ピックアップ装置において、前記対物光学系として、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学系を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項14に記載の光ピックアップ装置を搭載して光ディスクに対する情報の記録及び光ディスクに記録された情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする光情報記録再生装置。
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