JP4296558B2 - 義歯床 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は弾性裏装材を備えた義歯床に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より歯牙欠損の患者に対し義歯によって損なわれた顎口腔機能の回復を図ることが行われている。義歯装着者は末梢の感覚器官である歯根膜を喪失しているので感覚受容器である床下粘膜などが代償的に働いて咀嚼運動を行っている。このため義歯装着者は歯根膜感覚の喪失および床下粘膜の感覚受容の低下などから食品の性状に応じた調節が難しく機械的な咀嚼運動になりやすく、食物の介在による緩衝効果が低下し咬合接触時の衝撃や側方力が増大して義歯が大きく変動しやすく、これに伴い床下粘膜も移動する。一方、義歯は人工歯維持のために変形しない咬合面を構成する必要があるため硬質材料によって製作されている。このように硬質な義歯が上記理由により様々な方向の力を受けて口腔内において沈下し、移動し、床下粘膜も移動して歯槽骨に伝わることによりストレスとなり、疼痛を覚えやすい。またこのように硬い義歯床による無理な圧が歯槽骨に加わるほど歯槽骨が吸収されやすいということが知られている。このような問題を解消するために粘膜性骨膜と類似した組織として役立ち実質的に口腔組織の厚味を増すことができるように弾性裏装材を具備させ、この弾性裏装材の緩衝力によって喪失した歯根膜および床下粘膜の緩衝機能を補うようにした義歯が提案されており、特開昭61−255653号公報などで公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこの種の義歯は、義歯の粘膜面全体を弾性裏装材で覆うように構成されているため、十分な緩衝性をもたせるために弾性裏装材を軟らかい材質にした場合には、義歯安定性に欠けるとともに弾性裏装材が破損しやすく長期使用に耐えられないものであり、逆に弾性裏装材を比較的硬質にした場合には緩衝効果が少なく、しかも弾性裏装材緩衝性が短期間に損なわれるといった問題を有していた。そこで発明者は軟組織が硬組織を支えている顎口腔組織においては、軟組織に着目することが大切であり、義歯装着者にとって軟組織である義歯床下粘膜を有効に補助できる義歯床が不可欠であるという考えに至った。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので良好な床下粘膜補助機能を有する義歯床を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の義歯床は、義歯床の粘膜面にその周縁部を残して凹所を設け、この凹所に前記周縁部より突出させて弾性裏装材を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
上記構成により、義歯床に加わる力は弾性裏装材により緩衝され、義歯床は義歯粘膜面により支持される。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を例示図面により説明する。第1実施例の図1〜図3に示すように義歯床1の粘膜面2にはその周縁部2Aを残して凹所3が設けられ、この凹所3には前記周縁部2Aより突出させて弾性裏装材4が設けられている。第2実施例の図4〜図6に示すように義歯床1の粘膜面2にはその周縁部2Aおよび中央部2Bを残して凹所3が設けられ、この凹所3には前記周縁部2A,中央部2Bより突出させて弾性裏装材4が設けられている。そして、義歯の咬合面に力が加わった場合、この力は弾性裏装材4によって緩衝され、かつ図2,図5のように弾性裏装材4が圧縮されて凹所3に納められることにより、義歯床1は粘膜面2の周縁部2Aによって口腔粘膜5に安定的に支持される。また弾性裏装材4はその周囲が粘膜面2の周縁部2Aによって保護されているから破損しずらく長期使用に耐えることができる。従って、弾性裏装材4は十分な緩衝性を有する柔軟な材質を選定することが可能になり床下粘膜を有効に補助できる義歯床の実用化が容易になる。弾性裏装材は周知であり、その材質は適度な弾性を有するものを適宜選定すればよい。また弾性裏装材を設ける方法は特開平4−76707号公報、特開平5−15459号公報などに開示されているようにテープまたはシートを義歯本体2の凹所4に適宜手段により裏装したり、特開昭60−2246号公報、特開61−255653号公報、特開昭63−309251号公報、特開平2−249541号公報のように弾性裏装材と一体になるように義歯本体2を製作したりするものなどを適宜選定すればよい。なお本発明は上記実施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば凹所は必ずしも全周縁を残して設ける必要はなく義歯床が支持できる範囲で周縁の一部を残すようにしてもよい。また義歯床は各種タイプに適用可能である。
【0008】
【発明の効果】
本発明は良好な緩衝機能を有する義歯を提供できる。
【0009】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す底面図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す図4のB−B線断面図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 義歯床
2 粘膜面
2A 周縁部
3 凹所
4 弾性裏装材
Claims (1)
- 義歯床の粘膜面にその周縁部を残して凹所を設け、この凹所に前記周縁部より突出させて弾性裏装材を設けたことを特徴とする義歯床。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP37706299A JP4296558B2 (ja) | 1999-12-25 | 1999-12-25 | 義歯床 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37706299A JP4296558B2 (ja) | 1999-12-25 | 1999-12-25 | 義歯床 |
Publications (2)
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JP2001178747A JP2001178747A (ja) | 2001-07-03 |
JP4296558B2 true JP4296558B2 (ja) | 2009-07-15 |
Family
ID=18508186
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP37706299A Expired - Fee Related JP4296558B2 (ja) | 1999-12-25 | 1999-12-25 | 義歯床 |
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JPS5239833Y2 (ja) * | 1973-03-29 | 1977-09-08 | ||
JPS59154222U (ja) * | 1983-03-30 | 1984-10-16 | 青木 正一 | 全部床義歯 |
JPS62340A (ja) * | 1985-06-25 | 1987-01-06 | 株式会社モルテン | 義歯床 |
-
1999
- 1999-12-25 JP JP37706299A patent/JP4296558B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
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