JP4296070B2 - 位相特性測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光パルスの位相特性を測定する位相特性測定装置に関するものである。
光パルス波形を時間領域で測定する装置としてストリークカメラが知られている。ストリークカメラは、被測定光パルスを光電変換面に入力して光電子を発生させ、この光電子を1対の偏向板の間を通過させて蛍光面に入射させるとともに、光パルスの発生タイミングに同期した掃引電圧を1対の偏向板の間に印加する。これにより、光パルスの強度の時間的変化は、蛍光面上の蛍光強度の空間的変化として観察される。しかし、パルス幅が短い光パルスの波形を測定しようとする場合には、ストリークカメラは、時間分解能が不足していることから、光パルス波形を時間領域で測定することができない。
そこで、スペクトル領域で被測定光パルスの振幅および位相を測定して、この測定結果に基づいて時間領域での光パルス波形を再構成する位相特性測定技術が知られている。このような技術の1つであるSPIDER(spectral phase interferometry for direct electric-field reconstruction)技術は、被測定光パルスから生成されるダブル光パルスとチャープ光パルスとの和周波光スペクトルを分光計測部により測定して、この分光測定結果に基づいて被測定光パルスの位相特性を測定するものである(例えば非特許文献1を参照)。
Chris Iaconis, et al., "Self-Referencing Spectral Interferometry for Measuring Ultrashort Optical Pulses", IEEE Journal of Quantum Electronics, Vol.35, No.4, pp.501-509 (1999)
ところで、和周波光スペクトルにおける細かい干渉縞を高精度に測定するには、分光計測部は高い波長分解能を必要とする。また、被測定光パルスのパルス幅が10fs程度である場合、ダブル光パルスとチャープ光パルスとの和周波光スペクトルは100nm程度の拡がりを有していることから、分光計測部は広いスペクトル測定レンジをも必要とする。すなわち、分光計測部は、和周波光スペクトルを高精度に測定するには、高い波長分解能および広いスペクトル測定レンジの双方を必要とする。
しかし、高い波長分解能および広いスペクトル測定レンジの双方が可能な分光計測部として用いられ得る分光器は高価である。また、被測定光パルスのパルス幅が更に狭い場合には、分光器に対する要求仕様は更に厳しくなる。このように、上記SPIDER技術を用いた場合であっても、被測定光パルスが超短パルス幅であるときには、被測定光パルスの位相特性を高精度に測定することは困難である。
図8は、従来の位相特性測定装置の問題点を説明する図である。ここでは、被測定光パルスのパルス幅を5fsとして、シミュレーションによる計算結果が示されている。図8(a)は、十分に高い波長分解能を有する分光計測部により測定される和周波光スペクトルS1と、低い波長分解能を有する分光計測部により測定される和周波光スペクトルS2と、を示す。図8(b)は、十分に高い波長分解能を有する分光計測部により測定される和周波光スペクトルS1の解析により得られる位相特性P1と、低い波長分解能を有する分光計測部により測定される和周波光スペクトルS2の解析により得られる位相特性P2と、を示す。また、図8(b)は被測定光パルスの強度スペクトルIをも参考のために示すが、これはSPIDER技術により得られるものではない。この図から判るように、分光計測部の波長分解能が不足している場合には、分光計測部により測定される和周波光スペクトルS2は、干渉縞の波形の変調度が十分ではない。そして、この和周波光スペクトルS2の解析により得られる位相特性P2は、真の位相特性P1に対して誤差を有している。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、分光計測部の波長分解能が低い場合であっても被測定光パルスの位相特性を容易に高精度に測定することができる位相特性測定装置を提供することを目的とする。
本発明に係る位相特性測定装置は、(1) 被測定光パルスを入力し、この被測定光パルスをパルス間隔τのダブル光パルスに変換して、このダブル光パルスを出力するとともに、このパルス間隔τの調整が可能であるダブル光パルス生成部と、(2) プローブ光パルスを入力し、このプローブ光パルスに含まれる各電場周波数成分に対して伝搬速度に分布を与えることにより、パルス幅内において時刻とその時刻における瞬時周波数とがリニアな関係を持ったチャープを与えてチャープ光パルスに変換し、このチャープ光パルスを出力するチャープ付与部と、(3) ダブル光パルス生成部から出力されたダブル光パルスと、チャープ付与部から出力されたチャープ光パルスとを入力して、これらダブル光パルスおよびチャープ光パルスそれぞれの光周波数の和に等しい光周波数を有する和周波光を生成し出力する和周波光生成部と、(4) ダブル光パルス生成部から出力されたダブル光パルスを入力し、このダブル光パルスの光周波数の2倍の光周波数を有する高調波光を生成し出力する高調波光生成部と、(5) 入力した光を分光計測する分光計測部と、(6) 和周波光生成部から出力された和周波光と、高調波光生成部から出力された高調波光との、何れかを選択的に分光計測部へ入力させる選択部と、(7) 和周波光生成部から出力された和周波光が分光計測部により分光計測されて取得された和周波光スペクトルを、高調波光生成部から出力された高調波光が分光計測部により分光計測されて取得された高調波光スペクトルに基づいて補正するとともに解析して、被測定光パルスの位相特性を測定する解析部と、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明に係る位相特性測定装置は、(a) ダブル光パルス生成部が、パルス間隔を複数の値τ (i=1〜n)それぞれに順次に設定してダブル光パルスを出力し、(b) 高調波光生成部が、ダブル光パルス生成部から出力された各パルス間隔τ のダブル光パルスを入力して高調波光を生成し出力し、(c) 解析部が、ダブル光パルスの各パルス間隔τ について、高調波光生成部から出力された高調波光が分光計測部により分光計測されて取得された高調波光スペクトルに基づいて、パルス間隔τ に対応する分光計測部の装置関数の振幅A および位相φ を求め、これら振幅A および位相φ の系列からなる装置関数とのデコンボリューション演算により和周波光スペクトルを補正するとともに解析して、被測定光パルスの位相特性を測定することを特徴とする。
この位相特性測定装置では、被測定光パルスは、ダブル光パルス生成部に入力してパルス間隔τのダブル光パルスに変換されて、このダブル光パルスがダブル光パルス生成部から出力される。このとき、出力されるパルス間隔τの調整が可能である一方、プローブ光パルスは、チャープ付与部に入力してリニアなチャープが与えられチャープ光パルスに変換され、このチャープ光パルスがチャープ付与部から出力される。ダブル光パルス生成部から出力されたダブル光パルスと、チャープ付与部から出力されたチャープ光パルスとは、和周波光生成部に入力して、これらダブル光パルスおよびチャープ光パルスそれぞれの光周波数の和に等しい光周波数を有する和周波光が和周波光生成部で生成されて出力される。また、ダブル光パルス生成部から出力されたダブル光パルスは高調波光生成部に入力して、このダブル光パルスの光周波数の2倍の光周波数を有する高調波光が高調波光生成部で生成されて出力される。和周波光生成部から出力された和周波光と、高調波光生成部から出力された高調波光とのうち、何れかが選択部により選択されて分光計測部へ入力し、分光計測部により分光計測される。そして、解析部により、和周波光生成部から出力された和周波光が分光計測部により分光計測された結果が、高調波光生成部から出力された高調波光が分光計測部により分光計測された結果に基づいて補正されるとともに解析されて、被測定光パルスの位相特性が測定される。
本発明に係る位相特性測定装置は、被測定光パルスを2分岐して、その2分岐した一方をダブル光パルス生成部へ入力させ、他方をプローブ光パルスとしてチャープ付与部へ入力させる光分岐部を更に備えるのが好適である。チャープ付与部に入力するプローブ光パルスは、被測定光パルスと同期した他の光源から出力される短パルスの光であってもよいが、上記のような光分岐部が設けられる場合には、ダブル光パルス生成部に入力する被測定光パルスの一部が光分岐部により分岐されて取り出されたものがプローブ光パルスとして用いられる。
本発明に係る位相特性測定装置は、解析部における補正の際の補正情報を記憶する記憶部を更に備えるのが好適である。分光計測部が同一のものである限り、その分光計測部の装置関数(応答関数)は一定であると考えられるので、上記のような記憶部が設けられる場合には、個々の分光計測部ごとに求められた補正情報を記憶部により記憶しておけばよい。
本発明に係る位相特性測定装置は、高調波光生成部から出力された高調波光の強度を検出する光検出部を更に備え、解析部が該光検出部による検出結果に基づいてフリンジ分解SHG自己相関波形を求めるのが好適である。この場合には、高調波光生成部から出力された高調波光の強度が光検出部により検出され、該光検出部による検出結果に基づいて解析部によりフリンジ分解SHG自己相関波形が求められる。そして、このフリンジ分解SHG自己相関波形に基づいて、被測定光パルスのパルス幅及びチャープに関する情報が簡易的に求められる。また、フリンジ分解SHG自己相関波形のピークが得られるときのダブル光パルスにおけるパルス間隔が0点として校正される。
本発明に係る位相特性測定装置は、和周波光生成部および高調波光生成部それぞれが互いに別個の非線形光学結晶を含んでいてもよいし、和周波光生成部および高調波光生成部が共通の非線形光学結晶を含んでいてもよい。
本発明によれば、分光計測部の波長分解能が低い場合であっても、被測定光パルスの位相特性を容易に高精度に測定することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
先ず、本実施形態に係る位相特性測定装置の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る位相特性測定装置1の概略構成図である。位相特性測定装置1は、ダブル光パルス生成部10、チャープ付与部20、和周波光生成部30、高調波光生成部40、分光計測部50、選択部60、解析部70および記憶部80を備える。
ダブル光パルス生成部10は、被測定光パルスを入力し、この被測定光パルスをパルス間隔τのダブル光パルスに変換して、このダブル光パルスを出力する。また、このパルス間隔τの調整が可能である。ダブル光パルス生成部10は、具体的な光学系としては例えばマイケルソン干渉計やマッハツェンダ干渉計である。また、ダブル光パルスにおけるパルス間隔τの調整は、例えば、マイケルソン干渉計における一方の反射鏡の位置を調整することにより可能であり、或いは、マッハツェンダ干渉計における一方の光路長を調整することにより可能である。
チャープ付与部20は、プローブ光パルスを入力し、このプローブ光パルスにリニアなチャープを与えてチャープ光パルスに変換し、このチャープ光パルスを出力する。チャープ付与部20は、例えば、波長分散特性を有している材料(例えば、BK7やSF10などの光学ガラス)そのものであってもよいし、回折格子によって構成されるものであってもよい。チャープ付与部20は、入力光に含まれる各電場周波数成分に対して伝搬速度に分布を与えることにより、パルス幅内において時刻とその時刻における瞬時周波数とがリニアな関係を持ったチャープ光パルスを出力することができる。ここで、瞬時周波数は位相の時間微分で定義される量である。なお、チャープ付与部20に入力するプローブ光パルスは、ダブル光パルス生成部10に入力する被測定光パルスの一部が光分岐部により分岐されて取り出されたものであってもよいし、被測定光パルスと同期した他の光源から出力される短パルスの光であってもよい。
和周波光生成部30は、ダブル光パルス生成部10から出力されたダブル光パルスと、チャープ付与部20から出力されたチャープ光パルスとを入力して、これらダブル光パルスおよびチャープ光パルスそれぞれの光周波数の和に等しい光周波数を有する和周波光を生成し出力する。和周波光生成部30は、例えばBBO等の非線形光学結晶を含み、この非線形光学結晶に対してダブル光パルスおよびチャープ光パルスをコリニアまたはノンコリニアに入力することで、和周波光を生成し出力する。
高調波光生成部40は、ダブル光パルス生成部10から出力されたダブル光パルスを入力し、このダブル光パルスの光周波数の2倍の光周波数を有する高調波光を生成し出力する。高調波光生成部40は、例えばBBO等の非線形光学結晶を含み、この非線形光学結晶に対してダブル光パルスを入力することで、高調波光を生成し出力する。和周波光生成部30に含まれる非線形光学結晶と、高調波光生成部40に含まれる非線形光学結晶とは、共通のものであってもよいし、互いに別個のものであってもよい。
分光計測部50は、選択部60から出力された光を入力して、この光を分光計測する分光器である。選択部60は、和周波光生成部30から出力された和周波光と、高調波光生成部40から出力された高調波光との、何れかを選択的に分光計測部50へ入力させる。なお、選択部60は、和周波光生成部30および高調波光生成部40と分光計測部50との間に配置されるとは限らない。
解析部70は、和周波光生成部30から出力された和周波光が分光計測部50により分光計測された結果を、高調波光生成部40から出力された高調波光が分光計測部50により分光計測された結果に基づいて補正するとともに解析して、被測定光パルスの位相特性を測定する。このとき、解析部70は、和周波光の分光計測の結果を補正した後に、この補正された分光計測の結果を解析して、被測定光パルスの位相特性を測定してもよい。また、解析部70は、和周波光の分光計測の結果を解析していく手順の中で補正して、被測定光パルスの位相特性を測定してもよい。解析部70として例えばコンピュータが好適に用いられる。
記憶部80は、解析部70における補正の際の補正情報を記憶する。分光計測部50が同一のものである限り、その分光計測部50の装置関数(応答関数)は一定であると考えられるので、記憶部80は、個々の分光計測部ごとに求められた補正情報を記憶しておけばよい。例えば、解析部70としてコンピュータが用いられる場合には、該コンピュータに付属する記憶装置(例えばハードディスク装置など)が記憶部80として用いられ、解析部70による解析動作の際には、使用される分光計測部に対応する補正情報が該記憶装置から読み出されて用いられる。
和周波光生成部30で発生した和周波光は、空間を伝播して分光計測部50に入射してもよいし、光ファイバにより分光計測部50へ導かれてもよい。また、高調波光生成部40で発生した高調波光も、空間を伝播して分光計測部50に入射してもよいし、光ファイバにより分光計測部50または光検出部90へ導かれてもよい。
次に、この位相特性測定装置1の動作について説明する。被測定光パルスは、ダブル光パルス生成部10に入力してパルス間隔τのダブル光パルスに変換されて、このダブル光パルスがダブル光パルス生成部10から出力される。このとき、出力されるパルス間隔τの調整が可能である一方、プローブ光パルスは、チャープ付与部20に入力してリニアなチャープが与えられチャープ光パルスに変換され、このチャープ光パルスがチャープ付与部20から出力される。ダブル光パルス生成部10から出力されたダブル光パルスと、チャープ付与部20から出力されたチャープ光パルスとは、和周波光生成部30に入力して、これらダブル光パルスおよびチャープ光パルスそれぞれの光周波数の和に等しい光周波数を有する和周波光が和周波光生成部30で生成されて出力される。
また、ダブル光パルス生成部10から出力されたダブル光パルスは高調波光生成部40に入力して、このダブル光パルスの光周波数の2倍の光周波数を有する高調波光が高調波光生成部40で生成されて出力される。和周波光生成部30から出力された和周波光と、高調波光生成部40から出力された高調波光とのうち、何れかが選択部60により選択されて分光計測部50へ入力し、分光計測部50により分光計測される。そして、解析部70により、高調波光生成部40から出力された高調波光が分光計測部50により分光計測された結果に基づいて、和周波光生成部30から出力された和周波光が分光計測部50により分光計測された結果が補正され、この補正された和周波光の分光計測の結果が解析されて被測定光パルスの位相特性が測定される。
この位相特性測定装置1は、上記のように高調波光の分光計測の結果に基づいて和周波光の分光計測の結果を補正することで、分光計測部50の波長分解能が低い場合であっても、被測定光パルスの位相特性を容易に高精度に測定することができる。
次に、本実施形態に係る位相特性測定装置1の解析部70における解析動作について説明する。図2は、本実施形態に係る位相特性測定装置1の解析部70における解析動作を説明するフローチャートである。この図に示されるフローチャートでは、高調波光生成部40から出力された高調波光が選択部60を経て分光計測部50により分光計測された結果(すなわち補正情報)が既に得られていて記憶部80により記憶されているものとしている。
ステップS11では、和周波光生成部30から出力された和周波光が選択部60を経て分光計測部50により分光計測され、この和周波光のスペクトルが解析部70により取得される。ここで取得された和周波光スペクトルは、分光計測部50の装置関数の寄与を含んでおり、分光計測部50の波長分解能が不足している場合には、この波長分解能の不足に因って劣化したものとなっている。真の和周波光スペクトルをI(λ)とし、分光計測部50の装置関数をH(λ)とすると、取得された和周波光スペクトルO(λ)は、下記(1)式のようにI(λ)とH(λ)とのコンボリューションで表される。ここで、λは光の波長を表す。Fはフーリエ変換演算を表し、F−1は逆フーリエ変換演算を表す。
Figure 0004296070
続くステップS12では、ステップS11で取得された和周波光スペクトルO(λ)は、記憶部80により記憶されている補正情報に基づいて補正されて、分光計測部50の装置関数H(λ)の寄与が除去されて、これにより、真の和周波光スペクトルI(λ)が得られる。すなわち、下記(2)式で表されるように、デコンボリューション演算により、真の和周波光スペクトルI(λ)が得られる。
Figure 0004296070
ステップS12で求められた真の和周波光スペクトルは、これまでの波長λの関数から光周波数fの関数に変換される(ステップS13)。そして、光周波数fの関数としての和周波光スペクトルは、フーリエ変換され(ステップS14)、そのフーリエ変換結果がフィルタリングされて−AC成分およびDC成分が除去され(ステップS15)、そのフィルタリングされたものが逆フーリエ変換される(ステップS16)。この逆フーリエ変換により得られた位相波形からωτが減算され(ステップS17)、この減算結果が積分されて被測定光パルスの位相特性が測定される(ステップS18)。ここで、ωは、光の角周波数であり、真空中の光の速度cを用いて「ω=2πc/λ」なる式で表される。
ところで、最も簡単な場合として、分光計測部50の全ての波長領域で応答関数が一定である場合(または、一定であるとみなし得る場合)には、上記(2)式のデコンボリューション演算で用いられる装置関数H(λ)は容易に求められ得る。すなわち、十分に狭いスペクトル幅の光(インパルス入力)を分光計測部50に入力させて、このときの分光計測部50により測定されたスペクトル(インパルス応答関数)を求めることで、分光計測部50の装置関数が求められる。
しかし、一般に、分光計測部50では、スペクトルを出力面に結像させるための光学系の収差などの影響に因り、全ての波長において一定である装置関数は得られない。以下では説明の便宜上、光周波数軸または波長軸の空間を実空間と呼び、これをフーリエ変換して得られる空間をフーリエ空間と呼ぶこととして、分光計測部50の装置関数を求める方法について説明する。
インパルス応答関数は、フーリエ空間で考えると、全ての光周波数または波長における変調度の劣化の程度を表すものである。デコンボリューション演算(上記(2)式)では、取得された和周波光スペクトルI(λ)のフーリエ変換結果が、装置関数O(λ)のフーリエ変換結果により除算される。しかし、図3に示されるように、デコンボリューション演算の対象とすべき和周波光スペクトルI(λ)の範囲は、狭い部分に限られている。
図3は、フーリエ空間における和周波光スペクトルおよび装置関数スペクトルを示す図である。同図(a)における和周波光スペクトルの−AC成分近傍を拡大したものが同図(b)に示されている。この図に示されるように、フーリエ空間において、和周波光スペクトルは、−AC成分、DC成分および+AC成分の3つに区分され、これらのうち−AC成分およびDC成分がフィルタリング(図2中のステップS15)により除去されて、+AC成分のみが必要成分として残される。
したがって、分光計測部50の装置関数O(λ)は、この和周波光スペクトルI(λ)の+AC成分を含む限定された必要範囲においてのみ求められればよい。また、この和周波光スペクトルI(λ)の+AC成分は、ダブル光パルス生成部10により生成されるダブル光パルスにおけるパルス間隔τに応じた位置の近傍に現われる。以上のことから、本実施形態に係る位相特性測定装置1では、以下のようにして分光計測部50の装置関数が求められる。
図4は、本実施形態に係る位相特性測定装置1の解析部70における装置関数取得動作を説明するフローチャートである。ここでは、高調波光生成部40から出力された高調波光が選択部60を経て分光計測部50により分光計測される。また、ダブル光パルス生成部10から出力されて高調波光生成部40に入力するダブル光パルスにおけるパルス間隔は、図3中の和周波光スペクトルの+AC成分を含む限定された必要範囲内のτ〜τそれぞれに順次に設定される(nは2以上の整数)。
ステップS21で、ダブル光パルス生成部10から出力されるダブル光パルスがパルス間隔τに設定され、ステップS22で、高調波光生成部40から出力された高調波光が分光計測部50により分光計測され、この高調波光のスペクトルが解析部70により取得される。もし、分光計測部50の分解能が十分に高い場合には、取得される高調波光スペクトルには、略100%の変調度で1/τに相当する周波数間隔の干渉縞が認められる。しかし、分光計測部50の分解能が低い場合には、取得される高調波光スペクトルには、その分解能に応じた変調度を有する干渉縞に変調される。そこで、この取得された高調波光スペクトルの縞情報に基づいて、続くステップS23〜S27において、インパルス応答関数における1/τの周波数に対する応答を求めることができる。
ステップS22で求められた高調波光スペクトルは、これまでの波長λの関数から、光周波数fの関数に変換される(ステップS23)。そして、光周波数fの関数としての高調波光スペクトルは、フーリエ変換され(ステップS24)、そのフーリエ変換結果がフィルタリングされて−AC成分およびDC成分が除去されて(ステップS25)、そのフィルタリングされたものが逆フーリエ変換される(ステップS26)。この逆フーリエ変換結果から、パルス間隔τに対応する分光計測部50の装置関数の振幅Aおよび位相φが求められる(ステップS27)。
続いて、ステップS29で、ダブル光パルス生成部10から出力されるダブル光パルスがパルス間隔τに設定され、ステップS22で、高調波光生成部40から出力された高調波光が分光計測部50により分光計測され、この高調波光のスペクトルが解析部70により取得されて、同様にして、パルス間隔τに対応する分光計測部50の装置関数の振幅Aおよび位相φが求められる。更に同様にして、パルス間隔τに対応する分光計測部50の装置関数の振幅Aおよび位相φが求められる(i=3〜n)。
以上のようにして、分光計測部50の装置関数は、振幅Aおよび位相φの系列(i=1〜n)として離散的に求められる。このように、波長軸ではなく光周波数軸における等間隔の干渉縞から分光計測部50の装置関数が求められるので、図2のフローチャートに示されたように和周波光スペクトルは装置関数の寄与が除去された後に光周波数fの関数に変換されてもよいが、図5のフローチャートに示されるように和周波光スペクトルは光周波数fの関数に変換された後に装置関数の寄与が除去されるのが好適である。
図5は、本実施形態に係る位相特性測定装置1の解析部70における解析動作の他の例を説明するフローチャートである。この図に示されるフローチャートでも、高調波光生成部40から出力された高調波光が選択部60を経て分光計測部50により分光計測された結果(すなわち補正情報)が既に得られていて記憶部80により記憶されているものとしている。
ステップS31では、和周波光生成部30から出力された和周波光が選択部60を経て分光計測部50により分光計測され、この和周波光のスペクトルが解析部70により取得される。続くステップS32では、この取得された和周波光スペクトルは、これまでの波長λの関数から光周波数fの関数に変換される。その後、ステップS33で、光周波数fの関数としての和周波光スペクトルは、記憶部80により記憶されている補正情報に基づいて補正されて、分光計測部50の装置関数の寄与が除去されて、これにより、真の和周波光スペクトルが得られる。
そして、この真の和周波光スペクトルは、フーリエ変換され(ステップS34)、そのフーリエ変換結果がフィルタリングされて−AC成分およびDC成分が除去され(ステップS35)、そのフィルタリングされたものが逆フーリエ変換される(ステップS36)。この逆フーリエ変換により得られた位相波形からωτが減算され(ステップS37)、この減算結果が積分されて被測定光パルスの位相特性が測定される(ステップS38)。
なお、分光計測部50の装置関数は、離散的に求められたn組の振幅Aおよび位相φに基づいて多項式で近似されてもよい。最も簡略な方法としてn=2とし、分光計測部50の装置関数は、2組の振幅Aおよび位相φに基づいて直線近似されてもよい。また、図2中のステップS12または図5中のステップS33で行われるデコンボリューション演算(上記(2)式)では、逐次近似演算によって真の和周波光スペクトルに近づけていけばよい。
次に、本発明に係る位相特性測定装置の具体的な構成例について説明する。図6は、本実施形態に係る位相特性測定装置の第1の構成例を示す図である。この図に示される位相特性測定装置2は、ダブル光パルス生成部10A、チャープ付与部20、分光計測部50、解析部70、記憶部80、ビームスプリッタBS1、ビームスプリッタBS2、ミラーM1、レンズL、非線形光学結晶NCおよびシャッタSを備える。
これらのうち、ダブル光パルス生成部10A、チャープ付与部20、分光計測部50、解析部70および記憶部80それぞれは、図1等を用いて既に説明した同一名称の構成要素と同様のものである。ただし、位相特性測定装置2におけるダブル光パルス生成部10Aは、ビームスプリッタBS3、ミラーM2およびミラーM3を有していて、マイケルソン干渉計を構成している。
すなわち、ビームスプリッタBS3は、ビームスプリッタBS1から到達した被測定光パルスを入力して2分岐し、その2分岐で得られた一方の光パルスをミラーM2へ出力し、他方の光パルスをミラーM3へ出力する。また、ビームスプリッタBS3は、ミラーM2で反射された光パルスを入力するとともに、ミラーM3で反射された光パルスをも入力して、これらをダブル光パルスとしてビームスプリッタBS2へ出力する。ミラーM2およびミラーM3の何れかは反射面の法線に平行な方向に移動が可能であり、この移動により、ダブル光パルスにおけるパルス間隔τを調整することができる。
ビームスプリッタBS1は、被測定光パルスを2分岐して、その2分岐した一方をダブル光パルス生成部10Aへ入力させ、他方をプローブ光パルスとしてチャープ付与部20へ入力させる光分岐部として作用するものである。すなわち、ビームスプリッタBS1は、被測定光パルスを入力して2分岐し、その2分岐で得られた一方の光パルスをダブル光パルス生成部10Aへ出力し、他方の光パルスをミラーM1へ出力する。ミラーM1は、ビームスプリッタBS1から到達した光パルスをチャープ付与部20へ反射させる。
ビームスプリッタBS2は、ダブル光パルス生成部10Aから出力されるダブル光パルスを入力するとともに、チャープ付与部20から出力されるチャープ光パルスをも入力して、これらダブル光パルスとチャープ光パルスとを合波してレンズLへ出力する。レンズLは、ビームスプリッタBS2により合波されて出力されたダブル光パルスとチャープ光パルスとを入力し、これらの光パルスを非線形光学結晶NCに集光して入射させる。非線形光学結晶NCは、レンズLにより集光されて入射したダブル光パルスおよびチャープ光パルスそれぞれの光周波数の和に等しい光周波数を有する和周波光を生成し出力する。
また、ビームスプリッタBS1からミラーM1を経てビームスプリッタBS2へ至る迄の光路の途中に、シャッタSが設けられている。このシャッタSは、この光路上への配置および待避が自在であって、非線形光学結晶NCへのチャープ光パルスの入力を許可および禁止する。シャッタSが光路上にあるときには、非線形光学結晶NCへのチャープ光パルスの入力が禁止され、それ故、非線形光学結晶NCは、ダブル光パルスのみを入力して、このダブル光パルスの光周波数の2倍の光周波数を有する高調波光を生成し出力する。一方、シャッタSが光路から待避しているときには、非線形光学結晶NCへのチャープ光パルスの入力が許可され、それ故、非線形光学結晶NCは、ダブル光パルスおよびチャープ光パルスの双方を入力して、和周波光を生成し出力する。すなわち、非線形光学結晶NCは、和周波光生成部および高調波光生成部の双方を兼ねている。また、シャッタSは、和周波光と高調波光との何れかを選択的に分光計測部50へ入力させる選択部として作用する。
このように構成される位相特性測定装置2では、シャッタSが光路上に置かれることで、非線形光学結晶NCへのチャープ光パルスの入力が禁止され、また、ダブル光パルス生成部10Aから出力されるダブル光パルスにおけるパルス間隔が幾つかの適切な値に順次に設定される。各値のパルス間隔を有するダブル光パルスが非線形光学結晶NCに入力され、非線形光学結晶NCで生成された高調波光のスペクトルが分光計測部50により測定される。そして、解析部70により、図4に示されたフローチャートに従って、この測定された高調波光スペクトルが解析されて、分光計測部50の装置関数が求められ、補正情報が記憶部80により記憶される。
続いて、シャッタSが光路から待避することで、非線形光学結晶NCへのチャープ光パルスの入力が許可され、また、ダブル光パルス生成部10Aから出力されるダブル光パルスにおけるパルス間隔が適切な値に設定される。ダブル光パルスおよびチャープ光パルスが非線形光学結晶NCに入力され、非線形光学結晶NCで生成された和周波光のスペクトルが分光計測部50により測定される。そして、解析部70により、図2または図5に示されたフローチャートに従って、記憶部80により記憶されている補正情報に基づいて和周波光スペクトルが補正され、この補正された和周波光スペクトルに基づいて被測定光パルスの位相特性が測定される。
図7は、本実施形態に係る位相特性測定装置の第2の構成例を示す図である。この図に示される位相特性測定装置3は、ダブル光パルス生成部10B、チャープ付与部20、和周波光生成部30、高調波光生成部40、分光計測部50、解析部70、記憶部80、光検出部90、ビームスプリッタBS1、ミラーM1〜M5、レンズLおよび凹面ミラーCMを備える。
これらのうち、ダブル光パルス生成部10B、チャープ付与部20、和周波光生成部30、高調波光生成部40、分光計測部50、解析部70および記憶部80それぞれは、図1等を用いて既に説明した同一名称の構成要素と同様のものである。ただし、位相特性測定装置3におけるダブル光パルス生成部10Bは、ビームスプリッタBS2、ビームスプリッタBS3、コーナーリフレクタCR1およびコーナーリフレクタCR2を有していて、マイケルソン干渉計を構成している。
すなわち、ビームスプリッタBS2は、ビームスプリッタBS1から到達した被測定光パルスを入力して2分岐し、その2分岐で得られた一方の光パルスをコーナーリフレクタCR1へ出力し、他方の光パルスをコーナーリフレクタCR2へ出力する。また、ビームスプリッタBS3は、コーナーリフレクタCR1で反射された光パルスを入力するとともに、コーナーリフレクタCR2で反射された光パルスをも入力して、これらをダブル光パルスとしてミラーM2およびレンズLそれぞれへ出力する。コーナーリフレクタCR1およびコーナーリフレクタCR2の何れかは光パルスの入出射方向に移動が可能であり、この移動により、ダブル光パルスにおけるパルス間隔τを調整することができる。
ビームスプリッタBS1は、被測定光パルスを2分岐して、その2分岐した一方をダブル光パルス生成部10Bへ入力させ、他方をプローブ光パルスとしてチャープ付与部20へ入力させる光分岐部として作用するものである。すなわち、ビームスプリッタBS1は、被測定光パルスを入力して2分岐し、その2分岐で得られた一方の光パルスをダブル光パルス生成部10Bへ出力し、他方の光パルスをミラーM1へ出力する。ミラーM1は、ビームスプリッタBS1から到達した光パルスをチャープ付与部20へ反射させる。
凹面ミラーCMは、ダブル光パルス生成部10Bから出力されてミラーM2により反射されたダブル光パルスを入力するとともに、チャープ付与部20から出力されたチャープ光パルスをも入力して、これらの光パルスを和周波光生成部30に集光して入射させる。和周波光生成部30は、適切なる方位に光学軸が設定された非線形光学結晶を含み、凹面ミラーCMにより集光されて入射したダブル光パルスおよびチャープ光パルスそれぞれの光周波数の和に等しい光周波数を有する和周波光を該非線形光学結晶で生成し出力する。
レンズLは、ダブル光パルス生成部10Bから出力されたダブル光パルスを入力し、このダブル光パルスを高調波光生成部40に集光して入射させる。高調波光生成部40は、適切なる方位に光学軸が設定された非線形光学結晶を含み、レンズLにより集光されて入射したダブル光パルスの光周波数の2倍の光周波数を有する高調波光を該非線形光学結晶で生成し出力する。
ミラーM3は、ミラーM5から分光計測部50へ至る迄の光路の途中に設けられ、この光路上への配置および待避が自在である。ミラーM3は、この光路上に配置されているときには、和周波光生成部30から出力された和周波光を反射させて、その和周波光を分光計測部50に入射させることができる。一方、ミラーM3は、この光路から待避しているときには、高調波光生成部40から出力されてミラーM4およびミラーM5により順次に反射された高調波光を分光計測部50に入射させることができる。すなわち、ミラーM3は、和周波光と高調波光との何れかを選択的に分光計測部50へ入力させる選択部として作用する。
ミラーM4は、高調波光生成部40から光検出部90へ至る迄の光路の途中に設けられ、この光路上への配置および待避が自在である。ミラーM4は、この光路上に配置されているときには、高調波光生成部40から出力された高調波光をミラーM5へ反射させることができ、ミラーM5は、ミラーM4から到達した高調波光を分光計測部50へ向けて反射させる。一方、ミラーM4は、この光路から待避しているときには、高調波光生成部40から出力された高調波光を光検出部90へ入力させることができる。光検出部90は、高調波光生成部40から出力された高調波光の強度を測定するものであり、例えば、光電子増倍管が好適に用いられる。
このように構成される位相特性測定装置3では、ミラーM3が光路から待避され、ミラーM4が光路上に配置され、また、ダブル光パルス生成部10Bから出力されるダブル光パルスにおけるパルス間隔が幾つかの適切な値に順次に設定される。各値のパルス間隔を有するダブル光パルスが高調波光生成部40に入力され、この高調波光生成部40で生成された高調波光がミラーM4およびミラーM5を経て分光計測部50に入力して、分光計測部50により高調波光スペクトルが測定される。そして、解析部70により、図4に示されたフローチャートに従って、この測定された高調波光スペクトルが解析されて、分光計測部50の装置関数が求められ、補正情報が記憶部80により記憶される。
続いて、ミラーM3が光路上に配置され、また、ダブル光パルス生成部10Bから出力されるダブル光パルスにおけるパルス間隔が適切な値に設定される。ダブル光パルスおよびチャープ光パルスが和周波光生成部30に入力され、この和周波光生成部30で生成された和周波光がミラーM3を経て分光計測部50に入力して、分光計測部50により和周波光スペクトルが測定される。そして、解析部70により、図2または図5に示されたフローチャートに従って、記憶部80により記憶されている補正情報に基づいて和周波光スペクトルが補正され、この補正された和周波光スペクトルに基づいて被測定光パルスの位相特性が測定される。
さらに、この位相特性測定装置3では、ミラーM4が光路から待避されると、高調波光生成部40で生成された高調波光は光検出部90に入射して、高調波光の強度が光検出部90により検出される。光検出部90により検出される高調波光の強度GFR(τ)は、被測定光パルスの振幅特性A(t)および位相特性φ(t)ならびにダブル光パルスのパルス間隔τに依存する。
そして、解析部70により、この光検出部90による検出結果に基づいて、ダブル光パルスにおけるパルス間隔τと高調波光強度GFR(τ)との関係を表すフリンジ分解SHG自己相関波形が求められる。このフリンジ分解SHG自己相関波形では、パルス間隔τが0のときに高調波光強度GFR(τ)はピークとなり、コントラスト比(GFR(0)/GFR(∞))は8である。
フリンジ分解SHG自己相関波形が測定されると、次に、被測定光パルスの振幅特性A(t)および位相特性φ(t)を仮定して高調波光強度を計算し、この計算結果と実際の測定結果との間の一致度を評価して、この一致度が最大となるような振幅特性A(t)および位相特性φ(t)を求める。このようにして、被測定光パルスのパルス幅及びチャープに関する情報が簡易的に求められる。また、フリンジ分解SHG自己相関波形のピークが得られるときのダブル光パルスにおけるパルス間隔が0点として校正される。
この位相特性測定装置3では、ダブル光パルス生成部10BにおいてコーナーリフレクタCR1,CR2が用いられているので、コーナーリフレクタCR1,CR2により反射された光パルスがビームスプリッタBS1へ戻ることはない。
また、ダブル光パルス生成部10Bに含まれるコーナーリフレクタCR1,CR2により反射された光パルスは、ビームスプリッタBS3により合波かつ2分岐されて、ダブル光パルスとしてミラーM2およびレンズLそれぞれへ出力される。ダブル光パルス生成部10BからレンズLへ出力されたダブル光パルスは、高調波光生成部40に入力する。そして、この高調波光生成部40で生成された高調波光のスペクトルが分光計測部50により測定されて解析部70により解析されることで、分光計測部50の装置関数が求められる。また、この高調波光生成部40で生成された高調波光の強度が光検出部90により測定され解析部70により解析されることで、フリンジ分解SHG自己相関波形が求められて、これにより、被測定光パルスのパルス幅及びチャープに関する情報が簡易的に求められ、また、ダブル光パルスにおけるパルス間隔が校正される。
また、この位相特性測定装置3では、和周波光生成部30および高調波光生成部40で別個の非線形光学結晶が用いられている。和周波光生成部30としての非線形光学結晶は、凹面ミラーCMからダブル光パルスおよびチャープ光パルスがノンコリニアに入射するので、これら光パルスの入射方位に対応して、和周波光が高効率に発生するための位相整合条件が満たされるように光学軸の方位が設定される。これに対して、高調波光生成部40としての非線形光学結晶は、ダブル光パルスのみが入射するので、この光パルスの入射方位に対応して、高調波光が高効率に発生するための位相整合条件が満たされるように光学軸の方位が設定される。このように、和周波光生成部30としての非線形光学結晶および高調波光生成部40としての非線形光学結晶それぞれは、各々の目的に応じて光学軸の方位が適切に設定され得る。
さらに、この位相特性測定装置3では、和周波光生成部30へダブル光パルスおよびチャープ光パルスを集光して入射させる集光光学系として凹面ミラーCMが用いられているので、この集光光学系において波長分散が生じることがなく、高精度の測定が可能である。また、高調波光生成部40へダブル光パルスを集光して入射させる集光光学系として凹面ミラーが用いられてもよい。
集光光学系、ビームスプリッタなどに分散を含む光学部品を用いた場合には、あらかじめ用いた光学部品の分散量を評価しており、解析結果から上記光学部品の分散量を差し引けば定量性は損なわれない。
上記実施形態において、ダブル光パルスのパルス間隔τを校正する方法として、フリンジ分解SHG自己相関器による相関波形の解析結果を用いる例を示しているが、これに限定しない。例えば、本装置とは別に、分解能が十分ある分光器を校正用に準備し、ダブル光パルスを前記分光器に入力する。観測の結果得られたスペクトルは、図8(a)に示したスペクトルS1に類似したスペクトルが観測される。このスペクトルに対して、図5に示したアルゴリズムにおいてステップS36までを実行する。その際に得られる位相波形はωτの位相勾配を有しているので、この計算結果からパルス間隔τの値を決定することができる。この際に用いるダブル光パルスは、基本波を用いてもよいし、第2高調波を使用してもよい。
本実施形態に係る位相特性測定装置1の概略構成図である。 本実施形態に係る位相特性測定装置1の解析部70における解析動作を説明するフローチャートである。 フーリエ空間における和周波光スペクトルおよび装置関数スペクトルを示す図である。 本実施形態に係る位相特性測定装置1の解析部70における装置関数取得動作を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る位相特性測定装置1の解析部70における解析動作を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る位相特性測定装置の第1の構成例を示す図である。 本実施形態に係る位相特性測定装置の第2の構成例を示す図である。 従来の位相特性測定装置の問題点を説明する図である。
符号の説明
1〜3…位相特性測定装置、10…ダブル光パルス生成部、20…チャープ付与部、30…和周波光生成部、40…高調波光生成部、50…分光計測部、60…選択部、70…解析部、80…記憶部、90…光検出部。

Claims (5)

  1. 被測定光パルスを入力し、この被測定光パルスをパルス間隔τのダブル光パルスに変換して、このダブル光パルスを出力するとともに、このパルス間隔τの調整が可能であるダブル光パルス生成部と、
    プローブ光パルスを入力し、このプローブ光パルスに含まれる各電場周波数成分に対して伝搬速度に分布を与えることにより、パルス幅内において時刻とその時刻における瞬時周波数とがリニアな関係を持ったチャープ光パルスに変換し、このチャープ光パルスを出力するチャープ付与部と、
    前記ダブル光パルス生成部から出力されたダブル光パルスと、前記チャープ付与部から出力されたチャープ光パルスとを入力して、これらダブル光パルスおよびチャープ光パルスそれぞれの光周波数の和に等しい光周波数を有する和周波光を生成し出力する和周波光生成部と、
    前記ダブル光パルス生成部から出力されたダブル光パルスを入力し、このダブル光パルスの光周波数の2倍の光周波数を有する高調波光を生成し出力する高調波光生成部と、
    入力した光を分光計測する分光計測部と、
    前記和周波光生成部から出力された和周波光と、前記高調波光生成部から出力された高調波光との、何れかを選択的に前記分光計測部へ入力させる選択部と、
    前記和周波光生成部から出力された和周波光が前記分光計測部により分光計測されて取得された和周波光スペクトルを、前記高調波光生成部から出力された高調波光が前記分光計測部により分光計測されて取得された高調波光スペクトルに基づいて補正するとともに解析して、前記被測定光パルスの位相特性を測定する解析部と、
    を備え、
    前記ダブル光パルス生成部が、前記パルス間隔を複数の値τ (i=1〜n)それぞれに順次に設定して前記ダブル光パルスを出力し、
    前記高調波光生成部が、前記ダブル光パルス生成部から出力された各パルス間隔τ のダブル光パルスを入力して高調波光を生成し出力し、
    前記解析部が、前記ダブル光パルスの各パルス間隔τ について、前記高調波光生成部から出力された高調波光が前記分光計測部により分光計測されて取得された高調波光スペクトルに基づいて、パルス間隔τ に対応する前記分光計測部の装置関数の振幅A および位相φ を求め、これら振幅A および位相φ の系列からなる装置関数とのデコンボリューション演算により前記和周波光スペクトルを補正するとともに解析して、前記被測定光パルスの位相特性を測定する、
    ことを特徴とする位相特性測定装置。
  2. 前記被測定光パルスを2分岐して、その2分岐した一方を前記ダブル光パルス生成部へ入力させ、他方を前記プローブ光パルスとして前記チャープ付与部へ入力させる光分岐部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の位相特性測定装置。
  3. 前記解析部における補正の際の補正情報を記憶する記憶部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の位相特性測定装置。
  4. 前記高調波光生成部から出力された高調波光の強度を検出する光検出部を更に備え、
    前記解析部が該光検出部による検出結果に基づいてフリンジ分解SHG自己相関波形を求める、
    ことを特徴とする請求項1記載の位相特性測定装置。
  5. 前記和周波光生成部および前記高調波光生成部が共通の非線形光学結晶を含むことを特徴とする請求項1記載の位相特性測定装置。
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