図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。図1において、ナビゲーションシステムは、典型的には車両に設置され、入力部1と、データ記憶部2と、位置検出部3と、演算処理部4と、出力部5とを備える。
入力部1は典型的には、本ナビゲーションシステムを操作するための専用リモコン、音声を収集する音声入力装置、及び/又はIrDA(赤外線通信)機能を搭載した携帯電話や携帯情報端末(PDA)である。これらの入力部1を操作して、ユーザは、本ナビゲーションシステムで実行される経路探索に必要な目的地を入力したり、データ記憶部2に格納される各種情報の検索キーを入力したり、本ナビゲーションシステムの機能設定を行ったりする。以上の入力部1に入力された各種情報は、演算処理部4に伝えられる。
データ記憶部2は典型的には、CD−ROM、DVD−ROM、HDD(ハードディスクドライブ)又は半導体メモリ、若しくは、それらの内、2種類以上の組み合わせから構成される。データ記憶部2には、演算処理部4の処理(典型的には、経路探索、誘導案内又はマップマッチング)に使用される地図データが格納される。データ記憶部2にはさらに、情報検索用データが格納してあり、演算処理部4において各種情報検索に使用される。
位置検出部3は、速度センサ及びジャイロセンサの組み合わせ又はGPS受信機により構成される。また、位置検出部3は、これらセンサ及びGPS受信機の組み合わせにより構成される場合もある。速度センサは車両の移動速度を検出し、ジャイロセンサは車両の進行方位を検出し、GPS受信機は車両の地球上における絶対位置を検出する。これらセンサ及びGPS受信機で検出された情報は、演算処理部4において、例えば、車両の現在位置を道路上に合わせるマップマッチング処理に使用される。
演算処理部4は、例えば経路探索、誘導案内、マップマッチング又は情報検索のように、車両の誘導・案内に必要な各種処理を行う。経路探索においては、車両の現在位置から、入力部1により指定された目的地までの推奨経路が求められる。誘導案内では、経路探索で求められた推奨経路上の所定場所(典型的には交差点又は分岐点の付近)において、車両の誘導・案内を行う。このような誘導・案内のために、演算処理部4は、音声案内制御部41を含んでおり、音声案内制御部41は、入力部1の操作に応答して、本願特有の音声案内データを作成する。マップマッチングでは、位置検出部3の出力情報に基づいて、車両の現在位置が地図の道路上に合わせられる。情報検索では、データ記憶部2に格納されている情報検索用データが参照され、例えば、郵便番号、住所、電話番号、ジャンル又は名称、若しくはそれらの組み合わせから特定の場所が検索される。
出力部5は、音声案内制御部41で生成された音声案内データに従って音声を出力するスピーカを少なくとも含む。また、必要に応じて、出力部5は、演算処理部4で生成可能な周辺地図データ又は案内画像データに従って、車両の周辺地図又は案内画像を表示するディスプレイを含む。
次に、上記構成を有するナビゲーションシステムで行われる処理について説明する。図2は、図1に示すナビゲーションシステムにおける主要な処理の手順を示すフローチャートである。図2において、ユーザは、入力部1を操作して、目的地の特定に必要な情報(郵便番号及び住所、又は電話番号)を入力したり、ディスプレイに表示される地図上で目的地そのものを指定したりする。この入力に応答して、演算処理部4は、経路探索に必要な目的地を設定する(ステップS101)。
次に、演算処理部4は、位置検出部3から現在位置を取得した後、取得した現在位置から、設定された目的地まで経路探索を行う。なお、演算処理部4は、ユーザが入力部1を操作して入力した出発地を使って経路探索を行っても良い。その結果、演算処理部4は、現在位置から目的地までの推奨経路を取得する(ステップS102)。経路探索のアルゴリズムとしては、例えば、周知のダイクストラ法が用いられる。また、探索経路の実行前に、ユーザが、入力部1を操作して、一般道を優先するか、高速道路(又は有料道路)を優先するかを指定可能な場合、演算処理部4は、ユーザの指定に沿った経路探索を行っても良い。また、演算処理部4は、現在位置から目的地までの複数本の経路を実質的に同時に求め、求めた複数の経路の1本を推奨経路として、ユーザに選ばせてもよい。また、以上の経路探索については、本ナビゲーションシステム上で行わなくとも良い。例えば、携帯電話又は内蔵の通信モジュールを用いて、外部のネットワーク上のサーバにアクセスした後、ナビゲーションシステムは、現在位置及び目的地の双方をアクセス中のサーバに送る。サーバは、受信した現在位置から目的地までの推奨経路を算出して、ナビゲーションシステムに送り返す。以上のようにして、演算処理部4は、推奨経路を取得しても良い。
ここで、本ナビゲーションシステムにおいては、後述のステップS103で作成される音声案内データは、典型的には交差点又は分岐点のように、案内の対象となる地点(以下、案内対象地点と称する)を基準として、予め定められた案内発生場所を車両が通過すると、ステップS105で出力される。案内発生場所とは、例えば、図3Aにおいて、交差点N1が案内対象地点である場合、例えば、地点P1,P2及びP3である。本実施形態では、地点P1,P2及びP3は、推奨経路上にあって、交差点N1を基準にして、それぞれ900m,500m及び100mの距離だけ車両に近い側にある地点である。このような各案内発生場所を車両が通過したときに、音声案内が行われる。
なお、案内対象地点と案内発生場所との間の距離は、上述以外の値であっても構わないし、案内発生場所数も、上述以外の個数であっても構わない。また、案内対象地点としては、交差点だけでなく、高速道路入り口等、様々な種類があるので、それらの種類によって案内発生場所の距離及び数を決めてもよい。また、案内発生場所は、上記のような地点でなく、ある程度幅を持たせた範囲であっても構わない。この場合、演算処理部4は、その範囲に車両が進入した場合に、音声案内を行うように制御しても良い。例えば、図3Bに示されるように、案内発生場所P4は、交差点N1から900mの地点を基準に、進行方向に沿って前後方向に100m程度の幅を持っている。
本ナビゲーションシステムは、車両が通過した案内発生場所に応じて、ユーザに対して、少なくとも案内音声を出力する。例えば、ナビゲーションシステムは、案内対象地点から900m手前であれば「およそ900m先左方向です。」という内容の音声案内を出力し、500m手前であれば「およそ500m先、○○交差点を左方向です。左車線にお寄りください。」という内容の音声案内を出力し、さらに、100m手前であれば「およそ100m先○○交差点を左方向です。近くに△△銀行があります。」という内容の音声案内を出力する。ここで、音声案内の内容は、案内対象地点までの距離、案内対象地点で車両が曲がるべき方向、案内対象地点付近のランドマーク、又は車線の案内、若しくはこれらの内、2つ以上の組み合わせから構成される。なお、音声案内の内容は、上述のように、案内対象地点までの距離に応じて変わっても良いし、案内対象地点までの距離に関係なく、互いに同じであってもよい。
また、出力部5がディスプレイを備える場合には、ナビゲーションシステムは、交差点拡大図を用いて、案内対象地点の形状、そこまでの距離、又は案内対象地点付近のランドマークを表示してもよい。ただし、ディスプレイへの画像表示に関しては、本願にとって興味のある処理では無いので、詳細な説明を省略する。
前述のステップS102の後、演算処理部4は、目的地まで推奨経路に沿ってユーザを誘導・案内するために、案内情報を作成する。特に、音声案内制御部41は、上述のような音声案内を表す音声案内データを作成する(ステップS103)。ここで、図4は、ステップS103における、音声案内制御部41の処理手順を示すフローチャートである。図4において、音声案内制御部41は、推奨経路上のすべての地点から、案内対象地点を選択する(ステップS201)。案内対象地点の具体例としては、車両が曲がるべき交差点又は分岐点、若しくは高速道路又は有料道路の出入口が挙げられる。交差点又は分岐点において車両が曲がるか否かについては、対象となる交差点又は分岐点へと進入する道路と、そこから脱出する道路とがなす角度を基準として判断される。例えば、進入道路及び脱出道路のなす角度が45°以上の場合に、対象交差点又は対象分岐点において車両は曲がると判断され、このような対象交差点又は対象分岐点が案内対象地点として設定される。また、高速道路又は有料道路の出入口か否かについては、地図データに予め記録されている高速道路又は有料道路の入り口若しくは出口の情報を参照すれば、音声案内制御部41は、それぞれを案内対象地点として設定することができる。他にも、音声案内制御部41は、地図データに記録されている道路の属性が一般道路から高速道路(又は有料道路)へ、若しくは高速道路(又は有料道路)から一般道路へと変化している地点を、それぞれの入り口若しくは出口とみなしても良い。他にも、ナビゲーションシステムの仕様に応じて、音声案内の対象となる地点が、本ステップS201で選択される
次に、音声案内制御部41は、ステップS201で選択された案内対象地点毎に、音声案内データを作成する(ステップS202)。具体的には、音声案内制御部41は、案内対象地点毎に、上述のような案内発生場所を設定する。例えば、図3Aに示す交差点N1が案内対象地点である場合、予め定められておりかつ互い異なる距離だけ案内対象地点N1から離れた地点P1−P3が案内発生場所として設定される。次に、各案内発生場所における基本的な音声案内を表す音声案内データ(以下、基本音声案内データと称する)を各案内発生場所における音声案内に必要な要素が選択される。例えば、案内発生場所から案内対象地点までの距離、案内対象地点で車両が曲がるべき方向、案内対象地点の名称、車線案内の有無、ランドマークの有無が、選択される要素に該当する。具体的には、例えば、図3Aにおいて、地点P1は、案内対象地点N1を基準として、約900mだけ車両に近い地点であると仮定する。さらに、案内対象地点N1で車両が左折すると仮定する。以上の仮定下では、地点P1について、基本音声案内データとして、「およそ900m先左方向です。」という内容を有するものが生成される。また、地点P2について、基本音声案内データとして、「およそ500m先○○交差点を左方向です。左車線にお寄り下さい。」という内容を有するものが生成される。さらに、地点P3については、基本音声案内データとして、「およそ100m先○○交差点を左方向です。近くに△△銀行があります。」という内容を有するものが生成される。
また、音声案内制御部41は、各案内発生場所における補助的又は追加的な音声案内を表す音声案内データ(以下、補助音声案内データと称する)を作成する。例えば、図5において、地点P1(図3Aを参照)について、補助音声案内データとして、「近くに△△銀行があります。」という内容、及び「およそ400m先で左車線にお寄り下さい。」という内容を有するものが生成される。また、各補助音声案内データには、入力部1の操作回数が割り当てられる。本実施形態では、図示したように、「近くに△△銀行があります。」という補助音声案内データに1回という操作回数が割り当てられ、「およそ400m先で左車線にお寄り下さい。」という補助音声案内データに2回という操作回数が割り当てられる。これらの補助音声案内データは、案内対象地点及び/又は他の案内発生場所に基づいて作成される。また、案内発生場所P2について、補助音声案内データとして、「近くに△△銀行があります。」という内容を有するものが作成される。また、案内対象地点の付近に△△銀行以外のランドマークとして、□□株式会社がある場合には、地点P2について、他の補助音声案内データとして、「さらに、□□株式会社もあります。」という内容を有するものが生成される。これら補助音声案内データにも、入力部1の操作回数(図示したように、1回又は2回)が割り当てられる。また、地点P3について、補助音声案内データとして、「さらに、□□株式会社もあります。」という内容を有するものが作成される。この補助音声案内データにも入力部1の操作回数(例えば、1回)が割り当てられる。
以上のステップS202が終了すると、図4に示される処理を抜けて、演算処理部4は、車両の現在位置を算出する(図2;ステップS104)。具体的には、演算処理部4は、位置検出部3から得られる移動速度、進行方位及び車両の絶対位置と、データ記憶部2に格納される地図データとを使ってマップマッチングを行い、車両の現在位置を算出する。
次に、演算処理部4は、案内対象地点近傍での車両の誘導・案内を行う(ステップS105)。具体的には、演算処理部4は、現在位置から案内対象地点までの距離及び/又は案内対象地点で車両が曲がる方向を案内したり、案内対象地点の名称及び/又はその付近のランドマークを音声出力したりする。また、必要に応じて、演算処理部4は、目的地に到達するまでの残り距離及び/又は到達予定時間、若しくは高速道路又は有料道路の出入口における案内を行ったりする。
ここで、図6は、ステップS105における、演算処理部4の処理手順を示すフローチャートである。図6において、演算処理部4は、次に音声案内すべき案内発生場所が設定されているか否かを判断する(ステップS301)。NOの場合、演算制御部4は、推奨経路上において現在位置から最も近い案内対象地点を選択し、選択した案内対象地点に割り当てられている案内発生場所の内、車両が最初に通過すべきものを、次の案内発生場所として設定する(ステップS302)。
ステップS301でYESと判断した場合、又はステップS302の後に、演算処理部4は、現在設定されている案内発生場所を車両が通過したか否かを判断する(ステップS303)。NOと判断した場合、演算処理部4は、図6の処理を抜けて、図2のステップS106を行う。逆に、YESと判断した場合には、演算制御部4は、現在設定されている案内発生場所について、基本音声案内データを出力済みか否かを判断する(ステップS304)。NOと判断した場合、音声案内制御部41は、現在設定されている案内発生場所に割り当てられている基本音声案内データを、出力部5を構成するスピーカに出力する。スピーカは、入力された基本音声案内データに従って、例えば、「およそ900m先左方向です。」という内容の音声案内を出力する(ステップS305)。次に、音声案内制御部41は、現在設定されている案内発生場所に、案内終了フラグを割り当て、これによって、この案内発生場所について音声案内が終了したことを示す(ステップS306)。なお、ステップS306で設定される案内終了フラグは、ステップS304において基本音声案内データが出力済みか否かを判断する際に用いられる。
ステップS306の次に、又はステップS304でYESと判断した場合、演算処理部4は、現在選択されている案内対象地点に割り当てられている案内発生場所の内、車両が次に通過すべきものを、次の案内発生場所として設定する(ステップS307)。
以上のステップS306又はS307が終了すると、演算処理部4は、図6の処理、つまり図2のステップS105を終了する。
以上の処理により、例えば、図3A又は図3Bにおいて、車両が案内対象地点N0を通過した直後であって案内対象地点N1に向かっている場合、次に音声案内すべき案内発生場所として、ステップS302で案内発生場所P1が設定される。その後、この案内発生場所P1を車両が通過直後に、少なくとも1回、音声案内制御部41は、この案内発生場所P1に割り当てられた基本音声案内データに従って音声を、例えば「およそ900m先左方向です。」のように、ステップS305で出力部5から出力させる。一度音声案内が行われた案内発生場所には、ステップS306において、案内終了フラグが割り当てられる。
なお、以上の図6の処理において、出力部5がディスプレイを備える場合には、演算制御部4は、交差点拡大図を用いて、案内対象地点の形状、そこまでの距離、又は案内対象地点付近のランドマークをディスプレイに表示してもよい。
再度図2を参照する。演算処理部4は、ステップS105の終了後、入力部1の操作に応答して、案内対象地点近傍での付加的な音声案内を行う(ステップS106)。ここで、ステップS106の処理を実現するために、入力部1には、図7に示すように、キー11−113が配置される。なお、これらキー11−113は典型的には、入力部1としてのリモートコントローラ又はナビゲーションシステムそのものに配置される。また、キー11−113に相当する機能を、入力部1の他の例としての音声入力装置で実現しても構わない。
また、図8は、ステップS106における演算処理部4の処理手順を示すフローチャートである。図8において、演算処理部4は、入力部1からの入力イベントが有るか否か判断する(ステップS401)。具体的には、演算処理部4は、実際に入力部1からの入力イベントを受け取ることで、ステップS401の判断を行う。また、代替的に、演算処理部4は、ハード割込み処理によって、入力イベント用のバッファメモリ内に蓄積されうるイベントの有無を確認して、ステップS401の判断を行っても構わない。
ステップS401でNOと判断した場合、演算処理部4は、図8に示す処理を終了する。逆に、YESと判断した場合には、演算処理部4は、キー11−113のいずれが操作されたかを判断する(ステップS402)。
ステップS402において、キー11又は12が操作されたと判断した場合、演算処理部4は、同地点内案内処理を行う(ステップS403)。同地点案内処理とは、現在選択されている案内対象地点に割り当てられた案内発生場所の中で、直前に実行されたステップS105で出力されなかった場所の音声案内である。例えば、図9Aにおいて、車両が案内発生場所P1及びP2の中間地点c1を走行していると仮定する。この場合、直前のステップS105では、案内発生場所P1について音声案内が行われている。以上の仮定下で、キー12が操作されると、音声案内制御部41は、車両の現在位置に関係なく、車両の進行方向に沿って次の案内発生場所P2に割り当てられている基本音声案内データを、出力部5を構成するスピーカに出力する。スピーカは、入力された基本音声案内データに従って、例えば、「およそ500m先○○交差点を左方向です。左車線にお寄り下さい。」という内容の音声案内をステップS403で出力する。また、さらにキー12が操作されたと判断した場合、音声案内制御部41は、進行方向に沿ってさらに次の案内発生場所P3に割り当てられている基本音声案内データをスピーカから出力させる。
上記仮定下で、逆に、キー11が操作されたと判断すると、音声案内制御部41は、車両の現在位置に関係なく、車両の進行方向に沿って次の案内発生場所P2に割り当てられている基本音声案内データをスピーカから出力させる。また、さらにキー11が操作されたと判断した場合、音声案内制御部41は、前回の案内発生場所P2に対して、車両の後退方向に沿って次の案内発生場所P1に割り当てられている基本音声案内データをスピーカから出力させる。
なお、案内発生場所P3について基本音声案内データが出力された後、さらにキー12が操作された場合、案内発生場所P3と案内対象交差点N1との間には、案内発生場所が無いので、音声案内制御部41は、例えば警報音をスピーカから出力させて、その旨をユーザに通知しても良い。この場合、他にも、案内発生場所P3について再度音声案内が実行されても良いし、次の案内対象交差点N2に割り当てられた基本音声案内データの内、現在の案内対象交差点N1に最も近い案内発生場所P4について音声案内が実行されても良い。
また、案内発生場所P1について音声案内が実行された後、さらにキー11が操作された場合についても、上述と同様の処理が行われても良い。つまり、警報音が出力されたり、案内発生場所P1について再度音声案内が実行されたり、前回の案内対象交差点N0に割り当てられた基本音声案内データの内、現在の案内対象交差点N1に最も近い案内発生場所P0について音声案内が実行されても良い。
また、上述の案内発生場所P4で音声案内を実行後は、音声案内制御部41は、キー12の操作に応答して、後続の案内発生場所P5及びP6での音声案内を実行しても構わない。同様に、上述の案内発生場所P0の音声案内後に、音声案内制御部41は、キー11の操作に応答して、従前の案内発生場所の音声案内を実行しても構わない。また案内音声がスピーカから出力されている際中に、いずれかのキーが操作された場合には、音声案内制御部41は、警報音を出力させて、キーの操作を受け付けなくしてもよいし、その時点での音声出力を中断して、キー操作に応じた処理を実行してもよい。他にも、音声案内制御部41は、キー操作の情報をバッファに蓄えておいて、現在の音声案内終了後、キー操作に応じた処理を実行しても良い。
このような音声案内を実現するために、基本音声案内データには、例えば、図9Bに示されるような、前後の案内発生場所を示す第1の接続情報が付加されることが好ましい。この第1の接続情報をたどることにより、音声案内制御部41は、隣接する案内発生場所の基本音声案内データを参照することができる。このような基本音声案内データは、前述のステップS103又はS105で作成されても良いし、所定のキー操作に応答して作成されても良い。
また、ステップS402において、キー13又は14が操作されたと判断した場合、音声案内制御部41は、詳細音声案内処理を実行する(ステップS404)。詳細音声案内処理とは、直前のステップS105で音声案内された案内発生場所について、補助音声案内データを使って詳細な音声案内を実行する処理である。例えば、図10Aにおいて、車両が案内発生場所P2及びP3の中間地点c2を走行していると仮定する。この場合、直前のステップS105では、案内発生場所P2について音声案内が行われている。以上の仮定下で、キー14が1回操作されると、音声案内制御部41は、案内発生場所P2について1回目と指定されている補助音声案内データ(図5参照)をスピーカに出力する。スピーカは、入力された補助音声案内データに従って、例えば、「近くに△△銀行があります。」という内容の音声、つまり案内発生場所P2について詳細な案内音声を出力する。さらにキー14が操作されると、2回目と指定されている補助音声案内データに従って、例えば、「さらに、□□株式会社もあります。」という内容の案内音声が出力される。
なお、詳細音声案内の代替例として、図10Bに示すように、ステップS105で、音声案内制御部41は、「およそ500m先○○交差点を左方向です。」と音声案内する。その後、ステップS106において、最初のキー14の操作に応答して、音声案内制御部41は、「およそ500m先○○交差点を左方向です。近くに□□スーパーがあります。」という内容の補助音声案内データに従って案内音声を出力し、キー14をさらに操作すると、「320m先○○交差点を左方向です。交差点左手前角に□□スーパーがあります。交差点右奥角には△△銀行があります。」と案内音声を出力しても構わない。以上のように、キー14の操作の度に、案内対象地点について、より詳しい情報が音声出力される。
なお、音声案内制御部41は、上述のものに限らず、案内対象地点付近に存在する施設を案内してもよいし、道路の車線又は形状について音声出力しても構わないし、さらには、案内対象地点までのより正確な距離を音声出力してもよい。
また、最も詳しい情報を案内した後さらにキー14が操作された場合、音声案内制御部41は、警報音を出力させて、さらなる詳しい情報が無いことをユーザに通知し、キー14の操作を受け付けなくしても良い。他にも、音声案内制御部41は、再び最も詳しい案内を再度出力させても良い。
また、キー13が操作された場合には、キー14が操作された時の逆の処理を音声案内制御部41は行う。つまりキー13が操作される度に、音声案内制御部41は、音声案内の詳しさを徐々に大まかにしていく。このような案内を実現するために、例えば、図10Cに示すように、補助音声案内データに、音声案内について詳細度の順番を示す階層接続情報が付加されることが好ましい。階層接続情報をたどることにより、音声案内制御部41は、各案内発生場所について、詳細度の異なる補助音声案内データに順番にアクセス可能になる。このような補助音声案内データは、前述のステップS103又はS105で作成されても良いし、所定のキー操作に応答して作成されても良い。
また、ステップS402において、キー15又は16が操作されたと判断した場合、音声案内制御部41は、他地点音声案内処理を実行する(ステップS405)。他地点音声案内処理とは、現在設定されている案内対象地点以外の案内対象地点について、基本音声案内データ及び/又は補助音声案内データを使って音声案内する処理である。例えば、図11Aに示されるように、案内発生場所P2及びP3の中間地点c3を車両が走行中であると仮定する。この場合、直前のステップS105では、案内対象地点N1について音声案内が実行されている。以上の仮定下で、キー16が操作されると、車両の進行方向に沿って次の案内対象地点N2に対する音声案内が実行される。さらにキー16が操作されると、さらに次の案内対象地点N3(図示せず)について音声案内が実行される。
逆に、中間地点c3において、キー15が操作されると、すでに通過した案内対象地点N0について音声案内が実行される。以降、キー15が操作される度に、既に通過した案内対象地点に遡って、音声案内制御部41は音声案内を実行する。
ここで、中間地点c3において、例えば、案内対象地点N2について音声案内の内容は、案内対象地点N2に割り当てられた基本音声案内データ及び/又は補助音声案内データに従っても良いし、案内対象地点N2に割り当てられたいずれの案内発生場所にも関連していなくとも良い。また、このような音声案内の最中に、音声案内制御部41は、前述のキー14が操作されることにより、案内対象地点N2について、より詳細な音声案内を出力するようにしても構わない。このような処理を実現するために、例えば図11Bに示されるように、案内対象地点には、前後の案内対象地点を示す第2の接続情報が割り当てられることが好ましい。これにより、音声案内制御部41は、案内対象地点を辿ることにより、現在設定されていない案内対象地点に割り当てられた基本音声データ及び/又は補助音声案内データを使って、ステップS403及び/又はS404と同じ要領で音声案内を行うことが可能となる。例えば、図11Bに示す例では、音声案内制御部41は、案内対象地点N1から、第2の接続情報を辿ることにより、前後の案内対象地点N0又はN2を参照することができ、さらにはそれぞれに割り当てられている案内発生場所を知ることができる。このような案内対象地点の情報は、前述のステップS103又はS105で作成されても良いし、所定のキー操作に応答して作成されても良い。
また、ステップS402において、キー17−113が操作されたと判断した場合、音声案内制御部41は、今回操作されたものに対応して案内音声制御を実行する(ステップS406)。具体的には、音声案内中にキー18が操作されると、音声案内制御部41は音声案内を停止する。その後、キー71を押下することにより、音声案内は再開される。音声案内の再開場所は、音声案内の停止場所からでもよいし、先頭からでもよい。また、音声案内制御部41は、一度キー18が操作された後は、キー17が操作されるまで音声案内を停止したままでもよいし、次の案内発生場所又は案内対象地点を通過した後に自動的に、必要な音声案内を再開してもよい。
また、音声案内中にキー19が操作されると、音声案内制御部41は音声案内を一時停止する。その後キー19が操作されると、音声案内制御部41は、スロー再生、つまり通常の半分のスピードで案内音声を出力する。なお、スロー再生は、出力されるべき音声のサンプリングレートを1/2倍にすることにより実現される。さらにキー17が操作されると、音声案内制御部41は、通常のスピードで案内音声を出力する。なお、キー17及び19が同時に操作されると、スロー再生が実行されても構わないし、スロー再生機能は別のキーに割り当てられてもよい。
また、音声案内中にキー111が操作されると、音声案内制御部41は、通常よりも音声スピードを、1.3倍以上のスピードで案内音声を出力する(早送り再生)。また、音声案内制御部41は、キー17の操作に応答して、通常の音声スピードに戻す。なお、キー111が操作され続けている間に限り、音声案内制御部41は、早送り再生するようにしてもよし、さらには、キー111が長時間操作されればされるほど、音声スピードを上げても良い。
同様に、キー110が操作されると、音声案内制御部41は、通常よりも1.3倍のスピードで、案内音声を逆送り再生する。この場合も、音声案内制御部41は、キー17の操作に応答して、通常の音声スピードに戻す。なお、キー110が操作され続けている間に限り、音声案内制御部41は、逆送り再生するようにしてもよし、さらには、キー111が長時間操作されればされるほど、逆送りの音声スピードを上げても良い。
なお、早送り再生又は逆送り再生するには、音声案内制御部41は、出力すべき案内音声を、音声スピードに応じたレートで音声をサンプリングする。
また、ステップS402でキー112が操作されたと判断されると、次の音声案内が開始されるまで、音声案内制御部41は、直前の音声案内を繰り返し実行するリピートモードに入る。例えば、図3Aに示される案内発生場所P1において、案内音声の出力後に、キー112が操作されると、車両が案内発生場所P2に到達するまで、案内発生場所P1における案内音声が繰り返し出力される。また、キー112の再操作により、リピートモードは解除される。また、リピートモードの解除機能は、他のキーに割り当てられても良い。
ここで、図12は、リピートモードの詳細な処理手順を示すフローチャートである。図12において、音声案内制御部41は、現在リピートモードに入っているか否か、つまり音声案内のリピートを実施しているか否かを判断する(ステップS501)。YESと判断した場合、音声案内制御部41は、案内音声の再生が終了しているか否かを判断する(ステップS502)。YESと判断した場合、音声案内制御部41は、直前に行った音声案内を再度出力する(ステップS503)。
ステップS501又はS502でNOと判断した場合、若しくはステップS503の後、音声案内制御部41は、キー112が操作されたか否かを判断する(ステップS504)。YESと判断した場合において、現在リピートモードに入っている場合(ステップS505)、音声案内制御部41は、リピートモードを解除する(ステップS507)。逆に、ステップS505でNOと判断した場合、音声案内制御部41は、リピートモードを設定する(ステップS506)。
ステップS504でNOと判断した場合、若しくはステップS506又はS507の後、音声案内制御部41は、図12に示される処理を終了する。これによって、図8に示される処理を終了して、図2のステップS107(後述)が実行される。
以上のようなステップS106が終了すると、演算処理部4は、車両が目的地に到着したか否かを判断する(ステップS107)。YESと判断した場合、演算処理部4は、図2に示される処理を終了する。逆に、NOと判断した場合、演算処理部4は、ステップS104に戻る。
以上説明したように、本ナビゲーションシステムは、図6を参照して説明したように、車両が各案内発生地点を通過する度に、その案内発生地点に割り当てられた基本音声案内データに従って、基本的な音声案内を行う。その後、ナビゲーションシステムは、ユーザによる入力部1の操作に応じて、同地点内案内処理、詳細音声案内処理又は他地点音声案内処理を行う。同地点案内処理では、現在接近中の案内対象地点に割り当てられており、かつ未通過又は既に通過した案内発生地点について、音声案内が行われる。また、詳細音声案内処理では、今回通過した案内発生地点についてより詳細な音声案内が行われる。また、他地点音声案内処理では、現在接近中でない案内対象地点(既に通過した案内対象地点又は後で通過すべき案内対象地点)について、音声案内が行われる。以上から明らかなように、ユーザは、入力部1を操作することにより、多様な音声案内を取得することが可能となる。
次に、本発明の変型例に係るナビゲーションシステムについて説明する。変型例に係るナビゲーションシステムの構成については、図1に示されるものと同様であるため、以下の説明では、図1を援用する。ただし、本変型例は、前述の実施形態と比較すると、ミュート機能を備える点で相違する。ミュート機能とは、図7に示すキー113により設定又は解除され、音声案内制御部41がキー操作の直前に音声案内が実行された案内対象地点又は案内発生場所に車両がたどり着くまで一切案内音声を出力しない機能である。例えば、図13において、案内対象地点N0及びN1の中間地点c4を車両が走行していると仮定する。このような中間地点c4において、ユーザがキー11−16を操作することにより、音声案内制御部41が、案内対象地点N4についての音声案内を実行する。その直後にユーザがキー113を操作すると、音声案内制御部41は、案内対象地点N4に割り当てられた最初の案内発生場所に到達するまで、つまり案内対象地点N3を通過するまで、音声案内を一切実行しない。これによって、ユーザが、やがて通過する案内対象地点について案内音声を聞き、その地点に到達するまで音声案内の必要がないとユーザが判断した場合は、ユーザは、案内音声を聞くことなく車両を運転できるようになる。
なお、一度キー113を操作した後でも、再びキー113を操作することにより、ミュート機能は解除される。また、さらに再びキー113を操作することで、前回設定された案内対象地点又は案内発生場所に到達するまで、音声案内制御部41は、案内音声を出力しないようにしても構わない。
ここで、図14は、ミュート機能を備えるナビゲーションシステムの処理手順を示すフローチャートである。図14は、図2と比較すると、ステップS106に代えて、ステップS601−S605を含む点で相違する。それ以外に両フローチャートの間には相違点は無い。それ故、図14において、図2に示されるステップに相当するものには同一のステップ番号を付け、それぞれの説明を省略する。
図14において、演算処理部4は、ステップS105を実行した後、現在ミュート機能が設定されているか否かを判断する(ステップS601)。NOと判断した場合、演算制御部4は、前述したステップS105を行った後、最後に音声案内を行った案内発生場所又は案内対象地点(以下、便宜上、最終案内地点と称する)を記憶する(ステップS602)。
また、ステップS601でYESと判断した場合、演算処理部4は、ステップS602で記憶される最終案内地点を通過したか否かを判断する(ステップS603)。YESと判断した場合、演算処理部4は、ミュート機能の設定を解除する(ステップS604)。
また、ステップS602又はS604の後、若しくはステップS603でNOと判断した場合、演算処理部4は、ミュート機能の設定処理を行う(ステップS605)。ここで、図15は、ステップS605の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図15において、演算処理部4は、キー113が操作されたか否かを判断する(ステップS701)。NOと判断した場合、演算処理部4は、図15に示される処理を終了して、図14のステップS107を実行する。
それに対して、ステップS701でYESと判断した場合、演算処理部4は、現在ミュート機能が設定されているか否かを判断する(ステップS702)。YESと判断した場合、演算処理部4は、ミュート機能の設定を解除する(ステップS703)。逆に、NOと判断した場合、演算処理部4は、ミュート機能を設定する(ステップS704)。以上のステップS703又はS704の終了後、演算処理部4は、図15に示される処理を終了して、図14のステップS107を実行する。
以上説明したように、本変型例に係るナビゲーションシステムによれば、ステップS601でミュート機能が設定されていると判断されれば、ステップS105がスキップされる。これによって、ユーザが、やがて通過する案内対象地点について案内音声を聞き、その地点に到達するまで音声案内の必要がないとユーザが判断した場合は、ユーザは、案内音声を聞くことなく車両を運転できるようになる。