JP4294267B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に係わり、特に、多色画像形成装置を構成する感光体と中間転写体のそれぞれに形成されるトナー画像の形成位置を正確に一致させるため、感光体と中間転写体の双方に複数のマーカを設けた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、2色以上のトナーを用い、それら各色のトナーを色重ねすることにより多色画像を形成する多色画像形成装置は、互いに一部で接触する感光体と中間転写体と、着色粒子である2色以上のトナーを色別に収納する2つ以上の現像器とを有しており、感光体を一様に帯電する帯電器と、感光体を形成画像に対応した露光量で露光させる露光装置とを備えている。
【0003】
そして、画像形成時には、最初に帯電器により感光体を一様に帯電させ、次に露光装置により感光体を形成画像に従った露光を行って感光体上に静電潜像を形成し、次いで現像器により感光体上の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成し、次いで感光体上に形成したトナー画像を中間転写体を経て転写体に順次転写して、もしくは、直接転写体に転写して転写体にトナー画像を形成し、続いて定着器により転写体に形成したトナー画像を定着して印刷画像を得ているものである。
【0004】
ここで、図6は従来技術によるこの種の画像形成装置の一例を示すもので、その要部構成を示す説明図であり、以下、これについて説明する。
【0005】
図6に示されるように、この画像形成装置は、ベルト状感光体51と、ベルト状中間転写体52と、帯電器53と、露光装置54と、それぞれ異なる色のトナーを収納した4つの現像器55(1)、55(2)、55(3)、55(4)と、定着器57と、紙等の転写体58と、転写体58を収容する転写体カセット59と、感光体マーカセンサ60と、中間転写体マーカセンサ61とからなる。この他に、この画像形成装置は、ベルト状感光体51を移送させる移送機構(図示なし)と、ベルト状中間転写体52を移送させる移送機構(図示なし)が設けられ、ベルト状感光体51及びベルト状中間転写体52を図6の矢印方向に移行させる。
【0006】
前記構成による画像形成装置は、次のように動作する。
【0007】
ベルト状感光体51は、移行時に、帯電器53のところで一様に帯電され、露光装置54のところで形成画像に対応した露光量で露光され、ベルト状感光体51上に静電潜像が形成される。次に、ベルト状感光体51は、4つの現像器55(1)乃至55(4)のところで最初に選択された1つの現像器、例えば現像器55(1)が選択されると、その現像器55(1)に収納された第1色のトナーが静電潜像に対応した量だけ付着し、ベルト状感光体51上に第1色のトナー画像が形成される。次いで、形成された第1色のトナー画像は、ベルト状感光体51とベルト状中間転写体52との接触部でベルト状感光体51からベルト状中間転写体52に転写される。ベルト状感光体51は、第1色のトナー画像の転写が行われた後、残留トナーが除去され、最初の状態に戻る。
【0008】
再び、ベルト状感光体51は、帯電器53のところで一様に帯電され、露光装置54のところで形成画像に対応した露光量で露光され、ベルト状感光体51上に静電潜像が形成される。次に、ベルト状感光体51は、4つの現像器55(1)乃至55(4)のところで次に選択された1つの現像器、例えば現像器55(2)が選択されると、その現像器55(2)に収納された第2色のトナーが静電潜像に対応した量だけ付着して第2色のトナー画像が形成される。次いで、形成された第2色のトナー画像は、ベルト状感光体51とベルト状中間転写体52との接触部でベルト状感光体51からベルト状中間転写体52に転写される。このとき、ベルト状中間転写体52に転写される第2色のトナー画像は、既に転写されている第1色のトナー画像と同じ位置に重なり合うように転写される。ベルト状感光体51は、第2色のトナー画像の転写が行われた後、残留トナーが除去され、再び最初の状態に戻る。
【0009】
この後、ベルト状感光体51は、さらに2度にわたって、下記の点を除いて前述の動作と同じ動作が繰り返し実行される。すなわち、3度目の動作時には、4つの現像器55(1)乃至55(4)の中の他の1つの現像器、例えば現像器55(3)が選択され、その現像器55(3)に収納された第3色のトナーがベルト状感光体51に付着してベルト状感光体51上に第3色のトナー画像が形成され、また、4度目の動作時には、4つの現像器55(1)乃至55(4)の中の残りの1つの現像器、例えば現像器55(4)が選択され、その現像器55(4)に収納された第4色のトナーがベルト状感光体51に付着してベルト状感光体51上に第4色のトナー画像が形成されるものである。
【0010】
このような動作経緯により、ベルト状中間転写体52に4色トナーの重ね合わせによって形成された多色トナー画像は、中間転写体52と転写体58との接触位置のところで転写体58上に転写され、転写体58上に多色トナー画像が形成される。転写体58は、定着器57のところで多色トナー画像が定着され、転写体排出部(図番なし)に供給される。
【0011】
次に、図7は、図6に図示されたベルト状感光体51とベルト状中間転写体52の構成部分を示す斜視図である。
【0012】
図7において、図6に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0013】
図7に示されるように、ベルト状感光体51は、そのベルトの周縁部分に1つの感光体マーカ、すなわち位置検出用マーク62が形成され、ベルト状中間転写体52は、同じくベルトの周縁部分に一定間隔に複数の中間転写体マーカ、すなわち複数の位置検出用マーク63が形成されている。
【0014】
図6に戻って、ベルト状感光体51の周縁部分に近接配置された感光体マーカセンサ60は、ベルト状感光体51に形成された1つの位置検出用マーク62の到来を感知し、感知時に第1感知信号を出力する。また、ベルト状中間転写体52の周縁部分に近接配置された中間転写体マーカセンサ61は、ベルト状中間転写体52に形成された複数の位置検出用マーク63の到来を感知し、感知時にそれぞれ第2感知信号を出力するが、感光体マーカセンサ60が第1感知信号を出力した直後に出力される第2感知信号だけが中間転写体マーカセンサ61から抽出される。このとき、画像形成装置は、抽出された第2感知信号に対応するベルト状中間転写体52上の位置を、ベルト状中間転写体52におけるトナー画像形成の開始位置と決め、ベルト状感光体51上のトナー画像とベルト状中間転写体52上のトナー画像との位置合わせを行っている。
【0015】
なお、前述したような画像形成装置に関する従来技術として、例えば、特開平5−150574号に開示された技術が知られている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術による画像形成装置は、ベルト状感光体51に1つの位置検出用マーク62を形成し、この位置検出用マーク62の形成位置を基準にして、ベルト状感光体51上のトナー画像とベルト状中間転写体52上のトナー画像との位置合わせを行っているもので、位置検出用マーク62が感光体マーカセンサ60によって正規に検出される限り、2つのトナー画像の位置合わせを行うことが可能であるが、ベルト状感光体51がトナーによって汚染されたり、ベルト状感光体51に傷ができたりすると、本来の位置検出用マーク62がマスクされ、その正確な位置の検出ができなくなったり、トナー汚染部や傷部を位置検出用マーク62として誤検出してしまったりして、本来の位置検出用マーク62の形成位置を正規に検出することが難しくなり、2つのトナー画像の位置合わせを行うことができなくなる。この他にも、ベルト状感光体51が継目を有するものである場合、継目に汚れ等が生じると、継目を位置検出用マーク62として誤検出してしまうことがあり、本来の位置検出用マーク62の形成位置を正規に検出することが難しくなり、2つのトナー画像の位置合わせを行うことができなくなる。そして、2つのトナー画像の位置合わせを行うことができなくなった場合、転写体58に形成される画像位置が不規則になり、画像欠陥を有する画像が形成されるようになる。
【0017】
本発明は、このような技術的背景に基づいてなされたもので、その目的は、感光体がトナーで汚染されたり、傷ができたりしても、感光体に形成される感光体マーカを確実に検出することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による画像形成装置は、2色以上のトナーを収納する複数の現像器と、前記複数の現像器から個別に供給された各色のトナーを担持する感光体と、前記感光体と一部で接触し、前記感光体の担持トナーが重ね合わせる中間転写体とを有するもので、
前記感光体のトナー画像形成領域外の部分に形成された少なくとも第1の感光体マーカと第2の感光体マーカと、その第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来を検出する感光体マーカ検出部と、前記中間転写体に一定間隔で形成された複数の中間転写体マーカと、その中間転写体マーカの到来を検出する中間転写体マーカ検出部と、前記感光体マーカ検出部ならびに中間転写体マーカ検出部からの検出信号を受けて検出タイミングを監視する演算部と、前記検出タイミングが異常なときに報知情報を出力する報知手段を備え、前記演算部は、前記第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Cと、次の第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Dを演算して、前記時間間隔Cと時間間隔Dとが異なった場合に異常が発生したと認識し、前記報知手段に報知信号を出力する構成になっていることを特徴とするものである。
【0019】
前記手段によれば、中間転写体には一定間隔で複数の中間転写体マーカを形成するとともに、感光体にはトナー画像形成領域外の部分に複数の感光体マーカを形成し、複数の感光体マーカの到来時に感光体マーカセンサによって複数の感知信号を発生させ、これらの感知信号を用いて感光体の位置を検出するようにしているので、感光体の位置が高精度で検出され、感光体側のトナー画像と中間転写体のトナー画像との位置合わせを正確に行ない、位置ずれを少なくした高画質の印刷画像を得ることができる。
【0020】
また、前記手段によれば、感光体のトナー汚れや塵等の付着により、いずれかの感光体マーカがマスクされるような状態になっても、残りの感光体マーカを検出することにより感光体マーカが誤検出されるのを避けることができ、常時、位置ずれを少なくした高画質の印刷画像を得ることができる。
【0022】
前記構成によれば、演算手段において複数の感光体マーカの検出タイミングを監視し、その検出タイミングが異常になると、報知手段において感光体の異常を示す報知が行われるので、報知手段から報知があったときに、感光体や中間転写体のメンテナンスを施せば、以後、高画質の印刷画像を得ることができる。
【0023】
また、本発明による画像形成装置は、2色以上のトナーを収納する複数の現像器と、前記複数の現像器から個別に供給された各色のトナーを担持する感光体と、前記感光体と一部で接触し、前記感光体の担持トナーが重ね合わせる中間転写体とを有するもので、前記感光体のトナー画像形成領域外の部分に形成された少なくとも第1の感光体マーカと第2の感光体マーカと、その第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来を検出する感光体マーカ検出部と、前記中間転写体に一定間隔で形成された複数の中間転写体マーカと、その中間転写体マーカの到来を検出する中間転写体マーカ検出部と、前記感光体マーカ検出部ならびに中間転写体マーカ検出部からの検出信号を受けて検出タイミングを監視する演算部と、前記検出タイミングが異常なときに前記感光体マーカ検出部の検出レベルを変化させる検出レベル設定部を備え、前記演算部は、前記第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Cと、次の第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Dを演算して、前記時間間隔Cと時間間隔Dとが異なった場合に異常が発生したと認識し、前記検出レベル設定部により前記感光体マーカ検出部の検出レベルを変化させる構成になっていることを特徴とするものである。
【0024】
前記構成によれば、演算手段において複数の感光体マーカの検出タイミングを監視し、その検出タイミングが異常になると、検出レベル設定部において感光体マーカ検出部の検出レベルを変化させ、複数の感光体マーカの検出タイミングが正常になるような補正を行うので、短期間でもとの画像形成状態に復帰させることができ、以後、高画質の印刷画像を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明による画像形成装置の1つの実施の形態を示すもので、その要部構成を示す上面図である。
【0027】
図1に示されるように、この実施の形態による画像形成装置は、ベルト状感光体1と、ベルト状中間転写体2と、帯電器3と、露光装置4と、それぞれ異なる色のトナーを収納した4つの現像器5(1)、5(2)、5(3)、5(4)と、転写器6と、定着器7と、紙等の転写体8と、転写体8を収容する転写体カセット9と、感光体マーカセンサ10と、中間転写体マーカセンサ11と、モータ等の転写体駆動部12と、演算部(演算手段)13と、報知部(報知手段)14とからなる。この場合、ベルト状感光体1及びベルト状中間転写体2は、転写体駆動部12の駆動により図1の矢印方向に移行する。
【0028】
前記構成による画像形成装置の画像形成動作は、基本的に次のとおりである。
【0029】
ベルト状感光体1は、移行時に、帯電器3のところで一様に帯電され、露光装置4のところで形成画像に対応した露光量で露光され、ベルト状感光体1上に静電潜像が形成される。次に、ベルト状感光体1は、4つの現像器5(1)乃至5(4)のところで最初に選択された1つの現像器、例えば現像器5(1)が選択されると、その現像器5(1)に収納された第1色のトナーが静電潜像に対応した量だけ付着し、ベルト状感光体1上に第1色のトナー画像が形成される。次いで、形成された第1色のトナー画像は、ベルト状感光体1とベルト状中間転写体2との接触部でベルト状感光体1からベルト状中間転写体2に転写される。ベルト状感光体1は、第1色のトナー画像の転写が行われた後、残留トナーが除去され、最初の状態に戻る。
【0030】
再び、ベルト状感光体1は、帯電器3のところで一様に帯電され、露光装置4のところで形成画像に対応した露光量で露光され、ベルト状感光体1上に静電潜像が形成される。次に、ベルト状感光体5は、4つの現像器5(1)乃至5(4)のところで次に選択された1つの現像器、例えば現像器5(2)が選択されると、その現像器5(2)に収納された第2色のトナーが静電潜像に対応した量だけ付着して第2色のトナー画像が形成される。次いで、形成された第2色のトナー画像は、ベルト状感光体1とベルト状中間転写体2との接触部でベルト状感光体1からベルト状中間転写体2に転写される。このとき、ベルト状中間転写体2に転写される第2色のトナー画像は、既に転写されている第1色のトナー画像と同じ位置に重なり合うように転写される。ベルト状感光体1は、第2色のトナー画像の転写が行われた後、残留トナーが除去され、再び最初の状態に戻る。
【0031】
この後、ベルト状感光体1は、さらに2度にわたって、下記の点を除き前述の動作と同じ動作が繰り返し実行される。すなわち、3度目の動作時には、4つの現像器5(1)乃至5(4)の中の他の1つの現像器、例えば現像器5(3)が選択され、その現像器5(3)に収納された第3色のトナーがベルト状感光体1に付着され、ベルト状感光体1上に第3色のトナー画像が形成され、また、4度目の動作時には、4つの現像器5(1)乃至5(4)の中の残りの1つの現像器、例えば現像器5(4)が選択され、その現像器5(4)に収納された第4色のトナーがベルト状感光体1に付着され、ベルト状感光体1上に第4色のトナー画像が形成されるものである。
【0032】
このような動作経緯により、ベルト状中間転写体2に4色トナーの重ね合わせによって形成された多色トナー画像は、転写器6のところで転写体8上に転写され、転写体8上に多色トナー画像が形成される。転写体8は、定着器7のところで多色トナー画像が定着され、転写体排出部(図番なし)に供給される。
【0033】
次に、図2は、図1に図示されたベルト状感光体1とベルト状中間転写体2の構成部分と直接関連部分とを示すもので、その要部構成を示す斜視図である。
【0034】
図2において、図1に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0035】
図2に示されるように、ベルト状感光体1には、ベルトの周縁部分における継目17に近接した位置に2つの感光体マーカ、すなわち2つの位置検出用マーク15(1)、15(2)が形成され、ベルト状中間転写体2には、同じくベルトの周縁部分に一定間隔で複数の中間転写体マーカ、すなわち複数の位置検出用マーク16が形成されている。感光体マーカセンサ10は、ベルト状感光体1に形成した2つの位置検出用マーク15(1)、15(2)に近接した位置に配置され、2つの位置検出用マーク15(1)、15(2)の到来を検出すると、マーク感知信号を出力する。中間転写体マーカセンサ11は、ベルト状中間転写体2上に形成した複数の位置検出用マーク16に近接した位置に配置され、複数の位置検出用マーク16の到来を検出すると、基準信号を出力する。転写体駆動部12は、演算部13とベルト状感光体移送機構(図示なし)と中間転写体移送機構(図示なし)にそれぞれ接続され、演算部13の制御によってベルト状感光体移送機構及び中間転写体移送機構を駆動し、ベルト状感光体1及びベルト状中間転写体2を移送する。演算部13は、感光体マーカセンサ10と中間転写体マーカセンサ11と報知部14に接続され、感光体マーカセンサ10からマーク感知信号と中間転写体マーカセンサ11から基準信号を受け、基準信号に基づいてマーク感知信号の検出タイミングを監視し、その検出タイミングが異常になったときに報知信号を出力する。報知部14は、報知信号が供給されると、音や光等の報知情報を発生する。
【0036】
次いで、図3は、図1に図示された画像形成装置が動作する際に、各部に発生する信号波形の一例を示す信号波形図である。
【0037】
図3において、第1段目の波形はベルト状感光体1の継目17を検出したときに得られる継目検出信号であり、第2段目の波形は現像位置を示す現像位置信号であり、第3段目の波形は感光体マーカ15(1)、15(2)を検出したときに得られるマーカ検出信号であり、第4段目の波形は中間転写体マーカ16を検出したときに得られるマーカ検出信号であり、第5段目の波形は画像書出しを開始する画像書出信号であって、横軸は時間である。
【0038】
ここで、図3に図示の信号波形図を併用し、図1及び図2に図示された画像形成装置が動作について説明する。
【0039】
感光体マーカセンサ10は、ベルト状感光体1の継目17の到来を検出すると、継目検出信号Jを発生し、発生した継目検出信号Jを演算部13に供給する。この場合、継目検出信号Jを発生している理由は、継目17の位置でトナー現像が行われないようにするためであり、この継目検出信号Jと後述する第1マーク感知信号K及び第2マーク感知信号Rは、その信号の継続時間の違い、すなわち継目検出信号Jの継続時間が短いのに対し、第1マーク感知信号K及び第2マーク感知信号Rの継続時間が長いことによって区別される。次に、感光体マーカセンサ10は、ベルト状感光体1に形成された第1番目の感光体マーカ15(1)の到来を検出すると、第1マーク感知信号Kを発生し、発生した第1マーク感知信号Kを演算部13に供給する。次いで、感光体マーカセンサ10は、ベルト状感光体1に形成された第2番目の感光体マーカ15(2)の到来を検出すると、第2マーク感知信号Rを発生し、発生した第2マーク感知信号Rを演算部13に供給する。この直後に、中間転写体マーカセンサ11は、ベルト状中間転写体2に形成された位置検出用マーク16の到来を検出すると、基準信号Lを発生し、この基準信号Lを演算部13に供給する。演算部13は、この基準信号Lを受けると、直ちに画像書出信号Mを形成し、画像書出信号Mの形成に続いて現像位置信号Nをオン状態に設定する。演算部13は、現像位置信号Nがオン状態に設定されている間、画像形成に最適なタイミングであると認定し、露光装置4や4つの現像器5(1)乃至5(4)の中の選択された1つの現像器を動作させ、ベルト状感光体1にトナー画像を形成させる。
【0040】
ベルト状感光体1とベルト状中間転写体2とは、同一の移送速度に設定する必要がある。その駆動方法としては、両方を駆動する方法、あるいは、ベルト状感光体1とベルト状中間転写体2との駆動機構をギア等により連結し、一方を駆動して他方を従動させる方法が用いられるが、従動させる方法のほうが、確実に同一の移送速度とすることができ、色ずれを生じされることがなく好適である。ベルト状感光体1及びベルト状中間転写体2が正常な移送状態にあることは、演算部13が中間転写体マーカセンサ11から供給される基準信号の状態によって確認している。
【0041】
また、図4は、ベルト状感光体1及びベルト状中間転写体2にトナー画像を形成する際の一例を示す説明図である。
【0042】
図4において、図1及び図2に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0043】
図4に示されるように、ベルト状感光体1における画像書出開始位置は、第2番目の感光体マーカ15(2)の到来を示す第2マーク感知信号Rが発生し、その直後に位置検出用マーク16の到来を示す基準信号Lが発生した時点であり、画像書出終了位置は、次の継目17が到来する少し前であって、画像書出開始位置から画像書出終了位置までの間が画像形成領域になる。また、ベルト状中間転写体2における画像書出開始位置は、ベルト状感光体1における画像書出終了位置の到来時点の直後で、画像形成領域はベルト状感光体1の画像形成領域と同じ大きさにになる。
【0044】
次いで、この実施の形態による画像形成装置の一つの具体例として、A4サイズが印刷可能なカラープリンタである場合について述べる。ベルト状感光体1は、1周の長さが380mm程度の閉ベルト形状のもので、ベルト状中間転写体2は、ベルト状感光体1の長さの整数倍の長さのものが必要になるため、ほぼ同じ周長の380mm程度の閉ベルト形状のものであり、ベルト状感光体1及びベルト状中間転写体2のプロセス速度は150mm/sである。この場合、ベルト状感光体1の周長とベルト状中間転写体2の周長を全く同じ長さにすることは難しいので、ベルト状感光体1に2つのマーカ15(1)、15(2)を形成し、ベルト状中間転写体2に複数のマーカ16を形成して、これらのマーカ15(1)、15(2)、16の到来時点を監視し、ベルト状感光体1とベルト状中間転写体2の位置とそれらのずれを把握している。感光体マーカセンサ10及び中間転写体マーカセンサ11は、ともに反射式光センサタイプのもので、マーカ15(1)、15(2)、16の形成部分の光反射率がそれ以外の部分の光反射率と異なるようになっている。例えば、感光体マーカ15(1)、15(2)は黒色のパッチ状のものにし、中間転写体マーカ16は、黒色と銀色(もしくは白色)を交互に配したものにしている。各マーカ15(1)、15(2)、16の幅は10mm程度であり、その長さは5mm以上であることが望ましい。
【0045】
基本的に感光体マーカ15(1)、15(2)の数は、2つまたはそれ以上であり、中間転写体マーカ16の数は、多いことが望ましいが、通常、24から36程度の数が選択される。
【0046】
この実施の形態による画像形成装置においては、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の中の1方のマーカ、例えば感光体マーカ15(1)が汚れの付着や傷の発生等によって、感光体マーカセンサ10による感知が難しくなった場合、他方のマーカ、例えば感光体マーカ15(2)を感知することによりベルト状感光体1に位置を判定することができる。
【0047】
例えば、トナーが感光体マーカ15(1)に付着した場合、感光体マーカ15(1)の幅が見掛け上広くなり、感光体マーカ15(1)のどの部分を基準にベルト状感光体1の位置を決めればよいかが判らなくなる。特に、ベルト状感光体1に継目17が存在する場合、トナー画像を形成するときには、ベルト状感光体1の継目17の部分を避けてトナー画像を形成する必要があるが、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)を形成している場合、トナー画像の形成位置のバラツキを低減することができる。また、ベルト状感光体1に傷がついた場合においても、その傷の存在により本来の感光体マーカの検出が難しくなることがあるが、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)を形成することにより、同様にトナー画像の形成位置のバラツキを低減することができる。
【0048】
ここで、図5は、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の感知とその感知時間との関係を説明する説明図である。
【0049】
図5において、図1及び図2に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0050】
図5に示されるように、演算部13は、感光体マーカ15(1)及び感光体マーカ15(2)の到来をそれぞれ感知し、ベルト状感光体1の移送周期を、感光体マーカ15(1)の到来時から次の到来時までの時間間隔Aを演算して求めたり、感光体マーカ15(2)の到来時から次の到来時までの時間間隔Bを演算して求めたりしているもので、何等かの理由により、いずれか一方の時間間隔を演算することができなくても、ベルト状感光体1の移送周期を求めて、トナー画像の形成位置を正確に判断することができる。
【0051】
また、演算部13は、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の到来をそれぞれ感知し、それらの感知により時間間隔Cや時間間隔D等を測定し、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の感知状態の確認をしている。この場合、演算部13は、何等かの理由により、時間間隔Cの測定ができなかったとしても、次の時間間隔Dが測定できれば、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の感知状態の確認が行える。
【0052】
さらに、演算部13は、時間間隔Aと時間間隔Bをそれぞれ演算できたとしても、時間間隔Aと時間間隔Bとが異なるようになった場合、または、時間間隔Cと時間間隔Dをそれぞれ演算できたとしても、時間間隔Cと時間間隔Dとが異なるようになった場合、感光体マーカセンサ10の特性の劣化またはベルト状感光体1の移送状態の不良等の異常を生じたものと認識する。
【0053】
演算部13は、異常が発生したと認識しても、ベルト状感光体1の移送状態の確認ができ、しかも、画像欠陥を発生しない範囲の軽微な異常の発生であれば、このままの状態で使い続ける方法もあるが、演算部13において以下に述べるような異常処理方法を実行することが好ましい。
【0054】
第1の異常処理方法は、異常が発生したことを報知部14で報知する方法であって、演算部13は、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の到来を示す時間間隔の演算結果に基づいて異常が発生したと判断すると、報知部14に報知信号を供給し、表示パネルに表示を行ったり、ブザーを鳴らしたりして報知部14を作動させる。報知部14が作動したときは、ベルト状感光体1の清掃や交換をしたり、ベルト状中間転写体2等の部品の清掃や交換をしたりして、異常状態を改善するようにする。
【0055】
また、第2の異常処理方法は、異常が発生したときに、感知レベル設定器(図示なし)を用いて、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の感知レベルを変更する方法であって、演算部13は、2つの感光体マーカ15(1)、15(2)の到来を示す時間間隔の演算結果に基づいて異常が発生したと判断すると、感知レベル設定器を制御して、感光体マーカ15(1)、15(2)の感知レベルを変更する。感知レベル設定器は、例えば一般にマーカ感知に用いられる光学式センサの発光量を大きくしたり、受光素子に接続する負荷を変化させてその受光信号利得を向上させたり、増幅回路の増幅度を変化させて感知レベルを実質的に向上させたり、受光信号と基準しきい値とを比較する比較回路の基準しきい値を変化させたりして実現しており、この他にも、感光体マーカセンサ10の出力をアナログ信号にし、演算部13でこのアナログ信号をアナログ/デジタル変換する際に、そのしきい値を変化させることによって実現している。
【0056】
この場合、感光体マーカセンサ10は、光学式センサを用いるのが一般的であって、感光体マーカ15(1)、15(2)の光反射率を他の部分の光反射率と異ならせ、感光体マーカ15(1)、15(2)からの反射光量を感知する反射式光センサや、孔をあけたり透過率を変えたりして感光体マーカ15(1)、15(2)を構成し、感光体マーカ15(1)、15(2)の光透過量を他の部分の光透過量と異ならせ、感光体マーカ15(1)、15(2)からの透過光を感知する透過型光センサが用いられる。また、このような光学式センサの他にも、マーカに透磁率を変化させたり磁石を取り付けたりして感磁センサを構成し、この感磁センサからの磁束量を感知する磁気センサや、マーカを電気的な接点からなるスイッチ型マーカセンサを構成し、その接点の動作を感知するスイッチ型マーカセンサや、回路素子からなるマーカセンサを構成し、その回路素子の到来を電気的に感知する回路素子感知センサ等が用いられる。
【0057】
前記実施の形態においては、感光体がベルト状感光体1である例を挙げて説明したが、本発明による感光体はベルト状感光体である例に限られるものでなく、他の構成、例えばドラム型感光体であってもよく、ベルト状中間転写体2についても同様である。
【0058】
また、前記実施の形態においては、感光体マーカの数が2つである例を挙げて説明したが、本発明による感光体マーカの数は2つに限られるものでなく、3つまたはそれ以上の数であってもよく、感光体マーカの形成箇所は等間隔でなくてもよい。
【0059】
さらに、前記実施の形態においては、感光体マーカをベルト状感光体1の一方の周縁部分に形成した例を挙げて説明したが、本発明による感光体マーカの形成箇所は一方の周縁部分に形成したものに限られず、一方の周縁部分及び他方の周縁部分に分けて形成してもよく、同じ周縁部分であっても2列に分けて形成するようにしてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、感光体のトナー汚れや塵等の付着により、いずれかの感光体マーカがマスクされるような状態になっても、残りの感光体マーカを検出することにより感光体マーカが誤検出されるのを避けることができ、常時、位置ずれを少なくした高画質の印刷画像を得ることができ、それと同時に、感光体のトナー汚れや塵等の付着により、いずれかの感光体マーカがマスクされるような状態になっても、残りの感光体マーカを検出することにより感光体マーカが誤検出されるのを避けることができ、常時、位置ずれを少なくした高画質の印刷画像を得ることができるという効果がある。
【0061】
また、請求項1に記載の発明によれば、演算手段において複数の感光体マーカの検出タイミングを監視し、その検出タイミングが異常になると、報知手段において感光体の異常を示す報知が行われるので、報知手段から報知があったときに、感光体や中間転写体のメンテナンスを施せば、以後、高画質の印刷画像を得ることができるという効果がある。
【0062】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、演算手段において複数の感光体マーカの検出タイミングを監視し、その検出タイミングが異常になると、検出レベル設定部において感光体マーカ検出部の検出レベルを変化させ、複数の感光体マーカの検出タイミングが正常になるような補正を行うので、短期間でもとの画像形成状態に復帰させることができ、以後、高画質の印刷画像を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像形成装置の1つの実施の形態を示すもので、その要部構成を示す上面図である。
【図2】図1に図示されたベルト状感光体とベルト状中間転写体の構成部分と直接関連部分とを示すもので、その要部構成を示す斜視図である。
【図3】図1に図示された画像形成装置が動作する際に、各部に発生する信号波形の一例を示す信号波形図である。
【図4】ベルト状感光体及びベルト状中間転写体にトナー画像を形成する際の一例を示す説明図である。
【図5】2つの感光体マーカの感知とその感知時間との関係を説明する説明図である。
【図6】従来技術による画像形成装置の一例を示すもので、その要部構成を示す説明図である。
【図7】図6に図示されたベルト状感光体とベルト状中間転写体の構成部分を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ベルト状感光体
2 ベルト状中間転写体
3 帯電器
4 露光装置
5(1)、5(2)、5(3)、5(4) 現像器
6 転写器
7 定着器
8 転写体
9 転写体カセット
10 感光体マーカセンサ
11 中間転写体マーカセンサ
12 転写体駆動部
13 演算部(演算手段)
14 報知部(報知手段)
15(1)、15(2) 位置検出用マーク(感光体マーカ)
16 位置検出用マーク(中間転写体マーカ)
17 継目
Claims (3)
- 2色以上のトナーを収納する複数の現像器と、前記複数の現像器から個別に供給された各色のトナーを担持する感光体と、前記感光体と一部で接触し、前記感光体の担持トナーが重ね合わせる中間転写体とを有する画像形成装置において、
前記感光体のトナー画像形成領域外の部分に形成された少なくとも第1の感光体マーカと第2の感光体マーカと、
その第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来を検出する感光体マーカ検出部と、
前記中間転写体に一定間隔で形成された複数の中間転写体マーカと、
その中間転写体マーカの到来を検出する中間転写体マーカ検出部と、
前記感光体マーカ検出部ならびに中間転写体マーカ検出部からの検出信号を受けて検出タイミングを監視する演算部と、
前記検出タイミングが異常なときに報知情報を出力する報知手段を備え、
前記演算部は、前記第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Cと、次の第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Dを演算して、前記時間間隔Cと時間間隔Dとが異なった場合に異常が発生したと認識し、前記報知手段に報知信号を出力する構成になっていることを特徴とする画像形成装置。 - 2色以上のトナーを収納する複数の現像器と、前記複数の現像器から個別に供給された各色のトナーを担持する感光体と、前記感光体と一部で接触し、前記感光体の担持トナーが重ね合わせる中間転写体とを有する画像形成装置において、
前記感光体のトナー画像形成領域外の部分に形成された少なくとも第1の感光体マーカと第2の感光体マーカと、
その第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来を検出する感光体マーカ検出部と、
前記中間転写体に一定間隔で形成された複数の中間転写体マーカと、
その中間転写体マーカの到来を検出する中間転写体マーカ検出部と、
前記感光体マーカ検出部ならびに中間転写体マーカ検出部からの検出信号を受けて検出タイミングを監視する演算部と、
前記検出タイミングが異常なときに前記感光体マーカ検出部の検出レベルを変化させる検出レベル設定部を備え、
前記演算部は、前記第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Cと、次の第1の感光体マーカと第2の感光体マーカの到来の時間間隔Dを演算して、前記時間間隔Cと時間間隔Dとが異なった場合に異常が発生したと認識し、前記検出レベル設定部により前記感光体マーカ検出部の検出レベルを変化させる構成になっていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記感光体は端部が継目により接続された無端ベルトであって、前記感光体マーカ検出部は前記継目の到来を検出すると継目検出信号を前記演算部に送信し、その継目検出信号の継続時間は前記第1の感光体マーカ及び第2の感光体マーカの検出信号の継続時間と異なっていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
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