JP4294184B2 - 糠食品の製造方法及び糠食品中間体の製造方法 - Google Patents

糠食品の製造方法及び糠食品中間体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、糠食品の製造方法、糠食品中間体の製造方法及び糠食品に関する。詳しくは、米糠、小麦糠等を用いて糠食品を製造する方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば米糠は、玄米を精米する際に得られるものであり、精米の程度によって異なるが、果皮、種皮、糊粉層といった玄米の外側部分を含む粉体である。
【0003】
米糠は、蛋白質、ビタミン、ミネラル等の豊富な栄養素を含むばかりでなく、多量の食物繊維を含んでいる。ところが、食味や他の食品との相性が悪いため、漬物用糠床や飼料等に利用されることが多かった。また、消化酵素を含むため変質しやすく、そのまま食品原料として長期間貯蔵するのも困難であった。このため、廃棄される場合も多かった。
【0004】
米糠の食味を改善するため、たとえば、特開平8 275741号公報や特開平7 184573号公報に記載されているもののように、加熱処理を施すことが行われている。上記加熱処理を施すことにより、食味がある程度改善されるとともに、消化酵素が不活性化され、保存可能期間が延びる。
【0005】
また、小麦糠も米糠と同様に小麦を精製する際に生じるものであり、ベーカリー分野で添加材料として用いられている。小麦糠も食味が悪いため、たとえば、特開昭61 1360号公報に記載されているように、食品に添加する前に、加熱処理が行われることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような加熱処理により、食味がある程度改善されるものの、それ自体で食用に供するには不十分である。したがって、他の食品に混合した場合にも、混合した食品の食味を低下させることが多く、栄養価が高いにも係わらず配合できる割合も限られる。
【0007】
すなわち、上記の加熱処理を施した糠の利用方法は、菓子、パン等の食品に混入することを前提にしている。しかも、配合量が最大で30パーセント程度である。したがって、糠の有用性を十分に発揮させた食品とはいえない。
【0008】
本願発明は、上記従来の糠の利用方に鑑みて発明されたものであり、特に糠の繊維成分に着目し、この繊維成分を有効に利用して、従来にない糠食品を製造できる製造方法及び糠食品を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明では次の技術的手段を講じている。
【0010】
本願発明は、糠成分のうち主として繊維成分を抽出して利用することにより、健康食品あるいはダイエット食品を提供できる糠食品の製造方法に関する。糠としては、米糠の他、小麦糠等の他の穀物の糠を採用することもできる。
【0011】
たとえば図1に示すように、米は白米となる胚乳6と、上記胚乳6を覆うようにして形成された籾殻1、果皮3、種皮4、糊粉層5及び胚芽2を含んで構成される。糠は、籾殻1を除去した部分から胚乳6を取り出すときに排出されるものであり、果皮3、種皮4、糊粉層5及び胚芽2を主成分としている。なお、本願発明において採用する糠は、上記各部をすべて含む必要はない。たとえば、胚芽を残したまま精米する胚芽精米において排出される糠は、胚芽部分をほとんど含まず、本願発明ではこのような糠を採用することもできる。
【0012】
本願発明に係る糠食品の製造方法は、糠を水と攪拌して洗浄することにより、少なくとも澱粉質成分を除去あるいは減少させた糠成分を取り出す洗浄工程と、上記洗浄工程を行った糠を水中で煮沸して加熱するとともに浮上成分を除去する煮沸工程と、上記煮沸工程を経た糠の沈澱成分を取り出し、この沈澱成分から水分を除去する脱水工程と、上記脱水工程において得られた糠成分を成形する成形工程と、上記成形工程において成形した成形体を焼成する焼成工程とを含むものである。
【0013】
糠には、籾殻片等の不純物や澱粉質の粉体が混入しあるいは付着していることが多い。特に、澱粉質の粉体が含まれた米糠を、次の煮沸工程において煮沸すると煮沸水が糊状になったり、多量の泡を発生させる。このため、そのままでは煮沸工程において、糠から繊維成分を効率よく取り出すことができない。本願発明では、煮沸工程を行う前に洗浄工程を行うことにより上記不都合を回避している。
【0014】
上記洗浄工程は、籾殻片等の不純物を除去するのみならず、澱粉質成分を除去あるいは減少させることを目的としている。具体的には、糠を水と攪拌して洗浄する。洗浄工程は、冷水ないし常温の水を用いて行う。洗浄水の温度は、澱粉質成分が糊状にならない温度に設定すればよい。煮沸工程を効率よく行うためには、上記洗浄工程において不純物及び澱粉質成分を十分に除去する必要がある。このため、洗浄水が透明になる程度まで洗浄を行うのが望ましい。また、洗浄工程を複数回行ってもよい。
【0015】
本願発明の発明者は、沈澱速度の差を利用して、上記不純物及び澱粉成分を極めて簡単に分離除去する方法を開発した。すなわち、請求項2に記載した発明のように、上記洗浄工程において、沈澱速度の違いを利用して澱粉質成分を分離除去することができる。
【0016】
微粉状の澱粉質成分は、水に浮遊し、あるいは沈澱速度が遅い。一方、粒状の澱粉質成分(主として胚乳の破片)は、他の糠成分(たとえば繊維質成分)に比べて沈澱速度が早い。したがって、上記沈澱速度の違いを利用して、澱粉質成分を他の糠成分から容易に分離除去することが可能となった。
【0017】
また、微粉状澱粉質成分等の洗浄水に浮遊する成分を充分に除去するため、洗浄水が透明になるまで、流水による洗浄を行うのが望ましい。また、分離した粒状の澱粉質成分は、後に説明するように、成形工程ないし焼成工程における保形剤あるいは硬度調整剤として利用することができる。
【0018】
なお、澱粉質成分の除去方法は上記の方法に限定されることはなく、既知の種々の方法を利用できる。たとえば、粒状の澱粉質成分は水に浸漬することにより軟化するため、粉砕して微粉化した後に、流水によって除去することもできる。また、澱粉質を選択的に溶解する溶剤等を利用することもできる。
【0019】
上記煮沸工程は、上記洗浄工程を経た糠を、水に混合して煮沸することにより行われる。上記煮沸工程において、比重の軽い油脂成分、水溶性成分及び煮沸温度で分解される物質、洗浄工程において残留した澱粉質成分等が除去される。特に、浮上成分を除去する操作によって、不快な臭気の発生や食味の低下を生じさせる成分を除去できる。この理由は解明されていないが、臭気や食味を低下させる油脂成分及びいわゆるアク成分を除去できるとともに、酵素等を除去あるいは不活性化できるためであると推測できる。
【0020】
上記煮沸工程の温度は特に限定されることはないが、大気圧下では約100℃の沸騰温度で行われる。また、圧力釜等を利用して100℃以上の温度で煮沸工程を行うこともできる。上記煮沸工程を行う時間は、特に限定されることはなく、糠の種類や特性、製造される食品の目的等に応じて変更することができる。
【0021】
本願の請求項3に記載した発明のように、上記煮沸工程の後に糠を水で洗浄する後洗浄工程を行うのが望ましい。後洗浄工程を行うことにより、煮沸液に含まれる油脂成分や澱粉質成分が混入するのを防止できる。また、糠の繊維質成分等に付着している油脂成分等を除去できる。このため、食味をさらに改善することができる。
【0022】
また、上記煮沸工程を行う際に、請求項4に記載した発明のように、あく抜き剤を添加するのが望ましい。あく抜き剤として、たとえば、食塩及び重曹(炭酸水素ナトリウム)を採用するのが好ましい。食塩・重曹を加えて煮沸工程を行うことにより、浮上成分の生成を促進し、煮沸工程の効率を高めることができる。また、繊維質成分を柔らかくして、食味を改善する効果も期待できる。
【0023】
上記煮沸工程を行うことにより、油脂成分や澱粉成分の大部分を取り除くことができる。また、繊維成分を多孔質化して柔らかくすることができる。
【0024】
上記煮沸工程を終えた煮沸水あるいは上記後洗浄工程を終えた洗浄水から糠の沈澱成分を取り出し、脱水工程が行われる。脱水方法は特に限定されることはなく、目の細かい布等で水分を絞り出したり、フィルタを利用して圧縮濾過することができる。布あるいは濾過フィルタの目の大きさは特に限定されることはないが、糠の固形成分が通過しない程度で足りる。糠中の水分及び糊状の澱粉質を除去するために、ある程度の圧力を加えて脱水するのが望ましい。糠の集合体は多孔質であり、また、上記煮沸工程で繊維質自体に含有される水分保有量も増大しているからである。
【0025】
上記煮沸工程及び上記脱水工程を終えた糠は、繊維成分の占める割合が非常に大きくなり、上記繊維成分以外の成分が減少することになる。したがって、残留する栄養素等の量を考慮して、たとえば製造する食品の用途、目的等に応じて、上記煮沸工程及び上記脱水工程における加工程度を調節し、残留する栄養素の量を調節することもできる。
【0026】
上記脱水工程を終えた糠は、成形工程において所定の形状に成形される。上記成形工程において、適当な水分を添加することにより、成形性が高まる。この理由は明らかではないが、煮沸工程及び脱水工程において、繊維表面の油脂成分が除去され、糠を構成する粒子あるいは繊維成分の水分に対する親和性が高まったためであると推測できる。
【0027】
なお、成形工程における上記水分保有量は特に限定されることはなく、成形する形状等に応じて水分を調節すればよい。また、上記脱水工程終了後に連続して成形工程を行う場合には、上記脱水工程において成形に必要な水分が残留するように脱水操作を行うとよい。
【0028】
上記成形工程を終えた糠成形体は、所定の温度で焼成される。焼成温度は特に限定されることはないが、140℃〜200℃の範囲であることが望ましい。140℃以下であると、風味を高めることができない。一方、200℃以上に設定すると、焦げる恐れがある。焼成時間も特に限定されることはなく、水分がなくなり、表面が変色する程度で足りる。
【0029】
焼成方法も限定されることはなく、オーブンによって成形体の全体を加熱することもできるし、請求項7に記載した発明のように、加熱天板の上で140℃〜200℃で所定時間加熱することにより行うことができる。
【0030】
本願発明においては、上述した糠成分のみで保形性のある焼成成形体を形成することができる。この理由も明らかではないが、上述したように水分に対する親和性が高まることから各粒子の絡み合う程度が高まるとともに、残留した澱粉質が凝縮されて各糠粒子を接合し、あるいは水不溶性の油脂分等が焼成する際に浸出して各糠成分を接合するのではないかと考えられる。
【0031】
本願発明に係る製造方法によると、糠独特の食味、臭気等を大幅に改善することができるばかりでなく、たとえば、米糠100%で所定形状に成形した米糠食品を提供することが可能となった。
【0032】
さらに、請求項5に記載した発明のように、調味成分を添加する調味工程を含ませることもできる。調味工程を行うことにより、糠食品の食味をさらに高めることができる。調味方法は特に限定されることはないが、焼成前に行うのが望ましい。たとえば、成形工程前に調味料を添加したり、成形後に成形体に塗布することができる。
【0033】
特に、請求項6に記載した発明のように、上記脱水工程において得られた糠成分を、調味料を含む水溶液中で加熱することにより、調味工程を行うことができる。調味料を含む水溶液中で加熱することにより、糠繊維の内部にまで調味料を含ませ、従来にない食感を与えることができる。
【0034】
これは、上記煮沸工程及び上記脱水工程において、繊維質成分内の油脂成分が除去され、その部分に調味成分が含浸されるためであると考えられる。したがって、従来の糠食品のように咀嚼を繰り返しても味がなくなることはない。このため、糠のみから食品を製造した場合にも、違和感のない食品を製造することが可能となる。
【0035】
たとえば、黒砂糖水溶液に脱水工程を終えた糠を添加して、ほぼ水分がなくなるまで煮ることにより、繊維質成分の内部にまで糖成分を浸透させ、調味を施すことが可能となる。上記調味工程を終えた糠は、上述したと同様に成形され、焼成することができる。本願発明に係る糠食品は、調味量を繊維質自体に含浸させることができるため、従来の糠食品にない食味、食感を得ることができる。
【0036】
請求項8に記載した発明は、上記成形工程の前に保形成分を添加するものである。本願発明では、糠の食味を改善するため、煮沸工程及びこの前後に行われる洗浄工程において油脂成分及び澱粉成分の大部分が除去されている。したがって、焼成後の硬度が低下することがある。また、板状等の単純な形態に成形する場合に問題が生じないが、複雑な型を用いて成形する場合に保形性が低下することが考えられる。本願発明では、保形性を高め、あるいは食品の硬さを調節するため、保形成分を添加するものである。
【0037】
保形成分として種々のものを採用できる。米粉、小麦粉等の澱粉質の保形成分を添加することがきるばかりでなく、ゼラチン、油脂、寒天等を採用できる。また、食品の目的に応じて、たとえば、保形成分のカロリー等を考慮して選択するのが望ましい。なお、保形性を確保するための保形成分の配合割合は、5重量パーセント以下で足りる。
【0038】
特に、請求項9に記載した発明のように、上記洗浄工程において分離した粒状の澱粉成分を上記保形成分として利用することができる。なお、添加量は、成形時あるいは焼成後の保形性、食味等に応じて設定することができる。これにより、糠の成分を無駄なく利用できる。また、所望の硬さの糠食品を製造することができる。
【0039】
請求項10に記載した発明は、糠を水と攪拌して洗浄することにより、少なくとも澱粉質成分を除去あるいは減少させた糠成分を取り出す洗浄工程と、糠を水中で煮沸して加熱するとともに浮上成分を除去する煮沸工程と、上記煮沸工程を経た糠の沈澱成分を取り出し、この沈澱成分から水分を除去する脱水工程とを含む、糠食品中間体の製造方法に関するものである。
【0040】
上記煮沸工程及び上記脱水工程を経た糠は、食味が大幅に改善されるとともに保存性もよい。このため、種々の食品の配合材料としても利用することができる。
【0041】
なお、請求項11に記載した発明のように、澱粉質成分を効率よく除去するため、上記洗浄工程において、沈澱速度の違いを利用して澱粉質成分を分離除去するのが望ましい。
【0042】
また、食味をさらに改善するとともに保存性を高めるため、請求項12に記載した発明のように、上記煮沸工程の後に、後洗浄工程を行うのが望ましい。
【0043】
さらに、請求項13に記載した発明のように、上記脱水工程で得られた糠成分に調味料を含浸させた状態で中間体を構成してもよい。たとえば、塩味、砂糖味等の下味のみ付加しておいて、他の成分を主成分とするクッキー等に混合したり、最終製品を製造する際に再度味つけを行う再調味工程を行ったりすることができる。
【0044】
上記中間体の製造方法において、請求項14に記載した発明のように、上記脱水工程又は上記調味工程で得られた糠成分を乾燥させる乾燥工程を含ませるのが望ましい。乾燥工程によって水分を完全に除去した糠は、保存性が大幅に高められ、取扱が容易になる。一方、使用する際に水分を添加することにより、成形性、保形性等を付与することができる。
【0045】
本願の請求項15に記載した発明は、上記乾燥工程を経た糠成分を、所定の粒度に調整する粒度調整工程を含むものである。
【0046】
糠成分は、米等の精製を行ったままでは粒度が均一ではない。他の食品に配合する場合、食品に応じて舌触り等を改善する必要が生じることに対応したものである。粒度調節工程は、既知の粉砕機等を用いて行うことができる。なお、必ずしも、糠の粒度を均一にする必要はなく、保形性や食品の密度等を調節するために、特定の粒度分布になるように粒度調整工程を行うこともできる。もちろん、粒度を調節した糠のみを用いて糠食品を製造することもできる。
【0047】
請求項16に記載した発明は、上記糠食品中間体をあらかじめ製造しておき、最終製品を製造する際に上記糠食品中間体に水分を添加して成形する成形工程と、成形された糠食品中間体を焼成する焼成工程を行うものである。中間体の状態で保存、搬送等を行うことが可能となり、糠食品をどこでも容易に製造することが可能となる。また、製造コストを削減することもできる。
【0048】
請求項17に記載した発明は、請求項10から請求項15のいずれかに記載した方法で製造された糠食品中間体を、調味料を含む水溶液中で加熱して、調味成分を含浸させる再調味工程と、再調味工程を終えた上記糠成分を成形する成形工程と、上記成形された糠成分を焼成する焼成工程とを含む糠食品の製造方法に関するものである。
【0049】
本請求項に記載した方法によって、たとえば、下味のみを付けた糠食品中間体に二次的に種々の味つけを行い、食味の異なる糠食品を製造することが可能となる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を具体的に説明する。本実施の形態は、米糠に本願発明を適用した米糠食品の製造方法について説明する。
【0053】
本実施の形態に用いる米糠は、農薬等を用いずに有機栽培したものを使用するのが好ましい。また、米糠中の酵素によって、臭気、食味が低下しない間に本願発明に係る製造方法を適用して加工するのが望ましく、できれば、精米すなわち米糠製造から1〜3日以内に加工するのが望ましい。
【0054】
図2に示すように、まず、糠を水と攪拌して洗浄することにより、少なくとも澱粉質成分を除去あるいは減少させた糠成分を取り出す洗浄工程を行う(S1)。具体的には、米糠を多量の水と攪拌し、沈澱成分を取り出すことにより行われる。なお、澱粉質が糊状にならない温度以下の水を用いる必要がある。
【0055】
米糠中には、籾殻等の玄米成分以外の不純物が混入している恐れがある。また、胚乳の破片や米粉等の澱粉質が混入しあるいは付着していることも考えられる。さらに、糠成分自体に澱粉質を主成分とする部分も混在する。澱粉質成分が混入あるいは付着した状態で次の煮沸工程を行うと、煮沸水が糊状になって浮上成分を除去できなくなる。このため、煮沸工程を行う前に、上記澱粉質成分を可能な限り除去するのが望ましい。
【0056】
本実施の形態では、沈澱速度の差を利用して、上記不純物及び澱粉成分を分離除去する。すなわち、籾殻片等は浮上し、微粉状の澱粉質成分は洗浄水中に浮遊しあるいは沈澱速度が他の成分に比べて遅い。一方、胚乳片等の比較的大きな澱粉質成分は、繊維質成分等に比べて沈澱速度が早い。このため、流水を利用し、上記浮上成分、浮遊成分を除去するとともに、沈澱速度の差を利用して、粒状の澱粉質成分を分離除去する。
【0057】
上記方法を採用することにより、糠に含まれる澱粉質成分を効率よく分離除去することが可能となった。さらに、微粉状澱粉質成分等の浮遊成分を除去するため、洗浄水が透明になるまで、上記洗浄工程を十分に行うのが望ましい。また、沈澱速度差を利用して分離した粒状の澱粉質成分は、後に説明するように、成形工程ないし焼成工程における保形剤として利用することができる。
【0058】
次に、上記米糠成分に水を加えるとともに、食塩及び重曹を添加して煮沸する煮沸工程を行う(S2)。本実施の形態では、洗浄前の米糠1250ccに対して水3000ccを加えるとともに、食塩大さじ1(15cc)、重曹を小さじ1(5cc)を加えて煮沸する。煮沸工程は、浮上成分を丁寧に取り除くことにより行われる。上記浮上成分を除去することにより、米糠から油脂成分やあく成分を除去できる。また、煮沸水には、水溶性成分が溶け出す。
【0059】
上記煮沸工程を約15分行った後、脱水工程を行う(S3)。上記脱水工程は、上記煮沸工程を経た糠の沈澱成分を取り出し、この沈澱成分から水分を除去することにより行う。具体的には、米糠の固形分が流出しない程度の網目のフィルタあるいはざる等を利用して、圧力をかけて残滓成分を絞るようにして脱水操作を行う。これにより、表面張力等によって米糠集合体に含まれる水分を除去できる。また、上記脱水操作によって、米糠の水溶性成分も除去される。
【0060】
本実施の形態では、脱水した糠成分をさらに水で洗浄する後洗浄工程を行う(S4)これにより、繊維質成分に付着している油脂成分や澱粉質成分を除去することができる。本実施の形態では、脱水工程及び後洗浄工程後をそれぞれ1回行い、米糠は約700ccとなった。なお、糠の種類や特性に応じて、上記煮沸工程、上記脱水工程及び上記後洗浄工程を複数回行うこともできる。
【0061】
次に、上記後洗浄工程を経た米糠に調味工程を施す(S5)。本実施の形態では、水500ccに黒砂糖60グラムを添加加熱して調味液を造り、この調味液に、上記後洗浄工程を終えた米糠を添加する。なお、米糠は洗浄水をある程度除去しておくのが望ましい。また、上記調味工程において使用する水は、ミネラルウオータ、温泉水等の天然水を採用するのが望ましい。上記米糠は、上記煮沸工程において油脂分が除去されているため、上記調味成分を繊維の奥深くまで浸透させることができる。
【0062】
本願発明においては、調味料を繊維質に含浸させることができるため、従来の米糠食品についての問題点であった後味が大幅に改善される。
【0063】
なお、次に説明する成形及び焼成工程を続けて行う場合には、成形可能な程度の水分を残留させる程度に煮詰めるとよい。また、上記調味工程の最終段階で、液体以外の調味成分を添加することができる。たとえば、ごま等の固形成分や香辛料等を混合することができる。
【0064】
上記調味工程を終えた米糠成分は、ある程度の水分存在下で所望の形態に成形する(S6)。たとえば、薄板状に成形することもできるし、他の形態に成形してもよい。
【0065】
本実施の形態では、160℃に加熱した加熱天板上で、薄板状に成形するとほぼ同時に焼成工程を行う(S7)。天板に焦げつかないように、シリコンペーパー等を介して焼成工程を行うこともできる。焼成時間は、特に限定されることはないが、表面に多少の焦げ目が付く状態が好ましく、約16〜20分程度焼成する。なお、所定の形状に成形した後に乾燥させ、その後に焼成工程を行うこともできる。また、成形型等を用いて成形した後に、加熱天板以外の加熱器具で焼成工程を行うこともできる。
【0066】
上記焼成した米糠食品を自然冷却して、本実施の形態に係る米糠食品が出来上がる。
【0067】
上述したように、本実施の形態に係る米糠食品は、調味料以外の成分を全く加えていない。このため、米糠を極めて有効に利用しているといえる。
【0068】
しかも、油脂成分及び酵素成分が、除去されあるいは不活性化されているため、長期間保存しても変質したり風味が低下することはない。
【0069】
また、調味工程において、繊維質自体に調味成分を含浸させているため、食味が大幅に改善されている。
【0070】
本願発明は、上述した実施の形態に限定されることはない。実施の形態では、米糠に本願発明を適用したが、他の穀物の糠に適用することもできる。たとえば、「ふすま」と呼ばれる小麦糠等にも本願発明を適用できる。
【0071】
また、成形工程の前に調味工程を行ったが、調味工程を行わずに成形工程及び焼成工程を行うこともできる。
【0072】
また、実施の形態では、調味工程において、黒砂糖の味つけを施したが、香辛料、たとえば唐辛子、生姜等を水に添加して含ませ、米糠食品の下味として辛味あるいは香味のみを付加することもできる。
【0073】
また、調味工程において、ごま、ナッツ類、茶葉、種類等の歯応えのある固形成分を加えることにより、食する際の咀嚼時間を調節して従来の米糠食品の食感と異なる食品を製造することもできる。特に、クミンシード、粒山椒を添加することにより、辛味及び歯応えを付加することができる。
【0074】
また、実施の形態では、米糠原料から米糠食品まで各工程を連続的に行ったが、脱水工程あるいは調味工程を終えた後に乾燥させて、粉体状の中間体として保存しておき、米糠食品を製造する際に水分を添加して成形し、焼成することもできる。
【0075】
さらに、上記脱水工程あるいは調味工程をおえた米糠食品中間体を、他の食品に配合することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】米の構造を説明する断面図である。
【図2】本願発明に係る糠食品の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
S1 洗浄工程
S2 煮沸工程
S3 脱水工程
S6 調味工程
S7 焼成工程

Claims (17)

  1. 糠を水と攪拌して洗浄することにより、少なくとも澱粉質成分を除去あるいは減少させた糠成分を取り出す洗浄工程と、上記洗浄工程を行った糠を水中で煮沸して加熱するとともに浮上成分を除去する煮沸工程と、上記煮沸工程を経た糠の沈澱成分を取り出し、この沈澱成分から水分を除去する脱水工程と、上記脱水工程において得られた糠成分を成形する成形工程と、上記成形工程において成形した成形体を焼成する焼成工程とを含む、糠食品の製造方法。
  2. 上記洗浄工程において、沈澱速度の違いを利用して上記澱粉質成分を分離除去する、請求項1に記載の糠食品の製造方法。
  3. 上記煮沸工程の後に糠を水で洗浄する後洗浄工程を行う、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の糠食品の製造方法。
  4. 上記煮沸工程において、あく抜き剤を添加する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の糠食品の製造方法。
  5. 調味成分を添加する調味工程を含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の糠食品の製造方法。
  6. 上記調味工程は、上記脱水工程を経た糠成分を、調味料を含む水溶液中で加熱することにより行われる、請求項5に記載の糠食品の製造方法。
  7. 上記焼成工程は、加熱天板の上で140℃〜200℃で所定時間加熱することにより行われる、請求項1から請求項6のいずれかに記載の糠食品の製造方法。
  8. 上記成形工程の前に保形成分を添加する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の糠食品の製造方法。
  9. 上記保形成分が、上記洗浄工程において分離した粒状の澱粉質成分である、請求項8に記載の糠食品の製造方法。
  10. 糠を水と攪拌して洗浄することにより、少なくとも澱粉質成分を除去あるいは減少させた糠成分を取り出す洗浄工程と、糠を水中で煮沸して加熱するとともに浮上成分を除去する煮沸工程と、上記煮沸工程を経た糠の沈澱成分を取り出し、この沈澱成分から水分を除去する脱水工程とを含む、糠食品中間体の製造方法。
  11. 上記洗浄工程において、沈澱速度の違いを利用して澱粉質成分を分離除去する、請求項10に記載の糠食品中間体の製造方法。
  12. 上記煮沸工程の後に、後洗浄工程を行う、請求項10又は請求項11のいずれかに記載の糠食品中間体の製造方法。
  13. 上記脱水工程を経た糠成分に調味料を含浸させる調味工程を含む、請求項10から請求項12のいずれかに記載した糠食品中間体の製造方法。
  14. 上記脱水工程又は上記調味工程を経た糠成分を乾燥させる乾燥工程を含む、請求項10から請求項13のいずれかに記載の糠食品中間体の製造方法。
  15. 上記乾燥工程を経た糠成分を、所定の粒度に調整する粒度調整工程を含む、請求項14に記載の糠食品中間体の製造方法。
  16. 請求項10から請求項15に記載した糠食品中間体に水分を添加して成形する成形工程と、成形された糠食品中間体を焼成する焼成工程を含む、糠食品の製造方法。
  17. 請求項10から請求項15のいずれかに記載した方法で製造された糠食品中間体を、調味料を含む水溶液中で加熱して、調味成分を含浸させる再調味工程と、再調味工程を終えた上記糠成分を成形する成形工程と、上記成形された糠成分を焼成する焼成工程とを含む、糠食品の製造方法。
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