JP4292881B2 - 櫛付キャップ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布液を収納した容器の口部に取り付けられ、その塗布に用いられる櫛付キャップと塗布用具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ヘアカラー、ヘアマニュキュア等の毛髪染毛剤、毛髪脱色剤、スタイリング剤等の毛髪化粧料を毛髪に塗布する塗布用具として、図５に示すように、毛髪化粧料を収納したスクイズ容器１の口部２に取り付けられる櫛付キャップ１０Ｘが使用されている。
【０００３】
この櫛付キャップ１０Ｘは、スクイズ容器１の口部２に螺合するキャップ部２０と櫛歯部３０とからなり、櫛歯部３０は、キャップ部２０の頂面２１に起立した複数の板状櫛歯３１が、該板状櫛歯３１の厚み方向に列設されたものとなっている。同図（ｂ）に示したように、板状櫛歯３１には容器１の内部に連通する毛髪化粧料の通液路３２が形成されており、通液路３２の一端が板状櫛歯３１の先端部において毛髪化粧料の吐出孔３３として開口している。
【０００４】
この櫛付キャップ１０Ｘの使用時には、スクイズ容器１を倒立させて櫛歯部３０を毛髪に当て、容器１を押圧することにより吐出孔３３から毛髪化粧料を吐出させつつ、櫛歯部３０で毛髪を梳く。これにより、毛髪化粧料の吐出操作と塗布操作を同時にできるので、毛髪化粧料の毛髪への塗布を簡便に行うことが可能となる。
【０００５】
このような櫛付キャップにおいて、液保持性をよくするために、図６に示したように、吐出孔３３上に液溜スペース３４を形成し、さらに染毛作業中の染毛剤の液垂れを防止するために、板状櫛歯３１よりも幅狭の板状片を液垂防止片５０として板状櫛歯３１のすぐ隣りに立設させることが提案されている（特許文献１）。この場合、液垂防止片５０と板状櫛歯３１は、双方の下半分程度が連続している。
【０００６】
また、染毛時に板状櫛歯を頭皮に対して垂直に当てるための位置決め用に、図７に示したように、板状櫛歯３１の列の両側に円柱状の副櫛歯片５１を列設させることが提案されている（特許文献２）。
【０００７】
【特許文献１】
特開２００１−１９０１５号公報、図５
【特許文献２】
特開２００２−１９１４２７号公報、図３
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、板状櫛歯をその厚み方向に列設させた従来の櫛付キャップにおいて、毛髪への塗布量を多くするには、板状櫛歯３１同士の間隔を狭めるか、あるいは、板状櫛歯３１の幅を広げることが必要となり、一方、染毛時の櫛通りをよくするためには、板状櫛歯３１同士の間隔を広げ、あるいは板状櫛歯３１の幅を狭めることが必要となる。そのため、櫛歯部における毛髪化粧料の液保持性を高め、毛髪への毛髪化粧料の塗布量を多くすることと、毛髪化粧料を毛髪に塗布する際の櫛通りを向上させることを共に満足させることは困難であった。
【０００９】
また、図７に示したように、板状櫛歯３１の列の両側に円柱状の副櫛歯片５１を列設させると、櫛歯部３０全体としての幅Ｗが広くなり、染毛時に、所望の部位を狙って髪を梳くことが困難となる。
【００１０】
これに対し、本発明は、板状櫛歯が、その厚み方向に列設している櫛歯部を有する櫛付キャップを用いて、毛髪化粧料その他の塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布する際に、被塗布体への塗布量を十分に確保しつつ櫛通りを改善することを目的とする。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
キャップ部上に起立した複数の板状櫛歯が、その厚み方向に列設している櫛付キャップにおいて、板状櫛歯をその基部においては一列に重なるように配列すると共に先端部において先細に形成し、かつ、板状櫛歯の基部から板状櫛歯より細径の櫛歯を起立させ、板状櫛歯の基部上で、板状櫛歯と細径の櫛歯が隣り合う板状櫛歯同士で互い違いとなる千鳥配列とすると、板状櫛歯の先端部は幅狭となり、隣り合う板状櫛歯同士の間隔が広くなるので櫛通りがよく、かつ板状櫛歯の基部においては、板状櫛歯の幅が広く、隣合う板状櫛歯同士の間隔が狭くなるので液保持性が向上し、毛髪化粧料等の塗布液の塗布量が低下しないこと、さらに、細径の櫛歯を板状櫛歯に併設したことによっても液保持性が高まり、また、櫛通りが向上することを本発明者は見出した。
【００１２】
即ち、本発明は、塗布液を収容した容器に取り付けられるキャップ部、及びキャップ部上に起立した複数の板状櫛歯と該板状櫛歯の基部から起立した板状櫛歯より細径の櫛歯を有する櫛歯部からなる櫛付キャップであって、
板状櫛歯が容器内部に連通する通液路を有し、通液路の一端が板状櫛歯の先端部において塗布液の吐出孔として開口し、
板状櫛歯はその厚み方向に一列に配列され、先端部の幅が先細であり、
前記基部上で板状櫛歯と細径の櫛歯が千鳥配列となっている櫛付キャップを提供する。
【００１３】
また、本発明は、上述の櫛付キャップを、塗布液を収容した容器に装着した塗布用具を提供する。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【００１５】
図１は、本発明の一実施例の櫛付キャップ１０Ａをスクイズ容器１の口部２に取り付けた本発明の一実施例の塗布用具の斜視図であり、図２は、この櫛付キャップ１０Ａの斜視図（ａ）、上面図（ｂ）、断面図（ｃ）及び側面図（ｄ）である。
【００１６】
この櫛付キャップ１０Ａは、スクイズ容器等の塗布液を収容した容器１の口部２に螺合により取り付けられるキャップ部２０と櫛歯部３０からなる。櫛歯部３０は、キャップ部２０上に起立した複数の板状櫛歯３１と、各板状櫛歯３１の基部３６から起立した板状櫛歯３１より細径の円柱状の櫛歯４０からなる。板状櫛歯３１はその厚み方向に列設され、先端部３５の幅が先細になっている。
【００１７】
なお、細径の櫛歯４０としては、図示したような円柱状に限らず、横断面形状が角柱や楕円等でもよい。毛髪を傷めない点からは円柱状が好ましい。
【００１８】
本発明において板状櫛歯とは、図２に示すように、その厚みに比べて幅方向の面積が十分に大きい平板状の高剛性材料からなる櫛歯をいう。
【００１９】
また、櫛歯４０が板状櫛歯３１より細径であるとは、櫛歯４０の横断面の径が、板状櫛歯３１の厚さ以下であることをいう。
【００２０】
板状櫛歯３１には、容器１の内部に連通する、塗布液の通液路３２が形成されている。通液路３２の一端は、隣合う板状櫛歯３１の対向面の先端部３５に、塗布液の吐出孔３３として開口しており、その開口面は板状櫛歯３１の長手方向に対して平行となっている。このように吐出孔３３を、隣合う板状櫛歯３１の対向面に形成することにより、毛髪等の被塗布体を板状櫛歯３１で梳いた場合に、塗布液を効率よく被塗布体に付着させることができ、また、塗布している間に容器１を一時的に正立させた場合に、板状櫛歯３１に付着していた塗布液を、後述する液受け部３８に効率よく溜めることができる。
【００２１】
また、この櫛付キャップ１０Ａの特徴として、各板状櫛歯３１はその基部３６において同一幅に形成されており、一列に重なり合って配列しているが、基部３６上では、板状櫛歯３１と細径の櫛歯４０とが、隣り合う板状櫛歯３１同士で左右互い違いとなる千鳥配列になっている。このため、板状櫛歯３１の先端部３５において隣り合う板状櫛歯３１のピッチＰ1 は、先端部３５と円柱状櫛歯４０とが分離していない板状櫛歯３１の基部３６において隣り合う板状櫛歯３１のピッチＰ2 の２倍となっている。したがって、この櫛付キャップ１０Ａを用いて塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布する際の櫛通りは、先端部３５の櫛歯ピッチＰ1 が広く、また、板状櫛歯３１に細径の櫛歯４０が併設されていることによって良好となる。
【００２２】
一方、櫛付キャップ１０Ａを用いて毛髪等を梳いている間に、板状櫛歯３１の基部３６にも毛髪等は通るようになり、板状櫛歯３１の基部３６に保持されていた塗布液が毛髪等に塗布されるところ、板状櫛歯３１の基部３６では、櫛歯ピッチＰ2 が狭く、また、板状櫛歯３１の幅も広い。さらに、基部３６上には細径の櫛歯４０が千鳥配列されている。したがって、板状櫛歯３１の基部３６側の液保持性が著しく高まり、塗布液の毛髪等の被塗布体への塗布量が向上したものとなる。
【００２３】
これに対して、板状櫛歯３１の基部３６を先端部３５と同様に幅狭に形成し、細径の櫛歯４０を形成しない場合には、板状櫛歯３１は櫛歯全体として千鳥配列となり、基部３６のピッチが先端部３５のピッチＰ1と同様に広くなる。このため、毛髪等の被塗布体への塗布量が、単に基部３６を幅狭にしたことによって低下するだけでなく、基部３６のピッチが広がることによっても低下するので好ましくない。
【００２４】
また、この櫛付キャップ１０Ａによれば、基部３６上で板状櫛歯３１と細径の櫛歯４０を千鳥配列としたことにより、図７のように板状櫛歯３１の両側に副櫛歯片を設けたものに対して、櫛歯部３０の全体としての幅を狭くすることができる。したがって、染毛時に、所望の部位を狙って髪を梳くことが容易となる。
【００２５】
さらにこの櫛付キャップ１０Ａにおいては、板状櫛歯３１の先端部３５の頂部３５ａが、一列に配列している。したがって、染毛時に、所望の部位の頭髪を狙って髪を梳くことがいっそう容易となる。
【００２６】
櫛付キャップ１０Ａにおいて、基部３６上の板状櫛歯３１の先端部３５の高さＬ1、細径の櫛歯４０の高さＬ2 、板状櫛歯３１に形成された吐出孔３３の基部３６上の高さＬ8 は、液保持性、頭皮への刺激、髪毛の梳き性の点から、Ｌ8 ＜Ｌ2 ≦Ｌ1 とすることが好ましい。特に、頭皮への刺激を和らげる点からはＬ2 ＜Ｌ1が好ましく 、Ｌ8 ＜Ｌ2 ＜Ｌ1 がより好ましい。
【００２７】
また、この櫛付キャップ１０Ａには、隣り合う板状櫛歯３１間の櫛歯基面３７に、その中央部が板状櫛歯３１の縁部側に対して凹んだ液受け部３８が形成されている。これにより、櫛付キャップ１０Ａを取り付けた容器１で塗布液を塗布する間に、一時的にその容器を正立後しばらく放置しても、板状櫛歯３１の表面に付着した塗布液は矢印Ｐのように液受け部３８に溜まるので、容器１の側面への液だれを防止することができる。さらに、液受け部３８に塗布液が溜まった後、再度この櫛付キャップ１０Ａを用いて塗布液を塗布すると、液受け部３８に溜まった塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布できるので、塗布液の無駄をなくすことができる。
【００２８】
ここで、液受け部３８の深さＬ3 は３〜１０ｍｍとすることが、液だれを防止し、かつ櫛通りをよくする点から好ましい。液受け部３８の深さＬ3 が浅すぎると液だれを有効に防止することができず、反対に深すぎると溜まった塗布液が排出されにくくなるおそれがある。
【００２９】
なお、板状櫛歯３１の基部３６の幅Ｌ4 、吐出孔３３付近の厚みＬ5 、間隔Ｌ6 には特に制限はなく、例えば、幅Ｌ4 １０〜２０ｍｍ、厚みＬ5 １〜３ｍｍ、間隔Ｌ6 １〜３ｍｍとする。細径の円柱状櫛歯４０の直径は１〜３ｍｍとする。
【００３０】
図３の櫛付キャップ１０Ｂは、図２の櫛付キャップ１０Ａにおいて、板状櫛歯３１の先端部３５の頂部３５ａを細径の円柱状に形成し、その細径の円柱状の頂部３５ａを一列に配列したものである。このように板状櫛歯３１の頂部３５ａを細径の円柱状にすることにより、板状櫛歯３１で毛髪等の被塗布体を梳く場合に、所望の位置を狙って梳くことがいっそう容易となる。また、頭皮に板状櫛歯３１が当たっている感触がわかりやすくなり、さらに、頭皮に塗布液がつくことを極力抑えつつ、髪の根元にまで塗布液を十分につけることが容易となる。
【００３１】
図４は、さらに異なる実施例の櫛付キャップ１０Ｃの斜視図（ａ）、上面図（ｂ）、断面図（ｃ）、及び側面図（ｄ）である。
【００３２】
この櫛付キャップ１０Ｃは、図３の櫛付キャップ１０Ｂに対して、櫛歯部３０を囲むキャップ部２０の頂面２１を水平にし、その周縁部に高さＬ7 １〜５ｍｍの凸条２２を形成したものである。この凸条２２が無い場合には、板状櫛歯３１の縁辺を矢印Ｑのようにつたう少量の液だれが容器１の側面にまでつたうことを防止できないが、この凸条２２を設けることにより、かかる液だれが容器１の側面につたうことを防止できる。
【００３３】
本発明の櫛付キャップを装着する容器１は、塗布液を収納でき、櫛付キャップを装着できればよく、例えば、合成樹脂製スクイズ容器とすることができる。
【００３４】
本発明の櫛付キャップを用いて塗布する塗布液の種類は、通液路３２を通して吐出孔３３から吐出させることができる粘度の液剤であれば特に限定されず、人毛あるいは獣毛に適用する種々のヘアカラー、ヘアマニュキュア等の染毛剤、脱色剤、シャンプー、リンス、トリートメント、スタイリング剤等の化粧料、犬や猫等の獣毛あるいは表皮に塗布する蚤取り剤等の薬液、天然あるいは合成の糸束あるいは房状製品の染色液、脱色液、マスキング液などの塗布に使用することができる。
【００３５】
特に、染毛剤又は毛髪脱色剤の塗布に用いると、櫛通りよく、十分な塗布量でそれらを塗布することができ、また、櫛付キャップに液受け部３８を設けた場合には、それらが容器の側面に液だれすることを防止し、周囲が不要に染色あるいは脱色されることを防止できるので好ましい。したがって、染毛剤又は毛髪脱色剤を収容した容器に本発明の櫛付キャップを装着した本発明の塗布用具は、毛髪化粧料製品として使い勝手がよく、製品価値の高いものとなる。
【００３６】
【発明の効果】
本発明の櫛付キャップによれば、板状櫛歯を列設した櫛歯部を有する櫛付キャップを取り付けた容器を用いて、毛髪化粧料その他の塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布する際に、被塗布体への塗布量を十分に確保しつつ櫛通りを改善することができる。また、染毛時に、所望の部位を狙って髪を梳くことが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 実施例の櫛付キャップをスクイズ容器に取り付けた実施例の塗布用具の斜視図である。
【図２】 実施例の櫛付キャップの斜視図（ａ）、上面図（ｂ）、断面図（ｃ）、側面図（ｄ）である。
【図３】 実施例の櫛付キャップの斜視図（ａ）、上面図（ｂ）、断面図（ｃ）、側面図（ｄ）である。
【図４】 実施例の櫛付キャップの斜視図（ａ）、上面図（ｂ）、断面図（ｃ）、側面図（ｄ）である。
【図５】 従来の櫛付キャップを取り付けた塗布用具の斜視図（ａ）及び断面図（ｂ）である。
【図６】 従来の櫛付キャップの斜視図である。
【図７】 従来の櫛付キャップの斜視図である。
【符号の説明】
１ スクイズ容器又は容器
２ 口部
１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃ 実施例の櫛付キャップ
２０ キャップ部
２２ 凸条
３０ 櫛歯部
３１ 板状櫛歯
３２ 通液路
３３ 吐出孔
３５ 先端部
３５ａ 頂部
３６ 基部
３７ 櫛歯基面
３８ 液受け部
４０ 細径の円柱状の櫛歯
Ｗ 櫛歯部全体としての幅

Claims (7)

1. 塗布液を収容した容器に取り付けられるキャップ部、及びキャップ部上に起立した複数の板状櫛歯と該板状櫛歯の基部から起立した該板状櫛歯より細径の櫛歯を有する櫛歯部からなる櫛付キャップであって、
   板状櫛歯が容器内部に連通する通液路を有し、通液路の一端が板状櫛歯の先端部において塗布液の吐出孔として開口し、
   板状櫛歯はその厚み方向に一列に配列され、先端部の幅が先細であり、
   前記基部上で板状櫛歯と細径の櫛歯が千鳥配列となっている櫛付キャップ。
2. 隣り合う板状櫛歯間の櫛歯基面に、その中央部が板状櫛歯の縁部側に対して凹んだ液受け部が形成されている請求項１記載の櫛付キャップ。
3. キャップ部の頂面に櫛歯部を囲む凸条が形成されている請求項１記載の櫛付キャップ。
4. 板状櫛歯の先端部の頂部が、一列に配列している請求項１記載の櫛付キャップ。
5. 板状櫛歯の先端部が、細径の円柱状の頂部を有する請求項１記載の櫛付キャップ。
6. 請求項１〜５のいずれかに記載の櫛付キャップを、塗布液を収容した容器に装着した塗布用具。
7. 塗布液が、染毛剤又は毛髪脱色剤である請求項６記載の塗布用具。

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