JP4292793B2 - 有機溶剤含有ガス処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械工業、電子工業、クリーニング業などの各種の産業において、脱脂や洗浄剤として使用した後のトリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、クロロホルムなどの有機溶剤を含有した廃液によって汚染された地下土壌を浄化する有機溶剤汚染土壌の浄化処理装置に関するもので、真空ポンプなどにより、土壌より吸引された被処理ガスを対象に、これらの有機塩素溶剤を浄化するとともに回収するための装置に関する。本装置は、各種工業において、洗浄工程、乾燥工程より排出される塩素系有機溶剤の回収目的にも適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、塩素系有機溶剤によって汚染された地下土壌を浄化する装置としては、有機溶剤による汚染の可能性の有る地下土壌中に、多数の通気孔を分散して形成した多孔管を埋設するとともに、それらの多孔管と真空ポンプとを開閉弁を介装した配管を介して接続し、地下土壌中の有機溶剤を真空吸引により抽気して効率良く除去し、地下土壌とその下方の不透水層との間に形成される帯水層を流れる地下水の汚染を防止するようにしている。
更に、真空ポンプにクーリングタワーなどの散気装置を接続し、抽気分中に混じっている水分中の有機溶剤を曝気効果により除去して浄化し、その浄化した水を放流するとともに除去された気体を大気中に放出している。クーリングタワーは、内部に水分供給用のノズルと水分拡散用の波板と電動モータで駆動する送風ファンとを備え、ノズルから供給されるとともに波板で拡散されている水分に空気を接触させ、水分中の有機溶剤を空気中に移行して除去できるようになっている。
しかしながら、この方法の場合に、抽気した有機溶剤を大気中に放出しているため、大気汚染などの二次的な汚染やオゾン層の破壊といった地球的な環境破壊を発生する欠点があった。そこでその改良版として提案されている方法および装置は、有機溶剤を含有する土壌中に多孔管を埋設し、その多孔管を通して真空吸引装置により有機溶剤を吸引し、吸引した有機溶剤含有ガスを活性炭素材製吸着材に供給して有機溶剤を吸着処理する方法および装置である。また吸着した有機溶剤は、前記活性炭素材製吸着材に加熱水蒸気を供給して、脱着回収するという構成のものである。これらの工程は、幅広く知られ何件か提案もされ、工業的にも採用されている。
【0003】
これら従来の技術においての有機溶剤含有ガスの処理は、詳細には、図4に示すようなシステム構成にて採用されている。図4において、塩素系有機溶剤を含むガスは、図の左下側から被処理ガス1として導入される。これは送風手段により27により圧送されて、切替弁またはダンパである(以降この記号は、切替え弁または切替えダンパを示す)28または29により吸着材30または31が充填された吸着塔32または33に入る。左側32が吸着系で右側33が脱離系と想定すると、吸着剤30により塩素系有機溶剤は、吸着され、34の切替え弁を介して、処理済みガスとして排気される。一方、脱離系では、左側上部より水蒸気が導入され、弁36は閉じているので、弁37を介して、脱離系33の充填塔に水蒸気が導入される。吸着剤31は、すでにそれまでの吸着操作により吸着能力が飽和した状況にある。水蒸気の導入により、すでに吸着していた有機溶剤は、水蒸気と共にガスとして脱離して弁39を介して、下部に送られ、凝縮手段40により凝縮し、液化する。凝縮液は、その下部のデカンタ等の分離装置41で一部分溶解するが、比重差で水と溶剤の2層に分離する。例えば、トリクロロエチレンのような水より比重の大きい物質であれば、上部に水、下部に有機溶剤となる。分離装置41で分離した有機溶剤は、回収手段42により回収される。一部の有機溶剤を溶解した水は、曝気槽43に送られる。曝気槽43に送られた溶剤は、空気を送気手段44で送られ曝気され、揮発性が大きいので配管系によりもとの被処理ガス1へと送り込まれる。曝気槽43で溶剤が抜かれた水は、排水される。従来技術において、主としてこのような装置の系で、塩素系有機溶剤を含むガスが回収処理されてきた。
【0004】
【特許文献1】
特公平4−66605号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】
特開平08−150319号公報(第2−3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の処理装置においては、以下の課題があった。すなわち吸着剤である活性炭系素材の吸着脱離特性から、塩素系有機溶剤の濃度が低くなると活性炭系素材の吸着剤から有機溶剤が脱離せずまた分離手段にて有効に回収できないという課題があった。特に塩素系有機溶剤の濃度が50ppm以下になると従来技術の構成では適用できないという課題があった。また従来の技術では、曝気ガスを入口に戻した際に、一時的に処理ガス濃度が高くなり、操作条件により、処理ガス側に有機溶剤の一部が早くからリークしてしまう場合がある。そのため吸着塔の有機溶剤の吸着特性から期待される時間以前で吸着操作を停止して切替える必要が頻繁に発生し、吸着剤の利用効率も悪くなるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、50ppm以下の低濃度の溶剤を含むガスに有効に適用できることおよび循環連続動作が可能で吸着塔における吸着動作が安定しており、曝気槽からの有機溶剤の戻りによる濃度変動影響を少なく動作出来る低濃度溶剤含有ガスからの溶剤回収装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための、第1の発明は、請求項1に記載の通りの構成を要旨とする。
【0008】
第1の発明において、入口に有機溶剤含有ガスの送気手段を備え、出入口に備えた弁により吸着系と脱離系を交互に切替える複数の有機溶剤吸着塔と脱離系の後流に脱離ガスの凝縮手段と凝縮液の分離手段と有機溶剤の回収手段および曝気手段を備え、曝気手段より生じた曝気ガスを送気手段により再び入口に戻す構成の溶剤回収装置において、吸着塔の加熱手段を備え、前記凝縮手段の後流に分岐手段を配し、サンプリングする凝縮液の分析手段による凝縮液の組成分析値に基づき、切替え弁により、分離手段に送る流路と曝気手段に送る流路とを切替えて溶剤回収装置を構成する。従来技術の場合には吸着剤である活性炭の昇温脱離動作を行わせるため水蒸気を導入するが、吸着剤が昇温脱離するため水蒸気のエネルギーを充填吸着剤のみならず、吸着塔の加熱を行うためにも利用され余分の水蒸気が投入される。これにより後工程で処理する水の量が増えてしまう。これを吸着塔の加熱手段により行うので、後工程で処理する水分量を圧倒的に削減することができる。これにより、凝縮水の著しい減少が見込まれ、分離が有効に行われる。また、活性炭の特性で脱離ガスの組成として、脱着初期には有機溶剤が多く含まれ、時間が経過すると有機溶剤の含有量が減少するという特性を利用するのであるが、これを凝縮液の組成分析で確かめ脱離ガスの流路を有機溶剤量が多い時には、凝縮手段および分離手段へ脱離ガスを送り、少ない時には、曝気手段へ送ることで分離操作を有効に行うことができる。
【0009】
第2の発明は、請求項2に記載の通りの構成を要旨とする。
【0012】
第2の発明において、前記凝縮手段の後流側の系をタイマーおよび切替弁により、分離手段に送る流路と曝気手段に送る流路とを切替えて溶剤回収装置を構成する。これは、前項で記載した通りで、タイマーで流路を有効に切替え分離操作を有効に行うことができる。
【0013】
第3の発明は、請求項3に記載の通りの構成を要旨とする。
【0014】
第3の発明において、曝気ガスを入口に戻す流路に、新たなる有機溶剤吸着塔であって、その出入り口に切替え弁および加熱手段を備えてなる有機溶剤吸着塔を配し、当該吸着塔の脱離系の後流を前記凝縮手段に接続して溶剤回収装置を構成する。曝気排ガスは、比較的高濃度なため効率的に処理できる。曝気排ガスを戻すラインに吸着塔を設置することで、有効に有機溶剤を吸着脱離し、有効に回収できる。
【0015】
第4の発明は、請求項4に記載の通りの構成を要旨とする。
【0016】
第4の発明において、前記加熱手段として、水蒸気加熱コイルを用いるので、吸着塔に余分の水蒸気を投入することなく、吸着塔内の吸着剤の昇温脱離操作を有効に行わせることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態は、入口に有機溶剤含有ガスの送気手段を備え、出入口に備えた弁により吸着系と脱離系を交互に切替える複数の有機溶剤吸着塔と脱離系の後流に脱離ガスの凝縮手段と凝縮液の分離手段と有機溶剤の回収手段および曝気手段を備え、曝気手段より生じた曝気ガスを送気手段により再び入口に戻す構成の溶剤回収装置において、吸着塔の加熱手段を備え、前記凝縮手段の後流に分岐手段を配し、サンプリングする凝縮液の分析手段による凝縮液の組成分析値に基づき、切替え弁により、分離手段に送る流路と曝気手段に送る流路とを切替える構成を持つ。本構成により、有機溶剤含有ガスを切替えて吸着動作を行わせる吸着塔において有機溶剤を吸着剤の能力が飽和するまで吸着し、有機溶剤を含有しない処理空気は、有機溶剤が除去され大気中に放散される。吸着剤の吸着能力が飽和する時点で、新たな吸着塔での吸着操作に切替える。吸着能力が飽和した吸着塔については、吸着塔に備えた加熱手段により吸着塔を昇温し、脱離系より水蒸気を送気し、吸着剤が吸着した有機溶剤を脱離させる。脱離のための吸着塔の昇温に加熱水蒸気を用いていないので、吸着剤から脱離したガス成分は、それに加熱水蒸気分が余分に加算されること無く、水蒸気が相対的に少なく、有機溶剤濃度が濃い条件で動作させることができる。吸着塔に備えた加熱手段による吸着剤の昇温により、脱離したガスは有機溶剤の濃度が多い組成になり、以降の脱離系として後流にある凝縮手段で液化し、凝縮液の分離手段で有効に分離し、有機溶剤を効率的に回収手段で回収することができる。しかし凝縮手段や凝縮液の分離手段において、分離した水の中に有機溶剤の一部が溶解することは避けられないので、これについては曝気手段で回収し、再び吸着塔入口に戻し大気中へ揮散することを防止し、回収する。また、有機塩素系の有機溶剤の場合に、これらの有機溶剤は、揮散性が強いため、吸着塔の昇温脱離によって初期には、有機溶剤が脱離し、有機溶剤がリッチな脱離ガス組成となる。一定時間経過すると脱離ガスの組成は、相対的に有機溶剤が少なく、水蒸気が支配的な組成へと変化していく。そこで凝縮液の組成を凝縮手段の後流に配した分析手段により分析することで有機溶剤の濃度がリッチな組成の状態の時は、分離手段の方へ凝縮液を送り、有機溶剤の濃度が希薄になった時には、曝気手段の方へ凝縮液を送るように切替え弁により流路を切替え操作する。この操作により分離手段での分離効率が高くなり、有効に有機溶剤の回収ができる。分離手段での分離が困難な凝縮液の状態となった時には、曝気手段の方へ凝縮液は送られ、以降また曝気操作により吸着塔での吸着操作に戻される。なお分析手段としては、従来公知のVOCモニタ等を用いることが出来る。このようにして効率的な有機溶剤の回収が実施される。
【0019】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に記載の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置において、前記凝縮手段の後流側の系をタイマーおよび切替弁により、分離手段に送る流路と曝気手段に送る流路とを切替える構成を持つ。これは、吸着剤の吸着塔での脱離特性の計算や実験に基づき、凝縮液の組成が経時的にどのように変化するかを予め推測しておいて、適切なタイミングでタイマーにより、初期の分離手段に送る流路から定めた時間経過後の曝気手段に送る流路へと切替えるものである。先の第1の実施の形態と全く同様にして、分離手段での分離効率を高めて動作させることができ、有効に有機溶剤の回収が出来る。また曝気手段で水に溶解した有機溶剤も逃がさないことも先の第1の実施の形態の場合と同じである。
【0020】
本発明の第3の実施の形態は第1の実施の形態に記載の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置において、曝気ガスを入口に戻す流路に、新たなる有機溶剤吸着塔であって、その出入り口に切替え弁および加熱手段を備えてなる有機溶剤吸着塔を配し、当該吸着塔の脱離系の後流を前記凝縮手段に接続して構成する。これにより曝気ガスに含まれる比較的高濃度の有機溶剤を新たな有機溶剤吸着塔で処理するので、第1の実施の形態で記載の吸着系において曝気ガスを戻すことによる急激な濃度変動が無くなるために溶剤のスリップの懸念無く安定動作が実現する。また曝気ガスに含有する有機溶剤は、あらたな吸着塔で有効に吸着され、後は水蒸気による脱離操作で有効に回収される。このようにして効率的な動作と有機溶剤の回収が実現出来る。
【0021】
本発明の第4の実施の形態は、前記第1から第3の実施の形態に記載の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置において、前記加熱手段として、水蒸気加熱コイルを用いて構成するものである。水蒸気加熱コイルは、吸着塔を昇温するには、良好な加熱手段である。速熱性および温度制御性および均一加熱性などの面で優れた特性を備えているためである。水蒸気加熱コイルにて吸着塔内へ余分な水蒸気を導入することなく有効な吸着剤の昇温脱離操作を行うことができる。水蒸気を吸着塔内へ導入して吸着塔の昇温を行うと熱源で利用した水蒸気分が凝縮液の水分として追加加算されることになるので、分離手段での分離効率が悪くなる。本実施の形態においては、塔内への水蒸気の余分な投入はなく、あくまで水蒸気を用いるのは、加熱コイルを通しての間接加熱であるため分離手段での分離効率を悪化させること無く、例えば50ppm未満の低濃度の排ガス中の塩素系有機溶剤の回収の目的に好適である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
図1は、有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置に関する連続循環式の吸脱着例を示すフロー図である。有機溶剤含有ガスは、図1の左側から被処理ガス1と記載されている部分から導入される。導入されたガスは、送気手段1により、入口および出口に配置された流路切替弁(またはダンパ)2,3,12,13により切替えて活性炭や活性炭繊維やゼオライトなどの吸着剤6,7が充填された吸着塔4,5へと導入される。図1の2つの吸着塔について、左側の吸着塔4が吸着系として動作し、右側の吸着塔5は、脱離系として動作していると想定する。従って、弁3,13が閉じ、弁2,12が開かれている状態にある。吸着剤6により、有機溶剤は、吸着除去される。被処理ガスが、塩素系有機溶剤を含有した地下水の曝気ガスとすれば、吸着剤に有機溶剤が吸着される。吸着塔8で有機溶剤を除去された被処理ガスが、有機溶剤をほとんど含まない処理済みガスとして大気中へと放散される。このようにして有機溶剤を除去した排気ガスが得られる。吸着剤の特性およびその充填量、送気速度、有機溶剤濃度などにより吸着剤は、徐々に吸着能力を低下させ、吸着飽和となる。その途中で、処理済みガス中に有機溶剤が漏れ出すことになる。そのような状態になる前に弁2を閉じ、既にスタンバイ状態となっていた弁3が開かれ、今度は吸着動作は、吸着塔5で行われるようになる。このような動作が繰り返される。吸着塔5は、脱離系として想定しているので、吸着剤7は、有機溶剤を十分に吸着した状態にある。吸着塔に備えた加熱手段8,9について、8は動作停止で、加熱手段9が動作中で、加熱手段9の動作により、吸着塔5の温度は上昇する。弁10は閉じているので、弁11が開放されており、左上方に記載の水蒸気が送られ、溶剤を含んだ水蒸気が開放されている弁15を通して、後流の凝縮手段16に送られる。凝縮手段16で有機溶剤および水蒸気は液化する。凝縮液は、凝縮液の分離手段17で比重差により水と溶剤の2層に分離する。凝縮液の分離手段17で分離された有機溶剤は、有機溶剤回収手段18にて回収される。分離された水には有機溶剤が溶解しているので、曝気手段19に送られ、送気手段20により曝気され、有機溶剤を除去した水は排水される。有機溶剤を含む曝気空気は、スタートの被処理ガス1の所に戻される。ここで、凝縮手段16は、コンデンサのような冷却式の熱交換器を用いることが出来る。凝縮液の分離手段17としては、デカンターやハイドロサイクロンや遠心分離装置などの各種の液液分離手段を適用することが出来る。
このようにして、有機溶剤含有ガスからの溶剤回収が効率的に行われる。特に本実施例においては、脱離操作に加熱水蒸気を用いていないので、凝縮液の組成は有機溶剤濃度が高く動作でき、凝縮液の分離手段の良好な効率を維持して動作させることが出来る。したがって従来その回収が困難とされた50ppm未満の希薄な排ガスに対しても有効な排ガスの浄化および溶剤回収が可能となる。
【0023】
(実施例2)
図2は、本発明の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置に関する連続循環式の第2の吸脱着例を示すフロー図である。図2が実施例1の構成と異なるところは、脱離系において凝縮手段16の後流に3分岐採取弁21を設けて、凝縮手段により液化した凝縮液の一部を採取分析し、凝縮液の組成に応じて、切替え弁22、23の開閉を行うことで凝縮液の分離手段17に送る場合(すなわち弁22を開き、弁23を閉じる)と凝縮液の分離手段17には送らず、曝気手段19に送る場合とを切替えることが出来るようにした点である。凝縮液の組成について、有機溶剤の含有率が少ない状態の凝縮液をどんどん凝縮液の分離手段に送ると有機溶剤と水の分離効率が悪くなるので、凝縮液の組成を分析しながら、有機溶剤の含有率が高い状態で凝縮液の分離手段17の方へ凝縮液を送り、有機溶剤の含有率が低くなると凝縮液の分離手段17へは送らずに曝気手段19へ送る切替え動作を行うことで、分離効率を有効に動作させることが出来る。この装置もまた従来その回収が困難とされた50ppm未満の希薄な排ガスに対して有効な排ガスの浄化および溶剤回収が可能となる。
また切替えのタイミングをこの分析データに基づき把握しておけば、繰り返し動作の過程においては、タイマー等の手段を用いて切替えを行うことも出来る。
【0024】
(実施例3)
図3は、本発明の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置に関する連続循環式の第3の吸脱着例を示すフロー図である。図3が実施例の1,2と異なるところは、曝気手段19からの有機溶剤の曝気処理の際に、吸着剤25および加熱手段26を備えた吸着塔24を設け曝気手段19からの有機溶剤を有効に吸着し、大気放出させることが出来る。吸着塔24は、脱離操作においては、脱離用キャリアガスの導入下において加熱手段による吸着剤の昇温脱離を行い脱離ガス等は、同様に凝縮手段16に導入して凝縮液を得る。凝縮液は、凝縮液の組成分析に基づき流路を切替えるのは、実施例2の場合と同様である。本実施例の構成においては、被処理ガス1に戻さないので被処理ガス1の著しい濃度変動が生じる懸念もない。このようにして、安定して連続循環式で吸脱着動作を行うことが出来る。この装置もまた従来その回収が困難とされた50ppm未満の希薄な排ガスに対して有効な排ガスの浄化および溶剤回収が可能となる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明の低濃度溶剤含有ガスからの溶剤回収装置によれば、以下の効果が見込める。
(1)加熱水蒸気を導入して吸着剤の昇温脱離を行わないので50ppm以下の低濃度溶剤に対する有効な溶剤回収が見込める。
(2)凝縮手段において発生する凝縮液の組成を分析することにより系の流路切替えを行うことで、高い回収効率を実現できるようにしている。
(3)曝気手段からの溶剤回収に専用の吸着塔を用いるので、処理用排ガスの溶剤濃度が一時的に急上昇し、有機溶剤がスリップしてしまう懸念が無く、安定した吸着操作が可能となる。
などの特徴を備える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置に関する連続循環式の吸脱着例を示すフロー図
【図2】本発明の一実施例の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置に関する連続循環式の吸脱着例を示すフロー図
【図3】本発明の一実施例の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置に関する連続循環式の吸脱着例を示すフロー図
【図4】本発明の従来技術の有機溶剤含有ガスからの溶剤回収装置に関する連続循環式の吸脱着例を示すフロー図
【符号の説明】
4,5,24…吸着塔
6,7,25…吸着剤
8,9,26…加熱手段
16…凝縮手段
17…凝縮液の分離手段
18…有機溶剤の回収手段
19…曝気手段
Claims (4)
- 入口に備えた有機溶剤含有ガスの送気手段と、
出入口に備えた流路切替弁により吸着系と脱離系とを交互に切替えて有機溶剤を除去する複数の吸着塔と、
前記脱離系の後流に脱離ガスの凝縮手段、凝縮液の分離手段、有機溶剤の回収手段、および曝気手段とを備え、
前記曝気手段より生じた曝気ガスを送気手段により再び前記入口に戻す構成において、
前記吸着塔に加熱手段を備え、
前記凝縮手段の後流に配した分岐手段と、前記分岐手段を切替えて前記凝縮液をサンプリング採取する分析手段と、
前記分析手段による前記凝縮液の組成分析値に基づいて前記分離手段に送る流路と前記曝気手段に送る流路とを切替える切替え弁とにより構成することを特長とする有機溶剤含有ガス処理装置。 - 前記凝縮手段の後流において、タイマーに基づいて前記分離手段に送る流路と前記曝気手段に送る流路とを切替える切替え弁とにより構成することを特長とする請求項1記載の有機溶剤含有ガス処理装置。
- 前記曝気手段の後流において、
前記曝気ガスの有機溶剤を除去する別の吸着塔を接続してなる構成を特長とする請求項1または2記載の有機溶剤含有ガス処理装置。 - 前記加熱手段は水蒸気加熱コイルを用いて成ることを特長とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機溶剤含有ガス処理装置。
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