JP4291451B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は熱転写シートに関し、更に詳しくは耐熱性及び柔軟性を同時に有する被膜形成が可能であるウレタン変性アクリル樹脂を含む耐熱塗料からなる耐熱滑性層を有する熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種プラスチックフイルム、シート、樹脂成形体の表面の保護のために、所謂プラスチック塗料が知られている。プラスチックフイルムの1つの用途として熱転写シートがある。以下本発明の樹脂及び塗料の用途の1例として熱転写シートを挙げて本発明を説明する。該熱転写シートとしては、ポリエステルフイルム等の一方の面に昇華性染料とバインダーとからなる染料層を設けた昇華型熱転写シートと、該染料層の代わりに顔料とワックスとからなるインキ層を設けた熱溶融型の熱転写シートが知られている。これらの熱転写シートはその背面からサーマルヘッドによって画像状に加熱され、染料層の染料又はインキ層を被転写材に転写させて画像を形成するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記熱転写シートによりサーマルヘッドで画像形成を行う場合、基材フイルムがポリエステルフイルム等の熱可塑性フイルムである場合には、サーマルヘッドの熱によってサーマルヘッドが基材フイルムに融着して画像形成が困難であるという問題がある。このような問題を解決する方法として、耐熱性のある材料からなる耐熱滑性層を形成することが種々提案されている。従来の優れた耐熱滑性層は、水酸基を含有する熱可塑性樹脂とポリイソシアネートとからなる架橋硬化した耐熱滑性層である。
【0004】
上記のポリイソシアネートを架橋剤として使用して耐熱滑性層を形成する方法は、通常の耐熱性のある熱可塑性樹脂から形成した耐熱滑性層に比べて、耐熱性等の諸物性に優れているが、上記ポリイソシアネートを使用する方法では、ポリイソシアネートによる架橋を十分にするために熟成処理(例えば、60℃のオーブン中に5日間保持等)が要求され、熱転写シートの生産計画、熟成中の熱転写シートの保管場所の確保等に問題がある。又、これらの熱転写シートはロール状に巻かれて保管されるので、熱転写シートの色材層面とその裏面が接するために、背面層側へ染料層又はインキ層の着色剤が転移するという問題もある。
【0005】
又、通常の紫外線及び電子線等の電離放射線硬化性樹脂(エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等)を用いて耐熱滑性層を形成した場合には、耐熱滑性層の架橋密度が低いと耐熱性が劣り、一方、架橋密度が高いと形成される層の柔軟性が劣るという欠点がある。又、上記と同様な理由で背面層側へ染料層又はインキ層の着色剤が転移するという問題もある。
従って、本発明の目的は、優れた耐熱性、被膜性、柔軟性、スリップ性、サーマルヘッドの走行性及び背面の汚染防止性等の耐熱滑性層を有する熱転写シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、基材シートの一方の面に熱転写性色材層を形成し、他方の面に耐熱滑性層が形成されてなる熱転写シートにおいて、上記耐熱滑性層が下記構造式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂を被膜形成成分として含有する耐熱性塗料から形成されていることを特徴とする熱転写シートである。
Figure 0004291451
(式中、Zは下記のモノマーから誘導された嵩高い環状構造を有する基を表わし、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子又はメチル基を表わし、R2はC1〜C16の炭化水素基を表わし、X及びYは直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表わす。l(エル)とmとnとo(オー)とpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは5〜40、nは0〜50、oは10〜80、pは0〜40の整数とし、l(エル)とmとnとo(オー)とpの合計が100となる組み合わせを、それぞれの数値範囲から選択するものとする。)
[モノマー]:イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートまたはEO変性ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート。
【0007】
本発明によれば、熱転写シート等のプラスチックフイルム等に、優れた耐熱性、被膜性、柔軟性、スリップ性、サーマルヘッドの走行性及び背面の汚染防止性等を与えることができる耐熱性樹脂を提供することができる。特に、熱転写シートの耐熱滑性層の形成においては、形成される被膜の硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用できるために、層を形成した後の熟成処理は不要となり、染料層やインク層からの着色剤による背面の汚染がない耐熱滑性層を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明で使用するウレタン変性アクリル系樹脂は、例えば、好ましい1例として、メタクリル酸メチル20〜90モルと、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート等の嵩高い環状構造を有する基を有するビニルモノマー5〜40モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モルとを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂である。
【0009】
従って、上記メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが共重合体中に存在している全ての水酸基に反応している必要はなく、共重合体中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位の水酸基の少なくとも10モル%以上、好ましくは50モル%以上がメタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応していればよい。上記の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて又は併用して、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有するモノマーも使用することができる。
【0010】
以上の如く、従来の水酸基含有アクリル樹脂中に存在している水酸基を利用して、分子中に多数のメタクリロイル基を導入したウレタン変性アクリル系樹脂によって、例えば、熱転写シートの耐熱滑性層を形成する場合には、硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用できるために、層を形成した後の熟成処理は不要となり、しかも高架橋密度でありながら柔軟性及び耐熱性に優れた耐熱滑性層を形成することができる。しかもこれらの共重合体は側鎖に嵩高い構造を有する基を有しているので、耐熱滑性層を形成した場合に、耐熱滑性層を形成した場合に、熱転写シートをロール状に巻いて保管しておいても、この層の面に染料層やインキ層が接触しても該染料やインキが付着或いは移行することがなく、背面層が着色剤によって汚染されるという問題が解決されている。
【0011】
上記のウレタン変性アクリル系樹脂は、前記共重合体を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セロソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等の溶媒に溶解させ、この溶液を撹拌しながら、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下及び反応させることにより、イソシアネート基がアクリル系樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、該ウレタン結合を介して樹脂中にメタクリロイル基を導入することができる。この際使用するメタクリロイルオキシエチルイソシアネートの使用量は、アクリル系樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で水酸基1モル当たりイソシアネート基0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。尚、上記樹脂中の水酸基よりも当量以上のメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用する場合には、該メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは樹脂中のカルボキシル基とも反応して−CONH−CH2CH2−の連結を生じることもあり得る。
【0012】
以上の例は、前記構造式において、全てのR1及びR2がメチル基であり、X及びYがエチレン基である場合であるが、本発明は、これらに限定されず、6個のR1は夫々独立して水素原子又はメチル基であってもよく、更にR2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、置換又は未置換のフェニル基、置換又は未置換のベンジル基等が挙げられ、X及びYの具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ジエチレン基、ジプロピレン基等が挙げられる。
このようにして得られる本発明で使用するウレタン変性アクリル系樹脂は全体の分子量としては、GPCで測定した、標準ポリスチレン換算の分子量で1万〜20万、更に2〜4万であることがより好ましい。
尚、上記の嵩高い基を有するビニルモノマーとしては、例えば、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、EO変性ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートの如き、飽和又は不飽和基を有する脂環式5員環、6員環或いはそれ以上の嵩高い単環又は2〜3環系脂環式炭化水素基を有するモノマーであることが好ましい。
【0013】
次に本発明のウレタン変性アクリル系樹脂の製造例を示す。
製造例1(AP−170)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40g及びメチルエチルケトン(MEK)40gを仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)22.4g、メチルメタクリレート(MMA)53.4g、メタクリル酸(MAA)7.4g、イソボニルメタクリレート(IBM)22.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を加えて付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
【0014】
製造例2(AP−171)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60g及びMEK60gを仕込み、HEMA22.4g、MMA44.5g、MAA7.4g、IBM44.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50g及びMEK50gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40g及びMEK40gの混合液を加えて付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
【0015】
製造例3(AP−172)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40g及びMEK40gを仕込、み、HEMA22.4g、MMA53.4g、MAA7.4g、ジシクロペンタニルメタクリレート(DSPM)22.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を加えて付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
【0016】
製造例4(AP−173)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60g及びMEK60gを仕込み、HEMA22.4g、MMA44.5g、MAA7.4g、MAA7.4g、DSPM44.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50g及びMEK50gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40g及びMEK40gの混合液を加えて付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
【0017】
製造例5(AP−174)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80g及びMEK80gを仕込み、HEMA22.4g、MAA7.4g、シクロヘキシルメタクリレート(CHM)117.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60g及びMEK60gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60g及びMEK60gの混合液を加えて付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
以上で得られた本発明のウレタン変性アクリル系樹脂の組成と物性値を下記表1及び表2に示す。
【0018】
Figure 0004291451
【0019】
Figure 0004291451
【0020】
本発明の耐熱塗料は、上記本発明のウレタン変性アクリル系樹脂を被膜形成成分として、適当な有機溶剤に溶解してなることを特徴とする。使用する有機溶剤としては、上記したようなウレタン変性アクリル系樹脂を溶解する有機溶剤であれば何れでもよいが、塗工性や乾燥性を考慮すると、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられ、特にこれらの溶剤からなる混合系溶剤が好ましく使用される。
【0021】
上記塗料における前記ウレタン変性アクリル系樹脂の固形分濃度は特に限定されないが、一般的には重量基準で約1〜50重量%の濃度が好ましい。本発明の耐熱塗料は、その用途に従って各種の添加剤を含有することができる。これらの添加剤は形成される被膜に滑性、帯電防止性、更なる耐熱性等を付与する等の目的で使用される。これらの添加剤については以下の熱転写シートへの応用を代表例として更に詳しく説明する。
以上の本発明のウレタン変性アクリル系樹脂及び耐熱塗料の使用方法を、熱転写シートの耐熱滑性層の形成に応用する例を挙げて更に詳しく説明する。
【0022】
熱転写シートで使用する基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、0.5〜50μm、好ましくは2〜10μm程度の厚さの紙、各種加工紙、ポリエステルフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、アラミドフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、セロファン等であり、特に好ましいものはポリエステルフイルムである。これらの基材シートは枚葉式であってもよいし、連続フイルムであってもよく特に限定されない。これらの中で特に好ましいものはポリエチレンテレフタレートフイルムであり、又、必要に応じて該フイルムの一方の面又は両面に夫々プライマー層や接着層を形成することも好ましい。
【0023】
本発明では、必要に応じて上記のプライマー層や接着剤層を介して基材フイルムの表面に、前記耐熱塗料を用いて耐熱滑性層を形成する。又、本発明では上記の材料から耐熱滑性層を形成するに当たり、耐熱滑性層のスリップ性を更に向上させる目的で、シリルイソシアネート化合物(又はそれらの縮合物)、シラノール変性シリコンオイル、燐酸エステル化合物、少なくとも1個のフリーのイソシアネート基を有するイソシアネート変性シリコン化合物及びシリコン変性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記耐熱塗料に添加して使用することが好ましい。
【0024】
これらのシリルイソシアネート化合物としては、アルキルシリルイソシアネート系化合物:RnSi(NCO)4-n、アルコキシシランイソシアネート系化合物:(RO)nSi(NCO)4-n、及びテトライソシアネート系化合物:Si(NCO)4の3系列のシリルイソシアネート化合物が挙げられる。これらの化合物は、商品名「オルガチック−SI」で松本製薬工業から入手して使用することができる。
【0025】
これらのシリルイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、テトライソシアナトシラン〔Si(NCO)4〕、メチルシリルトリイソシアネート〔CH3Si(NCO)3〕、フェニルシリルトリイソシアネート〔C65Si(NCO)3〕、ジメチルシリルジイソシアネート〔(CH3)2Si(NCO)2〕、ジフェニルシリルジイソシアネート〔(C65)2Si(NCO)2〕、エチルシリルトリイソシアネート〔CH3CH2Si(NCO)3〕等が挙げられ、これらは一般式RnSi(NCO)4-n(n=0、1、2、R=CH3―、CH3CH2−、C65−等)で表される。
【0026】
これらのシリルイソシアネート化合物は、前記本発明のウレタン変性アクリル樹脂100重量部に対して約1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部の範囲で使用する。これらのシリルイソシアネート化合物は、形成される被膜の樹脂成分を架橋させるとともに、基材フイルムに対する被膜の密着性を向上させ、更に形成される被膜の滑性も向上させる作用がある。
【0027】
又、形成される耐熱滑性層の滑性を向上させる目的で、前記シリルイソシアネートとともにシラノール変性シリコンオイルを併用することが好ましい。このシラノール変性シリコンオイルは、下記式Aのように分子の両末端に水酸基を有するジメチルシリコンオイル、
Figure 0004291451
下記式Bのように分子片末端に水酸基を有するジメチルシリコンオイル、
Figure 0004291451
【0028】
下記式Cのように分子の末端に複数の水酸基を有するジメチルシリコンオイル、
Figure 0004291451
及び下記式Dのように分子の側鎖に複数の水酸基を有するジメチルシリコンオイル等のシラノール基含有シリコンオイルが挙げられる。
Figure 0004291451
上記式におけるn及びmは1以上の整数である。
【0029】
これらのシラノール基含有シリコンオイルは、前記本発明のウレタン変性アクリル樹脂100重量部に対して約0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲で使用する。これらのシラノール基含有シリコンオイルは、形成される被膜の被膜形成成分となるとともに、前記アクリル樹脂及び前記シリルイソシアネート化合物とも反応してブリードアウトしない滑剤として被膜の滑性を向上させる作用がある。
【0030】
上記のシリルイソシアネートとシラノール基含有シリコンオイルの加水分解及び縮合触媒成分として燐酸エステルを使用することが望ましい。燐酸エステルは、特に、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート等であり、一般式(RO)2P=O(OH)、ROP=O(OH)2(R=−C25、−C37、−C49、−C817、−C1327等)で表されるもので、酸性の燐酸エステルが好ましい。これらの酸性燐酸エステルは、前記本発明のウレタン変性アクリル樹脂100重量部に対して約0.05〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用する。
【0031】
本発明において特に好ましい態様は、前記シリルイソシアネートに対して、前記シラノール変性シリコンオイル及び/又は酸性燐酸エステルを併用する態様であって、特に上記3者を併用することが好ましい。併用する場合のこれらの成分の比率は、前記ウレタン変性アクリル樹脂に対する使用割合に相当する。これらの3成分を併用する場合には、これらの3成分を適当な溶剤、例えば、イソシアネート基に対して不活性である、エステル系、ケトン系、エーテル系、脂肪族系、塩素化脂肪族系等の溶剤に約5〜30重量%程度の濃度に溶解して使用することが好ましい。このような3成分を含む溶液の濃度は約2.5〜25.0重量部であり、該溶液は前記本発明のウレタン変性アクリル樹脂100重量部に対して約50〜800重量部、好ましくは100〜650重量部の範囲で使用する。
【0032】
又、本発明の別の好ましい実施形態では、上記の如き滑剤に代えて、或いは併用してシロキサン変性有機ポリイソシアネートを用いることができる。このイソシアネート変性有機ポリイソシアネートは、例えば、トルエン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート等の公知のポリイソシアネートと、アミノ変性シリコンオイル、エポキシ変性シリコンオイル、アルコール変性シリコンオイル、メルカプト変性シリコンオイル、カルボキシル変性シリコンオイル等の如き反応性シリコンオイルとを、フリーのイソシアネート基が少なくとも1個残るように反応させて得られる化合物である。このような化合物は、例えば、大日精化工業株式会社から商品名「ダイアロマーSP−901」等として入手して本発明で使用することができる。又、該化合物は特開平9−118084号公報に記載の方法で製造し且つ本発明で使用することができる。
【0033】
これらのシロキサン変性有機ポリイソシアネートは、前記本発明のウレタン変性アクリル樹脂100重量部に対して約1〜300重量部、好ましくは10〜 150重量部の範囲で使用することができる。これらのシロキサン変性有機ポリイソシアネートは、形成される被膜の樹脂成分を架橋させるとともに、染料等に対する防汚性や基材フィルムに対する被膜の密着性を向上させ、形成される被膜の滑性を向上させる作用がある。
【0034】
上記の材料の他にも耐熱滑性層のスリップ性を更に向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、界面活性剤、硫酸エステル、脂肪酸エステル等のエステル類等の熱離型剤や、シリコン或いはフッ素樹脂のような有機微粒子、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機微粒子等を含有することも出来る。特に、シリコン等の有機微粒子は、サーマルヘッド印加時における熱転写シートの走行性を安定化させることができるために好ましい。
【0035】
又、界面活性剤としては、ステアリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤が挙げられ、中でも特に固体の界面活性剤は、常温で固体のためにベタツキがなく、ブロッキングや裏移りが防止でき、それでいて、サーマルヘッドとの接触時にのみ表面にブリードアウトして、効果的に表面に滑り性を付与できるために好ましい。
【0036】
又、前記シリコンオイルの他にも、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、フェノール基、ポリエーテル基等の反応性有機基やポリエーテル基、メチルスチリル基、アルキル基、高級脂肪酸エステル基、アルコキシ基等の非反応性有機基をポリシロキサンの側鎖、両末端、片末端のいずれか/又は複数の部位に導入した各種のシリコンオイルを必要に応じて用いることができる。
【0037】
更に耐熱層の滑性を更に向上させるために、各種のシリコン変性樹脂も単独で或いは前記の各種の滑剤と併用することができる。このようなシリコン変性樹脂は、シリコンオイルによってポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を変性或いは反応性シリコンオイルと各樹脂の原料とを共重合したものであって、例えば、新中村化学(商品名UVR−8等)、大日精化工業(商品名ダイアロマーSP−2420等)、東亜合成(商品名XS−4500等)等から入手して本発明で使用することができる。これらのシリコン系化合物は、前記本発明のウレタン変性アクリル樹脂100重量部に対して約0.05〜100重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で使用することができる。
【0038】
又、最終的に得られる熱転写シートの帯電を防止するために、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン等の金属酸化物、各種金属アルコキシド、ITO粉末等の導電性フィラーやポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料を包含することができる。更に得られる耐熱滑性層の柔軟性や架橋密度を調整するために、通常の熱可塑性樹脂やアクリル系、その他の単官能又は多官能のモノマー、オリゴマー等を包含させることができる。
【0039】
例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート、2官能以上では、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートであり、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
【0040】
更に得られる耐熱滑性層の柔軟性や架橋密度を調整するために、通常の熱可塑性樹脂やアクリル系、その他の単官能又は多官能のモノマー、オリゴマー等を包含させることができる。
例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート、2官能以上では、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートであり、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
【0041】
更に詳しく述べると、2官能のモノマー、オリゴマーとしてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等、4官能のモノマー、オリゴマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしてはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。官能基数は特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、又、20以上では柔軟性が低下する傾向があるため、特に3〜20官能のものが好ましい。
【0042】
耐熱滑性層を形成するには、上記の如き材料をアセトン、MEK、トルエン、キシレン等の適当な溶剤中に溶解又は分散させて塗工液を調製し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用の塗工手段により塗工及び乾燥し、次いで紫外線や電子線等の電離放射線を照射して架橋成膜処理することによって形成される。
その塗工量即ち耐熱滑性層の厚みも重要であって、本発明では固形分基準で2.0g/m2以下、好ましくは0.1〜1.0g/m2の厚みで充分な性能を有する耐熱滑性層を形成することができる。厚みが0.1g/m2未満では耐熱滑性層としての性能が不十分であり、一方、厚みが2.0g/m2を超えると、サーマルヘッドから色材層への熱伝導性が低下するので好ましくない。
【0043】
上記基材シートの一方の面に形成する色材層としては、昇華型熱転写シートの場合には昇華性の染料を含む層を形成し、一方、熱溶融型の熱転写シートの場合には顔料で着色したワックスインキ層を形成する。以下昇華型熱転写シートの場合を代表例として説明するが、本発明は昇華型熱転写シートにのみ限定されるものではない。
【0044】
染料層に使用する染料としては、従来公知の熱転写シートに使用されている染料はいずれも本発明に有効に使用可能であり特に限定されていない。例えば、幾つかの好ましい染料としては、赤色染料として、MS Red G、Macrolex Red Violet R、Ceres Red7B、Samaron Red HBSL、Resolin Red F3BS等が挙げられ、又、黄色の染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、又、青色染料としては、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100等が挙げられる。
【0045】
上記の如き染料を担持するためのバインダー樹脂として好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、これらの中では、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系及びポリエステル系等の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましい。
【0046】
染料層は、前記の基材シートの一方の面に、以上の如き染料及びバインダーに必要に応じて添加剤、例えば、離型剤等を加えたものを、適当な有機溶剤に溶解したり或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の任意の形成手段により塗布及び乾燥して形成することができる。
【0047】
このようにして形成する染料層は0.2〜5.0μm、好ましくは0.4〜2.0μm程度の厚さであり、又、染料層中の昇華性染料は、染料層の重量の5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の量で存在する。形成する染料層は所望の画像がモノカラーである場合は前記染料のうちから1色を選んで形成し、又、所望の画像がフルカラー画像である場合には、例えば、適当なシアン、マゼンタ及びイエロー(更に必要に応じてブラック)を選択して、イエロー、マゼンタ及びシアン(更に必要に応じてブラック)の染料層を形成する。
【0048】
上記の如き熱転写シートを用いて、画像を形成するために使用する受像シートは、その記録面が前記の染料に対して染料受容性を有するものであればいかなるものでもよく、又、染料受容性を有しない紙、金属、ガラス、合成樹脂等である場合には、その少なくとも一方の表面に染料受容層を形成すればよい。又、熱溶融型の熱転写シートの場合には、被転写材は特に限定されず、通常の紙やプラスチックフイルムであってもよい。上記の熱転写シート及び上記の如き受像シートを使用して熱転写を行う際に使用するプリンターとしては公知の熱転写プリンターがそのまま使用可能であり、特に限定されない。
【0049】
尚、以上の説明では、耐熱滑性層がプライマー層を介して基材シートに形成されている例を挙げて本発明を説明したが、必要に応じて、上述した帯電防止剤をプライマー層に添加しても、耐熱滑性層に添加しても、又、両方に添加しても、いずれでも帯電防止性を付与することができる。又、基材シートに易接着処理が施されていたり、耐熱滑性層の基材に対する密着性が良好である場合には、プライマー層はなくてもよく、この場合は、必要に応じて耐熱滑性層に上述した帯電防止剤を添加することで帯電防止性を付与することができる。尚、以上昇華形熱転写シートを挙げて本発明を説明したが、本発明はいわゆる熱溶融型(ワックス型)の熱転写シートにも同様に有効であることはいうまでもない。
【0050】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
基材フイルムとして6μm厚のポリエチレンテレフタレートフイルムに下記組成のプライマー層用塗工液Aを乾燥時約0.1g/m2になるように塗布及び乾燥し、そのプライマー層の上に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液Aを乾燥時約1g/m2になるように塗布及び乾燥した。更に、電子線照射装置(日新ハイボルテージ製Curetron EBC-200-AA2)を用いて175kVで5Mrad照射して、硬化処理を行ない、耐熱滑性層を形成した。基材フイルムの他方の面に、下記組成の熱転写色材層用耐熱滑性用塗工液Aを乾燥時約1.0g/m2になるように塗布及び乾燥して熱転写色材層を形成し、本発明の実施例1の熱転写シートを作製した。
【0051】
プライマー用塗工液A
ポリエステル樹脂(ザ・インクテック製、Dアンカー改3) 1部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 6部
1,4−ジオキサン(大阪有機化学工業製、ジオキサン) 3部
【0052】
耐熱滑性用塗工液A
製造例1のウレタン変性イソボニル基修飾アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
シリルイソシアネート組成物(松本製薬工業株式会社製、オルガチックスSIC434*1) 20.00部
リン酸トリアクリレート(大阪有機化学工業製、ビスコート3PA) 0.72部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.14部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 0.34部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 47.42部
トルエン(ザ・インクテック製) 47.42部
1−メトキシ−2−プロパノール 0.30部
(*1:シリルイソシアネート/シラノール変性シリコンオイル/酸性燐酸エステル(重量比20/1/1)の混合物の10%酢酸エチル溶液。)
【0053】
熱転写色材層用塗工液A
MS−RED−G(三井東圧化学製、ディスパースレッド60) 2.00部
マクロレックスレッドバイオレットR(バイエル社製、ディスパースバイオレット26) 1.50部
ポリビニルアセタール樹脂(積水化学製、エスレックスKS−5)3.50部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 46.50部
トルエン(ザ・インクテック製) 46.50部
【0054】
実施例2
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液B
製造例2のイソボニル基修飾ウレタン変性アクリル系樹脂(新中村化学製、AP171)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
シリルイソシアネート組成物(松本製薬工業株式会社製、オルガチックスSIC434) 20.00部
リン酸トリアクリレート(大阪有機化学工業製、ビスコート3PA) 0.72部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.14部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 0.34部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 47.42部
トルエン(ザ・インクテック製) 47.42部
1−メトキシ−2−プロパノール 0.30部
【0055】
実施例3
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Cを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液C
製造例3のジシクロペンタニル基修飾ウレタン変性アクリル系樹脂(新中村化学製、AP172)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
シリルイソシアネート組成物(松本製薬工業株式会社製、オルガチックスSIC434) 20.00部
リン酸トリアクリレート(大阪有機化学工業製、ビスコート3PA) 0.72部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.14部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 0.34部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 47.42部
トルエン(ザ・インクテック製) 47.42部
1−メトキシ−2−プロパノール 0.30部
【0056】
実施例4
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Dを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液D
製造例4のジシクロペンタニル基修飾ウレタン変性アクリル系樹脂(新中村化学製、AP173)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
シリルイソシアネート組成物(松本製薬工業株式会社製、オルガチックSIC434) 20.00部
リン酸トリアクリレート(大阪有機化学工業製、ビスコート3PA) 0.72部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.14部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 0.34部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 47.42部
トルエン(ザ・インクテック製) 47.42部
1−メトキシ−2−プロパノール 0.30部
【0057】
実施例5
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Eを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液E
製造例5のシクロヘキシル基修飾ウレタン変性アクリル系樹脂(新中村化学製、AP174)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
シリルイソシアネート組成物(松本製薬工業株式会社製、オルガチックSIC434) 20.00部
リン酸トリアクリレート(大阪有機化学工業製、ビスコート3PA) 0.72部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.14部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 0.34部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 47.42部
トルエン(ザ・インクテック製) 47.42部
1−メトキシ−2−プロパノール 0.30部
【0058】
実施例6
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Fを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液F
製造例1のイソボニル基修飾ウレタン変性アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP−901、固形分15%) 27.64部
ポリジメチルシロキサン含有アクリル樹脂(新中村化学製、UVR−8、固形分50%) 2.33部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.43部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 1.00部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 59.30部
【0059】
実施例7
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Gを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液G
製造例1のイソボニル基修飾ウレタン変性アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP−901、固形分15%) 22.08部
ウレタンシリコンエラストマー(大日精化工業製、ダイアロマーSP−2420、固形分20%) 12.96部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.53部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 1.25部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 53.88部
【0060】
実施例8
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Hを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例8の熱転写シートを得た。
耐熱滑性層用塗工液H:
製造例1のイソボニル基修飾ウレタン変性アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170)(固形分基準) 8.00部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA)1.30部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP−901、固形分15%) 22.08部
シリコーングラフトアクリル樹脂(東亜合成製、XS−4500、固形分30%) 1.38部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.53部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 1.25部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 65.46部
【0061】
実施例9
実施例1のプライマー用塗工液Aに代えて、下記の塗工液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例9の熱転写シートを得た。
プライマー用塗工液B:
スルホン化ポリアニリン(三菱レイヨン製、aquaPASS、固形分10%水溶液)0.25部(固形分)
ポリエステル樹脂(日本合成化学工業製、ポリエスターWR−961、固形分30%) 4.75部(固形分)
リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬製、プライサーフA217E)0.2部
イソプロピルアルコール(ザ・インクテック製) 40部
純水 54.8部
【0062】
実施例10
実施例2のプライマー用塗工液Aに代えて、実施例9の塗工液Bを用いた以外は、実施例2と同様にして実施例10の熱転写シートを得た。
実施例11
実施例7のプライマー用塗工液Aに代えて、実施例9の塗工液Bを用いた以外は、実施例7と同様にして実施例11の熱転写シートを得た。
実施例12
実施例8のプライマー用塗工液Aに代えて、実施例9の塗工液Bを用いた以外は、実施例8と同様にして実施例11の熱転写シートを得た。
【0063】
実施例13
実施例9の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Kを用いた以外は、実施例9と同様にして実施例13の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液K
製造例1のウレタン変性イソボニル基修飾アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170、固形分基準) 10部
15官能ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKポリマーU−15HA)6.8部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP901、固形分15%) 34部
ウレタンシリコンエストラマー(大日精化工業製、ダイアロマー SP2420、固形分20%) 17.05部
シリコンレジンパウダー(信越化学工業製、KMP−590) 1.925部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 29.78部
【0064】
実施例14
実施例9の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Lを用いた以外は、実施例9と同様にして実施例14の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液L
製造例1のウレタン変性イソボニル基修飾アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170、固形分基準) 10部
15官能ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKポリマーU−15HA)6.8部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP901、固形分15%) 34部
ウレタンシリコンエストラマー(大日精化工業製、ダイアロマーSP2420、固形分20%) 17.05部
シリコンレジンパウダー(信越化学工業製、KMP−590) 1.925部
片末端アルキル変性シリコンオイル(信越化学工業製、KF-4917)0.419部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 29.81部
【0065】
実施例15
実施例9の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Mを用いた以外は、実施例9と同様にして実施例15の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液M
製造例1のウレタン変性イソボニル基修飾アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170、固形分基準) 10部
15官能ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKポリマーU−15HA)6.5部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP901、固形分15%) 33部
ウレタンシリコンエストラマー(大日精化工業製、ダイアロマーSP2420、固形分20%) 16.35部
シリコンレジンパウダー(信越化学工業製、KMP−590) 1.876部
片末端メタアクリロキシプロピル基変性シリコンオイル(信越化学工業製、 X-22 -174DX) 0.402部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 31.87部
【0066】
実施例16
実施例9の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Nを用いた以外は、実施例9と同様にして実施例16の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液N
製造例1のウレタン変性イソボニル基修飾アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170、固形分基準) 10部
15官能ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKポリマーU−15HA)4部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP901、固形分15%) 21部
ポリジメチルシロキサン含有アクリル樹脂(新中村化学製、UVR-8、固形分50%) 3.952部
シリコンレジンパウダー(信越化学工業製、KMP−590) 1.33部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 59.72部
【0067】
実施例17
実施例9の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Oを用いた以外は、実施例9と同様にして実施例17の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液O
製造例1のウレタン変性イソボニル基修飾アクリル系樹脂(新中村化学製、AP170、固形分基準) 10部
15官能ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKポリマーU−15HA)4.5部
ポリシロキサン/ポリイソシアネート化合物(大日精化工業製、ダイアロマーSP901、固形分15%) 22.3部
シリコーングラフトアクリル樹脂(東亜合成製、XS−4500、固形分30%) 10.58部
シリコンレジンパウダー(信越化学工業製、KMP−590) 1.33部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 51.29部
【0068】
実施例18
実施例13のプライマー用塗工液Bに代えて、実施例1のプライマー用塗工液Aを用いた以外は、実施例13と同様にして実施例18の熱転写シートを得た。
実施例19
実施例14のプライマー用塗工液Bに代えて、実施例1のプライマー用塗工液Aを用いた以外は、実施例14と同様にして実施例19の熱転写シートを得た。
実施例20
実施例15のプライマー用塗工液Bに代えて、実施例1のプライマー用塗工液Aを用いた以外は、実施例15と同様にして実施例20の熱転写シートを得た。
【0069】
比較例1
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Iを用いた他は実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液I
スチレン骨格を有するアクリロイル基修飾ウレタン変性アクリル樹脂(St/MAA/HEMA←MOI=80部/10部/10部)(新中村化学製、AP147) 7.0部
ウレタンアクリレート(新中村化学製、NKオリゴU−15HA) 2.3部
リン酸トリアクリレート(大阪有機化学工業製、ビスコート3PA) 0.72部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.14部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−1) 0.34部
リン酸エステル(第一工業製薬製、プライサーフA−208S) 0.3部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 47.42部
トルエン(ザ・インクテック製) 47.42部
【0070】
比較例2
実施例1の耐熱滑性層用塗工液Aに代えて下記の塗工液Jを用い、塗膜の硬化を60℃のオーブン中で5日間エージングして行った他は実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
耐熱滑性用塗工液J:
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学製、BX−1) 5.07部
ポリイソシアネート硬化剤(大日本インキ製、バーノックD750)29.46部
油性ポリオール樹脂(三井東圧化学製、オレスターC1066) 1.48部
水酸化マグネシウム(協和化学製、キスコ5A) 0.36部
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.2部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−1) 0.7部
リン酸エステル(第一工業製薬製、プライサーフA−208S) 4.22部
メチルエチルケトン(ザ・インクテック製) 29.255部
トルエン(ザ・インクテック製) 29.255部
【0071】
上記の各実施例及び比較例の熱転写シートの染料移行性及びサーマルヘッド走行性を下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
評価方法
・染料移行性:
熱転写シートの耐熱滑性層と色材層とを合わせ、20g/cm2の荷重をかけ、60℃のオーブンに12時間放置した後、耐熱滑性層への染料の移行を目視で判断し、染料移行の無いものを○とした。
・サーマルヘッド走行性:
熱転写シートの熱転写色材層と従来より使用されている受像シートの受像面とを重ね、サーマルヘッドとプラテンロールとの間に挟み、走行させながら印画(サーマルヘッドに通電)した時の熱転写シートのしわ及びスティッキングの発生及び受像シートとの熱融着を評価し、しわ、スティッキング及び熱融着のないものを○とした。
【0072】
Figure 0004291451
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、熱転写シート等のプラスチックフイルム等に、優れた耐熱性、被膜性、柔軟性、スリップ性、サーマルヘッドの走行性及び背面の汚染防止性等を与えることができる耐熱性樹脂を提供することができる。特に、熱転写シートの耐熱滑性層の形成においては、形成される被膜の硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用できるために、層を形成した後の熟成処理は不要となり、染料層やインク層からの着色剤による背面の汚染がない耐熱滑性層を形成することができる。

Claims (7)

  1. 基材シートの一方の面に熱転写性色材層を形成し、他方の面に耐熱滑性層が形成されてなる熱転写シートにおいて、上記耐熱滑性層が下記構造式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂を被膜形成成分として含有する耐熱性塗料から形成されていることを特徴とする熱転写シート
    Figure 0004291451
    (式中、Zは下記のモノマーから誘導された嵩高い環状構造を有する基を表わし、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子又はメチル基を表わし、R2はC1〜C16の炭化水素基を表わし、X及びYは直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表わす。l(エル)とmとnとo(オー)とpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは5〜40、nは0〜50、oは10〜80、pは0〜40の整数とし、l(エル)とmとnとo(オー)とpの合計が100となる組み合わせを、それぞれの数値範囲から選択するものとする。)
    [モノマー]:イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートまたはEO変性ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート。
  2. 前記構造式で表される樹脂の分子量が1万〜20万である請求項1に記載の熱転写シート
  3. 耐熱性塗料が、前記構造式の樹脂と、シリルイソシアネート化合物、シラノール変性シリコンオイル、燐酸エステル化合物、少なくとも1個のフリーのイソシアネート基を有するイソシアネート変性シリコン化合物及びシリコン変性樹脂から選ばれる少なくとも1種とを被膜形成成分として含有する請求項1に記載の熱転写シート
  4. 耐熱性塗料が、無機及び/又は有機の微粒子を含む請求項に記載の熱転写シート
  5. 有機の微粒子がシリコン樹脂微粒子である請求項に記載の熱転写シート
  6. 耐熱滑性層の厚みが0.1〜2μmである請求項に記載の熱転写シート。
  7. 耐熱滑性層と基材との間に帯電防止剤を含有するプライマー層を有する請求項に記載の熱転写シート。
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