JP4291444B2 - 管継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車、建設機械及び工作機械等の配管に使用する管継手に関するものであり、特に内圧保持力を向上させた管継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の管継手にあっては、雄金具と雌金具の円錐形シート面は図10に示すように全面にわたって同一角度となっており、雄金具の外側に形成されたシート面11を雌金具の内側に形成されたシート面12に全面的に接触させ、雄金具ナット13を締め付けることによって発生する軸力でシート面圧を高めて内圧を保持するものであった。このような従来のシート面全面接触タイプと言われる管継手は、シート面部分の強度が高く加工が簡単であるという利点はあるが、図11の斜線部で示すようにシート面同士の接触部14が偏り易く均一な接触にならないため、内圧保持力が小さくなってしまうという欠点があった。すなわち、シート面の角度公差や雄金具および雌金具の偏芯等の影響を直接受けて接触部14が均一にならず、狭い部分と広い部分とで最大約4倍もの差が生じてシート面圧が部分的に低くなるのである。そのため、高圧を保持する必要があるときは、雄金具と雌金具との間にOリングを取り付ける等の対策をしなければならなかった。
【0003】
また、図12に示すように雄金具シート面の先端部15のみを球状に形成することによって、図13の斜線部で示すように当初から雌金具シート面との接触部14が全面的に小さくなるようにし、雄金具ナット13の締め付けによって発生する軸力に対して相対的にシート面圧を高められる線接触タイプと言われる管継手もあった。しかしながら、このような管継手は内圧保持力をある程度大きくすることはできるが、線接触のためシート面部分の強度が低くなり、また、シート面の加工自体が困難であるという問題があった。さらに、線接触のため、雄金具ナット13の締め付けによって発生する軸力で雌金具シート面に傷を付けるという問題もあった。
【0004】
さらに、雄金具と雌金具のシート面接触部に作用する力が同一であれば、当然ながらシート面同士の接触面積が小さいほど単位面積当たりのシート面圧が高くなり内圧保持力が大きくなる。しかし、接触面積を小さくするため、図12に示すような球状シート面による線接触タイプの管継手を使用すると、雄金具の球状シート面が雌金具の平面シート面を押し付ける力によって雄金具のシート面部分が座屈変形してしまい、結果としてシート面接触部に作用する力を有効に保持できず、シート面圧が期待したほど高くならないという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の管継手を改良したものであって、シート面部分の座屈変形を抑え、シート面接触部に作用する力を有効に保持して内圧保持力を大きくしようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る管継手は以上の課題を解決するためになされたものであって、その第1の発明の要旨は、雄金具と雌金具のそれぞれ外側と内側に円錐形のシート面を形成し、互いのシート面を締め付けにより面接触させることによって内圧を保持する管継手において、管継手中心軸と雄金具の先端側シート面がなす角度をθ1、雄金具の先端側シート面に続く裾側シート面がなす角度をθ2、雄金具の先端側シート面と接触する雌金具の底側シート面がなす角度をθ3としたとき、−5°≦θ1−θ3≦5°であって、かつ、θ2を雌金具シート面と接触しないような角度とした管継手であり、好ましくは、θ1>θ2としたものである。また、第2の発明の要旨は、雌金具の底側シート面に続く表面側シート面がなす角度をθ4としたとき、−5°≦θ1−θ3≦5°であって、かつ、θ4を雄金具シート面と接触しないような角度とし、好ましくは、θ3<θ4としたものである。そして、より好ましくは、第1の発明および第2の発明とも、雄金具の先端側シート面と雌金具の底側シート面とが面接触する幅をLとしたとき、0<L≦15mmである管継手に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、第1の発明に係る管継手を中心に実施の形態を説明すると、第1の発明において、管継手中心軸と雄金具の先端側シート面がなす角度θ1と、管継手中心軸と雌金具の底側シート面がなす角度θ3との角度差、すなわち、θ1−θ3は±5°以内とされている。±5°以内としたのは、この範囲内の角度差であれば、ナットの締め付けによって雄金具の先端側シート面と雌金具の底側シート面とが均一に面接触するようになるからである。
【0008】
また、雄金具シート面には先端側シート面に続いて裾側シート面が形成され、裾側シート面は雌金具シート面と接触しないような角度θ2とされている。すなわち、第1の発明に係る管継手は従来の全面接触タイプや線接触タイプの管継手と異なり、雄金具の先端側シート面のみが雌金具シート面と面接触する。したがって、雄金具の先端側シート面部分は従来のシート面全面接触タイプの管継手と同程度の肉厚を確保することができ、かつ、雄金具の裾側シート面部分は線接触タイプの管継手以上の肉厚を確保することができるため、雄金具シート面部分の座屈変形が防止できることになる。
【0009】
さらに、第1の発明に係る管継手は、雄金具の先端側シート面のみを雌金具シート面と接触させることで内圧保持力を大きくすることができるのである。このような構成とすることによって内圧保持力が向上する理由は、先端側シート面のみが均一に接触して裾側シート面が接触しないため、先端側シート面に作用する面圧が上がるとともに、先端側シート面と裾側シート面との境目が角部となり、エッジ効果が働くことが影響しているものと考えられる。
【0010】
事実、図4に示すように、従来のシート面全面接触タイプの管継手Bと同じシート面接触面積とした第1の発明の実施例A1では従来の管継手Bに対して保持内圧Pが約2.5倍となり、従来の線接触タイプの管継手Cと同じ接触面積とした実施例A2であっても従来の管継手Cに対して保持内圧Pが1.2倍から1.6倍となっている。このことは、シート面圧に加えてエッジ効果が保持内圧の向上に寄与していることを示唆するものと考えられる。
【0011】
なお、雄金具の裾側シート面を雌金具シート面と接触しないような角度θ2とするには、雌金具シート面全体を底側シート面の角度θ3で一定とした上で、θ2を雄金具の先端側シート面角度θ1より小さくする、すなわち、θ1>θ2とすれば最も簡単な構成で実現できる。
【0012】
また、第2の発明に係る管継手は、第1の発明とは逆に、雌金具シート面に、底側シート面に続いて表面側シート面を形成し、表面側シート面を雄金具シート面と接触しないような角度θ4としたものである。この場合も第1の発明と同様の理由で内圧保持力が向上する。なお、雌金具の表面側シート面を雄金具シート面と接触しないような角度θ4とするには、雄金具シート面全体を先端側シート面の角度θ1で一定とした上で、θ4を雌金具の底側シート面角度θ3より大きくする、すなわち、θ3<θ4とすれば最も簡単な構成で実現できる。
【0013】
さらに、第1の発明および第2の発明とも、雄金具の先端側シート面と雌金具の底側シート面とが面接触する幅Lを適宜変更することによって、様々な要求性能を満たす管継手を得ることができる。すなわち、シート面の接触幅が内圧保持力とシート面部分の強度とに相反する影響を与えることから、内圧保持力を高くする必要のある高圧タイプの管継手においては接触幅Lを短くして対応し、シート面強度を確保する必要のある高強度タイプの管継手においては接触幅Lを長くすればよいのである。ただし、接触幅Lは15mm以下とすることが好ましい。それは、15mmより長くするとシート面圧が低下し、上記したエッジ効果が薄れるからである。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面により説明する。
図1は第1の発明に係る管継手を示す一部断面図であり、雄金具1と雌金具2は雄金具ナット3の締め付けにより接続される。ここで、図1の○部を拡大して図2に示すように、雄金具シート面は先端側シート面5Aとそれに続く裾側シート面5Bとで形成され、裾側シート面5Bは雌金具シート面6に接触しないようになっている。すなわち、雌金具シート面6を全面的に底側シート面角度θ3で一定とした上で、管継手中心軸と雄金具の先端側シート面5Aがなす角度θ1を裾側シート面5Bがなす角度θ2より大きくしている。また、その結果、先端側シート面と裾側シート面との境目は角部になっている。なお、θ3はθ1と同角度とされているから、結局、θ3=θ1>θ2となっている。
【0015】
図1に示す管継手では、雄金具ナット3の締め付けにしたがって、図2に示すように雄金具1の先端側シート面5Aのみが雌金具シート面6に面接触する。このとき、図3の斜線部で示すように、接触部7は均一なものとなっている。したがって、ナットの締め付けにより発生する軸力は雄金具の先端側シート面5Aのみに作用し、均一な接触幅Lで雌金具シート面6と面接触しているのでその部分の面圧が高まり、大きな内圧保持力を有するのである。
【0016】
次に、図1および図2に示した管継手をホース内径がφ25.4mm用のものに適用した場合の保持内圧について説明する。ここで、雄金具の先端側シート面の角度θ1は30°、裾側シート面の角度θ2は20°、雌金具の底側シート面の角度θ3は30°で固定し、雄金具の先端側シート面と雌金具の底側シート面との接触幅Lを0.58mmと1.5mmの2種類とした。なお、接触幅Lは均一であり、L=0.58mmのものは雄金具シート面の先端部を半径2mmの球状とした従来の線接触タイプの管継手とほぼ同じシート面接触面積、L=1.5mmのものは従来のシート面全面接触タイプの管継手とほぼ同じ接触面積となっている。
【0017】
図4は雄金具ナットの締付トルクT(kgf・m)と保持内圧P(×100kgf/cm2)との関係を示す図である。L=1.5mmの実施例A1では従来のシート面全面接触タイプBと比較して約2.5倍の保持内圧を有し、またL=0.58mmの実施例A2では従来の線接触タイプCと比較して1.2倍から1.6倍、従来のシート面全面接触タイプBと比較すると接触幅が均一かつ小さいことによるシート面圧の増加とエッジ効果の相乗により実に約4倍もの保持内圧となっている。
【0018】
また、図5は第1の発明を曲がり管の管継手に適用した例を示す一部断面図であり、図6は雌金具ナット4を有する管継手に適用した例を示す一部断面図である。図5および図6に示す管継手とも、雄金具および雌金具のシート面は図2に示したものと同様である。
【0019】
図7は第2の発明に係る管継手を示す一部断面図であり、雄金具1と雌金具2は雌金具ナット4の締め付けにより接続される。第2の発明では雌金具シート面が底側シート面6Aとそれに続く表面側シート面6Bで形成され、表面側シート面6Bは雄金具シート面5に接触しないようになっている。すなわち、図8に拡大して示すように、雄金具シート面5を全面的に先端側シート面角度θ1で一定とした上で、管継手中心軸と雌金具の表面側シート面6Bがなす角度θ4を底側シート面6Aがなす角度θ3より大きくしている。また、その結果、底側シート面と表面側シート面との境目は角部になっている。なお、θ1はθ3と同角度とされているから、結局、θ1=θ3<θ4の関係となっている。
【0020】
第2の発明では雌金具ナット4の締め付けにしたがって雌金具2の底側シート面6Aのみが雄金具シート面5に均一に面接触する。したがって、ナットの締め付けにより発生する軸力は雄金具シート面5と雌金具の底側シート面6Aの接触部のみに作用し、均一な接触幅で面接触しているのでその部分の面圧が高まり、第1の発明と同様に大きな内圧保持力を有するのである。
【0021】
また、図9は第2の発明を曲がり管の管継手に適用した例を示す一部断面図である。図9に示す管継手も、雄金具および雌金具のシート面は図8に示したものと同様である。このように、第1の発明および第2の発明とも、各種の管継手に適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明および第2の発明に係る管継手とも、シート面接触部が均一なものとなるため、内圧によって生じる雄金具を径方向に拡大する力が効果的にシール力に変換される自己シール性に、接触幅が均一で比較的小さいこととエッジ効果が相乗して大きい内圧保持力を有するのである。また、高圧タイプや高強度タイプを設計する場合の自由度が大きく、使用圧力が同じであれば締付トルクを少なくできるので作業性が向上する。さらに、雄金具または雌金具の一方のシート面は従来と同様のものとすることができるので従来継手との互換性を有し、脱着の繰り返しが可能である。
【0023】
特に、従来のシート面全面接触タイプの管継手と比較すると、シート面同士の接触の片当たりを少なくでき、高圧タイプにおいても従来のOリングを使用する必要がないのでOリングの劣化等が問題とならず使用温度や使用流体の範囲を広くすることができ、かつ部品点数が少ない分だけ経済的な管継手とすることができる。また、従来の線接触タイプの管継手と比較すると、加工が簡単で雌金具シート面の傷付きを少なくでき、かつシート面強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1の発明に係る管継手を示す一部断面図である。
【図2】図2は第1の発明のシート面部分を拡大した断面図である。
【図3】図3は第1の発明に係る管継手のシート面接触部を示す図である。
【図4】図4はナット締付トルクと保持内圧との関係を示す図である。
【図5】図5は第1の発明を曲がり管の管継手に適用した例を示す一部断面図である。
【図6】図6は第1の発明を雌金具ナットを有する管継手に適用した例を示す一部断面図である。
【図7】図7は第2の発明に係る管継手を示す一部断面図である。
【図8】図8は第2の発明のシート面部分を拡大した断面図である。
【図9】図9は第2の発明を曲がり管の管継手に適用した例を示す一部断面図である。
【図10】図10は従来のシート面全面接触タイプの管継手を示す一部断面図である。
【図11】図11はシート面全面接触タイプの管継手のシート面接触部を示す図である。
【図12】図12は従来の線接触タイプの管継手を示す一部断面図である。
【図13】図13は線接触タイプの管継手のシート面接触部を示す図である。
【符号の説明】
1‥雄金具
2‥雌金具
3‥雄金具ナット
4‥雌金具ナット
5‥雄金具シート面
5A‥雄金具の先端側シート面
5B‥雄金具の裾側シート面
6‥雌金具シート面
6A‥雌金具の底側シート面
6B‥雌金具の表面側シート面
7‥シート面接触部
11‥雄金具シート面
12‥雌金具シート面
13‥雄金具ナット
14‥シート面接触部
15‥雄金具シート面の球状先端部
L‥雄金具の先端側シート面と雌金具の底側シート面との接触幅
θ1‥管継手中心軸と雄金具の先端側シート面がなす角度
θ2‥管継手中心軸と雄金具の裾側シート面がなす角度
θ3‥管継手中心軸と雌金具の底側シート面がなす角度
θ4‥管継手中心軸と雌金具の表面側シート面がなす角度

Claims (5)

  1. 雄金具と雌金具のそれぞれ外側と内側に円錐形のシート面を形成し、互いのシート面を締め付けにより面接触させることによって内圧を保持する管継手において、管継手中心軸と雄金具の先端側シート面がなす角度をθ1、雄金具の先端側シート面に続く裾側シート面がなす角度をθ2、雄金具の先端側シート面と接触する雌金具の底側シート面がなす角度をθ3としたとき、−5°≦θ1−θ3≦5°であって、かつ、θ2を雌金具シート面と接触しないような角度としたことを特徴とする管継手。
  2. 前記管継手において、θ1>θ2としたことを特徴とする請求項1に記載の管継手。
  3. 雄金具と雌金具のそれぞれ外側と内側に円錐形のシート面を形成し、互いのシート面を締め付けにより面接触させることによって内圧を保持する管継手において、管継手中心軸と雄金具の先端側シート面がなす角度をθ1、雄金具の先端側シート面と接触する雌金具の底側シート面がなす角度をθ3、雌金具の底側シート面に続く表面側シート面がなす角度をθ4としたとき、−5°≦θ1−θ3≦5°であって、かつ、θ4を雄金具シート面と接触しないような角度としたことを特徴とする管継手。
  4. 前記管継手において、θ3<θ4としたことを特徴とする請求項3に記載の管継手。
  5. 雄金具の先端側シート面と雌金具の底側シート面とが面接触する幅をLとしたとき、0<L≦15mmであることを特徴とする請求項1ないし4に記載の管継手。
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