JP4291407B2 - フェリチン配置方法および無機粒子配置方法 - Google Patents

フェリチン配置方法および無機粒子配置方法 Download PDF

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Description

本発明はタンパク質を利用して基板上に微粒子を配置する方法に関する。
フェリチンは球状のタンパク質であり、内部には酸化鉄に代表される金属化合物を内包している。内部に金属化合物を内包せず、当該内部が空洞になっている場合には、「アポフェリチン」と呼ばれる。
特許文献1および2には、フェリチンを基板上に配置させる第1の従来技術として、基板表面の一部にアミノシラン分子修飾膜を形成し、フェリチン溶液に接触させることにより、アミノシラン分子修飾膜上に複数個のフェリチンを配置させることが開示されている。
非特許文献1および2には、第2の従来技術として、アミノシランからなる微小な分子膜スポットを基板表面の一部に形成し、次いでこの基板とフェリチン溶液とを接触させることにより、1個の、すなわち、単一のフェリチン分子を各分子膜スポットに配置することが開示されている。非特許文献1および2によれば、基板上で単一のフェリチン分子を配置する位置を自由に設定できる。
特許文献3には、第3の従来技術として、フェリチン外側表面のアミノ酸を部分的に置換することによって、基板上にフェリチンを規則正しく配列させる手法が開示されている。この特許文献3によれば、外側表面の特定部位のアミノ酸を正または負に帯電したアミノ酸に置換する。
特許文献4には、第4の従来技術として、アポフェリチンの内側表面のアミノ酸を部分的に置換することにより、金に代表される貴金属をアポフェリチン内包させることが開示されている。
特開2006−187844号公報 特開2006−187845号公報 国際公開第2003/040025号公報パンフレット 特開2003−033191号公報 Kumagai et al., Jpn. J. Appl. Phys. 45 (2006) 8311 Kumagai et al., Appl. Phys. Lett. 88 (2006) 153103
特許文献1、2、および4には、単独のフェリチンを基板上に位置決めして配置する技術は開示されていない。
これに対して、非特許文献1および2に開示されている技術によれば、単独のフェリチンを基板上に位置決めして配置することができる。さらに特許文献3に開示されている技術では、フェリチン外側表面のアミノ酸を正または負に帯電したアミノ酸に置換している。
よって、特許文献3と、非特許文献1および2とを組み合わせれば、以下のような技術が導出される。すなわち、正に帯電しているアミノシランからなる微小な分子膜スポットを基板表面の一部に形成し、次いでこの基板と外側表面のアミノ酸を負に帯電したアミノ酸に置換したフェリチンとを接触させる。これにより、単一のフェリチン分子を各分子膜スポットに配置することができる。
しかし、本発明者らの検討によると、単独のフェリチンを基板上に位置決めして配置する際には、下記の2つの課題があることが判明した。
第1の課題は、フェリチンを位置決めして配置する再現性が低いことである。フェリチンを配置するために設けた分子膜スポットの総数に対する、単独のフェリチン分子が実際に配置されている分子膜スポットの割合を「単一配置率」とすると、従来技術の単一配置率は60〜70%程度にすぎない。
第2の課題は、フェリチンを配置するための分子膜スポットとして、直径30nm未満の微小なスポットを形成する必要があることである。30nm以下のスポットを形成することは、通常のフォトリソグラフィーでは困難である。そのため、電子ビーム露光装置に代表される高価かつ生産性が低い装置を使用する必要がある。
理論的には、図12(a)に示すように、分子膜スポットの直径Aとフェリチンの外径Bとを同一にすれば、1カ所の分子膜スポットには1個のフェリチンが配置される。しかし、フェリチンの外径は約12〜13nmであり、この直径を有する分子膜スポットを形成することは困難である。なぜなら、分子膜スポットがあまりにも小さすぎるからである。特にこの直径を有する分子膜スポットをフォトリソグラフィーにより形成することは不可能であろう。
このため、現実的には、分子膜スポットの直径Aをフェリチンの外径Bよりも大きくする。しかし、これでは、図12(b)に示すように、1カ所の分子膜スポットに2個以上のフェリチンが配置されてしまう。
さらに、本発明者らが研究を続けた結果、次のような事実も見出された。すなわち、フェリチンの外側表面に存在するアミノ酸を、できるだけ多くマイナスの電荷を有するアミノ酸に置換した方が、分子膜スポットに対する電気的引力の観点、およびフェリチン同士の斥力の観点から望ましい傾向が存在すると考えられる。
しかし、実際に実験した結果、後述する実施例および比較例からも理解されるように、このような傾向は存在しない上、アミノ酸の置換数が同じであっても、置換されている場所によって単一配置率は全く異なることが見出された。
上記課題を解決する本発明に係るフェリチン配置方法は、複数の分子膜スポットを備えた基板にフェリチンを配置する方法であって、
前記フェリチンは、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質サブユニットにより構成された改変体フェリチンであって、
前記分子膜スポットは表面にアミノ基を有し、
前記分子膜スポット1カ所の面積は2100nm以下であり、
前記方法は、
前記フェリチンを含有する溶液を前記基板に接触させることにより、前記各分子膜スポットに1個の前記フェリチンを配置させる配置工程を有する。
上記課題を解決する本発明に係る無機粒子の配置方法は、無機粒子を基板上に配置する方法であって、
前記方法は、
フェリチンを含有する溶液を、複数の分子膜スポットを備えた前記基板に接触させることにより、前記分子膜スポット1カ所に対して1個の前記フェリチンを配置させる配置工程と、
前記基板を加熱することによって、前記フェリチンを分解する分解工程と
を有し、
ここで、
前記フェリチンは、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質サブユニットにより構成された改変体フェリチンであって、
前記分子膜スポットは、表面にアミノ基を有しており、
前記分子膜スポット1カ所の面積は2100nm以下である。
前記改変体フェリチンは、鉄酸化物粒子を内包することが好ましい。
前記分子膜スポットは、アミノシラン分子膜からなることが好ましい。
前記基板はシリコン基板であり、前記基板表面の前記分子膜を除く領域にシリコン酸化膜を備えることが好ましい。
前記分子膜スポット1カ所の面積は380nm以上であることが好ましい。
前記配置工程の前に、前記分子膜スポットをフォトリソグラフィーにより形成する分子膜スポット形成工程をさらに有することが好ましい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明によれば、単一配置率が高いフェリチンの配置方法および無機粒子の配置方法が提供される。
本発明で用いる改変体フェリチンは、配列番号1のアミノ酸配列からなる24個のタンパク質サブユニットにより構成されている。この改変体フェリチン101の模式図を、図1に示す。配列番号1は、L鎖ウマ由来フェリチンを構成するアミノ酸配列を基礎にして構成されているが、配列番号1における91番目のグルタミン酸は、元の配列におけるリシンから改変されたものである。図1の改変異置102は、各サブユニットにおける91番目のグルタミン酸の位置を示している。
後述する実施例では、本発明において用いられるフェリチンは、「Fer8-98glu」と記述される。アポフェリチンである場合には、それは「apoFer8-98glu」と記述される。
本明細書においては、名称番号(「Fer8-98glu」における「98」)と改変異置(91番目)は、7だけ番号がずれる。これは、命名の基準としている配列が、天然のDNA配列から翻訳されたアミノ酸配列(ここでは「Fer0」の配列と記述する)であり、この明細書で基本としているFer8の配列(Fer0の配列から2〜8番目の7アミノ酸を除去したもの、配列番号3)ではないためである。ちなみに、天然のL鎖ウマ由来フェリチンは、Fer0でもFer8でもなく、1〜8番目の8アミノ酸が除去されたフェリチンである。一般的なフェリチンはこのアミノ酸配列を有さない。また、後述する比較例からも理解されるように、外側表面に存在するけれども91番目ではないアミノ酸を置換しても、配列番号1以外のアミノ酸配列では、本発明の効果は得られない。
なお、フェリチンの外側表面に存在するアミノ酸としては、91番目以外に、152番目、150番目、98番目などを挙げることができる(例えば、プロテインデータバンク(PDB)のPDB ID code:1DATに登録される立体構造を参照)。この中でも、上述したように、本発明においては、91番目のアミノ酸をグルタミン酸で置換する。
本発明の改変体フェリチンは、内部に鉄酸化物粒子をコアとして内包することができる。鉄酸化物粒子は、基板上配置の後に、基板をエッチングしてナノピラー構造を形成するためのマスクとして利用したり、カーボンナノチューブを成長させるための触媒として利用したり、あるいはまた還元して導電性ナノ粒子を形成する用途に供することができる。
基板としては、シリコン基板を用いることができる。シリコン基板表面を熱酸化することにより、下地となる高品質のシリコン酸化膜を形成できる。
基板表面は、分子膜が形成されている領域を除き、負に帯電していることが望ましい。特にシリコン酸化膜表面であることにより、水溶液中で安定して大きな表面負電荷密度を有するので好ましい。
本発明のアミノ基を有する分子膜としては、アミノシラン分子を用いることにより、SiO表面に均質で微細な薄膜スポットを形成することができるので好ましい。アミノシラン分子としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、「APTES」と略することがある)を用いることができる。
フェリチン配置の後、基板を加熱してタンパク質を分解する分解工程により、フェリチン外部のタンパク質部分と分子膜を同時に除去しつつ、内部の無機粒子を配置された状態で基板上に残すことができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。
この実施の形態1では、組み換えアポフェリチンの合成、抽出、精製、ならびに内部への鉄酸化物の導入およびその後の精製について述べる。特に、外側表面に存在するアミノ酸をグルタミン酸に置換したところ、内部へ鉄酸化物が導入可能かどうかについて検証する。結論から言えば、外側表面に存在する152番目のアミノ酸をグルタミン酸に置換すると、内部へ鉄酸化物が導入されなくなってしまう。
(apoFer8の合成)
まず、apoFer8を、下記の手順により合成および精製した。
組み換えアポフェリチンの作製には、以下に説明するように、公知の遺伝子組み換え技術およびタンパク質の発現方法を用いる。まず、Takedaらにより作製され、ウマ肝臓由来のアポフェリチンのDNAが組み込まれたプラスミドTakeda99224(S.TakedaらBiochim.Biophys.Acta.,1174,218-220,1993参照)から、適当な制限酵素を用いてアポフェリチンのアミノ酸配列をコードするDNA断片を切り出した。次に、このDNA断片をタンパク質発現用のベクタープラスミドであるpMK-2に挿入してアポフェリチン発現用のプラスミドを作製した。
続いて、このアポフェリチン発現用のプラスミドを鋳型とし、所望の変異を組み込んだ1本鎖DNAの断片をプライマーとしてPCR(polymerase chainreaction)を行ない、アポフェリチンのアミノ酸をコードするDNAの目的の位置に部位特異的に所望の変異を導入した。こうしてアポフェリチンの2〜8番目までのアミノ酸をコードする部分のDNAを欠失させた変異アポフェリチン遺伝子のDNAの断片を含むプラスミドを作製した。このアポフェリチン遺伝子のDNA断片は、必要な場合には切り出し、別のベクタープラスミドに組み込んでもよい。
続いて、作製されたプラスミドを市販の大腸菌(E.coliの1種、Nova Blue)に導入し、形質転換を行なった後、この大腸菌をジャーファーメンター(大量培養装置)を用いて37℃にて大量培養した。なお、形質転換された大腸菌はアンピシリンに耐性を持つため、これを指標として形質転換されていない大腸菌と区別し、選択することができる。この大腸菌内では、プラスミドに組み込まれた組み換えアポフェリチンのDNAが発現し、2〜8番目までのアミノ酸残基が欠失したアポフェリチンが大量に生産された。この改変体アポフェリチンを、以下apoFer8と表記する。apoFer8のアミノ酸配列を、配列番号3に示す。またapoFer8にコアを導入したものを、Fer8と表記する。apoFer8は、後述する手順により大腸菌の菌体内から抽出および精製した。
(apoFer8-98glu、apoFer8-159glu、apoFer8-157glu、apoFer8-98glu105glu の合成)
次に、apoFer8-98gluを作製するために、先の操作で得られた,apoFer8のアミノ酸配列(配列番号3)をコードするDNAが組み込まれたプラスミドを鋳型とし、配列番号3中の91番目のリシン(Lys)をグルタミン酸(Glu)に置き換えたオリゴDNAプライマーを用いてPCRを行なった。
この結果、配列番号2の配列を有するDNAが得られた。このDNA配列は、apoFer8-98gluのアミノ酸配列(配列番号1)をコードしている。
次に、apoFer8の作製と同様の操作により、上記DNAを挿入したプラスミドを作製し、これを大腸菌(Nova Blue)に導入し、形質転換する。形質転換した大腸菌を大量培養した後、後述する手順により大腸菌の菌体内からapoFer8-98gluを抽出および精製した。
以下、同様の手順により、配列番号3中の152番目のグルタミン(Gln)をグルタミン酸(Glu)に置き換えた、配列番号4のアミノ酸配列を有するapoFer8-159gluを得た。
配列番号3中の150番目のグリシン(Gly)をグルタミン酸(Glu)に置き換えた、配列番号5のアミノ酸配列を有するapoFer8-157gluを得た。
配列番号3中の91番目と98番目のリシン(Lys)をいずれもグルタミン酸(Glu)に置き換えた、配列番号6のアミノ酸配列を有するapoFer8-98glu105gluを得た。
なお、本発明において、改質されたアポフェリチンをコードするDNAが一旦得られれば、公知の技術によりこのDNAを増幅することができる。従って、組み換えアポフェリチンを量産する場合には、再度遺伝子の組み替え工程を行なう必要はない。
(変異アポフェリチンの抽出と精製)
変異アポフェリチンの抽出および精製手順は以下の通りである。まず、培養終了後の大腸菌の培養液を遠心チューブに移して遠心分離器内にセットし、4℃、10,000回転/分、25分間の条件で遠心分離し、大腸菌の菌体を沈殿させる。次に、沈殿した菌体を集めた後、液中で超音波破砕器を用いて菌体を破砕してアポフェリチンを液中に溶出させた。
次いで、菌体を破砕した液を遠心チューブに移して遠心分離器内にセットし、4℃、10,000回転/分、25分間の条件で遠心分離し、破砕されずに残った菌体を沈殿させた。
さらに、遠心チューブから上清(上澄み液)を採取し、この液を60℃、15分間熱処理した後遠心チューブに移し、4℃、10,000回転/分、25分間の条件で遠心分離した。
この操作により不要なタンパク質が変性してチューブの底部に沈殿した。続いて、遠心チューブから上清を採取した後、25℃下、Q-sepharose HP(陰イオン交換カラム)を用いたカラムクロマトグラフィを行ない、上清中に含まれるアポフェリチン画分を採取した。このアポフェリチン画分をさらに25℃下、Sephacryl S-300(ゲルろ過カラム)に流してカラムクロマトグラフィを行なうことにより精製した。この操作により、不純物が除かれ、精製された組み換えアポフェリチンが得られた。
(鉄酸化物コアの導入)
次に、アポフェリチンへ鉄酸化物(ferrihydrite)コアを導入するための操作を以下で説明する。
まず、HEPES緩衝液、アポフェリチン溶液、硫酸アンモニウム鉄(Fe(NH42(SO42)溶液の順に各溶液を混合してフェリチン溶液を作製した。このフェリチン溶液中では、それぞれの最終濃度が、HEPES緩衝液は250mmol/L(pH7.0)に、アポフェリチンは0.5mg/mLに、硫酸アンモニウム鉄は5mmol/Lとした。尚、フェリチンを調製するための操作は、すべて4℃にて行なった。
次に、鉄イオンのアポフェリチン内部への取り込み反応および取り込まれた鉄の酸化反応を完了させるため、フェリチン溶液をそのまま一晩放置した。この操作により、アポフェリチンの保持部に均一な大きさの酸化鉄が導入され、フェリチン(アポフェリチンと微粒子の複合体)が生成された。
次に、フェリチン溶液を容器に入れ、遠心分離機を用いて毎分10,000回転、15―30分の条件で遠心分離し、沈殿を除去した。続いて、沈殿を除去した後の上澄み液をさらに毎分10,000回転、30分の条件で遠心分離した。
このとき、溶解可能なフェリチンは上澄み液中に分散し、凝集したフェリチンは集合体となって沈殿する。
apoFer8-98gluを用いて得られた、鉄酸化物コアの導入後のFer8-98glu溶液と、apoFer8-159gluを用いて得られた、鉄酸化物コアの導入後のFer8-159glu溶液については、溶液状態を写真撮影した。
(鉄酸化物コアを導入したフェリチンの精製)
次に、この上澄み液の溶媒を限外ろ過膜[アミコンウルトラ-15(NMWL:50,000)]を用いて濃縮し、この濃縮されたフェリチン画分をさらに25℃下、50mmol/LのTris緩衝液で平衡化されたSephacryl S-300(ゲルろ過カラム)に流してカラムクロマトグラフィを行なうことにより精製した。
これにより、ゲルろ過カラムによりフェリチン粒子の凝集体が除かれた、溶出液を得た。
結果は以下の実施例の通りである。
(実施例1)
apoFer8-98gluを用いて得られた、鉄酸化物コアの導入後のFer8-98glu溶液201を示す写真を図2の左側に示す。Fer8-98glu溶液201の下部には、少量のFer8-98gluの沈殿203が見られるが、Fer8-98gluの上澄み液202は可視光を吸収して濃い色(黄褐色)を呈している。この結果は、多くのフェリチンが、コア導入後も凝集せずに分散あるいは溶解したことを示している。鉄酸化物コアを導入したフェリチンの精製を行ったところ、溶出液にFer8-98gluが回収された。
(比較例1)
apoFer8-159gluを用いて得られた、鉄酸化物コアの導入後のFer8-159glu溶液204を示す写真を図2の右側に示す。
Fer8-159glu溶液204の下部には、Fer8-98gluの沈殿203に比較して、より多くのFer8-159gluの沈殿206が見られる。
また、Fer8-159gluの上澄み液205の液色は、Fer8-98gluの液色に比較して薄く、無色透明に近い。この結果は、ほとんど全てのFer8-159gluが、コア導入とともに凝集して沈殿し、溶解しなかったことを示している。
鉄酸化物コアを導入したフェリチンの精製を行ったところ、溶出液には、Fer8-159gluが回収されなかった。
基板上へのフェリチン配置を行うには、精製したフェリチンを回収して水溶液中に分散あるいは溶解させることが必要であるため、apoFer8-159gluは、基板上への配置に利用できない。
上記結果を、表1にまとめる。
表1において、○は精製後の溶出液中にフェリチンが回収されたことを示し、×は回収されなかったことを示す。
上記結果は、フェリチンの基板上配置に用いる上で、単に外側表面に相当するアミノ酸をグルタミン酸に置換すれば良い訳ではなく、置換位置によっては内部へのコア形成時に沈殿を生じてしまうことを示している。なお、Fer8、Fer8-157glu、Fer8-98glu105glu の各フェリチンについては、Fer8-98gluと同様、問題なくアポフェリチンへの鉄コア入れ、精製および回収ができた。
(実施の形態2)
この実施の形態2では、各組み換えフェリチンの単一配置率について検討する。結論から言えば、配列番号1により示されるFer8-98gluの単一配置率が、他の組み換えフェリチンの単一配置率よりも極めて高い。さらに他の組み換えフェリチンの単一配置率は、Fer8のそれよりも低い。
まず、実施の形態1と同じ工程により、鉄酸化物コアの導入を行う。次に、下記の工程により鉄酸化物コアを導入したフェリチンの回収と精製を行い、さらに基板表面への分子膜スポット形成を行い、最後にフェリチン配置を行う。
(鉄酸化物コアを導入したフェリチンの回収と精製)
次に、この上澄み液の溶媒を限外ろ過膜[アミコンウルトラ-15(NMWL:50,000)]を用いて濃縮し、この濃縮されたフェリチン画分をさらに25℃下、50mmol/LのTris緩衝液で平衡化されたSephacryl S-300(ゲルろ過カラム)に流してカラムクロマトグラフィを行なうことにより精製した。ゲルろ過カラムによりフェリチン粒子の凝集体が除かれ、酸化鉄を内包した単体のフェリチンが得られた。
(基板表面への分子膜スポット形成)
基板表面への分子膜スポット形成について、図3を用いて説明する。
まずp型シリコン基板301を酸化して表面に厚さ3nmのシリコン酸化膜302を形成した。
次に基板を純水洗浄した後、前記基板の温度を110℃に保持した状態で、10分間UV光/オゾンを照射し、前記基板の表面の洗浄および親水化処理を行った。
そして、親水化処理後の基板に電子ビームレジスト(日本ゼオン社製、ZEP520A)を塗布した。
また、電子線レジスト膜303aを塗布した基板に対して、電子ビーム描画露光装置(Elionix ELS-7500)を用いて電子線描画を行った。
描画においては、電子ビームの加速電圧を50kA、ビーム電流量は20pAとし、基板上に、描画形状として(A)7.5nm角、(B)12.5nm角、(C)φ20nm円、(D)φ23nm円を描画した。
描画後、酢酸アミル(n-Amyl acetate)により現像することで、電子線レジストスポット(レジスト開口部)303bが形成された。(図3(a))
各スポット開口部の底部にはシリコン酸化膜の親水性表面が現れた。ここで、作製した電子線レジストスポット303bの一部を走査型電子顕微鏡装置(SEM)により観察し、その直径を測定した。
描画形状(A)、(B)、(C)、(D)によりそれぞれ形成された、スポットA、スポットB、スポットC、スポットDの面積は、それぞれ380nm2、710nm2、1600nm2、2100nm2であった(いずれも円形、直径はそれぞれ22nm、30nm、45nm、52nm)。
密閉容器内に、上記基板と、アミノシラン分子である3-aminopropyltrimethoxysilane(APTES)を設置し、室温にて3時間から5時間の間密閉保持すると、基板表面がアミノシラン分子と反応し、アミノ基を有する分子膜スポット(分子膜修飾領域)304が形成した。(図3(b))
脱水エタノールを用いて基板を洗浄し、40℃に保持したジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)に5分間浸漬した後、さらに5分間超音波洗浄を行うことで、膜厚約10Åの微細な分子膜スポットを有する基板305を得た。(図3(c))
上記において、分子膜スポット304は膜厚が薄く、サイズも小さいため、その形状を直接測定するには困難が伴い誤差も大きい。しかし、その形状は電子線レジストスポット303bの形状に対応しているので、電子線レジストスポット303bを測定することで、簡単かつ正確にそのサイズを評価できる。
PTA(リンタングステン酸)溶液を用いて分子膜スポットを染色し、SEM観察した際の分子膜スポットの直径と、レジストスポットの直径は、SEM観察像の解像度の限界による測定誤差(2〜5nm)の範囲内で一致した。
なお、電子線レジストスポット303bの中で、SEM観察時に電子ビームを照射した領域は表面状態が変化するが、それ以外の領域はSEM観察の影響を受けないので、以降のプロセスに利用できる。
(フェリチン配置)
前述の鉄酸化物コアを導入したフェリチンの回収と精製により作製したフェリチン306を、0.5mg/mL含むフェリチン溶液307の調整を行った。水溶液には、緩衝剤としてMES(2-(4-Morpholino)
ethanesulfonic acid)およびTris(2-Amino-2-(hydroxymethyl)-1,3-propanediol)をpH7となるよう添加した。MESおよびTrisの濃度は同一とし、このとき溶液のpHは7であった。緩衝剤の濃度については後述するが、例えば「緩衝剤濃度を0.1mMとする」と記述する場合、溶液中のMESおよびTrisの濃度はいずれも0.1mMである。この際、必要に応じて、限外ろ過膜と超遠心分離装置を用いて溶液中フェリチンを濃縮し目的濃度の緩衝剤を含む溶液で希釈した。この濃縮および希釈の操作を5回ないし10回繰り返すことで、緩衝剤の置換と濃度調整を行った。
前述の基板表面への分子膜スポット形成により作製した分子膜スポットを有する基板305に、上記のフェリチン溶液307を滴下し、室温にて1分間静置した。この際、溶液中のフェリチンの一部が、基板上の分子膜スポット上に吸着した(306b)。
上記の後、基板を純水の流水中で5分間洗浄することにより、吸着していない余剰のフェリチン306aを除去した。洗浄後の基板を乾燥し、110℃で3分間ベーキングして吸着したフェリチン306bを基板上に固定し、分子膜スポット304上にフェリチン微粒子が吸着固定された基板308を得た。上記の基板308の表面を、SEMにより観察した。
本実施の形態2においては、特に基板上への単一フェリチン配置の再現性を向上することを目的とし、スポットAあるいはスポットBを用い、緩衝剤濃度は0.1mMあるいは0.01 mMとして、最も単一配置の再現性の高い条件での比較を行った。
結果は以下の実施例および比較例に示す通りである。
(実施例2)
Fer8-98gluとスポットBを用い、緩衝剤濃度を0.1 mMとしてフェリチン配置を行った。得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図4に示す。
図4では、再現性の高い単一配置が確認でき、ほとんどの分子膜スポット上で単独のフェリチンが固定されている。なお、図4における単一率は、94%であった。
(比較例2)
Fer8とスポットAを用い、緩衝剤濃度を0.01 mMとしてフェリチン配置を行った。得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図5に示す。
図5では、配置の再現性は低く、一部のスポット上には単独配置があるものの、2個配置されたスポットおよびフェリチンが配置されていないスポットが、それぞれ複数ある。なお、図5における単一率は、63%であった。
なお、スポットB上では、緩衝剤濃度が0.1mMと0.01 mMのいずれの場合も多数のFer8が吸着し、単一配置は得られなかった。また、スポットA上で、緩衝剤濃度が0.1mMの場合も多数のFer8が吸着し、単一配置は得られなかった。
(比較例3)
Fer8-157gluとスポットAを用い、緩衝剤濃度を0.01 mMとしてフェリチン配置を行った。得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図6に示す。
図6でも、配置の再現性は低く、一部のスポット上には単独配置があるものの、2個配置されたスポットおよびフェリチンが配置されていないスポットが、それぞれ複数ある。なお、図6における単一率は、50%であった。
なお、スポットB上では、緩衝剤濃度が0.1mMと0.01 mMのいずれの場合も多数のFer8-157gluが吸着し、単一配置は得られなかった。また、スポットA上で、緩衝剤濃度が0.1mMの場合も多数のFer8-157gluが吸着し、単一配置は得られなかった。
(比較例4)
Fer8-98glu105gluとスポットAを用い、緩衝剤濃度を0.01 mMとしてフェリチン配置を行った。得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図7に示す。
図7でも、配置の再現性は低く、一部のスポット上には単独配置があるものの、2個以上配置されたスポットおよびフェリチンが配置されていないスポットが、それぞれ複数ある。なお、図7における単一率は、38%であった。
なお、スポットB上では、緩衝剤濃度が0.1mMと0.01 mMのいずれの場合も多数のFer8-98glu105gluが吸着し、単一配置は得られなかった。また、スポットA上で、緩衝剤濃度が0.1mMの場合も多数のFer8-98glu105gluが吸着し、単一配置は得られなかった。
上記の結果から、各フェリチンを用いた際の単一配置率を計算した結果を、表2にまとめる。
ここで、単一配置率とは、フェリチンを配置するために設けた分子膜スポットの総数に対する、単独のフェリチン分子が実際に配置されている分子膜スポットの割合であり、数値が100%に近い方が再現性が高いことを示す指標である。なお、用語「単一配置率」は、本明細書においては、「再現率」「再現性」と呼ばれることもある。
Fer8の結果は、第2の従来技術による配置の結果にほぼ対応している。これに対して、Fer8-98glu の再現性は各段に向上しており、90%以上の配置位置で、単独のフェリチン分子の配置に成功している。一方、Fer8-157glu の再現性は、改変前のFer8に比較してもさらに低下している。
Fer8-98glu105gluは、Fer8-98gluに比較してさらに外側表面のグルタミン酸が増加しているにもかかわらず、やはり改変前のFer8よりも低い再現性を示している。
上記結果は、単純に、外側表面のアミノ酸をグルタミン酸に置換すること、あるいは外側に提示される負電荷量を増加させるだけで、単一配置の再現性が向上するわけではなく、特に配列番号1のアミノ酸配列が特異的な効果を有することを示している。
以上の結果からも理解されるように、フェリチンを基板上の目的の位置に高い再現性で1個ずつ配置するためには、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質サブユニットにより構成された改変体フェリチンを用いることが必要である。
(実施の形態3)
この実施の形態3では、分子膜スポットの大きさについて検討する。あまりにも大きすぎる、すなわち、表面積が大きすぎる分子膜スポットには、どのようなフェリチンを用いても、単一のフェリチンが配置されることはないからである。
本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、鉄酸化物コアの導入、鉄酸化物コアを導入したフェリチンの回収と精製、さらに基板表面への分子膜スポット形成を行って、最後にフェリチン配置を行う。
ただし、本実施の形態では、実施の形態2と異なり、より大面積の分子膜スポット上への単一フェリチン配置を目指し、スポットCあるいはスポットDを用い、各フェリチンにおける単一性を比較した(スポットの大きさについては実施の形態2を参照)。
いずれのフェリチンにおいても緩衝剤濃度を0.01 mM未満にしても吸着状態に変化は無く、逆に緩衝剤濃度を0.1 mM以上とすると吸着フェリチンの個数が増加して単一性は低下したので、緩衝剤濃度としては0.01 mMを用いた。
結果は以下の実施例および比較例に示す通りである。
(実施例3)
Fer8-98gluとスポットCを用いて得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図8に示す。
図8では、多くの分子膜スポット上で単独のフェリチンが固定されている。なお、図8における平均配置数は、1.0個である。
(実施例4)
Fer8-98gluとスポットDを用いて得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図13に示す。
図13では、2個のフェリチンが配置された分子膜スポットもあるが、いくつかの分子膜スポット上では単独のフェリチンが固定されている。なお、図13における平均配置数は、1.4個である。
(比較例5)
Fer8とスポットCを用いて得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図9に示す。
図9では、配置の単一性は低く、ほとんどの分子膜スポット上に複数のフェリチンが吸着されている。なお、図9における平均配置数は、4.2個である。
(比較例6)
Fer8-157gluとスポットCを用いて得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図10に示す。
図10でも、配置の単一性は低く、ほとんどの分子膜スポット上に複数のフェリチンが吸着されている。なお、図10における平均配置数は、4.8個である。
(比較例7)
Fer8-98glu105gluとスポットCを用いて得られたフェリチンの単一配置の様子を示す写真を図11に示す。
図11でも、配置の単一性は低く、ほとんどの分子膜スポット上に複数のフェリチンが吸着されている。なお、図11における平均配置数は、3.8個である。
上記の結果から、各フェリチンを用いた際のスポットC上での平均配置個数を計算した結果を、表3にまとめる。
ここで、平均配置個数とは、分子膜スポット上に配置されたフェリチン分子の総数を、分子膜スポットの個数で除した値であり、数値が1に近い方が良好な単一配置であることを示す指標である。
上記結果は、Fer8-98glu 以外のフェリチンでは、直径45nmのスポットD上への単一配置ができないことを示している。言い換えれば、Fer8-98gluであれば、直径45nmのスポットD上への単一配置が可能である。
Fer8-98gluと同様に外側アミノ酸をグルタミン酸に置換した改変フェリチンであっても、改変異置が異なったり、あるいは改変数が増加したりすると、効果は得られない。
以上の結果からも理解されるように、フェリチンを基板上の目的の位置に高い再現性で1個ずつ配置するためには、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質サブユニットにより構成された改変体フェリチンを用いることが必要である。
(実施の形態4)
この実施の形態4では、無機粒子の配置方法について説明する。
本実施の形態でも、実施の形態2および実施の形態3と同様に、鉄酸化物コアの導入、鉄酸化物コアを導入したフェリチンの回収と精製、基板表面への分子膜スポット形成、およびフェリチン配置を行う。次に、下記の工程によりタンパク質の除去を行う。
(タンパク質の除去)
フェリチンを配置した基板をランプ加熱炉に入れて、炉内を真空引きし、炉内が大気圧になるまで酸素ガスを供給した(流量100sccm)。
次に、大気圧、酸素ガス流量100sccmの条件下で基板を加熱し、500℃で10分間、熱処理を行った。
熱処理後、窒素ガスを流量10L/m供給して基板を冷却し、基板温度が100℃以下となった時点で炉内から基板を取り出した。取り出した基板をSEMにより観察した。
結果は以下の実施例に示す通りである。
(実施例4)
実施例2と同様にFer8-98gluとスポットBを用い、緩衝剤濃度を0.1 mMとしてフェリチン配置を行った基板を用いてタンパク質の除去を行った。SEM観察により、コアである鉄酸化物微粒子は基板上に残り、各配置位置に単独ナノドットが配置された状態を保っていることが確認できた。
なお、上記の熱処理条件によりフェリチン外側のタンパク質が除去されることは、別途、全面にフェリチンを配置した基板のXPS(X線光電子分光)分析により確認されている。(Yoshii et al., Jpn. J. Appl. Phys. 44 (2005),1518)
(補足)
本明細書において用いられる用語「単一」、用語「単独」、および用語「1つの」は、同一の意味である。用語「改変体フェリチン」、用語「変異フェリチン」、および用語「組み換えフェリチン」も同一の意味である。用語「改変体アポフェリチン」、用語「変異アポフェリチン」、および用語「組み換えアポフェリチン」も同一の意味である。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明にかかるフェリチンの配置方法および無機粒子の配置方法は、基板上への微粒子配置法として有用である。特に特定位置への選択的な微粒子配置が要求される、例えば半導体素子等の用途に特に有用できる。
図1は、改変体フェリチンapoFer8-98gluの模式図である。 図2は、実施例1および比較例1により得られたフェリチンへの鉄酸化物コア導入状態を示す写真である。 図3は、フェリチンの配置法の工程を示す図である。 図4は、実施例2により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図5は、比較例2により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図6は、比較例3により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図7は、比較例4により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図8は、実施例3により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図9は、比較例5により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図10は、比較例6により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図11は、比較例7により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。 図12は、フェリチンが分子膜スポットに配置されている状態を示す概念図である。 図13は、実施例4により得られたフェリチンの配置状態を示す写真である。
符号の説明
101 改変体フェリチン Fer8-98glu
102 改変位置(91番目のグルタミン酸の位置)
201 鉄酸化物コアの導入後のFer8-98glu溶液
202 Fer8-98gluの上澄み液
203 Fer8-98gluの沈殿
204 鉄酸化物コアの導入後のFer8-159glu溶液
205 Fer8-159gluの上澄み液
206 Fer8-159gluの沈殿
301 シリコン基板
302 シリコン酸化膜
303a 電子線レジスト膜
303b 電子線レジストスポット
304 分子膜スポット
305 分子膜スポットを有する基板
306 フェリチン
306a 溶液中のフェリチン
306b 分子膜スポット上のフェリチン
307 フェリチン溶液
308 分子膜上にフェリチンが配置された基板
配列表のフリーテキスト
配列番号1の<223>:改変ウマ由来フェリチン (apoFer8-98glu)
配列番号2の<223>:改変ウマ由来フェリチン (apoFer8-98glu) の組み換えDNA
配列番号3の<223>:改変ウマ由来フェリチン (apoFer8)
配列番号4の<223>:改変ウマ由来フェリチン (apoFer8-159glu)
配列番号5の<223>:改変ウマ由来フェリチン (apoFer8-157glu)
配列番号6の<223>:改変ウマ由来フェリチン (apoFer8-98glu105glu)

Claims (12)

  1. 複数の分子膜スポットを備えた基板にフェリチンを配置する方法であって、
    前記フェリチンは、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質サブユニットにより構成された改変体フェリチンであって、
    前記分子膜スポットは表面にアミノ基を有しており、
    前記分子膜スポット1カ所の面積は2100nm以下であり、
    前記方法は、
    前記フェリチンを含有する溶液を前記基板に接触させることにより、前記分子膜スポット1カ所に対して1個の前記フェリチンを配置させる配置工程を有する、方法。
  2. 前記改変体フェリチンが鉄酸化物粒子を内包する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分子膜スポットがアミノシラン分子膜からなる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記基板がシリコン基板であり、前記基板表面の前記分子膜を除く領域にシリコン酸化膜を備える、請求項1に記載の方法。
  5. 前記分子膜スポット1カ所の面積は380nm以上である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記配置工程の前に、前記分子膜スポットをフォトリソグラフィーにより形成する分子膜スポット形成工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
  7. 無機粒子を基板上に配置する方法であって、
    前記方法は、
    フェリチンを含有する溶液を、複数の分子膜スポットを備えた前記基板に接触させることにより、前記各分子膜スポットに1個の前記フェリチンを配置させる配置工程と、
    前記基板を加熱することによって、前記フェリチンを分解する分解工程と
    を有し、
    ここで、
    前記フェリチンは、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質サブユニットにより構成された改変体フェリチンであって、
    前記分子膜スポットは表面にアミノ基を有し、
    前記分子膜スポット1カ所の面積は2100nm以下である、方法。
  8. 前記改変体フェリチンが鉄酸化物粒子を内包する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記分子膜スポットがアミノシラン分子膜からなる、請求項7に記載の方法。
  10. 前記基板がシリコン基板であり、前記基板表面の前記分子膜を除く領域にシリコン酸化膜を備える、請求項7に記載の方法。
  11. 前記分子膜スポット1カ所の面積は380nm以上である、請求項7に記載の方法。
  12. 前記配置工程の前に、前記分子膜スポットをフォトリソグラフィーにより形成する分子膜スポット形成工程をさらに有する、請求項7に記載の方法。
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