JP4290875B2 - 組換え脂質化PsaAタンパク質、調製法および使用 - Google Patents

組換え脂質化PsaAタンパク質、調製法および使用 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の背景)
肺炎連鎖球菌 (Streptococcus pneumoniae)は、中耳炎、髄膜炎、菌血症および肺炎の有力な原因であり、高齢者、および肺疾患、肝疾患、アルコール症、鎌状赤血球、脳脊髄液漏、後天性免疫不全症候群(AIDS)などの基礎医学状態をもつ人、および免疫抑制療法を受けている患者における致命的感染の主な原因である。それは、幼い子供の病状の主な原因でもある。肺炎球菌感染により、毎年、米国で、約40,000人が死亡している(CDC、肺炎球菌疾患の予防、MMWR 1997;46;1−25)。最も重度の肺炎球菌感染は、浸潤性髄膜炎および菌血症感染に関するものであり、年間、それぞれ3,000および50,000の症例がある。
【0002】
抗菌剤およびワクチンの使用にもかかわらず、肺炎球菌感染の有病数は、過去25年間にほとんど減少しておらず;菌血症の致死率は、総人口で15−20%、高齢者で30−40%、都心部のアフリカ系アメリカ人で36%であると報告されている。より重度の低い肺炎球菌疾患型は、S. pneumoniaeにより引き起こされる、肺炎(年間、米国で、500,000の症例がある)および子供の中耳炎(年間、米国で、推定7,000,000の症例がある)である。薬剤耐性S. pneumoniae株は、米国および世界中で、より一般的となってきつつある。ある地域では、肺炎球菌単離株の30%もがペニシリンに耐性である。抗生物質耐性肺炎球菌の増加により、肺炎球菌感染の予防の必要性がさらに強調される。
【0003】
肺炎球菌は、無症候性に、正常個体の上気道にコロニーを形成し;疾患は、日和見現象中に、生物が上咽頭から他の組織に蔓延することから生じることが多い。ヒト保因発生率は、年齢および環境により変動する。子供の保因率は、典型的に、成人よりも高い。研究により、就学前の子供の38%−60%、小学校の子供の29%−35%、および中学校の子供の9−25%が、肺炎球菌の保因者であることが実証された。成人間では、保因率は、家に子供のいない成人では6%に下降し、家に子供いる成人では18%−29%に下降する。保因率が成人よりも子供の方が高いことが、これらの集団における肺炎球菌疾患の発生率と対応していることは驚くべきことではない。
【0004】
連鎖球菌ワクチン接種の興味をひく目標は、ワクチン接種を受けた集団における保因を減少させ、引き続いて、肺炎球菌疾患の発生率を減少させることである。ワクチン接種による肺炎球菌保因率の低下は、ワクチン接種を受けた個体だけでなく、ワクチン接種を受けていない個体における疾患の発生率も低下させ得ると推測されている。上気道細菌病原体に対してワクチン接種により誘導したこの「集団免疫」は、Haemophilus influenzae b型複合ワクチンを使用して観察された(Takala,A.K.ら、J.Infect.Dis.1991;164:982−986;Takala,A.K.ら、Pediatr.Infect.Dis.J.、1993:12:593−599;Ward,J.ら、Vaccines,S.A.PlotkinおよびE.A.Mortimer編、1994、pp.337−386;Murphy,T.V.ら、J.Pediatr.,1993;122;517−523;およびMohle−Boetani,J.C.ら、Pediatr.Infect.Dis.J.,1993;12:589−593)。
【0005】
肺炎連鎖球菌に対する免疫は、肺炎球菌の多糖莢膜に対する特異的抗体により媒介できることが一般に認められている。しかし、新生児および幼い子供は、ほとんどの莢膜多糖抗原に対する適切な免疫応答を作ることができず、同じ莢膜血清型に関与した感染に繰り返しかかり得る。多くの被包性細菌に対して乳児を免疫化する1つのアプローチは、莢膜多糖抗原をタンパク質に結合させ、それらを免疫原性とすることである。このアプローチは、例えば、Haemophilus influenzae bで成功した(Gordonの米国特許第4,496,538号およびAndersonの米国特許第4,673,574号参照)。
【0006】
しかし、S. pneunmoniaeの既知の莢膜血清型は90個以上あり、その中の23個が疾患の約85−90%を占める。肺炎球菌多糖−タンパク質複合体が効を奏するためには、ほとんどの肺炎球菌感染に関与する莢膜型を適切に免疫原性としなければならない。このアプローチは、現在入手可能なワクチンに含まれている23個の多糖は、成人においてさえ、全てが最適に免疫原性であるわけでないので、困難であろう。
【0007】
抗莢膜多糖抗体応答により媒介される保護は、多糖の型に制限を受ける。異なる多糖型は、ヒトおよび他の種で、病原性を違うように助長する。肺炎球菌ワクチンは、流行型のヒト肺炎球菌疾患の代表的な23個の異なる莢膜多糖を合わせることにより開発された。これらの23個の多糖型は、1983年以来、認可を受けた肺炎球菌ワクチンに使用されてきた(D.S.Fedson、M.Musher、Vaccines、S.A.PlotkinおよびJ.E.A.Montimer編、1994、pp.517−564)。認可を受けた23価多糖ワクチンの、健康成人においてワクチン型肺炎球菌により引き起こされる菌血症を予防する効力は、約60%であると報告されている。
【0008】
しかし、ワクチンの効力は議論の余地があり、時々、ワクチンの使用を推奨する正当化が疑問視される。このワクチンの効力は、23個の異なる抗原を合わせることで悪影響を受けると推測されてきた。単一の製剤中に多くの抗原を組み合わせると、抗原の競合により、この混合物中の個々の型に対する抗体応答に悪影響が出かねない。この効力は、23個の血清型が、ヒト感染および保因に関連した全ての血清学的な型を包含しているという事実によっても影響を受ける。
【0009】
子供およびまた高齢者を肺炎球菌感染から保護する別のアプローチは、保護性免疫応答を誘発しうるタンパク質抗原を同定することであろう。かかるタンパク質は、それ自体ワクチンとして使用してもよく、または効を奏する多糖−タンパク質複合体と結合して、または多糖の担体として使用してもよい。
【0010】
Russellらは、肺炎球菌線毛タンパク質Aと称される肺炎連鎖球菌由来の免疫原性である種共通タンパク質について述べている(J.Clin.Microbiol.28:2191−95(1990))。この37kDaタンパク質抗原は、米国特許第5,422,427号にも記載されており、その教示は、その全体を参考としてここに組込む。以前は肺炎球菌線毛タンパク質Aと呼ばれたこの37kDaタンパク質は、より近年になって、肺炎球菌表面タンパク質A(PsaA)と称された。本出願の意向では、PsaA、肺炎球菌表面タンパク質A、肺炎球菌線毛タンパク質A、または37kDa抗原についての言及は全て、Russellら(1990)により特徴づけられ、米国特許第5,422,427号に記載された肺炎連鎖球菌由来の、あるタンパク質抗原に言及していると理解すべきである。
【0011】
PsaAに対するモノクローナル抗体を用いた免疫ブロット分析研究は、PsaAは、全23個の肺炎球菌ワクチン血清型に共通していることを示す(Russellら、1990)。PsaAをコードする遺伝子はクローン化され、配列決定された(Sampsonら(1994)、「以前に報告された肺炎球菌種の付着因子と相同な37kDaタンパク質をコードする肺炎連鎖球菌遺伝子である、psaAのクローニングおよびヌクレオチド配列分析」Infect.Immun.62:319−324)。残念ながら、この遺伝子をクローン化した株であるR36Aは、病原性の低い非被包性株であり、引き続く研究により、それは臨床関連菌株の血清型由来のpsaA遺伝子の代表ではないことが判明した。例えば、発表されたR36A由来のpsaAの配列に基づいたオリゴヌクレオチドプライマーは、病原性莢膜2型菌株であるD39株由来のpsaA遺伝子のPCR増幅を導くことができなかった(BerryおよびPaton、Infect.Immun.64:5255−62、1996)。
【0012】
psaA遺伝子が、被包化6B菌株からクローン化され、これは係属特許出願第08/222,179号の主題である。この遺伝子は、より代表的な臨床関連菌株である。この遺伝子は、最初にpUC18にクローン化し、引き続きT5プロモーターを含む発現ベクターpQE30(Quiagen、カリフォルニア)に挿入した。しかし、この作成物で形質転換し、IPTGで誘導した大腸菌(E. coli)宿主細胞は、組換えPsaAを発現したが、組換え細胞は不安定であり収量は低かった。この不安定性は、自然に脂質化された組換えタンパク質のE. coli宿主細胞に対する毒性に起因する可能性があり、免疫学的組成物に使用するために十分量の組換えPsaAを調製するのに、このような発現系の使用は制限される。
【0013】
感染を確立するためには、肺炎連鎖球菌は、最初に、粘膜表面を通って宿主に侵入しなければならない。粘膜表面での特異的免疫の主な決定基は、分泌IgA(S−IgA)であり、これは生理学的および機能的に循環免疫系の成分とは異なる。粘膜のS−IgA応答は、主に、共通粘膜免疫系(CMIS)により産生され[Mestecky、J.Clin.Immunol.(1987)、7:265−276]、ここで免疫原は、まとめて粘膜付属リンパ組織(MALT)と呼ばれる特定化リンパ上皮構造により取り込まれる。共通粘膜免疫系なる語は、いずれの粘膜部位での免疫化も、全ての他の粘膜部位での免疫応答を誘発できるという事実を意味する。したがって、腸管での免疫化は、上気道での粘膜免疫化を誘発させることができ、またその逆も可能である。
【0014】
さらに、経口免疫化により、粘膜IgA抗体に加えて、全身区画での抗原特異的IgG応答を誘導できることを注記することは重要である[McGhee,J.R.ら、(1993)、Infect.Agents and Disease 2:55−73]。
【0015】
ほとんどの可溶性で非複製性の抗原で、特に経口経路によるものは粘膜免疫原が弱いが、これはおそらく消化酵素がこのような抗原を分解し、またかかる抗原は、腸管付属リンパ組織(GALT)への向性をほとんどまたは全くもたないからであろう。従って、効果的な粘膜免疫原を産生する方法、及びそれらを含むワクチンおよび免疫原性組成物が望ましい。
【0016】
PsaAなどの天然タンパク質抗原、またはその免疫原性断片は、宿主に投与した場合、免疫応答を促す。組換えタンパク質は、有望なワクチンまたは免疫原性組成物候補である。なぜなら、それらは高収率および高純度で産生でき、望ましい活性を最大限に、望ましくない活性を最小限にするように操作できるからである。しかし、それらは免疫原性に乏しい可能性があるため、組換えタンパク質に対する免疫応答を増強させる方法が、ワクチンまたは免疫原性組成物の開発には重要である。特に組換え産生した場合のかかる抗原は、アジュバントと組合せて投与した場合に、より強力な応答を誘発することがある。アジュバントは、抗原の免疫原性を増強する物質である。アジュバントは、投与部位の近くで局所的に抗原を保持し、貯留効果を生じさせ、免疫系の細胞への抗原の緩やかで持続的な放出を促進することにより作用し得る。アジュバントは、免疫系細胞を引きつけることもでき、免疫細胞を抗原貯留所にひきつけて、かかる細胞を刺激して免疫応答を誘発させ得る。
【0017】
免疫刺激剤すなわちアジュバントは、長年、宿主免疫応答を向上させるために、例えばワクチンに対して使用されてきた。内因性アジュバント、例えばリポポリ多糖は、通常、ワクチンとして使用される死滅または弱毒化細菌の成分である。外因性アジュバントは、抗原に典型的に非共有結合し、宿主免疫応答を増強するように製剤化された免疫調節剤である。水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム(まとめて一般にミョウバンと呼ぶ)は、ヒトおよび獣ワクチンのアジュバントとして日常的に使用されている。現在、ミョウバンは、ヒト使用に認可されている唯一のアジュバントであるが、コレラ毒素Bなどの何百もの実験的アジュバントが試験されている。しかし、これらのアジュバントには欠陥がある。例えば、コレラ毒素Bは、コレラを引き起こすという意味では毒性はないが、コレラと同様に有害な疾患と関連した毒素を投与することには、特別にとてもありそうもない少量の不純物の可能性だとしても、一般的な不安がある。また、コレラ毒素Bがアジュバントとして有効に機能するためには、いくらかのコレラ毒素活性がなければならないと一般に信じられている。
【0018】
従って、特に一価製剤においては、アジュバント使用以外の方法により、抗原の免疫原性を増強することが望ましく;多価製剤では、より強い免疫応答を得るために、アジュバントを用いて免疫原性を増強させるかかる手段を利用できることが望ましい。
【0019】
非常に有望な免疫刺激剤は、PamCysと略称される、脂質部分N−パルミトイル−S−(2RS)−2,3−ビス−(パルミトイルオキシ)プロピルシステインである。この部分は、脂質付着およびシグナルペプチダーゼIIによる切断を特定化するシグナル配列で合成される、細菌性リポタンパク質のアミノ末端に見出される。合成ペプチドは、それ自体免疫原性ではないが、PamCysに共有結合すると、強力な抗体応答を誘導する[Besslerら、Research Immunology(1992)143:548−552]。
【0020】
抗体応答に加えて、しばしば、細胞免疫応答、特にキラーT細胞(cytotoxic T lymphocytes:CTLs)を誘導することが必要である。PamCysに結合した合成ペプチドは、極めて強力なCTLsの誘導物質であるが、今まで大きな組換えリポタンパク質によるCTL誘導を報告した人は誰もいない。
【0021】
WO90/04411に記載のように、B. burgdorferiのB31株のDNA配列の分析により、OspAタンパク質は、151位のDNA配列で開始し、970位のDNA配列で終結する819ヌクレオチドのオープンリーディングフレームによりコードされることが示される(本明細書中の図1参照)。
【0022】
OspAの最初の16個のアミノ酸残基は、OspAの疎水性シグナル配列を構成する。全長B. burgdorferi遺伝子の一次翻訳産物は、疎水性N末端シグナル配列を含み、これはジアシルグリセロールの、隣接するシステイン残基のスルフヒドリル側鎖への付着のための基質である。この付着後、シグナルペプチダーゼIIによる切断および第三脂肪酸のN末端への付着が起こる。完全脂質部分がPamCysと呼ばれる。N末端PamCys部分を有するOspAリポタンパク質は、強力な抗体応答を刺激するが、付着脂質の欠如したOspAは検出可能な抗体を全く誘導しなかったことから、OspAの脂質化は、免疫原性に必要であることが示された[Erdileら、Infect.Immun.、(1993)、61:81−90]。
【0023】
公開国際特許出願第WO93/10238号は、肺炎連鎖球菌株(6B型)のpsaA遺伝子のDNA配列並びに37kDa分子量のそれによりコードされるPsaAタンパク質を記載する。この配列により、PsaAは、OspAで使用されているものと類似したシグナル配列を使用しているリポタンパク質であることが判明する。OspAに関する知見に基づき、組換えPsaAの脂質化は、その免疫原性を増強するに有用であろうと期待するかもしれないが;下記で議論したように、出願人は、検出可能な組換えPsaAの発現を得ることの困難さを経験した。
【0024】
Inouyeの米国特許第4,624,926号は、プラスミドクローニングベクターに関し、これは、グラム陰性細菌の外膜リポタンパク質遺伝子由来の1つ以上の機能的断片と結合した所望のポリペプチドをコードするDNA配列を含む。形質転換したE. coli宿主細胞により発現されるポリペプチドは、リポタンパク質のシグナルペプチド、次いで、リポタンパク質の最初の8個のアミノ酸残基、次に、所望のタンパク質のアミノ酸配列を含む。シグナルペプチドは、その後、自然に細胞膜を横断して移動し、リポタンパク質の最初の8個のアミノ酸は、その後さらに処理され、リポタンパク質の外膜への通常の挿入と類似した様式で、細胞の外膜に挿入され得る。発現したタンパク質の免疫原性は示されなかった。
【0025】
公開国際特許出願WO91/09952号は、脂質化タンパク質を発現するプラスミドを記載する。このようなプラスミドは、リポタンパク質シグナルペプチドをコードするDNA配列を含むが、このシグナルペプチドは、所望のタンパク質をコードしているDNA配列に順々に結合する、β−ターンテトラペプチドQANYまたはIEGRの1つのコドンに結合している。ここでも、発現されたタンパク質の免疫原性は実証されなかった。
【0026】
(発明の要約)
本発明の目的は、組換え肺炎球菌リポタンパク質(この際、その脂質化は第一核酸配列の発現に由来し、そのタンパク質部分は第二核酸配列の発現に由来し、第一および第二配列は、天然には同時に生じない)を提供することである;特に、第一配列がボレリア属リポタンパク質リーダー配列、好ましくはOspAリーダー配列をコードし、より好ましくは、第二配列が、PsaAを含むタンパク質部分、またはその免疫原性断片をコードしているリポタンパク質である。
【0027】
本発明の別の目的は、かかる組換えリポタンパク質をコードする遺伝子および/または配列の発現、そのベクター、およびかかる発現を行う方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、組換えリポタンパク質および/またはその発現ベクターを含む、ワクチンを含む、免疫原性組成物を提供することである。
【0029】
上記参照出願を含む、本開示で引用した文書は、本開示から該組成物を製剤化するために当業者が過度の実験を必要としないように、該組成物のための典型的な追加の成分を提供する。かかる組成物は、好ましくは、適切な応答を誘発するに十分な量で発現している組換えPsaAリポタンパク質またはベクターを含む。かかる組換えリポタンパク質またはベクターの量は、既知の投与抗原量を基にすることができる。例えば、本発明の組換えリポタンパク質を発現する第二配列に対応する抗原の投与量が既知であれば、組換えPsaAリポタンパク質の量は、ほぼその既知量までの目方にし得、ベクターの量は、ほぼその既知量の組換えリポタンパク質がin vivoで発現されるように、十分な数のコロニー形成単位(cfu)を産生するものであり得る。同様に、組換えPsaAリポタンパク質の量は、過度の実験をすることなく、下記の実施例および本明細書に引用した文書において動物に投与した抗原量を基にすることができる。
【0030】
本発明はまた、他の態様において、発現ベクターの構築、発現ベクターを含む宿主生物からの組換えPsaAリポタンパク質の発現、および任意選択による発現した組換えPsaAリポタンパク質の単離および/または精製による、組換えPsaAリポタンパク質の産生法を含む。単離および精製プロセスは、リポ多糖および他の細菌性タンパク質などの不純物を含まない組換えPsaAリポタンパク質を得るためであり得る。本発明はさらに、組換えPsaAリポタンパク質を含む、ワクチンなどの免疫原性組成物、並びに免疫応答を誘導する方法を含む。
【0031】
本発明は、リポタンパク質をコードする核酸分子を含むベクターからの肺炎球菌リポタンパク質の発現を行う遺伝子工学に関する。より具体的には、本発明は、組換えPsaAリポタンパク質の発現に関するものであって、この際、その脂質化は、第一核酸配列の発現に由来し、そのタンパク質は第二核酸配列の発現に由来し、第一および第二配列は、自然に一緒に存在せず、隣接している。本発明は、第一核酸配列が、ボレリアリポタンパク質(OspA)リーダー配列をコードする、該リポタンパク質の発現に関する。本発明はまた、OspAリーダー配列をコードする核酸配列を使用して発現した組換え脂質化PsaAタンパク質、その同組成物の製造および使用法、および組成物の使用法にも関する。本発明は、さらに、組換えPsaAリポタンパク質をコードする核酸配列、配列を含有および/または発現するベクター、PsaAリポタンパク質を発現する方法、並びに核酸配列およびベクターの製造法;免疫原性またはワクチン組成物を含む、PsaAリポタンパク質を利用した組成物(該組成物は好ましくは向上した免疫原性を有する);並びに免疫応答すなわち保護性応答を誘発するための該組成物の使用法に関する。
【0032】
本明細書を通じて、本発明が関係する技術水準をより完全に記載するために様々な文書を参照する。これらの文書は各々参考としてここに組込む。
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明の方法により、以前には不可能であった、大量の純粋な組換え、免疫原性脂質化PsaAタンパク質、およびその部分を得ることが可能となる。本明細書で提供する組換え形成脂質化タンパク質は、その非脂質化組換え類似体よりも有意に免疫原性が高い。
【0034】
従って、1つの実施形態において、本発明は、成熟PsaAタンパク質、またはその免疫学的活性断片をコードする第二核酸分子と翻訳オープンリーディングフレーム関係で共役した、好ましくはボレリア属の種のOspAタンパク質のシグナル配列をコードする第一核酸配列を含む、単離ハイブリッド核酸分子、好ましくはDNAを提供する。
【0035】
第一核酸配列によりコードされるボレリア株のOspAタンパク質のシグナル配列は、好ましくはB. burgdorferi株、より好ましくはB31、ACA1およびIp9Oファミリーの株から、または匹敵するシグナル配列をもつ他の株から選択したB. burgdorferiの株のものである。
【0036】
本明細書で提供するハイブリッド遺伝子は、発現ベクター中に、好ましくは、適切な成熟リポタンパク質発現プロモーターの制御下で、本発明のさらなる態様に従って構築させ得、それは、E. coliなどの適切な宿主生物中で、最初に、リーダー配列および脂質化形のPsaAタンパク質を含むキメラ分子の翻訳を引き起こし、次いで、キメラ分子がシグナルペプチダーゼIIにより切断され、脂質部分が新規なPsaAタンパク質末端に付着し、よって成熟リポタンパク質が宿主生物中で発現される。
【0037】
本発明は、初めて、市販上有用な量の組換え脂質化PsaAタンパク質、またはその免疫学的活性断片の産生を可能とするハイブリッド核酸分子を提供する。
【0038】
高い収率を所望するため、組換え法が好ましい。脂質化PsaAの組換え産生の基本的な段階は、
a)異種PsaAリポタンパク質をコードする合成または半合成DNAを作成し、
b)該DNAを、発現ベクターに、PsaAリポタンパク質の発現に適した様式で、単独で、または融合タンパク質として組込み、
c)該発現ベクターを用いて、適切な原核または真核宿主細胞を形質転換し、
d)該形質転換またはトランスフェクト宿主細胞を培養し、
e)組換え産生PsaAリポタンパク質を回収および精製することを含む。
【0039】
組換え発現において、PsaAリポタンパク質をコードする配列は、全合成、半合成、または天然psaA遺伝子の修飾の結果であり得る。
【0040】
合成遺伝子(そのin vitroおよびin vivo転写および翻訳により、PsaA様ポリペプチドが産生される)は、当分野で公知の技術により作成し得る。自然遺伝子コード縮重のために、当業者は、PsaAリポタンパク質をコードする、かなり大きな、しかし数の限定されたDNA配列を作成し得ることを認めるだろう。PsaAリポタンパク質をコードする遺伝子は、合成方法論により創製し得る。かかる合成遺伝子作成の方法論は、当分野で公知である。Brown,E.L.、Belagaje,R.、Ryan,M.J.およびKhorana,H.G.(1979)、Methods in Enzymology、Academic Press、N.Y.、Vol.68、P.109−151、その教示全体を、参考としてここに組込む。psaA遺伝子、またはその断片に対応するDNA区域は、Apllied Biosystemsモデル380Aまたは380B DNAシンセサイザー(94404カリフォルニア、フォスターシティー、リンカーン・センター・ドライブ850、Apllied Biosystems Inc.から市販で入手可能)などの従来のDNA合成装置を使用して製造する。合成psaA遺伝子は、転写物の一端に制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有するように設計され、発現および増幅プラスミドからの単離およびそれへの組込みを容易にし得る。制限部位の選択は、PsaAリポタンパク質をコードする配列が調節配列と正しく配向し、PsaAリポタンパク質の適切なインフレーム解読および発現を達成するように選択する。様々な他のかかる切断部位も、使用する特定の組換え作成物に応じて取り込んでよく、また当分野で公知の技術により製造してもよい。
【0041】
「ポリメラーゼ連鎖反応」すなわち「PCR」は、前以て選択した小片の核酸、RNAおよび/またはDNAの量を、米国特許第4,683,195号に記載のように増幅する方法または技術を意味する。一般に、目的の領域の末端またはそれ以外からの配列情報を使用して、オリゴヌクレオチドプライマーを設計する。これらのプライマーは、増幅すべき鋳型の反対鎖と、配列が、同一または類似している。PCRを使用して、特異的RNA配列、全ゲノムDNA由来の特異的DNA配列、および全細胞RNA、バクテリオファージ、またはプラスミド配列等から転写されたcDNAを増幅することができる。一般に、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.、51、263(1987);Erlich編、PCR技術、(Stockton Press、NY、1989)参照。また、PCRを使用して、目的の任意の所望の配列変化遺伝子を好都合に導入することができる。一般に、Ausubelら編、分子生物学の現在のプロトコル§8.5.1(John Wiley & Sons、1995)参照。
【0042】
所望のコード配列および調節配列を含む適切なベクターの作成は、標準的なライゲーション技術を使用する。単離プラスミドまたはDNA断片を裂き、目的に合わせて作り、望む形で再度結合し、必要とするプラスミドを形成する。
【0043】
所望のPsaAリポタンパク質配列の翻訳を行うために、PsaAリポタンパク質をコードする工学操作したDNA配列を、過多の適切な組換えDNA発現ベクターのいずれかに、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して挿入する。合成バージョンのDNAコード配列は、転写物のいずれか一端に制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有するように設計され、これらの発現および増幅プラスミドからの単離およびそれへの組込みは容易となる。コード配列は合成リンカーの使用により容易に修飾され、当分野で公知の技術による、この配列の、所望のクローニングベクターへの取り込みは容易になり得る。使用する特定のエンドヌクレアーゼは、使用する親発現ベクターの制限エンドヌクレアーゼ切断パターンにより指図される。制限部位の選択は、DNAコード配列が調節配列と正しく配向し、PsaAリポタンパク質の適切なインフレーム解読および発現を達成するように選択する。
【0044】
一般に、宿主細胞と適合性の種由来の、プロモーターおよび調節配列を含むプラスミドベクターをこれらの宿主と共に使用する。ベクターは、普通、複製部位、並びに形質転換細胞における表現型選択を提供できるマーカー配列を有する。例えば、E. coliは、典型的には、E. coli種由来のプラスミドであるpBR322を使用して形質転換し(Bolivarら、Gene 2:95[1977])、pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性遺伝子を含み、従って、形質転換細胞を容易に同定する手段が提供される。pBR322プラスミド、または他の微生物プラスミドは、また、組換えDNA作成に一般的に使用されるプロモーターおよび他の調節エレメントを含むか、または含むように修飾しなければならない。
【0045】
PsaAリポタンパク質をコードするDNA配列は、発現ベクターのプロモーターおよびリボソーム結合部位(これは両方共、PsaAリポタンパク質のDNAコード配列が発現される宿主細胞で機能する)と共に、適切な読み枠内に位置しなければならない。本発明の好ましい実施において、プロモーター−オペレーター領域は、PsaAリポタンパク質をコードするDNA配列のATG開始コドンに関して、プロモーター−オペレーターが、それから得られた遺伝子のATG開始コドンに関して占有するものと、同じ配列配向で位置する。tacプロモーターなどの合成または修飾プロモーター−オペレーター領域は、当分野で公知である。かかる合成または修飾プロモーター−オペレーター領域を使用する場合、それらは、PsaAリポタンパク質をコードするDNA配列のATG開始コドンに関して、それらの創製者により指図されるように配向していなければならない。
【0046】
一般に、原核生物が、本発明に有用なベクターの作成における、DNA配列のクローニングに使用される。例えば、E. coli K12の294株(ATCC31446番)は、特に有用である。使用し得る他の微生物株は、E. coli BおよびE. coli X1776(ATCC31537番)、E. coli W3110(原栄養株、ATCC27325番)、枯草菌(Bacillus subtilis)などの桿菌、並びにネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)またはSerratia marcescansなどの他の腸内細菌科を含み、また様々なシュードモナス属の一種を使用してもよい。原核宿主に使用するに適切なプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ベクターpGX2907[ATCC39344]は、レプリコンおよびβ−ラクタマーゼ遺伝子を含む)およびラクトースプロモーター系(Changら、[1978] Nature、275:615;およびGoeddelら、[1979] Nature 281:544)、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(ベクターpATH1[ATCC37695]は、trpプロモーターの制御下でtrpE融合タンパク質として、オープンリーディングフレームの発現を促進するように設計されている)およびtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーター(プラスミドpDR540 ATCC−37282から単離可能)を含む。しかし、ヌクレオチド配列が一般に既知である、他の機能性細菌プロモーターによって、当業者は、それらを、PsaA様ポリペプチドをコードするDNAに、リンカーまたはアダプターを使用してライゲートし、任意の必要な制限部位を供給することができる。細菌系に使用するプロモーターはまた、PspA様ポリペプチドをコードするDNAに機能的に連鎖したシャインダルガーノ配列も含む。これらの例は限定的なものではなくむしろ例示的なものである。
【0047】
上記の議論および本明細書で提供した実施例は、原核発現を言及しているが、当業者は、本発明の組換えPsaAリポタンパク質は、必要な翻訳後の修飾を行える真核発現系でも組換え産生され得ることを容易に理解できるだろう。
【0048】
宿主細胞は、本発明の発現ベクターで形質転換され得、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または遺伝子の増幅に適切なように修飾した従来の栄養培地中で培養し得る。温度、pH等の培養条件は、以前に発現に選択した宿主細胞で使用したものであり、当分野の通常の熟練者には明らかである。前記のベクターを用いて細胞を形質転換する技術は、当分野で公知であり、Maniatisら(1989) 分子クローニング:実験マニュアル、コールドスプリングハーバー出版、コールドスプリングハーバー研究所、コールドスプリングハーバー、ニューヨークまたは分子生物学の現在のプロトコル(1989)および補刊などの一般参考文献に見出し得る。
【0049】
本発明の組換えPsaAリポタンパク質は、直接的発現により、またはPsaAリポタンパク質を含む融合タンパク質として、その後、酵素的または化学的切断を受けて製造され得る。組換え系のあるペプチドの産生において、融合タンパク質としての発現は、所望のペプチドの貯蔵寿命を延長および/または収量を増加させることがしばしば観察される。特異的部位でポリペプチドを切断(例えばトリプシン)またはペプチド鎖のアミノまたはカルボキシ末端からペプチドを消化(例えばジアミノペプチダーゼ)する様々なペプチダーゼが知られている。さらに、特定の化学物質(例えば臭化シアン)は、特異的部位でポリペプチド鎖を切断する。当業者は、部位特異的内部切断部位を取り込むためのアミノ酸配列(および合成または半合成コード配列、仮に組換え手段を使用する場合)に必要な修飾を理解するだろう。例えば、Carter P.、融合タンパク質の部位特異的タンパク質分解、第13章、タンパク質精製:分子機序から大規模プロセスまで、American Chemical Soc.、ワシントン(1990)参照。
【0050】
上記したように、ハイブリッド遺伝子は、適切なPsaAリポタンパク質発現プロモーターの制御下で、E. coliなどの適切な宿主生物中で、宿主生物からの異種PsaAリポタンパク質の発現を引き起こす発現ベクター中に構築できる。
【0051】
本発明はまた、PsaAリポタンパク質のタンパク質部分をコードする第二核酸配列と隣接した、リーダーまたはシグナル配列をコードする第一核酸配列を含む、ハイブリッドまたはキメラ遺伝子により発現される組換えPsaAリポタンパク質を提供し、第一および第二配列は自然に一緒に存在しない。第一および第二配列は、好ましくは、翻訳オープンリーディングフレーム関係で共役している。
【0052】
第一および第二配列は、1つの遺伝子中に存在でき;遺伝子および/または第一および第二配列は;適切な発現ベクター中に存在できる。ベクターは、細菌、最も好ましくは、発現に使用される細菌、例えば大腸菌、枯草菌、サルモネラ属、ブドウ球菌(Staphylococcus属)、連鎖球菌(Streptococcus属)等、または、生ベクターとして使用する細菌、例えば乳酸桿菌属(Lactobacillus)、放線菌属(Mycobacterium)、サルモネラ属、連鎖球菌等中における、例えば、プラスミド、バクテリオファージおよび組込みDNAなどの形の核酸であり得る。発現宿主を使用する場合、組換えPsaAリポタンパク質は、in vitroで発現された産物を収集することにより;例えば、細菌抽出物から組換えPsaAリポタンパク質を単離することにより得ることができる。遺伝子は、好ましくは、適切なプロモーターの制御下にあり、それ故、機能的にそれに連鎖でき、プロモーターは、ベクターに内因性であり得るか、または遺伝子と共にベクターに挿入し得る。
【0053】
本発明はさらに、組換えPsaAリポタンパク質をコードする核酸を含むベクター並びに組換えリポタンパク質を得る方法およびベクターを調製する方法を提供する。
【0054】
記述したように、本発明の組換えPsaAリポタンパク質は、増強した免疫原性を有することができる。従って、本発明の追加の実施形態は、単離組換えリポタンパク質、またはそのin vivo発現に適切なベクター、または両方、および適切な担体を含む、免疫応答を誘導するための免疫原性またはワクチン組成物、並びに、宿主に単離組換えPsaAリポタンパク質、組換えPsaAリポタンパク質を発現するベクター、または組換えリポタンパク質またはベクターを含む組成物を、応答を誘発するに十分な量で投与することを含む、免疫応答または保護性応答を誘発させる方法を提供する。
【0055】
本発明は、肺炎球菌株(群)由来の組換えポリペプチド、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む、免疫原性、免疫学的またはワクチン組成物を提供する。PsaAリポタンパク質を含む免疫学的組成物は、免疫応答を局所的または全身的に誘発させる。応答は、保護性であってもよいが、必要性はない。PsaAリポタンパク質を含む免疫原性組成物は、同様に、局所または全身免疫応答を誘発し、これは保護性であってもよいが、必要性はない。ワクチン組成物は、局所または全身保護性応答を誘発する。従って、「免疫学的組成物」および「免疫原性組成物」なる語は、「ワクチン組成物」を含む(前者2つの用語は、保護性組成物であり得る)。
【0056】
本発明は、それ故、組換えPsaAリポタンパク質および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む、免疫原性、免疫学的またはワクチン組成物を宿主に投与することを含む、宿主哺乳動物に免疫応答を誘導する方法も提供する。
【0057】
本発明の組成物における組換えPsaAリポタンパク質抗原および任意選択の追加のアジュバントの量の決定およびそれら組成物の調製は、医薬または獣医学分野における熟練者には公知の標準的な技術に従って実施し得る。特に、本発明の組成物中の抗原およびアジュバントの量および投与量は、特定の抗原、アジュバント(存在する場合)、年齢、性、体重、種、および特定の動物または患者の状態、および投与経路などの因子を考慮して、医学または獣医学分野における熟練者には公知の技術により決定する。例えば、免疫応答を望む適切な宿主における、特定のPsaAリポタンパク質抗原の用量は、本開示から当業者により容易に確認でき、典型的にそれと共に投与する任意のアジュバントの量も同様である。従って、当業者は、組成物中および本発明の方法で投与すべき、抗原および任意選択のアジュバントの量を容易に決定できる。典型的には、アジュバントは、通常、リン酸緩衝食塩水中、0.001−50重量%溶液として使用し、抗原は、マイクログラムからミリグラムの次元で、例えば、0.0001−約5重量%、好ましくは約0.0001−約1重量%、最も好ましくは約0.0001−約0.05重量%で存在する(例えば、以下の実施例または本明細書に引用した出願参照)。しかし、典型的には、抗原は、マイクログラムからミリグラムの次元の量で、すなわち、約0.001−約20重量%、好ましくは約0.01−約10重量%、最も好ましくは約0.05−約5重量%で存在する。
【0058】
勿論、動物またはヒトに投与する任意の組成物(その成分を含む)において、および任意の特定の投与法において、例えば、マウスなどのげっ歯類といった適切な動物モデルにおける、致死量(LD)およびLD50の決定により、毒性;および、例えばELISA分析による、抗体または抗原における血清の滴定およびその分析により、適切な免疫応答を誘発する組成物(群)の用量、その中の成分の濃度、および組成物を投与するタイミングを決定することが好ましい。かかる決定は、当業者の知識、本開示および本明細書に引用した文書から過度の実験を必要としない。そして、経時的投与時間を、過度の実験をすることなく確認できる。
【0059】
本発明の組成物の例は、例えば、口、鼻腔、肛門、膣、経口、胃内、粘膜(例えば、舌、肺胞、歯肉、臭覚または呼吸器粘膜)等の投与用の開口部用の液体製剤、例えば、懸濁液、シロップ剤、またはエリキシル剤;および非経口、皮下、皮内、筋肉内、または静脈内投与(例えば注射投与)用の製剤、例えば、滅菌懸濁液またはエマルションを含む。かかる組成物は、適切な担体、希釈剤または賦形剤、例えば、滅菌水、生理学的食塩水、グルコースまたはその他と混合してもよい。組成物はまた凍結乾燥させることもできる。組成物は、補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化剤または粘度増強添加剤、保存剤、芳香剤、着色剤等を、所望の投与経路および製剤に応じて、含むことができる。参考として本明細書に組込んだ、「レミングトンの医薬品科学(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE)」、第17版、1985などの標準的なテキストを、過度の実験をすることなく、適切な製剤を調製するために、参考にし得る。
【0060】
本発明の組成物は、好都合には、液体製剤、例えば等張水溶液、懸濁液、エマルションまたは粘性組成物として提供し、これは選択したpHに緩衝化させ得る。消化管吸収が好ましい場合、本発明の組成物は、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット(caplet)等の「固体」形であり得、これは、時間放出であるか、またはゼラチン覆膜液体(ここで、ゼラチンは、腸への輸送のために胃で溶解される)などの液体の充填した「固体」製剤を含む。鼻腔または呼吸器(粘膜)投与が望ましい場合、組成物は、圧縮噴霧ディスペンサー、ポンプディスペンサーまたはエアゾールディスペンサーによる形であり得、それにより施薬される。エアゾールは、通常、炭化水素による減圧下にある。ポンプディスペンサーは、好ましくは、一定量または特定の粒子サイズを有する用量を施薬できる。
【0061】
本発明の組成物は、特にそれらを経口投与した場合、よりそれらが魅力的となるように、医薬的に許容される芳香剤および/または着色剤を含むことができる。粘性組成物は、ゲル、ローション、軟膏、クリーム等の形であり得、典型的には、粘度が約2500−6500cpsとなるように、十分量の増粘剤を含むが、より粘性の組成物では、さらに10,000cpsまでを使用し得る。粘性組成物の粘度は好ましくは2500−5000cpsである。なぜなら、その範囲を超えると、投与がより困難となるからである。しかし、その範囲を超えると、組成物は、固体またはゼラチン形に接近することができ、そうすれば、容易に経口摂取用の嚥下丸剤として投与される。
【0062】
液体製剤は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製し易い。さらに、液体組成物は、特に注射または経口による、動物、子供、特に幼い子供、および、丸剤、錠剤、カプセル剤またはその他の嚥下の困難であり得る、または多用量状況にあるその他の者への投与が幾分より便利である。粘性組成物は、一方、適切な粘性範囲内で製剤化され、胃または鼻粘膜の裏打ちなどの粘膜との、より長期間の接触を提供できる。
【0063】
明らかに、適切な担体および他の添加剤の選択は、厳密な投与経路、並びに、液体用量形(例えば、組成物は、溶液、懸濁液、ゲルまたは他の液体形に製剤化する)、または固体用量形(例えば、組成物は、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、時間放出形または液体充填形に製剤化する)などの特定の用量形の性質に依存する。
【0064】
溶液、懸濁液およびゲルは、通常、抗原および任意選択のアジュバントに加えて、大量の水(好ましくは精製水)を含む。少量の他の材料、例えば、pH調整剤(例えば、NaOHなどの塩基)、乳化剤または分散剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤、ゼリー化剤、(例えばメチルセルロース)、着色剤および/または芳香剤も存在してよい。組成物は、等張性であり得、すなわち、それは血液および涙液と同じ等張圧を有することができる。
【0065】
本発明の組成物の所望の等張性は、塩化ナトリウム、または他の医薬的に許容される試薬、例えば、デキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコールまたは他の無機または有機溶質を使用して達成し得る。塩化ナトリウムが、ナトリウムイオンを含む緩衝剤には特に好ましい。
【0066】
組成物の粘度は、医薬的に許容される増粘剤を使用して選択したレベルに維持し得る。メチルセルロースが好ましい。なぜなら、それは容易かつ経済的に入手でき、扱い易いからである。他の適切な増粘剤は、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー等を含む。増粘剤の好ましい濃度は、選択した試薬に依存する。重要な点は、選択した粘度を達成する量を使用することである。粘性組成物は、通常、かかる増粘剤の添加により、溶液から調製する。
【0067】
医薬的に許容される保存剤は、組成物の貯蔵寿命を増加させるために使用できる。ベンジルアルコールが適切であり得るが、例えばパラベン、チメロサール、クロロブタノール、または塩化ベンズアルコニウムを含む様々な保存剤を使用してよい。保存剤の適切な濃度は、全重量に基づき、0.02%−2%であるが、選択した試薬に応じてかなり変動し得る。
【0068】
当業者は、組成物の成分は、PsaAリポタンパク質抗原および任意選択の追加のアジュバントに関して化学的に不活性であるように選択しなければならないことを認めるだろう。
【0069】
(実施例)
実施例1 PsaAコード配列の誘導
特別に設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを、PCR法に使用して、肺炎連鎖球菌6B型からpsaAコード配列を増幅した。プライマーは、発表されたpsaA配列を基にした(Sampsonら、Infect.Immun.(1994) 62:319−324)。プライマーDE09(配列番号1)は、Sph1部位で終結するpsaA遺伝子の5’末端の26塩基対を覆う。プライマーDE11(配列番号2)は、PsaAコード配列の3’末端の26塩基対およびBamHI部位を包含する。
【0070】
配列番号1
5’GGGCATGCGCTAGCGGAAAAAAAGAT
配列番号2
3’GGGGATCCTTATTTTGCCAATCCTTC
プライマー対DE09およびDE11は、鋳型として第一DNA鎖を使用したPCR反応で使用し、870塩基対断片を増幅した。PCR増幅を、94℃で30秒間変性し、その後、55℃で30秒間アニリーング反応し、72℃で2分間伸長する、35サイクルをDNAサーマルサイクラー(パーキンエルマーセタス)で行った。PCR増幅psaA断片を、Sph1およびBamHIで消化し、ospAシグナル配列の下流挿入を指図し、ospAシグナル配列と共に翻訳読み枠にあり、同酵素で消化し、ゲル電気泳動により精製しておいた、プラスミドpLF100(ATCC受け入れ番号69750番)にライゲートした。Sph1およびBamHIで消化しておいたPCR増幅psaA断片の、同酵素で消化したpLF100プラスミドへのライゲーションにより、プラスミドpOPsaA.1が産生された。
【0071】
この組換え体内での目的のpsaA遺伝子の存在は、従来技術を使用して、制限断片長多型(RFLP)およびサイクル配列分析により確認された。組換え脂質化PsaAの配列は、配列番号3に示す。最初の52残基は、Borrelia burgdorferiのOspAシグナル配列から得;残りの残基は、肺炎連鎖球菌6B型成熟PsaA(天然PsaAシグナル配列を欠如)から得る。
【0072】
組換えrPsaAを発現する安定な組換えE. coli細胞は、標準的な熱ショック技術(Novagen)を使用して、pOPsaA.1でコンピテントHMS174−DE3(Novagen Inc.、マジソン、ウィスコンシン)の形質転換により調製した。組換えPsaAの発現は、ウサギポリクローナル抗PsaA抗体を用いて免疫ブロット分析により確認された。高レベルの組換えPsaAを発現する数個の組換え体の1つを、HOPsaA.7.3と称し、さらなる分析にかけた。HopsAAは、1998年1月20日に米国細胞培養銀行協会(ATCC)に寄託され、受け入れ番号209590を与えられた。
【0073】
組換え体HOPsaA.7.3(DE3、FrecA、hsdR)の1つのコロニーを、一晩(12−14時間)34℃で、0.8%NaClおよび100μg/mLのカルベニシリンを含むルリアブロス25mL中で増殖させた。次に、5mLの対数期初期の培養物(〜吸光度600:0.7)を、新鮮な同ブロス20mLと混合し、34℃で2−3時間激しく振りながらインキュベートした。IPTG(0.4mM)で4−5時間誘導した後、誘導した細胞を、3000rpm/25分間の遠心分離によりペレット化し、2%トリトンX114/67mM PBS(7.5)中に再懸濁し、一晩静置した。このプロセスにより、洗浄相および水相の2つの画分が得られた。両相からのタンパク質を、12%SDS−PAGEにより分析し、銀染色で可視化した。ウエスタンブロット分析も、抗PsaA抗体を用いて実施し、これらの相中のrPsaAを検出した。これらの実験により、洗浄相は、主に、分子量37kaおよび38kaの2つの型のrPsaAを含むことが示された。組換え脂質化タンパク質が、SDS−PAGEゲル上でダブレットとして現れるのは珍しくない。これらの組換えタンパク質の脂質化度の僅かな変化により、SDS−PAGEゲル上に観察される見かけの分子量に僅かな差が生じ得る。これらの2つのタンパク質は、銀染色により判明するように、洗浄相に存在する全タンパク質の>50%を構成していた。
【0074】
実施例2 組換えPsaAの精製
ワクチン研究に使用する十分量の組換え脂質化PsaAを精製するために、安定な組換え体HOPsaA.7.3を使用して、以下の修飾と共に1,000mLの培養物を調製した。簡潔には、単一の組換えコロニーを、一晩、0.8%NaClおよび100μg/mLカルベニシリンを含む、テリフィック(Terrific)ブロスTM(ギブコBRL)25mL中で増殖させた。対数期初期の培養物(25mL)を1000mLの同培地に加え、8時間34℃でインキュベートを続け、その後、IPTG(0.4mM)で一晩(12−14時間)誘導した。細胞を収集し、100mLの冷2%トリトンX−114/67mMリン酸緩衝液(pH7.6)中に再懸濁した。超音波処理して溶解した後、溶解細胞を、一晩4℃で分配させた。次に、溶解物を、10,000rpmで25分間4℃での遠心分離により清澄化し、清澄な上清を37℃で20−25分間インキュベートし、相分離を起こした。洗浄相を、2500rpmで15分間25℃での遠心分離により水相から分離し、粘性溶液(10−12mL)を100mLの冷67mM PBS(pH7.6)で3回洗浄した。組換えPsaAを含んだ、高度に濃縮されたトリトンTMX−114相(〜8−10mL)を、100mLの冷10mMリン酸緩衝液(pH6.5)に再懸濁し、同10mMリン酸緩衝液に対して徹底的に透析した。透析物を5000rpmで20分間4℃での遠心分離により、清澄な溶液および目に見えるペレットが生じた。組換えPsaAが高度に濃縮された清澄な上清は、10mMリン酸緩衝液(pH6.5)で〜200mMまで希釈し、0.1%トリトンX−100(重力による流速30−40mL/時間)を含む冷10mMリン酸(pH6.5)で前以て平衡させたD100イオン交換フィルターに直接のせた。フィルターを全250mLの同10mMリン酸緩衝液(pH6.5)/0.1%トリトンX−100(流速50−60mL/時間)で、十分に洗浄した後、フィルターを、次いで、50mLの緩衝液A(100mMリン酸/0.1%トリトンX−100、pH6.5)で、その後、50mLの緩衝液B(100mMリン酸/0.1%トリトンX100/100mM NaCl、pH6.5)で溶出した。得られた溶出液の10ml画分を、SDS−PAGEにより分析し、硝酸銀染色により可視化した。ウエスタンブロット分析も、抗PsaA抗体を用いて実施し、組換えPsaAを検出した。洗浄相は、2つの密接に関連した組換えPsaAタンパク質を含んだ:(1)緩衝液Aの最初の3つの画分で溶出した〜37kDaの天然タンパク質と同時移動する主要画分、および(2)緩衝液Bの最初の2つの画分で溶出した遅く移動する組換えタンパク質(〜38kDa)。これらの2つの組換えPsaAは、硝酸銀染色でSDS−PAGEにより判明したように、洗浄相に分配された全細菌タンパク質の>50%を構成していた。数個の少量のコンタミしている低分子量E. coliタンパク質が、硝酸銀染色により全画分で可視化されたが、これらはウエスタンブロット分析では検出されなかった。ピアスBCAアッセイを使用して、洗浄相の全タンパク質含量は、E. coli培養物の10−12mg/Lと推定され;緩衝液Aで溶出された精製組換えPsaAの量は、標準物質としてBSAを使用して700−750μg/Lである(注記:全洗浄相rPsaAのおよその濃度は、E. coli培養物の>2.5mg/Lである)。
【0075】
実施例3 組換え脂質化PsaAの免疫原性
精製組換えPsaA(DP2)の高塩画分を、ミョウバンと共に、2つの用量で免疫原として使用した。スイスウェブスターマウスに、0日目に5μgのDP2を投与し、14日目に同量のrPsaAをミョウバンと共にブースター投与した。21日目に、動物を採血し、血清を、固相として精製天然PsaA/rPsaAを使用してELISAにより、抗PsaA抗体について試験した。試験した全動物が、PsaAに対する抗体(≧1.5×10力価)を産生した。
【0076】
別の実験で、高い5匹およびSf9発現組換えPsaAを、アジュバント(不完全フロイント)を用いて、または用いずに、2つの用量レベルで、免疫原として使用した。成体スイスウェブスターマウスに、20μgまたは5μgの部分精製PsaAを0日目に投与し、14日目に1回、同量のPsaAを用い、アジュバントを用いずに、ブースター投与した。21日目に、動物を採血し、血清を、全細胞(血清型6B)、精製天然および組換えPsaAを使用して、ドットブロットアッセイにより、抗PsaA抗体について、また天然PsaAに対する力価についても試験した。
【0077】
全動物が、天然および適切な組換えPsaAと交差反応する抗体を産生したが、Sf9発現PsaAに対する抗体は例外であり、これは、H5発現PsaAとの限定された交差反応性を示した。アジュバントを受けていない動物は、アジュバントを受けた動物と比べ、抗体力価(最も適切な免疫化スケジュールを決定する研究を実施する必要がある)が低かった。
【0078】
乳児動物を使用して受動保護実験を実施した。20μlの対照血清(免疫原非含有)または免疫化動物由来の血清を、100μlのPBS中、乳児マウスに、血清型6B(10×BD100)で攻撃する24時間前に投与した。攻撃の24時間後、Sf9保護群において、動物の30%が死亡した。攻撃の48時間後、対照血清群の80%およびSf9群の60%およびH5群の30%が死亡した。攻撃後10日目に、Sf9群の100%および対照群が死亡したが、一方、H5群の僅か40%が死亡した。
【0079】
組換え脂質化PsaAの、活発な保護を与える能力もまた調査した。成体および乳児マウスを、アジュバント(ミョウバン)を用いて、または用いずに、Sf9またはH5により発現される組換えPsaAを使用して、免疫化した。Sf9発現PsaA抗原を(ミョウバンを用いて、または用いずに)投与した全乳児マウスが、免疫化後24時間以内に死亡したが(おそらく、トリトンX−114毒性に起因する)、一方、全成体(Sf9発現PsaAで免疫化)は生存した。
【0080】
全動物に、免疫原のみを14日目にブースター投与した。21日目に、全動物を、天然および組換えPsaAを使用して、ドットブロットアッセイにより、抗体応答について試験し、全てが、抗体について陽性を呈した。同日、それらを6B型株(700CFU)で攻撃した。攻撃の24および48時間後、全動物が残存していた。対照動物の80%が2日目に菌血症であったが、一方、僅か20%の乳児動物(H5−rPsaAで免疫化)が、菌血症であった。成体データでは結論に到達しなかった。
【配列表】
Figure 0004290875
Figure 0004290875

Claims (23)

  1. ボレリア(Borrelia)属のOspAタンパク質のシグナル配列をコードする第一核酸配列および成熟肺炎球菌表面タンパク質A(PsaAタンパク質)をコードする第二核酸配列を含むハイブリッド核酸分子であって、
    ここで、前記シグナル配列が第二核酸配列と隣接している、
    前記ハイブリッド核酸分子。
  2. 前記第一核酸配列および前記第二核酸配列が、連結されて翻訳オープンリーディングフレーム関係にある、請求項1に記載のハイブリッド核酸分子。
  3. 成熟PsaAタンパク質発現プロモーターに作動可能に連結された請求項1に記載のハイブリッド核酸分子を含む発現ベクター。
  4. 組換え脂質化PsaAタンパク質の調製法であって、前記方法が、
    請求項3に記載の発現ベクターを宿主生物に導入するステップと、
    前記宿主生物から成熟PsaAタンパク質を発現させるステップ
    とを含む前記調製法。
  5. 前記宿主生物が、大腸菌(E.coli)である、請求項4に記載の方法。
  6. 組換え脂質化肺炎球菌表面タンパク質A(PsaAタンパク質)の産生プロセスであって、前記プロセスが下記のステップ:
    ボレリア(Borrelia)属のOspAタンパク質のシグナル配列をコードする第一核酸配列および成熟PsaAタンパク質をコードする第二核酸配列を含むハイブリッド核酸分子を構築するステップ(ここで、前記シグナル配列は、前記第二核酸配列と隣接している)と;
    前記成熟PsaAタンパク質の発現プロモーターに作動可能に連結したハイブリッド核酸分子を含む発現ベクターを形成するステップと;
    発現ベクターを宿主生物に導入するステップと;
    宿主生物による組換え脂質化PsaAタンパク質の発現を行うステップと;
    宿主生物の細胞を溶解するステップと;
    細菌性タンパク質および他のタンパク質よりも組換えリポタンパク質を選択的に可溶化し、かつ温和な条件下で界面活性剤相の相分離が可能な界面活性剤で溶解細胞を処理するステップと;
    可溶化組換え脂質化PsaAタンパク質を含む界面活性剤相、細菌性タンパク質および他のタンパク質を含む水相、および細胞残渣を含む固相で相分離を行うステップと;
    固相および水相から界面活性剤相を分離および回収するステップと;
    組換え脂質化PsaAタンパク質以外のタンパク質がカラムに結合するような条件下で、界面活性剤相を第一クロマトグラフィーカラムと接触させることにより、第一クロマトグラフィーカラムから脂質化PsaAタンパク質を含むフロースルーを提供し、また第一クロマトグラフィーカラムからのフロースルーを回収するステップと;
    第二クロマトグラフィーカラムを流れるコンタミタンパク質およびリポ多糖よりも組換え脂質化PsaAタンパク質と結合するような条件下で、第一クロマトグラフィーカラムからのフロースルーを、第二クロマトグラフィーカラムと接触させるステップと;
    第二クロマトグラフィーカラムから、組換え脂質化PsaAタンパク質を溶出し、実質的にリポ多糖およびコンタミタンパク質を含まない溶出液を提供するステップと;
    前記溶出液を回収するステップ
    とを含む前記プロセス。
  7. 前記界面活性剤がトリトン(TRITON)TMX−114である、請求項6に記載のプロセス。
  8. 溶解細胞の処理を0℃〜10℃の温度で行い、得られた混合物を35℃〜40℃に緩やかに上昇させた温度で処理して前記界面活性剤相の分離を行い、前記界面活性剤相を遠心分離により水相から分離する、請求項7に記載のプロセス。
  9. 第一クロマトグラフィーカラムがイオン交換カラムである、請求項6に記載のプロセス。
  10. 前記宿主細胞の溶解が凍結融解により行われる、請求項6に記載のプロセス。
  11. 前記宿主細胞の溶解が超音波処理により行われる、請求項6に記載のプロセス。
  12. 請求項6〜11のいずれか1項に記載のプロセスにより産生された、組換え産生、単離、および精製された脂質化PsaAタンパク質。
  13. 少なくとも80%の純度であり、実質的にコンタミタンパク質およびリポ多糖を含まない、請求項12に記載の組換え産生、単離、および精製された脂質化PsaAタンパク質。
  14. 請求項13に記載の組換え産生された脂質化PsaAタンパク質であって、前記タンパク質の純度が少なくとも95%である前記タンパク質。
  15. 請求項13または14に記載の組換え産生された脂質化PsaAタンパク質を含む免疫学的組成物。
  16. アジュバントをさらに含む、請求項15に記載の免疫学的組成物。
  17. 前記アジュバントがミョウバンである、請求項16に記載の免疫学的組成物。
  18. 動物に免疫応答を誘導するための免疫学的組成物の製造における、免疫学的に有効な量の請求項13または14に記載の組換え産生された脂質化PsaAタンパク質の使用。
  19. 肺炎球菌感染に対して宿主を免疫化するための免疫学的組成物の製造における、免疫学的に有効な量の請求項13または14に記載の組換え産生された脂質化PsaAタンパク質の使用。
  20. 前記組成物が鼻腔内投与用に製剤化される、請求項19に記載の使用。
  21. 肺炎球菌保因状態に感受性の宿主に対し、鼻咽頭での肺炎連鎖球菌 (Streptococcus pneumoniae)によるコロニー形成への保護性免疫応答を誘発させるための、免疫化量の請求項13または14に記載の組換え脂質化PsaAタンパク質を含む鼻腔内投与用の免疫原性組成物。
  22. アジュバントをさらに含む、請求項21に記載の組成物。
  23. 前記アジュバントがミョウバンである、請求項22に記載の組成物。
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