JP4290873B2 - 搬送船 - Google Patents
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Description
本発明は、冷蔵製品用の船倉(hold)または液体製品用の船倉の独特の配置によって、高い積載容量(load capacity)と柔軟性ができるような搬送船を提供するための問題を解決する探索である。
【0002】
第1の基本的な実施例において、本発明は、包板(sheathing)と露天甲板(weather deck)とを有する船殻(hull)と、前方部、後方部および中央部とを有する搬送船に関する。
通常、そのような船の後方部は、船の航海ブリッジと、機械装置および燃料タンクを含む船の推進用に必要な手段とを有する甲板の上部構造部を備えているのに対し、船の前方部は、もしあれば、船首材(stem)と貯蔵室とを備えている。船の中央部は、搬送されるべき物品(good)の特別なタイプに従って構成された船倉を備えている。このように、船倉は、例えば、冷蔵物品、液化ガス、乾燥貨物、オイル、またはコンテナを含む物品の1つの特別なタイプを搬送するために特別に構成されている。特に、以前の時代において、上述したようなタイプの物品の組み合わせたものを搬送するために搬送船を使用する可能性は非常に限られていた。
物品の搬送船の柔軟性をある程度増大するために、特にコンテナ搬送用の露天甲板と、船尾の傾斜路(stern ramp)を使用して積み込まれるトレーラ−すなわち例えば車の搬送に使用できる複数の中部甲板とを有するような、いわゆるローロー船(Ro−Ro ship)がここ20年ぐらいの間に開発されてきた。
【0003】
しかしながら、特に冷蔵物品を搬送するのに適したいわゆる冷蔵船のことを考えてみると、過去においては、最適な柔軟性と容量を達成することは可能ではなかった。特に、冷蔵船の従来の構造と安定性の熟考(deliberation)は、搬送できる付加的な(additional)物品の量の限界と、そのような物品が搬送されるような条件を設定する。冷蔵船は、代表的には、船殻の長さのほとんどの部分に亘って内部冷蔵船倉を有している。例えばヨーロッパ特許出願第0 601 233号を参照すると、冷蔵船倉は、小さな自由高さ(free height)で比較的おおきな数の中部甲板を収容している。その理由は、物品が通常パレットに貯蔵され、高く積み重ねていないからである。物品は、搬送中に冷蔵状態を保たなければならない例えばバナナ、レモン、および野菜である。これらの物品は、例えば南アメリカからヨーロッパのように非常に遠い距離を搬送されるべき代表的には貨物である。
【0004】
上記の観点から、船の露天甲板に積み重ねられる標準的コンテナを搬送することができるように冷蔵船を構成することが試みられてきた。その結果、柔軟性がいくらか増加し、船が上積み貨物(surface cargo)と同様に冷蔵物品の搬送用に使用することができるようになり、一航海あたりの利益の増加を生み出すこととなった。しかしながら、これらの冷蔵船は、ある程度の積載状態は船の航海中における安定性の問題を上昇させるので有益ではない。これらの問題は、船が帰りに限定されている場合、冷蔵物品ではなくコンテナのような上積み貨物を持って搬送する場合に起きる。代表的な上積み貨物が、冷蔵物品の対応する容積(volume)よりも大きい重量のコンテナによって形成されるので、安定性の熟考は、冷蔵物品とともに搬送する場合と同様に、コンテナが露天甲板上にいかに高く積載できるかの限界を設定する。
【0005】
本発明の目的は、安定性の問題が少なく、物品の異なった組み合わせで搬送でき、物品の少なくとも1つのタイプ(type)が好ましくは冷蔵した状態で搬送することが可能でなければならず、同時に搬送されるべき他の物品の多くの量が可能であるような手段によって改良された船を提供することである。これに関連して、物品の異なった組み合わせは、冷蔵物品とともに、あるいは一緒にではない航行を意味するために採用され、また、少なくとも1つの他のタイプの物品、特に標準タイプのコンテナを搬送することが選択的に(optionally)可能でなければならない。これは、かなりの程度の柔軟性を提供し、船主は、公知の冷蔵船に関して一航海当たりより大きな利益を得ることができる。
この目的は、本発明によって達成することができ、船の前方部は、船殻と露天甲板によって規定された船倉セクションと、露天甲板に設けられ前記船倉セクションへの接近を可能にする入り口(access)ハッチを有し、船の後方部は、船殻と露天甲板によって規定された船倉セクションと、露天甲板に設けられ前記船倉セクションへの接近を可能にする入り口ハッチを有し、船の中央部は、船の横方向および長手方向に伸び、熱的に遮断された上部の冷蔵船倉甲板と、露天甲板の下に配置され熱的に遮断された底部および熱的に遮断された壁部とによって規定された冷蔵船倉セクションを有し、露天甲板が貨物を支持するのに適している搬送船において、
a)冷蔵船倉セクションは、露天甲板の上および下に物品を貯蔵するのに適しており、
b)上部の熱的に遮断された冷蔵船倉甲板は、露天甲板の上方に、露天甲板まで測定して船の鋳型深さの20%と200%との間の高さに設けられていることを特徴としている。
【0006】
船がこの方法で構成された場合、冷蔵船倉内に物品を入れないで航行することもまた可能であり、残りの物品は、船の長手方向の冷蔵船倉セクションの両側に、キール(keel)に対して比較的低く詰めることができる。望ましい傾心(metacentre)高さはそれによって維持され、船の喫水(draught)のみが変化する。従来の冷蔵船において、残りの物品は遮断壁部の損傷を避けるために露天甲板で搬送する必要があるので、これらの船の傾心高さは、船倉に冷蔵物品が入っていない状態で航行する場合に非常に好ましくない。
【0007】
特に好ましい実施例によれば、上部冷蔵船倉甲板は、露天甲板の上方に、露天甲板まで測定して船の鋳型(型)深さの20%と200%との間、好ましくは50%と150%との間の高さのところに設けられている。この場合において、型深さは、船の基線(base line)から測定される。それ故、ほぼ同等の長さの従来の冷蔵船のように、冷蔵物品用のほぼ等しい積載容積を達成することが可能であり、冷蔵船倉セクションは熱的に容易に遮断できる。さらに、冷蔵船倉セクションの日に照らされる表面は、上積み貨物なしで航行する場合に、従来の冷蔵船と比較して減少する。従来の冷蔵船において、太陽のエネルギーは、船のほぼ全体の長さにおいて冷蔵船倉の上部境界を規定する露天甲板全体を衝撃する。これは、また、必要な冷却エネルギーの減少をすることになる。必要であれば、船の幅は、従来の冷蔵船のそれよりもごくわずかだけ大きい。
【0008】
遮断された壁部は、船の前および/または後方部で船倉セクションに直接隣接して横方向へ伸びていて、選択的に、熱的に遮断された壁部は、船殻の包板に隣接して長手方向に伸びていることがより好ましい。これは、自然な壁部が種々の船倉を規定するために使用されるように、船の最適使用の結果となる。
上部冷蔵船倉甲板は貨物を支持するのに適していて、船の航海ブリッジと乗組員用の居住区域(premise)とは、上部冷蔵船倉甲板に設けられていることが特に好ましい。全ての水平な面は、それ故、他のタイプの物品、特にコンテナを支持するために使用される。航海ブリッジが船の中央部に設けられている場合、水平線への航海士の視線に関する現在の海洋規則が依然として規定通りであっても、コンテナの露天甲板への非常に高く積み上げることも可能である。
【0009】
冷蔵船倉セクションが中部甲板を有していて、中部甲板間の距離は、約2mから3m、好ましくは約2.25mから約2.5mであることも同様に好ましい。これは、積載容量の最適利用をしながらパレットに載せられた物品の搬送を可能にし、パレットの上部側と中部甲板の下部側との間の無駄な空間が非常に減少される。さらに従来の冷蔵船のように、中部甲板は格子板(grating)のように構成されていて、冷却は循環空気によって行われる。
特に好都合な実施例によれば、冷蔵船倉セクションへの入り口が熱的に遮断された壁部、好ましくは長手方向の壁部に設けられていた場合、冷蔵物品と上積み貨物とを同時に積み込んだり積み下ろしたりすることが可能である。
【0010】
さらに、冷蔵船倉セクションの長さは、船の全体の長さの約20%と50%との間、好ましくは、約25%と45%との間に構成されている。これによって、冷蔵船倉セクションの長手方向の壁部は、かなりの程度、包板がほとんど平坦な船殻の領域内に完全に設けられ、壁部の遮断の構造が簡単になる。
冷蔵船倉セクションを規定する熱的に遮断された壁部は、船の喫水(trim)モーメントに関する好ましい安定性を確実にし、相対的に対称的な積載条件を得るために、船の中間セクションおよび中間ライン面の周りに対称的に延びていることが好ましい。
最後に、船倉セクションへの入り口ハッチは、船倉セクションの実質的に全幅に設けられていることが好ましい。船の前方部と後方部の船倉セクションは、このようにして基本的には従来のコンテナ船におけるのと同一の方法で充填され、空にされる。
【0011】
第2の基本的な実施例において、本発明は、i)液体、特にオイル、および、ii)複数のコンテナ、同様に、iii)選択的に少なくとも付加的なタイプの物品、から成る貨物の同時搬送用に適した搬送船であって、包板、底部、露天甲板、および前記液体を貯蔵し搬送するためのタンクを備えた船殻と、ならびに、前方部、後方部、および中央部とを備えた貨物の同時搬送用に適した搬送船に関する。これに関連して、コンテナは、船積み型コンテナ船の搬送用に通常使用されるタイプの平均的標準コンテナである。
【0012】
従来技術(例えばドイツ出願(DE−A)−2 462 202参照)は、1回のおよび同一の航海中に、原油を搬送するように企画され、また、付加的なタイプの物品の同時搬送ができるような、オイルタンクを有するタンカーのいくつかの例を有している。これらの船の後方部は、通常、船の航海ブリッジを有する甲板上部構造物と、機械装置および燃料タンクを含む船の推進用に必要な手段を有しているのに対し、船の前方部は船首部を有している。公知の船の中央部は、境界壁部が船の包板によって形成されたオイルタンクを有している。船の中央部は、付加的なタイプの物品を収容するために企画された複数の船倉をさらに有している。上方に向かって、オイルタンクは船の露天甲板によって規定されていて、これは上述した船倉と同様の場合である。
しかしながら、以前はこれらの船で最適な柔軟性と容量を達成することは可能ではなかった。このように、付加的なタイプの物品用の容積容量、すなわち搬送されることができる物品の容積が、原油容積容量を犠牲にしてのみ達成できるので、この船は便利ではなかった。船が原油を積まないで航行する場合、かなりの量の付加的なタイプの物品を、このタイプの物品用に設けた船倉の容積容量に相当して搬送することが可能である。付加的な貨物とオイルで航行する場合のみならず、付加的な貨物のみで航行する場合にも、船はこのように最適に使用される。
【0013】
本発明の目的は、大きな積載容量を持った、少なくともその1つのタイプがオイルである種々の物品の組み合わせが可能であって、標準的コンテナと選択的に付加的なタイプの例えば一般貨物のような物品の同時搬送が可能な、改良された船を提供することである。比較的大量のコンテナおよび例えば一般貨物が同様に搬送可能でなければならず、それが液体用の容積容量、すなわち搬送されるべき液体容積のかなりの減少を招くことにならず、これは、対応する寸法と対応する製造コストを有する従来のタンカーに関連してでなければならない。これによって、例えばオイルを搬送する場合、船主は、従来のタンカーによる一航海当たりよりもかなり大きい一航海当たりの利益を得ることができる。
【0014】
上述の目的は、本発明によって達成することができ、船は、底部と露天甲板とによって規定された複数の船倉セクションを有し、前記船倉セクションは、コンテナおよび/または付加的なタイプの物品を貯蔵するのに適していて、露天甲板は、コンテナを支持するのに適していて、露天甲板は、前記船倉セクションへの接近を可能にする入り口ハッチを有していて、液体を貯蔵するタンクは、船の底部の領域から上方へ露天甲板上の高さまで延びている。タンクの全容積容量は、対応する寸法の船殻を有する従来のタンクの容積容量に実質的に対応することが望ましい。
船がこの方法で構成されている場合、液体の貨物を積まないで航行することもまた可能であり、それは、残りの物品が、船の長手方向における液体タンクの一方または両側に、キールに対して比較的低く詰め込むことができるからである。これによって、通常起こる貨物の組み合わせ用の好ましい傾心高さを維持することが可能であり、変えられた積載状態によって船の喫水のみが変えられることに注目すべきである。船殻の小さい部分のみがそれ自身で液体タンクを取り囲んでいるので、腐食の場合における液体の漏洩の危険は従来のタンカーと比べて減少する。
【0015】
本発明の好ましい実施例によれば、タンクは、約5、000と100、000m3との間、好ましくは約40、000のm3の全容積容量を有し、船倉セクションは、全部で少なくとも200、好ましくは少なくとも約450の標準コンテナを収容するのに適している。このような明細の船は、代表的には、パナマ運河を通過して航行可能な寸法である。
特に、搬送船の前方部が前記の船倉セクションの1つを有している場合、搬送船の後方部は前記の船倉セクションの1つを有していて、搬送船の中央部は前記タンクを有していて、あらゆる積載状態において船の対称的積載衝撃を確実にできる。
【0016】
船倉セクションは、実質的に垂直でタンクに直接隣接していて選択的に中間の囲堰(coffer dam)を有する横方向の壁部を備え、船の長手方向へ延びた船倉セクションは、船殻の包板によって形成されていることがより好ましい。これは、自然な壁部が種々の船倉を規定するために使用されるように、船の最適な利用を提供する。
タンクが、選択的に円筒状、箱型形状、または球形状の独立した隔室を有することが特に好ましく、それによって従来のタンカーのような利点を有している。円筒状の隔室は、垂直または水平に伸びた長手方向の軸線を有して配置されている。
【0017】
特に好ましい実施例によれば、タンクは、露天甲板まで測定した船の型深さの10%と200%との間、好ましくは、50%と150%との間において、露天甲板上の高さまで上方へ延びている。この場合おいて、型深さは船の基線から測定されている。特に、タンクは、露天甲板上の高さまで上方へ少なくとも10m、好ましくは、少なくとも15m延びていて、および/または、露天甲板上のタンク容積は、タンクの全容積の少なくとも20%、好ましくは、約40%と60%との間で構成されている。これは、貨物の各部分の適切な容積容量比の結果となる。 比較的対称的な積載状態を達成し、そしてそれによって船の喫水(trim)モーメントに関する好適な安定性を確実にするために、タンクが、船の中間セクションおよび中間ライン面の周りに対称的に伸びていることが好ましい。
【0018】
最後に、船倉セクションへの入り口ハッチは、船倉セクションの実質的に全幅に設けられていることが好ましい。それによって船倉セクションは、従来のコンテナ船と同様な方法で充填されまた空にされる。
【0019】
理解できるように、第1と第2の基本的な実施例に規定された本発明は、冷蔵製品または液体物品用のタンクのために、船倉の最適な位置付けを提供する同様の通常の概念を使用することによって、搬送船の積載容量と柔軟性を最適化するために探求する。本発明は、図面に示された好ましい実施例を参照して、以下により十分に説明される。
【0020】
本発明の第1の基本的な実施例
図1は、包板2、露天甲板3、および船倉10を有する船殻を備えた公知の冷蔵船1を示している。冷蔵船1は、船の推進に必要な機械装置と、乗組員用の居住区域6および航海ブリッジ7を有する甲板上部構造部とを備えた後方部5を有している。さらに、船1は、船の船首材と球形部とを有する前方部15と、冷蔵船倉10を有する中央部9とを備えている。冷蔵船倉10は、熱的に遮断された壁部と熱的に遮断された底部によって規定されていて、同様に、上方にある露天甲板3は、冷蔵船倉10の上部で熱的に遮断されている。
【0021】
冷蔵船倉10はさらに、複数の中部甲板11を有していて、これは、点線で示され、格子板のように構成されていて、中部甲板間の自由高さは代表的には約2.25mである。この自由高さは、例えばバナナのような冷蔵物品の標準パレットの高さに従って選択され、中部甲板11は、通常同様にフォークリフトトラックの運転が可能なように構築されている。図示した例において、船1は、4つの中部甲板11を有していて、基線から露天甲板までの船の高さは、所望の数の中部甲板が設けられるように選択される。冷蔵船倉10の積み込みおよび積み下ろしは、エレベータまたはクレーンを使用して行われ、それによって、陰影線(hatched line)で示された冷蔵物品は、各中部甲板11から、水面CWL上のレベルで船の側部に設けられた入り口のドア、あるいは選択的に露天甲板のハッチに搬送される。
【0022】
上部での船殻の閉成部を形成する露天甲板3は、同様に、図において点線で示され、通常、互いに上部に積み上げられ露天甲板3につながれた(lashed)コンテナで構成された上積み貨物12を支持するのに役立つ。コンテナ12の積み上げ高さは、通常、一部分船の傾きに対する安定性の観点から、および一部分国際的海洋規則によって制限され、それに従って、航海ブリッジからの視線4は、船の長さに対応する船首からの距離の海面に達しなければならない。
図示された従来の冷蔵船は、このようにコンテナと同様冷蔵物品を搬送するのに使用される。しかしながら、船の安定性は、冷蔵船倉10が空で露天甲板3上のコンテナのみが搬送される場合に影響されることが明らかである。これは、代表的には戻り航海用のケースである。この積載状態を補償するために、海水が汲み上げられたバラストタンクが多くの場合において船の積載容量の30%まで通常組み込まれている。しかしながら、これらのタンクは、物品のために使用されるべき船殻の底部のスペースを占める。
【0023】
しかしながら、露天甲板3上のコンテナの可能な積み上げ高さは、冷蔵物品が冷蔵船倉に移送される状態においてもまた制限される。実際上、その理由は、代表的にはバナナの冷蔵物品の容積単位当たりの重量が、露天甲板上の貨物の容積単位あたりの重量よりもかなり小さいことである。従って、露天甲板3にかなり低く積み上げなければならない比較的少ない数のコンテナのみがようやく搬送可能である。
経済的観点から見て、この状態は船主の収入を不必要に減少するので、もちろん望ましくない。
【0024】
図2は、本発明の第1の基本的な実施例による搬送船20を通った長手方向垂直断面を示している。従来の搬送船と同様のここで示された搬送船20は、包板22、露天甲板23、23’、および船倉を有する船殻を備えている。船倉は、3つの船倉セクションに分割されていて、船の後方部25は、船の機械装置と後部船倉セクション28とを備えている。船の前方部35は、船の船首と前部船倉セクション28’とを備えている。後部船倉セクション28と前部船倉セクション28’との両方は、物品特にコンテナの下降のために船倉セクションへの接近を可能にする入り口ハッチが形成された露天甲板の各部分23、23’によって上方が規定されている。コンテナの下降を可能とするために、ハッチは、好ましくは従来のコンテナ船のように、船倉セクションの全幅に設けられていて、ハッチカバーは、上積み貨物を支持するように構成されている。さらに、露天甲板の前方部23’と後方部23とは、好ましくは、従来の冷蔵船における露天甲板3として、基線上で同一レベルにある。
【0025】
船20は、さらに、陰影線によって示された冷蔵船倉セクション30を有する中央部29を備えていて、船の船首から船尾に向かった(fore and aft)方向における冷蔵船倉セクション30の長さは、好ましくは船の全長の約25%から40%に構成されている。冷蔵船倉セクション30の幅は、好ましくは船の幅に対応する。冷蔵船倉セクション30は、バナナや同様の食料品のような冷蔵物品を搬送するように、あるいは、冷却された液化ガスを搬送するように企画されていて、熱的に遮断された冷蔵船倉甲板130によって上方が規定されている。冷蔵船倉セクション30は、さらに、船底に近接して設けられた熱的に遮断された底部、および、熱的に遮断された長手方向の壁部と横断壁部132、133を有していて、露天甲板の前方部23’と後方部23とは、図示したように横断壁部132、133と隣接している。横断壁部132、133は、好ましくは、さらに前部船倉セクション28’と後部船倉セクション28との横断する境界を形成している。冷蔵船倉甲板30は、好ましくは、船20の航海ブリッジ27を有する甲板の上部構造部と、冷蔵船倉甲板130につながれたコンテナの重要でない積載物の形状の上積み貨物とを選択的に支持するのに適している。
【0026】
従来の冷蔵船倉と同様、冷蔵船倉セクション30は、例えば格子板の形状の複数の固定された中部甲板31を有していて、この中部甲板への接近は、船の側部でエレベータを使用して入り口ドア(図示せず)を介してなされ、そして、もし必要であれば、冷蔵船倉セクション30を異なった温度、例えば氷点以上および氷点以下が維持される小さなセクションに分割する仕切り壁を設けてもよい。中部甲板31間の距離は、標準パレットの高さによって決定され、それ故、代表的には従来の冷蔵船のように約2.25mである。
【0027】
図2に示された実施例において、冷蔵船倉甲板30は、基線から主甲板23’に測定した船の型(mould)深さの露天甲板23’上の約100%の高さで設けられている。このことは、冷蔵船倉セクション30が、全部で8つの中部甲板を有していて、そのうちの4つが露天甲板23、23’のレベルよりも下にあることを意味する。このことにより、冷蔵物品を従来の冷蔵船よりも高い高さに積み上げることが可能になる。図1に示された対応する長さの従来の冷蔵船1と比較した場合、冷蔵船倉甲板30の適切な高さの選択は冷蔵物品用の同一の積載容量を有することが明らかになる。
【0028】
図2はさらに、船20が、冷蔵物品(陰影線で示されている)を冷蔵船倉セクション30に、複数のコンテナ32、32’(点線で示されている)を互いに頂部を積み上げられて船倉セクション28、28’内と露天甲板23、23’上に満載された状態を示している。冷蔵物品の容積単位当たりの重量は、代表的には上述したようにコンテナのそれよりも小さいので、キールの近傍におけるコンテナの積み上げ可能性は、貨物の重量の全体的中心が、対応する長さで同じ数のコンテナを積まれた従来の冷蔵船との関連において比較的低いことを意味する。それ故、従来の冷蔵船とほぼ同様の安定性状態を持って比較的多くの数のコンテナの互いの頂部を積み上げることが可能である。冷蔵物品のない航行の状態において、さらに、いくつかの実施例における水バラストのサイズを減少することが可能である。
【0029】
次の表1は、本発明のいくつかの利点を示すのに役立つ。表において、約50mの長さで幅がほぼ船の幅(約25m)に対応する冷蔵船倉と8つの中部甲板(図2)を有していて、長さが150mで構成された本発明による船の容量が、図1に示されたような同一長さの従来の冷蔵船と比較されている。両方の船の製造コストは、代表的にはDKK220ミリオン(million)(1997)である。両方の容器のための基線と露天甲板との間の距離は、約13.3mで、幅はほぼ等しい。
【0030】
後部露天甲板23は、前部露天甲板23’よりも低いレベルに非常によく配置されるべきで、それ故、容器の最初に述べた部分は、同じ高さの程度まで波に対して遮断される必要がないことを付記しなければならない。この状態において、露天甲板に関連する冷蔵船倉甲板30の位置は、前部露天甲板23’のレベルに基づいて決定される。
【0031】
本発明の第2の基本的な実施例
図3は、包板202を有する船殻と、船殻の上方の閉成部を構成する露天甲板203とを備えた従来のタンカー201の例を示している。タンカー201は、船の推進用に必要な機械装置、燃料タンク、および乗組員用の居住区域206と航海ブリッジ207を有する甲板上部構造部とを備えた後方部205を有している。さらに、船201は、船の船首材と球形部とを有する前方部215と、船倉210を有する中央部209とを備えている。船倉210は、陰影線で示されたタンクによって形成されていて、壁部が包板202によって形成された独立した複数の隔室を有している。タンクは、船の露天甲板203によって上方を、船の底部208によって下方を規定されている。このタイプの船は、代表的には、単に大量の液体、基本的にはオイルを搬送する観点から可能な限り大きく構成されていて、オイル貯蔵所へ戻る場合はタンクに貨物は何もない。タンクは、船の船首から船尾に向かった方向においてタンカーの全長の約80%以上に亘って設けられている。
【0032】
現在の安全性の規則によって、上積み貨物を例えば従来のタンカーの船積み露天甲板203のタンク上にコンテナの形状で搬送することは許可されていず、これが船主の利益を不当に制限している。安全規則がそのような上積み貨物を可能にした場合でも、例えばコンテナの積み上げ可能高さは、いずれにしても、タンクに液体を入れないで航行する場合に制限されるが、それは、この積載状態の傾心の高さが非常に高くなるからである。そのような安定性の状態の補償は、通常バラストタンクの設置を必要とし、その結果は、単に船が、汲み上げられた水の形態の部分的で無益な積荷を有することである。タンカーは、このようにして通常有益ではない。それは、規則によってそれが許可され場合でも、比較的限られた数のコンテナしか露天甲板で搬送できないからである。
【0033】
図4は、本発明の範囲外の参考例を示している。従来の搬送船と同様のここで示された搬送船220は、包板222、露天甲板223、223’、底部218、および船倉を有する船殻を備えている。船倉は、3つの船倉セクションに分割されていて、船の後方部225は、冷蔵船倉セクション228と同様、船の機械装置を備えている。船の前方部235は、船の船首材と前部船倉セクション228’とを備えている。前部と後部船倉セクション228’と228との両方は、物品特にコンテナの垂直下降の観点から、船倉セクション228と228’への接近を可能にする入り口ハッチが形成された露天甲板の各部分223、223’によって上方が規定されている。コンテナまたは他の物品の底部218へ向けた下降を可能にするために、ハッチは、好ましくは、従来のコンテナ船のように、船倉セクションの全幅に配置されていて、ハッチカバーは、露天甲板223、223’に配置されたコンテナ232、232’の形状の上積み貨物を支持するように構成されている。さらに、露天甲板の前方部223’と後方部223とは、好ましくは、従来のタンク201(図3)における露天甲板203として、船の基線上で同一レベルにある。
【0034】
さらに、搬送船220は、タンク230を有する中央部229を備えていて、船の船首から船尾に向かった方向におけるタンク230の長さは、好ましくは船の全長の約25%〜40%に構成されている。タンク230の幅は、好ましくは船の幅に対応する。タンク230は、ワイン、オイル、化学物質あるいはそのような液体物品を搬送するように企画されていて、充填したり空にしたりするために必要な従来のパイプスタブ(stub)を選択的に有する水平なタンク壁部330によって上方が規定されている。タンクに最も近接した船倉セクション228、228’の横断する壁部は、好ましくは実質的に垂直で、タンクに直接または選択的に中間的囲堰を介して隣接している。
【0035】
図4に示された実施例において、上方の水平なタンク壁部330は、基線から露天甲板223’まで測定した船の鋳型深さの露天甲板223’上の約100%の高さで設けられている。さらに、露天甲板223’上に伸びたタンク230の部分の容積は、タンク230の全容積の約50%に相当する。図3に示された対応する長さの従来のタンク201の容積能力との比較は、タンク壁部330の適切な高さの選択が、通常、従来のタンカーのようなタンクにおける液体用に、同様な容積能力を有することを示す。
【0036】
図4は、船220が、タンクに液体(陰影線で示されている)が満載され、船倉セクション228、228’および露天甲板223、223’に互いに積み上げられた複数のコンテナ(点線で示されている)が満載された状態を示す。コンテナ232、232’の積載高さは、一部分傾斜に対する船の安定性により、および、一部分国際的海洋規則によって通常制限され、それに従って、航海ブリッジからの視線204は、船の長さに対応する船首からの距離の海面に達しなければならない。コンテナが船の底部218に対して比較的低く詰め込まれるので、タンク230にオイルの貨物が無くてもあっても、かなりの数のコンテナを船の安定性に対する危険性がまったくなく搬送することができる。
【0037】
図5は、図4に示された搬送船のより詳細な側面図である。この図は、コンテナ232、232’の便利な積載とタンク230の具体的構造の例を示している。図に見られるようにタンク230は複数の独立した隔室から成っていて、垂直に伸びた長手方向の軸線を有していて、船の底部218から視線204へ伸びている。隔室は、適切な相互の距離で配置されていて、種々のタイプの液体の搬送用に選択的に適用される。
図5は、すべての船倉セクションに配置されたコンテナ232、232’を示しているが、いくつかのまたはすべてのこれら船倉セクション228、228’が、他のタイプの物品たとえば一般的貨物または特定の物品で充填され得ることが明らかである。船220の安定性に起因して、特にタンク230に液体を入れずに航行する場合、貨物を、それが通常の貨物またはコンテナでも、船倉セクションに配置することが重要である。
【0038】
次の表2は、本発明のいくつかの利点を示すのに役立つ。表は、たとえば本発明による長さが180mで幅が約30mであって、20、000m3の容量と、露天甲板23’から上部の水平タンク壁部130までの高さが約30mを有するタンク30で構成された船(図5参照)の容量と、同様の長さと幅および同様のタンク容量を持った図3に示された従来のタンカーとを比較している。両方の船の製造コストは、代表的にはDKK220ミリオン(million)(1997)である。両方の容器のための基線と露天甲板との間の距離は、約14mである。
【0039】
後部露天甲板223は、前部露天甲板223’よりも低いレベルに非常によく配置されるべきで、それ故、容器の最初に述べた部分は、同じ高さの程度まで波に対して遮断される必要がないことを付記しなければならない。この状態において、露天甲板に関連するタンク230の上部壁部330の位置は、前部露天甲板223’のレベルに基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷蔵船の公知のタイプの例を示すもので、部分的に垂直な長手方向の断面図。
【図2】本発明における冷蔵船の第1の基本的実施例による好ましい実施例を示すもので、部分的に垂直な長手方向の断面図。
【図3】タンカーの公知のタイプの例を示すもので、部分的に垂直な長手方向の概略的断面図。
【図4】本発明の参考例を示すもので、部分的に垂直な長手方向の断面図。
【図5】図4の参考例のより詳細を示すもので、垂直で円筒状の隔室を有するタンクを備えた側面から見た図。
Claims (17)
- 包板(22)、露天甲板(23、23’)、および船倉(28、28’、30)を有する船殻を備え、前方部(35)、後方部(25)および中央部(29)を備えた輸送船であって、
前記前方部(35)は、船殻と露天甲板(23’)によって規定された船倉セクション(28’)と、露天甲板(23’)に設けられ前記船倉セクション(28’)へのアクセスを可能にする入り口ハッチとを有し、
前記後方部(25)は、船殻と露天甲板(23)によって規定された船倉セクション(28)と、露天甲板(23)に設けられ前記船倉セクション(28)へのアクセスを可能にする入り口ハッチとを有し、
前記中央部(29)は、船の横方向および長手方向に伸び、上部の熱的に遮断された冷蔵船倉甲板(130)、前記露天甲板(23、23’)の下に配置され熱的に遮断された底部、および熱的に遮断された壁部(132,133)によって規定された冷蔵船倉セクション(30)を有し、
前記露天甲板(23、23’)が貨物を支持するのに適している、搬送船において、
a)前記冷蔵船倉セクション(30)は、前記冷蔵船倉甲板(130)の上および下に物品を貯蔵するのに適しており、
b)前記上部が熱的に遮断された冷蔵船倉甲板(130)は、前記露天甲板(23,23’)の上方に、これら露天甲板(23,23’)から船(20)の型深さの20%と200%との間の高さのところに設けられていることを特徴とする搬送船。 - 前記物品を貯蔵するための中部甲板が、前記露天甲板(23,23’)の上および下のレベルに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送船。
- 船の航海ブリッジ(27)と乗組員用の居住区域とは、前記冷蔵船倉甲板(130)に設けられていることを特徴とする請求項1もしくは2記載の搬送船。
- 前記冷蔵船倉甲板(130)は、露天甲板(23、23’)の上方に、露天甲板(23、23’)まで測定して船(20)の型深さの50%と150%との間の高さに設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の搬送船。
- 包板(22)、露天甲板(23、23’)、および船倉(28、28’、30)を有する船殻を備え、前方部(35)、後方部(25)および中央部(29)を備えた搬送船であって、
前記前方部(35)は、船殻と露天甲板(23’)によって規定された船倉セクション(28’)と、露天甲板(23’)に設けられ前記船倉セクション(28’)へのアクセスを可能にする入り口ハッチとを有し、
前記後方部(25)は、船殻と露天甲板(23)によって規定された船倉セクション(28)と、露天甲板(23)に設けられ前記船倉セクション(28)へのアクセスを可能にする入り口ハッチとを有し、
前記中央部(29)は、船の横方向および長手方向に伸び、上部の熱的に遮断された冷蔵船倉甲板(130)、前記露天甲板(23、23’)の下に配置され熱的に遮断された底部、および熱的に遮断された壁部(132,133)によって規定された冷蔵船倉セクション(30)を有し、
前記露天甲板(23、23’)が貨物を支持するのに適している、搬送船において、
i)前記上部の熱的に遮断された冷蔵船倉甲板(130)は、前記露天甲板(23,23’)の上方の所定の高さの所に設けられており、
ii)前記冷蔵船倉セクション(30)は、前記露天甲板(23,23’)のレベルより上および下にパレットに載せられた物品を貯蔵するための中部甲板を有しており、
iii)前記船の航海ブリッジ(27)と乗組員用の居住区域(26)とは、前記冷蔵船倉甲板(130)上に設けられていることを特徴とする搬送船。 - 前記熱的に遮断された底部は、前記船の底部の近くに配置されていることを特徴とする請求項5に記載の搬送船(20)。
- 前記冷蔵船倉甲板(130)は、露天甲板(23、23’)の上方に、露天甲板(23、23’)まで測定して船(20)の型深さの20%と200%との間、好ましくは50%と150%との間の高さに設けられていることを特徴とする請求項5もしくは6に記載の搬送船。
- 遮断された壁部(132、133)は、前記前方部および/または後方部(35、25)で船倉セクション(28、28’)に直接隣接して横方向へ伸びていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1に記載の搬送船。
- 熱的に遮断された壁部は、船殻の包板(22)に隣接して長手方向に伸びていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1に記載の搬送船。
- 前記冷蔵船倉甲板(130)は、貨物を支持するのに適していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1に記載の搬送船。
- 前記中部甲板間の距離は、約2m〜3mであり、好ましくは約2.25m〜約2.5mであることを特徴とする請求項2ないし10のいずれか1に記載の搬送船。
- 前記中部甲板(31)は格子板のように構成されていて、冷却は循環空気によって行われることを特徴とする請求項2ないし11のいずれか1に記載の搬送船。
- 前記冷蔵船倉セクション(30)への入り口は、熱的に遮断された壁部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1に記載の搬送船。
- 船の推進手段は、後方部(25)の船倉セクション(28)の船尾に設けられていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1に記載の搬送船。
- 前記冷蔵船倉セクション(30)の長さは、船の全体の長さの約20%と50%との間、好ましくは、約25%と45%との間に構成されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1に記載の搬送船。
- 前記冷蔵船倉セクション(30)の熱的に遮断された壁部(132、133)は、船の中間セクションおよび中間ライン面の周りに対称的に配置されていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1に記載の搬送船。
- 前記船倉セクション(28、28’)への入り口ハッチは、船倉セクション(28、28’)の実質的に全幅に設けられていることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1に記載の搬送船。
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