JP4290791B2 - 動く歩道 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空港や駅構内などの公共施設に設置される動く歩道に係り、特に対向する2方向のそれぞれへ利用者を輸送する動く歩道に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、既に実用化されている動く歩道には、歩道一端及び歩道他端の左右にスプロケットを枢支し、歩道左側の各端スプロケット、並びに右側の各端スプロケットのそれぞれに無端状チェーンを巻き掛け、利用者が搭乗可能な多数のパレットの左右端部を無端状チェーンに係止し、スプロケットの回動によって、多数のパレットを周回させるものがある。
【0003】
この動く歩道では、周回経路の上側(キャリヤ側)を移動するパレットによって、歩道一端から歩道他端へ利用者を輸送するが、周回経路の下側(リターン側)を移動するパレットは、利用者の輸送には寄与せず、利用者を対向する2方向へ同時に輸送することはできない。
【0004】
また、動く歩道の他の例には、特公昭56−257号公報に掲載されているものがある。
【0005】
上記の公報に掲載の動く歩道は、図15から図19に示すように、歩道延長方向に延びる収納溝101を有するガイドレール102と、上面に歩道延長方向に延びる走行溝103を有し且つガイドレール102の上部に収納溝101の左右に位置するように取り付けられたガイド板104と、利用者が搭乗可能なパレット105と、走行溝103に沿って転動し得るように球受け106を介してパレット105下面の左右部分に枢支された鋼球107と、歩道延長方向に延び且つガイドレール102の収納溝101内に配置されたねじ軸108とを備えている。
【0006】
ねじ軸108は、屈曲性を具備するように鋼線などを束ねて構成されている。
【0007】
ねじ軸108のねじ山109は、ピッチが小さい部分Sとピッチが大きい部分Lとを有し、ピッチが小さい部分Sは、パレット105に対する利用者の乗降場所付近に設けられ、ピッチが大きい部分Lは、乗降場所間に設けられている。
【0008】
ねじ軸108の一端には、モータ110の駆動軸が接続され、ねじ軸108の他端は、軸受111によって枢支されている。
【0009】
パレット105の下面の前端寄り部分と後端寄り部分とのそれぞれには、パレット105移動方向に延びる長溝112が形成されている。
【0010】
この長溝112には、パレット105移動方向に延びる軸113を介して支持枠114の上部が前後へ移動し得るように取り付けられている。
【0011】
また、各支持枠114の下部前端及び下部後端部には、鋼球115がそれぞれねじ軸108のねじ山109に当接するように枢支されている。
【0012】
この動く歩道では、モータ110を作動させると、ねじ軸108の回転に伴ってねじ山109の送り方向へ支持枠114が押し出され、パレット105が移動する。
【0013】
パレット105の移動速度は、乗降場所付近のねじ山109のピッチが小さい部分Sで低速になり、乗降場所間のねじ山109のピッチが大きい部分Lで高速になる。
【0014】
パレット105が、ねじ山109のピッチが小さい部分Sからピッチが大きい部分Lへパレット105が移行する際や、パレット105が、ねじ山109のピッチが大きい部分Lからピッチが小さい部分Sへ移行する際には、支持枠114が軸113に沿って前後へ移動し、パレット105に取り付けられている2つの支持枠114の間隔がねじ山109のピッチ変化に応じて調整される。
【0015】
また、ねじ軸108が屈曲性を具備しているので、パレット105の移動経路を曲線にすることもできる。
【0016】
よって、図19に示すように、ねじ軸108を略環状に配置すれば、多数のパレット105を周回させることが可能になる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、屈曲性を具備したねじ軸108は、製作が困難であり、実用性に乏しく、ねじ軸108を略円弧状に配置してパレット105を周回させることは容易ではなく、また、パレット105の往路と復路の間隔を狭めることは困難である。
【0018】
更に、特公昭56−257号公報に掲載されている動く歩道では、移動方向に隣接するパレット105が相互に接しておらず、各パレット105ごとに転落防止用の柵などを設ける必要がある。
【0019】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、利用者を対向する2方向へ安全に輸送し得られ且つパレットの往路と復路との間隔を狭めることが可能な動く歩道を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の動く歩道では、2ヶ所の円弧状の旋回部及び両旋回部を結ぶ搬送部を有し且つ略水平に配置した環状のレールと、該レールの搬送部に平行に配置され且つ周方向に回転可能なスクリューロッドと、レールに案内されて移動可能な多数のパレットと、各パレットに設けられ且つ前記のスクリューロッドのねじ溝に係合可能な推力伝達部材とを備え、各パレットの下面のパレット周回経路内方寄り位置に、当該パレットの移動方向後方側に隣接するパレットの前縁が当接可能で且つ前記旋回部においてパレット幅方向中心より旋回中心側に位置してパレットの旋回半径を縮小させるための突起部材を設けると共に、各パレットの移動方向前縁のパレット周回経路内方寄り位置に、当該パレットの移動方向前方側に隣接するパレットの突起部材が係合し得且つ前記旋回部においてパレット幅方向中心より旋回中心側に位置してパレットの旋回半径を縮小させるための凹部を設け、各パレットの移動方向前縁部を、当該パレットの移動方向前方側に隣接するパレットの下側に差し込み、隣接するパレットを紐状部材によって連結している。
【0021】
【0022】
本発明の請求項1に記載の動く歩道においては、紐状部材によって隣接するパレットを連結し、搬送部のスクリューロッドで移動するパレットにより、後続のパレットを牽引し且つ突起部材によって前方側のパレットを押し出して、一方の搬送部でのパレットの移動方向と他方の搬送部でのパレットの移動方向を逆向きにする。
【0023】
また、各パレットの移動方向前縁部を、当該パレットに隣接するパレットの下側に差し込んで、連続する歩道面を形成する。
【0024】
更に、突起部材をパレットの周回経路の内方寄りに位置させて、パレットの旋回半径の縮小を図り、一方の搬送部と他方の搬送部との間隔を狭める。
【0025】
しかも、旋回部に位置するパレットの前縁の凹部が、当該パレットの前方側に隣接するパレットの突起部材に嵌合して、後続のパレットが前方のパレットを確実に押し出す。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例に基づいて説明する。
【0027】
図1乃至図14は本発明の動く歩道の実施の形態の一例であり、この動く歩道は、環状に配置された2本のレール11と、利用者が搭乗し得られ且つレール11に沿って周回可能な多数のパレット3と、隣接するパレット3を連結するチェーン22及び弾性緩衝機構25と、前記のパレット3をレール11の延長方向へ移動させ得るスクリューロッド16,24と、利用者がパレット3に乗降する位置に設けた可動ステップ63と、該可動ステップ63をパレット3の上面に倣って上下に揺動させ得る倣い機構68とを備えている。
【0028】
まず、レール11、及びそれに付帯するガイドレール12の構成を、図1〜図5、及び図9に基づき説明する。
【0029】
レール11は、互いに平行に且つ水平に配置された直線状の2ヶ所の搬送部1A,1Bと、両搬送部1A,1Bの一端に連なる半円状部の旋回部1Cと、両搬送部1A,1Bの他端に連なる半円状の旋回部1Dとによって構成されている。
【0030】
このレール11の所定部分は、基台14に立設した架台23上に敷設されている。
【0031】
旋回部1C,1Dの半径方向外側のレール11の外方及び半径方向内側のレール11の内方には、当該レール11に沿うように半円状に曲がったガイドレール12が配置されている。
【0032】
このガイドレール12の所定部分は、それぞれのガイドレール12のレール11の外側に位置するように、基台14に立設した支柱13によって上方から支持されている。
【0033】
更に、レール11の旋回部1C,1D、並びにガイドレール12は、乗降用のプラットホーム2A,2Bによって上方から全体的に覆われている。
【0034】
次に、パレット3、及びそれに付帯する部材の構成を、図1、及び図4〜図9に基づき説明する。
【0035】
パレット3は、上面に移動方向の全通する溝3fを有し、該溝3fの両側の凸条3gの後端部が、パレット3後方側へ突出する櫛歯3bを構成している。
【0036】
櫛歯3bの間には、隣接する他のパレット3の溝3fに嵌入し得るように下方へ突出する突起3eが設けられ、櫛歯3bの上部には、後方へ向かって緩やかな下り勾配を呈する傾斜面3dが形成されている。
【0037】
パレット3下面には、平面形状が円形に形成された突起部材3cが、パレット3の周回経路の内方寄り(パレット3進行方向右側寄り)に位置するように固着され、パレット3の前端部には、当該前端部が隣接するパレット3の突起部材3cが嵌合し得る半円形の凹部3aが形成されている。
【0038】
また、パレット3下面には、スペーサ4を介してパレット3の幅方向に延びるビーム5が固着されている。
【0039】
ビーム5の後端寄り部分下面には、ブラケット7を介して走行用ローラ6が、前記のレール11の上面を転動し得るように装着されている。
【0040】
ビーム5の前端部両側には、パレット移動方向の前後から見て略L字形状を呈するアーム8の上端部が固着されており、該アーム8の下端部には、ブラケット9を介して傾斜角補正用ローラ10が、前記のガイドレール12の下面を転動し得るように装着されている。
【0041】
ビーム5下面には、2つのアーム15の上端部が左右の走行用ローラ6の間に位置するように固着されており、それぞれのアーム15の下端部には、横行規制用ローラ21が、各レール11の相対する側面を転動し得るように装着されている。
【0042】
上述した多数のパレット3は、走行用ローラ6がレール11の上面に接し且つ横行規制用ローラ21がレール11の側面に接するように配置されている。
【0043】
各パレット3の前縁は、当該パレット3の移動方向前方側に隣接する他のパレット3の下側に差し込まれている。
【0044】
これにより、レール11の搬送部1A,1Bでは、パレット3の突起3eが、当該パレット3の移動方向後方側に隣接する他のパレット3の溝3fに嵌入し、移動方向前方側のパレット3の後端部が、移動方向後方側のパレット3によって支持される。
【0045】
レール11の旋回部1C,1Dでは、隣接するパレット3が接近し且つ傾斜角補正用ローラ10がガイドレール12の下面を転動するため、各パレット3が前傾状態となり、上述したパレット3の突起3eと溝3fとの嵌合が解除される。
【0046】
また、レール11の旋回部1C,1Dにおいては、各パレット3の突起部材3cに、当該パレット3に後続する他のパレット3の前縁の凹部3aが嵌合している。
【0047】
更に、パレット3の周回経路の内方寄りに突起部材3c及び凹部3aが位置しているため、これらをパレット3の中央部分に設けた場合に比べて、隣接するパレット3の傾斜角補正用ローラ10に干渉が生じることなく、パレット3の旋回半径の縮小を図ることができる。
【0048】
次に、スクリューロッド16,24の構成を、図1〜図5、及び図9〜図12に基づき説明する。
【0049】
スクリューロッド16は、レール11の搬送部1Aの各旋回部1C,1D寄り部分、並びにレール11の搬送部1Bの各旋回部1C,1D寄り部分の4ヶ所に、左右のレール11の間に平行に位置するように平行に配置されている。
【0050】
このスクリューロッド16の端部は、先に述べた架台23に設けた軸受20に枢支され、モータ(図示せず)から回転力が伝達されるようになっている。
【0051】
スクリューロッド16のねじ溝16aのピッチは、旋回部1C,1D寄りの乗降範囲S1、該乗降範囲S1の搬送部1A,1B中央側に位置する低速範囲M1、該低速範囲M1の搬送部1A,1B中央側に位置する高速範囲L1の順で長くなるように設定されている。
【0052】
スクリューロッド24は、レール11の搬送部1Aの中間部分、並びにレール11の搬送部1Bの中間部分の2ヶ所に、左右のレール11の間に平行に位置するように配置されている。
【0053】
このスクリューロッド24の端部も、スクリューロッド16と同様に、先に述べた架台23に軸受(図示せず)を介して枢支され、モータ(図示せず)から回転力が伝達されるようになっている。
【0054】
スクリューロッド24のねじ溝24aのピッチは、スクリューロッド16の高速範囲L1におけるねじ溝16aピッチと同等に設定されている。
【0055】
更に、各パレット3に付帯するビーム5下面中央部に設けた支持台17の下端には、移動用ローラ(推力伝達部材)18が、先に述べた突起部材3cの直下に位置するように枢支されている。
【0056】
この移動用ローラ18が、ねじ溝16a,24aに係合した状態でスクリューロッド16,24を回動させると、該スクリューロッド16,24の回動に応じた方向へ移動用ローラ18が送り出され、これにより、パレット3がレール11の搬送部1A,1Bに沿って移動する。
【0057】
また、パレット3の移動速度は、ねじ溝16a,24aのピッチに応じて、乗降範囲S1、低速範囲M1、高速範囲L1の順で高くなる。
【0058】
次に、チェーン22、及び弾性緩衝機構25の構成を、図5、図9、及び図13に基づき説明する。
【0059】
弾性緩衝機構25は、ボルト28に遊嵌し且つパレット3移動方向に圧縮され得るばね部材29と、ボルト28の一端寄り部分に軸線方向へ移動可能に外嵌し且つばね部材29の一端に当接する第1のばね座27aと、該第1のばね座27aの反ばね部材寄りの端面に当接するようにボルト28に螺合した第1のナット28aと、ボルト28の他端寄り部分に軸線方向へ移動可能に外嵌し且つばね部材29の他端に当接する第2のばね座26aと、該第2のばね座26aの反ばね部材寄りの端面に当接するようにボルト28に螺合した第2のナット28bと、該第2のナット28bに当接するようにボルト28に螺合した第3のナット28cとによって構成されている。
【0060】
この弾性緩衝機構25は、ボルト28に対する第2のナット28bの螺合状態を調整すると、第2のばね座26aからのボルト28の突出長さが変化する。
【0061】
第1のばね座27aには、ばね部材29の内方に位置し且つボルト28の中間部分を周方向に取り囲む内筒27が一体的に設けられ、第2のばね座26aには、ばね部材29を周方向に取り囲む外筒26が一体的に設けられている。
【0062】
外筒26の反ばね座側の端部には、連結用のフォーク部30aを有するプラグ30が挿入されており、該プラグ30は、スプリングピン30bによって外筒26に係止されている。
【0063】
また、フォーク部30aには、リンク部材32の一端がピン32aによって連結されている。
【0064】
このリンク部材32の他端は、先に述べたアーム8に固着したブラケット31の前端部に、略水平なピン32bを介して連結されている。
【0065】
ボルト28の他端部には、連結用のフォーク部28dが一体的に形成されている。
【0066】
このフォーク部28dには、チェーン22の後端部が、ピン22aを介して連結され、また、チェーン22の前端部は、略水平なピン22bを介して前記のブラケット31の後端部に連結されている。
【0067】
これにより、各パレット3に付帯するアーム8と、当該パレット3に隣接する他のパレット3の付帯するアーム8とが、ブラケット31、チェーン22、弾性緩衝機構25、及びブラケット31を介して連結される。
【0068】
次に、可動ステップ63、及び倣い機構68の構成を、図2、図4、図8、及び図14に基づき説明する。
【0069】
可動ステップ63は、乗降用のプラットホーム2A,2Bからレール11の搬送部1A,1Bの端部付近に位置しているパレット3の上方へ延びる固定ステップ64のそれぞれに対して配置されている。
【0070】
可動ステップ63の先端部には、パレット3の上面の溝3fに嵌入し得る櫛歯65が設けられ、可動ステップ63の基端部には、略水平に左右へ突出する回転軸66が一体的に設けられている。
【0071】
この回転軸66は、固定ステップ64の先端部近傍に設けた軸受67に、可動ステップ63の基端部上面と固定ステップ64の先端部上面との間に大きな間隙や段差が形成されないように枢支されている。
【0072】
倣い機構68は、基端部が回転軸66に固着され且つ先端部が可動ステップ63側方に位置する上部アーム69と、基端部が可動ステップ63の先端近傍に設置したブラケット70にピン71を介して枢支され且つ先端部が回転軸66よりもレール11の旋回部1C,1D側に位置するように上部アーム69の下方に配置された下部アーム72と、固定ステップ64の直下を通過するパレット3の上面を転動し得るように下部アーム72の先端部に枢支された倣いローラ73と、
一端が上部アーム69の先端部にピン74を介して枢支され且つ他端が下部アーム72の中間部にピン75を介して枢支された連結材76とによって構成されている。
【0073】
可動ステップ63の櫛歯65から倣いローラ73の回転中心までの距離は、可動ステップ63及び固定ステップ64の直下を通過しようとする隣接した2つのパレット3の間隔と略等しく設定されている。
【0074】
また、ピン74,75の中心間隔は、可動ステップ63の直下を通過するパレット3の溝3fに櫛歯65が嵌入し且つ該櫛歯65の下面が溝3fの底部に接しないように設定されている。
【0075】
なお、図4において、77S,77M,77Lは、ゴム系素材によって形成された手摺を示している。
【0076】
以下、図1〜図14に示す動く歩道の作動を説明する。
【0077】
スクリューロッド16,24を、モータ(図示せず)によって回転させると、ねじ溝16a,24aに係合している移動用ローラ18が、スクリューロッド16,24の回動に応じた方向へ送り出され、これにより、パレット3がレール11の搬送部1A,1Bに沿って移動する。
【0078】
このとき、レール11の搬送部1Aと搬送部1Bとでは、パレット3の移動方向が逆向きとなり、1基の動く歩道によって、利用者を対向する2方向へ同時に輸送することができる。
【0079】
レール11の搬送部1A,1Bに位置するパレット3のうち、移動用ローラ18がねじ溝16a,24aに係合していないものは、当該パレット3の移動方向前方において、スクリューロッド16,24の回転に伴って移動するパレット3に、弾性緩衝機構25及びチェーン22を介して牽引される。
【0080】
これにより、レール11の搬送部1A,1Bでは、各パレット3の突起3eが、当該パレット3の移動方向後方側に隣接するパレット3の溝3fに嵌入した状態で移動する。
【0081】
このとき、隣接するパレット3の前後端部は重なり合った状態となり、多数の利用者を安全に輸送することができる。
【0082】
パレット3の移動速度は、移動用ローラ18がねじ溝16aの乗降範囲S1、低速範囲M1,高速範囲L1へ遷移するのに従って高くなり、移動用ローラ18がねじ溝16aの高速範囲L1、低速範囲M1、乗降範囲S1へ遷移するのに従って低くなる。
【0083】
よって、レール11の搬送部1A,1Bの両端部分では、パレット3が低速で移動して、利用者がパレット3に容易に乗降することができ、レール11の搬送部1A,1Bの中間部分では、利用者が搭乗しているパレット3を高速移動させることができる。
【0084】
パレット3が、当該パレット3に先行して移動するパレット3に牽引されはじめるときには、弾性緩衝機構25がチェーン22へ付与される過大な張力を緩衝する。
【0085】
これにより、過大な張力が繰り返し付与されることに起因したチェーン22の変形が抑制され、パレット3に搭乗している利用者への衝撃が緩和される。
【0086】
また、スクリューロッド16に加えて、レール11の搬送部1A,1Bの中間部分に他のスクリューロッド24を配置しているので、各チェーン22に作用する張力の軽減を図ることができ、よって、レール11の搬送部1A,1Bをより長大化することもできる。
【0087】
パレット3が、レール11の搬送部1Aの旋回部1D寄り部分、あるいは、レール11の搬送部1Bの旋回部1C寄り部分に接近すると、ねじ溝16aの高速範囲L1,低速範囲M1、乗降範囲S1のピッチ差に起因して、隣接するパレット3の前後端部の重なり合う量が多くなり、パレット3の間隔が狭まる。
【0088】
パレット3が、可動ステップ63の直下を経てレール11の旋回部1C,1Dへ進入する際には、該可動ステップ63の先端部の櫛歯65がパレット3の溝3fに嵌入し、溝3fに挟まった異物を除去する。
【0089】
このとき、倣い機構68が、溝3fに櫛歯65が嵌入しているパレット3に先行する他のパレット3の上面に倣って可動ステップ63を上下へ揺動させ、溝3fの底部に櫛歯65の下面が接しないようにするので、櫛歯65の摩耗を防止することができる。
【0090】
また、パレット3が、レール11の旋回部1C,1Dから可動ステップ63の直下を経て搬送部1A,1Bに進入する際には、倣い機構68が、溝3fに櫛歯65が嵌入しているパレット3に後続する他のパレット3の上面に倣って可動ステップ63を上下へ揺動させ、櫛歯65の摩耗を防止する。
【0091】
パレット3が、レール11の旋回部1C,1Dに進入すると、隣接するパレット3が近接し且つ傾斜角補正用ローラ10がガイドレール12の下面を転動するため、各パレット3が前傾状態となり、上述したパレット3の突起3eと溝3fとの嵌合が解除される。
【0092】
また、各パレット3の突起部材3cに、当該パレット3に後続するパレット3の前縁の凹部3aが嵌合し、旋回部1C,1Dに位置するパレット3は、搬送部1B,1Aからスクリューロッド16により送り込まれる後続のパレット3によって、搬送部1A,1Bへ向かって順次移動する。
【0093】
このとき、パレット3の周回経路の内方寄りに突起部材3c及び凹部3aが位置しているため、これらをパレット3の中央部分に設けた場合に比べて、隣接するパレット3の傾斜角補正用ローラ10に干渉を生じさせることなく、パレット3の旋回半径の縮小を図ることができる。
【0094】
よって、レール11の搬送部1A,1Bの間隔、すなわち、パレット3の往路と復路との間隔を狭めることが可能になる。
【0095】
更に、パレット3が、レール11の旋回部1C,1Dの中間部分から搬送部1A,1Bへ移動する際には、隣接するパレット3が離反し且つガイドレール12の下面に対する傾斜角補正用ローラ10の当接が解除されるため、各パレット3の前傾状態が解消され、各パレット3の突起3eが当該パレット3に後続の他のパレット3の溝3fに嵌合する。
【0096】
このように、図1〜図14に示す動く歩道では、利用者を対向する2方向へ安全に輸送することができ、また、パレット3の往路と復路との間隔を狭めることが可能になる。
【0097】
なお、本発明の動く歩道は上述した実施例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【0098】
たとえば、レール11の搬送部1A,1Bが長大でない場合には、各搬送部1A,1Bの略全長にわたってスクリューロッド16を設置して、パレット3を移動させることもできる。
【0099】
また、レール11の搬送部1A,1Bが長大である場合には、各搬送部1A,1Bの中間部分にスクリューロッド24を複数設置して、チェーン22に付与される張力を緩和することもできる。
【0100】
更に、ばね部材29に替えて、ガス圧、あるいは液体粘性抵抗を利用した弾性緩衝機構25を適用することもできる。
【0101】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の動く歩道によれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
【0102】
(1)本発明の請求項1に記載の動く歩道においては、紐状部材によって隣接するパレットを連結し、搬送部のスクリューロッドで移動するパレットにより、後続のパレットを牽引し且つ突起部材によって前方側のパレットを押し出して、一方の搬送部でのパレットの移動方向と他方の搬送部でのパレットの移動方向を逆向きにするので、利用者を異なる2方向へ同時に輸送することが可能になる。
【0103】
(2)また、各パレットの移動方向前縁部を、当該パレットに隣接するパレットの下側に差し込み、連続する歩道面を形成するので、多数の利用者を安全に輸送することができる。
【0104】
(3)突起部材をパレットの周回経路の内方寄りに位置させることにより、パレットの旋回半径の縮小を図るので、一方の搬送部と他方の搬送部との間隔、すなわち、パレットの往路と復路との間隔を狭めることができる。
【0105】
(4)しかも、旋回部に位置するパレットの前縁の凹部が、当該パレットの前方側に隣接するパレットの突起部材に嵌合するので、後続のパレットにより前方のパレットを確実に押し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の動く歩道の実施の形態の一例を示す部分平面図である。
【図2】 図1の全体平面図である。
【図3】 図1におけるレール及びガイドレールを示す部分平面図である。
【図4】 図1の部分側面図である。
【図5】 図1のレールの搬送部におけるパレットの状態を示す側面図である。
【図6】 図1のレールの旋回部におけるパレットの状態を示す側面図である。
【図7】 図1のパレットの後端部を示す部分斜視図である。
【図8】 図2のパレット及び可動ステップを示す斜視図である。
【図9】 図1のレールの搬送部と旋回部との遷移部分におけるパレットの状態を示す正面図である。
【図10】 図1のスクリューシャフトを示す部分側面図である。
【図11】 図1のスクリューシャフトを示す部分側面図である。
【図12】 図1のスクリューシャフトを示す部分側面図である。
【図13】 図5の弾性緩衝機構を示す部分切断側面図である。
【図14】 図2の可動ステップ及びパレットを示す側面図である。
【図15】 特公昭56−257号公報に掲載された動く歩道のパレットとねじ軸との係合状態を示す部分切断側面図である。
【図16】 図15の正面図である。
【図17】 図15におけるパレットに対する支持枠の取付状態を示す部分切断側面図である。
【図18】 図15におけるねじ軸の全体を示す側面図である。
【図19】 図15におけるねじ軸を略環状に配置した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1A 搬送部
1B 搬送部
1C 旋回部
1D 旋回部
3 パレット
3a 凹部
3c 突起部材
11 レール
16 スクリューロッド
18 移動用ローラ(推力伝達部材)
22 チェーン(紐状部材)
24 スクリューロッド
Claims (1)
- 2ヶ所の円弧状の旋回部及び両旋回部を結ぶ搬送部を有し且つ略水平に配置した環状のレールと、該レールの搬送部に平行に配置され且つ周方向に回転可能なスクリューロッドと、レールに案内されて移動可能な多数のパレットと、各パレットに設けられ且つ前記のスクリューロッドのねじ溝に係合可能な推力伝達部材とを備え、各パレットの下面のパレット周回経路内方寄り位置に、当該パレットの移動方向後方側に隣接するパレットの前縁が当接可能で且つ前記旋回部においてパレット幅方向中心より旋回中心側に位置してパレットの旋回半径を縮小させるための突起部材を設けると共に、各パレットの移動方向前縁のパレット周回経路内方寄り位置に、当該パレットの移動方向前方側に隣接するパレットの突起部材が係合し得且つ前記旋回部においてパレット幅方向中心より旋回中心側に位置してパレットの旋回半径を縮小させるための凹部を設け、各パレットの移動方向前縁部を、当該パレットの移動方向前方側に隣接するパレットの下側に差し込み、隣接するパレットを紐状部材によって連結したことを特徴とする動く歩道。
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-
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