JP4290387B2 - セメント分散剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント分散剤に関する。特に、遠心力成形用コンクリートの作業性及び遠心締め固めの促進に優れるセメント分散剤及び該分散剤を含有する遠心力成形用コンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、遠心力成形用コンクリートにおいて、コンクリート用材料の観点からの技術課題は、遠心力締め固め中に発生するノロ又はスラッジ(以下、「ノロ等」ということがある)の排出抑制や、硬化後における60〜100N/mm2級の高強度発現性が中心であった。これらに関連するものとして、特開平7-291686号には、ノロを低減するため、特定のノロ低減材と高性能減水剤とを含有した遠心力成形用コンクリートに係る技術が開示されている。また、特開2000-203920号には、スラッジの排出を抑制するため、芳香族系分散剤を添加したコンクリートを型枠に投入する際または投入後に特定のポリカルボン酸系分散剤を添加する遠心力成形用コンクリート製品の製造方法に係る技術が開示されている。また、特開2001-253750号には、硬化後に高強度を発現させるため、特定の高強度材と特定のポリカルボン酸系分散剤を含有する遠心力成形用コンクリート組成物に係る技術が開示されている。
【0003】
一方、いわゆるヒューム管を代表とする遠心力鉄筋コンクリート管(「コンクリート技術事典」59頁、オーム社。以下、ヒューム管という)では、ノロ等の排出抑制及び高強度発現性とは別に、管内壁の仕上がりの良さを維持しつつ締め固め時間を短縮することが求められている。
【0004】
ヒューム管は、管の厚みが大きく、管内壁が平滑であることが要求されるため、コンクリートを型枠に分割して充填し、各充填毎に遠心力成形を行う。そのため、ヒューム管用コンクリートは、各回の充填性が良好であることと、各回の遠心力成形の所要時間が短くなるよう迅速に締め固まることが必要であり、当該工程において、コンクリートの流動保持性が良好なことと、粘性ができるだけ低いことが要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ヒューム管に要求される上記特性に対して、ノロ等の発生の抑制に効果のある技術、例えば、特開平7-291686号では、セメントに特定のノロ低減材を加えた多量の微粉末を分散効果の高い高性能減水剤で分散させるため、コンクリートの流動保持性が低下し、コンクリートの型枠への充填性が損なわれる場合があり、特開2000-203920号では、混合すると強く相互作用する分散剤を使用するので、両者を添加する時期の調整等が難しいという問題がある。
【0006】
また、ヒューム管に要求される上記特性に対して、高強度の発現性に効果のある技術、例えば、特開2001-253750号では、コンクリートの流動保持性が不十分で充填性が低下したり、粘性が十分に低下せずに締め固め性が低下し管の肉厚が不均一になる場合がある。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
かかる従来の技術状況に鑑み、本発明は、ヒューム管の製造において、管内壁の仕上がりの良さを維持しつつ作業性を向上し、かつ締め固め時間を短縮できるセメント分散剤や遠心力成形用コンクリートを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a)〔以下、単量体(a)という場合がある〕と、下記一般式(2-1)で示される単量体及び下記一般式(2-2)で示される単量体から選ばれる単量体(b)とを構成単位として含む第1の共重合体と、前記(a)と(b)とを構成単位として含む第1の共重合体とは異なる第2の共重合体とを含有し、第1の共重合体における(a)と(b)の合計に対する(b)のモル%(XA)と第2の共重合体における(a)と(b)の合計に対する(b)のモル%(XB)の差が5以上であるセメント分散剤に関する。
【0009】
ここで、XA、XBは、それぞれ〔単量体(b)の合計モル数〕/〔単量体(a)の合計モル数+単量体(b)の合計モル数〕×100により算出される。このモル数は、仕込み時の各単量体のモル数であってもよい。
【0010】
【化4】
【0011】
〔式中、
R11、R12:水素原子又は-CH3
R13:水素原子又は-COO(AO)nX11
X11:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
n:5〜50の数
p:0〜2の数
を示す。〕
【0012】
【化5】
【0013】
〔式中、
R21、R22、R23:同一でも異なっていても良く、水素原子、-CH3又は-(CH2)rCOOM22であり、-CH3又は-(CH2)rCOOM22はCOOM21又は他の-(CH2)rCOOM22と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM21、M22は存在しない。
M21,M22:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
r:0〜2の数
を示す。〕
【0014】
【化6】
【0015】
〔式中、
R31:水素原子又は-CH3
Z:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
を示す。〕。
【0016】
また、本発明は、上記本発明のセメント分散剤を含有する遠心力成形用コンクリートに関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
ヒューム管用コンクリートは、多量のノロ等が発生しないように、セメントやノロ等低減材からなる水硬性粉体の量が多く、かつ、水セメント比が小さいことから、強い分散力を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとカルボキシル基かスルホン酸基を有するビニル骨格電解質との共重合体(以下、PAGエステル系共重合体ということがある)を含有するセメント分散剤を使用することが必要である。
【0018】
分散力の観点からは、PAGエステル系共重合体の他に、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテルのようなエーテル系共重合体も有効であると考えられるが、エーテル系共重合体は、長時間にわたり分散効果が持続する場合があり、遠心力成形時にコンクリートの過度な流動性が発現することは、ヒューム管の製造にとって好ましくない。
【0019】
次に、当該コンクリートは、遠心力成形において、管内壁の平滑性を維持しつつ迅速に締め固めるため、できるだけ粘性が低いことが望ましい。そのため、本発明では、単量体(a)におけるアルキレンオキサイドの平均付加モル数nが低いことが必要であり、5〜50の範囲から選択することが必要である。
【0020】
さらに、当該コンクリートは、一つのヒューム管を成形する際、型枠に分割充填され、その都度遠心力成形されることから、適度な流動保持性が必要である。ここで、ヒューム管コンクリートの流動性はセメント分散剤によって制御されることから、当該セメント分散剤は、先に記載した多量水硬性粉体に対する強い分散力性と充填−遠心力成形工程での流動保持性を両立させなければならないことになる。
【0021】
本発明者等は、かかる両立を達成するためのPAGエステル系共重合体の構造を鋭意検討した結果、従来技術に開示されているような単一構造のPAGエステル系共重合体では達成できず、構成単量体のうち、単量体(b)のモル%が特定関係にある2種の共重合体を併用すること、具体的にはXAとXBの差が5以上である(すなわち、|XA−XB|≧5)2種類のPAGエステル系共重合体を含有することが必須であることがわかった。
【0022】
便宜上、XA>XBとすると、かかる2種類のポリエーテル系共重合体のうち、XAである共重合体が主に分散性を担い、XBである共重合体が主に流動保持性を担い、高い分散性と流動保持性を両立すると考えられる。以下、第1、第2の共重合体のより好ましい実施の形態を記す。
【0023】
<第1、第2の共重合体>
式(1)中のn個のAOは、同一でも異なっていても良く、異なる場合はランダム付加でも、ブロック付加でも良い。nは、5〜50の範囲で選択できるが、5〜30がより好ましい。また、第1、第2の共重合体の少なくとも一方のnが15以上、更に20以上であることが好ましい。第1の共重合体におけるnをn1、第2の共重合体におけるnをn2とすると、n1及びn2は、同一でも異なっていてもよいが、セメントの種類に対する分散性及び分散保持性の安定性を考慮すると、|n1−n2|≧2がより好ましく、|n1−n2|≧5がさらに好ましく、|n1−n2|≧10がさらに好ましい。
【0024】
単量体(a)の具体例として、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端低級アルキル基封鎖ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物や、(メタ)アクリル酸へのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物が挙げられ、好ましくはメトキシポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの混合物の意味であり、(メタ)アクリレートもこれに準ずる(以下、同様)。
【0025】
単量体(b)のうち、式(2-1)で表される単量体として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体、又はこれらの塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸又はこれらのアルカリ金属塩である。
【0026】
また、単量体(b)のうち、式(2-2)で表される単量体として、(メタ)アリルスルホン酸又はこれらの塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
【0027】
単量体(b)は、共重合体の分子量制御の観点より、式(2-1)で表される単量体のみ、又は式(2-1)で表される単量体と式(2-2)で表される単量体の混合物が好ましく、式(2-1)で表される単量体のみから選ばれるのが更に好ましい。
【0028】
第1、第2何れの共重合体においても、それらを構成する単量体混合物中の単量体(a)と単量体(b)の合計量は50重量%以上、特には80重量%以上、更には100重量%が好ましい。単量体(a)と単量体(b)以外の共重合可能な単量体として、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
【0029】
本発明では、第1、第2の共重合体のXA及びXBは、|XA−XB|≧5を満たす数であり、|XA−XB|≧10がより好ましく、|XA−XB|≧15が更に好ましく、|XA−XB|≧25が最も好ましい。また、第1、第2の共重合体の相乗効果により良好な分散性及び分散保持性が得られることから、|XA−XB|≦50であることが好ましく、|XA−XB|≦40であることがより好ましい。
【0030】
|XA−XB|の上限値と下限値の組み合わせとしては、10≦|XA−XB|≦50であることが好ましく、特に15≦|XA−XB|≦40であることが好ましい。
【0031】
また、XAは、50≦XA≦90(モル%)が好ましく、60≦XA≦80がより好ましく、60≦XA≦75が更に好ましく、65≦XA≦75が最も好ましい。
【0032】
第1の共重合体と第2の共重合体の重量比は、第1の共重合体/第2の共重合体=5/95〜95/5、更に15/85〜85/15、より更に25/75〜75/25、特に35/65〜65/35が好ましい。
【0033】
本発明に係る第1、第2の共重合体は、公知の方法で製造することができる。例えば、特開平7-223852号公報、特開平7-241750公報、特開平11-157897号公報の溶液重合法が挙げられ、水や炭素数1〜4の低級アルコール中、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の重合開始剤存在下、要すれば、亜硫酸ナトリウムやメルカプトエタノール等を添加し、50〜100℃で0.5〜10時間反応させればよい
本発明に係る第1、第2の共重合体は、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/標準物質ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算/水系)が10000〜100000、特に10000〜50000の範囲が好ましい。
【0034】
本発明のセメント分散剤は、遠心力成形用コンクリート、特にヒューム管用コンクリートに用いられるのが好ましい。本発明に係るセメント分散剤を配合する場合のヒューム管用コンクリートの好ましい配合は、
W/C:20〜60重量%
s/a:30〜55重量%
水:140〜180kg/m3
セメント:320〜600kg/m3
であり、さらに好ましい配合は、
W/C:25〜45重量%
s/a:35〜50重量%
水:150〜170kg/m3
セメント:380〜550kg/m3
である。
【0035】
この場合、ヒューム管用コンクリート中の本発明に係るセメント分散剤の添加量は、セメントに対して固形分で、0.01〜3重量%が好ましく、0.05〜1重量%がより好ましい。
【0036】
ヒューム管用コンクリートは、上記成分以外に、各種の高炉スラグ、フライアッシュ、ノロ低減材、早強材等の各種混和材料を使用することもできる。更に、公知の添加剤(材)、例えばAE剤、AE減水剤、高性能減水剤、減水剤、遅延剤、早強剤、促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、増粘剤、防水剤、防腐剤等を併用することができる。
【0037】
ただし、本発明によるセメント分散剤を使用する場合、当該分散剤の添加量、混練後のコンクリートの粘性及び材料コストを抑制できる観点から、水、セメント、細骨材、粗骨材以外には、混和材料を使用しないことが好ましい。
【0038】
本発明に係るセメント分散剤を配合したヒューム管用コンクリートを遠心力成形した場合に、さらに、締め固めに要する時間を短縮するには、適度にノロ等の排出を抑制しないことが好ましいことと、充填時の良好な作業性を確保することの観点から、コンクリートは流動性を有することが必要で、流動性の指標である初期スランプ値は5cm以上が好ましく、8cm以上がより好ましく、12cm以上がさらに好ましく、15cm以上がさらに好ましく、20cm以上が最も好ましい。この初期スランプ値は、JIS-A 1101法により測定されたものである。
【0039】
なお、本発明に係るセメント分散剤を配合したヒューム管用コンクリートでは、材料分離抵抗性が良好なため、従来のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合系のセメント分散剤にでは水が分離してブリージングを生じる25cm程度の高流動コンクリート配合でもブリージングがなく良好な状態を得ることができる。
【0040】
【実施例】
《コンクリート配合及びモルタル配合》
以下の実施例で用いたコンクリート配合及びモルタル配合を表1、2に示す。コンクリート配合は、(イ)、(ロ)の2種を用意した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
・W:セメント分散剤を含有する水道水
・C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株))比重3.16
・LS:石灰石微粉末(ネオフロー150、清水工業製)
・S:君津産陸砂 比重2.60
・G:和歌山産砕石 比重2.62
・W/P:〔W/(C+LS)〕×100(重量%)
・s/a:〔S/(S+G)〕×100(体積%)
・S/C:(S/C)×100(重量%)。
【0044】
《セメント分散剤》
以下、実施例で用いたセメント分散剤を表3、4に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
表3、4中、nは一般式(1)中のものである。重量%は、セメント分散剤中の比率である。Mwは重量平均分子量である。単量体(a)について、「MeOH(EO)n・MAAエステル」は、「エチレンオキサイド平均付加モル数がnのメトキシポリエチレングリコールメタクリル酸エステル」の意味である。単量体(b)について、MAAはメタクリル酸、MAはマレイン酸、MSAはメタリルスルホン酸であり、MAA・Na、MA・Naは、共重合反応後に中和度60±10%に水酸化ナトリウムで中和したことを意味する。また、MAA・TAは、共重合反応後に中和度60±10%にトリエタノールアミンで中和したことを意味する。なお、本発明品24の単量体モル比は、(a)/(b1)/(b2)=33.2/44.5/22.3である。
【0048】
《コンクリート製造条件》
セメント分散剤と混合した水以外のコンクリート材料60Lを100L強制2軸ミキサーに投入し、10秒間混練後、セメント分散剤と混合した水を投入し、90秒混練後、排出する。
【0049】
《モルタル製造条件》
セメント分散剤と混合した水以外のモルタル材料をモルタルミキサーに投入し、10秒間混練後、セメント分散剤と混合した水を投入し、90秒混練後、排出する。モルタルミキサーはJIS-R5201法の機械練り用練り混ぜ機に準じたものを使用し、混練時の撹拌は低速で行った。
【0050】
セメント分散剤は、混練直後のモルタルフロー値が200±10mmとなるように添加率を調整した。モルタルフロー値は、JIS-R5201-9.7に準じて行った。ただし、タッピングは行わず、テーブル台は700mm×700mmのものを使用した。
【0051】
《分散性》
分散性は、コンクリートの混練直後のスランプ値(JIS-A 1101法による)が8.5±0.5cmとなるときに要した分散剤のセメント重量に対する固形分添加量(重量%)を尺度とした。数値が小さい程、分散性が良好である。このとき、初期空気量は2%以下になるように起泡連行剤(マイテイAE-03:花王(株)製)と消泡剤(アンチフォームE-20:花王(株)製)で調整した。
【0052】
《分散保持性》
コンクリート混練直後のスランプ値に対する15分、30分後のスランプ値の混練直後のスランプ値に対する百分率を分散保持性の尺度とした。
【0053】
《粘性》
混練後10分経過後のモルタルを、ステンレス鋼(SUS 304)を加工して作製した図1の形状の装置に、下部排出口を閉じた状態で充填し上部投入開口の面で擦り切った後、下部排出開口を開口してモルタルを自然流下させ、叙位部投入開口から目視で観察したときにモルタルの少なくとも一部に孔が確認されるまでの時間(流下時間:秒)を測定し、粘性の尺度とした。流下時間が短いほどモルタルの粘性が低い。
【0054】
《遠心力成形試験》
コンクリートを直径200mm×長さ300mmの遠心力成形型枠に16kg投入し、
A.低速(5G)/2分
B.中速(15G)/3分
C.高速(30G)/2分
D.高速(30G)/4分
のように変速し、
工程I:A→B→C終了後、停止
工程II:A→B→D終了後、停止
の2つの工程のサンプルを製作した。
【0055】
《ノロ量》
遠心力成形試験で、工程Iで排出されたノロ量(g/コンクリート16kg)を測定した。本実施例の条件では、100〜350が好適である。
【0056】
《管内壁状態》
遠心力成形試験の各工程後のサンプルの管内壁を観察し、以下の基準で遠心力締め固め度を評価した。
【0057】
(管内壁状態の評価)
×:モルタル層が落下する。
【0058】
○:モルタル層が凹凸形状
○〜◎:凹凸部分が少しあるが平滑
◎:平滑。
【0059】
《ブリージング》
JISA-1123のコンクリートのブリージング試験方法に準じて、ブリージング量を測定した。
×:0.01以下
○:0.01超0.05未満
◎:0.05以上。
【0060】
《実施例1》
表1のコンクリート配合(イ)に対して、表3、4のセメント分散剤を用いた場合の分散性、分散保持性、粘性、ノロ量及び管内壁状態を評価した。結果を表5に示す。
【0061】
【表5】
【0062】
・測定不能:モルタルが装置から流下しなかったため。
【0063】
《実施例2》
表1のコンクリート配合(イ)又は(ロ)に対して、コンクリートの混練直後のスランプ値(JIS-A 1101法による)が表6に示す数値となるように表3、4のセメント分散剤に用いた場合の分散保持性、粘性、ノロ量、管内壁状態及びブリージングを評価した。結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
・ナフタレンスルホン酸共縮合物系分散剤:マイテイ150(花王株式会社製)
【0066】
【発明の効果】
実施例1から、本発明に係るセメント分散剤が、ヒューム管用コンクリートの製造に好ましいことがわかる。また、実施例2から、本発明に係るセメント分散剤を使用した場合に、管内壁状態の良好なヒューム管が製造できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で流下時間の測定に用いた装置を示す概略図
【符号の説明】
1…上部投入開口
2…下部排出開口
Claims (8)
- 下記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a)と、下記一般式(2-1)で示される単量体及び下記一般式(2-2)で示される単量体から選ばれる単量体(b)とを構成単位として含む第1の共重合体と、前記(a)と(b)とを構成単位として含む第1の共重合体とは異なる第2の共重合体とを含有し、
第1の共重合体における(a)と(b)の合計に対する(b)のモル%(XA)と第2の共重合体における(a)と(b)の合計に対する(b)のモル%(XB)の差が15以上であり、
XAが65〜75モル%であり、
第1の共重合体と第2の共重合体との重量比が、第1の共重合体/第2の共重合体=35/65〜65/35であり、
第1の共重合体及び第2の共重合体の何れにおいても、構成単量体中の(a)と(b)の合計量が100重量%であり、
第1の共重合体及び第2の共重合体の何れにおいても、(b)が、下記一般式(2-1)で示される単量体、又は下記一般式(2-1)で示される単量体及び下記一般式(2-2)で示される単量体である、
セメント分散剤。
R11、R12:水素原子又は-CH3
R13:水素原子又は-COO(AO)nX11
X11:炭素数1のアルキル基
AO:エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基
n:平均付加モル数であり5〜50の数
p:0〜2の数
を示す。〕
R21、R22、R23:同一でも異なっていても良く、水素原子、-CH3又は-(CH2)rCOOM22であり、-CH3又は-(CH2)rCOOM22はCOOM21又は他の-(CH2)rCOOM22と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM21、M22は存在しない。
M21,M22:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
r:0〜2の数
を示す。〕
R31:水素原子又は-CH3
Z:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
を示す。〕 - 単量体(b)が一般式(2-1)で示される単量体である請求項1のセメント分散剤。
- 遠心力成形用コンクリートに用いられる請求項1又は2記載のセメント分散剤。
- 第1の共重合体及び第2の共重合体の少なくとも一方のnが15以上である請求項1〜3の何れか1項記載のセメント分散剤。
- 第1の共重合体及び第2の共重合体の一方のnが15以上であり、他方のnが25以上である請求項1〜4の何れか1項記載のセメント分散剤。
- 第1の共重合体のn(以下、n1と表記する)と第2の共重合体のn(以下、n2と表記する)の差が、|n1−n2|≧2である請求項1〜5の何れか1項記載のセメント分散剤。
- 請求項1〜6の何れか1項記載のセメント分散剤を含有する遠心力成形用コンクリート。
- 初期スランプ値が5cm以上である請求項7記載の遠心力成形用コンクリート。
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