JP4289023B2 - Thermochromic material and thermochromic film or thermochromic glass using the same - Google Patents

Thermochromic material and thermochromic film or thermochromic glass using the same Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境温度によって自動的に赤外線透過量が調節できるサーモクロミック材料に関し、さらに建築物や自動車の窓等に用いることができるサーモクロミックフィルムやサーモクロミックガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物や自動車の窓ガラスを通して室内に照射される太陽光(熱線)を遮断することにより、室内の温度上昇を抑制して冷房効率を高めることが求められている。
太陽光、特に熱線(赤外線)を遮蔽する方法として、透明フィルム表面にアルミニウム、銀、金等の金属膜を蒸着等で形成した熱線反射フィルムを窓に貼付する方法(例えば特許文献1、特許文献2参照)、赤外線遮蔽剤を含有する赤外線遮蔽層を設けた赤外線遮蔽フィルム(例えば特許文献3、特許文献4参照)、酸化インジウムドープ酸化錫(ITO)粉末をバインダー樹脂に含有させた層をポリエステルフィルム上に形成させたもの(例えば特許文献5参照)、アンチモンドープ酸化錫層をガラス基板上に形成させる方法(例えば特許文献6参照)等がある。これらの方法は、室内温度が快適な温度以上になる場合は効果的であるが、冬場や朝夕の室内温度が快適な温度以下で赤外線を取り入れたい場合でも赤外線を遮蔽してしまうという欠点が指摘されている。
【0003】
温度の変化によって透過率や反射率等の光学特性が可逆的に変化することをサーモクロミック現象と言う。
このサーモクロミック現象を有する材料として幾つかの遷移金属酸化物が知られていて、特に、二酸化バナジウムは高いサーモクロミック特性を示すことが知られている。二酸化バナジウムの結晶は、約68℃で可逆的に半導体−金属相転移が発生する。相転移温度以下では半導体相を示すが、相転移温度以上では金属相に転移し、赤外線透過率が大幅に変化する。この透過率が変化する波長はおよそ800nm以上であり、それ以下の波長の透過率はほとんど変化しない。よって、相転移温度の上下で可視光透過率はほとんど変化しない特徴がある。
【0004】
二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部を他の金属原子(W、Mo、Nb、Ta、Re等)で置換することにより、相転移温度を変えことができることが知られている。
バナジウムターゲットとタングステンターゲット、あるいはバナジウムターゲットとモリブデンターゲットを反応性二元同時スパッタすることによってサーモクロミック材料を作製する方法が提案されている(例えば特許文献7、特許文献8参照)。しかし、これらの方法では、大面積化が困難で、高コストである。さらに製造に数100℃の加熱が必要なためガラス等の耐熱性を有する基材にしか使えないという問題がある。
【0005】
また、バナジウム、あるいはバナジウムとタングステンとを溶解させた過酸化水素水を基板上にスピンコーティングした後、数100℃で還元焼成する方法も提案されている(例えば非特許文献1参照)。この方法も、大面積化が困難で、製造に数100℃の加熱が必要なため、ガラス等の耐熱性を有する基材にしか使えないという問題がある。
【0006】
さらに、赤外線を遮蔽する別の機構を用いた材料も提案されている。透明導電膜を配した一対のガラス基板の間に液晶物質を保持させたもので、電源をオンにすることにより液晶が配向し透明性が向上し、一方、電源をオフにすることにより配向していた液晶が元の状態に戻り透明性が低下するものである(例えば特許文献9参照)。この方法は、電力を必要とすること、環境温度によって自動的には透明性が変化せず、操作が必要なこと、赤外線のみでなく可視光透過率も下がるといった問題がある。
【0007】
○先行文献
【特許文献1】
特開昭57−59748号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平57−59749号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平7−100996号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平8−281860号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】
特開平11−305033号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】
特開平3−103341号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開平7−331430号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】
特開平8−3546号公報(特許請求の範囲)
【特許文献9】
特開平8−286192号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】
Ikuya Takahashi et.al., Jpn. J. Appl. Pyhs., 35, 438(1996)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、赤外線に対するサーモクロミック特性が高く、且つ可視光領域の透明性が高いサーモクロミック材料を提供することを第一の課題とし、そのサーモクロミック材料を用いたサーモクロミックフィルムおよびサーモクロミックガラスを提供することを第2の課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、無機質微粒子に、二酸化バナジウムを、あるいは二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ、およびタンタルから選ばれる少なくとも1種以上の原子で置換した二酸化バナジウム(金属置換二酸化バナジウムという。二酸化バナジウムと金属置換二酸化バナジウムとをあわせて二酸化バナジウム等という)を、担持させたもの(サーモクロミック材料という)が、赤外線に対するサーモクロミック特性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。また、サーモクロミック材料をフィルム等に含有させたものが、赤外線に対するサーモクロミック特性が高く、且つ可視光領域における透明性が高いことも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のサーモクロミック材料を樹脂に添加したものは、良好な可視光透明性とサーモクロミック機能を発現できることがわかった。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
○無機質微粒子
本発明に用いる無機質微粒子は、サーモクロミック材料の担持体であり、これをフィルム等に添加した際に透明性を確保出来れば、無機質微粒子の素材は特に限定されない。具体的には、酸化ケイ素、シリカゲル、酸化チタン、ガラス、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類化合物の焼成物、および炭酸カルシウム等が無機質微粒子として挙げられる。これらの中で、酸化ケイ素、シリカゲル、酸化チタン、およびガラスが無機質微粒子として好ましい。
酸化ケイ素およびシリカゲルは市販のものを用いてもよいし、テトラエトキシシランのようなアルコキシシランを酸、アルカリ、または水等を用いて加水分解したり、ケイ酸アルカリ金属塩を酸で加水分解して合成してもよい。
フィルム用樹脂との屈折率を任意に合せることが出来るガラスも無機質微粒子として好ましいものである。このガラスとして、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸ガラス、および石英ガラス等が挙げられるが、特に限定されない。即ち、フィルム用樹脂の屈折率に合わせて、ガラス組成は任意に調整すればよい。酸化チタンも無機質微粒子として好ましいものであり、特にルチル型が好ましい。即ち、ルチル型酸化チタン表面に二酸化バナジウム等がエピタキシャル成長して特性が良好な二酸化バナジウム等を強固に担持できる可能性があるためである。
【0012】
本発明に用いる無機質微粒子の粒径であるが、フィルム等に添加した際、高い可視光領域の透明性を得るため、無機質微粒子の平均粒径は0.2μm以下が好ましく、5nm以上が好ましい。ただし、サーモクロミック材料とフィルム等との屈折率を合せることによっても、透明性を維持できるため、無機質微粒子が必ずしも0.2μm以下である必要はない。
【0013】
○二酸化バナジウム等
二酸化バナジウムは様々な結晶相が存在するが、単斜晶結晶と正方晶結晶(ルチル型)が可逆的に相転移する。その相転移温度は約68℃のため、用途によってはそのまま使える。
また、建築物や自動車等の窓に使用することを考えた場合、対象物における最適な温度と不適な温度との境界領域に相転移温度を設定することが好ましい。この場合、二酸化バナジウム中のバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ、およびタンタル等から選ばれる少なくとも1種以上の原子で置換したもの(金属置換二酸化バナジウム)により相転移温度を目的とする温度に調節することができる。更に、二酸化バナジウム中のバナジウム原子の一部をタングステンおよびモリブデンから選ばれる少なくとも1種以上の原子で置換することが好ましい。
これらの金属原子の置換率は、10原子%以下が好ましく、0.5原子%以上が好ましい。更に好ましくは1〜8原子%であり、特に好ましくは、1.5〜7原子%である。
【0014】
○サーモクロミック材料の製造方法
二酸化バナジウム等を無機質微粒子に担持できれば、サーモクロミック材料の製造方法は特に限定されない。気化させた二酸化バナジウム等やその前駆体を無機質微粒子に析出させる気相法や、無機質微粒子に乾式あるいは湿式で二酸化バナジウム等やその前駆物質を付着させる固相法でも製造は可能である。しかし、二酸化バナジウム等の前駆物質を溶解させた溶液中に、無機質微粒子を添加し、これに二酸化バナジウム等あるいはその前駆物質を析出させる方法が好ましい。
【0015】
二酸化バナジウム等を作製する溶液として、塩化バナジウム水溶液、オキシ二塩化バナジウムの塩酸溶液、オキシ蓚酸バナジウム水溶液、オキシ硫酸バナジウムの硫酸溶液、酸化バナジウムの過酸化水素溶液、およびバナジウムエトキシド等のバナジウムアルコシドのアルコール溶液等が例示できる。そして、このような溶液を用いて無機質微粒子に担持させても良く、当該溶液と、タングステン含有溶液、モリブデン含有溶液、ニオブ含有溶液、および/またはタンタル含有溶液等との混合液を用いて無機質微粒子に担持させても良い。タングステン、モリブデン、ニオブ、およびタンタル等を含有する溶液としては、モリブデン酸アンモニウム水溶液、蓚酸モリブデン水溶液、酸化モリブデンの過酸化水素溶液、モリブデンペンタエトキシド等のモリブデンアルコシドのアルコール溶液、タングステン酸アンモニウム水溶液、蓚酸タングステン水溶液、酸化タングステンの過酸化水素溶液、およびタングステンエトキシド等のタングステンアルコシドのアルコール溶液等が例示できる。
【0016】
具体的なサーモクロミック材料の製造方法として、バナジウムエトキシドのみで、またはこれと、モリブデンエトキシドおよび/またはタングステンエトキシドとを所定量含有するエタノール溶液に、無機質微粒子を添加し、次に水およびアルカリを添加して加水分解させ、無機質微粒子表面にバナジウムのみ、またはバナジウムとモリブデンおよび/またはタングステンとを含有した水酸化物を析出させ、これを加熱して結晶化させる方法がある。前駆物質として、5価のバナジウム化合物を用いた場合には、水素や窒素気流中で焼成するなどして、4価に還元処理することができる。
また、蓚酸バナジウムのみで、またはこれと、蓚酸モリブデンおよび/または蓚酸タングステンとを所定量含有する水溶液に、無機質微粒子を添加し、次にアルカリを添加して加水分解させ、無機質微粒子表面にバナジウムのみ、またはバナジウムとモリブデンおよび/またはタングステンとを含有した水酸化物を析出させ、これを加熱して結晶化させる方法が例示できる。
また、酸化バナジウムのみで、またはこれと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンとを所定量含有する過酸化水素水溶液に、無機質微粒子を添加し、アルカリを添加して加水分解させ、無機質微粒子表面にバナジウムのみ、またはバナジウムとモリブデンおよび/またはタングステンとを含有した水酸化物を析出させ、これを加熱して結晶化させる方法もある。
【0017】
二酸化バナジウム等の担持量であるが、二酸化バナジウム等を担持させた無機質微粒子全質量に対して、0.1%から50%が好ましく、1%から30%がさらに好ましい。0.1%未満ではサーモクロミック効果が不十分な場合があり、一方、50%より多くしてもサーモクロミック効果の向上が期待できず、また透明性が低下することがある。
【0018】
二酸化バナジウム等を担持させた無機質微粒子を製造するとき、担持後300〜700℃で加熱処理することが好ましく、更に好ましくは350〜600℃であり、特に好ましくは350〜500℃である。また、二酸化バナジウム等を担持させた無機質微粒子中の5価のバナジウムを4価に還元処理することも好ましい。この場合、例えば水素雰囲気下または水素気流中(例えば5%水素含有アルゴンガス)、300〜700℃で加熱処理することが好ましく、更に好ましくは350〜600℃であり、特に好ましくは350〜500℃である。なお、加熱時間により加熱温度を調節することもできる。
【0019】
○保護層
二酸化バナジウム等のバナジウムは4価であるため、空気中で5価に酸化する恐れがある。よって、この酸化を抑制するため、二酸化バナジウム等を担持させた無機質微粒子の表面に保護層を設けることもできる。
保護層としては、シランカップリング剤で表面処理する方法、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシド等の金属のエトキシドや、硫酸チタニルや塩化アルミニウム等の金属の塩を表面に付着させた後、加水分解することにより酸化物層や水酸化物層を形成させ方法等が挙げられる。そして、これを乾燥させるとき、60〜150℃に加熱しても良く、80〜120℃に加熱しても良い。
【0020】
本発明のサーモクロミック材料は、二酸化バナジウムおよび/または金属置換二酸化バナジウムを無機質微粒子に担持したものであり、好ましくは金属置換二酸化バナジウムを無機質微粒子に担持したものであり、更に好ましくは二酸化バナジウムおよび/または金属置換二酸化バナジウムを無機質微粒子に担持したものに保護層を設けたものであり、特に好ましくは金属置換二酸化バナジウムを無機質微粒子に担持したものに保護層を設けたものである。
【0021】
○サーモクロミックフィルム
本発明のサーモクロミック材料をフィルムに添加することによりサーモクロミックフィルムを作製することができる。ここでいうフィルムとは、ガラスに貼り付けたり、ガラスに挟み込むことに用いられる膜厚の薄いものも、あるいはそれ自身がある程度の強度を有するいわゆるシート状や板状のものも含む。シート状や板状とは、例えば0.1mm程度のものから1cm程度のものである。
【0022】
本発明のサーモクロミックフィルムを作製するときに用いる樹脂としては、フィルムに形成できるものであれば、天然樹脂、半合成樹脂、および合成樹脂のいずれであってもよく、また熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。具体的な樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、およびフェノール樹脂等がある。
【0023】
サーモクロミック材料の使用量は、樹脂の種類、厚さ、および用途等により異なるが、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。0.5質量部未満では、サーモクロミック効果が不十分になることがあり、30質量部を超えると可視光透過率の低下することがある。
【0024】
サーモクロミック材料は、樹脂と混合、混練し、常法によりフィルム化することができる。例えば、インフレーション加工、カレンダー加工、またはTダイ加工を用いることができる。
さらに、フィルムの片面または両面に樹脂層を設けて多層フィルムとすることができる。サーモクロミック材料はどの層に入れてもかまわない。多層フィルムは常法により、例えば、ドライラミネーション、ヒートラミネーション、インフレーション共押し出しにより作製することが出来る。また、樹脂にサーモクロミック材料を添加し塗工することも出来る。塗工方法として、ブレードコーティング、グラビアコーティング、ロッドコーティング、ナイフコーティング、リバースロールコーティング、キスコティング、スプレーコティング、オフセットグラビアコーティング、ディップコート、バーコート、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、エアナイフコーティング、マイヤーバーコーティング、およびスプレーコーティング等を用いることができる。
【0025】
必要に応じ、可塑剤、滑剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、熱安定剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、分散剤、および/または表面改質剤等を配合することもできる。
【0026】
○サーモクロミックガラス
本発明のサーモクロミックフィルムを、ガラスに貼り付けること、あるいは、複数のガラスの間に挟み込むことにより、サーモクロミックガラスを得ることができる。また、ガラスとアクリル板のような透明な樹脂板またはフィルムとの間に挟み込んでもよい。また、透明な樹脂板に貼り付けまたは複数の透明な樹脂板の間に挟み込んでもよい。また、本発明のサーモクロミック材料をガラスに塗付しても良く、ガラス表面に本発明のサーモクロミック材料を形成させても良い。この場合、ガラス上のサーモクロミック材料を保護するために保護フィルムのようなものを用いても良い。
【0027】
○用途
本発明のサーモクロミック材料は、建築物や自動車の窓に用いることができる。その他にも、装飾用のディスプレー、農業用シート、およびテントやタープといったアウトドア用品、さらには野外用のウェア等にも用いることができる。
【0028】
○実施態様
無機質微粒子の表面に、二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ、およびタンタルから選ばれる少なくとも1種以上の原子で置換した二酸化バナジウムを担持させたことを特徴とするサーモクロミック材料。
無機質微粒子の表面に、二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ、およびタンタルから選ばれる少なくとも1種以上の原子で置換した二酸化バナジウムを担持させたものに、保護層を設けたことを特徴とするサーモクロミック材料。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0030】
<実施例1>
エタノール510ml、イオン交換水42ml、28%アンモニア水溶液5ml、およびテトラエトキシシラン(TEOS)42mlを混合し室温で72時間攪拌することによりシリカゲル微粒子分散液を得た。このシリカゲル微粒子の電子顕微鏡観察の結果、一次粒子径は約50nmであった。このシリカゲル微粒子分散液に1−ブタノール570mlを添加し、110℃で蒸留することにより溶媒置換を行なった。このシリカゲル微粒子分散液にバナジルイソプロポキシド13.7gをイソプロパノール130mlに溶解したものを添加した。そして1時間攪拌後、溶媒を除去した。残渣を解砕後、400℃で2時間焼成し、引き続き水素気流中で450℃で2時間焼成することによりサーモクロミック材料(TM1)を得た。
【0031】
<実施例2>
バナジルイソプロポキシドのイソプロパノール溶液にモリブデンペンタエトキシド0.73gを加えた以外は実施例1と同様に行ない、サーモクロミック材料(TM2)を得た。
【0032】
<実施例3>
バナジルイソプロポキシドのイソプロパノール溶液にタングステンペンタイソプロポキシド0.54gを加えた以外は実施例1と同様に行ない、サーモクロミック材料(TM3)を得た。
【0033】
<実施例4>
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコンーン製KBM−403)0.1gを水を5%含むエタノールに溶解し、実施例2で得た5gのTM2と混合した。窒素気流中で100℃で乾燥し、保護層を設けたサーモクロミック材料(TM4)を得た。
【0034】
<実施例5>
硫酸チタニル23.0gをイオン交換水500mlに溶解し、引き続き尿素を43g添加し、80℃の温度で、2時間攪拌した。放冷後、1夜攪拌後、ろ過、洗浄した。洗浄したケーキをイオン交換水250mlに再分散させ水酸化チタン分散液を得た。この水酸化チタンの電子顕微鏡観察の結果、一次粒子径は約40nmであった。
オキシ二塩化バナジウム7.8gをイオン交換水130mlに溶解し、この溶液を水酸化チタン分散液に添加した。そして1時間攪拌後、溶媒を除去した。残渣を粉砕後、400℃で2時間焼成し、引き続き水素気流中で450℃で2時間焼成することによりサーモクロミック材料(TM5)を得た。
【0036】
<比較例1>
バナジルイソプロポキシド45.7gをイソプロパノール450mlに溶解し、この溶液をイオン交換水3000mlに添加した。そして1夜攪拌後、溶媒を除去した。
残渣を粉砕後、粉砕後、400℃で2時間焼成し、引き続き水素気流中で450℃で2時間焼成することによりサーモクロミック材料(TR1)を得た。
【0037】
<実施例7−1、および比較例2>
実施例1−、および比較例1で得たサーモクロミック材料(TM1〜、TR1)を、下記組成で混合後、Tダイ法により、厚さ50μmのサーモクロミックフィルムを得た。
・サーモクロミック材料 3部
・ポリエスル樹脂”EASTAR”Copolyester6763(イーストマンケミカル社製) 97部
得られたフィルムの20℃および40℃における可視光透過率(550nm)、20℃および40℃における赤外線透過率(2500nm)、を測定した。ただし、実施例7及び比較例1においては、40℃でなく75℃で測定した。その結果を表1に示した。また、測定温度を変えて2500nmにおける赤外線透過率(IR透過率)を測定し、相転移温度を求めた。その結果を表2に示した。
【0038】
【表1】

Figure 0004289023
【0039】
【表2】
Figure 0004289023
【0040】
<実施例13、および比較例3>
実施例2、および比較例1で得たサーモクロミック材料を、紫外線硬化型樹脂に下記組成で配合した。
・サーモクロミック材料 11質量部
・紫外線硬化型樹脂 アロニックスUV−3701(東亞合成(株)製)
44質量部
・メチルイソブチルケトン 45質量部
これを、厚さ50μmのポリエステルフィルム(ユニチカ(株)製コンブレットMS)に、硬化後の厚さが1.5μmとなるようにバーコティング法で塗布し、乾燥、UV照射することにより、サーモクロミックフィルムを得た。
得られたフィルムの20℃および40℃における可視光透過率(550nm)、20℃および40℃における赤外線透過率(2000nm)、を測定した。その結果を表3に示した。
【0041】
【表3】
Figure 0004289023
【0042】
<実施例14、15および比較例4>
実施例9で作製したフィルムをソーダガラス板2枚の間に挟み込みサーモクロミックガラスを得た(実施例14)。また、実施例7で作製したフィルムの片面にアクリル系粘着剤を塗布してガラス板に貼り付けることによりサーモクロミックガラスを得た(実施例15)。サーモクロミック材料を添加していないポリエステルフィルムを実施例17と同様にガラス板に挟み込んだものを比較例4とした。実施例13と同様に評価し、結果を表4に示した。
【0043】
【表4】
Figure 0004289023
【0044】
【発明の効果】
本発明のサーモクロミック材料は、フィルム等に添加した際、可視光における透明性が高く、且つ設定温度以上で赤外線の透過率を制御できる材料である。よって、建築物や自動車等の窓に用いた場合、従来品のように可視光領域の透明性を低下させることなく、また、赤外線を取り入れたい設定温域では赤外線を制御することなく、設定温域を超えた場合で赤外線を遮断することができる。このことから本発明のサーモクロミック材料は、効果的に環境負荷を低減できるスマート材料である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a thermochromic material in which the amount of infrared transmission can be automatically adjusted according to the environmental temperature, and further relates to a thermochromic film and a thermochromic glass that can be used for windows of buildings and automobiles.
[0002]
[Prior art]
It is required to increase the cooling efficiency by suppressing the temperature rise in the room by blocking the sunlight (heat rays) irradiated into the room through the window glass of a building or automobile.
As a method of shielding sunlight, particularly heat rays (infrared rays), a method of sticking a heat ray reflective film formed by vapor deposition of a metal film such as aluminum, silver or gold on the surface of a transparent film (for example, Patent Document 1, Patent Document) 2), an infrared shielding film provided with an infrared shielding layer containing an infrared shielding agent (see, for example, Patent Document 3 and Patent Document 4), a layer containing indium oxide-doped tin oxide (ITO) powder in a binder resin, polyester. There are those formed on a film (for example, see Patent Document 5) and methods for forming an antimony-doped tin oxide layer on a glass substrate (for example, see Patent Document 6). These methods are effective when the room temperature is higher than the comfortable temperature, but the drawback is that the infrared ray is shielded even if the room temperature in winter and morning and evening is less than the comfortable temperature and you want to incorporate infrared rays. Has been.
[0003]
The thermochromic phenomenon is a reversible change in optical properties such as transmittance and reflectance due to a change in temperature.
Several transition metal oxides are known as materials having the thermochromic phenomenon. In particular, vanadium dioxide is known to exhibit high thermochromic properties. The crystal of vanadium dioxide reversibly undergoes a semiconductor-metal phase transition at about 68 ° C. Below the phase transition temperature, it shows a semiconductor phase, but above the phase transition temperature, it transitions to a metal phase and the infrared transmittance changes significantly. The wavelength at which the transmittance changes is approximately 800 nm or more, and the transmittance at wavelengths shorter than that is hardly changed. Therefore, there is a feature that the visible light transmittance hardly changes above and below the phase transition temperature.
[0004]
It is known that the phase transition temperature can be changed by substituting some of the vanadium atoms of vanadium dioxide with other metal atoms (W, Mo, Nb, Ta, Re, etc.).
There has been proposed a method of producing a thermochromic material by reactive dual sputtering of a vanadium target and a tungsten target or a vanadium target and a molybdenum target (see, for example, Patent Document 7 and Patent Document 8). However, these methods are difficult to increase the area and are expensive. Furthermore, since heating at several hundreds of degrees Celsius is required for production, there is a problem that it can be used only for heat-resistant substrates such as glass.
[0005]
Also proposed is a method in which vanadium or hydrogen peroxide solution in which vanadium and tungsten are dissolved is spin-coated on a substrate, followed by reduction firing at several 100 ° C. (see, for example, Non-Patent Document 1). This method also has a problem that it is difficult to increase the area, and heating at several hundreds of degrees Celsius is necessary for manufacturing, and therefore it can be used only for heat-resistant substrates such as glass.
[0006]
Furthermore, materials using another mechanism for shielding infrared rays have been proposed. A liquid crystal substance is held between a pair of glass substrates provided with a transparent conductive film. When the power is turned on, the liquid crystal is aligned and the transparency is improved. On the other hand, the liquid crystal material is aligned when the power is turned off. The liquid crystal that has been returned to its original state is reduced in transparency (see, for example, Patent Document 9). This method has problems that it requires electric power, transparency does not change automatically depending on environmental temperature, operation is required, and not only infrared rays but also visible light transmittance is lowered.
[0007]
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[Non-Patent Document 1]
Ikuya Takahashi et.al., Jpn. J. Appl. Pyhs., 35 , 438 (1996)
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
It is a first object of the present invention to provide a thermochromic material having high thermochromic characteristics with respect to infrared rays and having high transparency in the visible light region. A thermochromic film and a thermochromic glass using the thermochromic material are provided. Providing is a second problem.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above problems, the present inventors have found that at least one kind selected from tungsten, molybdenum, niobium, and tantalum is used as the inorganic fine particles, vanadium dioxide, or a part of vanadium atoms of vanadium dioxide. The vanadium dioxide substituted with the above atoms (referred to as metal-substituted vanadium dioxide; vanadium dioxide and metal-substituted vanadium dioxide together referred to as vanadium dioxide, etc.) supported (referred to as thermochromic material) has thermochromic properties against infrared rays. As a result, the present invention has been completed. Further, the inventors have found that a thermochromic material contained in a film or the like has high thermochromic properties with respect to infrared rays and high transparency in the visible light region, and have completed the present invention.
That is, it turned out that what added the thermochromic material of this invention to resin can express favorable visible-light transparency and a thermochromic function.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0011]
Inorganic fine particles The inorganic fine particles used in the present invention are a carrier of a thermochromic material, and the material of the inorganic fine particles is not particularly limited as long as transparency can be secured when added to a film or the like. Specifically, silicon oxide, silica gel, titanium oxide, glass, zinc oxide, zinc hydroxide, aluminum oxide, aluminum hydroxide, titanium hydroxide, zirconium oxide, zirconium hydroxide, zirconium phosphate, hydrotalcite compounds, Examples of the inorganic fine particles include calcined hydrotalcite compounds, calcium carbonate, and the like. Among these, silicon oxide, silica gel, titanium oxide, and glass are preferable as the inorganic fine particles.
Commercially available silicon oxide and silica gel may be used, or an alkoxysilane such as tetraethoxysilane may be hydrolyzed with an acid, alkali, or water, or an alkali metal silicate salt may be hydrolyzed with an acid. May be synthesized.
Glass capable of arbitrarily matching the refractive index with the resin for film is also preferable as the inorganic fine particles. Examples of the glass include soda glass, borosilicate glass, phosphate glass, and quartz glass, but are not particularly limited. That is, the glass composition may be arbitrarily adjusted in accordance with the refractive index of the film resin. Titanium oxide is also preferable as the inorganic fine particles, and the rutile type is particularly preferable. That is, there is a possibility that vanadium dioxide or the like is epitaxially grown on the surface of the rutile type titanium oxide and can firmly support vanadium dioxide or the like having good characteristics.
[0012]
Although it is the particle size of the inorganic fine particles used in the present invention, the average particle size of the inorganic fine particles is preferably 0.2 μm or less, and more preferably 5 nm or more in order to obtain high transparency in the visible light region when added to a film or the like. However, since the transparency can be maintained by combining the refractive indexes of the thermochromic material and the film, the inorganic fine particles are not necessarily 0.2 μm or less.
[0013]
○ Vanadium dioxide such as vanadium dioxide has various crystal phases, but monoclinic crystal and tetragonal crystal (rutile type) reversibly undergo phase transition. Since its phase transition temperature is about 68 ° C., it can be used as it is depending on the application.
In consideration of use in windows of buildings and automobiles, it is preferable to set the phase transition temperature in the boundary region between the optimum temperature and the inappropriate temperature of the object. In this case, the target temperature of the phase transition temperature is obtained by replacing a part of vanadium atoms in vanadium dioxide with at least one atom selected from tungsten, molybdenum, niobium, tantalum and the like (metal-substituted vanadium dioxide). Can be adjusted to. Furthermore, it is preferable to substitute a part of vanadium atoms in vanadium dioxide with at least one atom selected from tungsten and molybdenum.
The substitution rate of these metal atoms is preferably 10 atomic% or less, and more preferably 0.5 atomic% or more. More preferably, it is 1-8 atomic%, Most preferably, it is 1.5-7 atomic%.
[0014]
○ Method for producing thermochromic material The method for producing the thermochromic material is not particularly limited as long as vanadium dioxide or the like can be supported on the inorganic fine particles. Manufacture is also possible by a vapor phase method in which vaporized vanadium dioxide or the like or a precursor thereof is deposited on inorganic fine particles, or a solid phase method in which vanadium dioxide or the like or a precursor thereof is attached to inorganic fine particles in a dry or wet manner. However, a method is preferred in which inorganic fine particles are added to a solution in which a precursor such as vanadium dioxide is dissolved, and vanadium dioxide or the like or a precursor thereof is precipitated.
[0015]
Examples of solutions for producing vanadium dioxide include vanadium chloride aqueous solution, vanadium oxydichloride hydrochloric acid solution, vanadium oxyoxalate aqueous solution, vanadium oxysulfate sulfuric acid solution, vanadium oxide hydrogen peroxide solution, and vanadium alkoxides such as vanadium ethoxide Examples of the alcohol solution are as follows. Then, such a solution may be used to support the inorganic fine particles, and the inorganic fine particles using a mixed solution of the solution and a tungsten-containing solution, a molybdenum-containing solution, a niobium-containing solution, and / or a tantalum-containing solution. You may make it carry on. Examples of solutions containing tungsten, molybdenum, niobium, tantalum, etc. include ammonium molybdate aqueous solution, molybdenum oxalate aqueous solution, molybdenum oxide hydrogen peroxide solution, molybdenum alcoholside alcohol solution such as molybdenum pentaethoxide, ammonium tungstate aqueous solution. Examples thereof include an aqueous solution of tungsten oxalate, a hydrogen peroxide solution of tungsten oxide, and an alcohol solution of tungsten alkoxide such as tungsten ethoxide.
[0016]
As a specific method for producing a thermochromic material, inorganic fine particles are added only to vanadium ethoxide or an ethanol solution containing a predetermined amount of molybdenum ethoxide and / or tungsten ethoxide, and then water and There is a method of hydrolyzing by adding an alkali to precipitate only vanadium or a hydroxide containing vanadium and molybdenum and / or tungsten on the surface of the inorganic fine particles, and heating this to crystallize. When a pentavalent vanadium compound is used as a precursor, it can be reduced to tetravalent by baking in a hydrogen or nitrogen stream.
In addition, inorganic fine particles are added to an aqueous solution containing a predetermined amount of vanadium oxalate alone and molybdenum oxalate and / or tungsten oxalate, and then hydrolyzed by adding alkali, and only vanadium is present on the surface of the inorganic fine particles. Or a method in which a hydroxide containing vanadium and molybdenum and / or tungsten is deposited and heated to crystallize.
In addition, inorganic fine particles are added to a hydrogen peroxide aqueous solution containing a predetermined amount of vanadium oxide alone and molybdenum oxide and / or tungsten oxide, and alkali is added to cause hydrolysis, so that vanadium is formed on the surfaces of the inorganic fine particles. Alternatively, there is a method in which a hydroxide containing vanadium and molybdenum and / or tungsten is precipitated and crystallized by heating.
[0017]
The supported amount of vanadium dioxide or the like is preferably 0.1% to 50%, more preferably 1% to 30%, based on the total mass of the inorganic fine particles supporting vanadium dioxide or the like. If it is less than 0.1%, the thermochromic effect may be insufficient. On the other hand, if it exceeds 50%, improvement in the thermochromic effect cannot be expected, and transparency may be lowered.
[0018]
When producing inorganic fine particles carrying vanadium dioxide or the like, it is preferably heat-treated at 300 to 700 ° C. after the carrying, more preferably 350 to 600 ° C., particularly preferably 350 to 500 ° C. It is also preferable to reduce the pentavalent vanadium in the inorganic fine particles supporting vanadium dioxide or the like to tetravalent. In this case, for example, heat treatment is preferably performed at 300 to 700 ° C. in a hydrogen atmosphere or in a hydrogen stream (for example, 5% hydrogen-containing argon gas), more preferably 350 to 600 ° C., and particularly preferably 350 to 500 ° C. It is. In addition, heating temperature can also be adjusted with heating time.
[0019]
○ Protective layer Since vanadium such as vanadium dioxide is tetravalent, it may be oxidized to pentavalent in air. Therefore, in order to suppress this oxidation, a protective layer can be provided on the surface of the inorganic fine particles supporting vanadium dioxide or the like.
As the protective layer, a surface treatment method using a silane coupling agent, a metal ethoxide such as tetraethoxysilane or titanium tetraisopropoxide, or a metal salt such as titanyl sulfate or aluminum chloride is attached to the surface. Examples include a method of forming an oxide layer or a hydroxide layer by decomposing. And when drying this, you may heat to 60-150 degreeC, and may heat to 80-120 degreeC.
[0020]
The thermochromic material of the present invention is one in which vanadium dioxide and / or metal-substituted vanadium dioxide is supported on inorganic fine particles, preferably metal-substituted vanadium dioxide is supported on inorganic fine particles, and more preferably vanadium dioxide and / or Alternatively, a protective layer is provided on a metal-substituted vanadium dioxide supported on inorganic fine particles, and a protective layer is preferably provided on a metal-substituted vanadium dioxide supported on inorganic fine particles.
[0021]
-Thermochromic film A thermochromic film can be produced by adding the thermochromic material of the present invention to a film. The term “film” as used herein includes a thin film used for attaching to glass or sandwiching between glass, or a so-called sheet or plate having a certain degree of strength. The sheet shape or plate shape is, for example, from about 0.1 mm to about 1 cm.
[0022]
The resin used when producing the thermochromic film of the present invention may be any of natural resin, semi-synthetic resin, and synthetic resin as long as it can be formed into a film, and is also thermoplastic resin and thermosetting. Any of the functional resins may be used. Specific resins include, for example, polyolefin resin, vinyl chloride resin, ABS resin, nylon resin, polyester, polyvinylidene chloride, polyamide, polystyrene, polyacetal, polycarbonate, acrylic resin, fluororesin, melamine resin, urea resin, unsaturated polyester. There are resin, epoxy resin, urethane resin, phenol resin, and the like.
[0023]
The amount of the thermochromic material used varies depending on the type, thickness, and application of the resin, but is preferably 0.5 to 30 parts by mass, more preferably 1 to 20 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the resin. . If it is less than 0.5 part by mass, the thermochromic effect may be insufficient, and if it exceeds 30 parts by mass, the visible light transmittance may be reduced.
[0024]
The thermochromic material can be mixed with a resin, kneaded, and formed into a film by a conventional method. For example, inflation processing, calendar processing, or T-die processing can be used.
Furthermore, a resin layer can be provided on one or both sides of the film to form a multilayer film. The thermochromic material can be placed in any layer. The multilayer film can be produced by a conventional method, for example, dry lamination, heat lamination, and inflation coextrusion. Further, a thermochromic material can be added to the resin for coating. As coating methods, blade coating, gravure coating, rod coating, knife coating, reverse roll coating, kisscoating, spray coating, offset gravure coating, dip coating, bar coating, gravure roll coating, reverse roll coating, air knife coating, Meyer Bar coating, spray coating, and the like can be used.
[0025]
Plasticizers, lubricants, light stabilizers, antioxidants, antistatic agents, antifogging agents, heat stabilizers, antiblocking agents, surfactants, UV absorbers, dispersants, and / or surface modifications as needed An agent or the like can also be blended.
[0026]
-Thermochromic glass A thermochromic glass can be obtained by sticking the thermochromic film of this invention to glass, or inserting | pinching between several glass. Further, it may be sandwiched between a glass and a transparent resin plate or film such as an acrylic plate. Further, it may be attached to a transparent resin plate or sandwiched between a plurality of transparent resin plates. Moreover, the thermochromic material of the present invention may be applied to glass, or the thermochromic material of the present invention may be formed on the glass surface. In this case, a protective film or the like may be used to protect the thermochromic material on the glass.
[0027]
Application The thermochromic material of the present invention can be used for windows of buildings and automobiles. In addition, it can be used for decorative displays, agricultural sheets, outdoor items such as tents and tarps, and outdoor wear.
[0028]
Embodiment A thermo characterized in that vanadium dioxide in which a part of vanadium atoms of vanadium dioxide is substituted with at least one atom selected from tungsten, molybdenum, niobium and tantalum is supported on the surface of inorganic fine particles. Chromic material.
A protective layer is provided on the surface of the inorganic fine particles, on which vanadium dioxide in which a part of vanadium atoms of vanadium dioxide is substituted with at least one atom selected from tungsten, molybdenum, niobium, and tantalum is supported. Thermochromic material characterized by
[0029]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to examples.
[0030]
<Example 1>
A silica gel fine particle dispersion was obtained by mixing 510 ml of ethanol, 42 ml of ion exchange water, 5 ml of 28% ammonia aqueous solution, and 42 ml of tetraethoxysilane (TEOS) and stirring at room temperature for 72 hours. As a result of observing the silica gel fine particles with an electron microscope, the primary particle diameter was about 50 nm. To this silica gel fine particle dispersion, 570 ml of 1-butanol was added, and the solvent was replaced by distillation at 110 ° C. To this silica gel fine particle dispersion, 13.7 g of vanadyl isopropoxide dissolved in 130 ml of isopropanol was added. And after stirring for 1 hour, the solvent was removed. The residue was crushed and then calcined at 400 ° C. for 2 hours, and then calcined in a hydrogen stream at 450 ° C. for 2 hours to obtain a thermochromic material (TM1).
[0031]
<Example 2>
A thermochromic material (TM2) was obtained in the same manner as in Example 1 except that 0.73 g of molybdenum pentaethoxide was added to an isopropanol solution of vanadyl isopropoxide.
[0032]
<Example 3>
A thermochromic material (TM3) was obtained in the same manner as in Example 1 except that 0.54 g of tungsten pentaisopropoxide was added to an isopropanol solution of vanadyl isopropoxide.
[0033]
<Example 4>
0.1 g of 3-glycidoxypropyltrimethoxysilane (KBM-403 manufactured by Shin-Etsu Silicone) was dissolved in ethanol containing 5% of water and mixed with 5 g of TM2 obtained in Example 2. It dried at 100 degreeC in nitrogen stream, and obtained the thermochromic material (TM4) which provided the protective layer.
[0034]
<Example 5>
23.0 g of titanyl sulfate was dissolved in 500 ml of ion-exchanged water, 43 g of urea was subsequently added, and the mixture was stirred at a temperature of 80 ° C. for 2 hours. After allowing to cool, the mixture was stirred overnight and then filtered and washed. The washed cake was redispersed in 250 ml of ion exchange water to obtain a titanium hydroxide dispersion. As a result of electron microscope observation of this titanium hydroxide, the primary particle size was about 40 nm.
7.8 g of vanadium oxydichloride was dissolved in 130 ml of ion exchange water, and this solution was added to the titanium hydroxide dispersion. And after stirring for 1 hour, the solvent was removed. The residue was pulverized and then calcined at 400 ° C. for 2 hours, followed by calcining in a hydrogen stream at 450 ° C. for 2 hours to obtain a thermochromic material (TM5).
[0036]
<Comparative Example 1>
45.7 g of vanadyl isopropoxide was dissolved in 450 ml of isopropanol, and this solution was added to 3000 ml of ion-exchanged water. And after stirring overnight, the solvent was removed.
The residue was pulverized, pulverized, and calcined at 400 ° C. for 2 hours, and then calcined in a hydrogen stream at 450 ° C. for 2 hours to obtain a thermochromic material (TR1).
[0037]
<Example 7-1 1 and Comparative Example 2>
The thermochromic material obtained in Example 1- 5, and Comparative Example 1 (TM1~ 5, TR1), were mixed in the following composition, by T-die method to obtain a thermochromic film having a thickness of 50 [mu] m.
-Thermochromic material 3 parts-Polyester resin "EASTAR" Copolyester 6763 (manufactured by Eastman Chemical) Visible light transmittance (550 nm) at 20 ° C and 40 ° C of the obtained film, infrared transmittance at 20 ° C and 40 ° C (2500 nm) was measured. However, in Example 7 and Comparative Example 1, measurement was performed at 75 ° C. instead of 40 ° C. The results are shown in Table 1. Further, the infrared ray transmittance (IR transmittance) at 2500 nm was measured while changing the measurement temperature, and the phase transition temperature was obtained. The results are shown in Table 2.
[0038]
[Table 1]
Figure 0004289023
[0039]
[Table 2]
Figure 0004289023
[0040]
<Example 13 and Comparative Example 3>
The thermochromic material obtained in Example 2 and Comparative Example 1 was blended in an ultraviolet curable resin with the following composition.
-11 parts by mass of thermochromic material-UV curable resin Aronix UV-3701 (manufactured by Toagosei Co., Ltd.)
44 parts by mass / methyl isobutyl ketone 45 parts by mass This was applied to a 50 μm thick polyester film (comblet MS manufactured by Unitika Co., Ltd.) by a bar coating method so that the thickness after curing was 1.5 μm. Drying and UV irradiation gave a thermochromic film.
The visible light transmittance (550 nm) at 20 ° C. and 40 ° C. and the infrared transmittance (2000 nm) at 20 ° C. and 40 ° C. of the obtained film were measured. The results are shown in Table 3.
[0041]
[Table 3]
Figure 0004289023
[0042]
<Examples 14 and 15 and Comparative Example 4>
The film produced in Example 9 was sandwiched between two soda glass plates to obtain thermochromic glass (Example 14). Moreover, the thermochromic glass was obtained by apply | coating an acrylic adhesive to the single side | surface of the film produced in Example 7, and affixing on a glass plate (Example 15). Comparative Example 4 was obtained by sandwiching a polyester film to which a thermochromic material had not been added in the same manner as in Example 17. Evaluation was performed in the same manner as in Example 13, and the results are shown in Table 4.
[0043]
[Table 4]
Figure 0004289023
[0044]
【The invention's effect】
The thermochromic material of the present invention is a material that, when added to a film or the like, has high transparency in visible light and can control infrared transmittance at a set temperature or higher. Therefore, when used for windows of buildings, automobiles, etc., it does not decrease the transparency of the visible light region as in the conventional product, and in the set temperature range where infrared light is to be taken in, it is possible to control the set temperature without controlling the infrared light. Infrared can be cut off when the range is exceeded. Therefore, the thermochromic material of the present invention is a smart material that can effectively reduce the environmental load.

Claims (6)

平均粒径が0.2μm以下である、シリカゲルまたは水酸化チタンの微粒子に、二酸化バナジウムを、あるいは二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ、およびタンタルから選ばれる少なくとも1種以上の原子で置換した二酸化バナジウムを、担持させたことを特徴とするサーモクロミック材料。 Silica gel or titanium hydroxide fine particles having an average particle size of 0.2 μm or less, vanadium dioxide, or a part of vanadium atoms of vanadium dioxide is at least one selected from tungsten, molybdenum, niobium, and tantalum. A thermochromic material characterized by supporting vanadium dioxide substituted with atoms. タングステン、モリブデン、ニオブ、およびタンタルから選ばれる少なくとも1種以上の原子の置換率が二酸化バナジウムのバナジウム原子に対して10原子%以下の二酸化バナジウムである請求項1に記載のサーモクロミック材料。  2. The thermochromic material according to claim 1, wherein the substitution rate of at least one atom selected from tungsten, molybdenum, niobium, and tantalum is vanadium dioxide of 10 atomic% or less with respect to the vanadium atom of vanadium dioxide. 二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部を置換する原子が、タングステンおよびモリブデンから選ばれる少なくとも1種以上のものである請求項1または2に記載のサーモクロミック材料。The thermochromic material according to claim 1 or 2 , wherein the atom substituting a part of the vanadium atom of vanadium dioxide is at least one selected from tungsten and molybdenum. 請求項1〜3のいずれかに記載のサーモクロミック材料に保護層を設けたことを特徴とするサーモクロミック材料。A thermochromic material, wherein a protective layer is provided on the thermochromic material according to any one of claims 1 to 3 . 請求項1〜4のいずれかに記載のサーモクロミック材料をフィルム中に添加したサーモクロミックフィルム。The thermochromic film which added the thermochromic material in any one of Claims 1-4 in the film. 請求項5に記載のサーモクロミックフィルムをガラスに貼付、あるいは複数のガラスの間に挟みこんだサーモクロミックガラス。The thermochromic glass which stuck the thermochromic film of Claim 5 on glass, or was inserted | pinched between several glass.
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