JP4288542B2 - 合成樹脂製成形品の移送方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、合成樹脂成形品、殊に射出成形された重量のある成形品を移送する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の射出成形品の成形においては、閉じている成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出成形した後、成形金型内で成形品を完全に冷却硬化後に、成形金型を開いて、人手または、ロボットにより成形品を成形金型から取出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の成形装置において、成形品の成形サイクルに占める冷却時間が長く、容量の大きな大形の成形品に関しては、金型の冷却構造が複雑になるとともにその生産能率が上げられないのが、現状である。
この発明は、従来の技術の欠点を改善し、成形金型内である程度硬化した成形品を、成形金型から取出すとともに、この成形品を下流の冷却ステーションに移送するようにし、成形品サイクルに占める冷却時間を短くし、成形品を能率よく成形できるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、特定発明は成形ステーションで合成樹脂製成形品を成形した後、冷却ステーション寄りに退避していたキャリッジを成形ステーションに向けて移動させ、この成形した成形品をキャリッジの天板に設けた成形品載置台で受け取り、この後キャリッジを冷却ステーションに向けて移動し、表面硬化した成形品をこの成形品載置台から冷却ステーションに押出し、後この冷却ステーションで冷却効果済みの成形品をこの冷却ステーション寄りに位置するキャリッジの成形品載置台上に再び移載し、この状態でこの成形品載置台を前記キャリッジの走行方向と平行な軸線周りで反転し、この冷却硬化済みの成形品をこの成形品載置台から搬出することを特徴とする合成樹脂製成形品の移送方法としてある。
【0005】
前記課題を解決するために、関連発明は成形ステーションから下流の冷却ステーションに合成樹脂製成形品を移送する装置において、
成形ステーションと冷却ステーションとの間に延びるガイドレールが配置してあり、
このガイドレールに沿い前記成形ステーションと冷却ステーション間で往復動するキャリッジには、水平な天板が昇降可能に設けてあり、この天板に水平位置と成形品搬出傾斜位置との間で回動可能な成形品載置台が設けてあり、このキャリッジが下流の冷却ステーション寄りに位置する時に、前記成形品載置台上の成形品を下流の冷却ステーションに押し出す押出装置が、前記キャリッジに設けてあると共に、この下流の冷却ステーションにて冷却硬化された成形品が移載された前記成形品載置台を、キャリッジの走行方向と平行で水平な軸線周りに反転しこの成形品をこの成形品載置台から搬出する成形品反転駆動装置が天板に設けられていることを特徴とする合成樹脂成形品移送装置としてある。
【0006】
前記課題を解決するために、この移送装置における前記成形ステーションは、蓋型と受型を有する成形金型を備え、前記下流の冷却ステーションは、成形品冷却装置を備え、
前記ガイドレールは、間隔をおいて受型の両側に相互平行に配列され、各ガイドレールの設置高さは、成形金型の合わせ面より高位にあり、
前記キャリッジは、前記成形金型が開いている状態で成形金型の受型の上方で成形金型の蓋型下方に位置し、この蓋型に保持された成形品が、上昇した前記成形品載置台で受け取られ、
前記成形品冷却装置への前記キャリッジの移動時に、この成形品載置台は成形品とともに下降することを特徴とすることが好ましい。
【0007】
前記課題を解決するために、この移送装置における前記成形品反転駆動装置は、前記冷却ステーションから冷却硬化済みの成形品が前記成形品載置台上に受け渡された状態で、この成形品を水切り装置上に反転し搬出するロータリー式流体圧シリンダ装置としてあることが望ましい。
【0008】
前記課題を解決するために、この移送装置における前記成形品を射出成形品とする場合もある。
【0009】
前記課題を解決するために、この移送装置における前記成形品を、廃棄プラスチックを主成分とする再生品とすることもある。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
この形態は、請求項2、3、4、5記載の代表的な実施の形態である。
図1乃至図9において、Aは、合成樹脂製成形品の一種である射出成形品Pを、成形ステーションBと下流の冷却ステーションCに移送する移送装置を示す。
前記成形ステーションBと冷却ステーションCとの間に、成形金型16の両側に沿いガイドレール10が相互平行に2本配置してあり、
これらガイドレール10に沿い前記成形ステーションBと冷却ステーションC間で流体圧式シリンダ装置(例えば、空気圧伸縮シリンダ装置)11aにより往復動するキャリッジ11には、水平な天板12が昇降可能に設けてあり、この天板12に成形品載置台13が設けてある。このキャリッジ11が下流の冷却ステーションC寄りに位置する時に、前記成形品載置台13上の射出成形品Pを下流の冷却ステーションCに押し出す押出装置14が、前記キャリッジ11に設けてある。この押出装置14は、キャリッジ11に対して前進位置と後退位置の間で往復動可能な基台14aと、基台14aを往復動させる流体圧式シリンダ装置(例えばロッドレスシリンダ装置)14bと、基台14aから水平に延び、射出成形品Pを押出す押出ロッド14cからなる。
この下流の冷却ステーションCにて完全に冷却硬化された射出成形品Pが冷却ステーションCから移載された前記成形品載置台13をキャリッジ11の走行方向と平行で水平な軸線周りに反転しこの射出成形品Pをこの成形品載置台13から搬出する成形品反転駆動装置15がこの天板12に設けられている。
換言すれば、前記成形品載置台13は、この天板12に対して前記軸線周りで前記天板12と重なり合う水平位置と射出成形品Pを搬出する傾斜位置との間で回動可能に設けられている(図8、図9参照)。
【0011】
前記成形ステーションBは、前記成形金型16を備え、前記下流の冷却ステーションCは、成形品冷却装置17を備える。
前記成形金型16は蓋型の一種である可動上型6aと受型の一種である固定下型16bとからなる。
前記一対のガイドレール10は間隔をおいて、この下型16bの両側に相互平行に配列され、これらガイドレール10の設置高さは、成形金型16の合わせ面である下型16bの上面より高位に位置する。
即ち、この下型16bを取付ける取付盤16cには、冷却ステーションC側に一部が水平に張り出す状態で架台10bが固定され、この架台10bの上面に前記ガイドレール10が固定し配列されている。
この架台10b上面寄りには、前記キャリッジ11をガイドレール10に沿い成形ステーションBと冷却ステーションCの間で往復動させるための前記流体圧式シリンダ装置11aが配置されている。
前記天板12を水平な姿勢で昇降させるためのジャッキ10aがキャリッジ11と天板12間に配置されている。この天板12上面に配置された成形品載置台13は、前記キャリッジ11の移動方向に延びる左右一対の成形品ガイドレール13aが、この冷却CステーションC側へ水平に張り出してこの天板12に設置されてなる。
前記キャリッジ11は、前記成形金型16が開いている状態で成形金型16の下型16b上方で、この成形金型16の上型16aの下方に位置し、この上型16aに保持された廃プラスチックを主成分とする再生品である射出成形品Pが上昇する前記成形品載置台13で受け取られるとともに、前記成形品冷却装置17への前記キャリッジ11の移動時に、この成形品載置台13は前記射出成形品Pとともに下降する構造としてある。
前記成形品反転駆動装置15は、前記成形品載置台13上に前記成形品冷却装置17から冷却硬化済みの射出成形品Pを受け渡された状態で、この射出成形品Pを水切り装置の一種である乾燥機(図示せず)上に反転し搬出するロータリー式流体圧シリンダ装置19としてある。
この成形品冷却装置17は、水冷式、空冷式を伴わないが、水槽S内で水冷却する方式が望ましい。
【0012】
前記移送装置Aの作用を請求項1記載の方法発明の代表的な実施の態様として説明する。
先ず、キャリッジ11を成形品冷却装置17寄りに流体圧式シリンダ装置11aにより成形金型16より退避させる。また、前記押出装置14の基台14a全体を流体圧式シリンダ装置14bにより成形金型16寄りの後退位置に位置させる。この状態で、成形金型16を閉じて溶融樹脂を成形金型16のキヤビティ内に射出し、射出成形品を成形する。
【0013】
次に、この成形金型16を開いて、表面硬化している射出成形品Pを成形金型16の上型16aにバキュームなどで吸引保持する(第1図参照)。この状態で、前記キヤリッジ11を前記ガイドレール10に沿い成形ステーションBに向け移動し、成形金型16の下型16b上方で、成形金型16の上型16aの下方に位置させ、ジャッキ10bにより、前記天板12及び成形品載置台13を上型16a側に向けて水平な姿勢で上昇させ、この上型16aから射出成形品Pをノックアウピンなどで突出して、この射出成形品Pをこの成形品載置台13上へ移載する(図2参照)。この際、押出装置14の押出ロッド14cは射出成形品Pの成形品載置台13への載置位置から退避した後退位置にある。
【0014】
次いで、この成形品載置台13を射出成形品Pとともに上型16aから離反するようにジャッキ10bにより水平な姿勢で下降させた後、キヤリッジ11を前記ガイドレール10に沿い前記成形品冷却装置17寄りに移動させる(図3及び図4参照)。次に、前記押出装置14の基台14aを前記流体圧シリンダ装置14bにより成形品冷却装置17寄りの前進位置に移動させ、成形品ガイドレール13aからなる成形品載置台13上の射出成形品Pをこの押出装置14の押出ロッド14cの前進動で前記成形品冷却装置17に成形品ガイドレール13aに沿って押し出す(第5図参照)。
この後、前記成形品冷却装置17により、射出成形品Pを例えば冷媒の一種である水により完全に冷却硬化させる。
この冷却硬化中に、前記キャリッジ11が成形品冷却装置17寄りに位置した状態で次の射出成形品Pが成形金型16により射出成形される。
【0015】
このように完全に冷却硬化した射出成形品P0は、成形品冷却装置17から、前記成形品ガイドレール13aからなる前記成形品載置台13上に再び受け渡される。この際、前記押出装置14の基台14aを前進位置より後退位置へ移動し、この成形品冷却装置17の搬出ロッド17aをこの射出成形品P0に向けて前進させ、この搬出ロッド17aと前記押出ロッド14cとでこの成形品P0をその前後から挟持した状態でこの成形品載置台13上に再び移載する(図7参照)。
次いで前記天板12に対して成形品載置台13を前記一方のガイドレール10寄りで前記軸周りに前記成形品反転駆動装置15により、外側に反転し、完全に冷却済みで芯まで硬化した射出成形品P0をこの成形品載置台13から前記乾燥機(図示せず)上に搬出する(図8および図9参照)。
この乾燥機において、前記射出成形品P0に付着している水滴を除去する。
この射出成形品P0を搬出した後、前記成形品反転駆動装置15により前記成形品載置台13を水平に戻し、前記キャリッジ11を成形品冷却装置17寄りに待機させ、次の射出成形品Pの移送に備える。
このような操作を繰り返して、順次成形金型16で成形された射出成形品Pをこの移送装置Aにより前記成形金型16から取り出し成形品冷却装置17へ移送し、冷却硬化する。
【0016】
実施の形態2
この形態は、請求項6記載の発明の代表的な実施の形態であり、実施の形態1と異なるところは、この移送装置A0に移送される前記成形品を、廃棄プラスチックを主成分とする再生品P1とし、この再生品P1の少なくとも表面を成形と同時にシートFで加飾する加飾装置20が、成形金型16における下型16bの近傍に配置してある(図5参照)。
その他、実施の形態1と同一の符号は同一の構成、作用をなす。
この移送装置の作用は、加飾成形品を移送することを除いて、実施の形態1と略同じである。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の方法発明においては、成形品の成形サイクル中に占める冷却期間を短縮でき、表面硬化している成形品を取出して、成形ステーションと異なる別の冷却ステーションで成形品を完全に芯まで冷却硬化することができる。
【0018】
請求項2および3記載の装置発明においては、特定発明の移送方法を実施でき、その効果を発揮するとともに、また、共通の移送装置により、成形品の成形ステーションからの取出しと、冷却ステーションへの移送と、冷却済み成形品の搬出を行うことができる。加えて、このキャリッジが成形ステーションから外れ冷却ステーションへ移送中に、成形金型を閉じて次の成形を行うことができる。
殊に請求項3記載の発明においては、移送装置の背高を高くすることなく、成形金型から表面硬化した成形品を確実に取出すことができ、成形品冷却装置へこの成形品を移送できる。加えてこのキャリッジが成形ステーションから外れ冷却ステーションへ移送中に、成形金型を閉じて次の成形を行うことができる。
【0019】
請求項4記載の発明においては、請求項2、3記載の発明の効果に加えて、ロータリー式流体圧シリンダ装置の作動で、簡易に冷却済みの成形品を水切り装置上に前記成形品載置台から反転し搬出できる。
【0020】
請求項5記載の発明においては、請求項2、3、4記載の発明の効果を加飾、非加飾を問わず、射出成形品の移送時に発揮することができる。
請求項6記載の発明においては、請求項2、3、4、5記載の発明の効果を、廃棄プラスチックを主成分とする再生品の移送時に発揮することができる。
実施の形態においては、押出装置14全体をキャリッジ11とともに移動可能で、かつキャリッジ11に対して前進位置と後退位置の間で往復動可能に設けてあることにより、キャリッジ11が冷却ステーションCにある時に、このキャリッジ11に対して押出装置14を後退位置から前進位置へ移動し、成形品を冷却ステーションCに確実に移送することができ、押出装置14自身の移動ストロークを短くできる。
また、成形品載置台13を構成する前記成形品ガイドレール13aが冷却ステーションC側へ水平に張り出して天板12に設置してあるため、冷却ステーションCへ成形品Pをこの成形品ガイドレール13aに沿って安定良く移送でき、また、冷却硬化済みの成形品P0を、成形品載置台13上に再び移載することができ、前記乾燥機へ反転して搬出し、この成形品P0に付着した水滴を確実に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の概略正面図である。
【図2】成形品の金型からの取出し工程を示す概略正面図である。
【図3】成形品の移送工程を示す概略正面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】 成形品の冷却ステーションへの押出工程を示す概略平面図である。
【図6】冷却硬化済みの成形品を冷却ステーションから成形品載置台へ移載する工程を示す概略正面図である。
【図7】図6の一部省略平面図である。
【図8】成形品を搬出する工程を示す一部省略左側面図である。
【図9】図8の一部省略正面図である。
【図10】実施の形態2の概略正面図である。
【符号の説明】
A 移送装置
Claims (6)
- 成形ステーションで合成樹脂製成形品を成形した後、冷却ステーション寄りに退避していたキャリッジを成形ステーションに向けて移動させ、この成形した成形品をキャリッジの天板に設けた成形品載置台で受け取り、この後キャリッジを冷却ステーションに向けて移動し、表面硬化した成形品をこの成形品載置台から冷却ステーションに押出し、後この冷却硬化ステーションで冷却済みの成形品をこの冷却ステーション寄りに位置するキャリッジの成形品載置台上に再び移載し、この状態でこの成形品載置台を前記キャリッジの走行方向と平行な軸線周りで反転し、この冷却硬化済みの成形品をこの成形品載置台から搬出することを特徴とする合成樹脂製成形品の移送方法。
- 成形ステーションから下流の冷却ステーションに合成樹脂製成形品を移送する装置において、
成形ステーションと冷却ステーションとの間に延びるガイドレールが配置してあり、このガイドレールに沿い前記成形ステーションと冷却ステーション間で往復動するキャリッジには、水平な天板が昇降可能に設けてあり、この天板に水平位置と成形品搬出傾斜位置との間で回動可能な成形品載置台が設けてあり、このキャリッジが下流の冷却ステーション寄りに位置する時に、前記成形品載置台上の成形品を下流の冷却ステーションに押し出す押出装置が、前記キャリッジに設けてあると共に、この下流の冷却ステーションにて冷却硬化された成形品が移載された前記成形品載置台をキャリッジの走行方向と平行で水平な軸線周りに反転しこの成形品をこの成形品載置台から搬出する成形品反転駆動装置が天板に設けられていることを特徴とする合成樹脂成形品の移送装置。 - 前記成形ステーションは、蓋型と受型を有する成形金型を備え、前記下流の冷却ステーションは、成形品冷却装置を備え、
前記ガイドレールは、間隔をおいて受型の両側に相互平行に配列され、各ガイドレールの設置高さは、成形金型の合わせ面より高位にあり、
前記キャリッジは、前記成形金型が開いている状態で成形金型の受型上方で、成形金型の蓋型下方に位置し、この蓋型に保持された成形品が、上昇した前記成形品載置台で受け取られ、
前記成形品冷却装置への前記キャリッジの移動時に、この成形品載置台は成形品とともに下降するものであることを特徴とする請求項2記載の合成樹脂成形品の移送装置。 - 前記成形品反転駆動装置は、前記冷却ステーションから冷却硬化済みの成形品が前記成形品載置台上に受け渡された状態で、この成形品を水切り装置上に反転し搬出するロータリー式流体圧シリンダ装置としてあることを特徴とする請求項2または3記載の合成樹脂成形品の移送装置。
- 前記成形品を射出成形品とすることを特徴とする請求項2、3または4記載の合成樹脂成形品の移送装置。
- 前記成形品を、廃棄プラスチックを主成分とする再生品とすることを特徴とする請求項2、3、4又は5記載の合成樹脂成形品の移送装置。
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