JP4288478B2 - ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 - Google Patents
ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4288478B2 JP4288478B2 JP2003314953A JP2003314953A JP4288478B2 JP 4288478 B2 JP4288478 B2 JP 4288478B2 JP 2003314953 A JP2003314953 A JP 2003314953A JP 2003314953 A JP2003314953 A JP 2003314953A JP 4288478 B2 JP4288478 B2 JP 4288478B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- herb
- fat
- soluble
- soluble component
- concentration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Confectionery (AREA)
- Non-Alcoholic Beverages (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)
Description
しかし、これらの有効成分は脂溶性で、しかも揮発性が高いため、例えば水分含有率が多い食品中では安定性に欠ける等の問題がある。このため、ハーブは、その使用形態に制約を受けているのが実状である。
例えば、特許文献1には、香辛成分又はその前駆体或いは該香辛成分又はその前駆体を含む素材に水及びβ−サイクロデキストリンを加え混捏し、更に必要に応じ練り香辛料素材を添加することを特徴とする練り香辛料の製造法が記載されている。
また、特許文献2には、ニンジンの根のエキスまたは粉末とサイクロデキストリンとを混和したニンジン製品が記載されている。
更に、特許文献3には、生薬またはその混合物を、水またはシクロデキストリンの存在下に減圧濃縮し、次いで得られる濃縮物を噴霧乾燥することを特徴とする生薬製剤の製造法が記載されている。
また、現在一般に普及している植物由来の脂溶性成分のCD包接物の製造及び粉末化の技術は、(1)有機溶媒による脂溶性成分の抽出、(2)CD溶液と脂溶性成分を攪拌する、(3)乾燥する、の3工程が必要で、効率的な製造が困難であった。
そこで、本発明の目的は、ハーブ脂溶性成分を多量に包接するCD包接物を、簡便な工程で効率的に製造する方法を提供することである。
1)上記ハーブ脂溶性成分が含まれるハーブ植物体、該ハーブ脂溶性成分が含まれる原料であるハーブ植物体の加工品又は該ハーブ脂溶性成分を溶媒に溶解させた溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒であるエタノールの混合物にサイクロデキストリン合成酵素であるCGTaseを加えて反応させ、デンプンと酵素の反応により生成したサイクロデキストリンであるCDに上記ハーブ脂溶性成分を包接させ、該CD包接物を反応の上澄みから得ること、2)その際に、上記脂質可溶性溶媒の濃度を調整して抗酸化性成分を含有するCD包接物を生産すること、3)それにより、抗酸化性成分としての機能を発揮する上記ハーブ脂溶性成分を含有し、抗酸化作用を有すると共に、ハーブ風味を呈する高水溶性のサイクロデキストリン包接物を製造すること、を特徴とするハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法、である。
本発明は、ハーブ植物体が、植物全体、或いは、葉部、茎部、花部、果実部及び/又は根部である、上記サイクロデキストリン包接物の製造方法、である。
本発明は、ハーブ植物体の加工品が、ペースト、ペーストの絞り粕、搾汁液、粉末若しくはその懸濁物、又は、顆粒若しくはその懸濁物である、上記サイクロデキストリン包接物の製造方法、である。
本発明は、脂質可溶性溶媒の濃度を5−40%(容量)の範囲で調整して抗酸化成分を含有するCD包接物を生産する、上記のサイクロデキストリン包接物の製造方法、である。
本発明は、デンプンが糊化デンプンである、上記サイクロデキストリン包接物の製造方法、である。
本発明は、サイクロデキストリン合成酵素を、デンプン1g当たり0.1〜10THU用いる、上記サイクロデキストリン包接物の製造方法、である。
本発明は、上記ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する食品、である。
本発明は、上記ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する化粧品又は医薬品、である。
しかも、ハーブ脂溶性成分として抽出されるハーブ脂溶性成分はCDに包接されることで水溶性となることから、得られたハーブ脂溶性成分CD包接物は、食品、化粧品、医薬品等幅広い水溶性製品に容易に添加し、利用することが可能となった。
さらに、本発明によれば、上述のようなハーブ脂溶性成分を豊富に包接するCD包接体を含有してなる食品、化粧品、医薬品も提供される。このような食品、化粧品、医薬品は、もともと含まれる色素や香料等揮発性物質をもCD中にハーブ脂溶性成分とともに包接させることにより、これらの物質の安定化も期待される。
まず、請求項1に係る本発明について説明する。
請求項1に係る本発明のハーブ脂溶性成分のCD包接物の製造方法は、ハーブ植物体、その加工品又はハーブ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒を含む混合物にCD合成酵素を加えて処理することを特徴とする。
また、溶媒としては、脂溶性成分が溶解することのできるものであれば制限はなく、何れであっても良く、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。これらの中ではエタノールが好ましい。
デンプンの起源は問わず各種のものを任意に使用できるが、中でも、請求項7に記載するように、糊化デンプンが好ましい。
すなわち、この場合には、脂質可溶性溶媒を使用しないで、代わりに水を用いた場合においても、目的とするCD包接物を得ることができる。
CD合成酵素の使用量は、請求項8に記載するように、デンプン1g当たり0.1〜10THU(チルデン・ハドソン単位)が適当であるが、経済性等を考慮すると0.5〜1THUが好適である。
まず、各原料の使用量については、脂質可溶性溶媒に対し、ハーブ植物体、その加工品又はハーブ脂溶性成分溶液が1〜10%、好ましくは3〜7%、デンプンが1〜10%、好ましくは3〜7%とすることができる。
反応温度は、CD合成酵素を用いる場合は、40〜60℃とすることが好ましく、耐熱性酵素を用いる場合は、50〜70℃(特に好ましくは65℃)とすることが好ましい。
反応時間は、12〜48時間、好ましくは24〜36時間が適当である。
また、処理は、振盪しながら行うことが好ましい。
尚、ハーブ脂溶性成分を用いる場合は、請求項5に記載するように、50〜65℃で24〜48時間とすることが好ましい。
このように、ハーブ植物体、その加工品又はハーブ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒の混合物にCD合成酵素を加えて処理することにより、ハーブ植物体、その加工品又はハーブ脂溶性成分溶液に含まれる脂溶性成分が抽出され、デンプンと酵素の反応により生成したCDに包接される。
また、ハーブ脂溶性成分のCD包接物の乾燥物を得たい場合は、上記上澄み液をスプレイドライヤー等で150〜250℃の温度で乾燥することにより、ハーブ脂溶性成分のCD包接物の乾燥粉末を得ることができる。
このように、請求項1に係る本発明の製造方法によれば、従来のような複雑な工程、すなわち(1)有機溶媒によるハーブ脂溶性成分の抽出、(2)CD溶液とハーブ脂溶性成分を攪拌する、(3)乾燥する、という3工程を必要としないで、簡便な方法で目的とするハーブ脂溶性成分のCD包接物を製造することができる。
即ち、請求項9に係る本発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られるハーブ脂溶性成分のCD包接物を提供するものである。
請求項11に係る本発明の化粧品又は医薬品に占めるハーブ脂溶性成分のCD包接物の含有割合は、化粧品や医薬品の種類によって異なり一概に規定できないが、一般に0.01〜5.0%、好ましくは0.1〜3.0%の範囲とすることができる。
請求項10に係る本発明の食品や、請求項11に係る本発明の化粧品又は医薬品は、色素や香料等の揮発性物質が含まれている食品等である場合、ハーブ脂溶性成分とともにCDに包接することにより、安定化することも期待できる。
実施例1〔ハーブ脂溶性成分溶液〕
ハーブ脂溶性成分溶液5ml、馬鈴薯デンプン5gとCGTase(コンチザイム:天野エンザイム社製)をデンプン1g当たり1THU加えたものに、所定濃度のエタノール溶液を加えて全量を100mlとし、これを60℃で24時間振盪しながら反応させた。
反応終了後、懸濁液を9000回転/分で10分間遠心分離して約80mlの上澄み液を得た。これを、凍結乾燥させ、ハーブ脂溶性成分のCD包接物の乾燥粉末を得た。この乾燥粉末は、水溶性であった。
即ち、ハーブ脂溶性成分のCD包接物0.1gを1mlの蒸留水で溶かし、これを測定試料として、CD組成をHPLCで測定した。測定条件は、カラム:Wakosil 5NH2(φ4mm×250mm、和光純薬社製)、移動層:水/アセトニトリル=40/60、流速:0.8ml/分、カラム温度:25℃、検出器:RID−10A(島津製作所製)、ポンプ:LC10AD(島津製作所製)である。結果を表1に示す。
次に、ハーブ脂溶性成分のCD包接物には、ハーブ脂溶性成分として、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸が含まれていることが分かったので、これらの含有量を次の方法で測定した。
ハーブ脂溶性成分のCD包接物3gにアセトン50mlを加え、室温にて30分間の振盪による成分の抽出を2回行った。抽出した試料のアセトンを遠心分離機(3000回転5分間で固液分離)を行い、上澄みを回収した。得られた上澄みアセトン抽出液からエバポレーターでアセトンを留去し、メタノール2mlで試料を溶解してHPLC分析試料とした。
表1の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
表2の結果と併せて考えると、ハーブ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにロシアンセージ乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表4に示す。また、得られたCD包接物に含まれるクロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表5に示す。
また、表5から、クロロゲン酸、カフェ酸及びロズマリン酸の含有量は、エタノール溶液のエタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表4の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表6に示す。
更に、本実施例2において生産したCD包接物の乾燥粉末のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、生のロシアンセージに比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表7に示す。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにパイナップルセージ乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表8に示す。また、得られたCD包接物に含まれるクロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表9に示す。
また、表9から、クロロゲン酸、カフェ酸、及びロズマリン酸の含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表8の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表10に示す。
更に、本実施例3において生産したCD包接物の乾燥粉末のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、生のパイナップルセージに比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表11に示す。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにオーデコロンミント乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表12に示す。また、得られたCD包接物に含まれるクロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表13に示す。
また、表13から、クロロゲン酸、カフェ酸及びロズマリン酸の含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表12の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表14に示す。
更に、本実施例4において生産したCD包接物の乾燥粉末のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香り及び辛みのそれぞれについて、生のオーデコロンミントに比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を+として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表15に示す。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにベルガモット乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表16に示す。また、得られたCD包接物に含まれるクロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表17に示す。
また、表17から、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表16の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表18に示す。
更に、本実施例5において生産したCD包接物の乾燥粉末のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、生のベルガモットに比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表19に示す。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにアップルミント乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表20に示す。また、得られたCD包接物に含まれるクロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表20に示す。
また、表21から明らかなように、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表20の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表22に示す。
更に、本実施例6において生産したCD包接物の乾燥粉末のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、生のアップルミントに比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表23に示す。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにレモングラス乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、レモングラス成分のCD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表24に示す。また、得られたCD包接物に含まれるクロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表25に示す。
また、表25から、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表24の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表26に示す。
更に、本実施例7において生産したCD包接物の乾燥粉末のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、生のレモングラスに比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表27に示す。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにレモングラスペーストの絞り粕乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、レモングラスペーストの絞り粕成分のCD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表28に示す。また、得られたCD包接物に含まれるクロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表29に示す。
また、表29から、クロロゲン酸、カフェ酸及びロズマリン酸の含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表28の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。尚、実施例1の方法において、上澄みのほかに沈殿についても測定した。エタノール濃度が50%の場合は、上澄みが得られなかったため、沈殿のみについて測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表30に示す。
更に、本実施例8において生産したCD包接物の乾燥粉末のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、レモングラスペーストの絞り粕に比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表31に示す。
ハーブ脂溶性成分溶液の代わりにハーブ含有ロズマリン酸抽出物(和光純薬製)5mlを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、ハーブ含有ロズマリン酸抽出物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表32に示す。また、得られたCD包接物に含まれるロズマリン酸の含有量を測定した。ロズマリン酸の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表32に示す。
また、表33から、ロズマリン酸の含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表32の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表34に示す。
グラニュー糖10gとゲル化剤5gを混合し、水100mlを加えて90℃に加熱撹拌した。混合液を75℃まで冷却し、実施例6で得られたハーブ(アップルミント)脂溶性成分のCD包接物(20%、30%、40%エタノール溶液を用いたもの)0.18g(0.18%)と液状マルトース0.18gを加えて撹拌した。混合液を容器に注ぎ、85℃20分間加熱殺菌して、冷却することでゲル化させ、ハーブ(アップルミント)脂溶性成分のCD包接物入り菓子を製造した。
製造したハーブ(アップルミント)脂溶性成分のCD包接物入り菓子に含まれる、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表35に示す。
一方、対照として、CD包接物の代わりにアップルミント汁2.0gを用いたこと以外は同様に製造したアップルミント汁入り菓子についても、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。結果を表35に示す。
更に、CD包接物入り菓子のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、ハーブ汁入り菓子に比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表36に示す。
実施例6で得られたハーブ(アップルミント)脂溶性成分のCD包接物0.3gと蜂蜜5gを、水200mlと混合して容器に注ぎ、85℃20分間加熱殺菌して、冷却してハーブ(アップルミント)脂溶性成分のCD包接物入り飲料とした。
製造したハーブ(アップルミント)脂溶性成分のCD包接物入り飲料に含まれる、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表37に示す。
更に、ハーブ(アップルミント)脂溶性成分のCD包接物入り飲料のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、ハーブ茶抽出液(ハーブ園、唐傘ファームより入手)に比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表38に示す。
エタノール濃度が高いハーブ脂溶性成分のCD包接物を利用した飲料の方がハーブ成分を多く含んでいた。
実施例4で得られたハーブ(オーデコロンミント)脂溶性成分のCD包接物1g、精製100ml、植物性グリセリン2g、無水エタノール5ml、及びクエン酸0.2mlと混合して容器に注ぎ、ハーブ(オーデコロンミント)脂溶性成分のCD包接物入り化粧水とした。
製造したハーブ(オーデコロンミント)脂溶性成分のCD包接物入り化粧水に含まれる、クロロゲン酸、カフェ酸、ロズマリン酸の含有量を測定した。各ハーブ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表39に示す。
更に、ハーブ(オーデコロンミント)脂溶性成分のCD包接物入り化粧水のハーブ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表40に示す。
ロズマリン酸(シグマ社製)0.1gとCD(商品名:デキシパール100、横浜国際バイオ研究所製)2gに水を加えて全量100mlとした混合物について、実施例9と同様に反応させてCD包接物の乾燥粉末約2gを得た。
得られたCD包接物中のロズマリン酸含量(mg/g)を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表41に示す。
ロズマリン酸(シグマ社製)0.1gとCD(商品名:デキシパール100、横浜国際バイオ研究所製)2gに20%エタノール溶液を加えて全量100mlとした混合物について、実施例9と同様に反応させてCD包接物の乾燥粉末約2gを得た。
得られたCD包接物中のロズマリン酸含量(mg/g)を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表41に示す。
ロズマリン酸(シグマ社製)0.1gと糊化馬鈴薯デンプン5g及びCGTase(商品名:コンチザイム、天野製薬社製)をデンプン1g当たり1THU加えたものに水を加えて全量を100mlとした混合物について、実施例9と同様に反応させてCD包接物の乾燥粉末約2gを得た。
得られたCD包接物中のロズマリン酸含量(mg/g)を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表41に示す。
尚、表41には、前記実施例9で得られたCD包接物(製造時に30%エタノール溶液を添加したもの)のロズマリン酸含量を示す。
また、本実施例13で生産されたCD包接物には、デンプンを添加せずに水で抽出した比較例1のCD包接物や、デンプンを添加せずにエタノールで抽出した比較例2のCD包接物よりも多量にロズマリン酸が包接されていた。このことから、ハーブ脂溶性成分を多量に包接するCD包接物を得るためには、デンプンを添加する必要があることが明らかとなった。
しかも、ハーブ脂溶性成分として抽出されるハーブ脂溶性成分はCDに包接されることで水溶性となることから、得られたハーブ脂溶性成分CD包接物は、食品、化粧品、医薬品等幅広い水溶性製品に容易に添加し、利用することが可能となった。
Claims (10)
- ハーブ脂溶性成分であるカフェ酸、クロロゲン酸、又はロズマリン酸の抽出とサイクロデキストリンの製造とを同時に行い抗酸化作用を有する高水溶性のサイクロデキストリン包接物(CD包接物)を製造する方法であって、
1)上記ハーブ脂溶性成分が含まれるハーブ植物体、該ハーブ脂溶性成分が含まれる原料であるハーブ植物体の加工品又は該ハーブ脂溶性成分を溶媒に溶解させた溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒であるエタノールの混合物にサイクロデキストリン合成酵素であるCGTaseを加えて反応させ、デンプンと酵素の反応により生成したサイクロデキストリンであるCDに上記ハーブ脂溶性成分を包接させ、該CD包接物を反応の上澄みから得ること、2)その際に、上記脂質可溶性溶媒の濃度を調整して抗酸化性成分を含有するCD包接物を生産すること、3)それにより、抗酸化性成分としての機能を発揮する上記ハーブ脂溶性成分を含有し、抗酸化作用を有すると共に、ハーブ風味を呈する高水溶性のサイクロデキストリン包接物を製造すること、を特徴とするハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法。 - ハーブ植物体が、植物全体、或いは、葉部、茎部、花部、果実部及び/又は根部である、請求項1記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
- ハーブ植物体の加工品が、ペースト、ペーストの絞り粕、搾汁液、粉末若しくはその懸濁物、又は、顆粒若しくはその懸濁物である、請求項1記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
- 脂質可溶性溶媒の濃度を5−40%(容量)の範囲で調整して抗酸化成分を含有するCD包接物を生産する、請求項1記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
- ハーブ脂溶性成分及びデンプンの混合物にサイクロデキストリン合成酵素を加えて、50〜65℃で24〜48時間振盪処理する、請求項1記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
- デンプンが糊化デンプンである、請求項1記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
- サイクロデキストリン合成酵素を、デンプン1g当たり0.1〜10THU用いる、請求項1又は5記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により得られたハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物であって、上記ハーブ脂溶性成分を含有し、抗酸化作用を有し、ハーブ風味を呈する高水溶性サイクロデキストリン包接物。
- 請求項8記載のハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する食品。
- 請求項8記載のハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する化粧品又は医薬品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003314953A JP4288478B2 (ja) | 2003-09-08 | 2003-09-08 | ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003314953A JP4288478B2 (ja) | 2003-09-08 | 2003-09-08 | ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005082667A JP2005082667A (ja) | 2005-03-31 |
JP4288478B2 true JP4288478B2 (ja) | 2009-07-01 |
Family
ID=34415361
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003314953A Expired - Fee Related JP4288478B2 (ja) | 2003-09-08 | 2003-09-08 | ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4288478B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4648869B2 (ja) * | 2006-04-19 | 2011-03-09 | 長谷川香料株式会社 | 熱および光に安定なシトラール含有酸性飲料 |
MX2008002145A (es) * | 2007-02-22 | 2009-02-25 | Rohm & Haas | Metodo para elaborar un complejo. |
CN117860948B (zh) * | 2024-03-12 | 2024-06-04 | 江西永通科技股份有限公司 | 一种医用复合功能型抗菌敷料及其制备方法 |
-
2003
- 2003-09-08 JP JP2003314953A patent/JP4288478B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005082667A (ja) | 2005-03-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3992670B2 (ja) | ショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 | |
Šeregelj et al. | Application of encapsulated natural bioactive compounds from red pepper waste in yogurt | |
Szente et al. | Cyclodextrins as food ingredients | |
KR20090016702A (ko) | 큰 입자 시클로덱스트린 포접 착물 및 이의 제조 방법 | |
JP2012249553A (ja) | ショウガ加工物の製造方法 | |
CN101365671A (zh) | 异葎草酮化合物包合物及含有该包合物的组合物 | |
JP2008118933A (ja) | ポリフェノール組成物 | |
Modupalli et al. | Plant extracts as flavoring agents | |
WO2011105042A1 (ja) | 消臭組成物 | |
JP4288478B2 (ja) | ハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 | |
Ho et al. | Nutrition, functional and sensory properties of foods | |
JP5486783B2 (ja) | ペルオキシダーゼを用いた中性下の消臭組成物 | |
KR101841950B1 (ko) | 불쾌미 감소 방법 | |
JP6531892B2 (ja) | 香辛料加工物の製造方法 | |
JP6777372B2 (ja) | 粉末状清涼飲料用組成物の製造方法 | |
JP4568702B2 (ja) | 抗酸化組成物 | |
KR102645351B1 (ko) | 감귤 꽃을 이용한 천연 식품향료 및 이의 제조방법 | |
Alihanoğlu et al. | Novel Nutritive Garlic Product''Black Garlic'': A Critical Review of Its Composition, Production and Bioactivity | |
Rafiq et al. | Utilization of maltodextrin and whey protein concentrate for microencapsulation of kinnow peel extract in breadsticks | |
WO1995019716A1 (fr) | Procede de production d'extrait embryonnaire | |
WO2022138698A1 (ja) | 腸内細菌叢改善剤 | |
JP2005336165A (ja) | ノコギリヤシ抽出物組成物及びノコギリヤシ抽出物組成物の製造方法 | |
JP4528903B2 (ja) | 植物含有有効成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法 | |
Tatasciore et al. | Microencapsulation of hop bioactive compounds by spray drying: Role of inlet temperature and wall material | |
JP6358422B2 (ja) | イワベンケイ属植物エキスの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070227 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20070501 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20070501 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070528 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20070608 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080909 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081110 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081203 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090129 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090220 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090317 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120410 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130410 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |