JP4287958B2 - レーザ加工機におけるノズルの衝突防止方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ加工機におけるノズルの衝突防止方法及びその装置に係り、さらに詳細には、上下複数段のシャトルテーブル使用の三次元レーザ加工機でのノズル衝突防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前後方向のX軸、左右方向のY軸、上下方向のZ軸の三次元に移動自在なレーザ加工ヘッドを備えたレーザ加工機においては、レーザ加工ヘッドのZ軸のオーバトラベル(以下、本明細書では「OT」という)の検出位置はZ軸最大ストロークよりさらに1.5mm下降(−方向に移動)した位置とされている。例えば、Z軸ストローク700mm仕様のレーザ加工機ではレーザ加工ヘッドがZ軸方向で上昇端のZ軸原点から701.5mm下降した位置をZ軸のOT位置としている。
【0003】
複数段のパレットをそれぞれ水平方向で移動自在に備えたシャトルテーブルを設けたレーザ加工機では、シャトルテーブルの複数段のパレットを使用して二次元加工が行われる場合でも、Z軸のOT検出位置はZ軸を701.5mm下降した位置となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のレーザ加工機においては、シャトルテーブルの複数段のパレットのうちのいずれのパレットが加工位置にあっても、Z軸のOT検出位置が変わらないためにプログラムミスや手動送りミスなどによりノズルがパレットの上面から大きく下降してノズルがパレットのスキッドの隙間に入り込んで破損してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、三次元レーザ加工機でシャトルテーブルを使用して二次元加工が行われる場合で、シャトルテーブルの複数段の各パレットと各種ノズルとのいずれの組合せであっても、ノズルのZ軸のOT位置を正確に検出してノズルの衝突を防止し得るレーザ加工機におけるノズルの衝突防止方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明のレーザ加工機におけるノズルの衝突防止方法は、前後方向のX軸、左右方向のY軸、上下方向のZ軸の三次元に移動自在なレーザ加工ヘッドを備えたレーザ加工機により、複数段のパレットをそれぞれ水平方向で移動自在に備えたシャトルテーブルを用いてX軸、Y軸の二次元レーザ加工を行う際に、
レーザ加工ヘッドの下端に取り付けたノズル先端のZ軸機械座標を演算する制御装置のZ軸座標演算部から前記Z軸機械座標をPMCラダー部により随時読みとり、
PMCパラメータ・メモリに予め設定された各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎のオーバトラベル位置の中から使用されるノズルとパレットに該当するオーバトラベル位置を呼び出し、この呼び出されたオーバトラベル位置と前記PMCラダー部で読みとったZ軸機械座標とを比較し、
前記Z軸機械座標が前記該当するオーバトラベル位置の設定範囲より下降したときにレーザ加工機の運転を停止せしめることを特徴とするものである。
【0007】
したがって、制御装置のZ軸座標演算部で演算されたノズルのZ軸機械座標がPMCラダー部の指令により随時読み取られる。各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎のオーバトラベル位置がPMCパラメータ・メモリに予め設定されているので、上記のZ軸機械座標はPMCパラメータ・メモリに設定されたオーバトラベル位置の中の現在使用中の該当するオーバトラベル位置と比較され、Z軸機械座標がオーバトラベル位置より下降しようとした位置で機械が停止されるので、ノズルおよび加工ヘッドの破損が未然に防止される。
【0008】
また、シャトルテーブルのパレット段数、ノズル種類は、基本的には何種類の組合せであってもPMCパラメータ・メモリの追加を行うことにより容易に各組合わせのオーバトラベル位置の種類は増加可能である。
【0009】
請求項2によるこの発明のレーザ加工機におけるノズルの衝突防止装置は、前後方向のX軸、左右方向のY軸、上下方向のZ軸の三次元に移動自在なレーザ加工ヘッドを備えると共に複数段のパレットをそれぞれ水平方向で移動自在に備えたシャトルテーブルを設けたレーザ加工機において、
レーザ加工ヘッドの下端に取り付けたノズル先端のZ軸機械座標を演算するZ軸座標演算部と、
各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎にノズル先端のオーバトラベル位置を予め設定するPMCパラメータ・メモリと、
前記Z軸座標演算部の演算値からZ軸機械座標を随時読みとったZ軸機械座標と、前記PMCパラメータ・メモリに予め設定された現在使用中のノズルとパレットとの組合せに該当するオーバトラベル位置とを取り込んで前記Z軸機械座標が前記該当するオーバトラベル位置の設定範囲より下降したときにレーザ加工機の運転を停止せしめる判断を行うPMCラダー部とを備えた制御装置を設けてなることを特徴とするものである。
【0010】
したがって、請求項1記載の作用と同様であり、制御装置のZ軸座標演算部で演算されたノズルのZ軸機械座標がPMCラダー部の指令により随時読み取られる。各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎のオーバトラベル位置がPMCパラメータ・メモリに予め設定されているので、上記のZ軸機械座標はPMCパラメータ・メモリに設定されたオーバトラベル位置の中の現在使用中の該当するオーバトラベル位置と比較され、Z軸機械座標がオーバトラベル位置より下降しようとした位置で機械が停止されるので、ノズルおよび加工ヘッドの破損が未然に防止される。
【0011】
また、シャトルテーブルのパレット段数、ノズル種類は、基本的には何種類の組合せであってもPMCパラメータ・メモリの追加を行うことにより容易に各組合わせのオーバトラベル位置の種類は増加可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレーザ加工機におけるノズルの衝突防止方法及びその装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図5を参照するに、本実施の形態に係わるレーザ加工装置1は、図示せざるNC装置の制御の下に駆動されるX軸駆動手段により前後方向(X軸方向)に移動位置決め自在のX軸キャリッジ3を備え、このX軸キャリッジ3にはX軸方向と直交する左右方向(Y軸方向)に、NC装置の制御の下に駆動されるY軸駆動手段により移動位置決め自在のY軸キャリッジ5が設けられている。このY軸キャリッジ5の下部にはX,Y軸に直交する上下方向(Z軸方向)に移動位置決め自在のレーザ加工ヘッド7が設けられており、このレーザ加工ヘッド7にはレーザ加工用の集光装置(図示省略)を備え、その先端にはノズル9が取付けられている。
【0014】
なお、レーザ加工装置1にはレーザ発振器(図示省略)が備えられており、このレーザ発振器からのレーザビームが、X軸キャリッジ3、Y軸キャリッジ5、レーザ加工ヘッド7を経由してノズル9まで図示せざる光学系により導かれるように構成されている。
【0015】
上記のX軸キャリッジ3は図6に示されているように制御装置11に電気的に接続されたX軸サーボモータ13により駆動制御されており,同様に、Y軸キャリッジ5はY軸サーボモータ15により駆動制御され、レーザ加工ヘッド7はZ軸サーボモータ17によりワークWに対し垂直方向に駆動制御される。
【0016】
図5を参照するに、前記レーザ加工ヘッド7の下方位置にはレーザ加工装置1のベッド19上に2段の上パレット21と下パレット23がそれぞれ水平方向で移動自在に備えたシャトルテーブル25が設けられている。
【0017】
上パレット21と下パレット23により、一方のパレットに外側段取りが行われ、他方のパレットにセッティングされたワークWにレーザ加工が行われる。例えば、図5に示されているように下パレット23はレーザ加工エリアに移動されており、この状態で下パレット23にセッティングされたワークWにレーザ加工が行われる。上パレット21はレーザ加工エリアから外れた外側の段取りエリアに移動されており、上記の下パレット23でレーザ加工が行われている間に、上パレット21ではワークWのセッティングが行われる。
【0018】
図6を参照するに、制御装置11としては、中央処理装置としてのCPU27に、ワークWの材質、形状、寸法などや種々のレーザ加工条件等のデータや加工プログラムを入力する入力装置29と表示装置31と、入力されたデータや加工プログラムを記憶するメモリ33と、ノズル9の先端のZ軸機械座標値を演算するZ軸座標演算部35が電気的に接続されている。
【0019】
上記のCPU27には、Z軸座標演算部35から演算されたZ軸機械座標を随時読みとったZ軸機械座標と、後述するPMCパラメータ・メモリ37に予め設定された現在使用中のノズルとパレットとの組合せに該当するオーバトラベル位置(OT位置)とを取り込んで上記の読みとったZ軸機械座標が上記の該当するOT位置の設定範囲より下降したときにレーザ加工装置1の運転を停止せしめる判断を行うPMCラダー部39が電気的に接続されている。
【0020】
また、上記のCPU27には、各種ノズル9と2段の各上下パレット21、23との組合せ毎にノズル9の先端のOT位置を予め設定するPMCパラメータ・メモリ37が電気的に接続されている。
【0021】
また、上記のCPU27には、現在使用中のパレットを判別するパレット判別部41と、現在使用中のノズルを判別するノズル判別部43が接続されている。
【0022】
上記構成により、図1を参照するに、PMCパラメータ・メモリ37には例えば、5インチノズルと7.5インチノズルの2種のノズル9と2段の上下パレット21,23との組合せとしては、図1に示されているように5インチノズル+上パレット21、5インチノズル+下パレット23、7.5インチノズル+上パレット21、7.5インチノズル+下パレット23の合計4つの組合せがある。
【0023】
上記の各組合せのOT位置としてはレーザ加工ヘッド7のZ軸がシャトルテーブル25の各上下パレット21、23のパスラインより2mm下方の位置が設定範囲、つまりOT位置となっている。
【0024】
より詳しくは、図2を参照するに、ノズル9の先端のZ軸原点となるZ軸原点機械座標は700mmである。ちなみに、ノズル9先端のZ軸方向の最下端のZ軸機械座標は0(ゼロ)mmである。
【0025】
上パレット21のOT位置としては、ノズル9の先端から上パレット21の上面のパスラインまでの距離が38.5mmとすると、レーザ加工ヘッド7のZ軸が下降して上パレット21の上面から2mm下方位置のノズル9の先端のZ軸機械座標、換言すれば上パレット21のOT位置は659.5mm(=700−38.5−2)となる。
【0026】
下パレット23のOT位置としては、ノズル9の先端から下パレット23の上面のパスラインまでの距離が271.5mmとすると、レーザ加工ヘッド7のZ軸が下降して下パレット23の上面から2mm下方位置のノズル9の先端のZ軸機械座標、換言すれば下パレット23のOT位置は426.5mm(=700−271.5−2)となる。
【0027】
したがって、PMCパラメータ・メモリ37には上記の上パレット21のOT位置のZ軸機械座標659.5mmと、下パレット23のOT位置のZ軸機械座標426.5mmが予め設定されている。
【0028】
Z軸座標演算部35で演算されたノズル9のZ軸機械座標がPMCラダー部39の指令により随時読み取られ、このZ軸機械座標はPMCパラメータ・メモリ37に設定された上記の各上下パレット21,23のOT位置の中から現在使用中の該当するOT位置と比較され、このOT位置(設定値)より上記のノズル9のZ軸機械座標が下降しようとした位置で機械が停止される。
【0029】
例えば、上パレット21でレーザ加工が行われている場合では、図3に示されているようにノズル9の先端がZ軸原点から38.5+2(mm)下降した位置が、上パレット21のOT位置のZ軸機械座標659.5mmである。したがって、ノズル9の先端が上パレット21の上面から2mm下方の位置に位置したときに機械が確実にストップするので、ノズルおよび加工ヘッドの破損が未然に防止される。
【0030】
下パレット23でレーザ加工が行われている場合では、図4に示されているようにノズル9の先端がZ軸原点から271.5+2(mm)下降した位置が、下パレット23のOT位置のZ軸機械座標426.5mmである。したがって、ノズル9の先端が下パレット23の上面から2mm下方の位置に位置したときに機械が確実にストップするので、ノズルおよび加工ヘッドの破損が未然に防止される。
【0031】
なお、ノズル9の種類が変われば、ノズル9の先端から各上下パレット21,23のパスラインまでの距離が変わるので、当然その距離もPMCパラメータ・メモリ37に予め設定しておく必要がある。
【0032】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【0033】
本実施の形態ではシャトルテーブルのパレット段数が上下の2段で、ノズル種類が2種類である場合を例にとって説明したが、パレット段数、ノズル種類は、基本的には何種類の組合せであってもPMCパラメータの追加を行うことにより容易に各組合わせのOT位置の検出種類を増加することができるので構わない。
【0034】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように、請求項1の発明によれば、制御装置のZ軸座標演算部で演算されたノズルのZ軸機械座標をPMCラダー部の指令により随時読み取る。各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎のオーバトラベル位置がPMCパラメータ・メモリに予め設定されているので、上記のZ軸機械座標をPMCパラメータ・メモリの中の該当する組合せのオーバトラベル位置と比較できる。このとき、Z軸機械座標がオーバトラベル位置より下降しようとした位置で機械を停止できるので、ノズルおよび加工ヘッドの破損を未然に防止できる。
【0035】
また、シャトルテーブルのパレット段数、ノズル種類は、基本的には何種類の組合せであってもPMCパラメータ・メモリの追加を行うことができるので、容易に各組合わせのオーバトラベル位置の種類を増加できる。
【0036】
請求項2の発明によれば、請求項1記載の効果と同様であり、制御装置のZ軸座標演算部で演算されたノズルのZ軸機械座標をPMCラダー部の指令により随時読み取る。各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎のオーバトラベル位置がPMCパラメータ・メモリに予め設定されているので、上記のZ軸機械座標をPMCパラメータ・メモリの中の該当する組合せのオーバトラベル位置と比較できる。このとき、Z軸機械座標がオーバトラベル位置より下降しようとした位置で機械を停止できるので、ノズルおよび加工ヘッドの破損を未然に防止できる。
【0037】
また、シャトルテーブルのパレット段数、ノズル種類は、基本的には何種類の組合せであってもPMCパラメータ・メモリの追加を行うことができるので、容易に各組合わせのオーバトラベル位置の種類を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、制御装置とPMCラダー部とPMCパラメータ・メモリとの関係を示す概略説明図である。
【図2】本発明の実施の形態において、ノズル先端のZ軸原点から各上下パレットのパスラインまでの距離を示す状態説明図である。
【図3】本発明の実施の形態において、上パレットでの加工におけるZ軸原点位置とOT位置との位置関係を示す状態説明図である。
【図4】本発明の実施の形態において、下パレットでの加工におけるZ軸原点位置とOT位置との位置関係を示す状態説明図である。
【図5】本発明の実施の形態で用いられるレーザ加工機の全体図である。
【図6】制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 レーザ加工装置
7 レーザ加工ヘッド
9 ノズル
11 制御装置
21 上パレット
23 下パレット
25 シャトルテーブル
35 Z軸座標演算部
37 PMCパラメータ・メモリ
39 PMCラダー部
41 パレット判別部
43 ノズル判別部
Claims (2)
- 前後方向のX軸、左右方向のY軸、上下方向のZ軸の三次元に移動自在なレーザ加工ヘッドを備えたレーザ加工機により、複数段のパレットをそれぞれ水平方向で移動自在に備えたシャトルテーブルを用いてX軸、Y軸の二次元レーザ加工を行う際に、
レーザ加工ヘッドの下端に取り付けたノズル先端のZ軸機械座標を演算する制御装置のZ軸座標演算部から前記Z軸機械座標をPMCラダー部により随時読みとり、
PMCパラメータ・メモリに予め設定された各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎のオーバトラベル位置の中から使用されるノズルとパレットに該当するオーバトラベル位置を呼び出し、この呼び出されたオーバトラベル位置と前記PMCラダー部で読みとったZ軸機械座標とを比較し、
前記Z軸機械座標が前記該当するオーバトラベル位置の設定範囲より下降したときにレーザ加工機の運転を停止せしめることを特徴とするレーザ加工機におけるノズルの衝突防止方法。 - 前後方向のX軸、左右方向のY軸、上下方向のZ軸の三次元に移動自在なレーザ加工ヘッドを備えると共に複数段のパレットをそれぞれ水平方向で移動自在に備えたシャトルテーブルを設けたレーザ加工機において、
レーザ加工ヘッドの下端に取り付けたノズル先端のZ軸機械座標を演算するZ軸座標演算部と、
各種ノズルと複数段の各パレットとの組合せ毎にノズル先端のオーバトラベル位置を予め設定するPMCパラメータ・メモリと、
前記Z軸座標演算部の演算値からZ軸機械座標を随時読みとったZ軸機械座標と、前記PMCパラメータ・メモリに予め設定された現在使用中のノズルとパレットとの組合せに該当するオーバトラベル位置とを取り込んで前記Z軸機械座標が前記該当するオーバトラベル位置の設定範囲より下降したときにレーザ加工機の運転を停止せしめる判断を行うPMCラダー部とを備えた制御装置を設けてなることを特徴とするレーザ加工機におけるノズルの衝突防止装置。
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