JP4287128B2 - 排水栓装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽、洗面器、流し等の排水口を遠隔操作で開閉する排水栓装置、更に詳しくは操作体を有する操作機構体と、栓蓋を上下動させる排水機構体とをオーバーフロー管の上端、下端に各々設けると共に、そのオーバーフロー管内に操作機構体と排水機構体とを連絡するレリースワイヤを配線したユニットを、槽部に現場施工にて組付ける排水栓装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の排水栓装置には、オーバーフロー管内にレリースワイヤを配線し、該レリースワイヤの一端を連絡する操作機構体の支持体を同オーバーフロー管の上端側に設け、同レリースワイヤの他端を連絡する排水機構体の支持体を同オーバーフロー管の下端側に各々設け、該ユニットを槽部に取り付けて構成されるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
オーバーフロー管に操作機構体、排水機構体を備え、更にその操作機構体と排水機構体とをオーバーフロー管内に配線されるレリースワイヤで連絡してユニットを構成し、工場出荷時にユニットにその機能部(操作機構体、排水機構体、レリースワイヤ等)を先付けしておくことによって、現場施工時でのその機能部の取付を不要にして、専門性に依存せずとも現場施工作業で簡単に組付けることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−21967号公報(第3頁〜第6頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特許文献はオーバーフロー管上端に設けられた操作継手内に操作機構体を支持する支持体を移動不能に取付け、その操作継手内面に槽壁に設けた取付口を貫挿する固定用筒体をその開放側から螺嵌してその固定用筒体と操作継手とで槽壁を挟持することによって、槽部にオーバーフロー管の上端側を組付けるようになっている。ちなみに、このような排水栓装置を先付き式の排水栓装置と呼称されている。
前記操作継手、固定用筒体は比較的大形であるため、相互を螺嵌させるためには大きな力を必要とする。また、陶製等の槽部の場合、洗面器、流し等は成形上の問題で肉厚にバラツキが生じる。
そのため、操作継手と固定用筒体との締付強度の個人差や槽部の肉厚のバラツキによって固定用筒体の槽側開放部に対して操作機構体の操作体の突出量が変化して、一定寸法のオーバーフロー用流入空間を確保できない問題がある。
このように前記操作体の突出量が所定よりも小さくなると、オーバーフロー用流入空間を減少させて、所定のオーバーフロー効率を阻害し、逆にその突出量が所定よりも大きくなると、洗浄時等に手指が引っ掛かり易く、使用勝手を悪くし、浴槽にあっては入浴中等に接触し易く、体感を悪くする。
【0005】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、操作継手と固定用筒体との締付強度に個人差が生じたり、取付対象壁の肉厚にバラツキが生じても一定寸法のオーバーフロー用流入空間を確保して組付けできる先付け方式の排水栓装置を提供することにある。
更に他の目的とする処は、操作機構体の支持体をロックナットとして兼用することによって、操作部側を槽壁にしっかり固定的に取付できる先付け方式の排水栓装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために講じた技術的手段は、オーバーフロー管内にレリースワイヤを配線し、該レリースワイヤの一端に連絡する操作機構体を支持する支持体をオーバーフロー管上端側に設けた操作継手に配設し、前記レリースワイヤの他端に連絡する排水機構体を支持する支持体をオーバーフロー管下端側に設けてユニットを構成し、該ユニットを槽部に取り付ける排水栓装置において、槽壁に設けた取付口を貫挿する固定用筒体を前記操作継手内面にその開放側から係合させてその固定用筒体と前記操作継手とで槽壁を挟持し、前記槽壁を挟持した前記固定用筒体の進入端を位置決め部として同進入端に突き当るように、前記操作継手内面に沿って前記操作機構体の支持体を移動可能にし、前記操作機構体の支持部体を前記進入端に当接した状態で前記操作機構体の操作体と前記固定用筒体の槽側開放部との間に一定寸法のオーバーフロー用流入空間を確保する間隙を形成することを特徴とする排水栓装置である(請求項1)。
前記する操作機構体、排水機構体のどちらか一方には、操作機構体の操作体を押動操作する度に交互に排水口を開閉させる開閉機構部(スラストロック機構)が設けられている。
【0007】
上記手段によれば、操作継手と固定用筒体との締付強度の個人差や槽壁厚の多少に関係なく固定用筒体の進入端を当て部にして操作機構体の支持体を位置決めする。
【0008】
また、前記操作機構体の支持体の移動が操作継手との螺嵌で行われる構成にするとより好適なものである(請求項2)。
【0009】
上記手段によれば、その支持体が槽壁を挟持する固定用筒体と操作継手とからなる取付部用のロックナットとして機能する。
【0010】
また、前記操作体が操作機構体の操作軸に抜き差し可能に形成されていると、前記操作機構体周りに前記支持体の大きな操作空間を形成することができる(請求項3)。
【0011】
また、排水機構体が、支持筒下端から進入するレリースワイヤで同支持筒に上下動可能に支持する可動軸を押動してその可動軸で排水栓を上下動させて排水口を開閉する構成とし、該排水栓に支持筒を外嵌挿する案内体を設け、該案内体は、排水口開閉双方時に支持筒の外嵌挿状態を維持するようにすると好適になる(請求項4)。
【0012】
上記手段によれば、案内体が排水口開閉時の直進性を確保した上に、可動軸の摺動部をカバーする。
【0013】
そして、前記案内体の内面に、支持筒外面に軸線方向に沿って接触する線状突条を適宜間隔をおいて突設していると更に好適なものになる(請求項5)。ちなみに、前記線状突条が無い場合、案内体内面と支持筒外面との間のクリアランス(0.5mm程度)が排水栓直進時の微細なブレで無くなり、進入する排水で表面張力を発生させて両者を密接させた上に、案内体と支持筒との間の空気の逃げを阻害し、その密接力と残留空気とが相乗して閉栓時の抵抗となり、閉栓を不確実にする。
【0014】
上記手段によれば、線状突条の存在によって案内体内面と支持筒外面との間に常時一定寸法のクリアランスを生成する。線状突条間のクリアランスによって、表面張力が生ぜず、しかも案内体と支持筒との間の残留空気を排水栓閉栓時に抵抗なく逃がし、閉栓を確実にすると共に、更に排水口開閉時の摺動抵抗をその線接触で小さく抑制する。
【0015】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図面は、本実施の形態排水栓装置を示し、符号Aがその排水栓装置である。
排水栓装置Aは、オーバーフロー管1と、そのオーバーフロー管1の上端側に設けられる操作機構体2及びその支持体3と、同オーバーフロー管1の下端側に設けられる排水機構体4及びその支持体5とを設けて構成したユニットA1と、そのユニットA1の上端側を例えば洗面器の槽壁B1に取付る固定用筒体6と、そのユニットA1の下端側を槽底B2に取付る固定用金具7等から構成されている。
【0016】
前記オーバーフロー管1は、その上端に、開放部に取付用鍔111を一体にゆする操作継手11を備えると共に、その下端に、排水トラップ(図示せず)に連絡する排水継手21を備え、操作継手11の内面には雌螺子11aを螺設している。
【0017】
前記操作機構体2は、操作筒12内に従来から周知のスラストロック機構(図示せず)を内蔵し、操作軸22を軸方向に突出させると共にその操作筒12を前記支持体3の中心部分に取り外し可能に係止し、その操作軸22に操作体32を軸方向に抜き差し可能に係合し、前記操作継手11の雌螺子11aに支持体3外周面に設けた雄螺子3aを螺嵌することによって、操作継手11内に収容状に配置されている。
【0018】
操作機構体2の前記支持体3は、中心に前記操作筒12を取り外し可能に係止する係止筒13を一体に備え、その係止筒13回りに十字状等の放射状リブ23を等間隔をおいて設けて、放射状リブ23、23間に排水空間Sを確保している。
前記係止筒13は、図3に示すように、先端部を軸心方向にすぼめると共に、その周面を軸方向に切り割りして周方向複数箇所に弾性片13aを形成し、その弾性片13aの先部内側に凸部13bを設ける一方、操作筒12の周面にその凸部13bが係合する溝部42を形成し、その溝部42に凸部13bを係合することで前記操作筒12を弾性的に係止するようになっている。
【0019】
前記操作体32は、操作軸22と対応する端部側を開放した筒状軸322の逆側の端部にヘアーキャッチャー323を有するスイッチ板324を備えると共に、中途部に振れ止め羽根325を備え、筒状軸322の底部に前記操作軸22を軸線方向に抜き差し可能に係合する係合筒326を操作軸22方向に向けて突設し、前記操作軸22先端の係止凸部221を前記係合筒326に抜き差し可能に係止するようになっている。
【0020】
排水機構体4は、支持筒14に、下端側を収容して可動軸24を上下動可能に支持し、オーバーフロー管1内に配線して一端を操作機構体2に連絡するレリースワイヤWでその可動軸24を押動して間接的に排水栓9を押上げて排水口200を開閉するようになっている。
【0021】
排水機構体4の前記支持体5は、前記排水継手21内周面に凹設した係止段部に係止する係止輪15と、その係止輪15と前記筒体14とを連結する十字状等の放射状リブ25とを備え、放射状リブ25、25間を排水空間Sとしている。
【0022】
前記固定用筒体6は、前記操作継手11の取付用鍔111とで槽壁B1を挟持する挟持用鍔16を一端側に周設すると共に外面の雄螺子6aを操作継手11の雌螺子11aに取付口100を挿通して螺嵌することによって、操作継手11とで槽壁B1を挟持してオーバーフロー管1の上端側を槽壁B1に取り付けるようになっている。
【0023】
前記固定用金具7は、袋ナットであり、排水継手21の上端近傍位置に係止した鍔部212に係止して、排水口部材8外周の雄螺子8aに螺嵌することによって、オーバーフロー管1の下端側を槽底B2に取り付けるようになっている。
【0024】
レリースワイヤWは、前記操作機構体2と排水機構体4とをオーバーフロー管1内で連絡するように配線され、前記操作体32を押動操作することによって、前記排水機構体4の可動軸24で栓蓋19の支軸19aを押動させて、排水口200を開閉する。
【0025】
排水栓9は、排水口部材8上端の排水口200を開閉する栓蓋19から支軸19aを垂設し、その栓蓋19裏側に振れ止め羽根19bを設けると共に、中途部分にヘアーキャッチャー19cを同軸状に支持し、前記支持筒14に外嵌挿する案内体10をその支軸19aから垂設し、その案内体10の底部を前記排水機構体4の可動軸24で間接的に押動する構成になっている。
【0026】
この案内体10は、図4に示すように、排水口開閉双方時に支持筒14の外嵌挿状態を維持する長さに形成され、支持筒14外面に軸線方向に沿って接触する線状突条10aをその内面に適宜間隔をおいて突設してある。
この線状突条10a先端と支持筒14外面との間のクリアランスは0.15mm程度確保され、その線状突条10a、10a間の案内体10内面と支持筒14外面との間のクリアランスは0.65mm程度確保されている。
符号25aは案内体10が前記放射状リブ25との干渉を避けるために同リブ25に上方から凹設した干渉防止用凹部である。
【0027】
斯様に構成された排水栓装置Aは、図2に示すように、工場出荷時にオーバーフロー管1内にレリースワイヤWを配線すると共に、そのレリースワイヤWに連絡される操作機構体2、排水機構体4を支持体3、5で同オーバーフロー管1の操作継手11、排水継手21に支持させてユニットA1を構成しておき、このユニットA1を施工現場で洗面器、浴槽等の槽部に取付る(図1)。
前記工場出荷時には、操作機構体2の支持部3を操作継手11の奥部まで螺嵌で進入させた状態にしておき、パッキンPを介在した状態で取付用鍔111と挟持用鍔16とで槽壁B1を挟持するように固定用筒体6を槽内から螺嵌する。排水口200側はパッキンPを介して排水口部材8とで槽底B2を挟持するように締結ナットNを同排水口部材8に螺嵌すると共に、袋ナット7を排水口部材8下端に螺嵌し、最後に前記固定用筒体6進入端(奥部端)を位置決め部として同進入端に突き当るように操作機構体2の支持体3を移動(後退)させる。そして、操作機構体2の支持部体3を前述した進入端に当接した状態で操作機構体2の操作体32と固定用筒体6の槽側開放部との間に一定寸法のオーバーフロー用流入空間を確保する間隙Lを形成する(図3)。これによって排水栓装置Aの施工現場での作業を完結する。尚、前記支持体3の移動(後退)は、前記操作体32を外して操作筒12回りに確保された広いスペースから工具を差し入れて行う。
【0028】
前記のように操作機構体2用の支持体3の位置決め部として、槽壁B1を槽内側から挟持する固定用筒体6の進入端を利用しているため、槽壁B1厚の成形バラツキや操作継手11と固定用筒体6との締付強度の個人差に関係なく、操作機構体2の操作体32と固定用筒体6の槽側開放部との間に一定寸法のオーバーフロー用流入空間を確保する間隙Lを形成することができる。
そして、この位置決め部へのその支持体3の移動(後退)手段として螺嵌を使用しており、その支持体3をロックナットにして前記操作継手11と固定用筒体6とからなる取付部の緩みを防止することができる。
また、締結ナットNの増し締めも袋ナット7に関係なく、独立して行うことができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成した先付け式の排水栓装置であるから、操作継手と固定用筒体との締付強度に個人差が生じたり、槽壁厚にバラツキが生じても操作機構体の操作体と固定用筒体の槽側開放部との間に一定寸法のオーバーフロー用流入空間を確保することができる。
しかも、排水機構体の支持体の軸方向移動が操作継手との螺嵌で行われるようにしているから、その支持体をロックナットとして有効利用して固定用筒体と操作継手との取付部の緩み止めを図り、取付を強固にするに際して専用部材を製作用意して対処する必要が無い。
【0030】
その上、排水栓に排水機構体の支持筒を外嵌挿する案内体を設け、該案内体は、排水口開閉双方時に支持筒の外嵌挿状態を維持するようになっているから、案内体によって開閉時の排水栓の直進性が優れ、閉栓時により高い水密性を発揮できるばかりでなく、その案内体によって可動軸が保護されるため、洗剤や砂等が可動部の摺動部から支持筒内に進入して作動不良を起こす心配もない。
また、従来の可動軸で排水栓を押動する洗面器、流し等の排水栓装置あっては、振れ止め羽根で開栓時の排水栓の振れを防止する構成にしてあるが、本発明にあっては、振れ止め部とその案内体との上下2点で排水栓の振れを防止する構成のため、優れた直進性を付与できる。
【0031】
しかも、案内体の内面に、支持筒外面に軸線方向に沿って接触する線状突条を適宜間隔をおいて突設しているので、案内体と支持筒との間に生じる表面張力で残留空気の逃げが阻害されることが無くなり、確実に閉栓し、尚且つ線接触によって軽い操作で排水口を開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態排水栓装置の正面断面図。
【図2】ユニットを槽部に取付る前の状態を示す分解図で、断面して示す。
【図3】操作機構体を支持する支持体をロックナットとして槽壁を挟持した固定用筒体進入端を突き当るように回動させる状態を示す部分拡大断面図。
【図4】図1の(4)−(4)線拡大断面図で、排水機構の支持体と案内体との関係を示す。
【符号の説明】
A:排水栓装置 1:オーバーフロー管
W:レリースワイヤ 2:操作機構体
3:操作機構体の支持体 4:排水機構体
5:排水機構体の支持体 A1:ユニット
B1:槽壁 100:取付口
B2:槽底 6:固定用筒体
11:操作継手 22:操作軸
32:操作体 L:オーバーフロー用流入空間を確保する間隙
14:支持筒 24:可動軸
9:排水栓 10a:線状突条
200:排水口 10:案内体
Claims (5)
- オーバーフロー管内にレリースワイヤを配線し、該レリースワイヤの一端に連絡する操作機構体を支持する支持体をオーバーフロー管上端側に設けた操作継手に配設し、前記レリースワイヤの他端に連絡する排水機構体を支持する支持体をオーバーフロー管下端側に設けてユニットを構成し、該ユニットを槽部に取り付ける排水栓装置において、
槽壁に設けた取付口を貫挿する固定用筒体を前記操作継手内面にその開放側から係合させてその固定用筒体と前記操作継手とで槽壁を挟持し、前記槽壁を挟持した前記固定用筒体の進入端を位置決め部として同進入端に突き当るように、前記操作継手内面に沿って前記操作機構体の支持体を移動可能にし、前記操作機構体の支持部体を前記進入端に当接した状態で前記操作機構体の操作体と前記固定用筒体の槽側開放部との間に一定寸法のオーバーフロー用流入空間を確保する間隙を形成することを特徴とする排水栓装置。 - 前記操作機構体の支持体の移動が操作継手との螺嵌で行われることを特徴とする請求項1記載の排水栓装置。
- 前記操作体が操作機構体の操作軸に抜き差し可能に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の排水栓装置。
- 前記排水機構体が、支持筒下端から進入するレリースワイヤで同支持筒に上下動可能に支持する可動軸を押動してその可動軸で排水栓を上下動させて排水口を開閉する構成とし、該排水栓に支持筒を外嵌挿する案内体を設け、該案内体は、排水口開閉双方時に支持筒の外嵌挿状態を維持することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の排水栓装置。
- 前記案内体の内面に、支持筒外面に軸線方向に沿って接触する線状突条を適宜間隔をおいて突設していることを特徴とする請求項4記載の排水栓装置。
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