JP4286341B2 - 不飽和基を含有するウレタンオリゴマーとその製造方法 - Google Patents

不飽和基を含有するウレタンオリゴマーとその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種インキ、塗料コーティング剤あるいは接着剤の中の硬化成分として用いられる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紫外線等の活性エネルギー線で硬化するオリゴマーとして、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが、知られている。その中でも特に、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは硬化させると、強靱で機械的強度が大きく、薬品にも強いすぐれたポリマーを形成する。しかも、その硬化したポリマーは、各種機材との密着性に優れ、加工性が良好である。そのため、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、活性エネルギー線で硬化させるタイプの各種インキ、塗料コーティング剤あるいは接着剤中のベース剤として幅広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、硬化性オリゴマーは、各種インキ等の用途に用いられるとき、硬化後に、強度と伸度とがともに大きいポリマーになる性質を要求されることがある。一般に、硬化性オリゴマーを硬化したポリマーは、強度が大きいと伸度が小さく、逆に伸度が大きいと強度が小さいという性質をもっている。例えば、硬化ポリマーの引っ張り強度が大きくなるオリゴマーとして、低分子量のポリオールと有機ジイソシアネート化合物を反応させて合成した特定のウレタンオリゴマーが知られ、ハードタイプといわれているが、硬化ポリマーの伸度は極端に小さい。逆に硬化ポリマーの伸度が大きいオリゴマーはソフトタイプといわれ、引っ張り強度は著しく小さい。硬化性オリゴマーは、通常、ハードタイプかソフトタイプのどちらかで、強度、伸度ともに優れた化合物は得られていなかった。そのため硬化性に優れているにも拘わらず、その応用範囲が限定されていた。
【0004】
そこで、本発明者は、特願平9−200246号において、ポリマーポリオールや低分子量のジヒドロキシル化合物に由来するウレタン構造がランダムに結合したウレタンオリゴマーの両末端に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルが結合した、不飽和基を有するウレタンオリゴマーを見いだしている。このオリゴマーは硬化させると、従来のオリゴマーに比べて引っ張り強度と伸び率がともに向上している。
【0005】
本発明は伸び率を損なうことなく、引っ張り強度をさらに向上させるためになされたもので、不飽和基を含有する新規なウレタンオリゴマーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明の不飽和基を含有するウレタンオリゴマーは、炭素数が2〜10でありカルボキシル基を有していてもよい低分子量のジヒドロキシル化合物nモル当量(nは3〜100)と有機ジイソシアネート化合物(n+1)モル当量とを重付加反応させて両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーを合成し、該ウレタンオリゴマーに有機ジイソシアネート(l+m)モル当量(lおよびmは各々0〜100で、かつl+mは3〜100)と分子量200〜2000のポリマーポリオール(l+m)モル当量とを加え重付加反応させて得られた両末端にイソシアネート基を有し主鎖が延伸したウレタンオリゴマーに、二重結合を一つ以上含むヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル2〜2.4モル当量を付加反応させて製造されるもので、下記式(I)
【0007】
【化2】
Figure 0004286341
【0008】
で示される。式(I)中、-OR1O-は前記ジヒドロキシル化合物の脱水素残基、-OR2O-は前記ポリマーポリオールの脱水素残基、-A-は-OCNHR3NHCO-であり-R3-は前記有機ジイソシアネート化合物の脱イソシアネート残基、CH2=C(R4)COOR5O-は前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルの脱水素残基である。lおよびmは各々0〜100の整数で、かつl+mは〜100の整数、nは〜100の整数である。
【0009】
式(I)中の-OR1O-は、炭素数2〜10のジヒドロキシル化合物R1(OH)2から脱水素された少なくとも一種類の基である。好ましくは炭素数2〜6である。このような低分子量のジヒドロキシル化合物は、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。また、カルボキシル基を有する炭素数2〜10のジヒドロキシル化合物であってもよい。具体的には、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。
【0010】
式(I)中の-OR2O-は、ポリマーポリオールR2(OH)2が脱水素された基である。ポリマーポリオールは、ポリエチレングリコールと、ポリプロピレングリコールと、ポリテトラメチレングリコールと、ビスフェノールAの酸化アルキレン付加物から選ばれる少なくとも一種類ポリエーテル系ジオール、多価アルコールと多塩基酸とからなるエステルから選ばれる少なくとも一種類のポリエステル系ジオール、ヘキサメチレンカーボネートとペンタメチレンカーボネートから選ばれる少なくとも一種類のポリカーボネート系ジオール、ポリカプロラクトンジオールとポリブチロラクトンジオールから選ばれる少なくとも一種類のポリラクトン系ジオールから選ばれる少なくとも一種類で好適に実施できる。
【0011】
ポリマーポリオールの数平均分子量は200〜2000であるが、さらに好ましくは600〜1500である。特に、工業的に入手可能で安価なポリプロピレングリコールのうち数平均分子量700のものを用いた不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを、硬化させたポリマーは、引っ張り強度548kg/cm、伸び率318%という優れた物性が得られる。
【0012】
式(I)中のCH2=C(R4)COOR5O-は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルCH2=C(R4)COOR5OHが脱水素された基である。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物または酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−ジ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種類で好適に実施できる。
【0013】
式(I)中の-A-は、-OCNHR3NHCO-であり、-R3-は有機ジイソシアネート化合物の脱イソシアネート残基である。有機ジイソシアネート化合物は、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、(o、m、またはp)−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロへキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの重縮合物から選ばれる少なくとも一種類で好適に実施できる。
【0014】
式(I)中のl、m、nはオリゴマー中の繰り返し単位数である。lおよびmは各々0〜100の整数で、かつl+mは〜100の整数であり、さらに好ましくはlおよびmは各々0〜10の整数で、かつl+mは〜10の整数である。nは〜100の整数であり、さらに好ましくは〜10の整数である。
【0015】
この不飽和基を含有するウレタンオリゴマー中のウレタン構造の繰り返しは、低分子量のジヒドロキシル化合物と有機ジイソシアネート化合物から誘導されるウレタン構造(-OR1O-A-)と、ポリマーポリオールと有機ジイソシアネート化合物とから誘導されるウレタン構造(-OR2O-A-)とが、それぞれ局在化している。
【0016】
この不飽和基を含有するウレタンオリゴマーは、そのウレタン構造が(-OR1O-A-)のみからなるか、あるいは(-OR1O-A-)と(-OR2O-A-)とがランダムに導入された化合物群と比較すると、引っ張り強度および伸び率が大きく向上している。
【0017】
本発明の不飽和基を含有するウレタンオリゴマーの製造方法は、炭素数が2〜10でありカルボキシル基を有していてもよい低分子量のジヒドロキシル化合物nモル当量(nは3〜100)と有機ジイソシアネート化合物(n+1)モル当量とを重付加反応させて両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーを合成し、このウレタンオリゴマーに有機ジイソシアネート(l+m)モル当量(lおよびmは各々0〜100で、かつl+mは3〜100)と分子量200〜2000のポリマーポリオール(l+m)モル当量とを加え重付加反応させて得られた両末端にイソシアネート基を有し主鎖が延伸したウレタンオリゴマーに、二重結合を一つ以上含むヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルを付加反応させて、前記式(I)に記載の不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを製造するというものである。
【0018】
重付加反応の際は低分子量のジヒドロキシル化合物nモルに対して、有機ジイソシアネート化合物の(n+1)モルを加える。次に、有機ジイソシアネート(l+m)モル、化合物ポリマーポリオール(l+m)モルを加える。低分子量のジヒドロキシル化合物とポリマーポリオールを順次、別途に加えることによりウレタンオリゴマー中の繰り返し構造が局在化される。
【0019】
これらのウレタンオリゴマーを得るには、イソシアネート基に、ジヒドロキシル化合物やポリマーポリオールを無触媒下で反応してもよいが、有機金属触媒または塩基性触媒の存在下、55〜90℃で反応を行うことが好ましい。この触媒には、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、テトラ−n−ブチル錫、トリ−n−ブチル錫アセテート、n−ブチル錫トリクロライドトリメチル錫ハイドロオキサイド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクテン酸錫、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミンが挙げられる。
【0020】
末端のイソシアネート基にヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸のヒドロキシル基を付加反応させるには、p−メトキシフェノール、およびジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンの存在下で行うことが好ましい。両端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー1モル当量に対し、小過剰である2〜2.4モル当量のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルをジブチルスズジラウレートなどの触媒とともに55〜90℃で反応させる。反応の終点は、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の消失を確認する方法が好ましい。
【0021】
このようにして得られた不飽和基を含有するウレタンオリゴマーは、熱および紫外線、電子線などの照射によって、硬化させることができる。硬化は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルの部位に、一つ以上含まれている不飽和基が重合することによって起こる。紫外線によって硬化する場合には、光重合開始剤を使用し、また、必要に応じて光重合助剤も併用できる.光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノンが挙げられる。光重合開始助剤としては、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含リン化合物、含塩素化合物が挙げられる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。不飽和基を含有するウレタンオリゴマーは、具体的には以下のようにして製造される。
【0023】
低分子量のジヒドロキシル化合物R1(OH)2と、有機ジイソシアネート化合物R3(NCO)2とを、ジブチルスズジラウレートの存在下、55℃〜90℃で加熱攪拌し、重付加反応させる。下記の化学反応式(II)に示すように、両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーが合成される。
【0024】
【化3】
Figure 0004286341
【0025】
次いで、このウレタンオリゴマーに、有機ジイソシアネート化合物と、分子量200〜2000のポリマーポリオールとを加え、同様な条件で重付加反応させると、化学反応式(III)に示すように、両末端にイソシアネート基を有し主鎖がさらに延伸したウレタンオリゴマーが得られる。
【0026】
【化4】
Figure 0004286341
【0027】
このウレタンオリゴマーに、p−メトキシフェノールおよびジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを加え、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルCH2=C(R4)COO-R5-OHをジブチルスズジラウレートが残存したまま55〜90℃で加熱攪拌すると、化学反応式(IV)に示すように、式(I)で示される不飽和基を含有するウレタンオリゴマーが得られる。
【0028】
【化5】
Figure 0004286341
【0029】
この製造方法では、l、m、nが異なっている、不飽和基を含有するウレタンオリゴマーの混合物が得られる。
【0030】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1〜3は本発明を適用する不飽和基を含有するウレタンオリゴマーの例を示す。比較例1、3、4は、低分子量のジヒドロキシル化合物と有機ジイソシアネート化合物から誘導されるウレタン構造と、ポリマーポリオールと有機ジイソシアネート化合物から誘導されるウレタン構造とがランダムに導入された、本発明を適用外のオリゴマーの例を示す。比較例2はポリマーポリオールと有機ジイソシアネート化合物から誘導されるウレタン構造のみの繰り返しである、本発明を適用外のオリゴマーの例を示す。
【0032】
(実施例1)
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール(NPG)を3モル、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を4モルを加え攪拌しながら、60℃に達するまで加熱した。ジブチルスズジラウレートを、合成終了時得られる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーに対して100ppm添加し、1時間、冷却と加熱を繰り返し反応容器内温度を60℃±3℃に保ちながら攪拌した。さらに80℃に加熱した後、残存NCO濃度が理論値または、理論値以下になるまで反応容器内温度を75〜80℃に保ちながら攪拌を続け、ウレタンオリゴマーを合成した(第一ステップ)。
【0033】
その後、反応容器内温度を60℃以下に冷却し、本反応容器に、順に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)3モル、ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業社製 PTG−850SN:数平均分子量850)3モルを加え、攪拌しながら60℃に加熱した。反応容器内が60℃に達した時点で加熱をやめ、ジブチルスズジラウレートを、合成終了時得られる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーに対して100ppm添加し、1時間、冷却と加熱を繰り返し反応容器内温度を60℃±3℃に保ちながら攪拌した。80℃に加熱した後、残存NCO濃度が理論値または、理論値以下になるまで反応容器内温度を75〜80℃に保ちながら攪拌を続け、主鎖がさらに延伸したウレタンオリゴマーを合成した(第二ステップ)。
【0034】
その後、本反応容器にp−メトキシフェノールおよびジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを、それぞれ合成終了時得られる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーに対して200ppm添加し、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HOA)を2.2モル加え、反応容器内温度を75〜80℃に保ちながら攪拌した。反応の終点は、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm−1)が消失したことにより確認した(第三ステップ)。
【0035】
このようにして得られた不飽和基を含有するウレタンオリゴマー97gに光重合開始剤として1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(HMPP、メルク・ジャパン社製 ダロキュア#1173)3.0g加え、十分に混合した。ガラス板にポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね、その上に得られた混合物を70μmの厚みで塗布し、皮膜を得た。その皮膜を6m/minのスピードのコンベアに積載し、高圧水銀灯(80W/cm)を使って高さ10cmの位置から紫外線を照射して硬化した。
【0036】
得られた硬化ポリマーについてその引っ張り強度、伸び率を調べた。引っ張り強度と伸び率は、JIS K7113に準拠し、引っ張り速度300mm/minで行った。結果を表1に示す。
【0037】
(比較例1)
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を7モル、ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業社製 PTG−850SN:数平均分子量850)を3モル、ネオペンチルグリコール(NPG)を3モル加え、60℃に達するまで加熱した。ジブチルスズジラウレートを、合成終了時得られる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーに対して200ppm添加し、1時間、冷却と加熱を繰り返し反応容器内温度を60℃±3℃に保ちながら攪拌した。さらに80℃に加熱した後、残存NCO濃度が理論値または、理論値以下になるまで反応容器内温度を75〜80℃に保ちながら攪拌を続け、ウレタンオリゴマーを合成した(第一ステップ)。
【0038】
その後、本反応容器にp−メトキシフェノールおよびジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを、それぞれ合成終了時得られる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーに対して200ppm添加し、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HOA)を2.2モル加え攪拌した。反応の終点は、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm−1)が消失したことにより確認した(第二ステップ)。
【0039】
このようにして得られた不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを実施例1と同様に硬化させ、その引っ張り強度、伸び率を調べた。その結果を表1に示す。
【0040】
(比較例2)
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を4モル、ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業社製 PTG−850SN:数平均分子量850)を3モル加え攪拌しながら、60℃に達するまで加熱した。ジブチルスズジラウリラートを、合成終了時得られる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーに対して200ppm添加し、1時間、冷却と加熱を繰り返し反応容器内温度を60℃±3℃に保ちながら攪拌した。さらに80℃に加熱した後、残存NCO濃度が理論値または、理論値以下になるまで反応容器内温度を75〜80℃に保ちながら攪拌を続け、ウレタンオリゴマーを合成した(第一ステップ)。
【0041】
その後、本反応容器にp−メトキシフェノールおよびジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを、それぞれ合成終了時得られる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーに対して200ppm添加し、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HOA)を2.2モル加えた。反応の終点は、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm−1)が消失したことにより確認した(第二ステップ)。
【0042】
このようにして得られたウレタン・不飴和オルガノオリゴマーを実施例1と同様に硬化させ、その引っ張り強度、伸び率を調べた。その結果を表1に示す。
【0043】
(実施例2)
実施例1のイソホロンジイソシアネート(IPDI)をジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に、ポリテトラメチレングリコール(PTG−850SN)をポリプロピレングリコール(旭電化工業社製 P−700:数平均分子量700)に代えた以外は、実施例1と同様にして不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを合成した。実施例1と同様に硬化させ、その引っ張り強度、伸び率を調べた。その結果を表1に示す。
【0044】
(実施例3)
実施例1のイソホロンジイソシアネート(IPDI)を2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)に、ポリテトラメチレングリコール(PTG−850SN)をポリプロピレングリコール(旭電化工業社製 P−700:数平均分子量700)に代えた以外は、実施例1と同様にして不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを合成した。実施例1と同様に硬化させ、その引っ張り強度、伸び率を調べた。その結果を表1に示す。
【0045】
(比較例3、4)
表1に示すように、比較例1のポリテトラメチレングリコール(PTG−850SN)をポリプロピレングリコール(旭電化工業社製 P−700:数平均分子量700)に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)をジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)または2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)に代えたこと以外は比較例1と同様に、不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを合成した。実施例1と同様に硬化させ、その引っ張り強度、伸び率を調べた。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004286341
【0047】
表1に示すとおり、本発明を適用する実施例1〜3の不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを硬化させたポリマーは、比較例1〜4のポリマーに比べ、引っ張り強度、伸び率ともに優れていた。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明を適用する不飽和基を含有するウレタンオリゴマーは、低分子量のジヒドロキシル化合物やポリマーポリオール由来のウレタン構造はそれぞれ局在化していることが特徴で、これを硬化したポリマーの引っ張り強度、伸び率がともに優れている。したがってこの不飽和基を含有するウレタンオリゴマーは、活性エネルギー線で硬化させるタイプの各種インキ、塗料コーティング剤、接着剤、感光性樹脂素材等として幅広い用途に使用できる。また、工業的に入手が容易で、安価な原料を用いた際も、本発明を適用することで、引っ張り強度、伸び率ともに優れた硬化膜になる不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを得ることができ、本発明の効果は計り知れない。

Claims (6)

  1. 炭素数が2〜10でありカルボキシル基を有していてもよい低分子量のジヒドロキシル化合物nモル当量(nは3〜100)と有機ジイソシアネート化合物(n+1)モル当量とを重付加反応させて両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーを合成し、該ウレタンオリゴマーに有機ジイソシアネート(l+m)モル当量(lおよびmは各々0〜100で、かつl+mは3〜100)と分子量200〜2000のポリマーポリオール(l+m)モル当量とを加え重付加反応させて得られた両末端にイソシアネート基を有し主鎖が延伸したウレタンオリゴマーに、二重結合を一つ以上含むヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル2〜2.4モル当量を付加反応させて製造されるもので、
    下記式
    Figure 0004286341
    (式中、-OR1O-は前記ジヒドロキシル化合物の脱水素残基、-OR2O-は前記ポリマーポリオールの脱水素残基、-A-は-OCNHR3NHCO-であり-R3-は前記有機ジイソシアネート化合物の脱イソシアネート残基、CH2=C(R4)COOR5O-は前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルの脱水素残基である。lおよびmは各々0〜100の整数で、かつl+mは〜100の整数、nは〜100の整数である。)からなることを特徴とする不飽和基を含有するウレタンオリゴマー。
  2. 前記式中の-OR1O-は、カルボキシル基を有していてもよく炭素数が2〜10の中から選ばれる少なくとも一種類の前記ジヒドロキシル化合物R1(OH)2の脱水素基であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和基を含有するウレタンオリゴマー。
  3. 前記式中の-OR2O-は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAの酸化アルキレン付加物から選ばれる少なくとも一種類のポリエーテル系ジオール、多価アルコールと多塩基酸とからなるエステルから選ばれる少なくとも一種類のポリエステル系ジオール、ヘキサメチレンカーボネートとペンタメチレンカーボネートから選ばれる少なくとも一種類のポリカーボネート系ジオール、ポリカプロラクトンジオールとポリブチロラクトンジオールから選ばれる少なくとも一種類のポリラクトン系ジオールから選ばれる少なくとも一種類の前記ポリマーポリオールR2(OH)2の脱水素基であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和基を含有するウレタンオリゴマー。
  4. 前記式中のCH2=C(R4)COOR5O-は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−ジ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種類の前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルCH2=C(R4)COOR5OHの脱水素基であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和基を含有するウレタンオリゴマー。
  5. 前記式中の-A-は-OCNHR3NHCO-であり、-R3-は前記有機ジイソシアネート化合物の脱イソシアネート残基であって、該有機ジイソシアネート化合物が、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、(o、m、またはp)−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロへキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの重縮合物から選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和基を含有するウレタンオリゴマー。
  6. 炭素数が2〜10でありカルボキシル基を有していてもよい低分子量のジヒドロキシル化合物nモル当量(nは3〜100)と有機ジイソシアネート化合物(n+1)モル当量とを重付加反応させて両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーを合成し、該ウレタンオリゴマーに有機ジイソシアネート(l+m)モル当量(lおよびmは各々0〜100で、かつl+mは3〜100)と分子量200〜2000のポリマーポリオール(l+m)モル当量とを加え重付加反応させて得られた両末端にイソシアネート基を有し主鎖が延伸したウレタンオリゴマーに、二重結合を一つ以上含むヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル2〜2.4モル当量を付加反応させて、請求項1の式に記載の不飽和基を含有するウレタンオリゴマーを製造することを特徴とするウレタンオリゴマー製造方法。
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