JP4285927B2 - Atv用タイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、砂、泥、雪、草原、岩場などの不整地を走行するバギー用タイヤその他のATV(all terrain vehicle)用タイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
不整地を走行するATV用タイヤでは、タイヤの特性としては、乗り心地のよさと、エンペロープ性に優れ、針の出ている板上や岩場・階段などでの走破性が要求される。また、経済性、メンテナンス性の向上のためタイヤとリムとを分離し、耐パンク性の改良のため、タイヤコードにより路面部を補強している。さらに、車としては、サスペンションのついた四輪車が使用され、タイヤには高速・高負荷重への要求が増していることから、タイヤコードによるバイアス構造とされている。さらに、不整軟弱地での走破性を保つため、空気圧は15〜45kPaで使用され、安全性を保つためビード落ち抵抗力を確保する必要性から、リム・タイヤ両面から工夫がなされ、リムではハンプ高さを乗用車タイヤより高くし、ビートワイヤーはワインディング径がリムハンプ径と同等かそれ以下に設計されている。
【0003】
そして、従来より、トレッド部に、溝により区分された多数のブロックを形成し、このブロックによって、駆動、制動或いはコーナリング時に、土や雪をブロックのエッジで削り取ったり、ブロックのエッジを路面に食い込ませることによって、グリップを向上させ、駆動力や制動力を上げるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コーナリングの際に、操縦性及び安定性を高め、スムーズなコーナリングをなし得るようにするためには、タイヤのスライド性を向上させることが必要であり、タイヤの操縦性の中でスライド性は重要な要素の1つである。
しかし、上記の如くタイヤの操縦性の中の重要な要素の1つであるスライド性は、トレッドパターンによる影響が大きく、スライド性を改良するために、トレッドパターンを大きく変更すると、トラクション等の他性能へ影響を及ぼす可能性がある。従って、トレッドパターンを殆ど変更することなくスライド性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、タイヤのスライド性を、トラクション等の他性能への影響を最小限に抑えて、向上させるようにしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決する本発明の技術手段は、溝3により区分された複数のブロック4がトレッド部2に形成されたATV用タイヤにおいて、前記複数のブロック4は、周方向に真っ直ぐ伸びた溝により区分されたブロックで構成された第1ブロック4aの列、第2ブロック4bの列および第3ブロック4cの列からなり、前記第1ブロック4aは、トレッドセンターOを跨いで幅方向両側に前記トレッドセンターOから前記トレッド部2の外端までの幅に対して40%以下の範囲に設けられ、前記第2ブロック4bは、前記幅方向両側において前記第1ブロック4aよりも外方にそれぞれセンターOから前記トレッド部2の外端までの幅に対して40%以上かつ70%以下の範囲に設けられ、前記第3ブロック4cは、前記幅方向両側において前記第2ブロック4bよりも外方にそれぞれセンターOから前記トレッド部2の外端までの幅に対して70%以上かつ100%以下の範囲に設けられており、前記第2ブロック4bの前記幅方向における外側上縁部に、前記トレッドセンターO側から前記トレッド部2の外端側に向けて下降傾斜するテーパー面7が形成されている点にある。
【0007】
好ましくは、前記テーパー面7は、下端縁7aの前記溝(3)の底面11からの高さH2が、上端縁の前記溝3の底面11からの高さL1の60%以上になるように形成されている。
好ましくは、前記第2ブロック4bの前記幅方向における外側面10に対する前記テーパー面7の傾斜角度βが、10°〜30°の範囲に設定されている。
好ましくは、前記第2ブロック4bの前記幅方向における外側面10は、前記外側面10またはその拡大面が前記溝3と交わる部分における前記溝3の底面11に向けた垂直線Tに対する傾斜角度αが、20°〜40°に設定されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に従って説明する。図1及び図2において、1は砂、泥、雪、草原、岩場などの不整地を走行するATV用タイヤで、そのトレッド部2に、溝3により区分された多数のブロック4(4a,4b,4c)が形成されている。
前記多数のブロック4には、トレッド部2のトレッドセンターO側に形成された第1ブロック4aの列と、第1ブロック4aの幅方向両外方に形成された第2ブロック4bの列と、第2ブロック4bの幅方向外方に形成された第3ブロック4cの列とがある。各第1ブロック4aはタイヤ1の周方向(回転方向)に向けてV字状に形成され、各第2ブロック4b及び第3ブロック4cは、タイヤ1の周方向及び幅方向に傾斜した平行四辺形状に形成されている。
【0009】
トレッド部2のトレッドセンターOから幅方向外方に離れた距離を、トレッドセンターOからトレッド部2外端までの幅Aに対する百分率で表したとき、第1ブロック4aは、トレッド部2の0%〜40%の距離の範囲に配置され、第2ブロック4bは、トレッド部2の略40%〜70%の距離の範囲に、左右(幅方向)2列に配置され、第3ブロック4cは、トレッド部2の70%〜100%の範囲に、左右2列に配置されている。各第1ブロック4a、第2ブロック4b及び第3ブロック4cは、タイヤ1の周方向(回転方向)に間隔をおいて列状に多数配置されている。
【0010】
前記幅方向2列の各第2ブロック4bの外側上縁部、即ちブロック4bのタイヤ幅方向における外側の上縁部は、トレッド部2の40%〜70%の距離の範囲に配置されている。より具体的には図例ではトレッド部2の65%程度の距離に配置されている。この各第2ブロック4bの外側上縁部にテーパー面7が形成され(C面取され)、この各テーパー面7は、ブロック4bのタイヤ回転方向の全長に亘って設けられ、ブロック4bのトレッドセンターO側からトレッド部外端側に向けて徐々に下降するように傾斜されている。
【0011】
ブロック4bの上面(踏み面)9から各テーパー面7の下端縁7aまでの深さL2は、ブロック4bを形成する溝3の深さL1の40%以下で、好ましくは25%以下とされている。換言すれば、溝3の底面11から各テーパー面7の下端縁7aまでの高さH2が、溝3の深さL1の60%以上で、好ましくは75%以上とされている。また、各ブロック4bのタイヤ幅方向における外側面(溝立ち上がり面)10に対する前記テーパー面7の傾斜角度βが、10°〜30°の範囲に設定され、ブロック4bを形成する溝3の底面11に向けた垂直線Tに対するブロック4bのタイヤ幅方向における外側面10の傾斜角度αが、20°〜40°に設定されている。
【0012】
上記実施の形態によれば、トレッドセンターOよりも幅方向外方に40%から70%の距離の範囲に存在しているブロック4bの外側上縁部に、テーパー面7が形成されているので、直進走行時においてタイヤ1にトラックションがかかる状況では、タイヤ1のトレッド部2が接地する面は、トレッド部2のトレッドセンターOから幅方向外方に40%の距離の前後であるため、テーパー面7による直進走行時におけるトラクション性能への影響を最小限に抑えることができる。
また、コーナーリング時は、接地するタイヤ1のトレッド部2が接地する面は、トレッド部2のトレッドセンターOから70%の距離の前後までとなり、テーパー面7が大きく作用し、コーナーリング走行時におけるスライド性が改善され、スムーズなコーナーリング走行をなし得るようになる。
【0013】
しかも、溝3の底面11から各テーパー面7の下端縁7aまでの高さH2が、溝3の深さL1の60%以上とされ、各ブロック4bの外側面10に対する前記テーパー面7の傾斜角度βが、10°〜30°の範囲に設定され、ブロック4bを形成する溝3の底面11に向けた垂直線Tに対するブロック4bの外側面10の傾斜角度αが、20°〜40°に設定されているので、ブロック4bの傾斜角度αと、テーパー面7の傾斜角度βとによる段階的な傾斜によって、ブロック4bのテーパー面7及び外側面10の摩耗を適度に抑えつつ効果的にスライド性を高めることができる。
【0014】
また、各ブロック4bの外側上縁部と内側上縁部の両方にテーパー面を形成した場合には、ブロック4bの接地面積が狭くなって、ブロック4bの摩耗が大になるという問題を生じ、また、各ブロック4bのタイヤ回転方向の前端側の上縁部にテーパー面を形成した場合には、接地面側におけるタイヤ回転方向の前端側に、ブロック4bのエッジがなくなって、トラクション性能が悪くなるという問題を生じるが、上記実施の形態では、各ブロック4bの外側上縁部のみにテーパー面7を形成しているため、上記の如くブロック4bの摩耗が必要以上に大きくなったり、またトラクション性能が悪くなるようなことを確実に防止しつつ、コーナーリングの応答性(リアタイヤのスライド性能)を向上させることができる。つまり、各ブロック4bの外側上縁部にテーパー面を形成しない場合には、ATVがコーナリングの際にリアに位置するタイヤのブロック4bの外側上縁部のエッジが引っ掛かって、コーナリングの応答性(リアタイヤのスライド性能)が劣ることとなるが、上記の如く各ブロック4bの外側上縁部のみにテーパー面7を形成しているため、ブロック4bの摩耗の増大とトラクション性能の悪影響とを防止しながらも、ブロック4bの外側上縁部に位置するテーパー面7によりコーナーリングの応答性を向上させることができるのである。
【0015】
図3は他の実施の形態を示し、そのトレッド部2に、タイヤ1の周方向及び幅方向の溝3により区分された多数のブロック4(4a,4b,4c)が形成され、各第1ブロック4a、第2ブロック4b、第3ブロック4cは、直方体形状に形成されている。その他の点は前記実施の形態の場合と同様の構成であり、2列の各第2ブロック4bの外側上縁部は、トレッド部2の40%〜70%の距離の範囲に配置され、この各第2ブロック4bの外側上縁部に前記実施の形態の場合と同様のテーパー面7が形成されており、この場合も、テーパー面7による直進走行時におけるトラクション性能への影響を最小限に抑えることができると同時に、コーナーリング走行時におけるスライド性が改善され、スムーズなコーナーリング走行をなし得る。
【0016】
なお、前記実施の形態では、ブロック4は、四角形状であるが、ブロック4の形状はこれに限定されず、例えば三角形、五角形以上の多角形、楕円形状その他形状であってもよい。また、ブロック4のパターン配列も、前記実施の形態のような第1〜第3のブロック列に限らず、種々の配列が考られ、ブロック列をなさないようなパターン配列であってもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、タイヤのスライド性を、トラクション等の他性能への影響を最小限に抑えて、向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示すブロック部分の正面断面図である。
【図2】 同タイヤの平面図である。
【図3】 他の実施の形態を示すタイヤの平面図である。
【符号の説明】
1 ATV用タイヤ
2 トレッド部
3 溝
4 ブロック
4a 第1ブロック
4b 第2ブロック
4c 第3ブロック
7 テーパー面
10 外側面
11 底面
Claims (4)
- 溝(3)により区分された複数のブロック(4)がトレッド部(2)に形成されたATV用タイヤにおいて、
前記複数のブロック(4)は、周方向に真っ直ぐ伸びた溝により区分されたブロックで構成された第1ブロック(4a)の列、第2ブロック(4b)の列および第3ブロック(4c)の列からなり、
前記第1ブロック(4a)は、トレッドセンターOを跨いで幅方向両側に前記トレッドセンターOから前記トレッド部(2)の外端までの幅に対して40%以下の範囲に設けられ、
前記第2ブロック(4b)は、前記幅方向両側において前記第1ブロック(4a)よりも外方にそれぞれセンターOから前記トレッド部(2)の外端までの幅に対して40%以上かつ70%以下の範囲に設けられ、
前記第3ブロック(4c)は、前記幅方向両側において前記第2ブロック(4b)よりも外方にそれぞれセンターOから前記トレッド部(2)の外端までの幅に対して70%以上かつ100%以下の範囲に設けられており、
前記第2ブロック(4b)の前記幅方向における外側上縁部に、前記トレッドセンターO側から前記トレッド部(2)の外端側に向けて下降傾斜するテーパー面(7)が形成されている
ことを特徴とするATV用タイヤ。 - 前記テーパー面(7)は、
下端縁(7a)の前記溝(3)の底面(11)からの高さH2が、上端縁の前記溝(3)の底面(11)からの高さL1の60%以上になるように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のATV用タイヤ。 - 前記第2ブロック(4b)の前記幅方向における外側面(10)に対する前記テーパー面(7)の傾斜角度βが、10°〜30°の範囲に設定されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のATV用タイヤ。 - 前記第2ブロック(4b)の前記幅方向における外側面(10)は、
前記外側面(10)またはその拡大面が前記溝(3)と交わる部分における前記溝(3)の底面(11)に向けた垂直線Tに対する傾斜角度αが、20°〜40°に設定されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のATV用タイヤ。
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