JP4285715B2 - 蛍光体パターンの形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光体パターンの形成方法に関し、更に詳しくは300〜400nmの長波長の紫外線照射において、発光強度に優れた蛍光体表示が得られる基板面に対して平滑な蛍光体パターンの形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛍光体パターンを利用したPDP(プラズマディスプレイパネル)等の各種平板ディスプレイパネルの開発が盛んに行われており、ラップトップ型パソコンの表示画面から、各種電光掲示板、更には、いわゆる「壁掛けテレビ」へとその用途は拡大しつつあり、このような蛍光体パターンを形成するに当たっては蛍光体含有感光性樹脂組成物が用いられるようになってきた。
【0003】
一般的に、ガラス等の基板に蛍光体パターンを形成するに当たっては、特開平6−273925号公報に記載の如き蛍光体含有感光性樹脂組成物を用い、紫外線を照射し、露光、現像を行い、その後焼成を行って蛍光体パターンを形成する。この際露光時の紫外線としては、通常長波長の紫外線が用いられる。次に該パターン形成された蛍光体に紫外線を照射して蛍光体の発光が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平6−273925号公報開示技術は、現像後、焼成を行い、蛍光体のみのパターンを基板に形成するものであり、後工程として、形成された蛍光体パターンの上にITO電極や散乱層等を設ける場合は、粉体の凝集力の低さ故に粉体単体ではなく、1〜500μmの膜厚をもつ蛍光体含有感光性樹脂組成物からなる硬化レジスト層とする必要があった。更には、かかる蛍光体パターンの凹凸部による影響も考慮すると、基板面に対して平滑にする必要があった。
【0005】
又、蛍光体の発光に際して、通常の光重合開始剤を使用する蛍光体含有感光性樹脂組成物では、照射された長波長の紫外線を吸収し、蛍光体の発光を阻害してしまうため、発光強度が低くなるという問題点があった。かかる問題点を防ぐために、光重合開始剤に吸収されない短波長の紫外線を照射して蛍光体の発光を行う必要があり、蛍光体表示においては、露光時に照射する長波長の紫外線とは異なる短波長の紫外線に対応した蛍光表示体としなければならなかった。
【0006】
そこで、本発明ではこのような背景下において、基板上に形成された蛍光体パターンが基板面に対して平滑であり、ITO電極や散乱層を設ける等の後工程に最適で、かつ長波長の紫外線照射においても蛍光体の発光強度に優れた蛍光体パターンの形成方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】
しかるに、本発明者は上記の事情に鑑みて鋭意研究した結果、基板に、蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)を積層し、露光、現像を行い、蛍光体含有レジストパターンを形成した後、該蛍光体含有レジストパターンの凹部に、エチレン性不飽和化合物(B)と自己開裂型光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物(D)を蛍光体含有レジストパターンの凹部の高さまで充填し上部を平滑にした後、或いは該凹部の高さより1〜50μm高く充填し平滑にした後、光硬化する300〜400nmの長波長の紫外線を照射することにより蛍光体を発光させるための基板面に対して平滑な蛍光体パターンの形成方法が、基板面に対して平滑な蛍光体パターンが得られ、長波長の紫外線照射において、優れた発光強度を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明においては、自己開裂型光重合開始剤(C)として、露光後の感光性樹脂組成物の365nmにおける紫外線透過率が80%以上となるような光重合開始剤を用いるとき、特に顕著な効果を示す。
更に本発明では、蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)が、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)、エチレン性不飽和化合物(F)、自己開裂型光重合開始剤(G)及び蛍光体(H)からなるとき特に顕著な効果を示す。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。尚、本発明の蛍光体パターンの形成方法により得られる蛍光体パターンを図1に示す。
本発明の蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)、エチレン性不飽和化合物(F)、自己開裂型光重合開始剤(G)及び蛍光体(H)からなるものであることが好ましい。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)としては、(メタ)アクリレートを主成分とし、エチレン性不飽和カルボン酸や他の共重合可能なモノマーを共重合したアクリル系共重合体が用いられる。アセトアセチル基含有アクリル系共重合体を用いることもできる。更に必要に応じて、ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂等を併用することもできる。
【0010】
ここで(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0011】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、その他、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましい。
【0012】
エチレン性不飽和カルボン酸は15〜30重量%程度(酸価で100〜200mgKOH/g程度)共重合することが好ましい。
他の共重合可能モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等が例示できる。
【0013】
エチレン性不飽和化合物(F)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グルセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
【0014】
これらの多官能モノマーと共に、単官能モノマーを適当量併用することもでき、かかる単官能モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0015】
エチレン性不飽和化合物(F)の配合割合は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)100重量部に対して10〜200重量部が好ましく、特に好ましくは40〜100重量部である。エチレン性不飽和化合物(F)の過少は硬化不良、可撓性の低下、現像速度の遅延を招き、エチレン性不飽和化合物(F)の過多は粘着性の増大、コールドフロー、硬化レジストの剥離速度の低下を招くことになる。
【0016】
本発明で用いられる光重合開始剤(G)としては、自己開裂型のものであれば特に限定されないが、好ましくは上記カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)、上記エチレン性不飽和化合物(F)及び自己開裂型光重合開始剤(G)からなる感光性樹脂組成物を露光した際の365nmにおける紫外線透過率が80%以上、好ましくは80〜95%となるような光重合開始剤を用いることが望まれる。該紫外線透過率が80%未満では蛍光体含有感光性樹脂組成物中の蛍光体の輝度が極端に低下することとなり好ましくない。
【0017】
かかる自己開裂型光重合開始剤(G)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2−ジヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン等が挙げられ、中でも2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが特に好ましく用いられる。
【0018】
ここで、365nmにおける紫外線透過率は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)、エチレン性不飽和化合物(F)及び自己開裂型光重合開始剤(G)を含む感光性樹脂組成物をガラスに貼り、365nmの紫外線で露光した後、紫外線透過率測定器(PHOTO RESEARCH社製、「PR−650分光測色計」)により測定される。
【0019】
本発明では、光重合開始剤として上記自己開裂型光重合開始剤(G)のみを用いるものであり、該自己開裂型光重合開始剤(G)の含有量としては、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)とエチレン性不飽和化合物(F)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜3重量部である。自己開裂型光重合開始剤(G)の含有量が0.1重量部未満では硬化不良による膜強度の低下を招くこととなり、10重量部を越えると調合時に不純物として残ることとなり好ましくない。
【0020】
本発明で用いられる蛍光体(H)としては、長波長の紫外線により励起発光するものであれば特に限定されないが、例えば、ZnS;Ag,Al、ZnS;Cu,Al、ZnS;Ag、(Zn,Cd)S;Cu,Al、Y22S;Eu、ZnO;Zn等が挙げられ、1種又は2種併用して用いられる。
【0021】
蛍光体(H)の含有量は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)とエチレン性不飽和化合物(F)の合計100重量部に対して、30〜180重量部が好ましく、より好ましくは50〜160重量部である。
かかる含有量が30重量部未満では発光輝度が不足することとなり、180重量部を越えると後述のフィルム化がし難くなり好ましくない。
蛍光体(H)を含有させる方法としては、特に限定されず公知の方法、例えば上記の感光性樹脂組成物に所定量の蛍光体(H)を添加して、充分混合撹拌して蛍光体を均一に分散させる方法等がある。
【0022】
更に上記の蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)には、その他、染料(着色、発色)、密着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、溶剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤などの添加剤も適宜添加することができる。
又、蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)を予めフィルム化しておくことが好ましく、具体的には、上記の(E)〜(H)からなる感光性樹脂組成物をドライフィルムレジスト用積層体(フォトレジストフィルム)として、その後蛍光体パターンの形成に供することが好ましい。
【0023】
本発明においては、基板に、上記蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)を積層し、露光、現像を行い、蛍光体含有レジストパターンを形成した後、該蛍光体パターンの凹部に、エチレン性不飽和化合物(B)と自己開裂型光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物(D)を蛍光体含有レジストパターンの凹部の高さまで充填し上部を平滑にした後、或いは該凹部の高さより1〜50μm高く充填し平滑にした後、光硬化し、蛍光体パターンを形成するものであり、以下、かかる蛍光体パターンの形成方法について具体的に説明する。
【0024】
(成層方法)
上記蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)をポリエステルフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリスチレンフイルム等のベースフイルム面に塗工した後、その塗工面の上からポリエチレンフイルム、ポリビニルアルコール系フイルム等の保護フイルムを被覆してドライフィルム用積層体とする。
この時の蛍光体含有感光性樹脂組成物の膜厚は、蛍光体の含有量等により異なり一概には言えないが、通常10〜200μmが好ましい。
【0025】
(露光)
上記ドライフィルムレジストにより、画像を形成させるにはベースフィルムと蛍光体含有感光性樹脂組成物層との接着力及び保護フィルムと蛍光体含有感光性樹脂組成物層との接着力を比較し、接着力の低い方のフィルムを剥離してから蛍光体含有感光性樹脂組成物層の側を、ガラスや金属、プラスチック等の基板にラミネートした後、他方のフィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。この時必要に応じて、該ドライフィルムレジストを2枚以上積層することも可能である。
ラミネートの条件は特に限定されないが、例えばラミネートロール温度40〜150℃、ロール圧1〜5kg/cm2、ラミネート速度0.1〜5m/minである。
【0026】
又、感光性樹脂組成物が粘着性を有しないときは、前記他方のフィルムを剥離してからパターンマスクを感光性樹脂組成物層に直接接触させて露光することもできる。
露光は、通常長波長(300〜400nm)の紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0027】
(現像)
露光後は、レジスト上のフィルムを剥離除去してから現像を行う。上記の蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウム等のアルカリ0.5〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行う。この際有機アルカリ等の現像液を使用することも可能である。
かかる現像により蛍光体含有レジストパターンが形成される。
【0028】
(感光性樹脂組成物(D)の充填)
現像後、得られた蛍光体含有レジストパターンの凹部に、エチレン性不飽和化合物(B)と自己開裂型光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物(D)を充填する。
感光性樹脂組成物(D)の充填は、蛍光体含有レジストパターンの凹部の高さまで充填し上部を平滑にする、或いは該凹部の高さより1〜50μm高く充填し平滑にする(図1参照)。
充填方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)得られた蛍光体含有レジストパターンの凹部に直接感光性樹脂組成物(D)を流し込み上部をスキージ等でこすり充填する方法や、(2)鏡面支持体(ガラス、SUS等)上に感光性樹脂組成物(D)を垂らしその上から蛍光体含有レジストパターンを下向きにして被せ、気泡を取り除き充填する方法、等が挙げられる。中でも表面平滑性の点で(2)の方法が好ましい。
【0029】
上記エチレン性不飽和化合物(B)としては、特に限定されないが、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はそのエチレンオキサイド変性物等が挙げられ、中でもビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物が好適に用いられる。
【0030】
上記自己開裂型光重合開始剤(C)としては、自己開裂型のものであれば特に限定されないが、好ましくは光重合後感光性樹脂組成物(D)の365nmにおける紫外線透過率が80%以上、好ましくは80〜95%となるような光重合開始剤を用いることが望まれる。該紫外線透過率が80%未満では蛍光体発光時の輝度が極端に低下することとなり好ましくない。
ここで、365nmにおける紫外線透過率は、エチレン性不飽和化合物(B)及び自己開裂型光重合開始剤(C)を含む感光性樹脂組成物をガラスに貼り、365nmの紫外線で露光した後、紫外線透過率測定器(PHOTO RESEARCH社製、「PR−650分光測色計」)により測定される。
【0031】
かかる自己開裂型光重合開始剤(C)としては、例えば上記の自己開裂型光重合開始剤(G)と同様の、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2−ジヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン等が挙げられ、中でも2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが特に好ましく用いられる。
【0032】
感光性樹脂組成物(D)は、上記エチレン性不飽和化合物(B)及び自己開裂型光重合開始剤(C)からなるが、該エチレン性不飽和化合物(B)と自己開裂型光重合開始剤(C)の配合割合については、自己開裂型光重合開始剤(C)がエチレン性不飽和化合物(B)と自己開裂型光重合開始剤(C)全体に対して0.5〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量%、特に好ましくは1〜2重量%である。かかる配合割合が0.5重量%未満では硬化不良を起こすこととなり、10重量%を越えると光重合開始剤が不溶化し好ましくない。
【0033】
(光硬化)
感光性樹脂組成物(D)を先の現像により得られた蛍光体含有レジストパターンの凹部に充填した後は、紫外線照射により感光性樹脂組成物(D)を光硬化する。
光硬化に際しては、波長300〜400nmの紫外線で行うことが好ましく、光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。
硬化後は、基板面に対して平滑な蛍光体パターンが形成される(図1参照)。
【0034】
かくして本発明の上記方法により、ガラスや金属、プラスチック等の基板上に、基板面全体に対して平滑な蛍光体パターンを形成することができる。
又、本発明においては、特定の光重合開始剤を使用しているため、現像した後は、焼成を行うことなく、300〜400nmの長波長の紫外線を照射することにより蛍光体を発光することができる。
該紫外線の照射においては、上記露光時に使用した露光機を用いて行うことができ、長波長の紫外線照射でも、発光強度に優れた効果を発揮するのである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0036】
実施例1
下記のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)20.5部、下記のエチレン性不飽和化合物(F)19部及び下記の光重合開始剤(G)0.5部及び下記蛍光体(H)60部を混合して、蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)のドープを調整した(溶媒:メチルエチルケトン)。
【0037】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)
メチルメタクリレート/メタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸/メタクリル酸の共重合割合が重量基準で58/5/11/3/1/22である共重合体(酸価151.0mgKOH/g、ガラス転移点79.0℃、重量平均分子量8万)
【0038】
エチレン性不飽和化合物(F)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユービーシー社製、
「OTA−480」) 15部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 4部
【0039】
光重合開始剤(G)
・2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
(チバガイギー社製、「イルガキュアー651」)
蛍光体(H)
・Y22S:Eu
(発光波長;626nm,粒径;5.1μm)
【0040】
次いで、得られたドープをギャップ5ミルのアプリケーターを用いて厚さ20μmのポリエステルフィルム上に塗工し、室温で1分30秒放置した後、60℃、90℃、110℃のオーブンでそれぞれ3分間ずつ乾燥して、レジスト厚20μmの蛍光体含有感光性樹脂組成物層からなるドライフィルムレジストを作製した。(ただし保護フイルムは設けていない)。
【0041】
該ドライフィルムレジストの感光性樹脂組成物層側を、オーブンで60℃に予熱したガラス基板(200mm×200mm×2mm)に接するように、ラミネートロール温度100℃、ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度1.0m/minの条件でラミネートした。
【0042】
(露光、現像)
ラミネート後、ポリエステルフィルム上に、100μm角上下左右200μmピッチで露光されるように、透明に抜けた銀塩フィルムマスクを全面に乗せて、オーク製作所の露光機HMW−532Dにて3kw超高圧水銀灯で、80mjにて露光した。(露光に使用する紫外線の波長は365nmであった。)
尚、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー、エチレン性不飽和化合物、自己開裂型光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物の露光後の365nmにおける紫外線透過率は80%であった。
露光後、15分間のホールドタイムを取った後、1%炭酸ソーダ水溶液、30℃で最少現像時間の1.5倍の時間、現像した。
【0043】
(感光性樹脂組成物(D)の充填、光硬化)
下記の感光性樹脂組成物(D)を平滑なガラス面の上に垂らし、そこに上記現像により得られた蛍光体含有レジストパターンのドット側を下にしてかぶせ、真空引きにて気泡を完全に取り除いた後、ガラスの側から長波長の紫外線を用いて1000mj露光し、光硬化した。露光後、ガラスを剥がし、本発明の蛍光体パターンを形成させ(蛍光体含有レジストパターンの厚み20μm、感光性樹脂組成物(D)の基板からの厚み25μm)、蛍光表示体を得た。得られた蛍光体パターンは、基板面に対して平滑なものであった。
【0044】
感光性樹脂組成物(D)
エチレン性不飽和化合物(B)として、ビスフェノールA型のエチレンオキサイド4モル変性ジメタクリレート(共栄社油脂化学工業社製、「BP−4EA」)99部及び、自己開裂型光重合開始剤(C)として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(チバガイギー社製、「イルガキュアー651」)1部を混合し、調製した。
尚、露光後の感光性樹脂組成物(D)の365nmにおける紫外線透過率が80%であった。
【0045】
得られた蛍光表示体について、365nmの長波長紫外線ランプを用いてオーバーコート層側より照射を行い、分光測色計(PHOTO RESEARCH社製、「PR−650分光測色計」)により発光強度を測定した。
【0046】
実施例2
実施例1において、光重合開始剤(G)を1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン(チバガイギー社製、「イルガキュアー184」)に変更した以外は同様に行い、蛍光体含有感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に蛍光体パターンを形成し(蛍光体含有レジストパターンの厚み20μm)、蛍光表示体を得た。得られた蛍光体パターンは、基板面に対して平滑なものであった。
尚、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー、エチレン性不飽和化合物及び光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物を露光した際の365nmにおける紫外線透過率は60%であった。
得られた蛍光表示体を実施例1と同様に発光強度を測定した。
【0047】
実施例3
実施例1において、下記の感光性樹脂組成物樹脂(D)に変更した以外は同様に行い、実施例1と同様に蛍光体パターンを形成し、蛍光表示体を得た。得られた蛍光体パターンは、基板面に対して平滑なものであった。
【0048】
感光性樹脂組成物(D)
エチレン性不飽和化合物(B)として、グリセリントリアクリレート(ダイセルユーシービー社製、「OTA−480」)99部及び、自己開裂型光重合開始剤(C)として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバガイギー社製、「イルガキュアー184」)1部を混合し、調製した。
尚、露光後の感光性樹脂組成物(D)の365nmにおける紫外線透過率が60%であった。
得られた蛍光表示体を実施例1と同様に発光強度を測定した。
【0049】
比較例1
実施例1において、下記の感光性樹脂組成物に変更した以外は同様に行い、実施例1と同様に蛍光体パターンを形成し、蛍光表示体を得た。
【0050】
感光性樹脂組成物
エチレン性不飽和化合物(B)として、ビスフェノールA型エチレンオキサイド4モル変性ジメタクリレート(共栄社油脂化学工業社製、「BP−4EA」)99部及び、光重合開始剤として、ベンゾフェノン/4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン/2,2−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール(混合重量比8/0.15/1)1部を混合し、調製した。
尚、露光後の感光性樹脂組成物の365nmにおける紫外線透過率が30%であった。
得られた蛍光表示体を実施例1と同様に発光強度を測定した。
実施例、比較例の結果を表1に示す。
尚、評価については、実施例1で得られる輝度を100としたときの割合を示した。
【0051】
【表1】
Figure 0004285715
【0052】
【発明の効果】
本発明の蛍光体パターンの形成方法は、基板に、蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)を積層し、露光、現像を行い、蛍光体含有レジストパターンを形成した後、該蛍光体含有レジストパターンの凹部に、エチレン性不飽和化合物(B)と自己開裂型光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物(D)を蛍光体含有レジストパターンの凹部の高さまで充填し上部を平滑にした後、或いは該凹部の高さより1〜50μm高く充填し平滑にした後、光硬化するため、基板上に形成された300〜400nmの長波長の紫外線を照射することにより蛍光体を発光させるための蛍光体パターンが基板面に対して平滑であり、ITO電極や散乱層を設ける等の後工程に最適で、かつ長波長の紫外線照射においても蛍光体の発光強度に優れた効果を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法により形成された蛍光体パターンの概念図
【符号の説明】
1・・・基板
2・・・蛍光体含有レジストパターン
3・・・感光性樹脂組成物(D)

Claims (4)

  1. 基板に、蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)を積層し、露光、現像を行い、蛍光体含有レジストパターンを形成した後、該蛍光体含有レジストパターンの凹部に、エチレン性不飽和化合物(B)と自己開裂型光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物(D)を蛍光体含有レジストパターンの凹部の高さまで充填し上部を平滑にした後、或いは該凹部の高さより1〜50μm高く充填し平滑にした後、光硬化することを特徴とする300〜400nmの長波長の紫外線を照射することにより蛍光体を発光させるための基板面に対して平滑な蛍光体パターンの形成方法。
  2. 自己開裂型光重合開始剤(C)として、露光後の感光性樹脂組成物の365nmにおける紫外線透過率が80%以上となるような光重合開始剤を用いることを特徴とする請求項1記載の蛍光体パターンの形成方法。
  3. 蛍光体含有感光性樹脂組成物(A)が、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)、エチレン性不飽和化合物(F)、自己開裂型光重合開始剤(G)及び蛍光体(H)からなることを特徴とする請求項1記載の蛍光体パターンの形成方法。
  4. 蛍光体(H)として、ZnS;Ag,Al、ZnS;Cu,Al、ZnS;Ag、(Zn,Cd)S;Cu,Al、Y2O2S;Eu、ZnO;Znから選ばれる1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項1又は3記載の蛍光体パターンの形成方法。
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