しかしながら、特許文献1に開示された発明は、プラテン上の所定位置に記録媒体を搬送し、紙幅位置の検出信号に基づき画像記録情報を制御することでプラテンへのカラ打ちを未然に防止するものである。同文献はシャトル方式に限られた内容であり、縁無しプリントの実現に関して記載されていない。
インクジェット記録装置を用いて縁無しプリントを作成する場合、記録媒体よりも小さめに画像を記録し、余白の周縁部(端部)を切り落とす方法と、記録媒体よりも大きめに画像記録を行う方法がある。前者の方法は、余分なインクや記録媒体を消費し、また、切り落とした部分を回収・排出する機構も必要となる。後者の方法は、画像の周辺部が記録媒体領域内に収まらず、記録媒体の外側領域に吐出されたインクによって媒体搬送路が汚れたり、記録媒体の裏面にそのインクが付着したりするなどの不都合が生じる。
かかる課題に対して、特許文献2には、受像媒体の存在領域の検出を行い、その検出結果に基づいて縁無しプリントを達成する概念が記載されている。しかし、特許文献2は、縁無しプリントを実現する具体的な画像処理方法について述べていない。また、同文献では、画像のサイズと記録媒体のサイズの比によって画像記録領域を規定しているが、大型の記録媒体を使用する場合は、余白領域の絶対値(長さ)が大きくなり、白枠の縁が視認される可能性がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、インク、トナー等の記録材の無駄な消費を抑制するとともに、記録媒体領域外の汚れ等を防止して記録媒体上に縁無し画像を記録することができる画像記録装置及び方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、画像記録素子を備えた記録ヘッドと記録媒体を相対移動させるとともに、画像データに基づいて前記画像記録素子を駆動制御することにより記録媒体に画像を記録する画像記録装置において、前記相対移動による記録媒体の相対的な移動方向について前記記録ヘッドよりも上流に配置され、記録に先立ち記録媒体の存在領域の全体を検出すべく当該記録媒体の形状、姿勢及び位置を含む記録媒体情報を取得する記録媒体検出手段と、前記記録媒体検出手段から得られた記録媒体情報が示す記録媒体領域よりも大きい画像を入力画像データから生成するための倍率を、当該記録媒体情報に応じて設定する倍率設定手段と、前記倍率設定手段により設定された倍率に従って前記入力画像データから前記記録媒体領域よりも大きい画像データを生成する第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理手段により生成された画像データの画像中心を基準に、当該画像データから前記記録媒体情報に基づいて当該記録媒体情報が示す記録媒体領域の内側の画像範囲を切り出すトリミング処理を含む画像の編集処理を行うことにより、当該記録媒体情報が示す記録媒体領域よりも小さいサイズの画像データを生成する第2の画像処理手段と、前記第2の画像処理手段により生成された画像データに基づいて前記記録ヘッドを制御し、当該画像データが示す画像を記録媒体上に記録させる記録制御を行う記録制御手段と、を備え、前記倍率設定手段は、入力画像データのアスペクト比と記録媒体のアスペクト比とが異なる場合に、画像のアスペクト比を変更せずに前記記録媒体のサイズよりも大きい画像を生成し得る倍率であるとともに、前記第2の画像処理手段による前記トリミング処理の非プリント領域が必要最小限の大きさとなる倍率で倍率設定を行い、前記第2の画像処理手段により生成される画像データは、前記記録媒体の全周に対して該記録媒体の縁から次式
Pt×(n−1)+D<60μm
ただし、Pt:ドット間ピッチ(μm),D:ドット径(μm),n:自然数、
を満たすnドット分の内側の範囲について画像を記録しない領域を有するサイズであり、当該画像データに基づき、前記記録媒体の全周に対して当該記録媒体の縁から前記nドット分の余白を残して記録媒体領域の内側に画像が記録されることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像記録装置の一態様であり、前記記録ヘッドは、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の画像記録素子が配列されたフルライン型の記録ヘッドであることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の画像記録装置の一態様であり、前記記録媒体検出手段は、複数の画像読取素子がライン状に配列された構造を有するラインCCDセンサであり、該ラインCCDセンサは前記記録ヘッドと略平行に配置されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記目的を達成する方法発明を提供するものであり、画像記録素子を備えた記録ヘッドと記録媒体を相対移動させるとともに、画像データに基づいて前記画像記録素子を駆動制御することにより記録媒体に画像を記録する画像記録方法において、前記相対移動による記録媒体の相対的な移動方向について前記記録ヘッドよりも上流に配置された記録媒体検出手段を用い、記録に先立ち記録媒体の存在領域の全体を検出すべく当該記録媒体の形状、姿勢及び位置を含む記録媒体情報を取得する記録媒体検出工程と、前記記録媒体検出工程で得られた記録媒体情報が示す記録媒体領域よりも大きい画像を入力画像データから生成するための倍率を、当該記録媒体情報に応じて設定する倍率設定工程と、前記倍率設定工程により設定された倍率に従って前記入力画像データから前記記録媒体領域よりも大きい画像データを生成する第1の画像処理工程と、前記第1の画像処理工程により生成された画像データの画像中心を基準に、当該画像データから前記記録媒体情報に基づいて当該記録媒体情報が示す記録媒体領域の内側の画像範囲を切り出すトリミング処理を含む画像の編集処理を行うことにより、当該記録媒体情報が示す記録媒体領域よりも小さいサイズの画像データを生成する第2の画像処理工程と、前記第2の画像処理工程により生成された画像データに基づいて前記記録ヘッドを制御し、当該画像データが示す画像を記録媒体上に記録させる記録制御を行う記録制御工程と、を備え、前記倍率設定工程は、入力画像データのアスペクト比と記録媒体のアスペクト比とが異なる場合に、画像のアスペクト比を変更せずに前記記録媒体のサイズよりも大きい画像を生成し得る倍率であるとともに、前記第2の画像処理工程による前記トリミング処理の非プリント領域が必要最小限の大きさとなる倍率で倍率設定を行い、前記第2の画像処理工程により生成される画像データは、前記記録媒体の全周に対して該記録媒体の縁から次式
Pt×(n−1)+D<60μm
ただし、Pt:ドット間ピッチ(μm),D:ドット径(μm),n:自然数、
を満たすnドット分の内側の範囲について画像を記録しない領域を有するサイズであり、当該画像データに基づき、前記記録媒体の全周に対して当該記録媒体の縁から前記nドット分の余白を残して記録媒体領域の内側に画像を記録することを特徴とする。
また、本明細書は下記に示す発明をも開示する。
発明(1):発明(1)に係る画像記録装置は、画像記録素子を備えた記録ヘッドと記録媒体を相対移動させるとともに、画像データに基づいて前記画像記録素子を駆動制御することにより記録媒体に画像を記録する画像記録装置において、使用される記録媒体のサイズを確定する記録媒体サイズ確定手段と、前記記録媒体サイズ確定手段により確定された記録媒体サイズ及び入力画データに基づき当該記録媒体サイズよりも大きい画像を生成するための倍率を設定する倍率設定手段と、前記倍率設定手段により設定された倍率に従って前記入力画像データから前記記録媒体サイズよりも大きい画像データを生成する第1の画像処理手段と、前記相対移動による記録媒体の相対的な移動方向について前記記録ヘッドよりも上流に配置され、記録媒体の形状、姿勢及び位置を含む記録媒体情報を取得する記録媒体検出手段と、前記第1の画像処理手段により生成された画像データから前記記録媒体情報に基づき当該記録媒体情報が示す記録媒体領域と同等又はこれよりも小さいサイズの画像データを生成する第2の画像処理手段と、前記第2の画像処理手段により生成された画像データに基づいて前記記録ヘッドを制御し、当該画像データが示す画像を記録媒体上に記録させる記録制御手段と、を備えたことを特徴とする。
発明(1)によれば、まず、記録媒体サイズ確定手段において、使用する記録媒体のサイズが特定される。プリント対象として入力された画像のデータは、第1の画像処理手段によって倍率設定手段の設定倍率に従い拡大又は縮小処理され、記録媒体サイズよりも大きいサイズの画像(第1処理画像という。)に変換される。記録媒体検出手段は、記録ヘッドの手前(記録工程に入る前)において記録媒体の形状、姿勢及び位置を検出し、実際の記録媒体の存在領域を示す記録媒体情報を得る。
こうして検出された記録媒体情報に基づき第2の画像処理手段において前記第1処理画像を加工することにより、実際の記録媒体の存在領域と同等又はこれよりも僅かに小さい画像(第2処理画像)を生成する。なお、第2の画像処理手段における処理内容には、画像の倍率を変更する処理(拡大/縮小)、画像の一部を変形させる処理、画像の回転処理、画像の一部を切り取る(トリミング)処理、或いはこれらの組み合わせ等の編集処理が含まれる。
こうして生成された画像データに基づいて記録制御手段が記録ヘッドの画像記録素子を駆動制御することにより、画像記録素子の作用によって記録媒体の存在領域内に画像が形成される。本発明によれば、実際の記録媒体の存在領域に合わせて画像の印字範囲を制限し、記録媒体上のみに画像記録を行うため、余剰インクの消費等を防止して、良好な縁無しプリントを実現できる。
発明(1)の一態様に係る画像記録装置として、前記第2の画像処理手段は、前記第1の画像処理手段により生成された画像データから前記記録媒体情報に基づき当該記録媒体情報が示す記録媒体領域に合わせて画像範囲を切り出すトリミング処理を行うことを特徴とする。
また、発明(1)の他の態様は、前記倍率設定手段において、入力画像データのアスペクト比と記録媒体のアスペクト比とが異なる場合に、画像のアスペクト比を変更せずに前記記録媒体サイズよりも大きい画像を生成し得る倍率が設定されることを特徴とする。
入力画像(元画像)と記録媒体のアスペクト比が異なる場合には、入力画像のアスペクト比を変えずに画像の縦方向及び横方向について均等な倍率による倍率変更処理を施して記録媒体のサイズよりも大きいサイズの画像(第1処理画像)を生成することが好ましい。
発明(1)の更に他の態様に係る画像記録装置として、前記倍率設定手段は、前記記録媒体サイズ確定手段により確定された記録媒体サイズに対して予め定められた所定の倍率(拡大/縮小)の画像が得られるように前記倍率の設定を行うことを特徴とする。
記録媒体検出手段を記録ヘッドの上流に配置する場合、これらをできるだけ近い位置関係で配置する構成の方が検出の位置ズレが少ないという利点がある。しかしながら、記録
媒体検出手段が記録ヘッドの上流近傍に配置され、記録媒体の存在領域の全体を検出し終える前に、当該記録媒体について記録ヘッドによる画像記録が開始されるという構成の場合には、記録媒体検出手段による記録媒体情報を完全に得てからその情報を利用して倍率設定手段による倍率を決定することができない。このような構成においては、予め記録媒体の搬送ズレ量、形状誤差、姿勢ズレ量などを想定し、これらを十分にカバーし得る大きさの画像(第1処理画像)を生成するように倍率設定手段による倍率を事前に設定しておく態様が好ましい。
その一方、記録媒体検出手段と記録ヘッドの距離がある程度離れており、記録媒体検出手段によって記録媒体の存在領域の全体を検出し終えてから記録ヘッドによる記録を開始することができる配置構成を有している場合には、記録媒体の存在領域を完全に検出してからその情報を利用して倍率設定手段における倍率を適応的に可変設定する態様が好ましい。すなわち、本発明の他の態様に係る画像記録装置として、前記倍率設定手段は、前記記録媒体検出手段から得られた記録媒体情報に応じて前記倍率の設定を行うことを特徴とする。
これにより、記録媒体サイズに対して必要最小限の拡大サイズの第1処理画像を得るため適切な倍率を指定することができ、第2の画像処理手段におけるトリミング処理時の画像欠損量(非プリント領域として切り捨てられる画像範囲の量、いわゆるケラレ量)を抑制することができる。
発明(2):発明(2)に係る画像記録装置は、画像記録素子を備えた記録ヘッドと記録媒体を相対移動させるとともに、画像データに基づいて前記画像記録素子を駆動制御することにより記録媒体に画像を記録する画像記録装置において、前記相対移動による記録媒体の相対的な移動方向について前記記録ヘッドよりも上流に配置され、記録媒体の形状、姿勢及び位置を含む記録媒体情報を取得する記録媒体検出手段と、前記記録媒体情報に基づき当該記録媒体情報が示す記録媒体領域に応じて入力画像を変形させ、前記記録媒体領域と同等又はこれよりも小さいサイズの画像データを生成する画像処理手段と、前記画像処理手段により生成された画像データに基づいて前記記録ヘッドを制御し、当該画像データが示す画像を記録媒体上に記録させる記録制御手段と、を備えたことを特徴とする。
発明(2)によれば、記録媒体の存在領域に合わせて元画像を変形させて記録媒体の領域内に画像を記録している。ここでの画像変形には、画像データの補間処理等によって画像全体を歪ませるなどの拡大/縮小変形の他、画像の回転による変形、画像の一部範囲を変形させる場合も含まれる。この態様によれば、トリミングによって印字範囲を制限する態様と比較して、欠損する画像範囲がなく、入力画像の全範囲の内容を記録することが可能である。
発明(1)、(2)の更に他の態様に係る画像記録装置において、前記記録媒体の全周に対して該記録媒体の縁から次式
Pt×(n−1)+D<60μm
ただし、Pt :ドット間ピッチ(μm),D:ドット径(μm)
を満たすnドット分の内側の範囲について画像を記録しない領域を形成するように記録制御を行うことを特徴とする。
実験によれば、記録媒体の形状や大きさによらず、記録媒体の縁(端面)から60μm以下の余白範囲は画像の枠縁として視認されにくい。したがって、上記の式で示したように、視認できない範囲で記録媒体の周囲を画像記録しないことにより(すなわち、記録媒体の縁からnドット分の余白を残して記録媒体の存在領域の内側にのみ画像を記録するこ
とにより)、記録媒体以外の領域への余剰インクの付着等を確実に防止することができる。
発明(1),(2)の他の態様として、前記記録ヘッドは、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の画像記録素子が配列されたフルライン型の記録ヘッドであることを特徴とする。
かかる態様によれば、記録媒体の相対的な送り方向(副走査方向)と略直交する方向(主走査方向)について記録媒体の全幅に対応する長さの画像記録素子列を有したフルライン型の記録ヘッドに対して、記録媒体を副走査方向に相対移動させながら画像記録素子を駆動して記録媒体上に画像を形成する。
画像記録素子としてインクを吐出するノズルを採用したインクジェット記録装置の場合、記録媒体の相対的な搬送と記録ヘッドのインク吐出タイミングを制御することによって記録媒体上に画像を形成する。
「フルライン型の記録ヘッド」は、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対移動方向)と直交する方向に沿って配置されるが、相対移動方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。また、記録ヘッドにおける画像記録素子の配列形態は、1列のライン状配列に限定されず、複数列からなるマトリックス配列でもよい。更には、記録媒体の全幅に対応する長さに満たない画像記録素子列を有する短尺記録ヘッドユニットを複数個組み合わせることによって、これらユニット全体として記録媒体の全幅に対応する画像記録素子列を構成する形態もあり得る。
「記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。なお、本明細書において「印字」という用語は、文字を含む広い意味での画像を形成する概念を表すものとする。
記録媒体と記録ヘッドを相対的に移動させる移動手段(搬送手段)は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
発明(1),(2)の更に他の態様として、前記記録媒体検出手段は、複数の画像読取素子がライン状に配列された構造を有するラインCCDセンサであり、読み取り解像度は、前記60μmの枠を検出可能にするため、約2倍の解像度(850dpi)以上記録ヘッドの記録密度以下が最適である。該ラインCCDセンサは前記記録ヘッドと略平行に配置されていることを特徴とする。また、記録媒体情報の読み取り精度を向上するにはラインCCDセンサと対向する搬送ガイドを黒色とすることが有効である。
長尺の記録ヘッドの上流側近傍に当該記録ヘッドと略平行にラインCCDセンサを配置する態様によれば、ラインCCDセンサで検出した記録媒体の姿勢、形状、位置と同期して画像の記録動作を行うことにより、記録媒体領域に対する記録ズレ量が極めて少ない縁無しプリントを作成することができる。
発明(3):発明(3)に係る画像記録方法は、画像記録素子を備えた記録ヘッドと記録媒体を相対移動させるとともに、画像データに基づいて前記画像記録素子を駆動制御することにより記録媒体に画像を記録する画像記録方法において、使用される記録媒体のサイズを確定する記録媒体サイズ確定工程と、前記記録媒体サイズ確定工程により確定された記録媒体サイズ及び入力画像データに基づき当該記録媒体サイズよりも大きい画像を生成するための倍率を設定する倍率設定工程と、前記倍率設定工程により設定された倍率に従って前記入力画像データから前記記録媒体サイズよりも大きい画像データを生成する第1の画像処理工程と、前記相対移動による記録媒体の相対的な移動方向について前記記録ヘッドよりも上流に配置され、記録媒体の形状、姿勢及び位置を含む記録媒体情報を取得する記録媒体検出工程と、前記第1の画像処理工程により生成された画像データから前記記録媒体情報に基づき当該記録媒体情報が示す記録媒体領域と同等又はこれよりも小さいサイズの画像データを生成する第2の画像処理工程と、前記第2の画像処理工程により生成された画像データに基づいて前記記録ヘッドを制御し、当該画像データが示す画像を記録媒体上に記録させる記録制御工程と、を含むことを特徴とする。
発明(4):発明(4)に係る画像記録方法は、画像記録素子を備えた記録ヘッドと記録媒体を相対移動させるとともに、画像データに基づいて前記画像記録素子を駆動制御することにより記録媒体に画像を記録する画像記録方法において、前記相対移動による記録媒体の相対的な移動方向について前記記録ヘッドよりも上流に配置され、記録媒体の位置、形状及び姿勢を含む記録媒体情報を取得する記録媒体検出工程と、前記記録媒体情報に基づき当該記録媒体情報が示す記録媒体領域に応じて入力画像データを変形させ、前記記録媒体領域と同等又はこれよりも小さいサイズの画像データを生成する画像処理工程と、前記画像処理工程により生成された画像データに基づいて前記記録ヘッドを制御し、当該画像データが示す画像を記録媒体上に記録させる記録制御工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、記録ヘッドの上流側に配置した記録媒体検出手段によって記録媒体の状態(形状、姿勢、位置)を検出し、検出された記録媒体情報に基づいて当該記録媒体の存在領域に合わせて印刷用の画像データを生成する画像処理を行い、画像処理によって得られた画像データに基づいて記録媒体の相対的な搬送及び記録ヘッドにおける画像記録素子の駆動を制御する構成にしたので、記録媒体領域内のみに当該記録媒体領域と合致した画像(縁無し画像)を記録することができる。
また、画像記録素子の一形態であるインク吐出用のノズルを備えたインクジェット方式の記録ヘッドを用いる画像記録装置について本発明を適用した態様の場合、記録媒体の外側領域にインクが吐出されることがないため、無駄なインクの消費が抑制され、媒体搬送路や記録媒体裏面等へのインク付着という問題が解消される。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色ごとに設けられた複数の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体としての記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、記録紙16の形状、姿勢、位置を検出するラインCCDセンサ21と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排出する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図1中不図示,図6中符号88として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流には、ラインCCDセンサ21及び加熱ファン40が設けられている。ラインCCDセンサ21は、記録紙16の幅方向(搬送方向と略直交する方向)に沿って記録紙16の全幅を超える長さにわたって光電変換素子(センサ画素)がライン状に配列された受光素子列を有し、搬送されてくる記録紙16を撮像して記録紙16の形状、姿勢、位置を示す情報(記録媒体の存在信号)を出力する。
加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、図2に示したように、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の送り方向(以下、紙搬送方向という。)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K,12C,12M,12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドが各インク色ごとに設けられてなる印字部12によれば、副走査方向について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、短尺の印字ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは不図示の管路を介して各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り替える不図示の選別手段が設けられている。
なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図3(a) は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a) 中の4−4線に沿う断面図)である。
記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図3(a) 〜(c) 及び図4に示したように、インク滴が吐出するノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
すなわち、本実施形態における印字ヘッド50は、図3(a) ,(b) に示すように、インクを吐出する複数のノズル51が記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の
全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
また、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドユニット50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するフルラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51への流出口と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンクと連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。なお、インクタンクと共通流路55の間において印字ヘッド12の近傍又は印字ヘッド12と一体にサブタンク(不図示)を設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
圧力室52の天面を構成している加圧板56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53を図5に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
すなわち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、用紙(記録紙16)の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン又は1個の帯状の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴
を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
図6はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。
プリント制御部80は、ラインCCDセンサ21から得た記録紙16の検出情報に基づいて記録紙16の状態に合わせて適応的に画像データの加工等を行う。
プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図6において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいて印字ヘッド50に対する各種補正を行う。
〔第1の制御例〕
図7は、本実施形態における第1の制御例を実現する要部構成を示すブロック図である。図7に示した構成と図1乃至図6との対応関係を簡単に説明すると、図7における記録媒体供給部102は、図1で説明した記録紙16のマガジン等から成る給紙部18及びその給紙送機構を含むブロックである。図7におけるデータ入力部104は、通信インターフェース70を介して取り込んだ画像データからプリント(画像記録)に対応する画像信号を生成する処理ブロックである。記録媒体検出手段106は、図1で説明したラインCCDセンサ21とその駆動回路等を含むブロックである。図7の記録媒体サイズ確定手段108、第1の画像処理手段110及び第2の画像処理手段112は、図6で説明したシステムコントローラ72又はプリント制御部80、或いはこれらの組み合わせを含む信号処理部によって実現される。図7の画像記録手段114は、印字ヘッド50を含む印字部12及びヘッドドライバ84並びに吸着ベルト搬送部22の駆動制御系を含むブロックである。
図7に示したように、装置内に準備されている少なくとも1種類(好ましくは複数種類)の記録媒体の種類(紙種、形状、サイズなどの情報)を示す情報は記録媒体サイズ確定手段108に通知される。また、記録媒体サイズ確定手段108は、データ入力部104を介して入力画像データのサイズ情報や指定されているプリンントサイズ(指定出力サイズ)等の情報を取得する。記録媒体サイズ確定手段108はこれら情報に基づき、実際にプリントに使用するものとして選択された記録媒体のサイズを確定する。例えば、A4サイズ(JIS 規格. 297 ×210mm )のように確定される。
記録媒体サイズ確定手段108により確定した記録媒体サイズの情報は第1の画像処理手段110に送られる。第1の画像処理手段110は、データ入力部104を介して取得した画像データについて前記確定した記録媒体サイズよりも数%(例えば、2〜5%)程度大きいサイズの画像を生成すべく元画像を縦方向及び横方向について均等の倍率で拡大する拡大処理を行う。第1の画像処理手段110において拡大処理された画像データは第2の画像処理手段112に送られる。
第2の画像処理手段112は、第1の画像処理手段110から得た拡大画像を更に加工する手段(例えば、トリミング、拡大/縮小、画像回転、画像変形などを行う手段)であり、記録媒体検出手段106で検出された記録媒体の形状、姿勢、位置を示す信号に基づき、当該検出された記録媒体の記録領域と同等、若しくはこれよりも僅かに小さいサイズの画像を生成する画像処理を行う。
こうして、第2の画像処理手段112で生成された画像データは画像記録手段114に送られ、画像記録手段114によって記録媒体に記録される。画像記録時には、記録媒体検出手段106で検出される信号に基づき、記録媒体位置と記録位置の同期をとって記録
が行われる。
図8は、図7に示した構成の動作を示すフローチャートである。図8に示すように、まず、記録媒体サイズを確定し(ステップS210)、予め設定されている倍率値(例えば、数%拡大)に従って画像データを記録媒体サイズに対して数%拡大する(ステップS212)。図9にその概念図を示す。図9(a)に示したように、確定された記録媒体サイズ120に対して、全体的に大きめ(トリミング処理による切り取りマージン領域を付加した大きさ)の画像データ(拡大画像データ)122が生成される。
このとき、当該拡大画像データ122内にトリミング時の位置合わせに利用する基準点が定められる。図9では、記録媒体124の最先端の左隅コーナーを基準点とする例が示されているが、基準点の設定方法はこの例に限定されない。例えば、記録媒体124の最先端の右隅コーナーを基準点としてもよいし、記録媒体124の最先端辺上の中央点を基準点としてもよい。
次に、図8のステップS214に進み、ラインCCDセンサ21によって記録媒体124の形状、姿勢、位置が検出される。例えば、図9(b)に示すような記録媒体124の存在領域を示すデータが得られる。
次に、図8のステップS216に進み、画像データのトリミング処理が行われる。ここでは、図9(c)に示すように、拡大画像データ122の基準点と、検出された記録媒体124の基準点とを一致させて両者を重ね、拡大画像データ122から記録媒体124の存在領域と同等の範囲又はこれより小さいサイズの画像範囲をプリント用の画像範囲として拡大画像データを切り取る。すなわち、図9(c)の斜線で示した周囲領域126は非プリント領域となる。
こうして、切り出されたプリント用の画像データを記録媒体124の搬送に同期して記録することにより(図8のステップS128)、図9(d)に示すように記録媒体124の全印字面に画像を記録することができる。
なお、ステップS212で説明した画像データの倍率変更処理については、図10に示すように、元画像(入力画像)のアスペクト比と記録媒体のアスペクト比とを考慮して、倍率変更処理後の画像の領域が記録媒体の領域よりも全体的に大きくなるように適切な倍率を設定することが好ましい。すなわち、元画像と記録媒体のアスペクト比が異なる場合には、図10のように、画像の長辺を基準として記録媒体の長辺以上となるように、画像のアスペクト比を変えずに相似拡大(又は縮小)する倍率が決定される。
また、図9では、記録媒体の先端左隅コーナーを基準としてトリミングの位置合わせを行ったが、図11に示すように、ラインCCDセンサ21で検出された記録媒体領域130の媒体先端中央を基準点として定め、拡大された画像(拡大画像)132における先端中央の理想位置を示す理想基準点(すなわち、拡大画像132に対して記録媒体の理想位置134を重ねたときの記録媒体先端中央)を重ねてトリミングを行う態様もある。この場合、ラインCCDセンサ21で検出された記録媒体領域130の媒体先端中央を基準位置とし、トリミングした画像136について記録媒体位置と記録位置(ドット配置位置)の同期をとってインクの吐出制御を行うことにより画像記録を行う。
上記した第1の制御例は、記録媒体検出手段106としてのラインCCDセンサ21が印字ヘッド50の上流かつ近傍に配置され、第1の画像処理手段110で生成された拡大画像から記録媒体検出手段106で得られた存在信号に基づき画像をトリミングし、該トリミング画像を記録媒体に記録する構成に適用される。
この第1の制御例ではラインCCDセンサ21と印字ヘッド50の距離が近いため、ラインCCDセンサ21の検出信号と、印字ヘッド50の位置における実際の記録媒体の状態との間にズレが少ないという利点がある。しかしながら、第1の制御例においては、予め記録媒体の形状、姿勢、位置等のズレや誤差を見込んで、トリミングのためのマージン領域を比較的大きめに用意するように所定の倍率に従って元画像データを拡大しておく必要があり、この拡大画像データから検出に係る実際の記録媒体の形状、姿勢等の範囲と同等の画像範囲を切り出す処理を行うため、非プリント領域(いわゆるケラレ画像範囲)が大きくなる。
このような観点から、以下に述べる第2の制御例では非プリント領域の低減を実現する。
〔第2の制御例〕
図12は、本実施形態における第2の制御例を実現する要部構成を示すブロック図であり、図13はその動作を示すフローチャートである。なお、図12中図7と同一又は類似の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図12に示した実施形態においては、記録媒体検出手段106が画像記録手段114の印字ヘッド50の上流側で、かつ記録媒体検出手段106によって記録媒体の存在信号が完全に得られた後に印字ヘッド50による記録動作が開始されるような配置構成であるものとする。
図12及び図13に示すように、使用に係る記録媒体サイズを記録媒体サイズ確定手段108によって確定した後(ステップS310)、記録媒体供給部102から搬送されてくる実際の記録媒体の状態(形状、姿勢、位置)を記録媒体検出手段106によって検出する(ステップS312)。当該記録媒体についてその存在領域を示す検出信号を完全に得た後、その検出結果を基に第1の画像処理手段110における拡大/縮小処理の倍率値が設定される。例えば、記録媒体の存在領域を示す検出データに対して0.5%大きい画像を生成するように倍率が決定される(ステップS314)。
そして、決定された倍率に従って第1の画像処理手段110において拡大画像が生成され、その拡大画像を基に第2の画像処理手段112においてトリミング処理が行われる(ステップS316)。なお、この場合の画像のトリミングは画像中心を基準に行われる。こうして、拡大画像から切り出された画像データに基づき、記録媒体の搬送に同期して印字ヘッド50のインク吐出タイミングが制御され、記録媒体上に当該トリミング画像が記録される(ステップS318)。尚、記録媒体検出手段106の結果に応じて、画像の回転処理も行っても良い。
上記した第2の制御例で述べたように、印字ヘッド50の上流側において記録媒体の存在領域を完全に検出した後に、その検出データに応じて元画像の拡大率を設定するようにしたので、非プリント領域が必要最小限の大きさとなるような倍率設定が可能であり、記録時の画像データの欠損が少ないという利点がある。
〔他の好ましい実施形態〕
縁無しプリントを作成する場合、図14のように、記録媒体140の縁部全周について、白枠として視認されない程度の非記録エリア142を設け、その内側の画像記録エリア144に画像を記録する態様が好ましい。なお、図14では、説明の便宜上非記録エリア142を拡大して描いているが、実際の非記録エリア142は白枠として視認されない程度に小さい。
また、実験によれば、図15に示すように、記録媒体150の縁151から60μm以内であれば、この部分を非記録エリア152にしたとしても白枠として認識されにくい。更には、画像154の縁155から記録媒体150の縁151までの距離が50μm以下であればこの非記録エリア152を白枠として知覚されることはない。
したがって、図15に示すように、記録媒体150の全周について縁151からnドット分の内側は打滴しないように記録制御を行う態様が好ましい。
ここで、n(自然数)は次式を満たす。
[数式1] Pt ×(n−1)+D<60μm
ただし、Pt :ドット間ピッチ、D:ドット径
こうして、上記 [数式1] を満たすように、記録媒体150の縁151からnドット分の内側周囲を印字しないことで、記録媒体の外側領域へのインク付着を確実に防止することができ、搬送系等の汚れを完全に解消できる。
上述したように、本発明を適用した各実施形態によれば、印字部12の手前で記録媒体の状態を検出し、その情報に応じて記録媒体の存在領域に適したサイズの画像を形成する画像処理を行うため、記録媒体以外の領域にインクを吐出することなく、記録媒体上に画像を記録して縁無しプリントを作成することができる。また、本発明による実施形態においては、記録媒体が理想配置からズレて斜めに配置又は搬送された場合、或いは、記録媒体が矩形(定型)以外の特殊な形状(例えば、ハート型や円形)の場合などについても、記録媒体の領域外にインクを付着させることなく、当該記録媒体上に縁無し画像を記録することができる。電子写真方式の場合は、トナーの消費量を低減することができる。
〔変形例1〕
上記した実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、短尺の記録ヘッドを主走査方向に往復移動させながら画像記録を行うシャトルヘッドを用いるインクジェット記録装置についても適用可能である。
シャトルヘッドとラインCCDセンサ(記録媒体検出手段)とを組み合わせた構成によっても、上記したフルライン型記録ヘッドとラインCCDセンサの組み合わせから成る構成と同様の機能を達成できる。
〔変形例2〕
上記した実施形態では、記録媒体検出手段として記録媒体の幅よりも大きい長尺のラインCCDセンサを用いる例を説明したが、本発明の実施に際しては、記録媒体のコーナー部及び左右の用紙端形状、位置を検出する短尺ラインCCDセンサを複数組み合わせて用いる態様も可能である。かかる短尺ラインCCDセンサを用いる構成によっても、上記した長尺ラインCCDセンサを用いる構成と同様の機能を達成できる。
〔変形例3〕
また、上記実施の形態では画像記録装置の一例としてインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、電子写真プリンタ方式の画像記録装置についても本発明を適用することが可能である。
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y…印字ヘッド、16…記録紙、18…給紙部、21…ラインCCDセンサ、22…吸着ベルト搬送部、33…ベルト、50…印字ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、53…インク室ユニット、58…アクチュエータ、72…システムコントローラ、76…モータドライバ、80…プリント制御部、84…ヘッドドライバ、106…記録媒体検出手段、108…記録媒体サイズ確定手段、110…第1の画像処理手段、112…第2の画像処理手段、114…画像記録手段、120…記録媒体サイズ、122…拡大画像データ、124,150…記録媒体、144…画像記録エリア、142,152…非記録エリア