JP4284493B2 - ジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法 - Google Patents

ジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式:XCF2COF(式中、XはI、Br又はClである)で表されるジフルオロハロアセチルフロリドは、種々の含フッ素化合物の中間体として有用であり、また、それ自体が特異な性能を有するものとしても有用な化合物である。
【0003】
例えば、ジフルオロハロアセチルフロリドは、ヘキサフルオロプロペンオキシドと反応させた後、熱分解することにより、熱硬化性樹脂、電解膜、プロトン伝導性フッ素樹脂等の原料として有用なω-ハロパーフルオロビニルエーテルに変換することができる。また、ジフルオロハロアセチルフロリドは、脱ハロゲンカップリングすることにより、パーフルオロスクシニルフロリドに変換可能であり、得られる化合物は求核試薬と反応させることにより、耐熱性、化学安定性に優れたポリアミド、ポリエステル等の含フッ素縮重合体の原料として有用なパーフルオロジカルボン酸誘導体とすることができる。また、ジフルオロハロアセチルフロリドは、各種含フッ素化合物の中間体として有用なパーフルオロ(3-オキサ-4-ペンテノイルフロリド)又はオキサリルフロリドなどの原料として使用することもできる。
【0004】
上記一般式で表されるジフルオロハロアセチルフロリドの内で、ジフルオロヨードアセチルフルオリドの製造方法としては、(1)無水酢酸中でテトラフルオロエチレンオキシドに無水のヨウ化リチウムを作用させる方法(下記特許文献1参照)、(2)ICF2CF2IとSO3を反応させて中間体ICF2CF2OSO2-を合成し、これをKFと反応させる方法(下記特許文献2参照)、(3)ヨウ素とSO3を混合した試薬と、テトラフルオロエチレンとを反応させて中間体ICF2CF2OSO2-を合成し、これをKFと反応させる方法(下記特許文献3参照)、(4)クロロフルオロ硫酸とヨウ素を反応させてヨードフルオロ硫酸を合成し、これとテトラフルオロエチレンとを反応させて中間体ICF2CF2OSO2Fを得た後、この中間体とCsFとを反応させる方法(下記非特許文献1参照)、等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの方法の内で、(1)の方法では、爆発性のあるテトラフルオロエチレンオキシドを使用する必要があり、しかも、目的のジフルオロヨードアセチルフロリドの収率がテトラエチレンオキシド基準で40%弱に過ぎず、工業的製造方法としては満足のいくものではない。(2)の方法は、原料とするSO3の融点が16.8℃と高く、水分が入ると固化し安定構造をとるので、SO3の管理が難しいという問題があり、更に、文献上では収率80%と記載されているが、このような収率の実現は困難である。(3)の方法は、SO3を使用するために、上記(2)と同様の問題点があり、収率も50%程度と満足のいくものではない。(4)の方法は、中間体を合成する温度が-196℃と低く、しかも、原料のClSO3Fは反応性の高いClFとSO3の反応によって得られるため、扱い難く、工業的な製造プロセス化は難しい。
【0006】
一方、ジフルオロブロモアセチルフロリドの製造方法に関しては、(1)1,2-ジブロモクロロトリフルオロエタンを40%発煙硫酸と共に、酸化水銀の存在下に加熱し、その際発生するガスをアルコールと反応させてジフルオロブロモアセテートを製造する方法(下記非特許文献2参照)、(2)1,2-ジブロモクロロトリフルオロエタンを60%発煙硫酸と反応させる方法(下記特許文献4参照)、(3)1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン1,2-ジブロモテトラフルオロエタン、1,2-ジブロモクロロトリフルオロエタン等を酸化性酸と反応させる方法(下記特許文献5参照)、(4)1,4-ジブロモヘキサフルオロ-2-ブテンをオゾン酸化する方法、(5)ジフルオロ酢酸フロリドと臭素を光照射下で反応させる方法(下記特許文献6参照)、等が知られている。
【0007】
しかしながら、上記したジフルオロブロモアセチルフロリドの製造方法の内で、(1)の方法は、ジフルオロブロモアセチルフロリドの合成時に分離困難なジフルオロブロモアセチルクロリドが生じるため、煩雑な精製工程が必要となる。また、毒性の高い酸化水銀を使用するため、煩雑な工程を必要とし、工業的な製造工程としては不適切である。(2)及び(3)の方法は、発煙硫酸、SO3等の管理が難しく、副生物としてBr2、Cl2等が生成するため、精製が煩雑になる。また、副生するSO2が目的物と共沸するため、精製が困難である。(4)の方法は、原料の入手が困難である。また、(5)の方法は、原料のジフルオロ酢酸フロリドの合成に工数がかかり、更に、光反応は特殊な装置を必要とする上に、反応を繰り返すうちにPFAチューブが曇り、量子効率が低下する等の多くの問題点がある。
【0008】
【特許文献1】
米国特許3351619号
【0009】
【特許文献2】
特開昭55-164644号公報
【0010】
【特許文献3】
特開昭57-40435号公報
【0011】
【特許文献4】
特公昭57-40433号公報
【0012】
【特許文献5】
特開昭57-40434号公報
【0013】
【特許文献6】
特開平8-27058号公報
【0014】
【非特許文献1】
Carl.J.Sack et.al.,J.Fluorine.Chem.,283〜290(1982)
【0015】
【非特許文献2】
Tetrahedron,33,1445(1977)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、入手容易な原料を用いて、特殊な反応装置を使用すること無く、高い収率でジフルオロハロアセチルフロリドを得ることが可能な新規な製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、一般式:CF2=CFY(式中:Yは、ハロゲン原子である)で表されるハロゲン化フルオロエチレンを原料として用い、これをN−ハロゲン化含窒素化合物及び特定のフルオロスルホン酸化合物と反応させることにより、ハロスルホン酸エステルを高収率で得ることができ、得られたハロスルホン酸エステルをエステル分解することによって、目的とするジフルオロハロフロリドが高収率で得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0018】
即ち、本発明は、下記のジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法を提供するものである。
1. 一般式:CF2=CFY(式中:Yは、ハロゲン原子である)で表されるハロゲン化フルオロエチレンを、N−ハロゲン化含窒素化合物及び一般式:ZSO3H(式中、ZはF(CF2)n−で表されるパーフルオロ基であり、nは0〜20の整数である)で表されるフルオロスルホン酸化合物と反応させて、一般式:XCF2CFYOSO2Z(式中、XはCl、Br又はIである。Y及びZは前記に同じ)で表されるハロスルホン酸エステルとした後、
該ハロスルホン酸エステルをエステル分解させることを特徴とする、一般式:XCF2COF(式中、Xは上記に同じ)で表されるジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法であって、
該N−ハロゲン化含窒素化合物が、N-ブロモアセトアミド、N-(ブロモ、クロロ又はヨード)スクシンイミド、N-(ブロモ、クロロ又はヨード)フタルイミド及びトリクロロイソシアヌル酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物であるジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法
. 該ハロスルホン酸エステルをエステル分解させる方法が、触媒の非存在下において150〜450℃に加熱する方法、又は触媒の存在下において、0〜200℃で反応させる方法である上記項1に記載の方法。
. 一般式:CF2=CFY(式中:Yは、ハロゲン原子である)で表されるハロゲン化フルオロエチレンを、N−ハロゲン化含窒素化合物及び一般式:ZSO3H(式中、ZはF(CF2)n−で表されるパーフルオロ基であり、nは0〜20の整数である)で表されるフルオロスルホン酸化合物と反応させて、一般式:XCF2CFYOSO2Z(式中、XはCl、Br又はIである。Y及びZは前記に同じ)で表されるハロスルホン酸エステルとした後、得られた反応混合物から、N−ハロゲン化含窒素化合物の転換物であるN−水素化物を回収し、N−ハロゲン化含窒素化合物に変換した後、原料として再利用する工程を含む上記項1又は2に記載の方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の方法では、まず、第一工程として、一般式:CF2=CFY(式中:Yは、ハロゲン原子である)で表されるハロゲン化フルオロエチレンを、N−ハロゲン化含窒素化合物及び一般式:ZSO3H(式中、ZはF(CF2)nで表されるパーフルオロ基であり、nは0〜20の整数である)で表されるフルオロスルホン酸化合物と反応させて、一般式:XCF2CFYOSO2Z(式中:XはCl、Br又はIである。Y及びZは前記に同じ)で表されるハロスルホン酸エステルを製造する。
【0020】
この工程によれば、上記ハロフルホニルエステルを高収率で得ることが可能であり、得られたハロフルホニルエステルは、エステル分解反応によって容易に目的とするジフルオロハロアセチルフロリドとすることができる。このため、高収率で目的とするジフルオロハロアセチルフロリドを得ることが可能となる。
【0021】
原料として用いる一般式:CF2=CFYで表されるハロゲン化フルオロエチレンとしては、CF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CFBr、CF2=CFI等を例示でき、これらの化合物を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。これらの化合物のうちで、入手が容易である点から、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等が好ましく、特に、反応の選択性の点からは、対象構造を有するテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0022】
N−ハロゲン化含窒素化合物としては、窒素原子に結合したハロゲン原子として、Cl、Br又はIを含み、窒素数が1〜3の直鎖状又は環状の化合物を用いることが好ましい。この様な化合物の具体例として、直鎖状の化合物としてN-ブロモアセトアミドを挙げることができ、環状の化合物として、N-(ブロモ、クロロ又はヨード)スクシンイミド、N-(ブロモ、クロロ又はヨード)フタルイミド、トリクロロイソシアヌル酸等を挙げることができる。これらの化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0023】
本発明では、特に、N−ハロゲン化含窒素化合物としては、入手が容易な点でN−ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド等が好ましい。
【0024】
一般式:ZSO3Hで表されるフルオロスルホン酸化合物において、Zは、F(CF2)n−で表されるパーフルオロ基であって、nは0〜20の整数であり、好ましくは、0〜7の整数である。
【0025】
上記したハロゲン化フルオロエチレン、N−ハロゲン化含窒素化合物及びフルオロスルホン酸化合物の反応は、無溶媒又は有機溶媒中で行うことができる。有機溶媒としては、反応に関与しない溶媒であれば特に限定無く使用できる。この様な溶媒の具体例としては、アセトニトリル、グライム系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、パーフルオロヘキサン、1-クロロ-6-ハイドロパーフルオロヘキサン等を挙げることができる。
【0026】
上記した原料成分は、同時に全成分を混合しても良いが、N−ハロゲン化含窒素化合物として固体の化合物を用いる場合には、N−ハロゲン化含窒素化合物とフルオロスルホン酸化合物を予め混合して用いることによって、原料の取り扱いが容易になる。この場合、混合直後のものを使用しても良く、或いは、混合後時間が経過してN−ハロゲン化含窒素化合物とフルオロスルホン酸化合物の一部が反応したものを用いても良い。
【0027】
N−ハロゲン化含窒素化合物の使用量は、ハロゲン化フルオロエチレン1モルに対して0.2〜10モル程度とすることが好ましく、0.5〜2モル程度とすることがより好ましい。フルオロスルホン酸化合物の使用量は、N−ハロゲン化含窒素化合物1モルに対して0.5〜10モル程度とすることが好ましく、1〜5モル程度とすることがより好ましい。
【0028】
上記反応では、反応温度が低過ぎると固化が生じることや反応速度が低下することがあり、反応温度が高すぎると分解反応などの好ましくない副反応が進行する恐れがある。この様な点から、反応温度は、−50℃〜300℃程度とすることが好ましく、−20℃〜150℃程度とすることがより好ましい。この際の反応圧力は、特に限定的ではなく、例えば、減圧状態〜5MPa程度の加圧状態という広い範囲の圧力下に反応を行うことができる。
【0029】
反応時間については、反応条件により異なるので一概に規定できないが、通常、2時間〜5時間程度の範囲とすればよい。
【0030】
上記反応で得られる一般式:XCF2CFYOSO2Zで表されるハロスルホン酸エステルは、反応器から蒸留で回収しても良く、分液にて抽出回収することも可能である。
【0031】
尚、上記反応終了後、生成したハロスルホン酸エステル、原料成分であるフルオロスルホン酸化合物などを分離した後、得られたN−ハロゲン化含窒素化合物の転換物であるN―水素化物は、例えば、新実験化学講座 15 酸化と還元[1−I] p419等に記載されている公知の方法に従って、N−ハロゲン化含窒素化合物に戻すことができる。例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などのアルカリを含む水溶液中において、N-水素化物をアルカリと反応させることによって、N−アルカリ金属化物又はN−アルカリ土類金属化物に変換することができ、このN−アルカリ金属化物又はN−アルカリ土類金属化物を含む水溶液を氷浴で冷却した後、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンを導入することによって、原料として用いたN−ハロゲン化含窒素化合物とすることができる。この様にして得られるN−ハロゲン化含窒素化合物は、上記した第一工程に循環させることによって、原料として有効に再利用することができる。
【0032】
次いで、第一工程で得られたハロスルホン酸エステルをエステル分解させることによって、目的とする一般式:XCF2COF(式中、XはCl、Br又はIである)で表されるジフルオロハロアセチルフロリドを得ることができる。
【0033】
エステル分解反応は、触媒の存在下又は非存在下に行うことができる。
【0034】
触媒の非存在下でエステル分解反応を行う場合には、例えば、該ハロスルホン酸エステルを150〜450℃程度に加熱すればよい。
【0035】
触媒の存在下にエステル分解反応を行う場合には、より低温での反応が可能となり、例えば、0〜200℃程度でエステル分解反応を進行させることができ、収率も向上する。触媒としては、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、第4級アンモニウムのハロゲン化物、フッ化銀、硫酸、発煙硫酸等を挙げることができる。これらの内で、良好な活性を有し、入手が容易である点から、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物が好ましい。
【0036】
触媒の使用量は、ハロスルホン酸エステル1モルに対して、0.01〜10モル程度とすれば良く、特に、コスト、反応の効率等を考慮すると、0.1〜2モル程度とすることが好ましい。
【0037】
触媒として、固体状態の触媒を用いる場合には、非プロトン性極性溶媒中でエステル分解を行うことによって、触媒活性が向上し、それに伴ってジフルオロハロアセチルフロリドの収率を向上させることができる。かかる溶媒としては、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジオキサン、スルホラン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどを例示できる。溶媒の使用量は、通常、上記ハロスルホン酸エステルの1〜20倍重量程度の範囲とすればよい。
【0038】
反応時間については、実際に採用する条件に応じて、エステル分解反応が十分に進行するまで行えばよく、通常、2時間〜5時間程度の反応時間とすればよい。
【0039】
尚、目的物であるジフルオロハロアセチルフロリドは、水分の存在下では、ジフルオロハロ酢酸(XCF2CO2H)に加水分解されやすく、条件によっては、シュウ酸(HOOC-COOH)にまで加水分解される場合がある。このため、高収率でジフルオロハロアセチルフロリドを得るためには、実質的に無水の条件下で実施することが望ましく、例えば、触媒、溶媒などとして乾燥状態のものを用いることが好ましい。
【0040】
得られた粗化合物は、抽出、蒸留などの公知の方法で精製すればよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、種々の含フッ素化合物の中間体等として有用な化合物であるジフルオロハロアセチルフロリドを、特殊な反応装置や煩雑な精製工程を要すること無く、入手の容易な原料を用いて高収率で得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0043】
実施例1
100mlステンレス製オートクレーブにN-ブロモスクシンイミド17.8g(0.1mmol)とフルオロ硫酸:50g(0.5mol)を仕込んだ。仕込み後、氷浴で冷却して1時間攪拌反応させた。攪拌後、オートクレーブ内を真空窒素置換し、0.57Mpaのゲージ圧で、4フッ化エチレンを0.1g/minで10g(0.1mol)まで仕込んだ。仕込み終了後、約1時間攪拌し反応させ、圧力が減圧になったことを確認してオートクレーブを開けて液を回収した。回収液は二層分離しており、NMR測定、ガスクロマトグラフィー及びGC/MS測定により、上層はフルオロ硫酸、下層はハロスルホン酸エステルBrCF2CF2OSO2Fであることが判った。BrCF2CF2OSO2Fは純度99.3%で収率85.6%で得られていた。
【0044】
次いで、50mlの4つ口ガラスフラスコに、温度計、ドライアイス/アセトンコンデンサを取り付け、そこにテトラグライム:10ml、KF:1.1g(18.4mmol)を仕込んだ。上記反応で得られたハロスルホン酸エステル3.6g(12.8mmol)を滴下ロートに仕込み、室温で反応器に滴下して反応させた。滴下と同時に発泡が始まり、ガス層をガスクロマトグラフィー及びGC/MSで分析した結果、SO2F2とBrCF2COFの生成が確認された。滴下及び発泡が終了した後、一時間攪拌して反応させた。
【0045】
反応終了後、BrCF2COFの収率を確認するためにメタノールを加えてメチルエステルに変換し、NMRで分析した結果、BrCF2CO2Meが、選択率>99%、収率68.6%で得られていた。
実施例2
100mlのSUS製オートクレーブに、N-ヨードスクシンイミド:10.8g(48mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸:16.6g(110.7mmol)を仕込んだ。真空窒素置換した後、氷温下でクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を微加圧で5.8g(50mmol)まで仕込んだ。所定量の仕込み後、1時間攪拌して反応させた。反応終了後、内溶液を氷浴にあけ、Na2SO3で洗浄した。分液ロートで分液し、下層の有機層を回収した。水層はCH2Cl2で抽出し、初期回収の有機層と混合した。その後、エバポレート、MgSO3乾燥及び濾過を行い、ICF2CFClOSO2CF314.3mmolと、ICFClCF2OSO2CF316.9mmolとからなる混合物を得た。選択率は各々45.7%と54.3%であった。両物質の合計収量は31.2mmolであり、N-ヨードスクシンイミド基準で収率:65%であった。
【0046】
50mlガラスフラスコにジグライム:5mlとKF:0.4g(7.6mmol)を仕込んだ。フラスコを氷浴で冷却し、滴下ロートでICF2CFClOSO2CF3(45.7%)/ICFClCF2OSO2CF3(54.3%)の混合物1.47g(3.7mmol)を滴下して反応させた。滴下と同時に発泡が始まり発熱した。発泡が納まり、室温に戻ったところで、メタノールクエンチ及び水洗を行なった。その結果、二層に分液したので、有機層(下層)をガスクロマトグラフィーで分析した。生成物は、ICF2CO2MeとICFClCO2Meであり、原料転化率は100%であった。ICF2CO2MeとICFClCO2Meの選択率はそれぞれ41.4%と58.6%となり、仕込み原料の比と同じであった。
【0047】
参考例1
実施例1で得られた化合物を全て蒸発させて得られた固体3.1gを15ml の10mass%NaOH水溶液に溶かし込み、溶液が均一になったところでBr2:2mlを仕込み反応させた。反応が進行すると固体が析出してくるので濾別し、固体を臭素がなくなるまで水洗した。この固体を乾燥することによって、融点:173.5℃を有する単黄色固体が得られた。NMR測定によりN-ブロモスクシンイミドを4.4g(収率78%)で得ることができた。

Claims (3)

  1. 一般式:CF2=CFY(式中:Yは、ハロゲン原子である)で表されるハロゲン化フルオロエチレンを、N−ハロゲン化含窒素化合物及び一般式:ZSO3H(式中、ZはF(CF2)n−で表されるパーフルオロ基であり、nは0〜20の整数である)で表されるフルオロスルホン酸化合物と反応させて、一般式:XCF2CFYOSO2Z(式中、XはCl、Br又はIである。Y及びZは前記に同じ)で表されるハロスルホン酸エステルとした後、
    該ハロスルホン酸エステルをエステル分解させることを特徴とする、一般式:XCF2COF(式中、Xは上記に同じ)で表されるジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法であって、
    該N−ハロゲン化含窒素化合物が、N-ブロモアセトアミド、N-(ブロモ、クロロ又はヨード)スクシンイミド、N-(ブロモ、クロロ又はヨード)フタルイミド及びトリクロロイソシアヌル酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物であるジフルオロハロアセチルフロリドの製造方法
  2. 該ハロスルホン酸エステルをエステル分解させる方法が、触媒の非存在下において150〜450℃に加熱する方法、又は触媒の存在下において、0〜200℃で反応させる方法である請求項1に記載の方法。
  3. 一般式:CF2=CFY(式中:Yは、ハロゲン原子である)で表されるハロゲン化フルオロエチレンを、N−ハロゲン化含窒素化合物及び一般式:ZSO3H(式中、ZはF(CF2)n−で表されるパーフルオロ基であり、nは0〜20の整数である)で表されるフルオロスルホン酸化合物と反応させて、一般式:XCF2CFYOSO2Z(式中、XはCl、Br又はIである。Y及びZは前記に同じ)で表されるハロスルホン酸エステルとした後、得られた反応混合物から、N−ハロゲン化含窒素化合物の転換物であるN−水素化物を回収し、N−ハロゲン化含窒素化合物に変換した後、原料として再利用する工程を含む請求項1又は2に記載の方法。
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