JP4283529B2 - 燃料電池用の水素回収システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池から排出される水素(パージ水素)を回収するための水素吸蔵合金を利用した燃料電池用の水素回収システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池(PEFC)は、アノード電極−カソード電極間に固体高分子膜(電解質膜)を挟持したMEA(膜−電極接合体)を有し、常温でも発電が可能であるため、電気自動車の電源をはじめとする各種用途への適用が期待されている。
【0003】
この固体高分子型燃料電池の燃料となる水素の供給方法としては、液体水素を貯蔵した液体水素タンク、高圧の水素を貯蔵した高圧水素タンク、または水素をその内部に収納した水素吸蔵合金などの水素貯蔵材に補給した水素吸蔵タンク等から純水素として燃料電池へ供給する方法(純水素式)、炭化水素、例えば、メタノール水溶液から水蒸気改質法により生成した水素リッチガスを精製し、この精製した水素リッチガスを燃料電池へ供給する方法(改質式)等が挙げられる。
【0004】
前記純水素式で水素が供給される燃料電池を備えた自動車(以下、「燃料電池車」という)のうち、高圧水素タンクを備えた高圧水素貯蔵型の燃料電池車では、高圧水素タンクに貯蔵された水素は、通常、燃料電池スタックを破損させないように、数段階で減圧されて所定圧力に調圧された後、燃料電池に供給されるようになっている。
尚、このように構成される燃料電池車において、水素は、前記高圧水素タンクの水素貯蔵量が空に近い場合を除き、高圧水素タンクから燃料電池へ水素を供給する水素供給ラインでレギュレータにより高圧から中圧を経て低圧の状態に減圧され、さらに燃料電池の運転に適した低圧状態に調圧されて燃料電池へ供給される。家庭用等の高圧水素貯蔵型の燃料電池システムにおいても略同様の構成となっている。
【0005】
また、固体高分子型燃料電池では、水素を含むガス(燃料ガス)がアノード電極に供給されるとともに、酸化剤ガス(空気)がカソード電極に供給されると、アノード電極で前記水素ガスから電子が放出されてプロトン(イオン化した水素)が生成される。前記アノード電極で生成されたプロトンは、固体高分子膜(電解質膜)内を通って水と一緒にカソード電極側へ移動し、このカソード電極で空気中の酸素により酸化されて水を生じる。
尚、前記固体高分子膜(電解質膜)は、膜中のプロトンの移動を容易にするために常に湿らせておく必要があるので、前記水素を含むガス(燃料ガス)及び酸化剤ガス(空気)は加湿されて燃料電池へ供給される。
【0006】
固体高分子型燃料電池は、発電時に水素と空気中の酸素との化学反応(発熱反応)で発生する熱により高温に保たれているものの、例えば、燃料電池の外郭部に近い発電部位では中心部と比較して冷却がより多くなされる。その結果、この固体高分子型燃料電池の水素の流路では、加湿された前記燃料ガス中の水が結露したり、あるいは発電時に生成された水が凝集したりして、水による閉塞が生じ、発電部位が減少して機能が低下する場合がある。
【0007】
また、冬季などの冷間時には、燃料電池の運転を停止させているときに燃料電池の温度が氷点下以下となる場合がある。このような場合、燃料電池中に残留した反応生成水が凍結し、燃料電池の起動時に水素流路が凍結した水で閉塞されて燃料電池が発電できなくなる、あるいは部分的に前記水素流路の閉塞が生じて部分的に発電が行われることとなり、燃料電池の全発電出力に対しこの発電部位が過度に発熱したり、電解質膜等の破損等を引き起こしたりする虞がある。
【0008】
以上説明した様に、燃料電池内で水による水素流路の閉塞が生じると、発電効率の低下や出力の低下など好ましくないことが生じるため、例えば、アノード極側では発電に必要な水素量を超える過剰な水素を燃料電池に吹きこみ、過剰な水素と共に流路閉塞を起こした余剰な水を燃料電池内からパージしてしまう運転方法がある。
【0009】
このように水素流路の閉塞対策として使用された後、燃料電池から排出された水素(以下、パージ水素という)は、回収されて再度燃料とされるのが望ましい。そこで、前記パージ水素の回収及び再利用の方法として、例えば、比較的大量の水素を貯蔵することが可能な水素吸蔵合金(以下、MHという)を利用することが検討されている。
【0010】
このようなMHを利用した燃料電池用の水素回収システムとして、例えば、特開平5−225996号公報に開示された技術がある(特許文献1参照)。
この燃料電池用の水素回収システムは、図7に示すように、水素の吸蔵及び水素の放出を所望の圧力下で略連続的に行う水素吸蔵放出手段100を備え、この水素吸蔵放出手段100は、水素を吸蔵あるいは放出する2つのMH101,102を備えるとともに、水素の吸蔵先、放出元を各々吸蔵切り換え手段103、放出切り換え手段104で切り換え自在に構成され、さらに各MH101,102が上述の所望の圧力に対応する温度に設定されるように加温水及び冷却水を所定の割合で混合手段105,106により混合し、この混合された加温水及び冷却水を各MH101,102に供給するように構成されている。
このように構成することにより、水素を安定的かつ経済的に燃料電池に供給することができ、さらに燃料電池の小形化を可能にした燃料電池発電システムを提供することが可能になる。
【0011】
【特許文献1】
特開平5‐225996号公報(第1−5頁、第2図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような燃料電池用の水素回収システムでは、MHの加熱及び冷却を行うために、各MH101,102が上述の所望の圧力に対応する温度に設定できるように、加温水及び冷却水を所定の割合で混合する混合手段105,106が設けられ、また、回収した水素をMHから放出させるための加熱装置として、ヒータや燃焼器等の特別な付加設備が必要であった。
また、加温水及び冷却水を供給・排出する配管が必要となるため、配管等から系外への放熱量が大きくなり、エネルギー効率の点から余り好ましくなかった。
【0013】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、水素吸蔵合金の加熱・冷却をするための特別な付加設備が不要で、水素吸蔵合金作動時のエネルギーロスを抑えることができる燃料電池用の水素回収システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた請求項1に記載された燃料電池用の水素回収システムは、燃料電池から排出される水素を貯蔵可能な第一の水素吸蔵タンクと前記燃料電池へ供給する水素の一部を貯蔵可能な第二の水素吸蔵タンクとを互いに熱交換可能に設け、前記第二の水素吸蔵タンクに前記燃料電池へ供給する水素の一部を供給し、水素を吸蔵する際に発生する水素吸蔵熱により前記第一の水素吸蔵タンクを加熱することで、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素を前記燃料電池へ再供給できるように構成したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項1に記載された発明によると、燃料電池から排出される水素を貯蔵可能な第一の水素吸蔵タンクと前記燃料電池へ供給する水素の一部を貯蔵可能な第二の水素吸蔵タンクとを互いに熱交換可能に設け、前記第二の水素吸蔵タンクに前記燃料電池へ供給する水素の一部を供給し、水素を吸蔵する際に発生する水素吸蔵熱により前記第一の水素吸蔵タンクを加熱することで、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素を前記燃料電池へ再供給できるように構成したことにより、
(1)第一の水素吸蔵タンクを加熱するのにヒータや燃焼器等の特別な付加設備が不要となり、燃料電池用の水素回収システム全体の省スペース化・省コスト化を図ることができる。
(2)第二の水素吸蔵タンクにおける水素吸蔵熱を第一の水素吸蔵タンクの加熱に有効に利用することができるので、水素吸蔵合金作動時のエネルギーロスを低く抑えることができる。
(3)第一の水素吸蔵タンクから放出された水素が燃料電池で再利用されるので、燃料電池へ供給される水素の利用効率が高い燃料電池用の水素回収システムを提供することができる。
【0016】
請求項2に記載された燃料電池用の水素回収システムは、前記第一の水素吸蔵タンクで水素を吸蔵させる際には、前記第二の水素吸蔵タンクから水素を放出させることにより前記第一の水素吸蔵タンクの冷却を行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の水素回収システムである。
【0017】
請求項2に記載された発明によると、前記第二の水素吸蔵タンクから水素を放出させることにより前記第一の水素吸蔵タンクの冷却を行うことで、前記第一の水素吸蔵タンクの水素吸蔵能力を向上させることができるので、水素吸蔵タンクを小型化(軽量化)することができる。また、放出した水素を燃料電池に戻すことで水素ロスを少なくすることもできる。
【0018】
請求項3に記載された燃料電池用の水素回収システムは、前記燃料電池から排出される水素中の水分を除去する水除去手段を前記第一の水素吸蔵タンクの上流側に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池用の水素回収システムである。
【0019】
請求項3に記載された発明によると、前記燃料電池から排出される水素中の水分を除去する水除去手段を前記第一の水素吸蔵タンクの上流側に備えたことにより、燃料電池の発電反応に伴い生じた生成水やパージにより燃料電池から排出された凝集水等の多量の水を水素吸蔵タンクの上流側で除去することができるので水素吸蔵タンク内での水の凝集を抑制することができる。従って、タンク内での水素吸蔵合金と水素との反応速度が遅くなるのを防止することができる。
【0020】
請求項4に記載された燃料電池用の水素回収システムは、前記第一の水素吸蔵タンクにおいて、前記燃料電池へ供給する水素の一部を前記第一の水素吸蔵タンクに供給して、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素吸蔵合金を水素吸蔵熱で加熱することで前記水素吸蔵合金の水素吸蔵能力を回復させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の水素回収システムである。
【0021】
請求項4に記載された発明によると、前記第一の水素吸蔵タンクにおいて、前記燃料電池へ供給する水素の一部を前記第一の水素吸蔵タンクに供給して、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素吸蔵合金を水素吸蔵熱で加熱することにより、水素吸蔵タンク内の凝集水を再蒸気化することができるので、この水蒸気を燃料電池に戻すことで水素吸蔵タンク内の凝集水を除去することができる。従って、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素吸蔵合金の水素吸蔵能力を回復させることができる。尚、水素吸蔵熱で加熱する温度は100℃以上が好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る燃料電池用の水素回収システムについて、図面を参照して説明する。
尚、図1(a)は、本発明に係る水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンクに水素を吸蔵させたときの貯蔵時間に対する水素吸蔵合金の温度との関係を示す図、図1(b)は、本発明に係る水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンクに水素を吸蔵させたときの貯蔵時間に対する総吸蔵量との関係を示す図である。
また、図2は、本発明に係る水素吸蔵合金を利用した水素回収ユニットの構成を示す図、図3は、本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムを示す全体構成図、図4は、本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムの運転フローチャートである。
また、図5は、本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムを示す全体構成図、図6は、本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムの運転フローチャートである。
【0023】
最初にMHを内部に収納した水素吸蔵タンク(以下、MHタンクという)を使用して水素を貯蔵するときのメカニズムについて、図1を参照して説明する。
最初にMHの一般的な特性について説明する。
MHは、以下の反応により熱の出入りを伴いながら水素の吸蔵・放出を行う。
M+H2 ⇔MH2+Q(水素化物生成エネルギー)---------(1)
上記(1)式に基づき水素吸蔵時には、発熱し、水素放出時には、吸熱することから、この原理を利用してMHを冷却手段として用いる方法は、MH式冷凍機をはじめとして広く知られており、一部実用化されている。
【0024】
MHの作動温度は、水素吸蔵時、水素放出時ともMHの圧力−温度特性に従い、水素吸蔵圧力及び水素放出圧力(プラトー圧)は温度により変化する。逆に貯蔵圧力が決まればMHの作動温度も決まり、この特性を生かしてMH式ヒータ等への応用がなされている。
【0025】
MHタンクにおける水素貯蔵のメカニズムは、図1(a),図1(b)に示すように、MHは水素の貯蔵開始と同時に水素吸蔵、昇温を開始し、MHの温度は、MHの圧力−温度特性に基づいて、水素の貯蔵プラトー圧が貯蔵圧力と等しくなる温度まで速やかに上昇する。
この時、MHと水素との反応熱(水素吸蔵熱)はMH自身、あるいはMHタンクの昇温に消費され、一種の蓄熱(蓄熱モード)による貯蔵がなされる。このため、蓄熱モードにおけるMHの蓄熱量は、貯蔵開始前のMHの温度とMHの作動温度との温度差に比例し、MHの作動温度は、水素の貯蔵圧力により決定する。
【0026】
蓄熱による水素貯蔵が行われ、各部が温度上昇し、水素の貯蔵プラトー圧が貯蔵圧力と一致する温度に到達後、水素貯蔵に伴う反応熱(水素吸蔵熱)は、MHタンクの表面から外気(大気)へと放出される。この放熱による水素貯蔵は、MHタンクの作動温度、外気温が一定であれば放熱量は放熱時間に比例する。
以上のことからMHタンクを用いた水素貯蔵のメカニズムは、図1(b)に示すような貯蔵開始直後のある程度の水素の貯蔵(蓄熱モード貯蔵)と、時間経過に比例した水素貯蔵(放熱モード貯蔵)の組み合わせとなる。
【0027】
また、MHを利用した燃料電池用の水素回収システムにおける水素の貯蔵圧力(パージ水素を回収するときの圧力)は、燃料電池内では水素流路の圧損があるため、燃料電池へ供給される水素の圧力よりも低くなる。
このことから、MHを利用した燃料電池用の水素回収システムでは、水素を吸蔵するとき(パージ水素を回収するとき)は室温(もしくは車速利用の送風冷却等)で行い、水素を放出させるとき(回収した水素を再利用するとき)は、燃料電池等の廃熱を利用して水素放出圧を昇圧して行うのが好ましい。
この場合、水素吸蔵時のMHの到達温度及び水素放出時のMHの作動温度もまたMHの圧力−温度特性に従う。
しかしながら、パージ水素の回収は速やかにされねばならず、MHを利用した燃料電池用の水素回収システムの場合、回収(水素貯蔵)に伴う熱(発熱)は、蓄熱により処理する蓄熱モードによる水素貯蔵で水素回収を行うことになる。
【0028】
以下、本発明に係る燃料電池用の水素回収システムに組み込まれるMHを利用した水素回収ユニットについて、図2を参照して説明する。
本発明に係る水素回収ユニット1は、図2に示すように、
燃料電池から排出される水素(以下、パージ水素という)を貯蔵可能な第一の水素吸蔵タンク(以下、No.1MHタンクという)1aと前記燃料電池へ供給する水素の一部を貯蔵可能な第二の水素吸蔵タンク(以下、No.2MHタンクという)1bとが互いに隣接して熱交換可能に設けられている。
このように2つのMHタンク1a,1bを隣接して熱交換可能に設けたことにより、タンク同士の熱授受を無駄なく行うことができる。
【0029】
尚、MHは、同じ種類のMHを使用しても良いし、異なる種類のMHを使用しても良いが、本実施形態では、No.1MHタンク1aには高温度作動型のMHが、No.2MHタンク1bには低温作動型のMHが収納されている。
このようにNo.1MHタンク1aに高温作動型のMHを、No.2MHタンク1bに低温作動型のMHを収納したことにより、No.1MHタンク1aの作動温度を高くすることができるので、燃料電池から排出される水素吸蔵時の発熱温度を高くできるようになり、蓄熱モード時の水素吸蔵能力を高くできる結果、瞬時に水素を回収することが可能になる。
【0030】
No.1MHタンク1aには、例えば、水素吸蔵による平衡温度が60℃程度、中圧水素の貯蔵時には、平衡温度が100℃以上となるMHを選択し、No.2MHタンク1bには中圧水素を投入することで85〜90℃程度の高熱を発生させることができ、また、冷熱の発生は吸蔵した水素を放出させて燃料電池に対し再供給を行うことで25〜30℃程度の低温を発生させることができるMHを選択すれば良い。
このような作動条件を満たせるMHとしてTiCr2,(Zr,Ti)(Ni,Mn,V,Fe)2等のラーべス相合金(AB2型合金)、LaNi5、MmNi5等AB5型合金、Ti−V−Cr、Ti−V−Cr−Mn等BCC(体心立方格子)合金が挙げられる。
【0031】
また、No.1MHタンク1a、No.2MHタンク1bにはそれぞれ以下のように配管部材が設けられている。
No.1MHタンク1aには入口配管RPinと出口配管RPoutが設けられており、No.1MHタンク1aの入口配管RPinには逆止弁B1が、出口配管RPoutには弁V1と逆止弁B2が設けられている。
一方、No.2MHタンク1bには入口配管SPinと出口配管SPoutが設けられており、No.2MHタンク1bの入口配管SPinには逆止弁B3が、出口配管SPoutには弁V2と逆止弁B4が設けられている。
さらに、No.1MHタンク1aの入口配管RPinとNo.2MHタンク1bの入口配管SPinとの間には、仕切り弁B5が設けられている。
【0032】
次に、このような構成からなる水素回収ユニットを一基組み込んだ本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムについて、図3を参照して説明する。
本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムは、図3に示すように、
高圧の水素を貯蔵した高圧水素タンク2と、
前記高圧水素タンク2から排出される高圧の水素を、2つのレギュレータ3a,3bを介して燃料電池4に適した水素圧力に減圧して水素を供給する水素供給ライン3と、
図示しないアノード極に水素が供給され、図示しないカソード極に空気が供給され、前記水素と前記空気中の酸素とが反応することで発電する前記燃料電池4と、
それぞれに水素吸蔵合金を収納した2つの隣接する熱交換可能に形成されたNo.1MHタンク1a,No.2MHタンク1bから形成される水素回収ユニット1と、
前記水素回収ユニット1と前記水素供給ライン3及び燃料電池4とを結ぶ5つの配管ラインRPin,RPout,SPin,SPout,TSと、
から主要部が構成される。
【0033】
高圧水素タンク2は、高圧の水素、例えば、35MPaの水素を貯蔵するための貯蔵容器であり、本実施形態では、軽量化や耐圧性を向上させるために繊維強化プラスチックス製の容器が使用されている。一般には、図示しない遮断弁が設けられている。
【0034】
2つのレギュレータ3a,3bは、高圧水素タンク2から排出される高圧の水素を、燃料電池4ヘ供給するのに適した水素圧力に減圧するための減圧弁であり、高圧水素タンク2と燃料電池4とを連結する水素供給ライン3上に設けられている。尚、高圧の水素は一段階では減圧できないため2つのレギュレータ3a,3bを使用して2段階で減圧している。
【0035】
燃料電池4は、図示しないアノード極(燃料ガス極)へは水素が、図示しないカソード極へは空気が供給され、電極でガスが触媒反応して水を生成する。このときの化学反応エネルギーを電気エネルギーとして外部に取り出し、外部負荷に供給して駆動する。
【0036】
水素回収ユニット1は、上述したように2種類の異なるMHのそれぞれを収納した隣接する熱交換可能な2つのMHタンク1a,1bから形成され、燃料電池4から排出されるパージ水素回収用のNo.1MHタンク1aと前記No.1MHタンクを加熱・冷却するためのNo.2MHタンク1bとから形成される。
【0037】
5つの配管ラインRPin,RPout,SPin,SPout,TSは、
高圧水素タンク2、2つのレギュレータ3a,3b、燃料電池4までを連結する水素供給ライン3と、
燃料電池4の出口、水除去手段5、No.1MHタンク1aまでを連結するパージ水素回収ラインRPinと、
水素供給ライン3の2つのレギュレータ3a,3bの間から分岐しNo.2MHタンク1bまでを連結する中圧水素供給ラインSPinと、
前記No.1MHタンク1a及び前記No.2MHタンク1bの出口ラインRPout,SPoutと下流側でそれぞれと合流する1本の配管であって、No.2レギュレータ3bの下流側で前記水素供給ライン3と合流する放出水素再供給ラインTSとから形成される。
【0038】
ここで、燃料電池4の出口から水除去手段5、No.1MHタンク1aまでを連結するパージ水素回収ラインRPinに設けられている水除去手段5について説明する。
水除去手段5は、各種吸着材、水分離膜、機械的除湿手段等のうちの少なくとも1つの分離手段を使用して燃料電池から排出されるパージ水素中の水分を除去する装置である。本実施形態では水分離膜を使用している。
【0039】
このように構成される本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムの作用について、図4の運転フローチャートを参照して説明する。
(1)最初に、No.1MHタンク1aを冷却するために、燃料電池4の廃熱(又は外気の熱)を利用してNo.2MHタンク1bを加熱し、No.2MHタンク1b内の水素を空にする(S1)。
このようにNo.2MHタンク1bから水素を放出させることによりNo.1MHタンク1aの冷却を行うことで、No.1MHタンク1aの水素吸蔵能力を向上させることができるので、No.1MHタンク1aを小型化(軽量化)することができる。また、放出した水素を燃料電池4に戻すことで水素ロスを少なくすることも可能である。
(2)次に、燃料電池4(FC)からパージ水素がパージされるか否かを判断する(S2)。
このときの判断条件としては、▲1▼セル電圧の低下、▲2▼積算発電量(車両に搭載した場合は走行距離)、▲3▼運転時間(車両に搭載した場合は走行時間)等が考えられる。
(3)燃料電池4から水素がパージされない場合には、ステップS1に戻る。
(4)燃料電池4から水素がパージされる場合には、No.1MHタンク1aへ1回パージする(S3)。
このとき、パージ水素回収ラインRPinには水分離膜が設けられており、燃料電池4の発電反応に伴って生じた生成水や、パージにより燃料電池4から排出された凝集水等の多量の水をNo.1MHタンク1aの上流側で除去できるのでNo.1MHタンク1a内での水の凝集を抑制することができる。これによって、No.1MHタンク1a内でのMHと水素との反応速度の低下を防止することが可能である。
尚、前記水分離膜の機能が低下し、No.1MHタンク1a内でのMHと水素との反応速度が低下した場合には、No.1MHタンク1aの入口配管RPinとNo.2MHタンク1bの入口配管SPinとの間に設けられた仕切り弁B5を開放して燃料電池4へ供給する中圧水素の一部を供給する。
このように、燃料電池4へ供給する水素の一部を前記No.1MHタンク1aに供給して、前記No.1MHタンク1a内の水MHを水素吸蔵熱で加熱することにより、No.1MHタンク1a内の凝集水を再蒸気化することができるので、この水蒸気を燃料電池4に戻すことでNo.1MHタンク1a内の凝集水を除去することが可能である。従って、No.1MHタンク1a内のMHの水素吸蔵能力を回復させることができる。
(5)このようにしてNo.1MHタンク1aへの水素パージが終了したら、高圧水素タンク2から燃料電池4へ水素を供給する水素供給ライン3の中圧水素をNo.2MHタンク1bへ供給し、水素吸蔵熱で発熱させる(S4)。
このようにNo.1MHタンク1aを水素吸蔵熱で加熱することにより、
▲1▼加熱に温水を使用しないので、No.1MHタンク1aを加熱するのにヒータや燃焼器等の特別な付加設備が不要となり、燃料電池用の水素回収システム全体の省スペース化・省コスト化が図れる。
▲2▼No.2MHタンク1bにおける水素吸蔵熱をNo.1MHタンク1aの加熱に有効に利用できるので、MH作動時のエネルギーロスを少なく抑えることが可能である。また、水素吸蔵熱を熱交換してNo.1MHタンク1aへ供給し加熱するのでMH作動時のエネルギーロスを少なく抑えることができる。
▲3▼No.1MHタンク1aから放出された水素が燃料電池4で再利用されるので、燃料電池4へ供給される水素の利用効率が高い燃料電池用の水素回収システムを提供することができる。
(6)No.1MHタンク1a中の水素が空になったか否かを判断する(S5)。
(7)No.1MHタンク1a中の水素が空でない場合には、空になるまで加熱を続行する。
(8)No.1MHタンク1a中の水素が空になったら運転を終了し、ステップS1に戻る。
尚、図4に示す一例のフローは、図2の水素貯蔵容器No.1MHタンク1aに対する水素パージを1回回収(No.1MHタンク1aへパージ水素を所定量供給した後、このパージ水素を回収する水素パージサイクルが1サイクル実行される動作)として構成されているが、水素貯蔵容器No.1MHタンク1aのサイズに応じて前記水素パージを複数回回収(前記水素パージサイクルが複数サイクル実行される動作)として構成されてもよい。
【0040】
このような構成と作用を有する本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムによれば、
(1)No.1MHタンク1aで回収した水素を放出させるには、従来、電気ヒータや燃焼機器等が必要であったが、このような付加装置を設けることなく水素を放出させることができる。
(2)No.1MHタンク1aを加熱するためにNo.2MHタンク1bへ供給した水素も回収して燃料電池4へ戻すことで、水素ロスの少ない燃料電池用の水素回収システムを提供することができる。
尚、本実施形態では、水素貯蔵容器No.1MHタンク1aの水素パージでこのタンクからパージ水素を1回回収する毎に、このパージ水素を燃料電池へ再供給するように構成しているが、本発明はこのような実施形態のみに限定されるものではなく、前記パージ水素を複数回回収する毎に前記燃料電池へ再供給するように構成してもよい。
【0041】
次に、本発明に係る水素回収ユニットを2基組み込んだ本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムについて、図5を参照して説明する。
尚、本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムと本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムとの構成の差異は、第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムでは、第一実施形態の水素回収ユニットを2基互いに並列となるように設けて、交互にパージ水素の回収と回収したパージ水素を燃料電池4へ再供給する操作ができるように2つの切り換え弁6,7を設け、切り換え弁6,7とNo.2水素回収ユニット1′を配管RP′in,SP′inで結び、No.2水素回収ユニット1′の下流側でNo.1水素回収ユニット1の放出水素再供給ラインTSとNo.2水素回収ユニット1′の放出水素再供給ラインTS′とを合流させ、No.2レギュレータ3b下流側の水素供給ライン3に連結するようにした点にある。
尚、本発明に係る第二実施形態で、第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムと同じ部材については、同じ符号を付して説明する。
【0042】
このように本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムは、2基の水素回収ユニット1,1′を有し、例えば、No.1水素回収ユニット(第一実施形態と同じ水素回収ユニット)1が、回収したパージ水素の放出(No.1MHタンク1aの再生運転)を行っているときには、No.2水素回収ユニット1′がパージ水素の回収(No.1MHタンク1aの回収運転)を行うように運転される。
また、これ以外の運転方法として、例えば、3基以上の水素回収ユニットを用い、水素回収ユニット1基当たりの水素回収能力の調整を行うようにすることも可能である。
尚、各MHタンクのパージ水素回収の終了、再生開始、及び次タンクの水素回収への切り換え判断は、各水素回収ユニットのパージ水素の回収回数による判断、あるいは水素回収ユニット内のMHに設置した温度計、歪計等の貯蔵量検知手段による判断で行われる。
【0043】
このように構成される本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムの作用について、図6に示す運転フローチャートを参照して説明する。
(1)2基の水素回収ユニット1,1′(図5参照)のうち、何れのNo.1MHタンクが「空きタンク」、又は「水素回収済みタンク」であるかをデータとして読み込む(S10)。
(2)No.1MHタンクが「空きタンク」の水素回収ユニットは、以下のように運転する。
(a)No.2MHタンクに高圧水素タンク2から燃料電池4へ水素を供給する水素供給ライン3の中圧水素をNo.2MHタンクへ供給し、水素吸蔵熱によりNo.1MHタンクを加熱して、No.1MHタンクから確実に水素を放出させた後、燃料電池4の廃熱(又は外気の熱)でNo.2MHタンクを加熱して水素を放出させることによりNo.1MHタンクを冷却する(S11)。
(b)燃料電池4からのパージ水素をNo.1MHタンクに回収する(S12)。
(c)No.1MHタンクに水素を貯蔵する残容量が有るか否かを確認する。残容量がある場合には、ステップS12に戻る。
(d)No.1MHタンクに水素を貯蔵する残容量がなくなったら「水素回収済みタンク」としてメモリーに記録し(S14)、ステップS10に戻る。
(3)一方、No.1MHタンクが「水素回収済みタンク」の水素回収ユニットは、以下のように運転する。
(i)No.2MHタンクに高圧水素タンク2から燃料電池4へ水素を供給
する水素供給ライン3の中圧水素を供給し、水素吸蔵熱によりNo.1MHタンクを加熱する(S15)。
(ii)No.1MHタンクから確実に回収済みのパージ水素を放出させ燃料電池4へ再供給する(S16)。
(iii)No.1MHタンク内の残水素量の有無を判断する(S17)。
(iv)水素が残っている場合には、加熱を続行し、水素が無くなるまでNo.1MHタンクから水素を放出させて燃料電池4へ再供給する。
(v)水素が無くなったら「空きタンク」としてメモリーに記録し(S18
)、ステップS10に戻る。
【0044】
このような構成と作用を有する本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムによれば、
(1)水素回収ユニットを2基としたので、燃料電池4からのパージ水素の排出間隔が短くなっても対応できるようになる。
(2)従来、No.1MHタンク1aで回収した水素を放出させるには電気ヒータや燃焼機器等が必要であったが特別な付加装置を設けることなく、水素を放出させることができる。
(3)No.1MHタンク1aを加熱するためにNo.2MHタンク1bへ供給した水素も回収して燃料電池4へ戻すことで、水素ロスの少ない燃料電池用の水素回収システムを提供することができる。
【0045】
本発明は、このようなエネルギー回収が行われていなかった、従来のMHを用いた燃料電池用の水素回収システムを、MHに水素を吸蔵・放出させるときの発熱・冷熱を適切に利用して水素を系外に出さないクローズドシステムとして構成したので、エネルギー効率の高い燃料電池用の水素回収システムを提供することができる。
また、本発明のように複数のMHタンクを有する燃料電池用の水素回収システムでは、一系統の水素回収ユニットがパージ水素の回収を行っているとき、他系統の水素回収ユニットは再生を行っている。換言すれば、常に一系統の水素回収ユニットには水素が残留している。そこで冬季等の冷間時に水素回収ユニットの再生を行えば、余剰熱にて燃料電池を暖機することが可能となる。
また、水素回収を行う予定の水素回収ユニットに、発電は行わないものの水素パージを行って水素貯蔵を行えば、水素貯蔵に伴う発熱反応を利用することができ、より一層速やかな暖機が可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上の構成と作用からなる本発明によれば、以下の効果を奏する。
1.請求項1に記載された発明によれば、燃料電池から排出される水素を貯蔵可能な第一の水素吸蔵タンクと前記燃料電池へ供給する水素の一部を貯蔵可能な第二の水素吸蔵タンクとを互いに熱交換可能に設け、前記第二の水素吸蔵タンクに前記燃料電池へ供給する水素の一部を供給し、水素を吸蔵する際に発生する水素吸蔵熱により前記第一の水素吸蔵タンクを加熱することで、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素を前記燃料電池へ再供給することにより、
(1)第一の水素吸蔵タンクを加熱するのにヒータや燃焼器等の特別な付加設備が不要となり、燃料電池用の水素回収システム全体の省スペース化・省コスト化が図れる。
(2)第二の水素吸蔵タンクにおける水素吸蔵熱を第一の水素吸蔵タンクの加熱に有効に利用することができるので、水素吸蔵合金作動時のエネルギーロスを少なく抑えることができる。
(3)第一の水素吸蔵タンクから放出された水素が燃料電池で再利用されるので、燃料電池へ供給される水素の利用効率が高い燃料電池用の水素回収システムを提供できる。
2.請求項2に記載された発明によれば、前記第二の水素吸蔵タンクから水素を放出させることにより前記第一の水素吸蔵タンクの冷却を行うことで、前記第一の水素吸蔵タンクの水素吸蔵能力を向上させることができるので、水素吸蔵タンクを小型化(軽量化)することができる。また、放出した水素を燃料電池に戻すことで水素ロスを少なくすることもできる。
3.請求項3に記載された発明によれば、前記燃料電池から排出される水素中の水分を除去する水除去手段を前記第一の水素吸蔵タンクの上流側に備えたことにより、燃料電池の発電反応に伴い生じた生成水やパージにより燃料電池から排出された凝集水等の多量の水を水素吸蔵タンクの上流側で除去できるので水素吸蔵タンク内での水の凝集を抑制することができる。従って、タンク内での水素吸蔵合金と水素との反応速度が遅くなるのを防止することができる。
4.請求項4に記載された発明によれば、前記第一の水素吸蔵タンクにおいて、前記燃料電池へ供給する水素の一部を前記第一の水素吸蔵タンクに供給して、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素吸蔵合金を水素吸蔵熱で加熱することにより、水素吸蔵タンク内の凝集水を再蒸気化することができるので、この水蒸気を燃料電池に戻すことで水素吸蔵タンク内の凝集水を除去することができる。従って、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素吸蔵合金の水素吸蔵能力を回復させることができる。尚、水素吸蔵熱で加熱する温度は100℃以上が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係る水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンクに水素を吸蔵させたときの貯蔵時間に対する水素吸蔵合金の温度との関係を示す図である。(b)本発明に係る水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンクに水素を吸蔵させたときの貯蔵時間に対する総吸蔵量との関係を示す図である。
【図2】本発明に係る水素吸蔵合金を利用した水素回収ユニットの構成を示す図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムを示す全体構成図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態の燃料電池用の水素回収システムの運転フローチャートである。
【図5】本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムを示す全体構成図である。
【図6】本発明に係る第二実施形態の燃料電池用の水素回収システムの運転フローチャートである。
【図7】従来の燃料電池用の水素回収システムを示す全体構成図である。
【符号の説明】
1 水素回収ユニット(No.1水素回収ユニット)
1a No.1MHタンク(第一の水素吸蔵タンク)
1b No.2MHタンク(第二の水素吸蔵タンク)
2 高圧水素タンク
3 水素供給ライン
3a No.1レギュレータ
3b No.2レギュレータ
4 燃料電池
5 水除去手段
6,7 切り換え弁
10,20 燃料電池用の水素回収システム
RPin パージ水素回収ライン
RPout 回収水素再供給ライン
SPin 中圧水素供給ライン
SPout 中圧水素再供給ライン
TS 放出水素再供給ライン
Claims (4)
- 燃料電池から排出される水素を貯蔵可能な第一の水素吸蔵タンクと前記燃料電池へ供給する水素の一部を貯蔵可能な第二の水素吸蔵タンクとを互いに熱交換可能に設け、
前記第二の水素吸蔵タンクに前記燃料電池へ供給する水素の一部を供給し、水素を吸蔵する際に発生する水素吸蔵熱により前記第一の水素吸蔵タンクを加熱することで、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素を前記燃料電池へ再供給できるように構成したことを特徴とする燃料電池用の水素回収システム。 - 前記第一の水素吸蔵タンクに水素を吸蔵させる際には、前記第二の水素吸蔵タンクから水素を放出させることにより前記第一の水素吸蔵タンクの冷却を行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の水素回収システム。
- 前記燃料電池から排出される水素中の水分を除去する水除去手段を前記第一の水素吸蔵タンクの上流側に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池用の水素回収システム。
- 前記第一の水素吸蔵タンクにおいて、前記燃料電池へ供給する水素の一部を前記第一の水素吸蔵タンクに供給して、前記第一の水素吸蔵タンク内の水素吸蔵合金を水素吸蔵熱で加熱することで前記水素吸蔵合金の水素吸蔵能力を回復させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の水素回収システム。
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