JP4282064B2 - ロボット位置制御装置及び方法並びにロボットシステム - Google Patents

ロボット位置制御装置及び方法並びにロボットシステム Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、産業用ロボットの位置制御装置に係り、詳しくは、駆動源の動力を動力伝達機構にて被駆動体に伝達させて被駆動体を駆動させるようにしたロボットの当該被駆動体の位置を制御するためのロボット位置制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アクチュエータ(例えば、電動機)により動かされるロボットアームを目標位置に制御するためのロボット位置制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来のロボット位置制御装置では、ロボットアームの目標位置が与えられると、ロボットアームがその目標位置に制御されるために必要なアクチュエータの駆動量が目標駆動量として算出される。アクチュエータに対して指示した駆動量と実際の駆動量(実績値)との関係に基づいてその指示した駆動量(指示値)に対する補正値を定めるための補正式が予め作成されており、その補正式に従って前記目標駆動量に対応した補正値が算出される。そして、前記目標駆動量と補正値とを加算することによってアクチュエータに対する指示値が算出され、その指示値に基づいてアクチュエータを制御することによりロボットアームが前記目標位置に制御される。
【0003】
このようなロボット位置制御装置によれば、アクチュエータの駆動量の目標値に対する精度を高めることができ、ロボットアームを目標位置に精度よく制御することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−271885号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のロボット位置制御装置では、機構部品のがたつきや組立て精度の経時変化等により、前記補正式が指示された駆動量と実際の駆動量との関係を正確に表さなくなる。このような場合、補正式を修正しなければならない。補正式の修正に際しては、指示値に対する実際の駆動量をサンプリングして指示値と実際の駆動量との関係(補正式)をロボットに覚え込ませるティーチング作業が必要となるために、ロボットの本来の稼動を中断させなければならない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ロボットの本来の稼動を中断させることなく、精度の良い位置制御を長く維持できるようなロボット位置制御装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るロボット位置制御装置は、駆動源(10、20)と、被駆動体(110、112、120)と、前記駆動源の動力を前記被駆動体に伝達させて前記被駆動体を駆動させる動力伝達機構とを備えたロボットにおける前記被駆動体の位置制御装置であって、前記被駆動体の現在位置を検出する位置検出手段(61、62、63)と、前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいて、前記被駆動体(110、112、120)を前記目標位置まで移動させるための前記駆動源の動作量を決定する動作量決定手段(314)と、前記動作量決定手段にて決定された動作量の動作を前記駆動源にさせる駆動制御手段(301)と、前記駆動源の動作後に、前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と前記目標位置との誤差が予め定めた許容量以内であるか否かを判定する第一の判定手段(318、S9)と、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記第一の判定手段にてなされたときに、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように前記補正量を更新する補正量更新手段(320)と、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記第一の判定手段にてなされたときに、前記動作量決定手段(314)、前記駆動制御手段(301)、前記第第一の判定手段(318、S9)及び前記補正量更新手段(320)での処理を行わせる補正制御手段とを有し、前記誤差が前記許容量以内であるとの判定が前記第一の判定手段(318、S9)にてなされるまで、前記補正制御手段の処理を繰り返し行わせるようにするとともに、
前記補正制御手段の処理の回数を検出する補正動作回数検出手段(315)と、
前記補正動作回数検出手段での検出回数が所定回数以上となったか否かを判定する回数判定手段(316)と、
前記検出回数が前記所定回数以上になったとの判定が前記回数判定手段にてなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御手段の処理を禁止する第一の補正禁止制御手段(300、S14)とを有する構成となる。
【0008】
このような構成によれば、被駆動体の現在位置と目標位置の差及び補正量に基づいて駆動源が動作させられる。この駆動源の動作により、駆動源の動力が動力伝達機構により被駆動体に伝達され、その被駆動体は目標位置に向けて駆動される。
【0009】
前記駆動源の動作後における被駆動体の現在位置と目標位置との誤差が予め定めた許容量以内でない場合、前記駆動源の動作量を決定するために用いられた前記補正量が適正ではなかったとして、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように補正量が更新される。更に、補正制御手段による処理、即ち、現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいた駆動源の動作量の決定(動作量決定手段)、駆動源の前記動作量の駆動(駆動制御手段)、動作後の現在位置と目標位置との誤差が許容量以内であるか否かの判定(第一の判定手段)、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定がなされた際の前記補正量の更新(補正量更新手段)が行われる。これにより、被駆動体をよりその目標位置に近づけることができる。そして、一回の補正制御手段の処理によって被駆動体の現在位置と目標位置との誤差が許容値以内にならなくても、その補正制御手段の処理を繰り返すことにより、当該誤差を前記許容値以内にすることが可能となる。更に、補正制御手段の処理に基づいた駆動源の動作が所定回数を超えて繰り返されることが防止され、被駆動体が目標位置から許容値以内に位置づけられることなく補正制御手段に基づいた駆動源の動作が繰り返されることによる時間の無駄を省くことができる。このようにして補正制御手段の処理が禁止された場合、例えば、エラー動作として処理することができる。
【0010】
前記補正量の初期値は、予め理論的または実験的に求めた値に設定することも、あるいは、ゼロに設定することもできる。
【0011】
前記動力伝達機構は、ギア、プーリー、カム、ベルト、リンク棒、軸、軸受け等、機械的な機構部品にて構成される。また、前記動力伝達機構における各機構部品は駆動源の動作に伴って動作するものであり、その動作は、直線動作、回転動作、あるいは、それらの複合的な動作であってもよい。
【0012】
また、本発明に係るロボット位置制御装置において、前記誤差が前記許容量より大きい所定範囲以内であるか否かを判定する第二の判定手段(318)、と、前記第二の判定手段にて前記誤差が前記所定範囲以内でないとの判定がなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御手段の処理を禁止する第二の補正禁制御手段(300、S14、S15)とを有する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、前記誤差が許容量以上となる場合、動力伝達機構何らかの支障が発生したものとして、前記補正制御手段の処理が禁止されることとなる。この場合、例えば、エラー動作として処理することができる。
【0020】
本発明に係るロボット位置制御装置において、前記補正量更新手段、前記補正量に前記誤差を加算して更新後の補正量を生成するようにした構成とすることができる。
【0021】
このような構成により、あと誤差分だけ駆動源を動作させれば、被駆動体が目標位置に位置づけられたのであるから、補正量にその誤差を加算することにより、より適正な補正量を得ることができることとなる。
【0022】
また、本発明に係るロボット位置制御装置において、前記補正量更新手段、生成された前記補正量が所定の限界補正量を超えているか否かを判定する更新限界判定手段を有し、前記生成された補正量が前記所定の限界補正量を超えているとの判定が前記更新限界判定手段にてなされたときは、前記所定の限界補正量を更新後の補正量とするようにした構成とすることができる。
【0023】
このような構成により、限界補正量を超える補正量が設定されることを防止することができる。
【0024】
本発明に係るロボット位置制御装置において、前記被駆動体の前回の動作方向と今回の動作方向の組み合わせに応じた複数の補正量が設定されており、前記動作量決定手段は、前記被駆動体の前回の動作方向と前記位置検出手段にて検出される現在位置から目標位置までの今回の動作方向の組み合わせに対応する補正量を用いて前記駆動源の動作量を決定するようにした構成とすることができる。
【0025】
このような構成により、動力伝達機構における機構部品の動作方向の履歴の違いによって機械的誤差が変動しても、より適切な補正量に基づいて駆動源の動作量を決定することができるようになる。
【0026】
また、本発明に係るロボット位置制御装置において、前記補正量更新手段、前記被駆動体の前回の動作方向と前記位置検出手段にて検出される現在位置から目標位置までの今回の動作方向の組み合わせに対応する補正量を今回の動作後における前記現在位置と目標位置との誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように更新するようにした構成とすることができる。
【0027】
このような構成により、機構部品の動作方向の履歴の違いによって機械的誤差が変動しても、より適切な補正量への更新が可能となる。
【0028】
更に、本発明に係るロボット位置制御装置は、前記被駆動体の前回の動作方向が不明な場合、前記動作量決定手段は、設定された複数の補正量のいずれも使用することなく、前記位置検出手段にて検出される現在位置と目標位置との差に基づいて動作量を決定するようにした構成とすることができる。
【0029】
機構部品の動作方向の履歴の違いによって機械的誤差が変動することから、このような構成により、不適切な補正量を用いて駆動源の動作量を決定することを防止することができる。
【0030】
また、更に、本発明に係るロボット位置制御装置において、記被駆動体の前回の動作方向が不明な場合、前記補正量更新手段は、前記設定された複数の補正量のいずれの更新も行わないように構成することができる。
【0031】
機構部品の動作方向の履歴の違いによって機械的誤差が変動することから、このような構成により、補正量を不適切に更新することを防止することができる。
【0032】
本発明に係るロボット位置制御方法は、駆動源と、被駆動体と、前記駆動源の動力を前記被駆動体に伝達させて前記被駆動体を駆動させる動力伝達機構とを備えたロボットにおける前記被駆動体の位置制御方法であって、前記被駆動体の現在位置を検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップにて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいて前記被駆動体を前記目標位置まで移動させるための前記駆動源の動作量を決定する動作量決定ステップと、前記決定された動作量の動作を前記駆動源にさせる駆動制御ステップと、前記駆動源の動作後に、前記被駆動体の現在位置を検出する動作後位置検出ステップと、前記動作後検出ステップにて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との誤差が予め定めた許容量以内であるか否かを判定する判定ステップと、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定がなされたときに、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように前記補正量を更新する補正量更新ステップと、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定がなされたときに、前記動作量決定ステップ、前記駆動制御ステップ、前記判定ステップ及び前記補正量更新ステップでの処理を行わせる補正制御ステップとを有し、前記誤差が前記許容量以内であるとの判定がなされるまで、前記補正制御ステップの処理を繰り返し行わせるようにするとともに、前記補正制御ステップの処理の回数を検出する補正動作回数検出ステップと、前記補正動作回数検出ステップでの検出回数が所定回数以上となったか否かを判定する回数判定ステップと、前記検出回数が前記所定回数以上になったとの判定がなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御ステップの処理を禁止する補正禁止制御ステップとを有する構成となる。
【0033】
このような構成により、駆動源の動作後における被駆動体の現在位置と目標位置との誤差が所定値以内でない場合、前記駆動源の動作量を決定するために用いられた前記補正量が適正ではなかったとして、前記誤差に基づいてその補正量が更新され、更に、補正制御ステップによる処理、即ち、現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいた駆動源の動作量の決定(位置検出ステップ、動作量決定ステップ)、駆動源の前記動作量の駆動(駆動制御ステップ)、動作後の現在位置と目標位置との誤差が許容量以内であるか否かの判定(動作後位置検出ステップ、判定ステップ)、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定がなされた際の前記補正量の更新(補正更新ステップ)が行われる。これにより、被駆動体をよりその目標位置に近づけることができる。そして、一回の補正制御ステップでの処理によって被駆動体の現在位置と目標位置との誤差が許容値以内にならなくても、その補正制御ステップでの処理を繰り返すことにより、当該誤差を前記許容値以内にすることが可能となる。更に、補正制御ステップでの処理に基づいた駆動源の動作が所定回数を超えて繰り返されることが防止され、被駆動体が目標位置から許容値以内に位置づけられることなく補正制御ステップに基づいた駆動源の動作が繰り返されることによる時間の無駄を省くことができる。
【0037】
このような構成により、補正量の更新及び補正動作の無駄な繰り返しを防止することができる。
【0038】
本発明に係るロボットシステムは、駆動源と、被駆動体と、前記駆動源の動力を前記被駆動体に伝達させて前記被駆動体を駆動させる動力伝達機構とを備えたロボットと、該ロボットの前記被駆動体の位置を制御する位置制御装置とを有し、前記位置制御装置は、前記被駆動体の現在位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいて、前記被駆動体を前記目標位置まで移動させるための前記駆動源の動作量を決定する動作量決定手段と、前記動作量決定手段にて決定された動作量の動作を前記駆動源にさせる駆動制御手段と、前記駆動源の動作後に、前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と前記目標位置との誤差が予め定めた許容量以内であるか否かを判定する判定手段と、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記判定手段にてなされたときに、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように前記補正量を更新する補正量更新手段と、前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記判定手段にてなされたときに、前記動作量決定手段、前記駆動制御手段、前記判定手段及び前記補正量更新手段での処理を行わせる補正制御手段と有し、前記誤差が前記許容量以内であるとの判定が前記判定手段にてなされるまで、前記補正制御手段の処理を繰り返し行わせるようにするとともに、前記補正制御手段の処理の回数を検出する補正動作回数検出手段と、前記補正動作回数検出手段での検出回数が所定回数以上となったか否かを判定する回数判定手段と、前記検出回数が前記所定回数以上になったとの判定が前記回数判定手段にてなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御手段の処理を禁止する補正禁止制御手段とを有する構成となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0040】
本発明の実施の形態に係るロボット位置制御装置が適用されるロボットは、図1及び図2に示すように構成される。このロボットは、半導体ウエハの搬送ロボットとして用いられる。なお、図1は該ロボットの斜視図であり、図2は、該ロボットの断面概略図である。
【0041】
図1及び図2において、このロボットは、リフタ機構100、モータ収納体101、基台アーム110、下段アーム112、上段アーム116、下段ウエハチャック駆動機構120、下段ウエハチャック121、上段ウエハチャック駆動機構122及び上段ウエハチャック123を有している。モータ収納体101は、基台アーム110と一体的に結合されている(詳細構造図示略)。下段ウエハチャック駆動機構120は、半導体ウエハのチャッキング動作及びその解放動作を行うように下段ウエハチャック121を駆動させる。上段ウエハチャック駆動機構122は、半導体ウエハのチャッキング動作及びその解放動作を行うように上段ウエハチャック123を駆動させる。
【0042】
このロボットは、図2に示すように、それぞれパルスモータとなるメインモータ10、第一の駆動モータ20及び第二の駆動モータ40を有している。メインモータ10は、モータ収納体101と一体となる基台アーム110(被駆動体)を回転させるための駆動源である。第一の駆動モータ20は、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120(被駆動体)を回転させるための駆動源であり、モータ収納体101に収納されている。第二の駆動モータ40は、上段アーム116及び上段ウエハチャック駆動機構122(被駆動体)を回転させるための駆動源であり、第一の駆動モータ20と共にモータ収納体101に収納されている。
【0043】
メインモータ10にはギアヘッド11が装着され、ギアヘッド11にはメインシャフト12の一端が連結するとともに、メインシャフト12の他端がモータ収納体101の中心に固定されている。これにより、メインモータ10の回転動力がギアヘッド11及びメインシャフト12(動力伝達機構)を介してモータ収納体101に伝達され、モータ収納体101と一体となる基台アーム110がメインシャフト12を軸として回転される。また、メインシャフト12には第一の回転位置検出器61が装着されている。第一の回転位置検出器61は、メインシャフト12とともに回転する基台アーム110の回転角度位置(現在位置)を検出する。
【0044】
第一の駆動モータ20にはギアヘッド21が装着され、ギアヘッド21には駆動シャフト22の一端が連結している。基台アーム110内にはプーリー23及び24が回転自在に設けられ、それらがタイミングベルト25によって一体的に回転するように連結されている。駆動シャフト22の他端はプーリー23の下面の中心に固定されている。プーリー24の上面の中心には連結シャフト26の一端が固定され、連結シャフト26の他端が下段アーム112に固定されている。これにより、第一の駆動モータ20の回転動力がギアヘッド21、駆動シャフト22、プーリー23、タイミングベルト25、プーリー24及び連結シャフト26(動力伝達機構)を介して下段アーム112に伝達され、下段アーム112が連結シャフト26を軸にして回転する。プーリー24の回転軸には第二の回転位置検出器62が装着されている。第二の回転位置検出器62は、プーリー24とともに回転する下段アーム112の回転角度位置(現在位置)を検出する。
【0045】
下段アーム112内にはプーリー27及び28が設けられ、それらがタイミングベルト29によって一体的に回転するように連結されている。プーリー27とプーリー24及び連結シャフト26とは同軸構造となっており、プーリー27は、基台アーム110に回転自在に支持されている。プーリー28は、下段アーム112内で回転自在に支持されている。これにより、プーリー27は、下段アーム112の回転に伴って、基台アーム110との相対的な位置を維持するように、下段アーム112の回転方向とは逆方向に回転する。そして、プーリー28がそのプーリー27の回転に伴うタイミングベルト29の回転によって回転する。
【0046】
プーリー28の上面の中心には連結シャフト30の一端が固定され、連結シャフト30の他端は、下段ウエハチャック駆動機構120に固定されている。これにより、第一の駆動モータ20の回転動力がギアヘッド21、駆動シャフト22、プーリー23、タイミングベルト25、プーリー24、連結シャフト26、下段アーム112、プーリー27、タイミングベルト29、プーリー28及び連結シャフト30(動力伝達機構)を介して下段ウエハチャック駆動機構120に伝達され、下段ウエハチャック駆動機構120が連結シャフト30を軸にして回転する。連結シャフト30には第三の回転位置検出器63が装着されている。第三の回転位置検出器63は、連結シャフト30とともに回転する下段ウエハチャック駆動機構120の回転角度位置(現在位置)を検出する。
【0047】
第一の回転位置検出器61、第二の回転位置検出器62及び第三の回転角度位置検出器63のそれぞれは、下段ウエハチャック121の要求される位置制御精度を満足できる精度にて回転角度位置が検出できるものであれば特に限定されない。これらの回転位置検出器として、例えば、複数の固定された電磁コイルと、回転する磁性体とを備えたインダクトコーダ(登録商標)を用いることができる。このインダクトコーダ(登録商標)は、電磁誘導作用を利用して磁性体の機械的な変位(回転角度)を電磁コイルから出力される信号間の位相差に変換し、その位相差に基づいた検出信号を出力する。
【0048】
第一の駆動モータ20の回転動力が下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120に伝達されることから、第一の駆動モータ20によって下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120が同時に回転される。この回転に際して、例えば、下段ウエハチャック駆動機構120の回転角が常に下段アーム112の回転角の二分の一になるように、下段ウエハチャック駆動機構120に対する動力伝達機構が設計されている。
【0049】
また、メインシャフト12とプーリー24の回転軸(連結シャフト26)との間の距離と、プーリー27の回転軸(連結シャフト26)とプーリー28の回転軸(連結シャフト30)との間の距離は等しい。即ち、基台アーム110の実効長と下段アーム112の実効長とは等しい。
【0050】
更に、第二の駆動モータ40にはギアヘッド41が装着され、ギアヘッド41には駆動シャフト42の一端が連結されている。基台アーム110内には更にプーリー43及び44が回転自在に設けられ、それらがタイミングベルト45によって一体的に回転するように連結されている。駆動シャフト42の他端はプーリー43の下面の中心に固定されている。プーリー44の上面の中心には連結シャフト46が固定されている。この連結シャフト46の他端が上段アーム116に固定されている。これにより、第二の駆動モータ40の回転動力がギアヘッド41、駆動シャフト42、プーリー43、タイミングベルト45、プーリー44及び連結シャフト46(動力伝達機構)を介して上段アーム116に伝達され、上段アーム116が連結シャフト46を軸にして回転する。連結シャフト46は下段アーム112に固定された連結シャフト26より長く、上段アーム116が下段アーム112の上方で回転するようになっている。なお、連結シャフト46は、円筒カバー114にて覆われている。
【0051】
上段アーム内116内にはプーリー47及び48が設けられ、それらがタイミングベルト49によって一体的に回転するように連結されている。プーリー47とプーリー44及び連結シャフト46とは同軸構造となっており、プーリー47は、基台アーム110に回転自在に支持されている。プーリー48は、上段アーム116内で回転自在に支持されている。これにより、プーリー47は、上段アーム116の回転に伴って、基台アーム110との相対的な位置を維持するように、上段アーム116の回転方向とは逆方向に回転する。そして、プーリー48がそのプーリー47の回転に伴うタイミングベルト49の回転によって回転する。
【0052】
プーリー48の下面の中心には連結シャフト50の一端が固定され、連結シャフト50の他端は、上段ウエハチャック駆動機構122に固定されている。これにより、第二の駆動モータ40の回転動力がギアヘッド41、駆動シャフト42、プーリー43、タイミングベルト45、プーリー44、連結シャフト46、上段アーム116、プーリー47、タイミングベルト49、プーリー48及び連結シャフト50(動力伝達機構)を介して上段ウエハチャック駆動機構122に伝達され、上段ウエハチャック駆動機構122が連結シャフト50を軸にして回転する。
【0053】
図2では図示を省略しているが、プーリー44の回転軸及び連結シャフト50には、前述したプーリー24及び連結シャフト30と同様に、それぞれの回転角度位置(現在位置)を検出する回転位置検出器が装着されている。この回転位置検出器もまた、前述した第一、第二及び第三の回転位置検出器61、62、63と同様に、例えば、前述したインダクトコーダ(登録商標)にて構成することができる。
【0054】
第二の駆動モータ40の回転動力が上段アーム116及び上段ウエハチャック駆動機構122に伝達されることから、第二の駆動モータ40によって上段アーム116及び上段ウエハチャック駆動機構122が同時に回転される。この回転に際して、例えば、上段ウエハチャック駆動機構122の回転角が常に上段アーム116の回転角の二分の一になるように、上段ウエハチャック駆動機構122に対する動力伝達機構が設計されている。
【0055】
また、メインシャフト12とプーリー44の回転軸(連結シャフト46)との間の距離と、プーリー47の回転軸(連結シャフト46)とプーリー48の回転軸(連結シャフト50)との間の距離は等しい。即ち、基台アーム110の実効長と上段アーム116の実効長とは等しい。
【0056】
下段ウエハチャック121のホームポジション(HP)は、図1に示すように、基台アーム110と下段アーム112とが折畳まれた状態の所定位置に、また、上段ウエハチャック123のホームポジション(HP)は、基台アーム110と上段アーム116とが折畳まれた状態の所定位置にそれぞれ設定されている。下段ウエハチャック121の動作ポジションは(OP)は、図3に示すように、基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120の回転により下段ウエハチャック121が到達する所定位置に設定されている。また、上段ウエハチャック123の動作ポジション(OP)は、図4に示すように、基台アーム110、上段アーム116及び上段ウエハチャック駆動機構122の回転により上段ウエハチャック123が到達する所定位置に設定されている。なお、図2に示す機構全体がリフタ機構100によってステップ状に上下動可能になっている。
【0057】
前記ロボットは、メインモータ10によって基台アーム110を回転させ、第一の駆動モータ20によって下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120を回転させることにより、下段ウエハチャック121をホームポジション(HP)と動作ポジション(OP)との間を移動させる。また、メインモータ10によって基台アーム110を回転させ、第二の駆動モータ40によって上段アーム116及び上段ウエハチャック駆動機構122を回転させることにより、上段ウエハチャック123をホームポジション(HP)と動作ポジション(OP)との間を移動させる。
【0058】
前記ロボットにおける下段ウエハチャック121及び上段ウエハチャック123のホームポジション(HP)及び動作ポジション(OP)への位置制御の手法は同様であるので、以下、下段ウエハチャック121の位置制御について説明する。
【0059】
基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120は、図5に示すように、回転自在に連結された3つのアームOA、AB、BCによってモデル化することができる。アームOAは基台アーム110(実際には基台アーム110の半分の部分)に対応し、アームABは下段アーム112に対応し、アームBCは下段ウエハチャック駆動機構120に対応する。そして、アームBCの先端に下段ウエハチャック121が位置するものとする。アームOAは点O(第一の回転位置検出器61が装着されたメインシャフト12に対応)を中心にして回転し、アームABはA点(第二の回転位置検出器62が装着されたプーリー24の回転軸に対応)を中心にして回転し、アームBCは点B(第三の回転位置検出器63が装着された連結シャフト30に対応)を中心にして回転する。
【0060】
このようなモデルにおいて、アームOAの回転角度θ1、アームABの回転角度θ2及びアームBCの回転角度θ3の関係は、図5に示すように、
α=θ1+θ2+θ3
となる。ここで、基台アーム110(OA)と下段アーム112(AB)の実効長が等しく、
OA=AB
また、下段アーム112(AB)の回転方向は下段ウエハチャック駆動機構120の回転方向とは逆となって、それらの回転角度の比は−2:1である
θ3=−kθ2、k=1/2
という前記ロボットの機構上の制限を考慮して、
θ1=θ
θ2=−2θ
θ3=θ
θ:ロボットの構造から決まる所定の角度
の条件を満足するようにアームOA、AB、BCを回転させると、
α=θ−2θ+θ=0
となる。即ち、アームBCの先端は回転することなく(α=0)、直線上を移動することになる。
【0061】
そこで、前記ロボットでは、下段ウエハチャック121を動作ポジションの方向αに向けるために、メインモータ10によって基台アーム110(OA)を基準方向に対して角度αだけ回転させる(θ1=α、θ2=θ3=0(α=θ1+θ2+θ3))。これにより、下段ウエハチャック121がホームポジション(HP)に位置づけられる。次いで、メインモータ10及び第一の駆動モータ20によって、基台アーム110を更に角度θ回転させると同時に、下段アーム112(AB)を角度−2θ、下段ウエハチャック駆動機構120(BC)を角度θだけ回転させる(θ1=θ、θ2=−2θ、θ3=θ(α=θ1+θ2+θ3=0))。このようにメインモータ10及び第一の駆動モータ20の駆動制御を行なうことによって下段ウエハチャック121をホームポジション(HP)から動作ポジション(OP)に直線的に移動させることができる。
【0062】
前記のようにして基台アーム110(OA)、下段アーム112(AB)、及び下段ウエハチャック駆動機構120(BC)の回転角度θ1、θ2、θ3の制御を行なうロボット位置制御装置は、図6に示すように構成される。
【0063】
図6において、このロボット位置制御装置は、シーケンス制御部200、位置制御部300、モータ駆動部301、検出出力変換部302及び機構誤差補正量格納部303を有している。モータ駆動部301は、位置制御部300からの駆動制御信号に基づいてメインモータ10及び第一の駆動モータ20(以下、それらを総称してパルスモータという)を駆動させる。検出出力変換部302は、第一の回転位置検出器61、第二の回転位置検出器62及び第三の回転位置検出器63(以下、それらを総称して単に回転位置検出器という)からの検出信号を角度位置情報(例えば、カウント値)に変換して出力する。なお、この角度位置情報は、基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120(以下、必要に応じ、それらを総称して被駆動体という)それぞれの現在の角度位置を表しており、以下、現在位置Pcという。
【0064】
シーケンス制御部200は、半導体ウエハを搬送するためのロボットの一連の動作を制御すべく、基台アーム110の目標となる角度位置、下段アーム112の目標となる角度位置、及び下段ウエハチャック駆動機構120の目標となる角度位置を所定のシーケンスに従って位置制御部300に供給する。なお、前記各目標となる角度位置を以下、単に目標位置Ptという。被駆動体(基台アーム110、下段アーム112、下段ウエハチャック駆動機構120)の目標位置Ptは、下段ウエハチャック121の制御目標位置(ホームポジション(HP)、動作ポジション(OP))に対応したものである。
【0065】
機構誤差補正量格納部303は、基台アーム110の回転に対する機構誤差補正量、下段アーム112の回転に対する機構誤差補正量及び下段ウエハチャック駆動機構120の回転に対する機構誤差補正量を格納する。基台アーム110の回転に対する機構誤差補正量は、駆動源となるメインモータ10の回転動力を基台アーム110に伝達する動力伝達機構(ギアヘッド11及びメインシャフト12)にて発生し得る機構誤差を補正するためのものである。下段アーム112の回転に対する機構誤差補正量は、駆動源となる第一の駆動モータ20の回転動力を下段アーム112に伝達する動力伝達機構(ギアヘッド21、連結シャフト22、プーリー23、タイミングベルト25、プーリー24及び連結シャフト26)にて発生し得る機構誤差を補正するためのものである。また、下段ウエハチャック駆動機構120の回転に対する機構誤差補正量は、駆動源となる第一の駆動モータ20の回転動力を下段ウエハチャック駆動機構120に伝達する動力伝達機構(ギアヘッド21、連結シャフト22、プーリー23、タイミングベルト25、プーリー24、連結シャフト26、下段アーム112、プーリー27、タイミングベルト29、プーリー28及び連結シャフト30)にて発生し得る機構誤差を補正するためのものである。
【0066】
各動力伝達機構ではパルスモータ(メインモータ10、第一の駆動モータ20)の回転方向やその履歴に応じて各機構部品のがたつき量や動作精度等が異なることを考慮して、各機構誤差補正量は、パルスモータの前回の回転方向と今回の回転方向の組み合わせ(結果的に、被駆動体の前回の動作方向と今回の動作方向の組み合わせ)に応じて複数設定されている。具体的には、パルスモータが前回時計回り方向(CW)に回転した状態で今回も時計回り方向(CW)に回転する場合の補正量(以下、CW・同一方向機構誤差補正量という)、パルスモータが前回時計回り方向(CW)に回転した状態で今回は反時計回り方向(CCW)に回転する場合の補正量(以下、CW・反対方向機構誤差補正量という)、パルスモータが前回反時計回り方向(CCW)に回転した状態で今回も反時計回り方向(CCW)に回転する場合の補正量(CCW・同一方向機構誤差補正量という)、更に、パルスモータが前回反時計回り方向(CCW)に回転した状態で今回は時計回り方向(CW)に回転する場合の補正量(CCW・反対方向機構誤差補正量という)が設定されている。
【0067】
前記各機構誤差補正量は、後述するように、更新されるものであるが、その初期値は、ゼロであっても、また、各動力伝達機構の構造から論理的に導き出される補正量であってもよい。
【0068】
位置制御部300は、駆動制御信号を生成してパルスモータ(10、20)に供給する。この駆動制御信号は、シーケンス制御部200からの被駆動体(基台アーム110、下段アーム112、下段ウエハチャック駆動機構120)の目標位置Pt、回転位置検出器(61、62、63)から出力される検出信号に基づいた前記被駆動体の現在位置Pc、及び補正誤差量格納部303に格納された機構誤差補正量に基づいて生成される。また、位置制御部300は、前記駆動制御信号に基づいたパルスモータ(10、20)の駆動が終了したときに、位置決め完了信号をシーケンス制御部200に供給する。そして、シーケンス制御部200は、その位置決め完了信号を確認し、所定のシーケンスに従って新たな目標位置Ptを位置制御部200に供給する。これにより、ロボットが一連の動作を継続して行うこととなる。
【0069】
位置制御部300の詳細構成は図7に示すようになっている。
【0070】
図7において、位置制御部300は、演算部310、補正回数設定部311、自動補正範囲設定部312、許容量設定部313、動作量・速度設定部314、補正回数検出部315、補正回数比較部316、消化量検出部317、補正判断部318、演算部319及び補正量更新部320を有している。演算部310は、シーケンス制御部200から被駆動体の目標位置Ptが供給されると、その目標位置Ptと検出されている前記被駆動体の現在位置Pcとの差Δ(Pc−Pt)を演算し、その差Δ(Pc−Pt)を動作量・速度設定部314に供給する。その差Δ(Pc−Pt)は、被駆動体(基台アーム110、下段アーム112、下段ウエハチャック駆動機構120)を回転させるべき回転角度(図5におけるθ1、θ2、θ3)に対応する。
【0071】
動作量・速度設定部314は、その差Δ(Pc−Pt)及び機構誤差補正量格納部303に格納された機構誤差補正量に基づいてパルスモータ(10、20)を駆動させるべきステップ数を演算し、そのステップ数及び予め定められた速度に対応したパルス信号を生成し、そのパルス信号を駆動制御信号としてモータ駆動部301に供給する。即ち、動作量・速度設定部314は、被駆動体を回転させるべき回転角度(差Δ)を機構誤差補正量によって補正して、パルスモータ(10、20)の動作量を決める駆動制御信号を生成している。
【0072】
演算部319は、パルスモータ(10、20)の駆動後に、検出されている被駆動体の現在位置Pcと動作量・速度設定部314を介して供給されるその目標位置Ptとの誤差Δ(Pc−Pt)を演算し、その誤差Δを補正判断部318に供給する。補正回数設定部311は、パルスモータ(10、20)の実行可能な補正動作の最大回数となる自動補正回数を格納する。補正回数検出部315は、パルスモータ(10、20)が実行した補正動作の回数を検出する。補正回数比較部316は、補正回数検出部315により検出された補正動作回数が補正回数設定部311に設定された自動補正回数を超えたか否かを判定し、その判定結果を補正判断部318に与える。自動補正範囲設定部312は、前記誤差Δが補正可能な範囲にあるか否かの判断基準となる自動補正範囲を格納する。許容量設定部313は、前記誤差Δの許容量を格納する。前記自動補正範囲は前記許容量にて定まる範囲より大きい。消化量検出部317は、動作量・速度設定部314の駆動制御信号の出力停止タイミングに応答してパルスモータ(10、20)の動作が完了したことを判定すると、補正判断部318に補正処理開始の指示を与える。なお、前記自動補正範囲及び許容量は、例えば、当該ロボットのティーチング動作において、それぞれ自動補正範囲設定部312及び許容量設定部313に設定され得る。また、前記自動補正回数は、例えば、当該ロボット位置制御装置の初期設定動作において自動的に補正回数設定部311に設定され得る。
【0073】
補正判断部318は、消化量検出部317から補正処理開始の指示にて起動され、演算部319からの誤差Δ、自動補正範囲設定部312に設定された自動補正範囲、許容量設定部313に設定された許容量及び補正回数比較部316での判定結果に基づいてパルスモータ(10、20)に補正動作をさせるべきであるか否かを判定する。そして、補正判定部318は、パルスモータ(10、20)に補正動作をさせるべきであると判定した場合、補正指示を動作量・速度設定部314及び補正量更新部320に前記誤差Δとともに与える。また、補正回数検出部315は、補正判断部318からの補正指示に基づいて検出補正回数を+1インクリメントする。
【0074】
補正量更新部320は、前記誤差Δに基づいて機構誤差補正量格納部303に格納されている機構誤差補正量の更新処理を行う。また、動作量・速度設定部314は、補正判断部318から補正指示とともに与えられた前記誤差Δと機構誤差補正量格納部303に格納されている機構誤差補正量とに基づいてパルスモータ(10、20)の補正動作でのステップ数を演算し、そのステップ数及び予め定められた速度に対応したパルス信号を生成し、そのパルス信号を補正動作に係る駆動制御信号としてモータ駆動部301に供給する。
【0075】
位置制御部300は、例えば、図8の手順に従って処理を行う。
【0076】
図8において、位置制御部300は、シーケンス制御部200からの被駆動体の目標位置Ptを取得し(S1)、回転位置検出器(61、62、63)からの検出信号に基づいた前記被駆動体の現在位置Pcを取得する(S2)。次いで、演算部310が前記現在位置Pcと目標位置Ptとの差Δ(Pc−Pt)を演算する(S3)。位置制御部300は、その差Δ(Pc−Pt)が許容量以下であるか否かを判定し(S4)、その差Δが許容量以下であると(S4でYES)、前記被駆動体(基台アーム110、下段アーム112、下段ウエハチャック駆動機構120)の現在位置Pcが既に目標位置Ptにあるとして、処理を正常終了させる。一方、前記差Δが許容量以下ではないとの判定がなされると(S4でNO)、動作量・速度設定部314が動作量(パルスモータの回転角度)を演算する(S5)。この動作量の演算は、図9に示す手順に従ってなされる。
【0077】
図9において、パルスモータの前回の動作(回転方向)が不明であるか否かが判定される(S51)。その前回の動作が不明であるとの判定がなされると(S51でYES)、動作量・速度設定部314は、演算部310から供給される前記差Δ(Pc−Pt)を動作量として決定する(S56)。これは、前回の動作による回転方向が不明であると、今回の動作により発生し得る機構誤差が不明となることから、特に機構誤差に対応した補正量を考慮しないで動作量を決定するものである。
【0078】
一方、パルスモータの前回の動作が明らかな場合(S51でNO)、その前回の動作における回転方向と今回の動作における回転方向との組み合わせに応じて、以下のとおりに動作量が決定される。
【0079】
前回の動作における回転方向が時計回り方向(CW)であって、今回の動作における回転方向も時計回り方向(CW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正量格納部303に格納されたCW・同一方向機構誤差補正量が用いられ、動作量が
動作量=Δ(Pc−Pt)+CW・同一方向機構誤差補正量
に従って演算される(S52)。また、前回の動作における回転方向が時計回り方向(CW)であって、今回の動作における回転方向が反時計回り方向(CCW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正量格納部303に格納されたCW・反対方向機構誤差補正量が用いられ、動作量が
動作量=Δ(Pc−Pt)+CW・反対方向機構誤差補正量
に従って演算される(S53)。更に、前回の動作における回転方向が反時計回り方向(CCW)であって、今回の動作における回転方向も反時計回り方向(CCW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正量格納部303に格納されたCCW・同一方向機構誤差補正量が用いられ、動作量が
動作量=Δ(Pc−Pt)+CCW・同一方向機構誤差補正量
に従って演算される(S54)。また、更に、前回の動作における回転方向が反時計回り方向(CCW)であって、今回の動作における回転方向が時計回り方向(CW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正量格納部303に格納されたCCW・反対方向機構誤差量が用いられ、動作量が
動作量=Δ(Pc−Pt)+CCW・反対方向機構誤差補正量
に従って演算される(S55)。
【0080】
図8に戻って、動作量・速度設定部314は、前述したようにして演算した動作量に対応したステップ数と予め設定された速度とに基づいてパルス信号を生成し、そのパルス信号を駆動制御信号としてモータ駆動部301に供給する(S6)。モータ駆動部301は、その駆動制御信号に基づいてパルスモータ(10、20)を駆動させる。その結果、パルスモータ(10、20)が前記動作量に対応したステップ数回転する間、基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120が回転する。
【0081】
そして、パルスモータ(10、20)の前記ステップ数の動作が完了すると、基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120の回転が停止する。すると、位置制御装置300は、その動作後における回転位置検出器(61、62、63)からの検出信号に対応した被駆動体(基台アーム110、下段アーム112、下段ウエハチャック駆動機構120)の現在位置Pcを取得する(S7)。そして、演算部19が取得した現在位置Pcと目標位置Ptとの誤差ト(Pc−Pt)を演算する(S8)。この誤差ト(Pc−Pt)は、演算部19から補正判断部318に供給される。
【0082】
パルスモータの停止によって消化量検出部317から出力される補正処理開始指示により起動された補正判断部318は、前記誤差Δ(Pc−Pt)が許容量設定部313に設定された許容量以下であるか否かを判定する(S9)。ここで、前記誤差Δ(Pc−Pt)が許容量以下であるとの判定がなされると(S9でYES)、被駆動体(基台アーム110、下段アーム112、下段ウエハチャック駆動機構120)の現在位置Pcが目標位置Ptに達したとして処理の正常終了がなされる。これにより、基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120が所定の回転角度(図5におけるθ1、θ2、θ3に対応)だけ回転されたこととなり、下段ウエハチャック駆動機構120の先端に装着される下段ウエハチャック121が制御目標位置に位置づけられたこととなる。通常時には、シーケンス制御部200から目標位置Ptが供給される毎に、以上の処理(S1→S9)がなされる。
【0083】
一方、前記誤差Δ(Pc−Pt)が前記許容量以下ではないとの判定がなされると(S9でNO)、補正判断部318は、更に、その誤差Δ(Pc−Pt)が自動補正範囲設定部312に設定された自動補正範囲以内であるか否かを判定する(S10)。ここで、前記誤差Δ(Pc−Pt)が前記自動補正範囲以内であるとの判定がなされると(S10でYES)、補正判断部318は、更に、補正回数比較部316からの判定結果に基づいて補正動作回数が自動補正回数を超えたか否かを判定する(S11)。そして、補正動作回数が自動補正回数を超えていないとの判定がなされると(S11でNO)、補正判断部318は、補正指示を出力する。この補正指示により、補正回数検出部315が検出補正動作回数を+1だけインクリメントし、補正量更新部320は機構誤差補正量格納部303に格納された各機構誤差補正量の更新処理を行う(S12)。この更新処理は、図10に示す手順に従ってなされる。
【0084】
図10において、パルスモータの前回の動作(回転方向)が不明であるか否かが判定される(S121)。その前回の動作が不明であるとの判定がなされると(S121でYES)、各機構誤差補正量の更新はなされずに処理は終了される。一方、パルスモータの前回の動作が明らかな場合(S121でNO)、その前回の動作における回転方向と、今回動作における回転方向との組み合わせに応じて、以下のとおりに機構誤差補正量の更新がなされる。
【0085】
前回の動作における回転方向が時計回り方向(CW)であって、今回の動作における回転方向も時計回り方向(CW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正量格納部303に格納されたCW・同一方向機構誤差補正量が、前記誤差Δ(Pc−Pt)を用いて更新される。具体的には、まず、
CW・同一方向機構誤差補正量=
Δ(Pc−Pt)+CW・同一方向機構誤差補正量
に従って新たなCW・同一方向機構誤差補正量が演算される(S122)。これは、前記誤差Δ(Pc−Pt)の分だけ更に補正をしていれば、その誤差Δが生じなかったという事情に基づくものである。そして、その新たなCW・同一方向機構誤差補正量が予め定めた限界値(CW・同一方向補正限界値)を超えていなければ(S123でNO)、機構誤差補正量格納部303に格納されたCW・同一方向機構誤差補正量が前記演算値に更新される。一方、前記新たなCW・同一方向機構誤差補正量が前記CW・同一方向補正限界値を超えている場合(S123でYES)、CW・同一方向機構誤差補正量がそのCW・同一方向補正限界値に更新される(S124)。
【0086】
また、前回の動作における回転方向が時計回り方向(CW)であって、今回の動作における回転方向が反時計回り方向(CCW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正誤差量格納部303に格納されたCW・反対方向機構誤差補正量が、前記CW・同一方向機構誤差補正量と同様の手順に従って更新される。即ち、
CW・反対方向機構誤差補正量=
Δ(Pc−Pt)+CW・反対方向機構誤差補正量
に従って新たなCW・反対方向機構誤差補正量が演算され(S125)、その新たなCW・反対方向機構誤差補正量が所定の限界値(CW・反対方向補正限界値)を超えていなければ(S126でNO)、CW・反対方向機構誤差補正量がその演算値に更新される。一方、前記新たなCW・反対方向機構誤差補正量が前記CW・反対方向補正限界値を超えている場合は(S126でYES)、CW・反対方向機構誤差補正量がそのCW・反対方向限界値に更新される(S127)。
【0087】
更に、前回の動作における回転方向が反時計回り方向(CCW)であって、今回の動作における回転方向も反時計回り方向(CCW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正量格納部303に格納されたCCW・同一方向機構誤差補正量が、前記手順と同一の手順に従って
CCW・同一方向機構誤差補正量=
Δ(Pc−Pt)+CCW・同一方向機構誤差補正量
の演算値及び所定の限界値(CCW・同一方向補正限界値)のいずれかの値に更新される(S128、S129、S130)。また、更に、前回の動作における回転方向が反時計回り方向(CCW)であって、今回の動作における回転方向が時計回り方向(CW)である場合には、その回転方向の組み合わせに対応して機構誤差補正量格納部303に格納されたCCW・反対方向機構誤差補正量が、前記手順と同様の手順に従って
CCW・反対方向機構誤差補正量=
Δ(Pc−Pt)+CCW・反対方向機構誤差補正量
の演算値及び所定の限界値(CCW・反対方向補正限界値)のいずれかの値に更新される(S131、S132、S133)。
【0088】
図8に戻って、前述した手順に従って機構誤差補正量の更新処理(S12)が終了すると、補正判断部318から補正指示を受けた動作量・速度設定部314は、現在位置Pcと目標位置Ptとの差Δ(Pc−Pt)を用いて、図9に示す手順に従ってパルスモータ(10、20)の動作量(補正動作量)を演算する(S5)。この動作量の演算においては、前述したように更新された機構誤差補正量(CW・同一方向機構誤差補正量、CW・反対方向機構誤差補正量、CCW・同一方向機構誤差補正量、またはCCW・反対方向機構誤差補正量)が用いられる。
【0089】
そして、動作量・速度設定部314は、得られた動作量(補正動作量)に対応したステップ数と予め設定された速度とに基づいてパルス信号を生成し、そのパルス信号を駆動制御信号としてモータ駆動部301に供給する(S6)。その結果、モータ駆動部301により前記駆動制御信号に基づいて駆動されるパルスモータ(10、20)が前記動作量(補正動作量)に対応したステップ数分回転し、それに伴って、基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120が回転する。
【0090】
このようにして一連の補正動作が完了すると、位置制御部300は、その補正動作後における回転位置検出器(61、62、63)からの検出信号に対応した被駆動体の現在位置Pcを取得し(S7)、演算部119がその現在位置Pcと目標位置Ptとの誤差(Pc−Pt)を演算する(S8)。そして、前記補正動作の完了により消化量検出部317から出力される補正処理開始指示により起動された補正判断部318は、前記誤差Δ(Pc−Pt)が許容量以下となるか否かを判定する(S9)。ここで、前記補正動作により、その誤差Δ(Pc−Pt)が許容量以下になっていると(S9でYES)、被駆動体の現在位置Pcが目標位置Ptに達したとして、処理の正常終了がなされる。
【0091】
一方、前記補正動作でも前記誤差Δ(Pc−Pt)が許容値以下にならなかった場合(S9でNO)、前記手順と同様の手順(S10、S11、S12、S5、S6)に従って再度の機構誤差量の更新処理及び補正動作がなされる。以後、自動補正回数を限度に、誤差Δ(Pc−Pt)が許容値以下になるまで、前記機構誤差補正量の更新処理及び前記補正動作が繰り返し実行される。
【0092】
なお、前記機構誤差補正量の更新処理及び前記補正動作がなされる過程で、誤差Δ(Pc−Pt)が自動補正範囲外であるとの判定がなされると(S10でNO)、更に、補正判断部318は、その誤差Δ(Pc−Pt)が予め定めた回復可能エラー範囲内であるか否かを判定する(S13)。この回復可能エラー範囲は、前記誤差Δ(Pc−Pt)が、回復可能なエラーに起因したものであるか否かの判断基準である。従って、前記誤差Δ(Pc−Pt)が前記回復可能エラー範囲内であるとの判定がなされると(S13でYES)、回復可能エラーのメッセージ出力等がなされ(S14)、処理が終了する。一方、動力伝達機構における各機構部品のがたつき程度や組立て精度の劣化が大きくなって、前記誤差Δ(Pc−Pt)が前記回復可能エラー範囲内ではないとの判定がなされると(S13でNO)、回復不能エラーのメッセージ出力等がなされ(S15)、処理が終了する。
【0093】
また、前記機構誤差補正量の更新処理及び前記補正動作がなされる過程で、補正動作回数が自動補正回数を超えると(S11でYES)、補正動作により基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120をそれぞれ目標位置Ptの許容量範囲内に位置づけることができないとして、即ち、下段ウエハチャック121を目標位置(ホームポジション(HP)または動作ポジション(OP))に制御することができないとして、回復可能エラーのメッセージ出力等がなされ(S14)、処理が終了する。
【0094】
以上の処理により、図11に示すように、被駆動体は、現在位置Pcと目標位置Ptとの差Δ(Pc−Pt)と機構誤差補正量との和に対応した量(ステップ数)のパルスモータの動作により、現在位置Pcから目標位置Ptに向けて駆動される。そして、その駆動後の被駆動体の位置(現在位置)が目標位置Pt対する許容量の範囲内であれば、被駆動体の位置制御が終了する。一方、その駆動後の被駆動体の位置が前記許容量の範囲を超えて自動補正範囲内であれば、被駆動体の位置が目標位置Ptの許容量の範囲内になるまで、機構誤差補正量の更新処理及びパルスモータによる補正動作がなされる。更に、被駆動体の位置が自動補正範囲を超えて回復可能エラーの範囲であれば、回復可能エラーとして位置制御が終了し、被駆動体の位置が回復可能エラー範囲を超えた場合には、回復不能エラーとして位置制御が終了する。
【0095】
メインモータ10及び第一の駆動モータ20をパルスモータと総称し、第一の回転位置検出器61、第二の回転位置検出器62及び第三の回転位置検出器63を回転位置検出器と総称して前記ロボット位置制御装置の動作について説明したが、実際には、第一の回転位置検出器61からの検出信号に基づいた基台アーム110の現在位置Pcとその目標位置Ptとの差Δ及び基台アーム110の回転に対する機構誤差補正量(CW・同一方向機構誤差補正量、CW・反対方向機構誤差補正量、CCW・同一方向機構誤差補正量、及びCCW・反対方向機構誤差補正量のいずれか)に基づいてメインモータ10の動作(補正動作も含む)が制御される。また、メインモータ10の動作後に、基台アーム110の現在位置Pcとその目標位置Ptとの誤差Δに基づいて基台アーム110の回転に対する機構誤差補正量の更新処理がなされる。
【0096】
下段アーム112と下段ウエハチャック駆動機構120とは同一の駆動源、即ち、第一の駆動モータ20にて駆動される。当該ロボット位置制御装置では、下段アーム112の動作量(図5に示す角度θ2)が下段ウエハチャック駆動機構120の動作量(図5に示す角度θ3)より大きくなる(θ2=−2θ、θ3=θ)ことから、下段アーム112の現在位置Pcを検出するための第二の回転位置検出器62の検出信号を優先している。即ち、第一の駆動モータ20の通常の動作については、第二の回転位置検出器62からの検出信号に基づいた下段アーム112の現在位置Pcとその目標位置Ptとの差Δ(図5に示す角度θ2に対応)及び下段アーム112の回転に対する機構誤差補正量に基づいて制御がなされる。
【0097】
第一の駆動モータ20の補正動作については、第二の回転位置検出器62からの検出信号に基づいた下段アーム112の現在位置Pcとその目標位置Ptとの誤差トが許容量以下となって、第三の回転位置検出器63からの検出信号に基づいた下段ウエハチャック駆動機構120の現在位置Pcとその目標位置Ptとの誤差トが許容量を超えた場合に限り、第三の回転位置検出器63からの検出信号に基づいて第一の駆動モータ20の補正動作が制御される。第二の回転位置検出器62からの検出信号に基づいた下段アーム112の現在位置Pcとその目標位置Ptと誤差トが許容量を超えた場合には、第三の回転位置検出器63からの検出信号に基づいた下段ウエハチャック駆動機構の現在位置Pcとその目標位置Ptとの誤差トが許容量以下であるか否かに関わらず、第二の回転位置検出器62からの検出信号に基づいて第一の駆動モータ20の補正動作が制御される。
【0098】
第二の回転位置検出器62からの検出信号に基づいた第一の駆動モータ20の補正動作とともに、下段アーム112の回転に対する機構誤差補正量の更新処理がなされる。また、第三の回転位置検出器63からの検出信号に基づいた第一の駆動モータ20の補正動作とともに、下段ウエハチャック駆動機構120の回転に対する機構誤差補正量の更新処理がなされる。
【0099】
前述した本発明の実施の形態に係るロボット位置制御装置によれば、被駆動体(基台アーム110、下段アーム112及び下段ウエハチャック駆動機構120)の現在位置Pcとその目標位置Ptとの差Δ(Pc−Pt)及び機構誤差補正量に基づいて決定される動作量(ステップ数)だけパルスモータ(メインモータ10及び第一の駆動モータ20)を回転させて被駆動体を目標位置Pt(θ1、θ2、θ3に対応)まで駆動させる通常の動作が繰り返される過程で、動力伝達機構における各機構部品のがたつき程度や組立て精度の劣化が大きくなって、被駆動体の目標位置Ptへの位置づけ精度が許容範囲を超えた場合、自動的に、機構誤差補正量の更新処理及びパルスモータによる補正動作がなされるので、即座に、被駆動体の目標位置Ptへの位置づけ精度を前記許容範囲内に復帰させることができる。そして、動力伝達機構における各機構部品のがたつき程度や組立て精度の劣化が大きくなっても、更新処理により動力伝達機構の現在の状態に適した機構誤差補正量が設定されるので、補正動作の完了後では、適正な機構誤差補正量を用いて通常の動作を継続させることが可能となる。従って、ロボットの本来の稼動を中断させることなく、各被駆動体の精度の良い位置制御を長く維持できるようになる。
【0100】
なお、前述したロボット位置制御装置は、駆動源として回転動作を行うパルスモータを用いたロボットに適用されたが、直線的な動作を行うリニアモータを駆動源として用いたロボットに対して前述した位置制御の手法を適用することも可能である。また、被駆動体が駆動源によって回転駆動されるものであったが、例えば、リフタ機構100による被駆動体(図2に示す機構全体)のステップ状の位置制御に前述した手法を適用することも可能である。
【0101】
【発明の効果】
以上、説明したように、本願発明によれば、被駆動体の現在位置とその目標位置との差と補正量に基づいて決定される動作量だけ駆動源を動作させる通常の動作後に、その駆動体の現在位置がその目標位置の第一の所定値以内でなければ、補正量の更新及び補正動作がなされることから、ロボットの本来の稼動を中断させることなく、精度の良い位置制御を長く維持できるようなロボット位置制御装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るロボット位置制御装置にて制御されるロボットの構造を示す斜視図である。
【図2】ロボットの機構構成の概略を示す断面図である。
【図3】ロボットの動作状態の一例を示す斜視図である。
【図4】ロボットの動作状態の他の一例を示す斜視図である。
【図5】ロボットにおいて結合される各アームをモデル化して示した図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るロボット位置制御装置を示すブロック図である。
【図7】図6に示すロボット位置制御装置における位置制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】位置制御部での処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】動作量演算の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】機構誤差補正量の更新処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】被駆動体の位置制御の状態を示す図である。
【符号の説明】
10、20、40 パルスモータ
11、21、41 ギアボックス
12 メインシャフト
22、42 駆動シャフト
23、24、27、28、43、44、47、28 プーリー
25、29、45、49 タイミングベルト
26、30、46、50 連結シャフト
61 第一の回転位置検出器
62 第二の回転位置検出器
63 第三の回転位置検出器
100 リフタ機構
101 モータ収納体
110 基台アーム
112 下段アーム
114 円筒カバー
116 上段アーム
120 下段ウエハチャック駆動機構
121 下段ウエハチャック
122 上段ウエハチャック駆動機構
123 上段ウエハチャック
200 シーケンス制御部
300 位置制御部
301 モータ駆動部
302 検出出力変換部
303 機構誤差補正量格納部
310 演算部
311 補正回数設定部
312 自動補正範囲設定部
313 許容量設定部
314 動作量・速度設定部
315 補正回数検出部
316 補正回数比較部
317 消化量検出部
318 補正判断部
319 演算部
320 補正量更新部

Claims (11)

  1. 駆動源と、被駆動体と、前記駆動源の動力を前記被駆動体に伝達させて前記被駆動体を駆動させる動力伝達機構とを備えたロボットにおける前記被駆動体の位置制御装置であって、
    前記被駆動体の現在位置を検出する位置検出手段と、
    前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいて、前記被駆動体を前記目標位置まで移動させるための前記駆動源の動作量を決定する動作量決定手段と、
    前記動作量決定手段にて決定された動作量の動作を前記駆動源にさせる駆動制御手段と、
    前記駆動源の動作後に、前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と前記目標位置との誤差が予め定めた許容量以内であるか否かを判定する第一の判定手段と、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記第一の判定手段にてなされたときに、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように前記補正量を更新する補正量更新手段と、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記第一の判定手段にてなされたときに、前記動作量決定手段、前記駆動制御手段、前記第一の判定手段及び前記補正量更新手段での処理を行わせる補正制御手段とを有し、
    前記誤差が前記許容量以内であるとの判定が前記第一の判定手段にてなされるまで、前記補正制御手段の処理を繰り返し行わせるようにするとともに、
    前記補正制御手段の処理の回数を検出する補正動作回数検出手段と、
    前記補正動作回数検出手段での検出回数が所定回数以上となったか否かを判定する回数判定手段と、
    前記検出回数が前記所定回数以上になったとの判定が前記回数判定手段にてなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御手段の処理を禁止する第一の補正禁止制御手段とを有することを特徴とするロボット位置制御装置。
  2. 前記誤差が前記許容量より大きい所定範囲以内であるか否かを判定する第二の判定手段と、
    前記第二の判定手段にて前記誤差が前記所定範囲以内でないとの判定がなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御手段の処理を禁止する第二の正禁制御手段とを有することを特徴とする請求項1記載のロボット位置制御装置。
  3. 前記補正量更新手段は、前記補正量に前記誤差を加算して更新後の補正量を生成するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のロボット位置制御装置。
  4. 前記補正量更新手段は、生成された前記補正量が所定の限界補正量を超えているか否かを判定する更新限界判定手段を有し、
    前記生成された補正量が前記所定の限界補正量を超えているとの判定が前記更新限界判定手段にてなされたときは、前記所定の限界補正量を更新後の補正量とするようにしたことを特徴とする請求項3記載のロボット位置制御装置。
  5. 駆動源と、被駆動体と、前記駆動源の動力を前記被駆動体に伝達させて前記被駆動体を駆動させる動力伝達機構とを備えたロボットにおける前記被駆動体の位置制御装置であって、
    前記被駆動体の現在位置を検出する位置検出手段と、
    前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいて、前記被駆動体を前記目標位置まで移動させるための前記駆動源の動作量を決定する動作量決定手段と、
    前記動作量決定手段にて決定された動作量の動作を前記駆動源にさせる駆動制御手段と、
    前記駆動源の動作後に、前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と前記目標位置との誤差が予め定めた許容量以内であるか否かを判定する第一の判定手段と、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記第一の判定手段にてなされたときに、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように前記補正量を更新する補正量更新手段と、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記第一の判定手段にてなされたときに、前記動作量決定手段、前記駆動制御手段、前記第一の判定手段及び前記補正量更新手段での処理を行わせる補正制御手段とを有し、
    前記補正量更新手段は、前記補正量に前記誤差を加算して更新後の補正量を生成するとともに、
    生成された前記補正量が所定の限界補正量を超えているか否かを判定する更新限界判定手段を有し、
    前記生成された補正量が前記所定の限界補正量を超えているとの判定が前記更新限界判定手段にてなされたときは、前記所定の限界補正量を更新後の補正量とするようにしたことを特徴とするロボット位置制御装置。
  6. 前記被駆動体の前回の動作方向と今回の動作方向の組み合わせに応じて複数の補正量が設定されており、
    前記動作量決定手段は、前記被駆動体の前回の動作方向と前記位置検出手段にて検出される現在位置から目標位置までの今回の動作方向の組み合わせに対応する補正量を用いて前記駆動源の動作量を決定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のロボット位置制御装置。
  7. 前記補正量更新手段は、前記被駆動体の前回の動作方向と前記位置検出手段にて検出される現在位置から目標位置までの今回の動作方向の組み合わせに対応する補正量を、今回の動作後における前記現在位置と目標位置との誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように更新するようにしたことを特徴とする請求項記載のロボット位置制御装置。
  8. 前記被駆動体の前回の動作方向が不明な場合、前記動作量決定手段は、設定された複数の補正量のいずれも使用することなく、前記位置検出手段にて検出される現在位置と目標位置との差に基づいて動作量を決定するようにしたことを特徴とする請求項または記載のロボット位置制御装置。
  9. 前記被駆動体の前回の動作方向が不明な場合、前記補正量更新手段は、前記設定された複数の補正量のいずれの更新も行わないことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のロボット位置制御装置。
  10. 駆動源と、被駆動体と、前記駆動源の動力を前記被駆動体に伝達させて前記被駆動体を駆動させる動力伝達機構とを備えたロボットにおける前記被駆動体の位置制御方法であって、
    前記被駆動体の現在位置を検出する位置検出ステップと、
    前記位置検出ステップにて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいて前記被駆動体を前記目標位置まで移動させるための前記駆動源の動作量を決定する動作量決定ステップと、
    前記決定された動作量の動作を前記駆動源にさせる駆動制御ステップと、
    前記駆動源の動作後に、前記被駆動体の現在位置を検出する動作後位置検出ステップと、
    前記動作後検出ステップにて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との誤差が予め定めた許容量以内であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定がなされたときに、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように前記補正量を更新する補正量更新ステップと、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定がなされたときに、前記動作量決定ステップ、前記駆動制御ステップ、前記判定ステップ及び前記補正量更新ステップでの処理を行わせる補正制御ステップとを有し、
    前記誤差が前記許容量以内であるとの判定がなされるまで、前記補正制御ステップの処理を繰り返し行わせるようにするとともに、
    前記補正制御ステップの処理の回数を検出する補正動作回数検出ステップと、
    前記補正動作回数検出ステップでの検出回数が所定回数以上となったか否かを判定する回数判定ステップと、
    前記検出回数が前記所定回数以上になったとの判定がなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御ステップの処理を禁止する補正禁止制御ステップとを有することを特徴とするロボット位置制御方法。
  11. 駆動源と、被駆動体と、前記駆動源の動力を前記被駆動体に伝達させて前記被駆動体を駆動させる動力伝達機構とを備えたロボットと、該ロボットの前記被駆動体の位置を制御する位置制御装置とを有し、
    前記位置制御装置は、
    前記被駆動体の現在位置を検出する位置検出手段と、
    前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と目標位置との差及び補正量に基づいて、前記被駆動体を前記目標位置まで移動させるための前記駆動源の動作量を決定する動作量決定手段と、
    前記動作量決定手段にて決定された動作量の動作を前記駆動源にさせる駆動制御手段と、
    前記駆動源の動作後に、前記位置検出手段にて検出される前記被駆動体の現在位置と前記目標位置との誤差が予め定めた許容量以内であるか否かを判定する判定手段と、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記判定手段にてなされたときに、前記誤差に基づいて、該誤差が相殺されるように前記補正量を更新する補正量更新手段と、
    前記誤差が前記許容量以内ではないとの判定が前記判定手段にてなされたときに、前記動作量決定手段、前記駆動制御手段、前記判定手段及び前記補正量更新手段での処理を行わせる補正制御手段と有し、
    前記誤差が前記許容量以内であるとの判定が前記判定手段にてなされるまで、前記補正制御手段の処理を繰り返し行わせるようにするとともに、
    前記補正制御手段の処理の回数を検出する補正動作回数検出手段と、
    前記補正動作回数検出手段での検出回数が所定回数以上となったか否かを判定する回数判定手段と、
    前記検出回数が前記所定回数以上になったとの判定が前記回数判定手段にてなされたときに、前記補正量の更新及び前記補正制御手段の処理を禁止する補正禁止制御手段とを有することを特徴とするロボットシステム。
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