JP4282021B2 - 物質移動の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、物質の移動の制御に関する。
物質の移動は、様々な状況において必要とされている。特に、人間が行っていた操作を機械的に再現する場合には、物質の移動技術は、しばしば重要な課題となる。例えば生物学的な、あるいは化学的な実験は、物質の混合、反応、分離等といった基本的な操作の組み合せによって構成されている。これらの操作を機械化するには、様々な物質の移動技術を組み合せる必要がある。
一方、分析化学の分野においては、マイクロチップが注目されている。マイクロチップとは、ガラスやプラスチック表面に形成された流路の中で、物質の反応や分離を行うためのデバイスである。マイクロチップには、数μm〜数百μm程度の幅と深さを有する微細流路が形成されている。この流路が反応や分離のための空間として利用される。このようにきわめて小容量の空間を利用する点が、マイクロチップの大きな特徴である。
微細な流路は、単に容量を小さくするのみならず、電気浸透(electroosmosis)を利用した液体の移送を実現する。電気浸透とは、ガラスなどのシラノール基(−SiOH)を有する表面において、電圧を印加された溶媒が陰極へ移動する現象である。電気浸透によって生じる溶媒の流れを、電気浸透流(electroosmosis flow)という。マイクロチップ上では、電気浸透流を駆動力として、ポンプなどの移送手段を用いることなく、溶媒の移送を行うことができる。
以上のような特徴から、マイクロチップには次のような利点が期待できる。
−デバイス自体が小さい
−分析や分離に必要な試料が少ない
−試料が少ないので、反応、分離、分析に必要な時間も短い
−レプリカによりデバイスを安価に製造することもできる
−ポンプや弁などの機械的手段に頼らない溶媒の移送が可能
これらの利点を利用して、蛋白質や核酸などの分離、分析、あるいは反応のために、マイクロチップを応用した報告は多い。中でも電気泳動分析のためのマイクロチップは、既に実用化されている。
たとえば島津マイクロチップ電気泳動装置「MCE−2010」(島津製作所)は、10μm〜100μmの幅および深さを有する流路が形成された石英ガラスからなるマイクロチップを利用している。このマイクロチップには、電気泳動に必要な電極が装備され、更に泳動バッファーを供給するための穴や、光学的な検出を行うためのスリットも設けられている。マイクロチップに形成された流路は、電気泳動分離のための空間、並びにサンプルや泳動バッファーをデバイスの外から供給するための流路として機能する。
円形の基板の同心円上に配置された多数の流路を電気泳動のための空間に利用したマイクロチップも公知である(非特許文献1/Paegel B.M.et al.:Proc of μ TAS2001:462−464,2001)。円形の基板を利用しているので、基板を回転させることによって、全ての流路を光学的にスキャンすることができる。
これらの公知のマイクロチップにおいては、1本の連続した流路において、電気泳動分離が行われていた。単一の媒体で電気泳動分離するのであれば、このような構成でも問題はない。しかし、同じ構成のマイクロチップを用いて、異なる媒体を組み合せて連続的に電気泳動分離することは難しい。
一般にマイクロチップにおいては、流路に弁や壁のような、液体の流れを制御するための物理的な障壁は設けられない。そこでマイクロチップの上で異なる液体が接触するタイミングを制御するために、たとえば交差する複数の流路の利用が試みられた(非特許文献2/Roy D.et al.,Anal.Chem.2000 72,p5244−5249)。流路を交差させておけば、交差する部分に達する液体の流れを調節することによって、異なる液体が接触するタイミングを調節することができる。しかしこのマイクロチップでは異なる媒体を収容した流路がそれぞれ1本しか用意されていない。その結果、二次元目の泳動用媒体を導入したときに、一次元目の電気泳動で分離された物質が混合してしまう可能性があった。
さて電気泳動分析は早い時期からマイクロチップへの適用が試みられている分析手法の一つである。既に商品化された電気泳動分析のためのマイクロチップもあることは既に述べた。本発明者らも、マイクロチップに応用が可能な二次元電気泳動分析方法について特許出願している(WO00/52458)。二次元電気泳動は、蛋白質のプロファイリングにおいて極めて重要な情報を与える分析手法として重要である。
二次元電気泳動は、2つの異なる電気泳動媒体を用いて、2度の電気泳動を行わなければならない。たとえば次のような組み合せによる二次元電気泳動は、蛋白質のプロファイリングにおける一般的な組み合せである。
一次元目:キャピラリーゲル電気泳動による等電点電気泳動
二次元目:スラブゲルを用いた変性ゲル電気泳動
通常は、一次元目の電気泳動を完了した後に、キャピラリー中のゲルを取り出して、スラブゲルに接触させて二次元目の電気泳動を開始する。しかしこのような操作をマイクロチップの上で行うことは現実的でない。そこで、一次元目の泳動媒体を収容した空間から分岐する複数の空間に二次元目の電気泳動のための媒体を配置した構造が利用された(特許文献1/WO00/52458)。この構造では、一次元目の電気泳動中に、一次元目と二次元目の泳動媒体が常に接触することになる。電気的な駆動力は一次元目のための電気泳動媒体の中でのみ発生する。そのため、一次元目の電気泳動中における、分岐した空間に配置された二次元目の泳動媒体への被験物質の拡散は大きな問題ではないと考えられていた。
しかし実際には、異なる電気泳動のための媒体の接触によって、相互の電気泳動の条件が変動する可能性が考えられる。たとえば、等電点電気泳動の媒体においては、pH勾配が電気泳動分析の結果に与える影響は大きい。したがって二次元目の泳動媒体が等電点電気泳動のための媒体に接触することによって、そのpHを変動させることがあると、等電点電気泳動の条件を変化させてしまう恐れがある。つまり一次元目の電気泳動中には、二次元目の泳動用媒体と遮断されていることが望ましい。ところが、公知のマイクロチップの構造によって、媒体の遮断と接触のタイミングを制御することは困難である。
キャピラリー電気泳動の原理を利用した、マイクロチップ上での二次元電気泳動も試みられている(非特許文献3/Anal.Chem.2002,74,1772−1778)。しかしこの報告においては、一次元目の電気度泳動を終えた後でチップ上面と下面をはがし、あらためて二次元目用の基材を上下に貼り合わせるという操作を行っている。つまり、媒体の遮断と接触のタイミングを制御するための具体的な手段についてはなんら開示していない。
本発明は、異なる空間に配置された流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する方法の提供を課題とする。
異なる空間に配置された流動性物質においては、両者が接触している限り、流動性物質そのものや、流動性物質に含まれる物質が相互に拡散することを避けることは困難である。そこで一般には、流動性物質の接触を制御するための機械的な構造が必要となる。機械的な構造とは、たとえば弁、バルブ、ポンプ、あるいは空間を隔てる壁等が利用される。しかしマイクロチップのような微細な構造物の中に、このような機械的な構造を配置することは現実的とは言えない。また、機械的な構造無しでも液体の移送を実現できるという、マイクロチップの大きな利点を犠牲にすることにもつながる。
そこで本発明者らは、機械的な構造に頼らず、複数の空間に配置された流動性物質の接触のタイミングを制御することができる構造について、研究を重ねた。そして、介在空間によって遮断された複数の空間に収容された流動性物質の移動を、介在空間への媒体の導入によって制御しうることを見出した。更に本発明者らは、この技術を利用することによって、流動性物質のみならず、流動性物質に含まれる物質の移動を制御しうることも明らかにし、本発明を完成した。すなわち本発明は、以下の流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御するための方法、ならびに該制御方法を実現する装置に関する。また本発明は、該方法を利用した電気泳動分析方法、並びにそのための装置に関する。
〔1〕次の工程を含む、第1の空間から第2の空間への流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する方法。
a)第1の空間に移動を制御すべき流動性物質および/または移動を制御すべき物質を含む流動性物質を導入し第1の空間において該流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を保持する工程;ここで第1の空間と第2の空間とは、介在空間によって連結されており、かつ介在空間には前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の介在空間への移動を妨げる分離媒体が配置されている
b)介在空間に配置された分離媒体に代えて、前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の介在空間への移動を許す連結媒体を、介在空間に導入する工程
c)介在空間を介して第1の空間から第2の空間へ流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を移動させる工程
〔2〕第1の空間、および/または第2の空間において、次の(1)〜(3)のいずれかに記載の工程を付加的に行う〔1〕に記載の方法。
(1)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を分離する工程、
(2)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を反応させる工程、および
(3)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を検出する工程、
〔3〕分離が電気泳動分離である〔2〕に記載の方法。
〔4〕第1の空間、第2の空間、および介在空間の形状がいずれも溝または管であり、流動性物質が液体であり、分離媒体が気体であり、そして連結媒体が液体である〔1〕に記載の方法。
〔5〕第2の空間が第1の空間から分岐した少なくとも1つの溝または管の形状を有している〔4〕に記載の方法。
〔6〕次の要素を含む、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する装置。
a)流動性物質を保持するための第1の空間、
b)流動性物質を保持するための第2の空間、および
c)前記第1の空間と第2の空間とを連結し、かつ第1の空間からの前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を妨げる分離媒体を保持するための介在空間;ここで分離媒体は連結媒体と置換することができ、介在空間に連結媒体を導入することによって第1の空間に保持された前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質は介在空間および第2の空間への移動が可能となる。
〔7〕第1の空間および/または第2の空間において、次の(1)〜(3)に記載の機構の少なくとも1つの機構を付加的に有する〔6〕に記載の装置。
(1)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の分離機構、
(2)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の反応機構、および
(3)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の検出機構
〔8〕次の要素を含む、二次元電気泳動分析装置。
a)電気泳動媒体を保持するための第1の空間、
b)電気泳動媒体を保持するための第2の空間、および
c)前記第1の空間と第2の空間とを連結し、かつ泳動すべき物質の第1の泳動媒体から第2の泳動媒体への移動を妨げる分離媒体を保持するための介在空間;ここで分離媒体は連結媒体と置換することができ、介在空間に連結媒体を導入することによって第1の空間に保持された泳動媒体に含まれる泳動すべき物質は介在空間および第2の空間への移動が可能となる
〔9〕第2の空間が第1の空間から分岐した少なくとも1つの溝または管の形状を有している〔8〕に記載の電気泳動分析装置。
〔10〕次の工程を含む、二次元電気泳動分析方法。
a)〔8〕に記載の電気泳動装置の第1の空間において電気泳動を行う工程、
b)工程a)の後に、介在空間に連結媒体を導入する工程、および
c)泳動すべき物質を第2の空間において電気泳動を行う工程
本発明は、次の工程を含む、第1の空間から第2の空間への流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する方法に関する。
a)第1の空間に移動を制御すべき流動性物質および/または移動を制御すべき物質を含む流動性物質を導入し第1の空間において該流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を保持する工程;ここで第1の空間と第2の空間とは、介在空間によって連結されており、かつ介在空間には前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の介在空間への移動を妨げる分離媒体が配置されている
b)介在空間に配置された分離媒体に代えて、前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の介在空間への移動を許す連結媒体を、介在空間に導入する工程
c)介在空間を介して第1の空間から第2の空間へ流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を移動させる工程
本発明において、第1の空間(first cavity)および第2の空間(second cavity)は、流動性物質を保持することができる任意の構造とすることができる。流動性物質の処理に好適な任意の形状であって良い。したがって、第1の空間および第2の空間は、閉鎖系であることもできるし開放系とすることもできる。本発明における第1の空間および第2の空間の望ましい形状として、管、溝、並びに管と溝の複合形状を示すことができる。管と溝の複合形状とは、管と溝とが連続して配置された構造を言う。
第1の空間および第2の空間を形成する支持体は、流動性物質を保持しうる素材で構成される。また、これらの空間内で処理を行う場合には、処理に好適な素材を選択する。たとえば、ガラスやプラスチックは、多くの物質に対して不活性で、化学的反応、生物学的反応、あるいは電気泳動等の処理のための支持体として利用することができる。特にガラスは、電圧の印加によって電気浸透流を得ることができるため、特に電気泳動に好適な素材である。
本発明においては、表面を修飾した素材を支持体として用いることもできる。たとえば、合成樹脂やガラスの表面をプラズマ処理することによって、表面の親水性を調節することができる。あるいは、任意のポリマーで支持体表面をコートすることによって、支持体表面を改質することができる。コートするポリマーの素材の選択によって、流動性物質との親和性、あるいは流動性物質に含まれる物質との親和性を調節することができる。
本発明の第1の空間並びに第2の空間を形成する支持体は、一体化されていることが望ましい。一体化とは、各空間を形成する支持体が連続していることを言う。したがって、単一の素材からなる支持体のみならず、たとえば複数の構成要素の連結によって構成された支持体であっても、一体化された支持体に含まれる。たとえば、溝を設けた第1の基板の表面を第2の基板で覆って溝を閉鎖した構造は、本発明における一体化された支持体として示すことができる。第2の基板には、溝に達する穴を設けて、流体や試料を供給することができる。また第2の基板に設けられた穴は、流体や試料を保持するリザーバーとしても機能する。
複数の構成要素の連結によって支持体を構成する場合には、各要素が容易に離脱しないように連結するのが望ましい。具体的には、接着、融着、螺合、あるいは嵌合等の手段によって連結された支持体は、本発明における望ましい構造である。たとえば、1枚の平面状の支持体表面に複数の溝を形成し、各溝を第1の空間および第2の空間とすることができる。
電気泳動媒体を保持する溝の幅は、1−100μmといった微細な空間とすることもできる。溝の断面は、三角形や四角形のような多角形、あるいはU字型や半円状とすることができる。このような微細な構造の溝をガラス等の支持体に設けるには、次のような方法を利用することができる。
・半導体加工技術のウェットエッチング法(フッ酸を使う方法)
・半導体加工技術のドライエッチング法(イオンスパッタリング、リアクティブイオンエッチング(ICPエッチングなど))
・レーザーせん孔
・ダイシングソー
ウェットエッチング、ドライエッチング、あるいはレーザーせん孔の方法を利用すれば、自由な形状を有する微細な構造を容易に設けるととができる。たとえば、10〜100μmの幅、ならびに深さを有する溝を、ガラス表面に設ける技術が公知である。本発明者らも、reactive ion etching(リアクティブイオンエッチング)を利用した微小流路の作製に成功している。本発明者らの報告においては、基材の素材に応じた異なる種類のエッチングガスを利用して、選択性の良い、またエッチレートの大きいエッチングが可能となっている。
本発明における第1の空間および第2の空間の数は制限されない。したがって、1つまたは複数の第1の空間に対して、1つまたは複数の第2の空間を組み合せることができる。
また、第1の空間と第2の空間からなるセットの数も制限されない。したがって、複数のセットを同一の支持体上に設けることができる。より具体的には、1つの第1の空間と複数の第2の空間からなるセットの複数を、単一の支持体上に設けることができる。各セットは他のセットと遮断された独立した空間とすることができる。あるいは、複数のセットの間で、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を許す構造とすることもできる。
本発明で言う第1の空間と第2の空間は相対的な関係である。すなわち、第1の空間は、移動すべき物質を保持し、第2の空間が移動すべき物質を受容する関係にある。したがって、第1の空間と第2の空間からなるセットの複数が相互に連絡する場合には、あるセットの第1の空間が、他のセットの第2の空間から物質を受容することもできる。すなわち、第2の空間が、他のセットに含まれる空間に対する第1の空間として機能する場合もある。
本発明において、第1の空間と第2の空間の間には、介在空間(intervention cavity)が配置される。本発明において、介在空間は、第1の空間と第2の空間を連結するように配置される。介在空間に分離媒体を収容することによって、第1の空間に収容された流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の第2の空間への移動が制限される。本発明における分離媒体は、第1の空間に収容された流動性物質と流動性物質に含まれる物質の両方、またはいずれかが、介在空間に移動することを妨げる機能を有する媒体である。以下、本発明における第1の空間に収容された流動性物質と流動性物質に含まれる物質の両方、またはいずれかを意味する用語として「被移動物質(materials to be moved)」を用いる。
分離媒体には、気体や液体を利用することができる。たとえば第1の空間に水性媒体が収容されている場合には、介在空間を空気で満たすことにより、前記水性媒体は介在空間への移動が制限される。1本の溝からなる第1の空間、第1の空間と交差する2つ目の溝からなる第2の空間、そして介在空間として第2の空間である溝を横切る3つ目の溝を設けた構造を、本発明の制御方法を実施するための基本的な構造の一例として示すことができる。3つ目の溝は、第1の空間と第2の空間が交差する位置に近い場所に配置される。この構造においては、第1の空間に収容された液体は、介在空間(3つ目の溝)を経由しなければ、第2の空間に移動できない。介在空間に空気が存在すると、第1の空間(1つ目の溝)に収容された水性媒体は、表面張力の作用によって、介在空間への侵入が阻まれる。その結果、第1の空間に収容された水性媒体の移動が制御される。
次に本発明における連結媒体とは、被移動物質との接触によって、被移動物質の第2の空間への移動を可能にする媒体を言う。被移動物質が流動性物質である場合には、該流動性物質と混和性の液体を連結媒体とすることができる。流動性物質は、混和性の液体への拡散、電気浸透流、遠心力などの物理的なエネルギーによって、介在空間中の連結媒体を経て第2の空間に移動する。また流動性物質に含まれる物質を被移動物質とする場合には、拡散や電流によって、介在空間中の連結媒体を経て第2の空間への移動を達成することができる。
第1の空間に収容された被移動物質が液体であるとき、分離媒体として被移動物質である液体と非混和性の液体を用いることもできる。介在空間に配置された非混和性の液体に代えて、連結媒体として混和性の液体を導入することによって、前記被移動物質を介在空間に導くことができる。
本発明における介在空間の数は限定されない。本発明においては、介在空間へ分離媒体と連結媒体のいずれを配置するかによって、第1の空間の被移動物質の移動を制御している。したがって、介在空間の数を増やすことによって、被移動物質の制御のステップ数を増やすことができる。より具体的には、1つの介在空間は、被移動物質の移動を少なくとも1回制御することができる。第1の空間に対して、複数の第2の空間が連結する場合であっても、介在空間を1つとすれば、複数の第2の空間に対する被移動物質の移動をいっせいに開始することができる。
このような構成の例を図1に示した。図1に示したように、複数の第2の空間を横断する1つの介在空間を配置することで、多くの第2の空間に対する被移動物質の移動をまとめて制御することができる。あるいは、複数の第2の空間に対して、複数の介在空間を配置して、それらを別々に制御することもできる。たとえば全ての第2の空間に個別に介在空間を割り当てて、全ての第2の空間に対する被移動物質の移動を個別に制御することもできる。介在空間を独立させることによって、介在空間を介する被移動物質の混合を防ぐことができる。
本発明における第2の空間は、被移動物質を受容する前に、流動性物質を含むこともできるし、含まないこともできる。第2の空間が流動性物質を含む場合には、第2の空間に収容された流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質は、分離媒体を介する第1の空間への移動が制限されていることが望ましい。
本発明の物質の移動方法は、物質間の反応、物質の分離、物質の検出などに利用することができる。これらの用途を実現するため、第1の空間および/または第2の空間内で、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を、様々な条件で処理することができる。本発明において、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の処理とは、これらの物質を反応に利用すること、分離すること、検出すること、あるいはこれらの物質に他の物質や種々のエネルギーを与えること等を含む。これらの処理の具体的な例を以下に示す。
−物質を反応に利用すること
流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を、種々の反応に利用することができる。反応には、酵素反応、化学反応、生物学的な反応、あるいは電気化学的な反応等が含まれる。第1の空間、あるいは第2の空間において、これらの反応のいずれか、あるいは複数の反応を実施することができる。
−物質を分離すること
流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を、分離することができる。本発明において分離とは、物質が媒体中でなんらかの駆動力によって移動する現象を利用した物理的な分離を意味する。駆動力としては、電圧、遠心力、毛管現象、磁力、電気浸透流、あるいはポンプ送液等を示すことができる。電圧を利用した電気泳動は、二次元電気泳動として広く利用されている駆動原理である。分離には、各種の電気泳動、ゲルろ過、あるいは親和性クロマトグラフィー等の原理に基づく分離方法が含まれる。第1の空間、あるいは第2の空間において、これらの分離方法のいずれか、あるいは複数の分離工程を実施することができる。
−物質を検出すること
流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を、検出することができる。検出は、光学的、電気的、あるいは物理的な原理による検出技術が含まれる。第1の空間、あるいは第2の空間において、これらの原理に基づく検出方法のいずれか、あるいは複数の検出工程を実施することができる。
−物質に他の物質の作用や種々のエネルギーを与えること
流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質に、他の物質の作用や種々のエネルギーを与えることができる。他の物質の作用とは、たとえば空間の外から空間内に物質を添加することを言う。また空間内に保持された物質の加熱や冷却、光、電磁波、あるいは放射線等の照射などによって、種々のエネルギーを与えることができる。第1の空間、あるいは第2の空間において、これらの物質やエネルギーの作用を与えることができる。
本発明において、上記のような処理は、任意に組み合せることができる。すなわち、たとえば第1の空間において反応を行い、第2の空間において分離と検出を行うことができる。より具体的には、第1の空間でPCRのような酵素反応を実施し、第2の空間にその反応液を導いた後に電気泳動分析によって、反応結果を解析することができる。
本発明に基づく物質の移動を制御する方法は、以下の構成を有する装置によって実施することができる。すなわち本発明は、次の要素を含む、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する装置に関する。なお本発明の装置を構成する第1の空間、第2の空間、および介在空間の具体的な構成は先に述べたとおりである。
a)流動性物質を保持するための第1の空間、
b)流動性物質を保持するための第2の空間、および
c)前記第1の空間と第2の空間とを連結し、かつ第1の空間からの前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の流入を妨げる分離媒体を保持するための介在空間;ここで分離媒体は連結媒体と置換することができ、介在空間に連結媒体を導入することによって第1の空間に保持された前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質は介在空間および第2の空間への移動が可能となる
本発明の装置は、第1の空間および/または第2の空間において、次の(1)〜(3)に記載の機構の少なくとも1つの機構を付加的に有することができる。
(1)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の分離機構、
(2)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の反応機構、および
(3)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の検出機構
これらの機構は、第1の空間および第2の空間で実施することができる各種の処理を実施するための機構である。たとえば、前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の分離には、電気泳動のための電極、遠心力に基づく分離のための回転機構などが含まれる。また流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の反応機構としては、温度制御機構や試薬添加機構が含まれる。更に、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の検出機構としては、発光や蛍光の検出用センサー、あるいは吸光度の測定用センサーが含まれる。
本発明における処理の組み合わせの例として、異なる駆動原理に基づく電気泳動分析を示すことができる。異なった駆動原理を組み合わせた電気泳動は、一般に二次元電気泳動と呼ばれている。二次元電気泳動では、物質の2つの側面から分離が行われるので、解像度の大幅な向上を期待することができる。二次元電気泳動では、たとえばあらかじめ等電点に基づく電気泳動を行った後に、更に異なる媒体上において分子量に基づく電気泳動を実施する(O’Farrell,P.H.,J.Biol.Chem.250,4007−21.1975)。物質は結果的に等電点と分子量という2つの性状に基づいて二次元に展開されるために、同じ分子量を持つ物質であっても、等電点が異なっていれば違う座標に展開される。つまりX軸方向を等電点、Y軸方向を分子量とする、二次元の座標に各物質がスポットとして分離できる。二次元電気泳動は、その優れた解像度のために、特にタンパク質の分離手法として高い評価を得ている。
さて、ゲノムプロジェクトのような大規模な遺伝子情報の解析プロジェクトの進行に伴い、膨大な遺伝子情報が明らかにされつつある。今後は、このようにして明らかにされた遺伝子情報と、細胞内で複雑に相互作用している多様なタンパク質との関連を明らかにすることによって、遺伝子の機能解析を進めていくことが大きな課題となる。
プロテオームという、PROTEinとgenOMEを組み合わせた造語で表現される新たな概念が提唱されている(Kahn,P.Science 270,369−70.1995)。プロテオーム解析は、細胞の機能を支える多様なタンパク質の関係を総合的にとらえようとする試みである。しかし現在の分析技術では、遺伝子に比べてタンパク質の解析には多大な時間と労力が必要とされている。細胞を構成するタンパク質は5000−7000とも言われている。このように多様性に富むタンパク質の集合であるプロテオームの変化を、総合的に、しかも迅速に把握することが求められているのである。
この目的を達成するために、タンパク質の二次元電気泳動は重要な役割を担っている。二次元電気泳動によって得ることができる展開パターンと、同定されたタンパク質の情報とを対応させたデータベースは、いわばタンパク質のカタログとしての意味を持っている。正常な状態にある細胞についてタンパク質のカタログがあれば、その細胞の変化をタンパク質の二次元電気泳動による泳動パターンの変化として捉えることができる。変化を起こした細胞の泳動パターンで特異的に現れたり、あるいは消失するスポットが観察されれば、そのタンパク質の機能を推定する上できわめて重要な情報を得ることができる。そしてこの種の情報は、細胞の機能とそれを支えるタンパク質との関連を見出す上で重要なばかりではなく、医薬品開発や、植物や動物の遺伝子育種といったバイオインダストリーの幅広い分野においても大きな成果をもたらす可能性を秘めている。
ところで現在行われているタンパク質の二次元電気泳動は、一般的には以下のように進められている。まず、キャピラリーゲルや市販のストリップゲルなどを分離媒体として等電点電気泳動(一次元目の分離)を行う。一次元目の泳動を終了したゲルは、二次元目の泳動のために第2のゲルに乗せる。第2のゲルは、一次元目の展開方向に対して直角の方向に泳動しなければならないので、平面状のゲル(slab gel)を用いる。一次元目を等電点電気泳動とした場合、二次元目の電気泳動はSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(以下、SDS−PAGEと省略する)を選択するのが一般的である。この組み合わせにより、一次元方向には等電点(pI)に基づく分離が行われ、二次元方向には分子量に基づいて展開されることになる。
以上のような方法に基づいて、既に多くのプロテオームについて二次元電気泳動が行われている。分離されたタンパク質のスポットについて、アミノ酸配列の決定やペプチドマス・フィンガー・プリント法による解析結果が座標情報とともに記録される。そしてその情報はSWISS−2DPAGE(http://expasy.hcuge.ch/ch2d/)などのデータベースに蓄積されている。
公知の二次元電気泳動は、解像度に優れた分離手法ではある。しかし等電点電気泳動を終了した後のゲルを、二次元目の泳動媒体に乗せる工程は、人手を必要とする煩雑な工程である。また、先に述べたマイクロチップ上での二次元電気泳動の実現を困難とする大きな要因でもある。並列させた二次元目の泳動媒体を使って、マイクロチップへの適用を実現した報告もある(WO00/52458)。しかし、この構造では一次元目の電気泳動媒体と二次元目の電気泳動媒体を遮断する仕組みは実現できない。一方、本発明の物質の移動方法に基づけば、2つの泳動媒体の分離と、泳動すべき物質の移動とを容易に制御することができる。
また公知の手法に基づく二次元電気泳動分析には、長い解析時間が必要とされていた。たとえば公知の手法に基づく二次元電気泳動に必要な解析時間は、およそ20時間に及ぶ。
すなわち本発明は、次の要素を含む、二次元電気泳動分析装置を提供する。
a)電気泳動媒体を保持するための第1の空間、
b)電気泳動媒体を保持するための第2の空間、および
c)前記第1の空間と第2の空間とを連結し、かつ泳動すべき物質の第1の泳動媒体から第2の泳動媒体への移動を妨げる分離媒体を保持するための介在空間;ここで分離媒体は連結媒体と置換することができ、介在空間に連結媒体を導入することによって第1の空間に保持された泳動媒体に含まれる泳動すべき物質は介在空間および第2の空間への移動が可能となる
駆動力として電圧を利用する、いわゆる電気泳動の場合には、たとえば次のような泳動条件を提供することができる。すなわち、pH勾配、分子篩(ふるい)、泳動媒体中で接触する官能基との相互作用等を示すことができる。pH勾配を備えた泳動媒体中における電気泳動をタンパク質に利用すれば、等電点電気泳動となる。またポリアクリルアミドゲルのような分子篩効果を持つ媒体中で電気泳動を行うとき、SDS、尿素、あるいはグアニジンのようなタンパク質変性剤を共存させれば、変性条件下での分子篩電気泳動が成立する。あるいは、変性剤を用いなければ、ネイティブな条件下での電気泳動となる。更に、さまざまな官能基を備えた泳動媒体の利用も可能である。具体的には、静電的相互作用、水素結合、疎水結合、あるいは任意の組み合わせの親和性物質などを示すことができる。親和性物質としては、抗原−抗体、相補的な塩基配列からなる核酸のハイブリダイゼーション、アビヂン−ビオチンや、糖−レクチンのような親和性物質の組み合わせ等がある。電気泳動におけるこれらの泳動条件は、電気泳動以外の駆動力においても応用することができる。
いずれの駆動原理を応用するにしても、本発明においては、二次元目の分離は第2の空間に収容された電気泳動媒体中で行われる。第2の空間は、介在空間を介して第1の空間と連結されている。第1の空間と第2の空間とは、たとえば、平面状で分岐する少なくとも2つの溝構造で実現することができる。本発明において、分岐とは、T字またはY字状の分岐、+字状の交差、あるいはより多くの数の溝の交差を含む。加えて、単一の第1の空間に対して複数の第2の空間が分岐する場合や、複数の第1の空間から少数の第2の空間が分岐する場合が含まれる。
支持体に設けた微細な溝で本発明による分離方法を実施するとき、一次元目の分離媒体を二次元目の分離媒体と同じ支持体上に設けることができる。たとえば、支持体の1辺に一次元分離用の分離媒体を充填するための溝を設ける。更に、この一次元用の溝から分岐する複数の溝を設けて二次元用の分離媒体とする。支持体全体の形状としては任意の形態を取りうるが、泳動像を機械的にスキャンニングするには正方形に近い形とするのが有利である。したがって二次元目の分離媒体は、一次元目の分離媒体から直角に近い角度で分岐するように設計するのが望ましい。この態様においては分離媒体を収容する個々の溝が微細なため、二次元用の分離媒体としてたとえば幅30μmの溝100本を20μm間隔で並べて利用するとしても、並列させるために必要な幅はわずかに5mmである。すなわち、わずか5mm四方の支持体上で二次元分離が可能となる。つまり、本発明によれば、わずか5mm四方の大きさの二次元分離用チップが実現する。
あるいは、円盤状の支持体の中央部の同心円上に一次元分離用の媒体を配置し、そこから外周に延びる二次元分離用の媒体を設けるという構成も可能である。このような構成からなる二次元分離用チップでは、支持体全体の光学的なスキャンニングを円盤状支持体を回転させることによって容易に、しかも高速に実施することができる。また回転機構を利用して二次元目の分離を遠心分離によって実施することも可能である。
正方形であれ円形であれ、本発明に基づいて集積性を高めた二次元分離用チップを利用すれば、泳動距離が短くなるので泳動時間が短縮され、本発明による再現性の向上も伴って、二次元分離方法のスループットの劇的な向上が期待できる。
キャピラリー電気泳動は分離媒体として必ずしもゲルを要求せず、液体を分離媒体とすることも可能である。分離媒体が液体の場合には、このようなキャピラリー内部の分離媒体導入操作をマイクロポンプや電気浸透流によって簡単に行うことができる。
また介在空間は、第1の空間と第2の空間のそれぞれに収容された電気泳動媒体を分離することができ、かつ第1の空間と第2の空間を連結する。介在空間は、たとえば第1の空間を構成する溝から分岐する第2の空間の、分岐点より離れた位置において交差する第3の溝構造によって実現することができる。たとえば1つの第1の空間(第1の溝)に対して、直交する第2の溝を第2の空間として配置したとする。このとき、第2の溝に交差し、第1の溝と並べて配置された第3の溝を介在空間として配置することができる。第3の溝と第1の溝は、並んで配置されていればよく、必ずしも平行に配置する必要はない。
第1の空間における電気泳動を完了後に、介在空間に連結媒体が導入される。第1の空間に収容された電気泳動媒体中で分離された物質(被泳動物質)は、連結媒体に移行する。更に連結媒体は第2の空間に収容されている電気泳動媒体と連絡している。したがって、前記被泳動物質は、第2の空間に収容されている電気泳動媒体への移行が可能である。この状態で、第2の空間の長さ方向に電圧を印加すれば、被泳動物質の第2の空間における電気泳動分離を開始することができる。
本発明に基づく二次元電気泳動分離方法には、公知のあらゆる二次元電気泳動分離の原理を応用することができる。二次元電気泳動分離による、代表的な分離対象成分は蛋白質である。蛋白質の二次元電気泳動分離は、一般に一次元目:等電点電気泳動、二次元目:変性ゲル電気泳動という組み合わせからなっている。
本発明に基づく蛋白質の二次元電気泳動分離は、第1の空間に等電点電気泳動のための媒体を、第2の空間に変性ゲルを収容すればよい。このとき第2の空間は、スラブゲルを保持していても良いし、ストリップ状やキャピラリー状の形状とすることもできる。二次元目の変性ゲルをストリップ状やキャピラリー状とするときには、第1の空間に配置された等電点電気泳動用媒体に対して交差させて複数の変性ゲルを配置する。このような配置とすることで、ストリップ状あるいはキャピラリー状のゲルで二次元への展開を実現することができる。ストリップ状あるいはキャピラリー状のゲルは、溝のような幅の狭い空間に収容することができる。ストリップ状あるいはキャピラリー状のゲルで二次元への展開を実現する技術は、先に本発明者らが特許出願している(WO00/52458)。
たとえば第1の空間として、平面の上に形成した溝を利用することができる。支持体に設けた微細な溝に分離媒体を充填して電気泳動を行う試みは公知である(Science Vol.261,895−897,1993)。このような微細な空間内部で電気泳動を行えば、電気浸透流による物質の展開が期待できる。すなわち、キャピラリー電気泳動と同様の原理に基づく分離が可能となるのである。微細なガラス壁で構成された空間内部に通電することにより、ガラス表面の水和した陽イオンが陰極方向へ移動し、巨視的に見ると溶媒が陰極に移動する現象が観察される。この現象が電気浸透(electroosmosis)と呼ばれ、キャピラリー電気泳動における物質の展開のための駆動力として重要な意味を持っている(日本生化学会編・新生化学実験講座「タンパク質I・分離・精製・性質」P340,1990)。
溝には等電点電気泳動のためのpH勾配を有する電気泳動用媒体が収容される。次に第2の空間として変性ゲルを収容するための溝(キャピラリー)を使用する。先に述べたように、等電点電気泳動に対して交差させて複数の変性ゲルを配置すれば、溝を利用して二次元への展開を実現できる。変性ゲルは、等電点電気泳動媒体から受容した泳動すべき蛋白質を、任意の方向に展開できるように、等電点電気泳動用媒体に対して交差させて配置するのが望ましい。このような空間の配置を平面上に形成された溝によって構成するためには、具体的には次のような配置を示すことができる。すなわち、直線状の第1の空間に対して、第2の空間である複数の溝が交差する構造を示すことができる。各溝には、電気泳動のための電流を供給する電極を配置する。
本発明の二次元分離のための装置には、特に二次元目の分離媒体を均一な温度条件に維持することができる温度コントローラーを装備するのが望ましい。本発明では複数の泳動媒体を組み合わせることから、分離媒体間の条件を均一に維持することは高い再現性を達成するためには必要な条件である。特に二次元目の分離を電気泳動によって行う場合には、通電による発熱(ジュール熱)が生じることから、分離媒体の温度制御は重要な意味を持つ。温度コントローラーは、分離媒体をサーモスタットを備えたウオーターバスや、あるいは温度制御の可能な閉鎖空間内に分離媒体を置くことによって構成することができる。もっとも、駆動力として、あるいは分離条件において温度が結果を大きく左右しない場合には、温度コントローラーの重要性は小さくなる。
本発明による二次元分離のための装置は、分析対象となる試料や、分子量マーカーのような標準試料を供給する前処理のための機構を備えることもできる。たとえば培養物の中から細胞を分離し、この細胞を破壊してプロテオームを得るステップを機械的に行うための手段を装備すれば、プロテオームの解析を自動化することができる。たとえば白金電極上に形成したアガロース層を備えるフローセルで血液中から細菌を分離し、更に菌体を酵素処理してその核酸成分を抽出する技術が公知である(Heller et.al,Nature Biotechnology 16/6,p541−6,1998)。このような分離技術は、本発明による二次元分離装置の前処理手段として利用することができる。
加えて本発明による二次元分離のための装置には、二次元分離の結果を読み取るためのセンサーを装備することができる。分析すべき対象が蛍光標識されたタンパク質の場合、蛍光センサーによって二次元分離媒体をスキャンすることにより、座標情報を機械的に読み取ることができる。あるいは、二次元目の分離のみならず、一次元目の分離を実施し、その分離媒体を二次元目の分離媒体に自動的に供給する手段を組み合わせることもできる。このような機構を備えた本発明による二次元分離装置は、二次元分離に必要なほとんどの工程を自動化することができ、プロテオームの解析効率を飛躍的に高める。
更に本発明においては、第1の空間と第2の空間の間に介在空間を配置する。たとえば先に述べたように、第1の空間と第2の空間が交差した位置から第2の空間に至る領域の間に、第2の空間に交差する第3の空間を配置すれば、上記のような関係にある溝に対して介在空間を実現することができる。つまり、第2の空間に並び、かつ第2の空間(複数)に交差する第3の溝を介在空間として配置することができる。
第1の空間である溝と、介在空間として配置する溝の間隔は任意である。この間隔が長い場合には、第1の空間における等電点電気泳動の間に、介在空間との間に拡散する蛋白質を増やす可能性がある。したがって、両者の間隔は短いほうが好ましい。具体的には、たとえば、第1の空間を構成する溝の幅に対して、10%〜200%の位置に、介在空間を配置することができる。
また、介在空間とする溝の数は、制限されない。たとえば、第1の空間の両側に1つずつ溝を配置して介在空間とすることができる。あるいは両側に配置した溝を第1の空間および第2の空間とは交差しない位置で連結したU字型の溝とすれば、1つの溝からなる介在空間を実現することもできる。逆に不連続な溝を介在空間として利用すれば、複数の溝からなる介在空間を実現できる。
介在空間には、被泳動物質の移動を妨げる分離媒体が配置される。分離媒体としては、たとえば空気などの気体を示すことができる。介在空間に分離媒体を配置した状態で、第1の空間において等電点電気泳動が行われる。等電点電気泳動の間、分離媒体によって第2の空間に配置された変性ゲルへの被泳動物質の拡散が妨げられる。
等電点電気泳動の終了後、介在空間には連結媒体が導入される。連結媒体には、緩衝液を用いることができる。より具体的には、トリス緩衝液、リン酸(ナトリウム、カリウム)緩衝液、グリシン緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、一連のグッド緩衝液、クエン酸緩衝液、フタル酸緩衝液、ギ酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、カコジル酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、あるいはピロリン酸緩衝液などの緩衝液を連結媒体として用いることができる。
緩衝液の導入によって、介在空間内には第1の空間から被泳動物質の拡散が可能となる。この状態で第2の空間に対して電圧を印加すると、変性ゲルを配置した第2の空間内において電気泳動が開始される。すなわち等電点電気泳動媒体中に分離された被泳動物質が、各バンドに最も近い第2の空間に向かって泳動される。このようにして本発明による二次元電気泳動分離装置を用いた、二次元電気泳動分離方法を実施することができる。
すなわち本発明は、次の工程を含む、二次元電気泳動分析方法を提供する。
a)前記電気泳動分離装置の第1の空間において電気泳動を行う工程、
b)工程a)の後に、介在空間に連結媒体を導入する工程、および
c)泳動すべき物質を介在空間を介して第2の空間に移動させ、更に第2の空間において電気泳動を行う工程
本発明では、タンパク質のほかに、核酸等の有機物、細菌やウイルスのような微生物、動植物細胞、あるいは無機イオンなど、各種の分離によって分析することが知られている多くの物質を分析対象とすることができる。これらの分析対象物質の中で、特に二次元電気泳動による解析の意義が大きな物質はタンパク質である。タンパク質の二次元電気泳動は、先に述べたプロテオームの解析において、現在重要な分析手法となっている。本発明をプロテオームの解析に応用するには、以下のような操作を行う。
まず、公知の方法によって調製したプロテオームの試料について一次元目の泳動を行う。タンパク質の二次元泳動分析は、一次元目を等電点電気泳動、二次元目をSDS−PAGEで行うのが一般的である。したがって、第1の空間に配置した電気泳動媒体中で等電点電気泳動分離が行われる。具体的には、pH勾配を持つ媒体の中心にプロテオーム試料をアプライし、両端を陽極用バッファーと陰極用バッファーとに浸し適当な時間通電して電気泳動する。電気泳動に先立って、プロテオーム試料は蛍光標識しておくことができる。またこのとき、同じ条件で等電点マーカーも泳動しておくこともできる。
一次元目の泳動の後、連結媒体を介在空間に導入する。連結媒体には緩衝液が用いられる。一次元目の中に含まれる蛋白質は、緩衝液を経て第2の空間に保持されたSDS−PAGEのための変性ゲルに移動することができる。この状態でSDS−PAGEを行う。一次元目のゲルに展開されたプロテオームを構成する個々のタンパク質は、第2の空間に保持されたゲルのうちそれぞれ最も近い二次元目用のゲルに移動し、分子量にしたがって展開される。分子量マーカーを同じ条件で電気泳動しておくこともできる。
二次元目の泳動を終えたゲル上で、タンパク質のスポットを確認する。このとき、タンパク質が蛍光標識されていれば、その蛍光を追跡することでここのスポットを確認することができる。この他、CBB染色や銀染色によってタンパク質のスポットを確認することもできる。こうして分離されたタンパク質は、同じ条件で行った二次元電気泳動の結果と比較照合することによって、座標情報に基づいて同定することができる。あるいは未知のプロテオームの解析を進めるには、更に各スポットのタンパク質の同定を進める。
タンパク質の同定は、アミノ酸配列解析やペプチドマス・フィンガー・プリント法に基づいて行われる。アミノ酸配列は、エドマン分解法等の手法によって末端から決定することができる。タンパク質のアミノ酸配列は、この段階で必ずしも全配列を決定する必要はない。部分配列を得るだけでも、タンパク質の同定を可能とする重要な情報となる。ところでタンパク質にはそのN末端をブロックされているものも多く、配列決定には不都合な状態にある。この種のタンパク質のアミノ酸配列を確実に決定するための手法のひとつに、プロテアーゼによる消化断片を配列決定する方法がある。プロテアーゼによる消化はタンパク質によってまちまちの場所で起きるが、配列決定によってもたらされる部分アミノ酸配列を公知のアミノ酸配列データベースと照合すれば、タンパク質の同定を進めることが可能である。
一方、ペプチドマス・フィンガー・プリント法は、労働集約的な作業が求められるアミノ酸配列決定に比較して、より迅速にタンパク質同定のための多くの情報を得ることができる。二次元電気泳動の結果として分離されたスポットに含まれるタンパク質を一定のプロテアーゼで消化し、その断片を質量分析装置によって解析することによってプロテアーゼ消化断片の質量のパターン(すなわちフィンガー・プリント)を得る。ペプチドマス・フィンガー・プリントは個々のタンパク質について高度にユニークな情報であり、インターネット上ではそのデータを集積したデータベースProteinProspector(http://prospector.ucsf.edu/)等も利用できることから、ペプチドマス・フィンガー・プリントに基づいてタンパク質の同定を行うことができる。
プロテオーム解析においては、さまざまな状態にあるプロテオームの二次元電気泳動パターンを比較し、特定の機能に関連するスポットの消長を観察する。特定の状態にある細胞のプロテオームで消失していたり、あるいは逆に特異的に出現するスポットを構成するタンパク質は、着目している機能に関連している可能性が高いと考えられる。そのタンパク質の部分アミノ酸配列やペプチドマス・フィンガー・プリントに基づいて同定が可能であれば、着目している機能との関連性を推測することができる。あるいは、もしも未知のタンパク質であれば、タンパク質の単離やそのタンパク質をコードする遺伝子、更には発現を制御している因子のクローニングを進めることによって、着目している機能を支える遺伝子やタンパク質の働きを解明することができる。
本特許出願は、国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成11年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「蛋白質発現・相互作用解析技術開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)である。
図1は、実施例において作製した二次元キャピラリー電気泳動デバイスの構造を示す図である。
図2は、実施例において作製した二次元キャピラリー電気泳動デバイスの構造を示す写真である。
図3は、介在空間によってキャピラリー間の液体の移動が遮断されている状態を示す写真である。
二次元キャピラリー分離デバイスの構造
一枚の支持体上に二種類の異なる分離モードを持つ二次元キャピラリー電気泳動デバイスを作製した。このシステムでは、一次元目は等電点電気泳動を、二次元目はキャピラリーゾーン電気泳動が利用可能である。タンパク質は、一次元目のキャピラリーで等電点によって分離され、その後二次元目のキャピラリーで電荷と質量によって分離される。この異なるモードを持つキャピラリー構造を一枚の基板上で実現させるため、以下に記述する構造体を作製した。
まず中央に配置した1本の一次元目のキャピラリー(第1の空間)に直交する複数の二次元目のキャピラリー(第二の空間)を配置した。次に、一次元目と二次元目の交差部分に、一次元目キャピラリーと平行に介在空間となるキャピラリーを2本作製した。介在空間となるキャピラリーは、一次元目のキャピラリーの両側に配置した。いずれのキャピラリーも、ガラス基板をダイシングソーで加工することによって形成した。具体的には、80mm×80mm、厚さ3mmのガラス基板の表面に、それぞれ次の大きさを有する溝を形成してキャピラリーとした。一次元目のキャピラリーは、二次元目のキャピラリーの端から1.8mmの位置に直行するように配置した。また一次元目のキャピラリーと介在空間となるキャピラリーの間隔は、2.0mmとした。介在空間は、一次元目のキャピラリーの両側に配置した。
一次元目のキャピラリー:幅1.1mm×長さ70mm×深さ0.4mm
二次元目のキャピラリー:幅1.1mm×長さ60mm×深さ0.3mm
介在空間のキャピラリー:幅2.0mm×長さ50mm×深さ0.5mm
作製した二次元キャピラリー電気泳動デバイスの構造を図1に、またその写真を図2に示した。このような配置によって、二次元目のキャピラリーへの物質の移動を、いずれの方向に対しても制御することができる。この介在空間は、バルブや弁等の機械部品のような複雑な微小機械構造物ではなく、容易に作製することができる溝構造である。介在空間は、液体が導入されていない状態においては、交差部分から二次元目の空間への物質の移動を妨げている。第1の空間と介在空間との接続部分は、表面張力によって介在空間への物質の移動は起こらない。介在空間によって一次元目のキャピラリーと二次元目のキャピラリーとが遮断されている状態を図3に示した。
一次元の等電点電気泳動の完了後、二次元目へ被泳動物質を移動させたい場合は、介在空間である2本のキャピラリーに導電性の水溶液を導入する。ここで導電性の水溶液は、連結媒体として機能する。キャピラリーに水溶液が充填されると、一次元目の溶液と二次元目の溶液を隔てられた分離媒体(空気)が無くなり、互いの溶液が電気的に接する状態となる。この状態で、第2の空間において電圧を印加すれば、二次元目の電気泳動を開始することができる。すなわち、一次元目のキャピラリーにおいて分離された蛋白質が、各蛋白質が分離された位置に最も近い交差部分から、介在空間を経て第2の空間に配置された電気泳動媒体へと展開される。
キャピラリーへの水溶液導入は、機械的な駆動機構を一切使用せず、単に毛細管現象のみで導入されることから、非常に簡便に、かつ確実、迅速に実施することができる。
産業上の利用の可能性
本発明により、連結媒体の導入によって、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する方法が提供された。本発明を利用すれば、二次元電気泳動分離においても、一次元目の電気泳動における二次元目の電気泳動媒体への泳動物質の拡散を制御することができる。本発明の方法は、介在空間への連結媒体の導入によって、移動の制御を実現している。連結媒体として、たとえば緩衝液を用いた場合には、液体の介在空間への導入という、シンプルな操作によって物質の移動を実現できることを意味する。したがって、本発明は、物質の制御を、シンプルな手段によって、容易に実現する方法であると言うことができる。
更に本発明は、本発明の物質の移動の制御方法に基づく、二次元電気泳動方法、およびそのための電気泳動装置を提供する。本発明に基づく二次元電気泳動方法は、マイクロチップ上においても、容易に実施することができる。しかも、複雑な機器構成に頼らず、確実な物質の移動を実現できる。マイクロチップを用いた蛋白質の電気泳動方法は、解析時間の短縮や、微量の試料に基づくプロテオーム解析を実現する、重要なテクノロジーとなる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。

Claims (10)

  1. 次の工程を含む、第1の空間から第2の空間への流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する方法。
    a)第1の空間に移動を制御すべき流動性物質および/または移動を制御すべき物質を含む流動性物質を導入し第1の空間において該流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を保持する工程;ここで第1の空間と第2の空間とは、介在空間によって連結されており、かつ介在空間には前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の介在空間への移動を妨げる分離媒体が配置されており、かつ第1の空間、第2の空間、および介在空間の形状はいずれも溝または管であり、流動性物質が液体であり、分離媒体が気体であり、かつ第2の空間は第1の空間から分岐した少なくとも1つの溝または管の形状を有しており、かつ介在空間は第2の空間である溝または管を横切る溝または管である
    b)介在空間に配置された分離媒体に代えて、前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の介在空間への移動を許す連結媒体を、介在空間に導入する工程;ここで連結媒体は液体である
    c)介在空間を介して第1の空間から第2の空間へ流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を移動させる工程
  2. 第1の空間、および/または第2の空間において、次の(1)〜(3)のいずれかに記載の工程を付加的に行う請求項1に記載の方法。
    (1)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を分離する工程、
    (2)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を反応させる工程、および
    (3)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質を検出する工程、
  3. 分離が電気泳動分離である請求項2に記載の方法。
  4. 第1の空間並びに第2の空間を形成する支持体が一体化されている請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 介在空間が第1の空間と第2の空間が交差する位置に近い場所に配置されている請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 次の要素を含む、流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を制御する装置。
    a)流動性物質を保持するための第1の空間、
    b)流動性物質を保持するための第2の空間、および
    c)前記第1の空間と第2の空間とを連結し、かつ第1の空間からの前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の移動を妨げる分離媒体を保持するための介在空間;ここで分離媒体は連結媒体と置換することができ、介在空間に連結媒体を導入することによって第1の空間に保持された前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質は介在空間および第2の空間への移動が可能となり、かつ第1の空間、第2の空間、および介在空間の形状はいずれも溝または管であり、流動性物質が液体であり、分離媒体が気体であり、そして連結媒体が液体であり、かつ第2の空間は第1の空間から分岐した少なくとも1つの溝または管の形状を有しており、かつ介在空間は第2の空間である溝または管を横切る溝または管である
  7. 第1の空間および/または第2の空間において、次の(1)〜(3)に記載の機構の少なくとも1つの機構を付加的に有する請求項6に記載の装置。
    (1)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の分離機構、
    (2)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の反応機構、および
    (3)前記流動性物質および/または流動性物質に含まれる物質の検出機構
  8. 次の要素を含む、二次元電気泳動分析装置。
    a)電気泳動媒体を保持するための第1の空間、
    b)電気泳動媒体を保持するための第2の空間、および
    c)前記第1の空間と第2の空間とを連結し、かつ泳動すべき物質の第1の泳動媒体から第2の泳動媒体への移動を妨げる分離媒体を保持するための介在空間;ここで分離媒体は連結媒体と置換することができ、介在空間に連結媒体を導入することによって第1の空間に保持された泳動媒体に含まれる泳動すべき物質は介在空間および第2の空間への移動が可能となり、かつ第1の空間、第2の空間、および介在空間の形状はいずれも溝または管であり、泳動媒体が液体であり、分離媒体が気体であり、そして連結媒体が液体であり、かつ第2の空間は第1の空間から分岐した少なくとも1つの溝または管の形状を有しており、かつ介在空間は第2の空間である溝または管を横切る溝または管である
  9. 第1の空間並びに第2の空間を形成する支持体が一体化されている請求項8記載の装置。
  10. 次の工程を含む、二次元電気泳動分析方法。
    a)請求項8に記載の電気泳動装置の第1の空間において電気泳動を行う工程、
    b)工程a)の後に、介在空間に液体である連結媒体を導入する工程、および
    c)泳動すべき物質を第2の空間において電気泳動を行う工程
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