JP2005502864A - 被分析物を分離する方法および装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、被分析物溶液を収容する複数の区画(1)、被分析物溶液と接触する部分でpH値またはpH勾配を固定する化学バッファー・システム(2)、および前記区画の少なくとも2つに配置される電気的手段(4)が定める電界、を用いる電気泳動手段によって被分析物溶液中の荷電した化合物および中性の化合物を分離し精製する装置と方法に関する。本発明は、荷電した化合物および中性の化合物を差動的に分離し、化学バッファー・システム(2)から移動する化合物を抽出し、それらを種々の区画(4)に、好ましくは種々のpIで、集めることを可能にする。

Description

【背景技術】
【0001】
コストがかかるプロテオミックスの分野では、30,000種類もの異なるタンパク質を含む複雑な生物学的サンプルを分離、分析することが必要になる。
【0002】
今日までのところ、二次元(2D)−ゲル電気泳動が、タンパク質をその等電点(pI)と質量によって同定し分類する最良の方法である(Wilkins, M.R. ら, Proteome Research: New Frontiers in Functional Genomics; Springer,1997)。実際、2D−ゲル電気泳動によって、タンパク質はまず、等電点電気泳動(IEF)ステップによりそのpIに従って分離される。次に、タンパク質はポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(PAGE)ステップによりその分子量の関数として分離される。こうして、タンパク質はデータベースでそのpIと質量によって分類される。
【0003】
しかし、2D−ゲル電気泳動は、その優れた分解能にも関わらず、シングル・マップで分離して検出できるタンパク質の数に関しては上限に達したように思われる。さらに、2D−ゲル電気泳動では、pIと質量によるタンパク質の分離と分類しか達成できない。もっと細かな具体的な情報、例えば、ペプチド組成や生物学的活性などを知るためには、タンパク質をさらに詳しく分析する必要がある。このためには、タンパク質をゲル・マトリックスから抽出して、的とプラチナ方法で分析する必要がある。ブロッティングやスポット・カッティングなどの抽出手順は時間がかかり、および/又はタンパク質の回収と活性にとってリスクがある。
【0004】
いったんタンパク質が抽出されたら、最も強力な分析方法は質量分析(MS)であり、これによってペプチド組成を分析することができる。しかし、MS分析のためには、サンプルの純度が決定的に重要であり、一般に測定の前にサンプルを処理する必要があるが、そのために手順が厄介になる。実際、サンプルが塩やその他の不純物を含んでいると、MS分析に問題が生ずる。すなわち、高濃度の塩を含むサンプルは、MS分析の前に透析処理などの手段で脱塩しなければならない。さらに、抽出法は、回収されたサンプルに望ましくない化合物が高濃度で含まれることになるのでMS分析に好ましいものではない。サンプルにおける望ましくない化合物を回避する方法が開発されている。例えば、2D−ゲルからの直接レーザー脱離法が、Ogorzalek Loo R.R. ら(Analytical Chemistry,1996,68,1910−1917)によって記述されたし、electroblotted 2D−ゲルがEckerson C. ら(Analytical Chemistry,1997,69,2888−2892)によって開発された。したがって、2D−ゲル電気泳動の主要な問題は、分析すべき化合物がゲルの内部にトラップされており、さらに分析するためにはそれを抽出して精製しなければならないということである。
【0005】
複雑な生物学的サンプルを分離する別の有効な方法は、等電点電気泳動(IEF)などの等電分離法である。IEF装置には2つの主なタイプがある:すなわち、自由流動バッファー・システムと固定バッファー・システムである。
【0006】
自由流動システム(Soulet, N. ら,Electrophoresis,1998,19,1294−1299; Fuh, C.B. and Giddings,J.C.,Separation Science and Technology,1997,32,2945−2967; Bier,US−A−5540826)は、バッファー(キャリア両性電解質または等電バッファー)を使用する。この場合、大きな問題は、最終的に分離された分画がある量の望ましくないバッファー化合物または両性電解質を含むことである。さらに分析する前に、余分な化合物を除去しなければならないということが問題である。
【0007】
固定バッファー・システムの場合、大きな問題は、最終的に分離された分画がゲルまたは膜の中にトラップされ、その後の分析を厄介にすることである。しかし、Righetti ら(Journal of Chromatography,1989,475,293−309)によって固定された等電膜で分離されたマルチ区画を用いる“分割固定pH勾配”装置が開発された。この方法の利点は、タンパク質が両性電解質を含まない溶液で回収されることである。しかし、この方法は、多数の区画、多数の固定膜、そして分割されたpH勾配を使用する必要がある。
【0008】
したがって、複雑な生物学的サンプルの分離と分析すべき化合物の溶液の直接の回収を可能にする新しい高処理能力の方法を開発する必要がある。そのような方法は、分離時間を最少にし、使用しやすく、高い純度が得られるものでなければならない。
【0009】
最近、新しい方法および装置が開発されて、Rosら(WO 01/86279)によって記載された。この場合、バッファーする必要がないサンプルで、全体として中性の化合物を荷電分子種から精製することが可能である。この方法の原理は、固定pH勾配(IPG)ゲルの下でタンパク質を流動させ、流れと直角方法に電界を印加するということである。IPGゲルの緩衝能力により、ゲルに近い溶液中のタンパク質は、その等電点に関して抽出される。IPGゲルのpHに近いpIを有するタンパク質だけが流れる溶液の中にとどまる。この方法は、さらに分析する前の予備分画ステップとして利用でき、またゲル・ローディング方法としても利用できる。この方法は、分子が溶液中で移動し、IEFシステムにおけるようにゲル中を移動するものではないので、分離速度が非常に大きい。このオフゲル(OffGel;登録商標)電気泳動のために開発された装置は次のものから構成される:
−チャンバ、その上に固定化学バッファー・システム(例えば、IPGゲル)が挿入され、チャンバを閉じ、所望のpH範囲でそれをバッファーする。
【0010】
−2つのプラチナ電極(装置の各端に配置される)、これはIPGゲルに沿って電流を生ずるための電極であり、その上に開口が作られ、それぞれ、陰極および陽極貯留容器(reservoir)として働くと同時に、精製のさいに生ずる気体を装置から逃がす働きをする、および
−オプションとして、入口と出口、配管によってサンプルを再循環させる蠕動ポンプに結合されている。
【0011】
この場合、電位差は化学バッファー・システムの少なくとも一部分でしか印加されない。この電気泳動法は優れた能力を有し、関心がある化合物を溶液中に直接回収することを可能にする。しかし、この装置は、プロテオミックスなど、短い精製時間で最適な化合物回収が可能な高スループット方法を必要とする現代の生命科学にとってあまり便利ではない。さらに、オフゲル電気泳動装置の大きな欠点は、チャンバと接触しているゲルのpHと等しいpIを有する成分だけしか溶液中に回収されないことである。実際、pIがpHに近い他のタンパク質はゲルの内部で移動してその後の分析からは失われる。さらに、サンプルの予備濃縮はオフゲル電気泳動では多分実現することが難しく、それが低存在量のタンパク質の分析に関してプロテオミックスのボトルネックの1つになる。
【0012】
種々のシステムが電気泳動分離のために開発されている。それらの多くはマルチ区画装置またはゲル−または膜−によるサポートを使用しているが(例えば、EP 0776700,GB 1422118,EP 0173081,US 5149418,またはUS 3719580に記載されている装置)、それらは従来の電気泳動分離システムに依拠している。実際、これらのシステムは、電界中の分子の電気泳動による移動という古典的な原理に基づいており、一般にDNA分子または断片の分離で広く用いられているような、分子のサイズまたは質量による分離に向けられている。実際、それらの化合物は(例えば、タンパク質と異なり)両性電解質という性質をもたず、そのため分離の間常に同じ電荷を示す。したがって、これらの電気泳動分離システムは、化合物をそれぞれの等電点によって分離することができない。実際、これらのシステムで用いられるゲルまたは膜はpHを固定するためのバッファー手段を含まず、前述のIEF装置とは全く異なる分離原理に基づいており、それと根本的に異なっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の1つの目的は、オフゲル電気泳動を改良して、プロテオミックスなどのライフ・サイエンスで一般的に用いられる手段や装置と直接共用できる高スループット形態に適合させることである。具体的な目的は、電流のラインの分布を改善して関心ある化合物の回収を向上させることである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、荷電化合物と中性化合物を分離して、バッファーする必要がない溶液によって関心がある中性化合物を回収する高スループットの装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、請求項1に従って溶液から被分析物を分離する装置と、請求項28に従って溶液から被分析物を分離する方法を提供する。(マルチ)区画構成と電気的手段の特別な配置が用いられる。化学的バッファー・システム(例えば、両性電解質または固定化ゲル)が、区画で構成される複数の貯留容器に隣接し、被分析物の溶液と接触する部分で所望のpH値またはpH勾配を定めるように働く。本発明の1つの様態では、区画は直接の流体結合によって分離され、それは自然な対流を妨げるが2つの隣り合う区画間の核酸と移動を許すことを特徴とする。種々の区画の間に電界を印加することにより、荷電した分子はそれぞれの等電点に対応する場所(locus)に達するまで移動させられる。これによって、化合物をその等電点によって分離し、移動する化合物を化学バッファー・システムから抽出し、精製された化合物を溶液で、好ましくは種々のpIで、回収して失われないようにすることが可能になる。
【0016】
前述のOff−Gel電気泳動法と異なり、この場合の分離の性能は電気的手段の特別な配置によって改善できるということが見出された。実際、本発明では、電界は必ずしも化学バッファー・システムに沿ってだけ生成されない。対照的に、被分析物を含む両端の2つの区画に(または、装置の全ての区画に)電界を印加することによって、被分析物溶液も化学バッファー・システムも分極化され、電界の強度は各区画および接触している化学バッファー・システムの部分における抵抗(および導電性)に依存する。荷電した化合物は電流のラインに沿って移動し、装置の特定の幾何形状および電極の位置のために、電界は直接の流体結合で(すなわち、2つの隣接する区画の交わる部分で)最大になる。荷電した化合物は電流のラインに従うので、それらはこの交わり部分の方へ押しやられ、直接の流体結合を優先的に通って移動する。さらに、直接の流体結合に近づくことによって、移動する化合物は化学バッファー・システムによって定められたpHで緩衝されている場所(locus)に到達する。もしも移動する化合物がこのpH値に対応するpIを有するならば、それは化学バッファー・システムによって中和されて、(化学バッファー・システムが、例えば、ゲルで固定化されているときには、この化学バッファー・システムの中に貫通せず)主に溶液へ拡散してゆく。この現象は、区画の内部に電極を配置することによって強められる。電界は、化学バッファー・システムよりも被分析物溶液で大きくなるからである。このようにして、分離速度は前に開示されたオフゲルテクノロジーの場合よりも大きくなり、回収は大きく改善される。
【0017】
場合によっては、分離後のタンパク質やその他の被分析物の回収を強化するために、薄い流体結合層(または、直接の流体結合)が化学バッファー・システムで緩衝されて区画間に配置される。この薄い流体結合層は化学バッファー・システム内部に組み込まれる、例えば、化学バッファー・システムに形成されたチャンネルに配置することもできる。あるいはまた、薄い流体結合層は、区画を分離する装置の部分に配置することもできる。ここで用いられる“薄い流体結合層”または“直接の流体結合”という用語は、2つの隣接する区画間の1つまたは複数の開口を指す。開口は溶液で満たされ、1つの寸法、幅または直径、を有し、それは実質的な自然対流を妨げるに十分なほど小さいが、2つの隣接する区画の間の分子の拡散と移動を許す。この直接の流体結合は一般に区画を分離している壁の少なくとも一部分に配置され、この壁は溶液に対して耐えられる物質である。ある好ましい実施の形態では、薄い流体結合層は、孔またはマイクロチャンネル、または孔またはマイクロチャンネルの配列、または2つの隣接する区画を分離する壁に直接形成されたおよび/又は膜、フリットにしたガラス、フィルターなどに支持された中空の通路、であって、このような孔があいた膜、フリットにしたガラス、フィルターなどが2つの隣接する区画を分離する壁に配置されている。応用によっては、2つの隣接する区画を分離する各壁が直接に固定化学バッファー・システムを含み、そこに直接の流体結合が組み込まれているのが実際に有利であろう。薄い流体結合層が孔またはマイクロチャンネル、または孔またはマイクロチャンネルの配列、または中空の通路である場合、固体サポートをそのような孔またはマイクロチャンネル、または孔またはマイクロチャンネルの配列、または中空の通路に挿入して、対流を最小にし、2つの隣接する区画間の溶液の物理的な移動、したがって混合を妨げることが有利であろう。
【0018】
この分離方法を、ライフ・サイエンスで一般に用いられる種々の形態、手段、および装置に適合するようにアレンジすることができる。例えば、分離と精製は、従来のマイクロタイター・プレートで行うことができる。この方法は、流体的な流れを必要としない。関心ある中性化合物を精製後、直接に溶液で回収して種々の分析方法、例えば、質量分析(MS)、免疫学的測定、その他のタイプの生化学分析、によって分析することができる。
【0019】
分離と精製は、(マルチ)区画装置で行われる。(マルチ)区画装置は、少なくとも2つの隣接する区画から構成され、数、形、寸法、または体積に限度はない。装置の幾何形状により、化学バッファー・システムは(マルチ)区画装置を閉じる壁と見なすことができたりできなかったりする。さらに、(マルチ)区画装置の幾何形状により、化学バッファー・システムは異なる位置に挿入されることがある。ある場合には、全ての区画が独立である、すなわち、直接の流体結合がない。しかし、ある場合には、薄い流体結合層が区画の間に配置される。どちらの場合も、区画は常に化学バッファー・システムによって連結されている。それらは全て、このシステムの一定の部分を含んでいるからである。
【0020】
固定された化学バッファー・システムは、被分析物溶液と接触している化学バッファー・システムの部分におけるpHを固定する役目をする。区画と接触している化学バッファー・システムの少なくとも一部分は定められたpH値または定められたpH勾配を有することができる。したがって、化学バッファー・システムは固定されたpHでの等電点によってまたはpH勾配で化合物を分離することができる。(マルチ)区画装置に分布するpHの範囲および区画の数によって異なる度合いの精製が得られる。同様な、または異なるpH範囲を示すいくつかの化学バッファー・システムを異なる(マルチ)区画装置で同時に用いて、細胞抽出物のような1つまたはいくつかの複雑なサンプルで並行して精製を行うことができる。
【0021】
ここで用いられる“化学バッファー・システム”(または“化学バッファー手段”)という用語は、被分析物溶液にそれが定めるpH値またはpH範囲によって、全体としては中性の化合物からの荷電した化合物の分離を実行できるシステムを指す。本発明では、化学バッファー・システムは、(例えば、両性電解質のように)被分析物溶液に加えられたバッファーであるか、またはサポートに固定されたバッファー分子、共有結合によって固定されるバッファー分子から成る。それは固定化ゲルであっても、ポリマー・マトリックス、ガラス・フリット、多孔質の膜、フィルター、またはそれらの組み合わせ、から選択されたサポートに固化された流体であってもよいが、それだけに限定されない。用途によっては、固定化学バッファー・システムは吸着を避けるように修飾される。それは使い捨てできるものであってもよい。
【0022】
電気的手段の特別な配置が用いられる。電気的手段は化学バッファー・システムの内部に組み込むことができる。電気的手段は電極を含み、いくつかの実施の形態では電極は各区画に挿入される。また別の場合には、2つの電極だけを用い、それぞれ、装置の各端にある2つの区画に挿入される。被分析物溶液と化学バッファー・システムの間に電位差を印加すると、荷電化合物とある与えられたpHで全体として中性の化合物を区別することが可能になる。
【0023】
各区画には電界が存在し、被分析物に力を及ぼして局所電荷に応じてゲルまたは薄い流体層を横断させる。異なる区画の間に電位差が印加されて、化学バッファー手段自身の内部だけでなく各区画と溶液の間にも電圧が供給される。電極の材料、サイズ、幾何形状、および位置に関しては何も制約はない。ある実施の形態では、電極は区画の上部に導入されたワイヤであり、別の実施の形態では電極は区画の底部に配置された円板である。電極は、マクロ電極でもミクロ電極でもよい。
【0024】
電極は外部電源によって作動させることができる。(マルチ)区画装置が許容できるどんな電圧値および電圧形態も使用できる。発生する熱を散逸させるために冷却装置が必要かもしれない。
【0025】
ある実施の形態では電極は裸であり、別の実施の形態では電極に膜やポリマー物質など、電極を吸着、汚染または酸化還元反応(特に、被分析物溶液に存在する化合物との反応)から保護するための手段が設けられる。
【0026】
区画の間に直接の流体結合がない場合、バッファー・システムと接触している中性の化合物(pI=pH)は被分析物溶液に保持されるが、荷電した化合物(pI <または> pH)は化学バッファー・システムの中へ、pHがそれぞれのpIに対応する点に到達するまで移動する。電気的手段と電流ラインの特別な配置により、化学バッファー・システムの中へ移動する荷電化合物は、マトリックスの中に抽出される前に、そしてpHがそのpIに対応し、溶液の中にとどまるようになる区画に到達する前に、中間の区画で順次溶液に回収される。この構成は、溶液中の関心ある化合物の回収を改善し、保証する。これは、電位差が両端にそれぞれ配置された2つの電極によって化学バッファー・システムを通してだけ印加されていた前述のオフゲル装置に比べて改善になっている。
【0027】
区画が薄い流体結合層で連結されている場合、状況は異なる。この場合、化合物は化学バッファー・システムの内部で移動せず、それ自身のpIに到達するまで流体結合を通って移動する。
【0028】
一般的な形として、化合物は電流のラインに従って装置の端の方へ移動し、電流のラインは電極の位置、装置全体の幾何形状、および被分析物溶液と化学バッファー・システムの性質、に依存する。
【0029】
移動する化合物がそれぞれの等電点に対応する点(pH=pI)に到達すると、化合物は対応する区画の溶液中に回収される。こうして、いくつかの化合物を含む混合物から関心ある1つまたはいくつかの化合物を分離することが可能になる。
【0030】
本発明は、塩、荷電分子種または塩基、バッファー成分または両性電解質など、望ましくないイオンを溶液から迅速に排除することを可能にする。化学バッファー・システムは、Righetti(前出)における膜の役割と同様に、2つの区画の間のpHフィルターとして働くだけである。他方、このシステムは、区画あたり2つの膜、すなわち、所望のpHより高いpHを有する膜と低いpHを有する膜、の使用を回避する。
【0031】
関心ある中性化合物は、精製後、区画の溶液中に直接回収できる。化学物質を用いて抽出する必要がないので、手順が簡単になり、関心ある化合物への化学物質の影響を小さくできるという利点がある。
【0032】
しかし、本発明は、関心ある化合物を化学バッファー・システム内に蓄積させるために利用することもでき、溶液を各孔に分布させたときの予備濃縮と見なすこともできる。この点は、オフゲル電気泳動(この場合、ゲルに入ったタンパク質は、pIが陰極および陽極区画と接触する固定pH勾配の端にある場合以外は他の区画で再び抽出できない)との根本的な違いである。
【0033】
本発明の方法は、半自動化または全自動化できる。具体的には、装置は、区画を満たしたり空にしたりすること、ならびに(マルチ)区画装置のx、y、および/又はz方向への継起的な移動、を可能にする自動化されたデバイスを含むことができる。あるいはまた、システムは、(マルチ)区画装置の機械的ポンピングと手動による移動のための簡単なマイクロピペットと結合することができる。
【0034】
対流を強めるために、(マルチ)区画装置に振蕩を誘発させることができるだろう。さらに、振蕩は濃度勾配の形成を防ぎ、被分析物溶液の均一性を確保するために有効であろう。
【0035】
タンパク質の精製では、装置の温度をコントロールし、沈殿を防止する手段を追加することが有益である。さらに、応用によっては、被分析物溶液にバッファーまたは両性電解質を加えることが、特にそのpIに到達した化合物のフォーカシングを容易にするために、有利なことがある。
【0036】
“被分析物”とは、被分析物溶液と接触する化学バッファー・システムによって定められるpHまたはpH区間で中性である生物学的または化学的な化合物である。ある好ましい実施の形態では、被分析物はイオン化可能な生物学的化合物、例えば、1つ以上のタンパク質、酵素、ペプチド、または糖タンパク質などペプチドまたはタンパク質部分を含む化合物、である。また、核酸、複雑な脂質、または複雑な炭水化物、であることもある。また、タンパク質の種々のアイソフォーム、抗原、または抗体、例えば、モノクローナル抗体、であることもある。
【0037】
荷電化合物、すなわち、被分析物溶液と接触している化学バッファー・システムによって定められるpHまたはpH区間で荷電している化合物、が存在するかもしれない。荷電化合物は、好ましくは、酸、塩基、両性電解質、または、例えば、解離した塩などの恒久的な荷電化合物、である。本発明による電気泳動分離によって荷電化合物は区画から化学バッファー・システムへ抽出される。それをさらに化学バッファー・システムから溶液に抽出することができ、それが関心ある化合物、すなわち、被分析物であるかもしれない。
【0038】
(マルチ)区画装置という用語は、数、形、寸法、または体積に制限なく1つまたはいくつかの区画で構成される商業的に入手できるまたはホームメードの装置であって、数、形、寸法、または体積に制限なく、それは特定の応用で必要に応じて変えることができる。(マルチ)区画装置は、例えば、通常のマイクロタイター・プレートであってもよい。全ての区画は列になっている。
【0039】
(マルチ)区画装置は適当などんな材料で製造してもよい。すなわち、固体プラスチック、例えばPlexiglas(登録商標)、で製造できる。また、熱可塑樹脂から成形してもよいし、他のどんな製造プロセスで作ってもよい。材料は、化学的に、例えば、被分析物溶液に、電流に、弱酸または塩基、および酸化剤に対して耐性がなければならない。応用によっては、ある程度の透明性があることが有益である。装置は、壁への化合物の吸着を防ぐように修飾することができる。
【0040】
(マルチ)区画装置の幾何形状によって、化学バッファー・システムは異なる位置に挿入される。ある実施の形態では、化学バッファー・システムは(マルチ)区画装置の底部に配置される。それは例えば、各ウエルの底の壁に孔があけられた通常のマイクロタイター・プレートと同様のウエルから製造できる。この場合、(マルチ)区画装置は化学バッファー・システムの上に配置することができる。別の実施の形態では、化学バッファー・システムは垂直位置に配置することができる。この場合、孔は各区画の垂直な壁にあけられ、化学バッファー・システムが孔を通して導入される。
【0041】
本発明は、溶液からの望ましくないイオン、例えば、塩、荷電分子種、酸または塩基、バッファー成分または両性電解質、の速やかな排除を可能にする。この場合、関心ある化合物は溶液に回収され、化学バッファー・システムは廃棄物の貯留容器と見なすことができる。
【0042】
別の実施の形態では、本発明は、関心がある化合物を化学バッファー・システムに蓄積するように利用することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施の形態では、区画が化学バッファー・システムと接触するところで区画が連続するようにし、サンプル溶液と直接接触しないのは化学バッファー・システムの非常に小さな部分だけになるようにして、区画の間の“デッド”エリアを最小にする。このような幾何形状は化学バッファー・システムに入り込む分子の数を最小にすることができる。こうして、精製の終わりで化学バッファー・システム内にトラップされたままになっている分子の数は最小になる。実際、化学バッファー・システムは2つの区画の間にある唯一の電流通路なので、化学バッファー・システムと2つの隣接する区画の間の交わり部分では電流密度が非常に大きくなる。各区画における電極の配置によって、化学バッファー・システムのこの小さな部分を通って移動する荷電分子種は電極の方へ、したがって各容器の溶液の方へ向けられる。化学バッファー・システムのこの小さな部分で全体として中性である分子だけが、分離後そこに残される。
【0044】
別の実施の形態では、サンプル溶液と接触する化学バッファー・システムの部分を最小にするために、本発明の装置で保護層が追加される。このようにして、化学バッファー・システムへの分子の吸着が最小になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1Aと1Bは、本発明のマルチ区画装置と化学バッファー・システムが配置される仕方を示す。8つの区画1から構成されるアレーであるマルチ区画装置が例として示されている。マルチ区画装置は化学バッファー・システム2の上に配置されている。この場合、区画はその上と下の端で開いている。全ての区画は化学バッファー・システムによって連結されている。図1Aでは、区画間に直接の流体結合はない。図1Bでは、薄い流体結合層3が区画1の間に、区画を画定する装置の部分で配置されている。薄い流体結合層の内側にトラップされた溶液は、化学バッファー・システムからのH+またはOH−イオンの拡散によって緩衝される。それは又、被分析物溶液が、この与えられたpHでの電荷によって移動することを可能にする。溶液の自然対流は回避されている。
【0046】
図2A、2B、および2Cは、マルチ区画装置に電極を配置する仕方を示している。全ての場合に、化学バッファー・システムはマルチ区画装置の底部にまたは垂直に配置することができる。図2Aでは、電極は、各区画1の上の端に1つずつ、垂直に導入されるワイヤ4を含む。図2Bでは、電極は各区画1の底部に1つずつ配置されたディスク5を含む。図2Cでは、電極は2つの区画1の上の端に配置されたワイヤ4を含む。この場合、2つの電極4だけしか用いられず、装置の端に位置する区画1にそれぞれ1つが配置される。応用によって、上記の電気的手段を組み合わせて設けることができる。
【0047】
図2cの形態では、各区画におけるpHは、被分析物溶液に加えられて化学バッファー・システムを構成する両性電解質などのバッファー分子によって直接定められる。電界を印加すると、バッファーによって定められるpHで荷電する化合物が移動する。さらに、一連の両性電解質を用いて種々の区画でpHを定める場合、両性電解質分子も電界で移動し、種々の区画の間にpHの勾配を生ずる。このようにして、両性電解質分子はまた、種々の区画を連結する薄い流体結合層でpH値またはpH勾配を定める。これらの薄い流体結合層は2つの隣接する区画の間で被分析物溶液の対流と混合を妨げるので、荷電化合物は定められたpHがそれらの等電点を包含する区画に到達するまで移動し、それにより効率的な分離または精製が可能になる。
【0048】
図3Aと3Bは、本発明に係わる装置であって、化学バッファー・システムと2つの隣接する区画を境界とする“デッド”エリアが最小になっている例を示している。図3Aは、化学バッファー・システムが2つの隣接する区画の縁と接触している例を示し、図3Bは、化学バッファー・システムが、一連の離散的な、隣接する2つの区画が接触している壁の一部に直接配置された化学バッファー・システムから成る例を示している。
【0049】
図4Aと4Bは、それぞれ、マルチ区画装置の例における分子の電気泳動による移動経路を示している。xからzへのpH勾配を有するIPG ゲルを含む化学バッファー・システム2は、7つの開かれた区画10から16までで構成されるマルチ区画装置の下に配置されている。pIがyである分子は電界によって移動させられる。各区画(以下ではウエルとも呼ぶ)に電極が配置され、各区画の間に電位差が印加される。分かりやすくするために電極は示されていない。
【0050】
図4Aの場合、区画間には直接の流体結合はなく、分子は化学バッファー・システムの内部で移動する。ウエル10、11、および/又は12に分子が存在すると(pH<pI)、それは正に荷電し、陰極の方へ、それが中性になる(pH=pI)ウエル13に到達するまで移動する。他方、ウエル14、15、および/又は16に分子が存在すると(pH>pI)、それは負に荷電し、その結果陽極の方への移動が誘発される。移動の間、分子は引き続く中間ウエルで溶液に回収された後に再びマトリックスに抽出される。分子は、pHがそのpIに対応しているウエル13に到達するまで移動する。このプロセスは、溶液における関心ある化合物の回収を保証する。いくつかの関心ある化合物を含む混合物を分離しなければならない場合、これは特に有用である。
【0051】
図4Bの場合、区画10から16までは薄い流体結合層3で連結されている。関心がある被分析物の主な部分は化学バッファー・システムの内部で移動せず、電界が最大になる薄い流体結合層を通って移動する。分子は、pHがそのpIに対応するウエル13に到達するまで移動する。
【0052】
図5は、本発明の別のタイプのマルチ区画装置における電気泳動での移動経路を示している。それぞれ、r、s、t、およびuに等しい異なる固定されたpH値を示す4つの化学バッファー手段2′が用いられる。それらは、それぞれ、5つの閉じた区画17から21までの境界を定めるホルダーに垂直に配置される。ワイヤ電極4が、それぞれ、端の区画17と21に配置されている。
【0053】
化学バッファー手段2′は、ある区画から次の区画への荷電化合物の通過を可能にするマイクロホールを有し、薄い流体結合層3′を形成する膜に支持される。同時に、異なる区画17から21までに存在する溶液の物理的な混合は回避される。マイクロホールの直径は2mmより小さいことが好ましい。マイクロホールは、化学バッファー手段に存在するのと同じバッファー分子を保持する。バッファー分子はCOOH 22やNH 23などの固定化された化学基をもつ固定化試薬(immobilines)出会っても良いが、それだけに限定されない。ホールにおけるpHは、化学バッファー手段2′が示す全体としてのpHに等しい。
【0054】
pIがpHsとpH tの間(区画19)に含まれている分子は、2つの電極4の間の電界の印加によって移動させられる。このとき、rからsまでにわたるpH勾配が区画間に生ずる。電流ラインと分子の移動経路が図5に波線の矢印で概略図で示されている。分子が区画17および/又は18(pH < pI)に存在するとき、分子は正に荷電し、陰極の方へ、それが中性になる区画19(pH=pI)に到達するまで移動する。他方、分子が区画20および/又は21に存在するとき、分子は負に荷電し、陽極の方へ移動する。この構成形態を用いると、分子は化学バッファー手段2′を直接通らずに、主として電界が最大になるマイクロホールを通って移動する。これによって、分子が化学バッファー手段2′を直接通る場合に起こる沈殿の問題が回避される。分子は、pHがそのpIに対応する区画19に到達するまで移動し、そこで溶液に回収できる。
【実施例】
【0055】
実施例I
メチレンブルーはFlukaから入手した。固定化されたpH勾配(IPG)ゲルであるImmobiline DryPlates (pH 範囲4.0 7.0、11 cm)は、Amersham Pharmacia Biotechから入手した。全ての実験はMilliQ waterで行われた。 マルチ区画装置は、上と下の端が開いている96(12×8)のプラスチック・ウエル(id 6mm)から構成されるマイクロタイター・プレート(Millipore)であった。この実験では、化学バッファー手段は、溶剤の漏れを防止するために必要な、7−8mmの幅の帯に切られたIPGゲルを含んでいる。ゲルの長さは、異なるウエルの間で分布させるpH勾配に依存していた。ゲルの再膨潤は水中で室温で1時間行われた。マイクロタイター・プレートのウエルは再膨潤されたゲルの上に置かれた。
【0056】
ウエルは75μlの被分析物溶液または水で満たされた。プラチナ電極4が各ウエルの上端に配置された。電極はLandis & Gyr電源で作動させた。各ウエルの間に同じ電圧をかけるために電極間に抵抗が配置された。
【0057】
ディジタル写真が数値カメラ(Camedia C−2020 Z Olympus)で撮影され、Olympus Camedia ソフトウエアで処理された。
【0058】
実験は、IPGゲルの上、それぞれ、pH 4.1、4.4、および4.6のライン上に置かれた3つの隣接するウエルを用いて行われた。75μlの1 mM メチレンブルー溶液がpH 4.1の左側のウエル(陽極)に入れられた。中央および右側のウエル(それぞれ、pH 4.4 と4.6)は水で満たされた。
【0059】
この条件で、メチレンブルーは恒久的な陽イオンなので、ゲルによって定められたpHの全範囲にわたって荷電しており、青い色を示した。装置内の陰極ウエルの方へのこの染料の移動は、一定の電位(各ウエルの間に100 V)を印加したときに容易に追跡された。メチレンブルーは直接に陰極ウエルの方へ移動せず、10分後に撮影されたディジタル写真はメチレンブルーがまず中央ウエルの溶液に回収されることをはっきりと示した。1時間後、メチレンブルーは右側ウエルの溶液に回収されたので、移動はほぼ完了していた。
【0060】
以上の結果は、被分析物の電気泳動による移動と溶液における回収に関する本発明の有効性をはっきりと示している。結果は、被分析物が最終区画に到達する前に中間区画で溶液に回収されることをはっきりと示した。これは、各ウエルに1つの電極が存在することによる電流ラインの分布から生ずる。このプロセスは、任意の数の中間区画についても一般化できる。
実施例II
β−ラクトグロブリンBとウマのミオグロビンがSigmaから購入された。500μM β−ラクトグロブリンBの水溶液(pI=5.2)と500μM ウマ・ミオグロビンの水溶液(pI=7.0)が調製された。この場合、実験は、固定化(immobiline)ゲルの上に、それぞれ、pH 4.9、5.2、および5.6のライン上に置かれた3つの隣接するウエルを用いて行われた。実験装置の他の要素(マルチ区画、電極、化学バッファー・システム、および電源)は、上記の実施例Iと同じであった。タンパク質溶液は、3つのウエルのそれぞれに入れられ、各ウエルは電極も含んでいた。この実験に用いた実験装置は図6に示されている。
【0061】
MS分析はIon Trap LCQ duo質量分析計(Finnigan)を用いて、50/49/1(v/v/v)CHOH/HO/CHCOOHから成る媒質で行われた。実験は、5 kVの分極(polarization)の下で5μl/minという流量で行われた。
【0062】
β−ラクトグロブリンBとミオグロビンの個別質量スペクトルが図7と8にそれぞれ示されている。各ウエルに入れられたタンパク質混合物の質量スペクトルが図9に示されている。この場合、両方のタンパク質に典型的なピークが観測される。しかし、ミオグロビンの優位が認められる。これはミオグロビンのイオン化がβ−ラクトグロブリンBのイオン化よりも容易なことによる。
【0063】
3つのウエルの間に100 Vの電位が90分間印加された。次に、各ウエルに入れられた溶液について質量分析実験が行われた。90分の移動の後、図6の左側、中央、および右側のウエルから得られた質量スペクトルが、それぞれ図10、11および12に示されている。
【0064】
図10に示されているように、90分の移動の後、左側のウエル(pH=4.9)はもはや何もタンパク質を含まなかった。90分後、中央のウエル(pH=5.2)は、圧倒的に多くのβ−ラクトグロブリンBと残った微量のミオグロビンを含んでいた(図11)。他方、右側のウエル(pH=5.6)は、圧倒的に多くのミオグロビンと残った微量のβ−ラクトグロブリンBを含んでいた(図12)。
【0065】
これらの結果は、予期されていたものと合致する。実際、ミオグロビンのpIは7.0なので、これはゲルによって定められたpHの全範囲にわたって荷電しており、右側のウエル(pH=5.6)の方へ移動し、そこで実験の終わりに溶液に回収された。β−ラクトグロブリンBのpIは5.2である。陽極に近い酸性のゲル端では、このタンパク質は正に荷電し(ゲルのpH<pI)、陰極の方へ移動した。他方の陰極に近い塩基性のゲル端では、β−ラクトグロブリンBは正に荷電し(ゲルのpH>pI)、陽極の方へ移動した。β−ラクトグロブリンBの移動はタンパク質が中性になる中央のウエル(ゲルのpH=pI)では停止し、タンパク質はそこで実験の終わりに溶液中に回収された。
【0066】
結果は、本発明による等電点分離に基づく精製の原理をはっきりと実証した。本発明は、タンパク質の効率的な精製に利用できる。精製されたタンパク質は溶液で非常に容易に回収でき、MSなどのその後の分析に直ちに使用できる。
実施例III
区画間の直接の流体結合のユニークな特徴をはっきりさせるために、2つのマルチ区画IEF分離を比較する実験が行われた。一方の実験では直接の流体結合が存在し(図13)、他方の実験では直接の流体結合は存在しなかった(図14)。実験は、30の区画で構成される21 cmの長さのポリウレタン装置を用いて行われた。直接の流体結合は、区画を分離する壁の底部に孔をあけることによって得られた。対照実験は、同じプロトタイプを流体結合なしで用いて行われた。変改された装置と変改されない装置の幾何形状は、それぞれ、図4Aと4Bに示されている装置と同様であった。ポリウレタンマルチ区画装置は、電気泳動分離を行うために用いたAmersham Biosciences製のストリップ・ホルダーおよびIPGphor電源と共用可能である。
【0067】
長さが24cmで直線pH勾配が4.0から7.0までにわたっているImmobiline pHグラジエント(IPG)ストリップ(Amersham Biosciences)が、室温で15分間水中での再膨潤後、装置の下に配置された。次に、ポリウレタン装置に関連したストリップがカップ・ローディング・ストリップ・ホルダーに配置され、IPGPhor電源に結合された。トリプシン阻害物質(pI 4.6)、β−ラクトグロブリンA(pI 5.2)、およびウシ炭酸脱水酵素(pI 5.9)がSigmaから入手された。250μg/ml の各タンパク質を含むタンパク質溶液が0.1%IPGバッファーpH 4.0−7.0(両性電解質)(Amersham Biosciences)を含む10%スクロース中に調製された。各区画に100μlのタンパク質溶液が小分けされた。ゲルの各端に電極カップが配置され、陽極と陰極がそれぞれ、pHが最も低い側と最も高い側に配置された。濡らしたフィルター紙片がゲルと電極の間に入れられた。
【0068】
電気泳動後の各区画のタンパク質含有量、ならびに開始時のタンパク質溶液のタンパク質含有量が、プロテイン・チップとAgilent Technologies製のBioanalyzerによって分析された。相対濃度は、与えられたウエルの分画(fractionation)後の濃度を開始時の溶液の初期濃度に対して報告して計算された。
【0069】
トリプシン阻害物質とウシ炭酸脱水酵素の場合、回収された濃度は、区画間に直接の流体結合を含む装置(図13)では、区画間に直接の流体結合を含まない装置(図14)に比べて高かった。β−ラクトグロブリンAに関しては、回収された濃度は両方の装置で同じ範囲にあった。
【0070】
直接の流体結合を含む装置によって回収される高い濃度は、この形態では、タンパク質の主要部分が化学バッファー・システム内部で移動せず、電界が最大になる薄い流体結合層を通って直接移動するということから生ずる。これによって、タンパク質がゲル内で沈殿することが防がれ、タンパク質の回収の収率が向上することが説明される。
【0071】
さらに、ここで、化学バッファー・システムが種々の区画で接触する溶液の所望のpHまたはpH範囲を固定することを可能にし、これは分離を行うために必要であるということを指摘しておきたい。しかし、直接の流体結合は移動する分子に対して一種の優先経路を作りだし、分子は、薄い流体結合層に沿って(したがって、溶液中で)ある区画から次の区画へ直接移る方が、化学バッファー・システムの中へ入り込んだ後で再び隣接する区画で抽出される(これを、移動する化合物がそのpIに達するまで繰り返す)よりも容易である。したがって、直接の流体結合は、化学バッファー・システムへ移動してゆく分子の比率を最小にすることを可能にするが、以前に開発されたWO 01/86279 A1に記載されているオフゲルテクノロジーではこれは不可能であった。
【0072】
本明細書で用いられる動詞“to comprise”の全ての形は、“から成る、または、を含む”という意味を有する。
【0073】
次に、本発明を添付図面を参照して実施例についてさらに詳しく説明する、図面のうち:
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1Aと1Bは、それぞれ、本発明の第1および第2の実施の形態に係わる装置を概略図で示すが、電極は示されていない。
【図2】図2A、2B、および2Cは、電極の種々の配置を概略図で示す。
【図3】図3Aと3Bは、本発明に係わる装置であって、連続する区画を含む実施の形態を概略図で示す。
【図4】図4Aと4Bは、本発明の2つの異なる実施の形態に係わる装置における電気泳動の移動経路を概略図で示す。
【図5】図5は、本発明に係わる装置であって、化学バッファー手段が膜によって支持されている実施の形態を概略図で示す。
【図6】図6は、β−ラクトグロブリンBとミオグロビンの分離に用いられる実験装置を概略図で示す。
【図7】図7は、β−ラクトグロブリンBだけの質量スペクトルである(500μM)。
【図8】図8は、ミオグロビンだけの質量スペクトルである(500μM)。
【図9】図9は、電気泳動分離の前の500μMβ−ラクトグロブリンBと500μMミオグロビンを含むタンパク質混合物の質量スペクトルである。
【図10】図10は、図9の混合物が90分移動した後、図6の左側区画(pH=4.9)から得られた質量スペクトルである。
【図11】図11は、図9の混合物が90分移動した後、図6の中央区画(pH=5.2)から得られた質量スペクトルである。
【図12】図12は、図9の混合物が90分移動した後、図6の右側区画(pH=5.6)から得られた質量スペクトルである。
【図13】図13は、本発明に係わるマルチ区画装置での電気泳動分離の後の3つのタンパク質の分布と濃度を示す。
【図14】図14は、別のマルチ区画装置での電気泳動分離の後の3つのタンパク質の分布と濃度を示す。

Claims (37)

  1. 等電点電気泳動により溶液から少なくとも1つの荷電した、および/又は少なくとも1つの中性の被分析物を電気泳動的に分離し精製するための装置であって、前記装置は、一連の少なくとも2つの区画(compartments)、前記少なくとも2つの区画を連結する化学バッファー手段、および前記区画の少なくとも2つに配置されて電界を生ずる電気的手段を含み、それにより前記溶液に存在する前記荷電した被分析物および/又は望ましくない荷電した化合物を、該化学バッファー手段によって定められるpHにおける前記被分析物および/又は望ましくない荷電した化合物の電荷によって力を及ぼして(forcing)前記区画の1つから別の(another)または他の(the other)区画へ移動させることを特徴とする装置。
  2. 該区画に接触する該化学バッファー手段の少なくとも一部分が固定されたpH値を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 該区画に接触する該化学バッファー手段の少なくとも一部分がpH勾配を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. 該化学バッファー手段が、バッファー分子を含むゲルであるか、またはバッファー分子、例えば、被分析物に加えられる両性電解質、またはポリマー・マトリックス、ガラス・フリット、多孔質の膜、フィルター、またはそれらの組み合わせ、から選択される支持体に固化された流体、であることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の装置。
  5. 前記支持体は、電界が印加されたときに荷電した被分析物および/又は望ましくない荷電した化合物が移動して通過できるマイクロ・ホール(micro-holes)を含むことを特徴とする請求項4に記載の装置。
  6. 該化学バッファー手段が共有結合で固定されたバッファー分子を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
  7. 前記区画の各々に接触する化学バッファー手段の部分が異なる分解能を有し、その結果種々の区画で異なる度合いの精製が得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
  8. 前記化学バッファー手段が、前記区画の1つからの被分析物溶液から抽出された化合物または化合物のクラスを直接同定および/又は定量化する手段を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
  9. 前記同定および/又は定量化の手段が、光の発生、光の吸収、ブロッティング物質またはラベルとの反応、電気活性(electroactive)物質の発生、または抗原−抗体複合体の形成または酵素反応などの化合物の特異的分子認識、に基づくことを特徴とする請求項8に記載の装置。
  10. 前記化学バッファー手段が使い捨てできるものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
  11. 前記化学バッファー手段が廃棄物貯留容器を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記区画間に薄い流体結合層が含まれ、前記薄い流体結合層が、孔、または微小チャンネル、または、孔または微小チャンネルの列、または中空通路であって、オプションとしてポリマー・マトリックス、膜、ガラス・フリット、フィルター、などに支持されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記薄い流体結合層は、区画を分離する壁および/又は化学バッファー手段に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
  14. 前記薄い流体結合層は、溶液の物理的通過を妨げるが前記荷電した被分析物および/又は前記望ましくない荷電した化合物の通過を許す手段を含むことを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
  15. 前記電気的手段が電極を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
  16. 前記電気的手段が各区画に1つの電極を含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
  17. 2つよりも多くの区画を含み、前記電気的手段が2つの電極を、前記一連の区画の端にある2つの区画のそれぞれに1つ、含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
  18. 吸着、汚染、および/又は望ましくない酸化還元反応から前記電極を保護する手段を含むことを特徴とする請求項15、16、または17のいずれか1項に記載の装置。
  19. 前記電気的手段の少なくとも1つの電極が前記化学バッファー手段の内部に組み込まれている(integrated)ことを特徴とする請求項15−18のいずれか1項に記載の装置。
  20. 前記区画が前記化学バッファー手段と接触しているところで連続している(contiguous)ことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の装置。
  21. 前記化学バッファー手段が前記区画を分離する壁または複数の壁の各々に組み込まれていることを特徴とする請求項20に記載の装置。
  22. 少なくとも1つの前記区画が液圧(hydraulic)フロー・システムに結合されて、該被分析物溶液が前記少なくとも1つの区画を通って流れることが可能になっていることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の装置。
  23. 前記区画の少なくとも1つが、精製された被分析物を前記少なくとも1つの区画から他の分離および/又は検出システムに移すことを可能にする結合手段を含むことを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の装置。
  24. 中性の被分析物が沈殿するのを防止する手段、例えば、超音波(sonication)手段など、を含むことを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載の装置。
  25. 温度制御手段を含むことを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の装置。
  26. 被分析物溶液を均一化するために対流を引き起こす手段、例えば、攪拌手段など、を含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の装置。
  27. 前記区画を満たしたり空にしたりすること、ならびに該マルチ区画装置を継起的に移動させたりすることを可能にする自動化されたデバイスを含むことを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の装置。
  28. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の装置を用いて少なくとも1つの荷電した、および/又は少なくとも1つの中性の被分析物を溶液から分離する方法。
  29. 該精製された被分析物が直接に溶液中に、例えば、両性電解質を含まないまたはバッファーを含まない溶液中に、回収されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 前記化学バッファー手段が廃棄物貯留容器として用いられることを特徴とする請求項28または29に記載の方法。
  31. 前記少なくとも1つの被分析物が生物学的化合物であることを特徴とする請求項28、29または30に記載の方法。
  32. 前記生物学的化合物が有機化合物、例えば、タンパク質、タンパク質誘導体またはアイソフォーム(isoform)であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 各々がタンパク質である複数の被分析物が、同じ等電点のタンパク質におよび/又は個別のタンパク質に分離されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. 前記少なくとも1つの被分析物が該化学バッファー手段に蓄積されることを特徴とする請求項28〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記少なくとも1つの被分析物が前記区画の1つに蓄積されることを特徴とする請求項28〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記被分析物溶液が有機溶剤を含む、または非水性であることを特徴とする請求項28〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記被分析物溶液が前記区画の少なくとも1つで更新されることを特徴とする請求項28〜36のいずれか1項に記載の方法。
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