次に、本発明に係る遊技機の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1に示すのは、スロットゲームを行える遊技機1の正面図で、遊技機本体2と遊技球貸出装置3とからなる。この遊技機1は、球皿4に貯留した遊技媒体である遊技球が流下樋5を介して遊技球取込装置6へ供給され、遊技者が取込操作手段であるMAXベットボタン71もしくは1ベットボタン72を押圧操作して開始するゲームのベットモードを選択すると、1ゲームに対するベットモードに応じた所定数の遊技球(例えば、1ベットモードで5個、2ベットモードで10個、MAXベットモードで15個)が遊技球取込装置6によって取り込まれ、変動表示装置8による変動表示ゲームが開始可能となる。
前記変動表示装置8は、例えば、水平方向の回転軸を有する環状体の外周面に複数の識別情報を描いた3つのリール(例えば、左側の第1リール81、中央の第2リール82、右側の第3リール83)を備え、遊技者がスタートボタン73を押圧操作すると、これら第1〜第3リール81〜83を回転させ、変動表示ゲームを開始させる。なお、変動表示ゲーム中は、液晶表示器等よりなる上部表示器9によって遊技を盛り上げる種々の演出表示を行っても良い。
その後、適宜なタイミングで、遊技者がストップ操作手段である第1ストップボタン74,第2ストップボタン75,第3ストップボタン76を押圧操作すると、第1〜第3リール81〜83の回転が停止し、変動表示窓84から各リール毎に3つの識別情報が見える状態となり、この状態における識別情報の配列が予め定められている所定の賞態様に該当していれば、賞球や再遊技といった特典が遊技者に与えられる。
なお、賞態様の配列は、遊技開始時に選択したベットモードで有効になっている有効ライン(ベットライン表示部21aにて表示されているライン)上に揃わなければ、賞態様の成立とならない。例えば、1ベットモードでゲームを行った場合には、中央横ラインのみが有効となり、2ベットモードでゲームを行った場合には、中央横ラインに加えて上横ラインおよび下横ラインが有効となり、MAXベット(3ベット)モードでゲームを行った場合には、3つの横ラインに加えて2つの斜めラインが有効となる。
有効ライン上に賞態様が形成されて大当たりになると、その旨が大当たり表示器21bに表示されると共に、賞球数表示器21cに表示された数の賞球が遊技者に払い出される。また、遊技機本体2の前面上部に設けた装飾表示器21dやスピーカ22等によって大当たり発生の報知演出を行っても良い。
賞球は、球排出口23より球皿4の球貯留凹部4aへ払い出される。このために、遊技機本体2の裏面側上部に貯留タンク24を設け、遊技機1が列設される島設備の補給機構(図示省略)より供給される遊技球を貯留しておき、排出球供給樋25を介して排出用の遊技球を球排出装置26へ供給し、球排出装置26の排出モータ26aを駆動させることによって、遊技球が球排出樋27へ排出され、この球排出樋27の最下端に連なるた球排出口23より球皿4へ遊技球が払い出されるようにした。
なお、球排出装置26は、排出センサ26bによって排出球を1個宛検出可能であり、所定数の賞球排出が完了すると、排出モータ26aを停止させ、正確な賞球排出動作を行えるようにした。また、球皿4の球貯留凹部4aが遊技球で満杯になり、球排出口23まで遊技球が溢れた場合には、図示を省略した裏面側の溢球誘導樋を介して下皿10へ溢れた遊技球を排出させる。この下皿10は、球抜ボタン77(図2を参照)が操作されることで、遊技球取込装置6によって取り込まれずに抜き出された遊技球が球抜流路11を介して流入する。
さらに、この球排出装置26は、貸球用の球排出動作にも使われる。例えば、遊技球貸出装置3のカード挿入口31からプリペイドカード(遊技媒体との交換が可能な価値情報が記録された磁気カードやICカード等)が挿入されると、このプリペイドカードに記録されている価値情報が度数表示器32に表示され、この度数表示器32に表示された度数の範囲内で遊技媒体の借り受けを行うことが可能となる。なお、遊技球貸出装置3と遊技機本体2とが適切に接続されており、球貸動作を実行可能であれば、その旨が遊技球貸出装置3の上部に設けた球貸可能表示器33に表示される。
そして、プリペイドカードを遊技球貸出装置3に投入した遊技者が遊技球の貸出を希望する場合には、遊技機本体2の適所(例えば、球皿4の上方部)に設けた球貸ボタン28aを遊技者が操作すると、その度に貸出操作信号が遊技球貸出装置3の貸出制御部(図示省略)へ送信され、貸出操作に対応する1度数分の遊技球排出要求信号が遊技球貸出装置3の貸出制御部から遊技機本体2の遊技機制御部(後に詳述)へ送られ、これを受けた遊技機制御部からの指令により球排出装置26が作動して、1度数分の遊技球が球皿4へ払い出されるのである。また、球貸を受けて消費した度数分は、プリペイドカードより読み出した度数から減算され、度数表示器32の度数表示が更新される。
遊技者が当該遊技機1での遊技を止める場合には、遊技機本体2の前面適所(例えば、球貸ボタン28aの側方近傍)に設けた返却ボタン28bを操作すると、プリペイドカードが遊技者に返却され、度数表示器32の度数表示が帰零する。なお、度数表示を遊技者が確認し易いように、球貸ボタン28aや返却ボタン28bの近傍に度数表示器28cを設けても良い。また、遊技球貸出装置3に球貸ボタンや返却ボタンを設けるようにしても良い。
次に、球皿4と流下樋5と遊技球取込装置6について詳述する。
球皿4の球貯留凹部4aは、遊技機1の前面側に膨出する球皿4の上面に開口する窪み構造で、所要形状の底壁41の後部に連なる左右方向に平坦な後方側壁42と、底壁41の左側(流下樋5に連通しない側)で前側に膨出して前記後方側壁42と適宜離隔距離を隔てて右側(流下樋5と連通する側)へ至る前方側壁43とで囲むことにより形成する。この球貯留凹部4aの底壁41は左から右側(流下樋5と連通する側)へ下り傾斜させてあり、流下樋5における前後方向に並設した第1球流下路51,第2球流下路,第3球流下路53へ球貯留凹部4の下流部から遊技球が導入されるようにした。
より具体的には、球皿4における球貯留凹部4aの上流側は多くの遊技球を貯留できるように広がった上流側貯留領域4a1と、この上流側貯留領域4a1の下流側(流下樋5に連なる側)に位置して遊技機1の前後方向(第1〜第3球流下路51〜53の並設方向)に遊技球が概ね3個程度並ぶぐらいの幅に制限された下流側貯留領域4a2とを形成し、この下流側貯留領域4a2の下流側で底壁41上に第1導入区画部材44aと第2導入区画部材44bを立設した。
これにより、下流側貯留領域4a2における前方側壁43である導入側壁部43a(例えば、後方側壁42とほぼ平行な側壁部)と第1導入区画部材44aとの間に遊技球が1個のみ流下可能な第1整列導入路4b1が形成され、流下樋5の第1球流下路51へ円滑に遊技球を導入可能となり、第1導入区画部材44aと第2導入区画部材44bとの間に遊技球が1個のみ流下可能な第2整列導入路4b2が形成され、流下樋5の第2球流下路52へ円滑に遊技球を導入可能となり、第2導入区画部材44bと後方側壁42の下流側部位との間に遊技球が1個のみ流下可能な第3整列導入路4b3が形成され、流下樋5の第3球流下路53へ円滑に遊技球を導入可能とした。
第1〜第3整列導入路4b1〜4b3より各々遊技球が導入される流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53は、遊技球取込装置6における前後方向に並設した第1遊技球取込機能部61,第2遊技球取込機能部62,第3遊技球取込機能部63へ各々遊技球を供給し、これら第1〜第3遊技球取込機能部61〜63によって同時並行的に遊技球の取込動作が効率良く行われる。
遊技球取込装置6の詳細構造は図3に示すように、取込モータ64の駆動軸に第1球送り部材611,第2球送り部材621,第3球送り部材631が軸着され、これら第1〜第3球送り部材611〜631は、第1遊技球取込機能部61の第1球送り流路612,第2遊技球取込機能部62の第2球送り流路622,第3遊技球取込機能部63の第3球送り流路632に各々回転自在に配置され、第1〜第3球送り部材611〜631の外周に所定角度毎に複数(例えば、60度毎に6つ)設けた球受け凹部に嵌まり込んだ遊技球を取込モータ64の回転に伴って第1〜第3球送り流路612〜632の下流へ誘導して行き、第1〜第3球送り部材611〜631の球受け凹部から外れて自由落下可能となった遊技球が第1〜第3球送り流路612〜632の下流へ流下して行く。
ここで、第1〜第3球送り部材611〜631の球受け凹部は、相互に20゜だけ球受け位置がずれるように駆動軸64aへの軸着位置を調整しておくことで、取込モータ64によって駆動軸64aが60゜回転したときには、第1〜第3球送り部材611〜631から各々1個ずつ遊技球が排出されるようにし、第1〜第3球取込機能部61〜63による遊技球取込動作を同時並行的に効率良く行うものとした。
なお、第1〜第3球送り流路612〜632の流下端は、各々第1取込流路613と第1球抜流路614、第2取込流路623と第2球抜流路624、第3取込流路633と第3球抜流路634に分岐しており、第1〜第3取込流路613〜633へ至った遊技球は、各々第1取込センサ615,第2取込センサ625,第3取込センサ635により取込球として1個宛て検出され、図示を省略した島設備の回収樋へ導かれて回収される。また、第1〜第3取込流路613〜633と第1〜第3球抜流路614〜634の切換を各々行う第1流路切換部材616,第2流路切換部材626,第3流路切換部材636は、常態においては第1〜第3球抜流路614〜634を閉止する取込状態にあるが、球抜ボタン77が操作されて球抜を行うときに球抜ソレノイド65が励磁されることで第1〜第3取込流路613〜633を閉止する球抜状態に変換する。
上述した遊技球取込装置6によれば、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63によって同時並行的に遊技球の取込処理を行うので、MAXベットモードでのゲームが選択された場合でも、所定数(例えば、15個)の遊技球を迅速に取り込むことができるものの、球皿4に貯留されている遊技球が少量になった場合など、第1〜第3球流下路51〜53へ遊技球が均等に流入して行かないと、遊技球が供給されない球流下路が生ずるために遊技球取込装置6への球供給に偏りが生じ、遊技球取込装置6による迅速な取込処理を行えなくなってしまう。
そこで、本実施形態に係る遊技機1においては、球皿4に、流下樋5における第1〜第3球流下路51〜53の並設方向である衝撃付与方向への衝撃を球貯留凹部4aの下流部に与えることで、球貯留凹部4aから流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53へ均等に遊技球を導入させる球導入状態均等化手段としての機能を設け、球貯留凹部4aから流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53へ均等に遊技球を導入させて、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63を無駄なく動作させ、効率良く遊技球を取り込むことができるようにした。本実施形態に係る遊技機1の球皿4のように、第1〜第3球流下路51〜53を遊技機1における前後方向に配した場合には、衝撃付与方向が前後方向となり、前後方向に衝撃を与えられる構造を備えていれば良い。以下に、球導入状態均等化手段として前後方向の衝撃を与えられる第1構成例および第2構成例を説明する。
先ず、球導入状態均等化手段の第1構成例の概略を図4に基づき説明する。この球導入状態均等化手段は、開始された変動表示ゲームにおける変動表示を停止させるために遊技者が操作するストップ操作手段である第2ストップボタン75を遊技者が操作することにより均等化を促すように動作するものである。
第2ストップボタン75は、遊技者が押圧操作する操作部材751を前後動自在に収容室752内に収容したもので、操作部材751が押圧されて被検知片751aが非接触式のセンサである第2ストップセンサ75aに検知されると、この第2ストップセンサ75aからの信号変化によって第2ストップボタン75が押圧操作されたことを遊技機制御部で検出できる。
常態における操作部材751は、付勢部材753によって前側ストッパ部751bが収容室752の前壁内面に当接して、押圧受け部751cが球皿4の外壁面よりも適宜突出した状態に保持されているが、遊技者が付勢部材753の付勢力に抗して押圧受け部751cを後方へ押し込むように押圧操作すると、第2ストップセンサ75aが備える一対の検知腕部の間に被検知片751aが入り込み、一方の検知腕部の発光素子から他方の検知腕部の受光素子への光軸が遮られ、第2ストップセンサ75aがオンとなる。なお、操作部材751の被検知片751aが第2ストップセンサ75aに衝接して破損することのない適切な位置で止まるように、操作部材751の後方ストッパ部751dが収容室752の後壁内面に当接するようにしてある。
さらに、操作部材751には後方に延出する棒状の押圧力伝達部751eを形成し、収容室752の後方壁に開設した挿通孔752aから押圧力伝達部751eを延出させておき、この押圧力伝達部751eを介してリンク機構12に操作部材751の前後動作を伝達する。
リンク機構12は、第1リンク部材121と第2リンク部材122とからなり、前後方向に配された棒状体である第1リンク部材121の一方端に設けた伝達受け部121aには、押圧力伝達部751eの後端部を嵌入可能な円筒状の中空部を有し、この中空部内に配置したコイルスプリング等の緩衝部材123を介して押圧力伝達部751eから前後方向の駆動力が伝達され、更に、第1リンク部材121の他方端であるリンク接続部121bを介して第2リンク部材122へ伝達される。
第2リンク部材122は、水平方向の回動軸124により鉛直面内で回動可能とした棒状体で、その下部122aはリンク軸125を介して第1リンク部材121のリンク接続部121bと接続され、第1リンク部材121の前後動に応じて第2リンク部材122が揺動する。すなわち、第2リンク部材122の上部122bは、第2ストップボタン75の操作に連動して、球皿4の後方側壁42の壁面より離隔した第1位置と後方側壁42の壁面に近接した第2位置を往復動作する可動端部として機能する。
そして、第2リンク部材122の上部122bには、左右方向に比較的長い板状の衝接部材126を設けてあり、第2リンク部材122の上部122bが第2位置へ移動することに伴って、球皿4における後方側壁42に形成された衝接部材挿通孔42aを介して衝接部材126の前側部が球貯留凹部4a内へ突出し(図4(b)を参照)、第2リンク部材122の上部122bが第1位置へ復帰することに伴って、衝接部材126の前側部が球貯留凹部4aから退く(図4(a)を参照)。
このように、第2ストップボタン75を遊技者が操作することに伴って、球導入状態均等化手段の衝接部材126を球貯留凹部4aの下流側(例えば、上流側貯留領域4a1と下流側貯留領域4a2との境界近傍からその下流適所までの領域)で後方側壁42から突出・退避させ、球皿4の球貯留凹部4aに貯留された遊技球に対して、前後方向(第1〜第3球流下路51〜53の並設方向である衝撃付与方向)への衝撃を与え、球貯留凹部4aから流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53へ均等に遊技球を導入させるようにしたので、ゲーム進行上、遊技者が必ず行う第2ストップボタン75に対する操作によって、球導入状態均等化手段の衝接部材126が球皿4の球貯留凹部4aに貯留された遊技球に衝撃を与えるので、意識して球導入状態均等化手段を操作するまでもなく、球貯留凹部4aから流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53へ均等に遊技球を導入させることが可能となる。
しかも、本構成例のように、球導入状態均等化手段の衝接部材126の配設部位のすぐ下流に第1,第2区画部材44a,44bによって第1〜第3整列導入路4b1〜4b3を区画形成しておけば、流下樋5における第1〜第3球流下路51〜53への流下状態が規制される第1〜第3整列導入路4b1〜4b3の上流側で球導入状態均等化手段による均等化が行われるので、第1〜第3整列導入路4b1〜4b3に入る遊技球に偏りが生じないようにすることができ、遊技球取込装置6の第1〜第3遊技球取込機能部61〜63へ供給される遊技球の均等化を一層効果的に実現できる。
加えて、本構成例の球導入状態均等化手段におけるリンク機構12では、第1リンク部材121の伝達受け部121aの中空部内に配置した緩衝部材123を介して押圧力伝達部751eから前後方向の駆動力が伝達されるようにすることで、第2リンク部材122の上部122bが第1位置から第2位置へ移動することを阻害されている状態においても、緩衝部材123が圧縮されて第2ストップボタン75の操作を可能ならしめる緩衝手段として機能するので、球貯留凹部4aに遊技球が満杯に貯留されている場合など、衝接部材126が球貯留凹部4a内へ突出できないために、リンク機構12の可動端部である第2リンク部材122の上部122bが第1位置から第2位置へ移動することを阻害されている状態においても、第2ストップボタン75の操作部材751を押圧操作できなくなるような不具合を解消できる。
次に、球導入状態均等化手段の第2構成例の概略を図5に基づき説明する。この球導入状態均等化手段は、開始された変動表示ゲームにおける変動表示を停止させるために遊技者が操作するストップ操作手段である第3ストップボタン76を遊技者が操作することにより均等化を促すように動作するものである。また、前述した第1構成例の球導入状態均等化手段は、球貯留凹部4aの後側(後方側壁42側)に偏った遊技球を手前に押し出して均すものであったが、本第2構成例の球導入状態均等化手段は、球貯留凹部4aの前側(前方側壁43側)に偏った遊技球を後方へ押し出して均すものである。
第3ストップボタン76は、遊技者が押圧操作する操作部材761を前後動自在に収容室762内に収容したもので、操作部材761が押圧されて被検知片761aが非接触式のセンサである第3ストップセンサ76aに検知されると、この第3ストップセンサ76aからの信号変化によって第3ストップボタン76が押圧操作されたことを遊技機制御部で検出できる。
常態における操作部材761は、付勢部材763によって前側ストッパ部761bが収容室762の前壁内面に当接して、押圧受け部761cが球皿4の外壁面よりも適宜突出した状態に保持されているが、遊技者が付勢部材763の付勢力に抗して押圧受け部761cを後方へ押し込むように押圧操作すると、第3ストップセンサ76aが備える一対の検知腕部の間に被検知片761aが入り込み、一方の検知腕部の発光素子から他方の検知腕部の受光素子への光軸が遮られ、第3ストップセンサ76aがオンとなる。なお、操作部材761の被検知片761aが第3ストップセンサ76aに衝接して破損することのない適切な位置で止まるように、操作部材761の後方ストッパ部761dが収容室762の後壁内面に当接するようにしてある。
さらに、操作部材761には後方に延出する棒状の押圧力伝達部761eを形成し、収容室762の後方壁に開設した挿通孔762aから押圧力伝達部761eを延出させておき、この押圧力伝達部761aを介して、リンク部材13に操作部材761の前後動作を伝達する。
リンク部材13は前後方向に配された棒状体で、このリンク部材13の一方端に設けた伝達受け部13aには、押圧力伝達部761eの後端部を嵌入可能な円筒状の中空部を有し、この中空部内に配置したコイルスプリング等の緩衝部材131を介して押圧力伝達部761eから前後方向の駆動力が伝達され、更に、リンク部材13の他方端である駆動端部13bには、水平方向に比較的長い板状の衝接部材132を設けて、第3ストップボタン76の押圧操作が衝接部材132の駆動力として伝達される。すなわち、本構成例では、このリンク部材13が単体でリンク機構として機能する。
前記リンク部材13の駆動端部13bは、第3ストップボタン76の操作に連動して、球皿4の前方側壁43aの壁面より離隔した第1位置と前方側壁43の壁面に近接した第2位置を往復動作し、このリンク部材13の駆動端部13bが第2位置へ移動することに伴って、球皿4における前方側壁43に形成された衝接部材挿通孔43aを介して衝接部材132の後側部が球貯留凹部4a内へ突出し(図5(b)を参照)、リンク部材13の駆動端部13bが第1位置へ復帰することに伴って、衝接部材132の後側部が球貯留凹部4aから退く(図5(a)を参照)。
このように、第3ストップボタン76を遊技者が操作することに伴って、球導入状態均等化手段の衝接部材132を球貯留凹部4aの下流側(例えば、上流側貯留領域4a1と下流側貯留領域4a2との境界近傍からその下流適所までの領域)で前方側壁43から突出・退避させ、球皿4の球貯留凹部4aに貯留された遊技球に対して、前後方向(第1〜第3球流下路51〜53の並設方向である衝撃付与方向)への衝撃を与え、球貯留凹部4aから流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53へ均等に遊技球を導入させるようにしたので、ゲーム進行上、遊技者が必ず行う第3ストップボタン76に対する操作によって、球導入状態均等化手段の衝接部材132が球皿4の球貯留凹部4aに貯留された遊技球に衝撃を与えるので、意識して球導入状態均等化手段を操作するまでもなく、球貯留凹部4aから流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53へ均等に遊技球を導入させることが可能となる。
しかも、本構成例のように、球導入状態均等化手段の衝接部材132の配設部位のすぐ下流に第1,第2区画部材44a,44bによって第1〜第3整列導入路4b1〜4b3を区画形成しておけば、流下樋5における第1〜第3球流下路51〜53への流下状態が規制される第1〜第3整列導入路4b1〜4b3の上流側で球導入状態均等化手段による均等化が行われるので、第1〜第3整列導入路4b1〜4b3に入る遊技球に偏りが生じないようにすることができ、遊技球取込装置6の第1〜第3遊技球取込機能部61〜63へ供給される遊技球の均等化を一層効果的に実現できる。
加えて、本構成例の球導入状態均等化手段におけるリンク部材13では、伝達受け部131aの中空部内に配置した緩衝部材131を介して押圧力伝達部761eから前後方向の駆動力が伝達されるようにすることで、リンク部材13の駆動端部13bが第1位置から第2位置へ移動することを阻害されている状態においても、緩衝部材131が圧縮されて第3ストップボタン76の操作を可能ならしめる緩衝手段として機能するので、球貯留凹部4aに遊技球が満杯に貯留されている場合など、衝接部材132が球貯留凹部4a内へ突出できないために、リンク部材13の可動端部13bが第1位置から第2位置へ移動することを阻害されている状態においても、第3ストップボタン76の操作部材761を押圧操作できなくなるような不具合を解消できる。
更に、本実施形態に係る遊技機1の如く、2つの第2,第3ストップボタン75,76の押圧操作によって各々動作する2つの球導入状態均等化手段を設けておけば、下流側貯留領域4a2において遊技球が後方に偏っていても前方に偏っていても、1回のゲームで第2,第3ストップボタン75,76が操作されることにより、効果的に球導入状態の均等化を図ることができる。また、取込操作手段であるMAXベットボタン71、スタートボタン73或いは第1ストップボタン73の操作によってもリンク機構が動作して、衝接部材が衝撃付与方向への衝撃を与えるように球導入状態均等化手段を構成しても構わない。更に、球導入状態均等化手段は、衝撃付与方向への衝撃を遊技球に直接与えるものに限らず、遊技球が載っている床面を揺らすことで、球の偏りを均す様な構造でも良い。
次に、本実施形態に係る遊技機1に対し、遊技球取込装置6に誤動作を引き起こして遊技球を取り込ませたかのような不正を行う取込不正を的確に検出するための制御技術について説明する。この取込不正による異常検出は、遊技機1を統括的に制御する遊技機制御部によって行うものとした。
遊技機制御部は、例えば図6に示すように、遊技制御装置14、演出制御装置15、取込排出制御装置16の制御装置によって構成されるもので、各装置はCPU,ROM,RAMを備えるコンピュータ構成である。また、遊技制御装置14から演出制御装置15への指令、および遊技制御装置14から取込排出制御装置16への指令は、共に単方向通信で行う。
遊技制御装置14は、遊技の進行制御を統括的に行うもので、スタートボタン73の操作を検出するスタートセンサ73a、第1ストップボタン74の操作を検出する第1ストップセンサ74a、第2ストップボタン75の操作を検出する第2ストップセンサ75a、第3ストップボタン76の操作を検出する第3ストップセンサ76a、第1リール81の基準位置を検出する第1リール位置センサ81a、第2リール82の基準位置を検出する第2リール位置センサ82a、第3リール83の基準位置を検出する第3リール位置センサ83a、MAXベットボタン71の操作を検出するMAXベットセンサ71a、1ベットボタン72の操作を検出する1ベットセンサ72a、球抜きボタン77の操作を検出する球抜きセンサ77a、遊技機本体2の前面枠が開放された状態を検出する前面枠開放センサ29より各々検出信号が入力され、確率設定装置17より確率設定信号が入力される。
また、遊技制御装置14は、各種の検出信号や確率設定信号に基づいて遊技を進行させるように、延出制御指令を演出制御装置15へ送信し、選択されたベットモードに応じた数の遊技球取込指令や変動表示ゲームの結果に応じた賞球排出指令を取込排出制御装置16へ送信し、第1〜第3リール81〜83の回転・停止制御により変動表示ゲームを行うように第1リールモータ81b,第2リールモータ82b,第3リールモータ83bへ駆動信号を出力し、ベットライン表示部21a,大当たり表示器21b,賞球数表示器21cに対する表示制御を行う。また、遊技機1から外部へ出力するべく定められた情報(例えば、大当たりの発生情報、遊技球の取込情報など)を外部信号出力部18を介して外部(例えば、当該遊技店の管理装置など)へ出力する。
演出制御装置15は、遊技制御装置14が行う遊技進行に沿った視覚的・聴覚的演出動作を統括的に行うもので、比較的大型の液晶表示装置などで構成した上部表示器9に様々な動画や静止画を表示させ、スピーカ22より効果音等を出力させ、遊技機本体2の前面側適所に設けた様々な装飾表示器21dの発光制御を行う。
取込排出制御装置16は、遊技球取込装置6や排出装置26に対する制御を統括的に行うもので、選択されたベットモードに応じた遊技球を取り込むために、遊技球取込装置64の取込モータ64の駆動制御を行うと共に、第1〜第3取込センサ615,625,635からの検出信号で取込球数を検知し、変動表示ゲームでの賞態様に応じた賞球あるいは遊技者からの貸出要求に応じた貸球を排出するために、排出モータ26aの駆動制御を行うと共に、排出センサ26bからの検出信号で取込球数を検知する。
また、遊技制御装置14から球抜動作の指令を受けた場合、取込排出制御装置16は、先ず球抜ソレノイド65を駆動させて第1〜第3流路切換部材616,626,636を球抜状態に変換させた後に、取込モータ64を駆動させ、第1〜第3球送り流路612,622,632から排出した遊技球を第1〜第3球抜流路614〜634へ流下させ、球抜き流路11を介して下皿10へ抜き出す。なお、下皿10が貯留球で一杯になったことを検出する下皿満杯センサ10aから満杯検出信号が取込排出制御装置16に入力された場合には、下皿10へ排出できない遊技球が球抜流路11内に溢れて遊技球取込装置6の動作に支障を来さないように球抜き動作を中断する。
上記下皿排出センサ10aからの満杯検出信号は、遊技制御装置14にも入力されるものとし、下皿10満杯であることを遊技者に報らせるように、演出制御装置15へ指令し、スピーカ22で警告を行ったり、上部表示器9に可視表示したり、装飾表示器21dを点滅動作させて注意を促したりする。また、排出センサ12bからの検出信号も遊技制御装置14へ入力されるものとし、遊技制御装置14において、排出賞球数や貸出球数を計数管理できる。
さらに、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63毎に取り込んだ遊技球を1個宛て検出する取込球検出手段としての第1〜第3取込センサ615,625,635からの取込球検出信号も遊技制御装置14へ入力されるものとし、この取込球検出信号を用いて、遊技制御装置14が取込不正を検出できるようにした。
本第1実施形態に係る遊技機1では、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63で同時並行的に遊技球の取込処理を行う構造の遊技球取込装置6(球皿の球貯留凹部に貯留された遊技球が複数条で各々供給される複数の遊技球取込機能部を備え、取込操作手段が操作されることに基づいて、複数の遊技球取込機能部を動作させ、遊技球取込機能部毎に取り込んだ遊技球を取込球検出手段により1個宛て検出しつつ、取込操作手段により選択されたベットモードに応じた所定数の遊技球を取り込む遊技球取込装置)を採用したことにより、不正遊技者が遊技球取込装置6に対して不正操作(例えば、遊技機の前面側から電波を照射してセンサをオンさせる不正操作や、遊技機内部に挿入した不正操作部材でセンサをオンさせる不正操作等)を行おうとしたときに、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63の全てに同じ不正操作を行って全く同じ誤動作を引き起こすことは困難であることに着目し、不正操作の影響を受けた取込センサ(例えば、遊技機1の前面に近い第1取込センサ615)からの検出出力を累計した取込球累計値と、不正操作の影響を受けていない適正な取込球の検出を行った取込センサ(例えば、第2,第3取込センサ625,635)からの検出球数を累計した取込球累計値とに不均衡が生じるこで、取込球数の累計値の差が許容誤差範囲を超えていれば、当該遊技機1の遊技球取込装置6に対して不正が行われた蓋然性が高い状態を検出できるのである。
すなわち、遊技機制御部(特に、遊技制御装置14)によって「遊技球取込装置の遊技球取込機能部毎に各取込球検出手段により検出された取込球の数を各々累計する取込球累計手段」と「取込球累計手段が累計した遊技球取込機能部毎の取込球の累計値を相互に比較し、累計値の差が予め定めた許容誤差範囲を超えていることに基づいて遊技球取込装置の異常を判定する累計異常判定手段」の機能を実現することで、当該遊技機1の遊技球取込装置6に対して不正が行われた蓋然性が高い状態を検出可能となる。
ここで、前述した取込球累計手段および累計異常判定手段を備える遊技機制御部の制御動作を、遊技球取込処理の流れに沿って説明する。なお、遊技球取込処理は、図7に示すように、取込駆動処理(ステップS1)、取込球検出処理(ステップS2)、異常検出処理(ステップS3)の各ステップからなる。
図8に示す取込駆動処理においては、先ず、モータフラグ(後に説明)がセットされているか否かを判定し(ステップS101)、未だモータフラグがセットされていなければ、リトライフラグ(後に説明)がセットされているか否かを判定し(ステップS102)、リトライフラグもセットされていなければ取込要求を受けているか否かを判定し(ステップS103)、取込要求も受けていなければ、そのまま処理を終了する。
上記ステップS104で取込要求を受けていると判定された場合には、その取込要求がMAXベットボタン71を操作したことに基づくMAXベットモードでの取込要求か否かを判定し(ステップS104)、MAXベットモードでの取込要求であった場合には、MAXベットに相当する15個の遊技球を遊技球取込装置6で取り込むために必要な取込モータ64の回転量を設定する(ステップS105)。一方、ステップS104でMAXベットモードでの取込要求でなかった場合には、1ベットボタン72の操作による1ベットモードでの取込要求であるから、1ベットに相当する5個の遊技球を遊技球取込装置6で取り込むために必要な取込モータ64の回転量を設定する(ステップS106)。
続いて、取込モータ64の駆動を開始させ(ステップS107)、モータフラグをセットして(ステップS108)、取込駆動処理を終了する。なお、後述する取込球検出処理において付されるリトライフラグが、上記ステップS102で有りと判定された場合には、不足する取込球を排出させるために必要な取込モータ64の回転量を設定し(ステップS109)、取込モータ64の駆動開始とモータフラグのセットを行う。このように、モータフラグは、MAXベットモードもしくは1ベットモードでの取込要求を受けて取込モータ64を駆動を開始する場合、およびリトライフラグがセットされることで取込モータ64の追加駆動を開始する場合に付されるフラグである。
上記のようにしてモータフラグがセットされた後は、ステップS101でモータフラグ有りと判定され、設定した回転量だけ取込モータ64が回転したか否かの判定を行い(ステップS110)、取込モータ64が設定量だけ回転していなければ、そのまま取込駆動処理を終了するが、設定した回転量だけ取込モータ64が回転したと判定すると、取込モータ64の駆動を停止し(ステップS111)、この取込モータ64の駆動停止から所定時間(第1〜第3球送り部材611,621,631の球受け凹部から離脱した遊技球が第1〜第3取込センサ615,625,635に検出されるまでに要する合理的な時間で、例えば1秒)が経過したか否かを判定し(ステップS113)、所定時間が経過するとモータフラグをクリアする(ステップS113)。
図9に示す取込球検出処理においては、先ず、第1取込センサ615が取込球を検出してオンになったか否かを判定し(ステップS201)、第1遊技球取込機能部61の第1取込流路613を流下する取込球を第1取込センサ615が検出していなければ、第2取込センサ625が取込球を検出してオンになったか否かを判定し(ステップS202)、第2遊技球取込機能部62の第2取込流路623を流下する取込球を第2取込センサ625が検出していなければ、第3取込センサ635が取込球を検出してオンになったか否かを判定し(ステップS203)、第3遊技球取込機能部63の第3取込流路633を流下する取込球を第3取込センサ635が検出していなければ、そのまま取込球検出処理を終了する。
一方、ステップS201で第1取込センサ615がオンと判定された場合には、第1遊技球取込機能部61の第1取込流路613を流下する取込球を累積記憶する第1センサ累計カウンタのカウント値に“1”を加算することで第1センサ累計値を更新し(ステップS204)、ステップS202で第2取込センサ625がオンと判定された場合には、第2遊技球取込機能部62の第2取込流路623を流下する取込球を累積記憶する第2センサ累計カウンタのカウント値に“1”を加算することで第2センサ累計値を更新し(ステップS205)、ステップS203で第3取込センサ635がオンと判定された場合には、第3遊技球取込機能部63の第3取込流路633を流下する取込球を累積記憶する第3センサ累計カウンタのカウント値に“1”を加算することで第3センサ累計値を更新する(ステップS205)。
続いて、モータフラグがセットされているか否かを判定し(ステップS207)、モータフラグがセットされていれば、検出中フラグをセットし(ステップS208)、取込要求に基づいて取り込んだ遊技球を計数記憶する取込数カウンタのカウント値に“1”を加算して取込数を更新する(ステップS209)。
上記取込駆動処理においてモータフラグがクリアされたことにより、ステップS209でモータフラグ無しと判定された場合には、検出中フラグの有無を判定し(ステップS210)、検出中フラグがセットされていた場合には、現在の取込数カウンタのカウント値が取込要求を受けた要求数に一致しているか否かを判定し(ステップS211)、取込数が要求数に一致していると判定されれば、取込数カウンタのカウント値を帰零させ(ステップS212)、リトライフラグをクリアし(ステップS213)、リトライ回数カウンタのカウント値を帰零させ(ステップS214)、検出中フラグをクリアし(ステップS215)、取込球検出処理を終了する。
上記ステップS211において、取込数が要求数に一致していないと判定された場合、例えば、取込モータ64に対する所定量の回転が終了しているにも拘わらず取込数が要求数に満たない場合には、リトライフラグをセットし(ステップS216)、リトライ回数を計数記憶するリトライ回数カウンタのカウント値に“1”を加算してリトライ回数を更新し(ステップS217)、リトライ回数が5に達していないかを判定する(ステップS218)。
このリトライフラグがセットされることで上記取込駆動処理において取込モータ64の追加回転が行われた結果、ステップS211で取込数が要求数に一致すれば、ステップS212〜ステップS215を行って取込球検出処理を終了するが、未だ取込数が要求数と一致しない場合には、ステップS216でリトライフラグがセットされたままに保持し、ステップS217でリトライ回数を更新する。しかしながら、リトライ回数が6回になると(最高リトライ回数である5回のリトライ動作を行った後、ステップS217で更に1回分加算されると)、これ以上のリトライ動作は行わずにステップS212〜ステップS215の処理を行って取込球検出処理を終了する。
なお、選択されたベットモード分の遊技球を遊技球取込処理において取り込めなかった場合には、遊技者の持ち球が足りないために遊技球取込装置6が遊技球を取り込めない可能性が高いので、遊技者が新たに遊技球を借り受けて遊技球取込装置6に遊技球が供給されるまでに要する妥当な時間として設定した猶予時間が経過するまで待機し、この猶予時間の経過後に不足分の遊技球取込動作を行い、それでも不足分の遊技球を取り込めない場合には、既に取り込んだ数の遊技球を球排出装置26から排出して遊技者に返却し、当該ゲームを中止するように処理しても良い。
一方、第1〜第3取込センサ615,625,635が取込球を検出したときに既にモータフラグがクリアされており、ステップS210で検出中フラグもクリアされていた場合、すなわち、遊技球取込動作を行っていない状態であるにも拘わらず、第1〜第3取込センサ615,625,635によって取込球が検出されたと言うことであり、これは明らかに異常な状態である。従って、ステップS210で検出中フラグが無いと判定された場合には、遊技球取込装置6に対して誤動作を引き起こすような取込不正が行われている可能性が高いので、異常フラグをセットし(ステップS219)、第1〜第3取込センサ615,625,635がオンしたことに伴う取込数カウンタのカウント値に“1”を加算して取込数を更新し、取込球検出処理を終了する。なお、異常フラグがセットされると、例えば、遊技球取込装置6を不能動化して遊技を続行できなくしたり、遊技機1の各種報知手段で取込異常の発生を遊技店員に知らせたり、店内の管理装置へ異常発生を送信したりすることで、不正行為に対する迅速な対応を可能とする。
図10に示す異常検出処理においては、先ず、第1〜第3センサ累計カウンタのカウント値である第1センサ累計値と第2センサ累計値と第3センサ累計値を夫々比較し(ステップS301)、その差が許容誤差(例えば、100)を超えているものがあるか否かを判定する(ステップS302)。例えば、3つの値である第1〜第3センサ累計値を比較する場合、3種類の比較結果(|第1センサ累計値−第2センサ累計値|,|第1センサ累計値−第3センサ累計値|,|第2センサ累計値−第3累計値|)が得られ、全ての累計値が同数であれば、差の絶対値は“0”であるから、ステップS302で許容誤差を超えていないと判定されるし、第1〜第3センサ累計値が各々異なっていても、その最大累計値と最小累計値との差が許容誤差未満であれば、ステップS302で許容誤差を超えていないと判定される。
上記ステップS302において第1〜第3センサ累計値の比較結果が許容誤差を超えていないと判定された場合には、第1〜第3取込センサの球検出間隔と最小球検出間隔とを比較し(ステップS303)、最小球検出間隔よりも小さい間隔で遊技球が取り込まれた遊技球取込機能部が有るか否かを判定し(ステップS304)、最小球検出間隔よりも小さい球検出間隔がなければ、異常検出処理を終了する。
しかしながら、上記ステップS302で第1〜第3センサ累計値の比較結果が許容誤差を超えていると判定された場合、および、上記ステップS304で最小球検出間隔よりも小さい球検出間隔があったと判定された場合には、取込異常を検出したものとして異常フラグをセットする(ステップS305)。なお、異常フラグがセットされると、例えば、遊技球取込装置6を不能動化して遊技を続行できなくしたり、遊技機1の各種報知手段で取込異常の発生を遊技店員に知らせたり、店内の管理装置へ異常発生を送信したりすることで、不正行為に対する迅速な対応を可能とする。また、本実施形態に係る遊技機1では、球皿4に、第2ストップボタン75の押圧操作により動作する球導入状態均等化手段と第3ストップボタン76を押圧操作することにより動作する球導入状態均等化手段を設けたので、球貯留凹部4aから流下樋5の第1〜第3球流下路51〜53を介して第1〜第3遊技球取込機能部61〜63の第1〜第3球送り流路612,622,632へ均等に遊技球を導入させることができ、遊技機1の稼働中に第1〜第3遊技球取込機能部61〜63に生ずる累計値の誤差範囲を効果的に抑制し、取込不正の的確な検出を行えるようにした。
このように、遊技球取込装置6が備える第1〜第3遊技球取込機能部61〜63へ球皿4から均等に遊技球が供給されていれば、取込モータ64の回転によって第1〜第3遊技球取込機能部61〜63で順次取込動作が行われるので、第1〜第3センサ累計値は略々一致するはずであるが、取込不正が遊技球取込装置6に対して行われることで、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63での遊技球取込に不均衡が生じた場合には、適正に稼働している遊技機1において第1〜第3センサ累計値に生ずる可能性がある妥当な誤差として認められる許容誤差を超えるので、ステップS302の判断により異常を判定できるのである。
なお、予め定める許容誤差は、固定値に限らず、遊技機1が稼働している間のゲーム回数やベット数等に比例するように変化させることで、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63に供給される遊技球の不均衡が累積された状態を取込不正と判定してしまう誤検出を効果的に回避できる。或いは、第1〜第3センサ累計値の差が許容誤差を超えたと取込異常状態を判定する毎に一旦累計値をクリアし、改めて第1〜第3センサ累計値を更新するようにし、所定回数のゲームが行われる間に取込異常状態が所定回数検出されたときに異常フラグをセットするようにしても良い。
また、本実施形態に係る遊技機1が備える遊技球取込装置6は、取込モータ64が定速回転を開始すると第1〜第3遊技球取込機能部61〜63から一定の時間間隔で順次遊技球が排出されるので、この時間間隔を置かずに取込球を取込センサが検出した場合、不正に取込センサがオンさせられていると判定できる。すなわち、図11に示すように、取込モータ64が定速回転しているとき、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63の第1〜第3取込センサ615,625,635は概ね最小球検出間隔aを隔てて後続の取込球を検出してゆく筈であるが、例えば、第1取込センサ615においては、取込球P1と取込球P2との検出間隔が最小検出間隔aを隔てているのに、取込球P2と取込球P3との検出間隔は最小検出間隔aよりも短いb1であり、取込球P3と取込球P4との検出間隔は最小検出間隔aよりも短いb2であるから、取込球P3と取込球P4は、取込不正によって第1取込センサ615を誤動作させたものであり、ステップS304の判断により異常と判定できるのである。
なお、ステップS303および304による異常判定を行うためには、「第1〜第3取込センサ615,625,635が取込球を検出した検出時刻を記録し、第1〜第3遊技球取込機能部61〜63毎に取込球の検出間隔を求める取込球検出間隔取得手段」と「取込球検出間隔取得手段により取得された取込球検出間隔を予め定めた最小球検出間隔と比較し、取込球検出間隔が最小球検出間隔に満たないことに基づいて遊技球取込装置の異常を判定する取込異常判定手段」としての機能を遊技機制御部によって実現すれば良い。また、球の検出間隔の判定に際しては、検出パルスの立ち上がりを基準として判定しても、パルスの立ち下がりを基準として判定しても構わない。
次に、「球皿の球貯留凹部に貯留された遊技球が複数条で各々供給される複数の遊技球取込機能部を備え、取込操作手段が操作されることに基づいて、複数の遊技球取込機能部を同時に動作させて一斉に遊技球の取込を開始し、遊技球取込機能部毎に取り込んだ遊技球を取込球検出手段により1個宛て検出しつつ、取込操作手段により選択されたベットモードに応じた所定数の遊技球を取り込む遊技球取込装置」を備える遊技機を説明する。
この遊技機では、図12に示す第2構成例の遊技球取込装置6′を備え、この遊技球取込装置6′に応じた取込不正判定機能を遊技機制御部によって実現するものである。この遊技機が備える遊技球取込装置6′と、前述した第1実施形態に係る遊技機が備える遊技球取込装置6との大きな違いは、3つの遊技球取込機能部(第1遊技球取込機能部61′,第2遊技球取込機能部62′,第3遊技球取込機能部63′)が独立して遊技球の取込動作を行えるので、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′で一斉に遊技球の取込動作を開始させて迅速な遊技球の取込処理が可能となる。例えば、1ベットモードが選択された場合、第1,第2遊技球取込機能部61′,62′で各々2個の遊技球を取り込み、第3遊技球取り込み機能部63′で1個の遊技球を取り込むように処理させることができるので、前述した遊技球取込装置63よりも一層迅速な遊技球取り込み動作を期せる。
ここで、遊技球取込装置6′につき具体的に説明する。なお、遊技球取込装置6と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′は、各々個別の駆動源として第1取込ソレノイド617,第2取込ソレノイド627,第3取込ソレノイド637を備え、これら第1〜第3取込ソレノイド617,627,637が非励磁の常態においては第1〜第3球送り流路612,622,632内に延出して遊技球の流下を阻止する流下阻止状態と、第1〜第3取込ソレノイド617,627,637が励磁されると第1〜第3球送り流路612,622,632から退いて遊技球の流下を許容する流下許容状態と、に変換する第1取込動作部材618,第2取込動作部材628,第3取込動作部材638を備え、第1〜第3取込ソレノイド617、627,637を個別に駆動制御することにより、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′から任意の数の遊技球を取り込むことが可能となる。
例えば、MAXベットモードが選択されて、遊技球取込装置6′で15個の遊技球を取り込む場合には、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′で各々5個ずつ取り込めばよいので、第1〜第3取込ソレノイド617,627,637を一斉に駆動させて第1〜第3取込動作部材618,628,638を同時に流下許容状態に変換させ、5個の遊技球が流下するのに必要十分な時間が経過したタイミングで第1〜第3取込ソレノイド617,627,637を一斉にオフにし、第1〜第3取込動作部材618,628,638を同時に流下素子状態に復帰させる(図13(a)を参照)。
上記のように第1〜第3取込ソレノイド617,627,637に駆動制御が行われると、自由落下が可能となった遊技球が第1〜第3取込流路613,623,633を経て第1〜第3取込センサ615,625,635の各々検出されるタイミングがほぼ同一となることから、第1〜第3取込ソレノイド617,627,637に駆動開始から第1〜第3取込センサ615,625,635の取込球検出までに、略々一定のT1時間を要するものとなる(図13(b),(c),(d1)を参照)。その後も、第1〜第3取込センサ615,625,635はほぼ同じタイミングで取込球を検出し、第1〜第3取込センサ615,625,635が各々5個の遊技球を検出することで、遊技球取込処理が終了する。
しかしながら、第1〜第3取込ソレノイド617,627,637を同時に駆動させたにも拘わらず、第1〜第3取込動作部材618,628,638を同時に流下許容状態に変換して自由落下可能となった最初の取込球が第1〜第3取込センサ615,625,635で取り込まれるタイミングが著しくずれている場合には、遊技球取込装置6′に対して取込不正が行われている蓋然性が高い。
例えば、第1,第2取込センサ615,625が最初の取込球を検出したタイミング(図13(b),(c)を参照)と第3取込センサ635が最初の取込球を検出したタイミング(図13(d1)を参照)との差(|T1−T2|)が予め定めた許容誤差(第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′毎の個体差により生ずる遊技球の流下時間の差異を勘案して定めた微小時間)を超えている場合、第3取込センサ635は適正な取込球を検出してオンしたのではなく、取込不正が行われて誤動作したものと考えられる。
すなわち、遊技機制御部(特に、遊技制御装置14)によって「遊技球取込装置が遊技球の取り込みを開始して後、複数の遊技球取込機能部毎に最初に取り込まれた遊技球を各取込球検出手段が検出したタイミングを記憶する検出タイミング記憶手段」と「検出タイミング記憶手段に記憶された各遊技球取込機能部毎の検出タイミングを相互に比較し、検出タイミングの差が予め定めた許容誤差を超えていることに基づいて遊技球取込装置の異常を判定するタイミング異常判定手段」の機能を実現することで、当該遊技機1の遊技球取込装置6′に対して不正が行われた蓋然性が高い状態を検出可能となる。
なお、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′における第1〜第3取込センサ615,625,635の検出タイミングを比較するのは、最初の遊技球に限らず、2個目以降の遊技球を対象としても構わないが、取込球数が5個の1ベットモードの場合には、遊技球を1個しか取り込まない遊技球取込機能部が生ずるので、常に取込不正の検出対象とすることはできないし、取込個数が多くなると、適正な遊技球取込動作を行っていても第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′毎の個体差に起因する流下時間の誤差が拡大して行くため、設定する許容誤差が小さいと異常状態の誤検出が生じてしまうし、逆に許容誤差を大きくすると取込不正の適切な検出ができなくなる可能性もあるので、最初の取込球の検出タイミングを異常判定に用いることが望ましい。
また、選択されたベットモード分の遊技球を遊技球取込処理によって取り込めなかった場合、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′のうち割り当てられた遊技球の取込が完了していない遊技球取込機能部を特定し、不足分を他の遊技球取込機能部に割り当てて取り込ませるような制御を行うようにしても良い。他の遊技球取込機能部でも不足分を取り込めなかった場合は、遊技者の持ち球が足りないために遊技球取込装置6′が遊技球を取り込めない可能性が高いので、遊技者が新たに遊技球を借り受けて遊技球取込装置6′に遊技球が供給されるまでに要する妥当な時間として設定した猶予時間が経過するまで待機し、この猶予時間の経過後に不足分の遊技球取込動作を行い、それでも不足分の遊技球を取り込めない場合には、既に取り込んだ数の遊技球を球排出装置26から排出して遊技者に返却し、当該ゲームを中止するように処理しても良い。
このように、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′において、取り込みのために待機している遊技球の有無が明確になっていないために、遊技球を取り込めない遊技球取込機能部を作動させてしまうと、遊技球の取込に要する時間が長くなってしまい、効率の良い遊技球取込を行えないという欠点がある。そこで、遊技球取込装置6′においては、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′夫々の第1〜第3球送り流路612,622,632の適所に、待機してる遊技球を検出する待機球検出手段として第1待機センサ619,第2待機センサ629,第3待機センサ639を各々設けておき、第1〜第3待機センサ619,629,639がオンしているか否かによって、第1〜第3球送り流路612,622,632における遊技球の残量を把握できる様にした。
第1〜第3待機センサ619,629,639の配設位置は特に限定されるものではないが、本構成例においては、第1〜第3取込動作部材618,628,638が流下阻止状態にあるときに2番目に待機している遊技球を検出できる位置に第1〜第3待機センサ619,629,639を各々配置した。斯くすれば、2番目に待機している2遊技球の有無を第1〜第3取込動作部材618,628,638によって検出できるので、待機球が検出されていない遊技球取込機能部に対しては2個以上の取込球数を割り当てないように、第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′への取込数を配分すれば、要求された取込数分の取込動作に生ずる時間的なロスを軽減できる。
また、第1〜第3待機センサ619,629,639が全てオンになっており、第1〜第3球送り流路612,622,632の全てに2個以上の遊技球が待機していると判断できる場合には、第1取込センサ〜第3取込センサ615,625,635による最初の取込球の検出タイミングと2番目の取込球の検出タイミングの比較を行って、取込不正の有無を判定することもできる。例えば、第1〜第3取込ソレノイド617,627,637の駆動開始から最初の取込球が第1〜第3取込センサ615,625,635に検出されるまでの期間は全てT1で、検出タイミングの誤差がほぼ0であっても、2番目の取込球が検出されたタイミングには許容誤差を超えるT3時間の誤差が生じていた場合、これを的確に取込不正として検出することが可能である。
更に、タイミング異常判定手段は、遊技球取込装置6′による遊技球の取込動作が開始されるときに第1〜第3待機球検出手段619,629,639のうち待機している遊技球を検出していた第1〜第3遊技球取込機能部61′〜63′における第1〜第3取込センサ615,625,635の検出タイミングのみを比較対象として、遊技球取込装置6′の異常判定を行うようにすることもできる。斯くすれば、遊技に供する遊技球の残数が少なくなって、取り込み用の遊技球が待機していない遊技球取込機能部から遊技球が取り込まれないために最初の取込球の検出タイミングが検出されないで、他の遊技球取込機能部の取込センサの検出タイミングとの差を演算できない場合、或いは時間経過に伴って誤差時間がどんどん拡大して許容誤差を超えてしまった場合でも、これを遊技球取込装置6′の異常と判定する誤動作を回避できる。
以上本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は全て例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。