JP4279584B2 - 固体電解質型燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質型燃料電池及びその製造方法に関する。更に詳しくは、複数の単セルが積層されてなる燃料電池において、空気極及び/または燃料極とセル間セパレータとの接触抵抗を低減させて、長期に渡って安定した出力が維持される固体電解質型燃料電池及びその製造方法に関する。
本発明は、各種の構造を備える固体電解質型燃料電池において広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
平板型の固体電解質型燃料電池(以下、「平板型SOFCスタック」ということもある。)は、複数の単セルがセパレータを介して積層され、形成されている。この平板型SOFCスタックは、1000℃を越える高温で動作させることが多いが、近年、Y等により安定化されたジルコニアなどの固体電解質層をできるだけ薄くして内部抵抗を低減し、900℃以下、特に800℃以下の比較的低温域で動作させる研究が活発化している。この場合、従来から使用されている耐熱性の高いセラミックセパレータに代えて、金属製の安価なセパレータを使用することができ、特に、より安価なステンレス鋼を用いることができれば、大幅にコストを引き下げることができる。
【0003】
このように金属製のセパレータを使用し、各々の単セルの燃料極及び空気極とセパレータとを、それぞれ集電体により電気的に接続した平板型SOFCスタックでは、各々の電極とセパレータとの間の接触抵抗が高いと、出力が低下して大きな問題となる。特に、空気極の側では、常に酸素ガスが存在し、セパレータが酸化され易く、生成する絶縁性の酸化皮膜により接触抵抗が高くなる傾向にある。このような問題に対処するため、優れた導電性を有するAgを用いた集電体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、耐熱合金からなる母材の表面にクロム酸化物層を介して銀メッキ層が形成された導電性に優れるセパレータも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−280026号公報
【特許文献2】
特開2002−289215号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の集電体、及び特許文献2に記載のセパレータを使用すれば、低温で動作させても出力密度の高い固体電解質型燃料電池とすることができると記載されている。しかし、これらの集電体及びセパレータは非常に高価であり、より安価であって、且つ接触抵抗を十分に低下させることができる接触手段が必要とされている。
尚、集電体を介さずに燃料極及び空気極が直接セパレータと接触するタイプの平板型SOFCスタックであっても、上述と同様にして、電極とセパレータとの間の接触抵抗を低減させ得る安価な接触手段が必要とされている。
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、空気極及び/または燃料極とセル間セパレータとの接触抵抗を低減させて、安定した出力が維持される固体電解質型燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の通りである。
. 複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層された構造を備える固体電解質型燃料電池において、各々の単セルは、固体電解質層、該固体電解質層の一面に設けられた燃料極、及び他面に設けられた空気極を有する発電層を備え、該空気極が多孔質空気極であり、該多孔質空気極と該セル間セパレータとの間に導電性材料が介在しており、該導電性材料が該多孔質空気極の空隙に少なくとも一部で滲入していることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
. 複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層された構造を備える固体電解質型燃料電池において、各々の単セルは、固体電解質層、該固体電解質層の一面に設けられた燃料極、及び他面に設けられた空気極を有する発電層を備え、該燃料極が多孔質燃料極であり、該多孔質燃料極と該セル間セパレータとの間に導電性材料が介在しており、該導電性材料が該多孔質燃料極の空隙に少なくとも一部で滲入していることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
. 上記.記載の固体電解質型燃料電池の製造方法であって、導電性ペーストを上記多孔質空気極と上記セル間セパレータとのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、該導電性ペーストの塗布面を介して該多孔質空気極と該セル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備えることを特徴とする固体電解質型燃料電池の製造方法。
. 上記.記載の固体電解質型燃料電池の製造方法であって、導電性ペーストを上記多孔質燃料極と上記セル間セパレータとのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、該導電性ペーストの塗布面を介して該多孔質燃料極と該セル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備えることを特徴とする固体電解質型燃料電池の製造方法。
【0007】
【発明の効果】
以下、本発明の効果について説明する。
【0008】
本発明の固体電解質型燃料電池によると、導電性材料が多孔質空気極の空隙に少なくとも一部で滲入しており、空気極とセル間セパレータとが安定して接触される。従って、空気極とセル間セパレータとの間の電気的な接触抵抗が低減され、長期に渡って安定した出力を維持できる。また、耐熱サイクル性に優れた燃料電池を提供できる。
他の本発明の固体電解質型燃料電池によると、導電性材料が多孔質燃料極の空隙に少なくとも一部で滲入しており、燃料極とセル間セパレータとが安定して接触され、燃料極とセル間セパレータとの間の電気的な接触抵抗が低減され、長期に渡って安定した出力を維持できる。また、耐熱サイクル性に優れた燃料電池を提供できる。
また、多孔質空気極とセル間セパレータとの間に介在する導電性材料が、白金、金、銀、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とする場合は、空気極とセル間セパレータとの接触抵抗をより安定して低減させることができる。
また、多孔質燃料極とセル間セパレータとの間に介在する導電性材料が、白金、金、銀、ニッケル、銅、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とする場合は、燃料極とセル間セパレータとの接触抵抗をより安定して低減させることができる。
さらに、導電性材料が、多孔質空気極及び/又は多孔質燃料極の空隙に厚さ方向に少なくとも一部で1〜200μm滲入している場合は、さらに接触抵抗を効率良く低減できると共に、ガス流路を構成する多孔質集電体のガス通気性が損なわれることがない。
他の本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法によると、導電性材料が多孔質空気極の空隙に少なくとも一部で滲入している燃料電池を極めて安定して低コストで製造でき、また大量生産も容易である。
他の本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法によると、導電性材料が多孔質燃料極の空隙に少なくとも一部で滲入している燃料電池を極めて安定して低コストで製造でき、また大量生産も容易である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(形態1(参考形態)
<固体電解質型燃料電池>
本形態1に係る固体電解質型燃料電池は、複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層され、形成されている。この燃料電池において各々の単セルは発電層を備え、それぞれの発電層は、固体電解質層と、この固体電解質層の一面に設けられた燃料極と、他面に設けられた空気極とを有する。また、この燃料電池は、空気極と空気極側のセル間セパレータとの間に後述する空気極側多孔質集電体を備える。また、各々の単セルは、燃料電池の構造にもよるが、燃料ガスの流路と支燃性ガスの流路とを隔離するための隔離セパレータを備え、この隔離セパレータも金属により形成することができる。更に、それぞれの単セル間を電気的に絶縁するため、絶縁性セラミックからなる枠体が、積層方向の所定部分に配設されることもある。
【0010】
上記「セル間セパレータ」は金属からなり、特に、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金により形成される。尚、セル間セパレータの上面に更に他の単セルが積層されない場合は、蓋部材として機能し、セル間セパレータの下面に更に他の単セルが積層されない場合は底部材として機能する。
更に、平板型SOFCスタックの構造によっては、燃料ガス又は支燃性ガスの流路が形成されたセル間セパレータが用いられることもある。
【0011】
また、上記「固体電解質層」はScにより安定化されたジルコニア(ScSZ)等により形成することができる。この固体電解質層は、電池の動作時に燃料極に導入される燃料ガス又は空気極に導入される支燃性ガスのうち一方の少なくとも一部をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。どのようなイオンを伝導することができるかは特に限定されないが、イオンとしては、例えば、酸素イオン及び水素イオン等が挙げられる。
上記「空気極」はLa1−xSrMnO系複合酸化物等により形成することができる。この空気極は、酸素源となる支燃性ガスと接触し、平板型SOFCスタックにおける正電極として機能する。
上記「燃料極」はNi及びScSZ等により形成することができる。この燃料極は、水素源となる燃料ガスと接触し、平板型SOFCスタックにおける負電極として機能する。
【0012】
上記「空気極側多孔質集電体」は、支燃性ガスを透過させ得る限り、その構造、材料、形状等は特に問わない。この多孔質集電体としては、例えば、導電性セラミック多孔体、金属発泡体、金属フェルト、金属メッシュ等を挙げることができる。また、多孔質集電体は、1種の材料のみからなっていてもよく、2種以上の材料からなっていてもよい。また、異なる材料からなるブロックの集合体(例えば、積層体等)であってもよいが、その場合は各々のブロック間に後述する導電性材料を介在させて接触抵抗を低下させることが好ましい。さらに、この多孔質集電体は、通常、一面で電極と接触し、他面でセル間セパレータと接触している。この多孔質集電体とセル間セパレータとの接触する面の少なくとも一部に後述する導電性材料が介在している。
【0013】
また、この多孔質集電体は、セル間セパレータと同等以上の耐酸化性を有することが好ましい。この酸化の難易は、多孔質集電体を形成する試験片を500時間程度燃料電池の運転温度にて熱処理し、その後、試験片の断面を鏡面研磨し、この断面を電子顕微鏡により観察し、酸化被膜の厚さ、及びこの酸化被膜が剥離していないか、剥離している場合は剥離の程度等を確認することで評価することができる。尚、多孔質集電体はセル間セパレータより酸化し難いことが特に好ましく、この場合、電流集中によって多孔質集電体が発熱したとき、多孔質集電体がより酸化し難く、電気特性が悪化し難いため好ましい。
【0014】
また、この多孔質集電体の少なくとも一部に電極を構成する元素と同じ元素が含まれていることが好ましい。同じ元素が含まれていることにより、電極と多孔質集電体との間の反応が抑えられ、これらが変質せず、接触抵抗の増加が抑制されて安定した出力が維持される。更に、多孔質集電体の少なくとも一部が電極と同じ組成を有することがより好ましい。同じ元素が含まれていても、組成が異なる場合は、濃度の高い側から低い側へと元素等がマイグレーションすることがあり、変質及び接触抵抗の増加を十分に抑えることができない場合がある。一方、組成が同じであれば、電極と多孔質集電体との間の反応及び元素等のマイグレーションが十分に抑制され、出力をより安定させることができる。
【0015】
上記「導電性材料」は、セル間セパレータと多孔質集電体との間に介在し、セル間セパレータ及び多孔質集電体の間から電極側に向って多孔質集電体の空隙に少なくとも一部で滲入している限り、滲入厚さ等は特に問わない。この導電性材料としては、例えば、燃料電池の運転環境下において化学的に安定しているといった観点から、白金、金、銀、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とする。特に、コスト面、化学的安定性等の観点から、銀を主成分とするものが好ましい。
ここで、上記「主成分とする」とは、導電性材料を100質量%とした場合に、主成分となる金属の合計が50質量%以上であることを意味し、その主成分は70〜98質量%、特に90〜98質量%、更には93〜97質量%含有されていることが特に好ましい。
【0016】
また、導電性材料の滲入厚さは、例えば、多孔質集電体の厚さ方向に少なくとも一部で1〜200μmであることが好ましい。1μm以上であると、接触抵抗をより大きく低減でき、特に、熱サイクルをかけた場合の性能低下を抑制できる。200μm以下であると、多孔質集電体の良好なガス通気性が損なわれることがない。より効率良く接触抵抗を低減できると共により良好なガス通気性を発揮できるといった観点から、導電性材料の滲入厚さは、3〜100μm、特に5〜50μmであることが好ましい。
上記「1〜200μm滲入している」とは、滲入深さの最大値及び最小値の差が平均滲入深さに対し±20%の範囲で一様な深さで滲入していることが好ましいが、滲入していない欠陥箇所があっても性能には殆ど影響がない。
【0017】
また、空気極側のセル間セパレータの抵抗、多孔質集電体の抵抗、及びそれらの接触抵抗からなる総抵抗は、熱サイクルをかけた後の抵抗変化率が30%未満、更に20%未満、特に10%未満であることが好ましい。
【0018】
<燃料電池の製造方法>
本形態1に係る燃料電池の製造方法は、導電性ペーストを空気極側の多孔質集電体及びセル間セパレータのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、その塗布面を介して空気極側の多孔質集電体とセル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備える。この燃料電池の製造方法は、例えば、導電性材料を含有する導電性ペーストを調製する工程を備えることができる。
また、導電性ペーストは、上記導電性材料を含有する限り、その調製方法、粘度、塗布方法等は特に問わない。この導電性ペーストの粘度によって、多孔質集電体への滲入厚さを調節することができる。また、生産効率の観点から、導電性ペーストがスクリーン印刷により塗布されることが好ましい。さらに、熱処理温度は、導電性ペーストに含有される導電性材料に適した温度である限り、特に問わない。
【0019】
また、本形態1に係る燃料電池の製造方法として、例えば、多孔質集電体とセル間セパレータとを導電性材料を含有するろう材でろう付けするものを挙げることができる。この製造方法であっても、導電性材料が多孔質集電体の空隙に侵入している燃料電池を製造することができる。このろう材としては、特に、平板型SOFCスタックの動作温度を650〜900℃と想定した場合、耐熱性、耐酸化性、耐食性等の観点からAgを主成分とするものが好ましい。また、Agを主成分とし、Pd、Ti等を含有するものがより好ましい。また、熱処理温度は、特に限定されないが、ろう材の固相点温度以上で、且つ液相点温度を50℃越える温度以下とすることが好ましい。さらに、熱処理雰囲気は、不活性雰囲気であれば特に限定されず、真空、及びアルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気とすることができる。接合強度を向上できるとの観点から、真空雰囲気であることが好ましい。この真空の程度は10Pa以下、特に1×10−2〜1Paとすることが好ましい。
尚、平板型SOFCスタックでは、多孔質集電体とセル間セパレータの他、同様にAgを含有するろう材等により気密にシールする必要のある部分が多くあり、これらの接合操作の際に同時にろう付けすることができる。従って、多孔質集電体とセル間セパレータとをろう付けしても、平板型SOFCスタック製造のための操作、工程の増加は僅かである。
【0020】
(形態2(参考形態)
<固体電解質型燃料電池>
本形態2に係る固体電解質型燃料電池は、複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層され、形成されている。この燃料電池において各々の単セルは発電層を備え、それぞれの発電層は、固体電解質層と、この固体電解質層の一面に設けられた燃料極と、他面に設けられた空気極とを有する。また、この燃料電池は、燃料極と燃料極側のセル間セパレータとの間に後述する燃料極側多孔質集電体を備える。
尚、上記「セル間セパレータ」、「固体電解質層」、「空気極」、及び「燃料極」としては、例えば、上述の形態1と同じ構成のものを用いることができる。
【0021】
上記「燃料極側多孔質集電体」は、燃料ガスを透過させ得る限り、その構造、材料、形状等は特に問わない。この燃料極側多孔質集電体としては、例えば、金属発泡体、金属フェルト、金属メッシュ等を挙げることができる。また、この多孔質集電体は、1種の金属のみからなっていてもよく、2種以上の金属からなる合金であっていてもよい。また、形態1の空気極側多孔質集電体と同様にして、この燃料極側多孔質集電体は、通常、一面で電極と接触し、他面でセル間セパレータと接触しており、このセル間セパレータとの接触する面の少なくとも一部に後述する導電性材料が介在している。さらに、この多孔質集電体の少なくとも一部に電極を構成する元素と同じ元素が含まれていることが好ましい。
上記「導電性材料」は、セル間セパレータと多孔質集電体との間に介在し、セル間セパレータ及び多孔質集電体の間から電極側に向って多孔質集電体の空隙に少なくとも一部で滲入している限り、滲入厚さ等は特に問わない。この導電性材料としては、燃料電池の運転環境下において化学的に安定しているといった観点から、白金、金、銀、ニッケル、銅、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とする。特に、コスト面、化学的安定性等の観点から、ニッケル又は銅を主成分とするものが好ましい。
ここで、上記「主成分とする」とは、導電性材料を100質量%とした場合に、主成分となる金属の合計が50質量%以上であることを意味し、その主成分は70〜98質量%、特に90〜98質量%、更には93〜97質量%含有されていることが特に好ましい。
尚、上記導電性材料の滲入厚さ、抵抗変化率等は、例えば、上述の形態1と同じ構成とすることができる。
【0022】
<燃料電池の製造方法>
本形態2に係る燃料電池の製造方法は、導電性ペーストを燃料極側の多孔質集電体及びセル間セパレータのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、その塗布面を介して燃料極側の多孔質集電体とセル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備える。この燃料電池の製造方法は、例えば、導電性材料を含有する導電性ペーストを調製する工程を備えることができる。
尚、上記「導電性ペースト」としては、例えば、上述の形態1と同じ構成のものを用いることができる。
【0023】
(形態3(実施形態)
<固体電解質型燃料電池>
本形態3に係る固体電解質型燃料電池は、複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層され、形成されている。この燃料電池において各々の単セルは発電層を備え、それぞれの発電層は、固体電解質層と、この固体電解質層の一面に設けられた燃料極と、他面に設けられた空気極とを有する。この空気極と空気極側のセル間セパレータとは直接的に接触されている。即ち、本形態3では、空気極とセル間セパレータとの間には、上述の形態1における多孔質集電体が介在されていない。
【0024】
上記「セル間セパレータ」は金属からなり、特に、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金により形成される。尚、セル間セパレータの上面に更に他の単セルが積層されない場合は、蓋部材として機能し、セル間セパレータの下面に更に他の単セルが積層されない場合は底部材として機能する。更に、平板型SOFCスタックの構造によっては、燃料ガス又は支燃性ガスの流路が形成されたセル間セパレータが用いられることもある。
【0025】
上記「固体電解質層」はScにより安定化されたジルコニア(ScSZ)等により形成することができる。この固体電解質層は、電池の動作時に燃料極に導入される燃料ガス又は空気極に導入される支燃性ガスのうち一方の少なくとも一部をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。どのようなイオンを伝導することができるかは特に限定されないが、イオンとしては、例えば、酸素イオン及び水素イオン等が挙げられる。
【0026】
上記「燃料極」は、水素源となる燃料ガスと接触して、平板型SOFCスタックにおける負電極として機能し得る限り、その構造、材料、形状等は特に問わない。
上記「空気極」は、酸素源となる支燃性ガスと接触して、平板型SOFCスタックにおける正電極として機能し得る限り、その構造、材料、形状等は特に問わない。この空気極は、支燃性ガスを透過させ得る多孔質空気極である。この多孔質空気極は、通常、一面で固体電解質体と接触し、他面でセル間セパレータと接触している。そして、この電極とセル間セパレータとの接触する面の少なくとも一部に後述する導電性材料が介在している。また、この電極としては、例えば、導電性セラミック多孔体、金属発泡体、金属フェルト、金属メッシュ等を挙げることができる。また、この電極は、例えば、La1−xSrMnO系複合酸化物等により形成することができる。また、この電極は、1種の材料のみからなっていてもよく、2種以上の材料からなっていてもよい。また、異なる材料からなるブロックの集合体(例えば、積層体等)であってもよいが、その場合は各々のブロック間に後述する導電性材料を介在させて接触抵抗を低下させることが好ましい。
【0027】
上記「導電性材料」は、電極とセル間セパレータとの間に介在し、且つ、電極及びセル間セパレータの間から固体電解質体側に向って電極の空隙に滲入している限り、その材質、滲入厚さ等は特に問わない。この導電性材料としては、燃料電池の運転環境下において化学的に安定しているといった観点から、白金、金、銀、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とするものが好ましい。特に、コスト面、化学的安定性等の観点から、銀を主成分とするものが好ましい。
ここで、上記「主成分とする」とは、導電性材料を100質量%とした場合に、主成分となる金属の合計が50質量%以上であることを意味し、その主成分は70〜98質量%、特に90〜98質量%、更には93〜97質量%含有されていることが特に好ましい。
【0028】
また、導電性材料の滲入厚さは、例えば、電極の厚さ方向に少なくとも一部で1〜200μmであることが好ましい。1μm以上であると、接触抵抗をより大きく低減でき、特に、熱サイクルをかけた場合の性能低下を抑制できる。200μm以下であると、電極の良好なガス通気性が損なわれることがない。より効率良く接触抵抗を低減できると共により良好なガス通気性を発揮できるといった観点から、導電性材料の滲入厚さは、3〜100μm、特に5〜50μmであることが好ましい。
上記「1〜200μm滲入している」とは、滲入深さの最大値及び最小値の差が平均滲入深さに対し±20%の範囲で一様な深さで滲入していることが好ましいが、滲入していない欠陥箇所があっても性能には殆ど影響がない。
【0029】
また、空気極側のセル間セパレータの抵抗、多孔質空気極の抵抗、及びそれらの接触抵抗からなる総抵抗は、熱サイクルをかけた後の抵抗変化率が30%未満、更に20%未満、特に10%未満であることが好ましい。
【0030】
<燃料電池の製造方法>
本形態3に係る燃料電池の製造方法は、導電性ペーストを多孔質空気極と空気極側のセル間セパレータとのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、その塗布面を介して多孔質空気極と空気極側のセル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備える。この燃料電池の製造方法は、例えば、導電性材料を含有する導電性ペーストを調製する工程を備えることができる。
また、導電性ペーストは、上記導電性材料を含有する限り、その調製方法、粘度、塗布方法等は特に問わない。この導電性ペーストの粘度によって、多孔質電極への滲入厚さを調節することができる。また、生産効率の観点から、導電性ペーストがスクリーン印刷により塗布されることが好ましい。さらに、熱処理温度は、導電性ペーストに含有される導電性材料に適した温度である限り、特に問わない。
【0031】
また、本形態3に係る燃料電池の製造方法として、例えば、多孔質空気極とセル間セパレータとを導電性材料を含有するろう材でろう付けするものを挙げることができる。この製造方法であっても、導電性材料が電極の空隙に侵入している燃料電池を製造することができる。このろう材としては、特に、平板型SOFCスタックの動作温度を650〜900℃と想定した場合、耐熱性、耐酸化性、耐食性等の観点からAgを主成分とするものが好ましい。また、Agを主成分とし、Pd、Ti等を含有するものがより好ましい。また、熱処理温度は、特に限定されないが、ろう材の固相点温度以上で、且つ液相点温度を50℃越える温度以下とすることが好ましい。さらに、熱処理雰囲気は、不活性雰囲気であれば特に限定されず、真空、及びアルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気とすることができる。接合強度を向上できるとの観点から、真空雰囲気であることが好ましい。この真空の程度は10Pa以下、特に1×10−2〜1Paとすることが好ましい。
尚、平板型SOFCスタックでは、電極とセル間セパレータの他、同様にAgを含有するろう材等により気密にシールする必要のある部分が多くあり、これらの接合操作の際に同時にろう付けすることができる。従って、電極とセル間セパレータとをろう付けしても、平板型SOFCスタック製造のための操作、工程の増加は僅かである。
【0032】
(形態4(実施形態)
<固体電解質型燃料電池>
本形態4に係る固体電解質型燃料電池は、複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層され、形成されている。この燃料電池において各々の単セルは発電層を備え、それぞれの発電層は、固体電解質層と、この固体電解質層の一面に設けられた燃料極と、他面に設けられた空気極とを有する。この燃料極と燃料極側のセル間セパレータとは直接的に接触されている。即ち、本形態4では、燃料極とセル間セパレータとの間には、上述の形態2における多孔質集電体が介在されていない。
尚、上記「セル間セパレータ」及び「固体電解質層」としては、例えば、上述の形態3と同じ構成のものを用いることができる。
【0033】
上記「燃料極」は、燃料ガスを透過させ得る多孔質燃料極である。この多孔質燃料極は、通常、一面で固体電解質体と接触し、他面でセル間セパレータと接触している。そして、この電極とセル間セパレータとの接触する面の少なくとも一部に後述する導電性材料が介在している。また、この電極は、1種の材料のみからなっていてもよく、2種以上の材料からなっていてもよい。また、この電極は、例えば、Ni及びScSZ等により形成することができる。
上記「空気極」は、酸素源となる支燃性ガスと接触して、平板型SOFCスタックにおける正電極として機能し得る限り、その構造、材料、形状等は特に問わない。
【0034】
上記「導電性材料」は、電極とセル間セパレータとの間に介在し、且つ、電極及びセル間セパレータの間から固体電解質体側に向って電極の空隙に滲入している限り、その材質、滲入厚さ等は特に問わない。この導電性材料としては、燃料電池の運転環境下において化学的に安定しているといった観点から、白金、金、銀、ニッケル、銅、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とするものが好ましい。特に、コスト面、化学的安定性等の観点から、ニッケル又は銅を主成分とするものが好ましい。
ここで、上記「主成分とする」とは、導電性材料を100質量%とした場合に、主成分となる金属の合計が50質量%以上であることを意味し、その主成分は70〜98質量%、特に90〜98質量%、更には93〜97質量%含有されていることが特に好ましい。
尚、導電性材料の滲入厚さ、抵抗変化率等は、上述の形態3と同じ構成とすることができる。
<燃料電池の製造方法>
本形態4に係る燃料電池の製造方法は、導電性ペーストを多孔質燃料極と燃料極側のセル間セパレータとのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、その塗布面を介して多孔質燃料極と燃料極側のセル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備える。この燃料電池の製造方法は、例えば、導電性材料を含有する導電性ペーストを調製する工程を備えることができる。
尚、上記「導電性ペースト」としては、例えば、上述の形態3と同じ構成のものを用いることができる。
【0035】
ここで、上述の形態1と形態2とを組み合わせて、燃料電池が空気極側及び燃料極側の多孔質集電体を備え、それぞれの多孔質集電体に導電性材料が滲入しているように構成することができる(図4参照。)。また、上述の形態3と形態4とを組み合わせて、燃料電池が多孔質空気極及び多孔質燃料極を備え、それぞれの多孔質電極に導電性材料が滲入しているように構成することができる(図5参照。)。さらに、上述の形態1と形態4とを組み合わせたり、上述の形態3と形態2とを組み合わせたりしてもよい。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実験例1〜9及び比較実験例1及び2
下記(1)の試片を使用し、実験例の場合は、下記(2)のようにしてSUS製円板と▲1▼〜▲4▼の円板との界面に導電性材料を介在させて熱処理し、図6のような試験体を作製して下記(3)のようにして総抵抗を測定した。
(1)試片
試片としては、平板型SOFCスタックにおいて、セル間セパレータ等として使用されるSUS430からなる直径20mm、厚さ0.3mmのSUS製円板(s1)と、多孔質集電体として用いられる▲1▼ニッケル発泡体、▲2▼Ni−YSZサーメット(気孔率40%)、▲3▼銅フェルト、▲4▼La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(後記の表1では「LSCF」と表記する。)多孔体(気孔率40%)のいずれかからなる直径15mm、厚さ1mmの円板(s2)とを使用した。
【0037】
(2)試料の作成
(実験例1〜8)
SUS製円板(s1)と、上記▲1▼〜▲4▼の円板(s2)とを、それぞれに最適と考えられる導電性材料(▲1▼▲2▼にはニッケル、▲3▼には銅、▲4▼には銀)を用いて接続した。具体的には、導電性材料を溶剤を用いてペースト化し、その導電性ペーストをSUS製円板(s1)にスクリーン印刷した後、導電性ペーストが乾燥しない段階でその印刷面に円板(s2)を接触させ、それぞれの導電性材料に最適な温度にて熱処理を行って積層体を形成した。円板(s2)への導電性材料の滲入厚さ(深さ)の調節は導電性ペーストの粘度を調節することで行った。
(実験例9)
SUS製円板(s1)と、上記▲4▼の円板(s2)とを、95質量%のAgと5質量%のPdとからなり、直径15mm、厚さ50μmのろう材シートを介在させて積層した。その後、真空雰囲気に導入して、熱処理(1050℃で30分)によりろう付けし、SUS製円板と集電体材料からなる円板とが接合部を介して接合されてなる積層体を形成した。昇降温速度はいずれも500℃/時間とした。
【0038】
(3)総抵抗の評価
外径15mm、長さ500mmのアルミナ管(a)の先端にPt網(p)を被せたものを2本用意し、そのうちの1本をPt網を被せた側を上方として垂直に立て、先端のPt網上に、実験例1〜9では(2)で形成した積層体をSUS製円盤(s1)を下にして載置した。また、比較実験例1及び2では(1)におけるSUS製円板(s1)を載せ、更にこのSUS製円板(s1)上に(1)における▲1▼及び▲4▼の円板(s2)を載置した。
その後、円板(s2)上に他のアルミナ管をPt網が試料と接触するようにして立設させ、試験体(e)を作製した。次いで、表1に示す雰囲気下(水素雰囲気は燃料極側雰囲気、空気は空気極側雰囲気を想定)で、700℃でSUS製円板(s1)から円板(s2)へと通電し(電流500mA)、その際の電圧変化により、SUS製円板(s1)の抵抗、▲1▼〜▲4▼の円板(s2)の抵抗及びこれらの接触抵抗からなる総抵抗を測定した。この総抵抗を、700℃の温度に1時間保持した後、及び700℃と室温との間で昇降温速度10℃/分の熱サイクルを10回行った後に測定し、経時後の抵抗変化により接触状態の安定性も併せて評価した。結果を表1に示す。
なお、表1に示す導電性材料の滲入厚さは、測定後の試料をそのまま樹脂埋めして、適当な断面が見られるよう切断し鏡面研磨後、電子走査型顕微鏡にて導電性材料▲1▼〜▲4▼の円板への滲入厚さ(入り込んでいる深さ)を確認した。
【0039】
【表1】
Figure 0004279584
【0040】
表1の結果によれば、燃料極側では、導電性材料を介在させた実験例1〜5の総抵抗は、接触のみの比較実験例1の総抵抗より低いことが分かる。また、空気極側では、導電性材料を介在させた実験例6〜9の総抵抗は、接触のみの比較実験例2の総抵抗より非常に低いことが分かる。また、導電性材料の滲入厚さが1μm以下である実験例1及び6では、10回の熱サイクルによって総抵抗が増加してしまうことが分かる。また、多孔質集電体として、ニッケル発泡体、Ni−YSZサーメット、銅フェルト、LSCF多孔体などのどのようなタイプのものでも、導電性材料の滲入効果があることが分かる。さらに、ろう付け接合された実験例9でも、導電性ペーストの界面導入である実験例6〜8と同様にして、接触のみの比較実験例2に比べて、総抵抗が非常に低いことが確認できる。
【0041】
参考例1(積層された3個の単セルを有し、燃料極を基板とする内部マニホールド型の平板型SOFCスタック)
(1)構造
<1>発電層及び各種セパレータ
3個の発電層等が積層された平板型SOFCスタック100の外観を図1に斜視図により示す。また、図2は、図1におけるA−A断面の模式図であり、図3は、図1におけるB−B断面の模式図である。
この平板型SOFCスタック100では、3個の単セルがセル間セパレータ211、212を介して積層されている。各々の単セルが備える発電層は、それぞれNiとScSZとからなり、平面形状が正方形であり、厚さが1000μmの燃料極12を基板としている。この燃料極12の表面にはそれぞれScSZからなり、平面方向の形状、寸法が燃料極12と同じであり、厚さが30μmの固体電解質層11が形成されている。更に、この固体電解質層11の表面にはそれぞれLa1−xSrMnOからなり、平面方向の形状が固体電解質層11と同じであり、寸法が固体電解質層11より小さく、厚さが30μmの空気極13が形成されている。
【0042】
上部単セルは、セル間セパレータ211の上面に配設されたニッケル発泡体からなる燃料極側の多孔質集電体4(以下、単に集電体4とも略記する。)、基板となる燃料極12、固体電解質層11、空気極13、La0.8Sr0.2MnO多孔体(気孔率40%)からなる空気極側の多孔質集電体5(以下、単に集電体5とも略記する。)及び蓋部材22をこの順に備える。この集電体4は、その平面形状が正方形であり、厚さ500μmである。また、集電体5は、その平面形状が正方形であり、厚さが1500μmである。また、このセル間セパレータ211には、製造過程において、ニッケルを含有する導電性ペーストがスクリーン印刷され、その印刷面に集電体4を接触させた状態で熱処理される。その結果、図4に示すように、この集電体4とセル間セパレータ211との界面全域にはニッケルからなる導電性材料Bが介在している。そして、この導電性材料Bが集電体4の空隙に30μmの一様な滲入厚さで滲入している。また、蓋部材22には、銀を含有する導電性ペーストがスクリーン印刷され、その印刷面に集電体5を接触させた状態で熱処理される。その結果、図4に示すように、この集電体5と蓋部材22との界面全域には銀からなる導電性材料Aが介在している。そして、この導電性材料Aが集電体5の空隙に10μmの一様な浸入厚さで滲入している。また、上部単セルでは、固体電解質層11の上面が上部単セル用隔離セパレータ23と接合され、上部単セル用隔離セパレータ23の上面が絶縁性セラミックであるMgO−MgAl焼結体からなる枠体7及び金属製枠体81を介して蓋部材22と接合されている。
【0043】
中間部単セルは、セル間セパレータ212の上面に配設された集電体4、燃料極12、固体電解質層11、空気極13及び集電体5をこの順に備える。この集電体4とセル間セパレータ212との界面全域には、上部単セルと同様にして、ニッケルからなる導電性材料が介在し、この導電性材料が集電体4の空隙に所定の厚さ(30μm)で滲入している。また、集電体5とセル間セパレータ211との界面全域には、上部単セルと同様にして、銀からなる導電性材料が介在し、この導電性材料が集電体5の空隙に所定の厚さ(10μm)で滲入している。また、中間部単セルでは、固体電解質層11の上面が中間部単セル用隔離セパレータ24と接合され、中間部単セル用隔離セパレータ24の上面が絶縁性セラミックであるMgO−MgAl焼結体からなる枠体7及び金属製枠体83を介してセル間セパレータ211と接合されている。
【0044】
下部単セルは、底部材26の上面に配設された集電体4、燃料極12、固体電解質層11、空気極13及び集電体5をこの順に備える。この集電体4と底部材26との界面全域には、上部単セル及び中間部単セルと同様にして、ニッケルからなる導電性材料が介在し、この導電性材料が集電体4の空隙に所定の厚さ(30μm)で滲入している。また、集電体5とセル間セパレータ212との界面全域には、上部単セル及び中間部単セルと同様にして、銀からなる導電性材料が介在し、この導電性材料が集電体5の空隙に所定の厚さ(10μm)で滲入している。また、下部単セルでは、固体電解質層11の上面が下部単セル用隔離セパレータ25と接合され、下部単セル用隔離セパレータ25の上面が枠体7及び金属製枠体85を介してセル間セパレータ212と接合されている。
【0045】
セル間セパレータ211、212、蓋部材22、上部単セル用隔離セパレータ23、中間単セル用隔離セパレータ24、下部単セル用隔離セパレータ25、底部材26、金属製枠体81、82、83、84、85、86は、いずれもSUS430により形成されている。更に、蓋部材22と金属製枠体81、金属製枠体81と枠体7、枠体7と上部単セル用隔離セパレータ23、上部単セル用隔離セパレータ23と金属製枠体82、金属製枠体82とセル間セパレータ211、セル間セパレータ211と金属製枠体83、金属製枠体83と枠体7、枠体7と中間単セル用隔離セパレータ24、中間単セル用隔離セパレータ24と金属製枠体84、金属製枠体84とセル間セパレータ212、セル間セパレータ212と金属製枠体85、金属製枠体85と枠体7、枠体7と下部単セル用隔離セパレータ25、下部単セル用隔離セパレータ25と金属製枠体86、及び金属製枠体86と底部材26、はそれぞれAg、Pd及び少量のTiを含有する接合材により接合され、接合層10が形成されている。
【0046】
<2>燃料ガス導入管又は排出管、及び支燃性ガス導入管又は排出管
上部単セルにおいて、上部単セル用隔離セパレータ23とセル間セパレータ211との間に形成された空間には、上部単セルの燃料極12に燃料ガスを導入するための燃料ガス導入管91が開口している(図2参照)。また、この空間の燃料ガス導入管91の開口部と対向する側には、上部単セルの燃料極12から燃料ガスを排出するための燃料ガス排出管92が開口している(図2参照)。更に、蓋部材22と上部単セル用隔離セパレータ23との間に形成された空間には、上部単セルの空気極13に支燃性ガスを導入するための支燃性ガス導入管93が開口している(図3参照)。また、この空間の支燃性ガス導入管93の開口部と対向する側には、上部単セルの空気極13から支燃性ガスを排出するための支燃性ガス排出管94が開口している(図3参照)。
【0047】
また、中間部単セルにおいて、中間部単セル用隔離セパレータ24とセル間セパレータ212との間に形成された空間には、中間部単セルの燃料極12に燃料ガスを導入するための燃料ガス導入管91が開口している(図2参照)。更に、この空間の燃料ガス導入管91の開口部と対向する側には、中間部単セルの燃料極12から燃料ガスを排出するための燃料ガス排出管92が開口している(図2参照)。また、セル間セパレータ211と中間部単セル用隔離セパレータ24との間に形成された空間には、中間部単セルの空気極13に支燃性ガスを導入するための支燃性ガス導入管93が開口している(図3参照)。更に、この空間の支燃性ガス導入管93の開口部と対向する側には、中間部単セルの空気極13から支燃性ガスを排出するための支燃性ガス排出管94が開口している(図3参照)。
【0048】
更に、下部単セルにおいて、下部単セル用隔離セパレータ25と底部材26との間に形成された空間には、下部単セルの燃料極12に燃料ガスを導入するための燃料ガス導入管91が開口している(図2参照)。また、この空間の燃料ガス導入管91の開口部と対向する側には、下部単セルの燃料極12から燃料ガスを排出するための燃料ガス排出管92が開口している(図2参照)。更に、セル間セパレータ212と下部単セル用隔離セパレータ25との間に形成された空間には、下部単セルの空気極13に支燃性ガスを導入するための支燃性ガス導入管93が開口している(図3参照)。また、この空間の支燃性ガス導入管93の開口部と対向する側には、下部単セルの空気極13から支燃性ガスを排出するための支燃性ガス排出管94が開口している(図3参照)。
【0049】
また、上部単セル、中間部単セル及び下部単セルの各々に燃料ガス又は支燃性ガスを導入し、又は排出するためのそれぞれの管は、本管に側管が取り付けられた構造であり、上部単セル、中間部単セル及び下部単セルの各々の発電層に燃料ガス及び支燃性ガスが同時に導入され、且つ排出される。更に、燃料ガス導入管と燃料ガス排出管、及び支燃性ガス導入管と支燃性ガス排出管は、この参考例1の場合は、燃料ガス及び支燃性ガスがそれぞれ対向方向に流通するような位置に取り付けられている。これにより、上部単セル、中間部単セル及び下部単セルのそれぞれの発電層の各々の燃料極と燃料ガス、及び空気極と支燃性ガスをそれぞれ効率よく接触させることができる。
【0050】
(2)燃料電池からの電力の取り出し
この平板型SOFCスタック100では、上部単セルの燃料極12は、集電体4を介してセル間セパレータ211と電気的に接続されている。また、セル間セパレータ211は、集電体5を介して中間部単セルの空気極13と電気的に接続されている。更に、中間部単セルの燃料極12は、集電体4を介してセル間セパレータ212と電気的に接続されている。また、セル間セパレータ212は、集電体5を介して下部単セルの空気極13と電気的に接続されている。このように上部単セル、中間部単セル及び下部単セルは各々直列に接続されている。また、スタックを所定の動作温度に昇温させ、燃料ガス導入管91に水素等の燃料ガスを導入して燃料極12と接触させ、支燃性ガス導入管93に空気等の支燃性ガスを導入して空気極13と接触させることにより、燃料極12と空気極13との間に起電力が生じ、この電力を外部に取り出すことにより発電装置として機能させることができる。
【0051】
電力は、燃料極側においては下部単セルの発電層の下面に配設された集電体4を介して底部材26に取り出され、空気極側においては上部単セルの発電層の上面に配設された集電体5を介して蓋部材22に取り出され、蓋部材22と底部材26との間でスタック全体の電力を取り出すことができる。この平板型SOFCスタック100では、3個の発電層がそれぞれ燃料極支持型であり、この構造の場合、600℃程度の動作温度でも電流を取り出すことができ、蓋部材、各種セパレータ、金属製枠体及び底部材を、セラミックではなくSUS430等のステンレス鋼により形成することができるものである。
【0052】
(3)燃料ガス及び支燃性ガス
参考例1の固体電解質型燃料電池を用いて発電させる場合、燃料極側には燃料ガスを導入し、空気極側には支燃性ガスを導入する。燃料ガスとしては、水素、水素源となる炭化水素、水素と炭化水素との混合ガス、及びこれらのガスを所定温度の水中を通過させ加湿した燃料ガス、これらのガスに水蒸気を混合させた燃料ガス等が挙げられる。炭化水素は特に限定されず、例えば、天然ガス、ナフサ、石炭ガス化ガス等が挙げられる。更に、メタン、エタン、プロパン、ブタン及びペンタン等の炭素数が1〜10、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜4の飽和炭化水素、並びにエチレン及びプロピレン等の不飽和炭化水素を主成分とするものが好ましく、飽和炭化水素を主成分とするものが更に好ましい。これらの燃料ガスは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、50体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスを含有していてもよい。
【0053】
支燃性ガスとしては、酸素と他の気体との混合ガス等が挙げられる。また、この混合ガスには80体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスが含有されていてもよい。これらの支燃性ガスのうちでは安全であって、且つ安価であるため空気(約80体積%の窒素が含まれている。)が好ましい。
【0054】
尚、上記の参考例に限られず、目的、用途等によって種々変更した参考例とすることができる。例えば、蓋部材、各種セパレータ、底部材を形成するステンレス鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。フェライト系ステンレス鋼としては、SUS430以外に、SUS434、SUS405等が挙げられる。マルテンサイト系ステンレス鋼としては、SUS403、SUS410、SUS431等が挙げられる。オーステナイト系ステンレス鋼としては、SUS201、SUS301、SUS305等が挙げられる。更に、ニッケル基合金としては、インコネル600、インコネル718、インコロイ802等が挙げられる。クロム基合金としては、Ducrlloy CRF(94Cr5Fe1Y)等が挙げられる。これらの各種の耐熱合金は、それぞれ積層体の用途等によって選択することができる。
【0055】
発電層等の平面形状は、長方形、円形及び楕円形等とすることができ、同様の平面形状を有する固体電解質型燃料電池とすることができる。また、平板型SOFCスタックでは、各種セパレータ等の金属成形体の間は溶接などの方法によっても接合することができる。しかし、参考例1の内部マニホールド型のスタックにおけるセパレータの周縁の貫通孔の内部は溶接では接合することができない。この場合、Agを含有する導電性ペースト又は特定のろう材を使用すれば、展延性に優れるAgによって貫通孔の周縁を十分に気密に密着させることができる。
【0056】
更に、固体電解質層の形成に用いる材料はScSZに限定されず、平板型SOFCスタックの使用条件等により適宜選択することができる。この材料としては、例えば、ZrO系セラミック、LaGaO系セラミック、BaCeO系セラミック、SrCeO系セラミック、SrZrO系セラミック及びCaZrO系セラミック等が挙げられる。これらのセラミック系材料のうちでは、ZrO系セラミックが好ましく、Y及び希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたZrO系セラミックが好ましい。これらの安定化ジルコニアもScSZと同様に優れたイオン伝導性及び機械的強度を有する。
尚、この固体電解質層の厚さは電気抵抗と強度とを勘案し、5〜100μm、特に5〜50μm、更には5〜30μmとすることができる。
【0057】
また、燃料極の形成に用いる材料もNi及びScSZに限定されず、平板型SOFCスタックの使用条件等により適宜選択することができる。この材料としては、例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni及びFe等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。また、これらの金属及び/又は合金と、Y及び希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のジルコニア系セラミック、セリア系セラミック及び酸化マンガン等のセラミックとの混合物(サーメットを含む。)が挙げられる。更に、Ni及びFe等の金属の酸化物と、上記セラミックのうちの少なくとも1種との混合物などが挙げられる。
また、燃料極の平面形状は特に限定されないが、固体電解質層及び空気極と同じ形状であることが好ましい。更に、燃料極と固体電解質層とは各々の全面で積層されていることが好ましい。
【0058】
また、燃料極側の多孔質集電体の形成に用いる材料はNiに限定されず、平板型SOFCスタックの使用条件等により適宜選択することができる。この材料としては、例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni及びFe等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。これらの金属又は合金の発泡体、フェルト、メッシュ等により燃料極側の多孔質集電体を構成できる。また、これらの金属及び/又は合金と、Y及び希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のジルコニア系セラミック、セリア系セラミック及び酸化マンガン等のセラミックとの混合物(サーメットを含む。)が挙げられる。更に、Ni及びFe等の金属の酸化物と、上記セラミックのうちの少なくとも1種との混合物などが挙げられる。これらのセラミック又は混合物の多孔体により燃料極側の多孔質集電体を構成できる。
また、燃料極側の多孔質集電体の平面形状は特に限定されないが、固体電解質層及び燃料極と同じ形状であることが好ましい。更に、燃料極と多孔質集電体とは各々の全面で積層されていることが好ましい。
【0059】
固体電解質型燃料電池において、各々の単セルが有する発電層は、強度の観点から過度に薄くすることは好ましくないが、発電性能の観点では前記のように固体電解質層を厚くすることは好ましくない。そのため、参考例1のように燃料極支持型とすることができ、この燃料極支持型では、燃料極は固体電解質層の20倍以上の厚さであることが好ましい。20倍未満であると発電層の機械的強度が不十分となる傾向にある。この燃料極の厚さは200〜3000μm、特に500〜2000μmであることが好ましい。200μm未満であると基板として有効に機能せず、3000μmを越えると、体積当たりの発電効率が低下する傾向にある。一方、空気極支持型とすることもでき、この場合は、燃料極の厚さは、10〜50μm、特に20〜40μmであることが好ましい。この厚さが10〜50μmであれば、電極として十分に機能し、50μmを越えて厚くする必要はない。
【0060】
また、空気極の形成に用いる材料はLa1−xSrMnO系複合酸化物に限定されず、平板型SOFCスタックの使用条件等により適宜選択することができる。この材料としては、例えば、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru及びRh等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。更に、La、Sr、Ce、Co及びMn等の酸化物(例えば、La、SrO、Ce、Co、MnO及びFeO等)が挙げられる。また、La、Sr、Ce、Co及びMn等のうちの少なくとも1種を含有する各種の複合酸化物(例えば、La1−xSrCoO系複合酸化物、La1−xSrFeO系複合酸化物、La1−xSrCo1−yFe系複合酸化物、Pr1−xBaCoO系複合酸化物及びSm1−xSrCoO系複合酸化物等)が挙げられる。
【0061】
また、この空気極の平面形状は特に限定されないが、固体電解質層及び燃料極と同じ形状であることが好ましい。更に、その平面方向の寸法は、特に、隔離セパレータが固体電解質層の一表面の周縁に接合されない場合等、燃料電池の構造によっては、固体電解質層及び燃料極と同じにすることもできる。これら空気極と固体電解質層とは各々の全面で積層されていることが好ましい。
【0062】
空気極は、発電層の強度を支持する基板として形成することもできる。空気極支持型である場合は、空気極の厚さは固体電解質層の20倍以上の厚さであることが好ましい。20倍未満であると発電層の機械的強度が不十分となる傾向にある。この空気極の厚さは200〜3000μm、特に500〜2000μmであることが好ましい。200μm未満であると基板として有効に機能せず、3000μmを越えると、体積当たりの発電効率が低下する傾向にある。一方、燃料極支持型である場合は、空気極の厚さは10〜100μm、特に20〜50μmであることが好ましい。10μm未満であると電極として十分に機能しないことがあり、100μmを越えると固体電解質層から剥離することがある。
【0063】
また、空気極側の多孔質集電体の形成に用いる材料はLa1−xSrMnO系複合酸化物に限定されず、平板型SOFCスタックの使用条件等により適宜選択することができる。この材料としては、例えば、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru及びRh等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。これらの金属又は合金の発泡体、フェルト、メッシュ等により空気極側の多孔質集電体を構成できる。更に、La、Sr、Ce、Co及びMn等の酸化物(例えば、La、SrO、Ce、Co、MnO及びFeO等)が挙げられる。また、La、Sr、Ce、Co及びMn等のうちの少なくとも1種を含有する各種の複合酸化物(例えば、La1−xSrCoO系複合酸化物、La1−xSrFeO系複合酸化物、La1−xSrCo1−yFe系複合酸化物、Pr1−xBaCoO系複合酸化物及びSm1−xSrCoO系複合酸化物等)が挙げられる。これらの酸化物又は複合酸化物の多孔体により空気極側の多孔質集電体を構成できる。
【0064】
また、燃料極側の多孔質集電体とセル間セパレータ(又は底部材)との間に介在される導電性材料は、Ni又はCuからなるものに限定されず、Pt、Au、Ag、Pd等のうちの少なくともいずれか一種を主成分とするものを用いることができる。また、密着性等が低下しない範囲で更に他の成分が含有されていてもよい。また、空気極側の多孔質集電体とセル間セパレータ(又は蓋部材)との間に介在される導電性材料には、Agからなるものに限定されず、Pt、Au、Pd等のうちの少なくともいずれか一種を主成分とするものを用いることができる。また、密着性等が低下しない範囲で更に他の成分が含有されていてもよい。
また、上記参考例では、導電性ペーストを用いて多孔質集電体とセル間セパレータとの間に導電性材料を介在させるようにしたが、これに限定されず、例えば、ろう材を用いたろう付けにより導電性材料を介在させるようにしてもよい。
また、上記参考例において、空気極及び燃料極と多孔質集電体との間に導電性材料を介在させ、その導電性材料が多孔質の空気極及び燃料極の空隙に滲入するように構成してもよい。
さらに、上記参考例では、空気極側及び燃料極側の多孔質集電体とセル間セパレータとの間に導電性材料を介在させるようにしたが、これに限定されず、例えば、空気極側の多孔質集電体とセル間セパレータとの間にのみ導電性材料を介在させるようにしてもよい。
【0065】
また、上記参考例では、集電体を備える燃料電池を例示したが、集電体を備えず、電極が直接的にセル間セパレータと接触する燃料電池を例示することもできる。この場合、例えば、図5に示すように、NiとScSZからなる多孔質燃料極12とセル間セパレータ211との界面全域にはNiからなる導電性材料Bが介在している。そして、この導電性材料Bが多孔質燃料極12の空隙に30μmの一様な滲入厚さで滲入している。また、La0.8Sr0.2MnOからなる多孔質空気極13と蓋部材22との界面全域にはAgからなる導電性材料Aが介在している。そして、この導電性材料Aが多孔質空気極13の空隙に10μmの一様な浸入厚さで滲入している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考発明の燃料電池の外観を示す斜視図である。
【図2】 図1の燃料電池のA−A断面を示す模式図である。
【図3】 図1の燃料電池のB−B断面を示す模式図である。
【図4】 多孔質集電体への導電性材料の滲入状態を模式的に示す説明図である。
【図5】 多孔質電極への導電性材料の滲入状態を模式的に示す説明図である。
【図6】 総抵抗の評価に用いた試験体を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
100;平板型SOFCスタック、11;固体電解質層、12;燃料極、13;空気極、211、212;セル間セパレータ、22;蓋部材、23;上部単セル用隔離セパレータ、231、232;貫通孔、24;中間単セル用隔離セパレータ、25;下部単セル用隔離セパレータ、26;底部材、251、252;貫通孔、31;燃料ガスの流路、32;支燃性ガスの流路、4;ニッケルフェルトからなる集電体、5;インコネル繊維メッシュからなる集電体、7;枠体、81、82、83、84、85、86;金属製枠体、91;燃料ガス導入管、92;燃料ガス排気管、93;支燃性ガス導入管、94;支燃性ガス排気管、10;接合層。

Claims (7)

  1. 複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層された構造を備える固体電解質型燃料電池において、各々の単セルは、固体電解質層、該固体電解質層の一面に設けられた燃料極、及び他面に設けられた空気極を有する発電層を備え、該空気極が多孔質空気極であり、該多孔質空気極と該セル間セパレータとの間に導電性材料が介在しており、該導電性材料が該多孔質空気極の空隙に少なくとも一部で滲入していることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 複数の単セルが金属製のセル間セパレータを介して積層された構造を備える固体電解質型燃料電池において、各々の単セルは、固体電解質層、該固体電解質層の一面に設けられた燃料極、及び他面に設けられた空気極を有する発電層を備え、該燃料極が多孔質燃料極であり、該多孔質燃料極と該セル間セパレータとの間に導電性材料が介在しており、該導電性材料が該多孔質燃料極の空隙に少なくとも一部で滲入していることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  3. 上記多孔質空気極と上記セル間セパレータとの間に介在する上記導電性材料が、白金、金、銀、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とする請求項記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 上記多孔質燃料極と上記セル間セパレータとの間に介在する上記導電性材料が、白金、金、銀、ニッケル、銅、及びパラジウムのうちの少なくとも一種を主成分とする請求項記載の固体電解質型燃料電池。
  5. 上記導電性材料が、上記多孔質空気極及び/又は上記多孔質燃料極の厚さ方向に少なくとも一部で1〜200μm滲入している請求項乃至のいずれか一項に記載の固体電解質型燃料電池。
  6. 請求項又はに記載の固体電解質型燃料電池の製造方法であって、導電性ペーストを上記多孔質空気極と上記セル間セパレータとのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、該導電性ペーストの塗布面を介して該多孔質空気極と該セル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備えることを特徴とする固体電解質型燃料電池の製造方法。
  7. 請求項又はに記載の固体電解質型燃料電池の製造方法であって、導電性ペーストを上記多孔質燃料極と上記セル間セパレータとのうちの少なくとも一方に塗布する工程と、該導電性ペーストの塗布面を介して該多孔質燃料極と該セル間セパレータとを接触させた状態で熱処理する工程と、を備えることを特徴とする固体電解質型燃料電池の製造方法。
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