JP4278864B2 - バッカチンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、バッカチン(baccatin)またはバッカチン誘導体の対応する10-デアセチル化合物の選択的アセチル化による製造方法、このアセチル化反応を触媒する単離された酵素、および該酵素の製造方法に関する。
【0002】
タキソールは、抗白血病活性および腫瘍阻害活性を有する、癌治療にとって有望な薬剤である(例えば、M.Suffnesら、「アルカロイド、化学と薬理学」、A. Brossi編、Academic Press:Orland, FL, 1985, Vol. XXV, Chapter 1参照)。元来、タキソールは特定のイチイの木(Taxus taxaceae)の樹皮から得られたものである。しかし、樹皮からのタキソールの単離は難しく、費用がかかる。また、所望のタキソールは樹皮からかなり低収量でしか得られない(40〜165 mg/kg)(例えば、R.W. Millerら、J. Org. Chem. 46 (1981) 1469-1474 ; V. Senilhら、J. Nat. Procl. 47 (1984) 131-137 ; N. Magriら、J. Org. Chem. 51(1986) 797-802参照)。さらに樹皮の使用により、再生が非常に遅いイチイは枯れてしまうため、出発原料の供給は限られている。
【0003】
癌に対する化学療法剤としての使用を奨励するタキソールの特性が発見されたことにより、該化合物を合成法または半合成法によって製造するための多数の努力がなされてきた。そういうわけで、タキソールの構造を有機合成によって製造する試みがなされてきた(例えば、W.F. Berkowitzら、J. Org. Chem. 52 (1987) 1119-1124 参照)。しかし、該分子が複雑なため、全有機合成によって、実用的な量のタキソールを製造することは今までのところできていない。
【0004】
タキソールを得るのに使用された別の経路として、大量を容易に入手できる前駆体から出発する部分合成がある。これらの経路の一つは、Taxus baccata Lの葉から大量にかつ容易に抽出可能な10-デアセチルバッカチン-IIIから出発する(G.Chauviereら、Seances Acad. Sci., Ser. 2, 1981, 293, 501-503)。この経路では、葉1kgあたり約1gの10-デアセチルバッカチンIIIを単離することができ、葉はすぐに再生する。従って、何の問題もなく大量の前駆体10-デアセチルバッカチンIIIを得ることができる。
【0005】
所望の活性化合物タキソールは、生物学的原料より得られたこの前駆体から、部分合成により製造できる。しかし、10-デアセチルバッカチンIIIとタキソールの構造は同程度に似通っているが、この部分合成には依然重大な困難が伴い、たいていの場合、特定の保護基を用いることによってのみうまく実施することができ、所望の産物であるタキソールはわずかな収量でしか得られないことが見出された。
【0006】
Denisら(J. Am. Chem. Soc. 110 (1988), 5917-5919)は、タキソールを2ステップで与える10-デアセチルバッカチンIIIの合成について記載する。第1ステップで、10-デアセチルバッカチンIIIの10位を化学的にアセチル化する。第2ステップで、バッカチンをタキソールに転換する。しかし、第1ステップが位置特異的でないため、10-デアセチルバッカチンのアセチル化は、特に7位においても起こってしまう。このため、7位の水酸基は保護基を用いてアセチル化からブロックする必要がある。この10位における限定したアセチル化は保護基を用いることのみにより達成できるだろう。しかし、保護基の使用はさらに2ステップ(保護基の導入および除去)のプロセスを伴い、これは一方では費用がかかり、他方では得られる産物の収量をかなり減少させる。保護基を使用する別の難点は、特に産物を製薬上活性な化合物として使用する場合、依然として保護基を有する分子が産物内に存在しないことを確認するために、複雑な精製プロセスおよび分析プロセスを引き続き実施しなければならない点にある。
【0007】
Zocherらは、タキソールの生合成について記載している(Bilchem. Biophys. Res. Commun., 229 (1996), 16-20)。ここでは、中間ステップにおいて、バッカチンIIIを与える10-デアセチルバッカチンIIIのアセチル化を、Taxus baccataの根からの粗製植物抽出物を用いて実施した。しかし、アセチル化した物質を単離して特性決定することはできなかった。粗製抽出物を使用することの欠点は、多くの他の反応、特に他の位置におけるアセチル化が、粗製抽出物内に存在する物質によっても導かれまた影響を受け得ることにある。さらに、粗製植物抽出物は明確かつ再現可能な組成を有しないため、粗製植物抽出物を使用すると、制御不可能な各種の反応が生じ収量も一定しない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、バッカチンおよびバッカチンに類似するバッカチン誘導体を、対応する10-デアセチル化合物の10位の選択的アセチル化によって製造する方法を提供することである。この反応を特異的に触媒する単離された物質を提供することもまた、本発明のさらなる目的である。
【0009】
本発明によると、10-デアセチルバッカチンまたは10-デアセチルバッカチン誘導体を単離された酵素およびアセチル基供与体の存在下において反応させることを特徴とする、バッカチンまたはバッカチン誘導体の製造方法によってこれらの目的が達成される。前記酵素は、70〜72kDの分子量(SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)によって測定)を有するアセチルトランスフェラーゼであり、該アセチルトランスフェラーゼはタキサス・キネンシス(Taxus chinensis)細胞培養物から得られる。10位における位置選択的アセチル化は、タキサス・キネンシス細胞培養物の懸濁液から得られる単離された酵素により触媒されることが見出された。驚いたことに、単離されかつ精製された酵素を用いて、10位のアセチル化に関して高い位置特異性を達成できることがわかった。この特異性は好ましくは>80%、より好ましくは>90%、最も好ましくは>95%である。本発明に従う酵素の使用により>99%の特異性が達成できることを見出した。本明細書中で>80%の特異性とは、アセチル化の80%以上が出発原料の10位で、20%以下が他の位置で起こったことを意味する。従って、出発原料に存在する他の水酸基は保護基でブロックする必要はない。なぜなら、本発明の酵素を用いれば、これらその他の水酸基のアセチル化は、生じたとしても非常に限られた程度にすぎないからである。
【0010】
驚いたことに、本発明で使用される酵素は、高い基質特異性を有することが判明した。従って、10-デアセチルバッカチンまたはC10位およびその近傍に10-デアセチルバッカチンIII様構造を有する10-デアセチルバッカチン誘導体のみが変換される。特に、10位への接近が大きな置換基によってブロックされているバッカチン誘導体、例えば10-デアセチルタキソールおよび10-デアセチル-セファロマンニンなどはアセチル化を受けない。従って、バッカチン誘導体が本発明の酵素に基質として認識されるための必須条件は、タキサン環構造を有するこれらの誘導体が10-デアセチルバッカチンIIIと7、8、9、10、11、12および13位で本質的に一致すること、すなわちこれらの位置において他のいかなる置換基をも有しないか、または小さな置換基のみを有することである。該方法は、好ましくは7〜13位に10-デアセチルバッカチンIIIと同じ置換基を有するか、少なくとも10-デアセチルバッカチンIIIの置換基よりも小さな置換基(特に水素)を有する、バッカチン誘導体に適している。他の位置の大きな置換基はこの反応を妨害しない。該方法は特に好ましくは10-デアセチルバッカチンIIIのアセチル化のために用いられる。さらに、該方法は特に好ましくは、14-ヒドロキシ-10-デアセチルバッカチンIIIの10位の選択的アセチル化に使用される。
【0011】
これに対して、7位の水酸基が大きな保護基によってブロックされている10-デアセチルバッカチンIII誘導体、例えば7-TES-10-DAB IIIまたは7-BOC-10-DAB IIIなどは、本発明の酵素に基質として認識されない。しかし、10位における位置選択的アセチル化が、他の位置に別の水酸基が存在していても起こるため、このようなブロッキングは必要ない。
【0012】
本発明の方法を使用して、7〜13位に10-デアセチルバッカチンIIIと同じ置換基を有するか、それより数少ないまたは小さい置換基を有するタキサン誘導体を10位で選択的にアセチル化することができる。10-デアセチルバッカチンIIIに存在する置換基(すなわち7位のOH、8位のCH3、9位の =O、10位のOH、12位のCH3および13位のOH)が存在するタキサン誘導体、または、該置換基がそれより小さいか若しくは同じ大きさの基(特に水素)によって置換されているようなタキサン誘導体を、本明細書中では用語10-デアセチルバッカチン誘導体に含めるものとし、10位にOH基を有するならば同様に位置特異的にアセチル化できる。このような誘導体の例には、10-デアセチルタクシウナニン(deacetyl taxuyunnanin)C、10,14-デアセチルタクシウナニンC、2,10,14-デアセチルタクシウナニンC、5,10,14-デアセチルタクシウナニンCおよび2,5,10,14-デアセチルタクシウナニンCがある。本発明の方法は、10-デアセチルバッカチンIIIからバッカチンIII、14-ヒドロキシ-10-デアセチルバッカチン IIIから14-ヒドロバッカチン III、または10-デアセチルタクシウナニン Cからタクシウナニン Cを製造するために用いることが好ましい。
【0013】
本発明の方法は、アセチル基供与体の存在下で実施する。好適なアセチル基供与体は原則として、10-デアセチル出発物質の触媒による変換中にアセチル基を供与する物質であればよい。該反応は、好ましくはアセチル基供与体であるアセチル補酵素Aの存在下で実施する。
【0014】
技術的観点から、本発明における単離された酵素の使用には、多くの有利な点がある。特に、転化率に関しておよび再現性に関して、単離された酵素を用いれば該反応を容易に制御できる。
【0015】
使用に適する酵素は、pH 5.4〜5.8の等電点、好ましくはpH 5.5〜5.7、特にpH 5.6の等電点を有する。さらに、本発明で使用する酵素は、アセチル補酵素Aに対して55〜65μM、好ましくは59〜63μM、特に61μMのミカエリス定数KMを有することを見出した。
【0016】
本発明はさらに、a)10-デアセチルバッカチンIIIを、アセチル基供与体(特に、アセチル補酵素A)の存在下で、10位で選択的にアセチル化すること、b)SDS-PAGEで測定して70〜72kDの分子量を有すること、およびc)タキサス・キネンシス(Taxus Chinensis)の細胞培養物から得られること、を特徴とする単離された酵素を提供する。
【0017】
本発明の酵素は、好ましくは>50%、特に>80%、より好ましくは>90%、最も好ましくは>95%の純度で存在する。本発明の酵素は、それが10-デアセチルバッカチンIIIを、アセチル基供与体(特に、アセチル補酵素A)の存在下で、10位で選択的にアセチル化するという事実によって区別される。これは特に、10-デアセチルバッカチンIIIの1、7および13位の他の水酸基のアセチル化が事実上観察されなかったことを示す。該アセチル化反応は特に、10位に対して>50%、好ましくは>80%、より好ましくは>90%、最も好ましくは>95%の選択性を有する。
【0018】
単離された酵素はさらにSDS-PAGEで測定して70〜72kDの分子量を有することによって特徴付けられる。分子量を測定するために0.3μgの均質なタンパク質を、変性させた10%濃度のSDSゲル中で、分子量がわかっているマーカータンパク質(Rainbow Marker)と平行してクロマトグラフにかけた。該タンパク質を銀染色によって可視化し、分子量をキャリブレーションタンパク質のRf値と本発明の酵素のRf値を比較することによって測定した。SDSゲル電気泳動で測定した分子量を、適当なゲル濾過カラムを用いたゲル濾過によって確かめた。ゲル濾過は、50mM tris、pH8.5、20mM 2-メルカプトエタノールで平衡化したbiosilect-SEC 250-5カラム(Biorad)を、FPLCユニット(Biologic Workstation, Biorad)中で用いて、流速0.2ml/minで行った。該カラムは、初めに分子量が既知のタンパク質を用いてキャリブレートした。次に、同一の条件下で、本発明のタンパク質50μgをカラムに通した。溶出液の250μl画分を回収し、溶出液の活性を下記のように測定した。分子量は、溶出時間を既知の標準品と比較することにより測定した。
【0019】
本発明の酵素は、タキサス・キネンシスの細胞培養物から単離できる。該酵素は、pH 5.4〜5.8、好ましくはpH 5.5〜5.7、特にpH 5.6の等電点を有する。さらに、使用した酵素で観察されたアセチル補酵素Aに対するミカエリス・メンテン定数KMは、55〜65μM、好ましくは59〜63μM、特に61μMであった。
【0020】
本発明の酵素はアセチルトランスフェラーゼ、特にアセチルCoA 10-ヒドロキシタキサン-O-アセチルトランスフェラーゼである。
【0021】
本発明はさらに、上記の酵素を調製する方法を提供する。該方法は、酵素含有源から公知の精製方法を用いて該酵素を単離し、精製後、10-デアセチルバッカチンまたは10-デアセチルバッカチン誘導体およびアセチル基供与体を加え、生じたアセチル化産物を検出することにより該酵素が存在する画分を決定することを特徴とする。
【0022】
使用する酵素含有源は、例えば、植物抽出物でもよい。使用する酵素含有源は、好ましくは細胞培養物、特に懸濁細胞培養物である。細胞培養物を使用すると、出発物質が大量に得られるため好都合である。酵素含有源として粗抽出物を使用することと比べて、細胞培養物を使用する場合は、大量の出発物質のおかげで酵素を高純度に精製できる。特に好ましいのは、タキサス・キネンシス起源の出発物質、例えばタキサス・キネンシス細胞培養物の使用である。
【0023】
出発物質から該酵素を精製するために、酵素またはタンパク質を単離するための公知の精製方法を用いることができる。好ましく使用される方法には、粗抽出物からの硫酸アンモニウム沈殿、あるいはクロマトグラフィーによる精製方法、例えばSephadex G-25カラムの使用、アニオン交換クロマトグラフィー(例えばDEAE-Sephacelを使用)、ゲル濾過(例えばUltrogel AcA44を使用)、アニオン交換クロマトグラフィー(例えばHighQを使用)、ヒドロキシアパタイトカラムによるクロマトグラフィー、色素アフィニティークロマトグラフィー(例えばHigh Trap Blueを使用)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(例えばフェニルセファロースを使用)および/または色素アフィニティークロマトグラフィー(例えばMimetic Green 1A6XLを使用)がある。精製は、HighQを用いたアニオン交換クロマトグラフィーを使用するステップを少なくとも1回含むことが好ましい。HighQカラムは、リガンドとして-N+(CH3)3基を有するアニオン交換体である。特にこの精製ステップにおいて、10位以外の位置でのアセチル化を触媒する物質が除去されることが見出された。
【0024】
本発明の方法においては、各画分の酵素活性を精製ステップのあとに測定し、どの画分に酵素が含まれているかを決定する。このため、画分または画分のアリコートを、10-デアセチルバッカチンまたは上述の10-デアセチルバッカチン誘導体およびアセチル基供与体と混合する。所望の酵素を含む画分中に、10位がアセチル化された産物を検出できる。この試験には、10-デアセチルバッカチンIIIまたは10-デアセチルタクシウナニンCを使用するのが好ましい。生じたアセチル化産物は、出発物質において適当なマーカー基を用いることにより検出できる。標識アセチル基供与体を用いるのが好ましい。このような標識アセチル基供与体は標識アセチル基を含有し、10位がアセチル化された産物を決定するために使用することができる。放射性標識アセチル基供与体の使用が好ましい。本明細書中で、適切な放射性マーカー基は13Cおよび14Cである。使用するアセチル基供与体は、特に好ましくはアセチル補酵素Aであり、特に[2-14C]-アセチル補酵素Aである。
【0025】
重同位体による標識を用いても、検出することが可能である。この場合には、反応産物を質量分析によって測定する。
【0026】
本発明の酵素を用いてバッカチンまたはバッカチン誘導体を生成する本発明の方法の使用により、10位が特異的にアセチル化されたバッカチンまたはタキサン化合物を生成できる。このような化合物はタキソールの部分合成のための出発物質として特に重要である。従って、本発明は、上記の方法によって生成されるバッカチンまたはバッカチン誘導体を公知の方法によって反応させてタキソールまたはタキソール誘導体を生成することを特徴とする、タキソールおよび/またはタキソール誘導体の生成方法をも提供する。タキソールまたはタキソール誘導体を与えるバッカチンまたはバッカチン誘導体の部分的変換は、先行技術として記載されており、本質的にバッカチン誘導体の13位の水酸基への好適な置換基の導入を伴うものである。そのため、この目的に適したバッカチン誘導体は、少なくとも13位にフリーのOH基を有する。
【0027】
タキソールまたはタキソール誘導体を与えるバッカチン誘導体の反応は特に、バッカチン誘導体の13位のOH基を適当な酸でエステル化することによって行う。このような方法は文献、例えば米国特許第4,814,470号(Colinら)、米国特許Re 34,277(Denisら)、EP 0,400,971 A2、米国特許第4,924,011号(Denisら)、米国特許第5,476,954号(Bourzatら)、およびDenisら、J. Am. Chem. Soc. 110(1988),5917-5919 に詳細が記載されている。
例として、バッカチンIIIとパクリタキセルの構造式を以下に示す:
Figure 0004278864
バッカチンIII
Figure 0004278864
パクリタキセル R1=COC6CH5; R2=CH3CO
【0028】
本発明は、以下の実施例によりさらに詳細を説明する。
【0029】
実施例1 タキサス・キネンシス細胞懸濁液の培養
使用したタキサス・キネンシス懸濁培養物は、ミュンヘン大学の製薬生物学研究所(The Institute for Pharmaceutical Biology of the University of Munich)のコレクションからのものである。そしてそれらはタキサス・キネンシスの木の針状葉に由来するものであった。この培養物を24℃、100rpmおよび1500 luxで14日間増殖させた。次に滅菌15mlピペットを用いて、細胞懸濁液150mlを250mlのB5+1培地に移した。
【0030】
B5+1培地の組成(Gamborg, Miller, Ojima:Experimental Reserch, 1968,50,pp.151-158にしたがって改変):
ナフチル酢酸 10μM
ベンジルアミノプリン 0.2μM
mg/l
NaH2PO4・H2O 150
CaCl2・2H2O 150
(NH4)2SO4 134
MgSO4・7H2O 250
KNO3 2500
FeSO4・7H2O 25.6
Na2EDTA・2H2O 34.27
KJ 0.75
MnSO4・H2O 10
H3BO3 3
ZnSO4・7H2O 3
Na2MoO4・2H2O 0.25
CuSO4・5H2O 0.25
CoCl2・6H2O 0.25
ニコチン酸 1
二塩化チアミン 10
塩酸ピリドキソール 1
メゾ-イノシトール 1000
D-(+)-スクロース 20,000
pH 5.6
NZ アミン 1000

【0031】
NZアミンを滅菌ストック溶液(10g/l)として、高圧滅菌および冷却の後の無菌条件下で培地に添加した。
【0032】
この接種後3日目に、30μMのジャスモン酸メチル(Methyl jasmonate;Servaから)を添加し、培養物をさらに4日間増殖させた(Gundlach, H., Muller, M.J., Kutchan, T.M., Zenk, M.H., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, p. 2389-2393)。次に細胞を減圧濾過により培地から分離し、液体窒素でショック凍結した後、酵素を単離するために用いた。細胞は-20℃で一ヶ月保存できるが、その後の目的の酵素の活性はかなり低下する。
【0033】
実施例2 アセチルトランスフェラーゼ活性を測定するための酵素の試験
酵素の精製、特性決定および検出を可能にするためには、精度が高く、十分に高感度の試験方法を利用できることが必要である。この場合試験方法は、生成した産物の検出、例えば10-デアセチルタクシウナニンからのタクシウナニンCの検出であり、この目的のために簡便で信頼性のある方法を開発した。
【0034】
試験するのに十分な量の酵素溶液を、エッペンドルフキャップ(Eppendorf cap)内のtrisバッファー(0.8M, pH 8.5)50μl中に分取した。次に、30μlの精製アセチルCoA(未標識のもの5 nmolおよび0.02μCi-[2-14C]アセチル補酵素A)および10-デアセチルタクシウナニンCをDMSOに溶かした3mMストック溶液を15nmol加えた(対照には、このタキサンのかわりに対応する量のDMSOのみを加えた)。該混合物を35℃で30分間インキュベートし、次に20μlの12%H2SO4で酸性化した。生成したタクシウナニンCを600μlのtert-ブチルメチルエーテルを用いて抽出し(オーバーヘッドシェーカーで10分)、次に混合物を遠心分離した(Eppendorf 遠心機にて、14,000rpmで4分)。依然として存在している未反応の[2-14C]アセチルCoAは、水層に残った。500μlの有機層を空気流中で蒸発乾固させた。同時に、存在する[2-14C]酢酸を除去した。この[2-14C]酢酸は、早い段階で酸性化したことにより酸として存在し、そのため揮発性である。シンチレーションカウンター(Multipurpose Scintillation Counter LS 6500, Beckmann)、または薄層放射能スキャナー(Automatic TLC Linear Analysis, Berthold)を用いて、生成した産物のタイプおよび量を測定した。前者の装置を使用して、転化率すなわち酵素の活性を、計測したcpm値を用いて決定した。薄層クロマトグラフィー(TLC)(移動相: クロロホルム: アセトニトリル 7:3)およびそれに続く放射能スキャナーを用いた評価により、シンチレーションカウンターを用いて測定した放射能活性が、予定した産物のRf値の範囲内のピークに実際に対応するか否かを調べることができた。
【0035】
実施例3 アセチルトランスフェラーゼの精製
3.1. 組織の単離および Sephadex G25 による脱塩
粗タンパク質抽出物を得るために、7日目の懸濁培養物を用いた。該培養物は、接種3日後に30μMのジャスモン酸メチルで誘導したものである。新たに吸引濾過した200gの細胞を、液体窒素でショック凍結した。次に氷冷モルタル内で、これらの細胞を20gのPVPPと混合し、400mlの標準バッファーA(100mMのホウ酸/NaOH、pH 8.5、20%グリセロール、20mMの2-メルカプトエタノール)を用いて攪拌しながら解凍した。PVPPは更なる精製工程を阻害するいくつかのフェノール類、とりわけ抽出物中に存在するなめし剤と結合する。次に均質な細胞パルプを4層のマル(mull)で濾過し、圧搾液を15,000x gで遠心分離した(10分、SS34 ローター)。
【0036】
氷冷した上清を標準バッファーA(100mMホウ酸/NaOH、pH 8.5、20%グリセロール、20mM 2-メルカプトエタノール)に懸濁したリン酸カルシウムゲル50mlと混合した。前記容量は、2500rpmで10分の遠心分離の後に得られるゲルの量であり、Ca3(PO4)2の1.9g(乾燥重量)に相当する。この混合物を時々攪拌して10分間氷浴中に放置した。この間に、例えば大量に存在するなめし剤のような付随物質は、ゲル上に吸着されるであろう。アセチルトランスフェラーゼは溶液内に残り、続く遠心分離(6000xg、5分、GSAローター)によりゲル材料から分離した。
【0037】
続いてゲルペレットをもう一度75mlの標準バッファーAに取り、5分間ガラス棒で攪拌し、6000rpmでさらに5分間、遠心分離した(GSA ローター)。なぜなら、アセチルトランスフェラーゼのいくらかは、ゲルに吸着されており、この後処理によって上清に放出されるからである。リン酸カルシウムゲルを全く使用しない場合には、更なる精製工程において重大な問題が生じた。なぜなら、この場合には以前として存在する随伴物質が、ミキサーセルの膜を即座にブロックし、続いて使用するカラムの色を暗褐色に変化させ、その結合能を急速に低下させるからである。
【0038】
ゆっくり攪拌しながら、合わせた氷冷上清を硫酸アンモニウムと1回に少しずつ70%飽和が達成されるまで混合し、添加完了後さらに30分間ゆっくりと攪拌した。続いて、沈殿したタンパク質を15,000rpmでペレット化することができた(10分、SS34ローター)。沈降物を慎重に、30mlの標準バッファーB(50mM tris/HCl, pH 8.5、20%グリセロール、20mM 2-メルカプトエタノール)に再懸濁し、この溶液をバッファーBおよびSephadex G25カラム(Pharmacia:直径2.7cmx7cm)を用いて脱塩し、同時に60%の混在タンパク質を分離した[G25 溶出液: 82ml、78mgのタンパク質]。
【0039】
3.2. DEAE Sephacel を用いたアニオン交換クロマトグラフィー
DEAE Sephacelは、正に荷電したジエチルアミノエチル基を付着させた改変セルロースである。溶解したタンパク質の等電点が使用した標準バッファーより酸性側にある場合、それらのタンパク質はアニオンとして存在し、したがって正に荷電したカラム材料に結合し得る。強度のより大きいアニオン、例えば、Cl-またはSO4 2-などを添加すると、吸着されたタンパク質とDEAE基の静電相互作用が小さくなる。その結果、タンパク質アニオンは無機アニオンと交換され、酵素が溶出される。
【0040】
この精製工程において、24.4%の混在タンパク質が取り除かれ、そしてまた、特に付随物質、とりわけフェノール含有なめし剤が取り除かれた。最初の使用のあいだにも、カラム材料の色は暗褐色に変化した。しかし、続いて1M NaOHを用いることによってカラム材料を精製することができた。この工程は、のちに精製工程において使用するカラムの汚れを大幅に減少させた。
【0041】
カラムの洗浄に使用した標準バッファーB(50mM Tris/HCl, pH 8.5, 20%グリセロール, 20mM 2-メルカプトエタノール)を30ml含むこのDEAEカラム(直径2.5 cmx 5cm)の初期フロースルーを、ミキサーセル(Amicon,400ml,膜 PM10)内の加圧濾過により5mlの容積になるまで濃縮した。
[DEAE 溶出液:100ml, 59mgのタンパク質]

【0042】
3.3 Ultrogel AcA 44 を用いたゲル濾過
ゲル濾過の原理は、例えばタンパク質のような巨大分子が、そのサイズと形に依存して一定の孔サイズ(排除体積)をもつマトリックスとそれを取り囲む液体との間に分配される、という事実に基づいている。ゲルの細孔に侵入するには大き過ぎる分子は粒子群を通過し、そのため中程度の大きさのタンパク質(最初は細孔のために遅れるが細孔には侵入しない)よりもより速く溶出する。より小さい分子、とりわけ塩イオンは、最初に細孔に侵入し、しばらく滞留後細孔から出る。そのため、このような分子はカラム内に一番長く残る。
【0043】
この技術は、ゲル材料とタンパク質のあいだに実質的になんの相互作用もなく、とても穏やかで、特別なバッファーの使用も必要としない。
【0044】
さらに、より小さなイオン、この場合硫酸イオンは活性タンパク質よりもずっと長くカラムに残っているので、溶出液は完全に脱塩されている。
【0045】
10〜130kDの分画範囲に適しているポリアクリルアミドアガロースゲルを使用した(Ultrogel AcA 44,Serva)。
【0046】
濃縮したタンパク質溶液は、標準バッファーBで平衡化したカラム(直径2.8cmx100cm)を用いて、流速20ml/hで1晩かけて分離した。60画分(それぞれ6.5ml)をタンパク質含有量およびアセチルトランスフェラーゼ活性について試験した。主要な活性を示す画分を合わせてさらに精製した。
【0047】
この溶出液を用いて、アセチルトランスフェラーゼの比活性を測定することができた。Rf値の低い明瞭なピークに加えて、薄膜クロマトグラフィーはまた、タクシウナニンのRf値の高さに1つのピークを示した。[AcA 溶出液:53ml、25.7mg、724pcatの総活性を100%とみなした]。このゲル濾過手段により、57%の混在タンパク質を分離した。
【0048】
3.4. HighQ を用いたアニオン交換クロマトグラフィー
DEAEカラムと同様に、リガンドとして-N+(CH3)3基を有するHighQカラムもまたアニオン交換体であるが、前者とは対照的に強いアニオン交換体であり、すなわちそのイオン化状態は広範なpH範囲にわたって変化しない。弱い交換体の解離度および結果的にその交換能は、異なるpH値において大きく変化する。HighQカラム材料は高密度に充填された約10μmのサイズの樹脂粒子からなり、高い抵抗圧があるためカラムはFPLCユニット(Biorad)を用いて操作しなければならない。
【0049】
塩を含まないAcA溶出液(53ml)を、標準バッファーB(50mM tris/HCl, pH 8.5, 20% グリセロール, 20mM 2-メルカプトエタノール)で平衡化したHighQ 5ml既製カラムに流速2ml/minでポンプ注入し、該カラムを同じバッファーで洗浄した。不活性タンパク質、更なる混在タンパク質および黄色の付随物質の一部を既に含む無色の初期フロースルーを、標準バッファーB(50mM tris/HCl, pH 8.5, 20% グリセロール, 20mM 2-メルカプトエタノール)中の0.07M KClを用いて除去した。活性タンパク質と、さらに黄色の付随物質も勾配溶出の次のステップ、すなわち標準バッファーB(50mM tris/HCl, pH 8.5, 20% グリセロール, 20mM 2-メルカプトエタノール)中の0.14M KClのとき溶出した。標準バッファー(50mM tris/HCl, pH 8.5, 20% グリセロール, 20mM 2-メルカプトエタノール)中の1M KClで得られた溶出液も黄色で、ロードしたタンパク質の1/3を含んでいた。しかし、アセチルトランスフェラーゼ活性は示さなかった。この最後の工程において、同時にカラムを再生した。
【0050】
この精製ステップの大きな利点は、大量のAcA溶出液が迅速かつ穏やかに4mL(各1ml画分を4つ)にまで濃縮されるという事実にある。
【0051】
Figure 0004278864
この精製ステップは、AcA溶出液と比べて121%の濃縮率を達成し、混在タンパク質の66%を除去した。
【0052】
3.5. ヒドロキシアパタイト
球状ヒドロキシアパタイト[Ca5(PO4)3OH]2粒子が充填されたCHT IIカラム(Bioradより)を用いた。低濃度リン酸バッファーの存在下では、負に荷電したタンパク質は、最初はCa2+カチオンに結合し、続いて溶離バッファー中の高リン酸濃度により置換され得る。
【0053】
高いpIを有する塩基性タンパク質は、比較的低いpIを有するものよりもカラム材料に対して比較的高い親和性を有する。正に荷電した中心にCa2+イオンを、負に荷電した中心にPO4 3-を有するヒドロキシアパタイト構造体は、混合イオン交換分離をもたらす。HighQ溶出液を0.5ml/分の流速で、予めリン酸バッファー(10mM Na2HPO4/NaH2PO4、pH 6.8、20% グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)で平衡化させたCHT IIカラム(5ml)にポンプ注入し、続いてカラムを12mlの同バッファーで洗浄した。活性タンパク質は160mMのリン酸バッファー濃度(20% グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)で溶出した。リン酸濃度を400 mMまで増加させた場合でさえ、タンパク質はそれ以上は溶出されなかった。
【0054】
Figure 0004278864
回収した0.5 mlの画分をタンパク質およびアセチルトランスフェラーゼ活性に関して試験した。
【0055】
[CHT II溶出液:1.5 ml、0.73 mgのタンパク質、578 pcat]
この精製ステップにより、92%の混在タンパク質の除去、27%の活性タンパク質の損失とともに、HighQ溶出液と比較して8.7の濃縮倍率が達成された。
【0056】
3.6. Hi Trap Blue での色素アフィニティークロマトグラフィー
Hi Trap Blue 1ml(Pharmaciaより)は、アガロースマトリックスに結合された合成多環式色素チバクロンブルー(Cibacron Blue)F3 G-Aを含むものである。これらのリガンドは、補因子NAD+およびNADP+等の天然の分子に対して構造類似性を示し、それによりタンパク質、なかでもアデニレート含有物質を必要とする酵素と強力かつ特異的に結合することができる。それ故に、カラム材料はまた、「基特異的」と称される。しかしながら、これまでにカタログに載った酵素の約1/3が、核酸成分を含む補酵素を必要とするという事実により、その特異性が付与される。さらに、タンパク質は、静電的および/または疎水性相互作用のために芳香族リガンドに非特異的に結合する可能性がある。
【0057】
溶出は、適切な補因子を用いて特異的に、または塩溶液を用いて非特異的に行った。
【0058】
ホスホアデノシン二リン酸含有アセチルCoAに結合するアセチルトランスフェラーゼは、Blueカラム材料に吸着させ、直線的KCl勾配を用いて非特異的に溶出した。この目的のために、CHT II溶出液をFPLCユニット(Bioradより)に、予め標準バッファーBで平衡化させたHi Trap Blueカラム上に0.5 ml/分の流速でロードし、続いてカラムをこの標準バッファーBで洗浄した。カラムに結合したタンパク質を、標準バッファーB(50 mM tris/HCl、pH 8.5、20%グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)中の塩の直線勾配(0〜1 M KCl)を用い、0.5 ml/分で30分かけて溶出した。
【0059】
Figure 0004278864
この画分の容積は0.5 mlであった。活性を含む画分をプールしてさらなる精製に供した。
【0060】
[Hi Trap Blue溶出液:1.5 ml、0.05 mgのタンパク質、168 pcat]
CHT IIカラムと比較して、この精製ステップで、4.2の濃縮倍率が達成された。93%の混在タンパク質の除去は、71%の総活性の損失を伴っていた。
【0061】
3.7. フェニルセファロースでの疎水性相互作用クロマトグラフィー
ある種の中性塩(例えば(NH4)2SO4またはKCl等)を水性培地に溶解させたタンパク質に添加すると、溶液のイオン強度が増加する。これらの条件下では、タンパク質表面上の疎水性領域が会合する。同様に、それらは疎水性リガンドを有するカラム材料にもやはり吸着されるので、その当然の帰結として疎水性相互作用が存在する(HICとはHydrophobic Interaction Chromatography)。続いてこれらの相互作用を、低い塩濃度を有する溶離バッファーを用いて再び減少させることができる。
【0062】
それ故に、この精製原理のために、Hi Trap Blue溶出液を、0.5 M 硫酸アンモニウム濃度へ調整する必要がある。このことは、1 M硫酸アンモニウムを含む標準バッファーB(50 mM tris/HCl、pH 8.5、20%グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)を氷冷してその適当量を、きわめてゆっくりと、一回分の添加量を少量として添加することによって行い得る。続いてこのタンパク質溶液を、0.5 M (NH4)2SO4を含む標準バッファーBで予め平衡化したミニカラム(直径1cm×1.3cm)中にロードした。タンパク質溶液をゲル床(フェニルセファロース、Pharmaciaより)に浸透させた後、カラムを、0.5 M (NH4)2SO4を含む標準バッファーB(50 mM tris/HCl、pH 8.5、20%グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)7mlにより洗浄した。結合したタンパク質を溶出させるため、0.1 M (NH4)2SO4を含む標準バッファーB(50 mM tris、HCl、pH 8.5、20%グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)を用いた。各々0.5 mlの画分として溶出液を回収し、相対的タンパク質濃度および酵素活性をそれぞれ測定した。最も活性の高い画分をプールし、活性とタンパク質含有量に関して試験した。
【0063】
[フェニルセファロース溶出液:2.5 ml、0.001 mg、6.3 pcat]
Hi Trap Blue溶出液と比較して、濃縮倍率は1.9と計算され、同時に96%の活性が失われ、98%の混在タンパク質が除去されていた。
【0064】
3.8. Mimetic Green 1A-6 XL での色素アフィニティークロマトグラフィー
Hi Trap Blueカラムに関して既に述べた通り、酵素の補因子結合部位とこの物質の色素リガンドとの間にも相互作用が存在する。それ故に補因子依存性結合酵素のみを補因子(本発明の場合はアセチル補酵素A)を用いて溶出させることができる。非特異的に吸着されたタンパク質はカラム上に残存する。
【0065】
フェニルセファロース溶出液は、Mimetic Greenカラム(直径1cm×1.2cm、Affinity Chromatography Ltd., Freeport, Ballasalla, Isle of Man)中に分注する前に脱塩せねばならない。この脱塩を、PD 10カラム(Pharmaciaより)を使用して行った。この目的のために、2.5 mlのフェニルセファロース溶出液をPD 10カラムにアプライし、その内部に浸透させた。溶出は、標準バッファーB(50 mM tris/HCl、pH 8.5、20%グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)により行い、最初の0.5 mlの溶出液を廃棄し、それに続く活性タンパク質を含む2.5 mlを回収した。
【0066】
この酵素溶液を、標準バッファーB(50 mM tris/HCl、pH 8.5、20%グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)で予め洗浄したMimetic Greenカラム(直径1cm×1.2cm)中に分注した。該溶液をゲル床に浸透させた後、次の溶液、すなわち3mlの標準バッファーB(50 mM tris/HCl、pH 8.5、20%グリセロール、20 mM 2-メルカプトエタノール)、3mlの0.5 mMアセチル補酵素Aを含む標準バッファーB、2mlの標準バッファーB、3mlの1M KClを含む標準バッファーBを逐次的に使用して、ポンプを用いずに溶出させた。1mlの画分を回収し、タンパク質とアセチル補酵素A活性に関して試験した。
【0067】
アセチル補酵素A溶出液は、アセチルトランスフェラーゼ活性を含む唯一の画分であった。最初のフロースルーも、KCl溶出液も、いかなる活性をも含んでいなかった。
【0068】
アセチルCoA溶出液中の活性を測定する前に、この溶液から補因子を除去しなければならない。非標識アセチル補酵素Aの大きなプールが、少量の14C標識アセチルCoAを、実質的に放射性基質が変換されないような程度まで希釈したであろう。
【0069】
アセチル補酵素Aを、PD 10カラムを上記のように用いてほぼ完全に除去した。通常の活性試験をこのようにして得た溶出液について行った。しかしながら、PD10溶出液はなおも、溶離バッファー由来のアセチルCoAの痕跡量を有している(すなわち完全な除去がまだ可能となっていない)ので、14C標識CoAを活性試験において希釈し、それにより精製倍率値および活性を得たが、これらはあまりに低すぎた。
【0070】
[Green溶出液:2.5 ml、0.0001 mgのタンパク質、0.7pcat]
この精製ステップにおいて、残存していた混在タンパク質を除去し、その結果81%の活性損失で精製倍率1.1がもたらされた。
【0071】
3.9. 精製のまとめと均質性の証明
記載した方法により、所望のアセチルトランスフェラーゼを粗抽出物から、70%濃度の硫酸アンモニウム沈殿および8種類のカラムクロマトグラフィーステップにより得た。これにより、アセチルトランスフェラーゼの活性は、AcA溶出液の値の280倍の比活性であり、全収率は0.1%であった。AcA溶出液が僅か一日で処理されたにもかかわらず、精製の間に活性が大きく失われたことは、この酵素の重大な不安定性、ならびに、pH8以下のpH値および塩イオン(特に硫酸アンモニウム)に対する感受性によって説明され得る。
【0072】
酵素調製物の純度を調べるために、SDSの存在下での変性ディスク電気泳動を用いた。濃縮されたMimetic Greenカラムの溶出液を、SDS-PAGEを用いて分離し、続いて銀染色を行うと、ただ1本のバンドのみが見出された。
【0073】
Figure 0004278864
実施例4
タキサス キネンシス懸濁培養物由来のアセチルトランスフェラーゼの特徴づけ 4.1. 至適 pH
pHは、酵素活性に対して重大な影響を及ぼすが、それは特定のアミノ酸の官能基の電荷が、酵素溶液の酸性度に依存して変化するからである。このことは、酵素の活性中心のコンホメーションおよびその結果としての活性と密接な関係を有する。同様に、特定の基質のプロトン化のパターンもまたpHに依存しており、そしてそれ故に酵素活性に影響し得る。
【0074】
至適pH範囲を決定するために、アセチル補酵素Aの10-デアセチルタクシウナニン Cへの変換を、pH5からpH11までの様々なpH値で測定した。この目的のために、5.6 pcat(1.7 μg、50μl)の120倍濃縮アセチルトランスフェラーゼ(High Trap Blue溶出液)を、以下の混合物中で使用した:
混合物:50μl 0.8 M tris、pH 8.5
50μl アセチルトランスフェラーゼ(5.6 pcat、1.7μg、120倍濃縮)
30μl アセチル補酵素A
(5 nmol、0.02 μCi[2-14C]アセチル補酵素A含有)
5 μl 3 mM 10-デアセチルタクシウナニン C(15 nmol)
50μl ミリポア水
インキュベーション :35℃で25分間。
【0075】
混合物をアセチル補酵素A無しで5分間プレインキュベートし、続いて、補酵素の添加により反応を開始させた。35℃、25分のインキュベーション時間の後、反応を酸性化とtert-ブチルメチルエーテルでの抽出により停止させた。エーテル抽出物中に存在する放射能を、シンチレーションカウンターを使用して測定した。
【0076】
アセチルトランスフェラーゼ活性は、比較的狭いpH 8.5〜9の範囲にわたっており、至適pHはpH9であった。pH 6.8およびpH 10.8において、最大変換速度の半値が与えられた。
【0077】
精製をpH 8.5で行ったが、それは、pH 8.5の場合には、pH 9の場合よりも、アフィニティーカラムの最初のフロースルー中に存在する活性タンパク質が少ないからである。
【0078】
4.2. 至適温度
pHが酵素活性に対して有する相当な影響に加え、酵素活性はまたインキュベーション温度にも強く依存している。酵素活性は、最初のうちは温度が上昇するにつれて増加するが、各酵素に特異的である特定の温度以上では酵素活性は急速に低下する。これらの高温においては、酵素の変性と失活が起こる。アセチルトランスフェラーゼの至適温度を決定するために、1.7 μg(5.6 pcat)の120倍精製酵素を0℃から50℃までの温度で、最初はアセチル補酵素A無しで10分間、続いて、補酵素の添加後に25分間さらにインキュベートした。20 μlの12% H2SO4を添加して反応を停止させた。続いて、生成されたタクシウナニンCを600 μlのエーテルを用いて抽出した。生成された産物の量を、シンチレーションカウンターを使用して評価した。
【0079】
混合物:50μl 0.8 M tris、pH 8.5
50μl アセチルトランスフェラーゼ(5.6 pcat、1.7μg、120倍濃縮)
30μl アセチル補酵素A
(5 nmol、0.02 μCi[2-14C]アセチル補酵素A含有)
5 μl 3 mM 10-デアセチルタクシウナニン C(15 nmol)
50μl ミリポア [lacuna]
インキュベーション :各々の温度で25分間。
【0080】
アセチルトランスフェラーゼの至適温度は35℃であった。
【0081】
4.3. 等電点
等電点クロマトグラフィーにより、等電点を決定した。特定の陰イオン交換体、例えばMono P HR 5/20(Pharmaciaより)等をこの目的で使用できる。そして陰イオン交換体には所望の酵素を、該酵素が陰イオンとして存在するpHでロードする。これらの初期条件の下で、酵素はカラム材料に結合し、続いてカラム中でpH勾配を成す両性電解質含有バッファーの混合物(Polybuffer 94、Pharmaciaより)を使用して溶出できる。続いて酵素は、該酵素がアニオン性の状態から外見上荷電していない状態に変化する程度までpHが下げられたちょうどその点において、陰イオン交換体から分離する。このpHが等電点(IEP)に相当する。
【0082】
アセチルトランスフェラーゼに関しては、BioLogic FPLC Workstation(Bioradより)をMono P HR 5/20 カラム(直径0.5 cm×20 cm、Pharmaciaより)とともに流速0.7 ml/分で使用してIEPを決定した。このカラムを25mM イミダゾール/HCl(pH 7.4)を使用して平衡化し、HighQ溶出液をロードした。この目的のために、1mlのHighQ溶出液を100μlまで、Centriprep濃縮器(30kD)で濃縮し、続いて上述のイミダゾールバッファーで6mlまで希釈した。この純度のタンパク質をここで用いたのは、HighQ溶出液が最も高い活性(pcat/ml)を有しており、等電点クロマトグラフィーにより相当量の活性が失われることになると予測されたからである。カラムを10mlの開始バッファーで洗浄し、タンパク質を40mlのPolybuffer 74(ミリポア水で1:8で希釈、pH4)を用いてカラムから溶出させた。1mlの画分を収集し、低pH値で活性を維持するため、100μlの0.8 M tris(pH 8.5)を、他の画分全てに最初に投入した。pHは中間の画分中で測定した。
【0083】
活性な画分を決定するため、他の画分それぞれのアリコートを、以下の混合物中で30分間インキュベートした:
混合物:200μl 酵素溶液 (pH 8.5に緩衝)
30 μl アセチル補酵素A
(5 nmol、0.02 μCi[2-14C]アセチル補酵素A含有)
5 μl 3 mM 10-デアセチルタクシウナニン C(15 nmol)
インキュベーション :35℃で30分間。
【0084】
tert-ブチルメチルエーテルで抽出後、シンチレーションカウンターを使用して評価。
【0085】
主要な活性は5.7から5.47までのpH範囲で溶出し、アセチルトランスフェラーゼの等電点はpH5.6と決定された。
【0086】
4.4. 分子量の決定
アセチルトランスフェラーゼの分子量を決定するために、2種類の異なった方法を用いた。較正されたゲル濾過カラムを用いたゲル濾過およびSDSゲル電気泳動である。
【0087】
前者を、FPLCユニット(BioLogic Workstation, Biorad)を流速0.2 ml/分で、50mM tris、pH 8.5、10mM 2-メルカプトエタノールで平衡化した Biosilect-SEC 250-5 カラム(Biorad)とともに用いて行った。最初に、カラムを既知の分子量のタンパク質を用いて較正した。続いて、同一の条件下で、Centriprep濃縮器(2ml、10kDの膜)を用いて100μlまで濃縮した1.5mlのHigh Trap Blue溶出液(3360pcat、タンパク質50μg)をこのカラムを通して溶出させた。画分のサイズは250μlで、溶出液の活性を、以下の混合物(総容積185μl)をインキュベートすることにより測定した:
混合物:50 μl 0.8 M tris、pH 8.5
100μl 溶出液
30 μl アセチル補酵素A
(5 nmol、0.02 μCi[2-14C]アセチル補酵素Aをさらに含有)
5 μl 3 mM 10-デアセチルタクシウナニン C(15 nmol)
インキュベーション :35℃で30分間。
【0088】
評価は、tert-ブチルメチルエーテルで抽出後、シンチレーションカウンターを使用して行った。
【0089】
この方法を使用して、アセチルトランスフェラーゼに関して分子量は72kDと計算された。
【0090】
この値を確かめるため、変性SDSゲル電気泳動を使用した。この目的のために、0.3μgの均一タンパク質について10% 濃度SDSゲル中で、既知の分子量を有するマーカータンパク質(Rainbow marker)と並べてクロマトグラフィー分析を行った。タンパク質を銀染色で可視化し、較正タンパク質のRf値とアセチルトランスフェラーゼのRf値とを比較可能とし、後者に関して70.8 kDの分子量を得た。
【0091】
4.5. K M 値の決定
10- デアセチルタクシウナニン C K M 値の決定
アセチルトランスフェラーゼの10-デアセチルタクシウナニンCに対する親和性に関する情報を得るために、フェニルセファロース溶出液のKM値を決定した。
【0092】
混合物:50 μl 0.8 M tris、pH 8.5
100μl アセチルトランスフェラーゼ
(0.25 pcat、40ngタンパク質、225倍濃縮)
30 μl アセチル補酵素A
(5 nmol、0.02 μCi[2-14C]アセチル補酵素Aをさらに含有)
10 μl 10-デアセチルタクシウナニン C
(終濃度0.1/0.3/1/3/5/7/10/30/50/100/200/300/500μM)
インキュベーション :35℃で30分間;放射能評価、tert-ブチルメチルエーテルで抽出後、シンチレーションカウンターを使用。
【0093】
測定された結果を、LineweaverおよびBurkに従って二重逆数方式でプロットすることにより、10-デアセチルタクシウナニン CについてのKM値を、グラフにより23μMと決定した。
【0094】
4.6. アセチル補酵素 A K M 値の決定
アセチルトランスフェラーゼのアセチル補酵素Aに対する親和性は、KM値(フェニルセファロース溶出液を用いて決定)によって記述できる。
【0095】
混合物:50 μl 0.8 M tris、pH 8.5
100μl アセチルトランスフェラーゼ
(0.25 pcat、40ngタンパク質、225倍濃縮)
30 μl アセチル補酵素Aおよび水
(終濃度2.1/2.3/3/5/12/32/52/102/152/202/302/502μM、
それぞれ2μM(40,000cpm)の[2-14C]アセチル補酵素A含有)
5 μl 3 mM 10-デアセチルタクシウナニン C(15nmol)
インキュベーション :35℃で30分間。続いて評価を、tert-ブチルメチルエーテルで抽出後、シンチレーションカウンターを使用して行った。測定された数値を、LineweaverおよびBurkに従って二重逆数方式でプロットすることにより、アセチル補酵素AについてのKM値を、61μMと決定した。
【0096】
4.7. ターンオーバー数 k cat
ターンオーバー数は、酵素反応の反応速度を、酵素1分子によって1秒あたり何個の基質分子が変換されたかを示すことにより記述するものである。
【0097】
ターンオーバーを決定するため、フェニルセファロース溶出液を使用した。そこに含まれているアセチルトランスフェラーゼの濃度は、溶出液をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、続いて銀染色することにより測定した。既知量の牛血清アルブミンを、比較用の濃度として隣接するスロットに添加した。
【0098】
18ngのアセチルトランスフェラーゼに相当する300μlの酵素溶液、10-デアセチルタクシウナニン Cおよびアセチル補酵素Aを使用すると、記録されたターンオーバー動力学は5〜30分までの範囲で直線状であった。
【0099】
混合物:50 μl 0.8 M tris、pH 8.5
300μl アセチルトランスフェラーゼ
(18ngアセチルトランスフェラーゼ、0.76 pcat)
30 μl アセチル補酵素A
(5 nmol、0.02μCi-[2-14C]アセチル補酵素A含有)
5 μl 3 mM 10-デアセチルタクシウナニン C(15nmol)
インキュベーション :35℃で30分間。
【0100】
続いてインキュベーション混合物を、tert-ブチルメチルエーテルで抽出し、シンチレーションカウンターを使用して評価した。ターンオーバー(pmol)を測定された値から計算した。酵素量(18ng)を分子量(72kD)で割った値は、バッチあたり0.25pmolの酵素濃度を与える。
【0101】
酵素活性は単位時間(秒)あたりのターンオーバーを測定して算出した。酵素活性の商(0.05pmol/秒)および濃度(0.25pmol)から、アセチルトランスフェラーゼのターンオーバーに関して、0.2cat/均一酵素mol(mol/秒/酵素mol)の値が得られる。
【0102】
ターンオーバー=ターンオーバー数kcat: 0.05pmol/秒:0.25μmol=0.2cat/mol。
【0103】
これは、35℃、pH 8.5、至適量の基質(60molの10-デアセチルタクシウナニンC、20molのアセチルCoA)における、1秒あたり、酵素1mol(72kg)あたりの、基質0.2molのターンオーバーに相当する。
【0104】
4.8. 至適動力学
生理学的条件の下では、基質の濃度は酵素の濃度と比較して非常に小さい。酵素の活性中心の少数のみが基質によって占有され、それ故に基質によって占有されていない酵素の量[E]は、ほぼ酵素の全量[E0]に相当する。
【0105】
基質濃度[S]がKMより遥かに低く、初期反応速度が最大速度の半分であるような濃度の場合、酵素反応は、ターンオーバー数kcatによって示されるよりもかなり低速で進行する。
【0106】
これらの条件下で酵素を特徴づけするためには、商kcat/KMを使用する。この数値と、基質濃度[S]および全酵素量[E0]をかけると、反応速度が得られる。
【0107】
v=(kcat/kM)[S][E0]
水性媒体に溶解された分子の拡散速度せいぜい108〜109であることを考慮しなくてはならない。従って、基質は酵素に108〜109以上早く到達できないため、非常に高速な酵素についてさえその反応速度は制限される。
【0108】
アセチルトランスフェラーゼに関して計算された至適動力学は以下の通りである:
KM(10-デアセチルタクシウナニン C)=23μM、kcat=0.2cat/mol、kcat/KM=0.2mol s-1mol-1/23・10-3[M]=8.7s-1M-1
【0109】
実施例5
基質特異性
精製アセチルトランスフェラーゼの基質特異性を調べるため、タキサン骨格を有する種々の化合物を基質として使用した。
【0110】
- 10-デアセチルタクシウナニン C
- 14-デアセチルタクシウナニン C
- 10,14-デアセチルタクシウナニン C
- 2,10,14-デアセチルタクシウナニン C
- 5,10,14-デアセチルタクシウナニン C
- 2,5,10,14-デアセチルタクシウナニン C
- 2,14-デアセチルタクシウナニン C
- 5,14-デアセチルタクシウナニン C
- 2,5-デアセチル-10,14-デアセチルタクシウナニンC
- 10-デアセチルバッカチン III (=10-DAB III)
- 10-デアセチルタキソール
- 10-デアセチルセファロマンニン(deacetylcephalomannin)
- 10-エピ-10-DAB III
- 19-ヒドロキシ-10-DAB III
- 14-ヒドロキシ-10-DAB III
- 7-TES-10-DAB III
- 7-BOC-10-DAB III
用いられた基質の中で、C-10位にヒドロキシル基を有するタキサンのみが変換可能であることが見出された。アセチル化位置C-10位を有するが他の炭素にフリーのヒドロキシル基を有するタキサン誘導体は、精製アセチルトランスフェラーゼによって基質として受けいれられなかった。しかしながら、嵩の大きい置換基によってC-10への接近がブロックされている場合(10-デアセチルタキソールおよび10-デアセチルセファロマンニン等)には、アセチル化は行われない。
【0111】
変換速度を計算する場合は、10-デアセチルタクシウナニンCの変換速度に基づいたが、フリーのヒドロキシル基を有するタクシウナニンC誘導体は全て、同程度に変換されることが判明した。10-DABは、10-デアセチルタクシウナニンと比較して85%の速度でバッカチンIIIへ変換された。
【0112】
種々の基質の、デアセチルタクシウナニンCの変換に基づく変換を、以下の表に示す。
【0113】
種々の基質の、 10- デアセチルタクシウナニン C の変換に基づく変換
10-デアセチルタクシウナニン C
酵素:フェニルセファロース溶出液(225倍精製)
Figure 0004278864

Claims (15)

  1. 単離された酵素およびアセチル基供与体の存在下で10-デアセチルバッカチンまたは10-デアセチルバッカチン誘導体を反応させることを含んでなる、バッカチンおよび/またはバッカチン誘導体の製造方法であって、該酵素が、SDS-PAGEで測定して70〜72kDの分子量、pH5.4〜5.8の等電点、および55〜65μMのアセチル補酵素Aに対するミカエリス・メンテン定数KMを有するアセチルトランスフェラーゼであり、該アセチルトランスフェラーゼがタキサス・キネンシス(Taxus chinensis)の細胞培養物から得られることを特徴とする上記方法。
  2. 10-デアセチルバッカチン-IIIからバッカチン-IIIを製造する、請求項1記載の方法。
  3. 14-ヒドロキシ-10-デアセチルバッカチン-IIIから14-ヒドロキシバッカチン-IIIを製造する、請求項1記載の方法。
  4. 10-デアセチルタクシウナニンCからタクシウナニンCを製造する、請求項1記載の方法。
  5. アセチル基供与体としてのアセチル補酵素Aの存在下で前記反応を実施する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 以下の特性:
    a) 10-デアセチルバッカチン-IIIを、アセチル基供与体(特に、アセチル補酵素A)の存在下に、10位で選択的にアセチル化すること、
    b) SDS-PAGEで測定して70〜72kDの分子量を有すること、
    c) pH5.4〜5.8の等電点を有すること、
    d) 55〜65μMのアセチル補酵素Aに対するミカエリス・メンテン定数KMを有すること、
    e) 10-ヒドロキシタキサ-O-アセチルトランスフェラーゼであること、
    f) タキサス・キネンシスの細胞培養物から得られること、
    を特徴とする酵素。
  7. 純度が50%を超えている、請求項6記載の酵素を含む酵素組成物
  8. 純度が90%を超えている、請求項7記載の酵素組成物
  9. 請求項6〜8のいずれか1項記載の酵素を調製する方法であって、タキサス・キネンシスから精製により酵素を単離し、精製後に10-デアセチルバッカチンまたは10-デアセチルバッカチン誘導体とアセチル基供与体を加え、生成されたアセチル化産物を検出することにより該酵素の存在する画分を決定することを特徴とする上記方法。
  10. 前記精製法がHighQカラムの使用を含む、請求項9記載の方法。
  11. 前記酵素を含有する画分を検出するために10-デアセチルバッカチン-IIIまたは10-デアセチルタクシウナニンCを用いる、請求項9または10記載の方法。
  12. 用いるアセチル基供与体がアセチル補酵素Aである、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 生成されたアセチル化産物を放射性標識により検出する、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 生成されたアセチル化産物を重同位体標識により検出する、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
  15. タキソールおよび/またはタキソール誘導体の製造方法であって、初めに請求項1〜5のいずれか1項記載の方法によりバッカチンまたはバッカチン誘導体を製造し、その後当該バッカチン誘導体の13位のOH基を適切な酸とエステル化により反応させてタキソールまたはタキソール誘導体を得ることを特徴とする上記方法。
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