JP4278117B2 - フル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法並びにそれに用いる足型採取器 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、ユーザーの足のサイズに合わせて作るフル・オ−ダ−メイド靴をの製作する場合の靴型の製造方法およびその靴型の製造作業の中心となる足型採取作業を簡便に行うための足型採取器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ユーザー個々の足のサイズに合わせるフル・オーダーメイド靴を製作する場合の靴型は対象となるユーザー自身が平坦な場所で直立した時の、自然体の両足の足長、足幅、足高、足囲などの各部位の長さを、メジャーや、その他の計測用に開発された各種計測器を駆使し、丹念に測定し、その結果得られる長さを基にして、更にコロシや捨て寸と呼ばれる加減調整を行った長さを基に、プラスチックやさくら材等の素材を機械的に加工し製作している。
【0003】
コロシとは、自然体の足に於ては体重の加重により、中足骨が扇状に広がるため、ボールガースと呼ばれる足囲部を中心に拡張が生じ、足囲が大きくなってしまうため、この拡張した足囲を修正し、靴が足にフィットするように、足囲を小さめに切り詰めを行うことで、履き心地を決める重要な調整である。また捨て寸とは足の前後方向の動きに余裕を与えたり、靴のスタイルに合わせるための膨らみを付ける付加を行うことである。
【0004】
靴型の製作にあたり、石膏、シリコン樹脂等の形状印象材により足型形状印象を採取する場合もあるが、計測の正確を期する為の補助手段として利用されているに過ぎず、足型の形状印象を直接転写して靴型を製作する方法は取られていない。形状印象を転写する方式によらない理由は、現在の中心的な生体形状印象採取方法であるシリコン樹脂などの硬化性の形状印象材を用いる方法では、被写体となるユ−ザ−に長時間、樹脂が完全硬化するまで足を固定させておく等の負担をかけることの他に、次のような形状採取の本質的な問題があるためである。
【0005】
足にフィットした靴を履いた時の足の形状は、自然体の足の形状ではなく、靴という拘束物の中に嵌め込まれ、体重の加重による足囲の拡張が、靴の甲革と中底により作られる、ある一定の形に抑え込まれた状態、すなわち、圧力を受けて変形している生体形状である。したがって、この状態の形状印象を採取しなければならないわけであるが、シリコン樹脂などの流動性のある硬化性形状印象材では硬化が時間とともに進行する化学反応によるため、その硬化途中で外側から印象材に力を及ぼすことができない。したがって被写体の生体にも圧力を及ぼして変形させることができないため、自然体の足の形状しか採取できないこととなる。折角苦労して足型を製作しても、後でコロシのための加工を施さなくてはならない。このため大幅な削り込みなどの機械的な修正加工を行わなければならないため、形状を転写する意味が薄れるためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように足型の形状転写による靴型の製作ができない為、靴型の製作は計測結果に基づく機械的加工とならざるをえず、手作業でなされる計測作業、および加工作業には不可避的に誤差が生じる。計測を正確に行うため各種の計測機器が開発されているものの、特に人体生体の表面形状は複雑な三次元形状をしており、さらに計測の基準点となる皮膚の突起部も、皮膚が前後左右に動くこともあり、計測者によっても差が生じてしまう。また、仮に計測が正確であっても、更にその数値で加工をする段階でも、複雑な曲面加工のため誤差が生じる可能性が大きい。また、履き心地に大きく影響するコロシの調整も、その適否はユ−ザ−本人の感覚によるため、第三者が正確に調節することには無理がある。
【0007】
更に、足の計測は一般的に平坦な場所に直立している状態で行われるが、実際の靴は踵部が爪先より高くなる。特にハイヒールなどは顕著であるが、この為足はかなり屈曲し、形状は大きく変化することも多い。平坦な場所では同じ計測値であっても、肉付き、皮下脂肪や皮膚の厚さ、骨や関節の太さ硬さなどの個人差で、形状の変化度合いが大きく異なることもあるため、この変化を正確に靴型に反映させるのは困難である。
【0008】
このような困難が多いため、フル・オーダーメイドでも完全にフィットした靴をなかなか作れず、修正を重ねる為の手間と時間がかかり、どうしても高額なものになる。この結果として靴のフル・オーダーメイドは現在ほとんど普及していない。また、一部にセミ・オ−ダ−メイドとして各種の靴型を多数用意し、計測されたユ−ザ−の足型に近似する靴型で靴を製作するシステムも見られるが、これも価格的には安価であるものの、適切な靴型を必ずしも提供できないことから、あまり普及はしていない。
【0009】
このため、現在はレディメイドが主流であるが、これも足長とボ−ルガ−ス部の足囲の2か所の寸法のみを基準とした階段的システムであり、完全なフィット感が得られる靴を見つけることはなかなか難しい。特に、デザインにこだわる婦人用革靴では、デザイン、サイズ共に満足する靴に巡り合う確率は極めて低く、どちらかを犠牲にしている場合が多い。婦人の場合、デザインを優先すること多く、サイズの合わない靴を無理して履く為、外反母趾、ハンマ指等の足指の障害が引き起こされている。
【0010】
以上の如く課題の発生する原因は、適正な靴型がなかなか作れないことにある。その元となる原因は、足にフィットした靴を履いた状態の足の形状を採取できないことにある。本発明は上記課題を解決し、フィットした靴を履いた状態そのままの足の形状印象を、ユ−ザ−本人の感覚を基にして本人が直接採取する方法により、適切な足型を採取できる方法を開発し、その足型を元に形状を転写させ適切な靴型を製作できる靴型の製造方法並びに足型採取器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するため本発明に係る靴の靴型の製造方法並びに足型採取器は、一定の条件下における熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマ−も含む)の特性を利用し、従来の硬化性形状印象材の欠点を克服し、フィットした靴を履いた状態の足の印象形状をユ−ザ−本人が直接採取でき、しかも足型採取作業を何処でも簡単にできるようにするため、次の如く構成したことを特徴とする。
【0012】
即ち、本発明に係る請求項1のフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法は、融点が100℃以下であり表面温度が50℃以下のとき5秒以上軟化状態を保持することができ、且つ室温で硬化する熱可塑性樹脂を軟化させ、足の爪先、踵、足裏および内外側面の輪郭に沿わせて伸展させ、靴状の足部立体輪郭体を形成する工程と、前記足部立体輪郭体が軟化している間に、足の実寸法よりも小さく作るべき部位に任意に圧力を加えて締付部位を形成し、且つその状態にて完全に硬化させることにより足部立体輪郭体を修正する工程と、修正された足部立体輪郭体を元に靴型を製造する工程とを備えて構成されてなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る請求項2のフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法は、融点が100℃以下であり表面温度が50℃以下のとき5秒以上軟化状態を保持することができ、且つ室温で硬化する熱可塑性樹脂を軟化させ、所定の模型足の立体輪郭体を形成し、更に所定のヒ−ル高に合わせて作られた型取り台を取り付けて靴状の足型採取器を作る工程と、前記足型採取器を軟化させ、挿入された足の爪先、踵、足裏および内外側面の輪郭に沿わせて足部立体輪郭体とする工程と、前記足部立体輪郭体が軟化している間に、足の実寸法よりも小さく作るべき部位に任意に圧力を加えて締付部位を形成し、且つその状態にて完全に硬化させることにより足部立体輪郭体を修正する工程と、修正された足部立体輪郭体を元に靴型を製造する工程とを備えて構成されてなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る請求項3のフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造に用いられる靴状の足型採取器は、融点が100℃以下であり表面温度が50℃以下のとき5秒以上軟化状態を保持することができ、且つ室温で硬化する熱可塑性樹脂を軟化させ、所定の模型足の立体輪郭体を形成し、更に所定のヒ−ル高に合わせて作られた型取り台を取り付けてなることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明のフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法並びにそれに用いる足型採取器について詳細に説明する。
図5を参照すると、本発明に係わるオ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法の一実施形態のフローチャートが示されている。
図5において、ステップ2からステップ4までが本発明の請求項1に対応し、ステップ1からステップ4までが本発明の請求項2に対応し、ステップ1のみが本発明の請求項3に対応する。以下各ステップに従い詳細に説明する。
【0016】
ステップ1およびステップ2は、熱可塑性樹脂から足型採取器の製作および足型立体輪郭体の形成に係る工程である。
熱可塑性樹脂は可塑性に優れ強度も高いことから、型材として優れているが、融点が高いものが多く、これらを軟化させた状態で直接生体に触れるような使い方はできない。しかし、一部には100℃以下の比較的低温域に融点や軟化温度域を有する熱可塑性プラスチックや熱可塑性エラストマ−がある。例えば、ポリカプロラクトン(商品名「プラクセルH」ダイセル化学工業株式会社製)、トランス−ポリイソプレン系熱可塑性エラストマ−(商品名「トランスポリイソプレンPT」株式会社クラレ製)である。
【0017】
これらの樹脂もやはり融点域では、直接生体への接触は難しい。しかしながら、冷却硬化移行時の樹脂全体としての性質を観察すると、樹脂全体としては柔らかい餅状やゴムシ−ト状のように、十分流動性や柔軟性が保たれている状態であるものの、表面は放熱により内部より先に温度降下するため、皮膚接触が可能となる状態を示すことがある。この状態の間に柔らかい餅状またはゴムシ−ト状の樹脂を、生体の形状採取部分面に張り付け伸展成型させ、その状態で冷却硬化を待てば、熱可塑性樹脂でも生体の形状印象を採取することができる。このことを利用することにより足部立体輪郭体の製作が可能となる。
【0018】
また、これらに使用される樹脂のうち一部の樹脂(例えばトランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマ−)は融点以上に加熱され軟化した状態でも、粘性が強く当初に成型された形状を保つ。この性質を利用し公知技術により予め所定の模型靴の形状に成型しておけば、加熱軟化させた状態においても模型靴の形状を維持するするため、ユ−ザ−は靴を履くように足を挿入することができるので、そのまま樹脂面を皮膚表面に沿わせる様にすれば、容易に足部立体輪郭体を作ることができる。
【0019】
しかしながら、この足部立体輪郭体により採取された足型は自然体の足型であり、本発明の目的である加圧変形させた足型を採取するためには、この足型を修正する工程が必要である。
【0020】
ステップ3は、足部立体輪郭体の修正工程である。靴型として利用できる足型は上記の如く自然体の足型を、フィットした靴を履いた時の形状に合わせ加圧変形させた足型形状である。
一般的に熱可塑性樹脂は熱伝導率が低く、融点まで加熱軟化させると柔らかい餅状のように流動性が高くなり、この状態が長く継続する。樹脂がまだこのように柔らかい餅状の状態では伸展成型はやりやすいものの、伸展された樹脂表面に外部から圧力をかけると、その加圧体と生体との間に樹脂が挟まり、圧力の掛からない左右方向に樹脂の逃げが生じ、足型としての形状が崩れることになる。したがって、この段階では足部立体輪郭体の修正はできない。
【0021】
しかしながら、生体上に伸展された樹脂の冷却過程の物性を細かく観察すると、当初柔らかかった樹脂も冷却に従い粘性を高める一方、流動性と可塑性は減少し始める。この現象は冷却速度が速い表面部から先に出現するため、樹脂の表面と内部との間に粘性と流動性および可塑性に差が生じることとなる。この変化は樹脂全体としては適度な可塑性と粘性を合わせ持つこととなり、目的とする足型採取に最適の状況を作り出す。即ち、樹脂の表面の粘性が高まるため樹脂表面はゴムのような弾力性を持ち始める。一方、内部にはまだ残留熱による流動性が残っているため、樹脂全体の挙動としてはある程度の縮小や伸展が可能な状態を保持する。この状態で圧力をかけると樹脂は逃げを生じることなく、多少の弾性をもち且つ変形縮小を伴いながら圧力を生体側に伝えることができる。このため生体を加圧変形させると共に樹脂もその変形に則して変形させることができる。その状態で放熱による完全硬化を待つと、足部立体輪郭体の修正を行うことができる。
【0022】
この熱可塑性樹脂の特性を利用し、ステップ2で形成された足部立体輪郭体の樹脂表面の変化に応じ、外部から圧力を加え樹脂ともども変形させることができる。また、足型採取器に用いられる粘性の強い樹脂の場合は、樹脂の表面の変化に配慮することなく速やかに加圧しても、粘性が強いため樹脂が崩れることはなく、より簡単に足部立体輪郭体を修正することができる。
【0023】
具体的な手法としてはユ−ザ−本人がボ−ルガ−ス部をフィット感に基づき加減しながら抑え込むことにより、中足骨の拡張を調整し、適切なコロシの入った足部立体輪郭体を採取することができる。またこの抑え込みを行う段階で、希望するヒ−ル高に合わせた傾斜を持つ足型採取台を用意し、その上に足を乗せ、その形に沿って硬化させれば、靴を履いた状態そのままの形状の足型を採取することができる。
【0024】
また、足型採取器を用いる場合は樹脂を足の表面に伸ばす手間がいらず、また足型採取台なども用意する必要がない。ユ−ザ−は足型採取器をそのまま湯などで加熱軟化させ、表面の温度低下をみて皮膚接触が可能となった段階で靴を履くように足を入れ、そのまま外側から抑え込むことによりステップ2とステップ3の工程をほぼ同時に行うことができ同様の、修正された足部立体輪郭体とすることができる。このようにして希望するヒ−ル高の靴を履いた時と同じ足型を簡単に採取できる。したがって、ユ−ザ−は何時でも何処でもお湯が手に入る場所であれば自由に足型を採取することができる。
【0025】
ステップ4は上記の如く修正された足部立体輪郭体を基に靴型を製造する工程である。このようにして得られた足型は、フィットした靴を履いた状態そのままの足型であるため、これをそのまま雌型として利用しシリコン樹脂などの公知の各種印象転写技術により足の形状模型を製作し、更に捨て寸部分を付け足して靴型の原型とすることができる。捨て寸部分は付け加える加工であり足の大きさや靴の形状などにより、その寸法と形状が経験的に決められるためこの付加工程で大きな誤差が発生することは少ない。
これらの作業により得られた原型を基に倣い工作加工等の公知の方法により靴型を製作し、得られた靴型により適切な靴の製作が可能となる。即ち、足型から靴型を製作する工程もほぼ機械的にできるため熟練なども必要とせず低コストで適切な靴型を製作することができる。
【0026】
【実施例】
本発明の実施が可能な熱可塑性樹脂は、加熱により融点を越えると流動化する樹脂と、粘性を保ち当初の形状を維持する樹脂とに分かれる。前者は採取する足の大きさや靴の形やサイズ等全く自由に対応でき、また、その樹脂を何度でもそのまま再利用できるためコストが安く済むというメリットがあるが、足の表面に樹脂を引き伸ばす手間がかかり、均等な厚さに引き伸ばせないため温度管理が難しい等のデメリットがある。これに対し後者は予め足型の採取作業がしやすいように靴形状に成形しておくことができ、足型採取器として利用できるので極めて利便性が高い。しかしながら、樹脂の再利用は樹脂同士の接着力が高いので限界があり、その分コストが高くなるというデメリットがある。
したがって、実施例も樹脂の性質により2つに分けて実施した。なお、実施例ではステップ3までの工程に止め、ステップ4の工程は専ら公知技術によるため省略した。
【0027】
【実施例1】
前者の樹脂、即ち、加熱により融点を越えると流動化する樹脂による足部立体輪郭体の形成工程(ステップ2)と修正工程(ステップ3)までを以下の手順で実施した。
まず、ポリカプロラプトン樹脂ペレット300グラムを約80℃の湯2リットルの中に投入すると、樹脂の融点は60℃であるため、ほどなくペレットは軟化し一塊の餅状となった。その状態で湯を捨て、樹脂表面を霧吹きで冷却促進させると20秒程で樹脂表面は45℃になり皮膚接触可能な温度になった。この状態で素早く取り出し、図1に示す如く靴の型に準じ足の周りに厚さ2ミリ程度にほぼ均等に引き延ばし足部立体輪郭体を形成した。(ステップ2)
この状態で更に20秒程待つと樹脂は餅状からゴムシ−ト状に硬化を開始した。この段階で図2に示す如く、所定の靴のヒ−ルの高さに合わせて作られた足型採取台2に足を乗せ、体重をかけながら外側からボ−ルガ−ス部を押え込み、約1分ほど固定すると樹脂は完全に硬化し靴を履いた状態の修正された足部立体輪郭体が得られた。(ステップ3)
【0028】
【実施例2】
次に後者の樹脂、即ち、加熱により融点を越えても粘性を保ち当初の形状を維持する樹脂により足型採取器を製作(ステップ1)した後、これにより足部立体輪郭体を形成する工程(ステップ2)とその修正工程(ステップ3)までを以下の手順で実施した。
予め2ミリ厚のシ−ト状に加工されたトランスポリイソプレン樹脂シ−トを靴の型紙状に切り取り、加熱により互いに強く接着する性質を利用し、電気鏝により図3に示す如く模型足立体輪郭体5をハイヒ−ル様に仕上げ足型採取器4を作成した。この樹脂の融点は67℃であるため、電気鏝を用いなくても良く、例えばドライヤ−などでも自在に加工することができる。ヒ−ル部分およびヒ−ルよりリフトされる靴底部分については体重の加重や加熱により所定の靴の形状が崩れないように肉厚を十分厚く加工した。また爪先部に相当する位置にはお湯で加熱する場合の利便性のために複数の湯抜き孔3を形成させた。なお実際に使用する足型採取器4については各種の公知の樹脂成形法により規格生産すると共に、ヒ−ル部や靴底部のように加熱時にも強度を保つ必要のある部分については、より熱に強い樹脂を用いることもできる。(ステップ1)
【0029】
この足型採取器4により足部立体輪郭体1を形成するため、実施例1に準じて約80℃のお湯に足型採取器4を浸し軟化させた。樹脂の軟化時間は20秒程であり表面冷却時間も約10秒で足の挿入が可能となった。また足部立体輪郭体1の形成および修正後、完全硬化するまでには更に約1分程の時間を要した。この足型採取器は樹脂の厚さが均等であり、また、軟化すると樹脂の色が半透明に変色するなど加熱・放熱の管理がやりやすく、更にヒ−ル部分と靴底部分が強固に取り付けられているため足型採取台を必要とせず、簡単に足部立体輪郭体1の形成と修正ができ、フィットする靴を履いた時の足型が採取できた。なお、足型採取後の足型採取器4の形状は図4に示す通りである。(ステップ2およびステップ3)
【0030】
なお、これらの樹脂は、完全硬化後もある程度の弾力性を有し、足を足部立体輪郭体1や足型採取器4から抜きにくい場合は、靴の履き口部に相当する部分をを鋏で切り開き、樹脂を広げて足を引き出すことができる。足を引き出した後切り口を合わせれば、元の形状寸法を復元することができる。
以上採取した修正後の足部立体輪郭体1にシリコン樹脂を流し込み、得られたシリコンの足型の精度を実際の足と比較検証したところ、誤差は1ミリ以内であり靴型の原型とする目的を達成した。なお、得られた足型の湾曲部に皺が発生することがあるが、本来の生体面との区別は明確にできるため修復は容易である。この足型に希望する靴の形状に準じ、捨て寸部分を同じシリコン樹脂等で追加成形し、靴型の原型とすることができる。この原型から倣い工作加工等の公知の形状転写技術により実際の靴を作る靴型の製作が可能となる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は以上の通り、フィットした靴を履いた時の足型を反映した靴型をメ−カ−の底付け工程に投入できることにより、完全にフィットする靴を安価且つ迅速に消費者に提供できる道を開く。これにより現在の既成靴システムでは満足の得られない消費者にも満足のいく靴を提供できる。また通信販売のような、試し履きのできないシステムでも、足型採取器を媒介としてユ−ザ−の足の形状をメ−カ−サイドに伝えることができるため、的確な靴を消費者に提供できるという効果を有する。このため、流通の合理化を図ることができると共に、売れ残りが発生しないことから資源の節約にもつなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法の足部立体輪郭体形成ステップを説明するための模式図である。
【図2】 本発明に係るフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法の足部立体輪郭体の修正ステップを説明するための模式図である。
【図3】 足型採取前における本発明に係る模型足立体輪郭体に型取り台を取り付けた足型採取器の斜視図である。
【図4】 足型採取後における本発明に係わる足型採取器の斜視図である。
【図5】 本発明に係るフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法の一実施形態のフローチャートである。
【符号の説明】
1 足部立体輪郭体
2 足型採取台
3 湯抜き孔
4 足型採取器
5 模型足立体輪郭体
6 型取り台
Claims (3)
- 融点が100℃以下であり表面温度が50℃以下のとき5秒以上軟化状態を保持することができ、且つ室温で硬化する熱可塑性樹脂を軟化させ、足の爪先、踵、足裏および内外側面の輪郭に沿わせて伸展させ、靴状の足部立体輪郭体を形成する工程と、
前記足部立体輪郭体が軟化している間に、足の実寸法よりも小さく作るべき部位に任意に圧力を加えて締付部位を形成し、且つその状態にて完全に硬化させることにより足部立体輪郭体を修正する工程と、
修正された足部立体輪郭体を元に靴型を製造する工程と、
を備えて構成されてなるフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法。 - 融点が100℃以下であり表面温度が50℃以下のとき5秒以上軟化状態を保持することができ、且つ室温で硬化する熱可塑性樹脂を軟化させ、所定の模型足の立体輪郭体を形成し、更に所定のヒ−ル高に合わせて作られた型取り台を取り付けて靴状の足型採取器を作る工程と、
前記足型採取器を軟化させ、挿入された足の爪先、踵、足裏および内外側面の輪郭に沿わせて足部立体輪郭体とする工程と、
前記足部立体輪郭体が軟化している間に、足の実寸法よりも小さく作るべき部位に任意に圧力を加えて締付部位を形成し、且つその状態にて完全に硬化させることにより足部立体輪郭体を修正する工程と、
修正された足部立体輪郭体を元に靴型を製造する工程と、
を備えて構成されてなるフル・オ−ダ−メイド靴の靴型の製造方法。 - 融点が100℃以下であり表面温度が50℃以下のとき5秒以上軟化状態を保持することができ、且つ室温で硬化する熱可塑性樹脂を軟化させ、所定の模型足の立体輪郭体を形成し、更に所定のヒ−ル高に合わせて作られた型取り台を取り付けてなる靴状の足型採取器。
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