JP4277931B2 - 面発光装置、液晶表示装置及び光学シート組合せ体 - Google Patents

面発光装置、液晶表示装置及び光学シート組合せ体 Download PDF

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本発明は、集光機能と一定の偏光分離機能とを兼ね備えた面発光装置、液晶表示装置及び光学シート組合せ体に関する。
液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は、ブラウン管(CRT:Cathode Ray Tube)と比較して低消費電力かつ小型化、薄型化が可能であり、現在では、携帯電話、携帯型ゲーム機、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistants)等の小型機器から、大型サイズの液晶テレビに至るまで、様々なサイズのものが幅広く使用されている。
液晶表示装置は透過型、反射型等に分類され、特に透過型液晶表示装置は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの光入射側に配置された第1の偏光子(偏光板)と、液晶表示パネルの光出射側に配置された第2の偏光子(偏光板)のほか、照明光源としてバックライトユニットを備えている。バックライトユニットは、光源を液晶表示パネルの直下に配置する直下型のほか、エッジライト型がある。エッジライト型のバックライトユニットは、液晶表示パネルの背面に配置される導光板と、この導光板の一側端部に配置された光源と、導光板の光出射面とは反対側の面を覆う反射板等で構成されている。
これら各方式のバックライトユニットに用いられる光源には、従来より、白色光を発光する冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が広く用いられている。特に近年、携帯電話等のモバイル用途のディスプレイには、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を光源に用いるバックライトユニットが有望視されている。
モバイル用途のディスプレイにおいては、正面方向の輝度が求められており、そのためにバックライト光の出射方向を正面方向に制限する手法が採られている。例えば、バックライト光の出射方向を正面方向に配光させる目的で、輝度向上フィルム又はシートと称される光学シートをバックライトユニットと液晶表示パネルとの間に配置する構成が知られている(特許文献1,2参照)。
輝度向上フィルムは、一方の面に三角柱形状のプリズムが微細ピッチで周期配列されたプリズムシートで構成されており、バックライト光を正面方向に立ち上げて集光する作用を有している。特に、プリズムの延在方向を互いに直交させて2枚のプリズムシートを重ね合わせる構成や、プリズムシートの上に、一方の直線偏光成分は透過し他方の直線偏光成分は反射する反射性偏光シートを配置する構成が知られている(特許文献1参照)。
プリズムシートは、典型的には、透明基材の表面に活性エネルギー線硬化樹脂からなる硬化樹脂層を積層することで構成される(特許文献2参照)。
特表2002−544565号公報 特開2004−168869号公報
近年、モバイル用途のディスプレイにおいては、ディスプレイ全体の更なる薄型化と高画質化が求められている。しかし、正面輝度の向上を目的として使用される反射性偏光シートは、高価であるため、液晶表示装置の生産コストを上昇させるという問題がある。また、反射性偏光シートの使用によりシート設置枚数が増加し、液晶表示装置の薄型化に支障をきたす。さらに、反射性偏光シートを用いたとしても、第1の偏光子の吸収軸方向の偏光成分が一部漏れ出るなど、機能的に必ずしも十分であるとは限らない。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、集光機能と一定の偏光分離機能とを兼ね備えながら、正面輝度の向上に必要な光学シートの使用枚数を低減できる面発光装置、液晶表示装置及び光学シート組合せ体を提供することを課題とする。
以上の課題を解決するにあたり、本発明の面発光装置は、
発光体と、
前記発光体から出射される光を透過する透過軸を有する偏光子と、
前記発光体と前記偏光子の間に配置された、複数枚の光学シートからなる光学シート組合せ体とを具備し、
前記複数枚の光学シートは、光入射面と、プリズムが連続して配列された構造面でなる光出射面とをそれぞれ有し、
前記プリズムは、前記プリズムの延在方向に平行な第1の屈折率を有する第1の光学軸と、前記プリズムの配列方向に平行であり前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率有する第2の光学軸とを含み、かつ、前記光入射面に斜め方向から入射した一部の光については、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率のうち屈折率が大きい方向の偏光成分を前記光入射面側へ反射させるとともに屈折率が小さい方向の偏光成分を透過させ、前記光入射面に垂直方向から入射した光については、偏光状態に関係なく前記光入射面側へ反射させる一対の斜面を有し、
前記複数枚の光学シートは、前記第1の屈折率及び前記第2の屈折率のうち屈折率の小さい方の前記光学軸が前記偏光子の前記透過軸とほぼ平行となるようにそれぞれ配置されている。
また、本発明の液晶表示装置は、
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルを照明する発光体と、
前記液晶表示パネルの光入射側に配置され、前記発光体から出射される光を透過する透過軸を有する第1の偏光子と、
前記液晶表示パネルの光出射側に配置された第2の偏光子と、
前記第1の偏光子と前記発光体の間に配置された、複数枚の光学シートからなる光学シート組合せ体とを具備し、
前記複数枚の光学シートは、光入射面と、プリズムが連続して配列された構造面でなる光出射面とをそれぞれ有し、
前記プリズムは、前記プリズムの延在方向に平行な第1の屈折率を有する第1の光学軸と、前記プリズムの配列方向に平行であり前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率有する第2の光学軸とを含み、かつ、前記光入射面に斜め方向から入射した一部の光については、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率のうち屈折率が大きい方向の偏光成分を前記光入射面側へ反射させるとともに屈折率が小さい方向の偏光成分を透過させ、前記光入射面に垂直方向から入射した光については、偏光状態に関係なく前記光入射面側へ反射させる一対の斜面を有し、
前記複数枚の光学シートは、前記第1の屈折率及び前記第2の屈折率のうち屈折率の小さい方の前記光学軸が前記第1の偏光子の前記透過軸とほぼ平行となるようにそれぞれ配置されている。
さらに、本発明の光学シート組合せ体は、
発光体と、前記発光体から出射される光を透過する透過軸を有する偏光子との間に配置される光学シート組合せ体であって、
光入射面と、
プリズムが連続して配列された構造面でなる光出射面とを具備する、複数枚の光学シートからなり、
前記プリズムは、前記プリズムの延在方向に平行な第1の屈折率を有する第1の光学軸と、前記プリズムの配列方向に平行であり前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率有する第2の光学軸とを含み、かつ、前記光入射面に斜め方向から入射した一部の光については、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率のうち屈折率が大きい方向の偏光成分を前記光入射面側へ反射させるとともに屈折率が小さい方向の偏光成分を透過させ、前記光入射面に垂直方向から入射した光については、偏光状態に関係なく前記光入射面側へ反射させる一対の斜面を有し、
前記複数枚の光学シートは、前記第1の屈折率及び前記第2の屈折率のうち屈折率の小さい方の前記光学軸が前記偏光子の前記透過軸とほぼ平行となるようにそれぞれ重ねて配置されている。
本発明に係る光学シートは、プリズムの延在方向とこれに直交する配列方向との間に屈折率差を有している。これにより、当該光学シートに入射した光に対し、プリズムの延在方向に振動する偏光成分とプリズムの配列方向に振動する偏光成分とで、互いに異なる透過特性をもたせることができるようになる。例えば、プリズムの配列方向の屈折率よりもプリズムの延在方向の屈折率を大きくすることで、当該光学シートへ入射した光のうちプリズムの配列方向に振動する偏光成分の出射光量を大きくすることができる。この偏光成分の透過特性の差は、プリズムの延在方向とその配列方向の屈折率の差が大きいほど大きくなる。
したがって、当該光学シートは、プリズム部分において、配光制御機能だけでなく、一定の偏光分離機能をも有することになる。そして、当該機能を有する複数枚の光学シートを、その面内の異方性光学軸のうち屈折率の小さい方の光学軸が互いに同一方向となるように組み合わせることによって、上記配光制御機能および偏光分離機能がともに一層高められることになる。また、各光学シートの屈折率の小さい方の光学軸を偏光子の透過軸と同一の方向に配置することによって、当該偏光子を透過する光量が高められ、正面輝度を向上させることが可能となる。
光学シートの光出射面をプリズムが連続して配列された構造面とすることにより、正面輝度を高くするといった配光制御が可能となる。
好適には、本発明の光学シート組合せ体は、プリズムの配列方向の屈折率よりもプリズムの延在方向の屈折率の方が小さい第1の光学シートと、プリズムの配列方向の屈折率よりもプリズムの延在方向の屈折率の方が大きい第2の光学シートからなる。このような構成により、第1の光学シートと第2の光学シートの各々の光学軸を同一方向に向けさせながら、各々のプリズムの延在方向を互いに交差(直交)させることが可能となり、特に正面輝度の大きな向上が図れるようになる。
このように偏光子を用いた発光体の正面輝度の向上には、偏光制御と配光制御が重要である。偏光制御には上記第1及び第2の光学シートにおいて、プリズムの延在方向とその配列方向の屈折率の差が大きい方が好ましい。配光制御には上記第1及び第2光学シートにおけるプリズムの延在方向とその配列方向の屈折率の小さい方の値がなるべく高い方が好ましく、具体的には小さい方の屈折率が1.50以上である。また、偏光制御機能、配光制御機能の双方とも、上記プリズムの断面が頂角90度の二等辺三角形のプリズム形状である場合が、最も好ましい。
本発明に係る光学シートは、プリズムが表面に形成された樹脂シートを当該プリズムの延在方向に延伸処理することによって作製することができる。樹脂シートの延伸方向をプリズムの延在方向とするのは、延伸前後におけるプリズムの形状変化(崩れ)による光学特性の変動を少なくするためである。
この場合、上記第1の光学シートは、延伸方向に屈折率が小となる樹脂材料(樹脂シート)で構成することができる。また、上記第2の光学シートは、延伸方向に屈折率が大となる樹脂材料(樹脂シート)を用いることができる。第1の光学シートを構成する樹脂シートとしては、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合体又はこれらの混合物が挙げられる。また、第2の光学シートを構成する樹脂シートとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)又はこれらの混合物又はPET−PENコポリマー等の共重合体が挙げられる。
上述した本発明の光学シート組合せ体を発光体と偏光子との間に配置して面発光装置あるいは液晶表示装置を構成することによって、集光機能等の配光制御機能に加えて一定の偏光分離機能が得られることから、従来用いられていた反射性偏光シートを不要とすることが可能となる。これにより、正面輝度の向上に必要とされる光学シートの設置枚数の低減を図ることが可能となるとともに、面発光装置あるいは液晶表示装置の薄型化にも対応することが可能となる。
以上述べたように、本発明によれば、プリズムの延在方向とその配列方向とで屈折率の異方性を有する光学シートを複数枚組み合わせているので、集光機能等の配光制御機能だけでなく一定偏光分離機能をも得ることが可能となる。これにより、反射性偏光シート等の高価な光学素子を用いずとも、液晶表示装置の輝度向上効果を高めることができるとともに、部品点数及び製造コストの低減を図ることが可能となる。

以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態による光学シート組合せ体30を備えた液晶表示装置21の構成を概略的に示す斜視図である。まず、この液晶表示装置21の全体構成について説明する。
本実施形態の液晶表示装置21は、液晶表示パネル22と、この液晶表示パネル22の光出射側に配置された第2の偏光子(偏光板)23Bと、液晶表示パネル22を照明する面発光装置33とを備えている。面発光装置(バックライト装置)33は、発光体24と、拡散シート28と、本発明に係る光学シート組合せ体30と、液晶表示パネル22の光入射側に配置された第1の偏光子(偏光板)23Aとによって構成されている。
液晶表示パネル22は、液晶層を一対の透明基板で挟み込んだ構造を有している。液晶表示パネル22の駆動モードは特に限定されず、VA(垂直配向)、IPS(インプレーンスイッチング)、TN(ツイストネマチック)等が適用可能である。なお必要に応じて、液晶表示パネル22には、液晶層等の複屈折を光学的に補償するための位相差フィルム等が適宜設置される。
第1の偏光子23Aは、発光体24から出射される光を透過する透過軸aを有する。透過軸aは図1のY軸方向に設定され、第2の偏光子23Bの透過軸bは図1のX軸方向に設定されている。ここで、X軸及びY軸は、液晶表示パネル22の表示面において互いに直交する2軸であり、Z軸は、X軸及びY軸に対して直交する液晶表示装置21の厚み方向に平行な軸である。
図示する発光体24は、エッジライト型バックライトユニットで構成されているが、直下型バックライトユニットで構成されてもよい。発光体24は、透光性材料からなる導光板25と、この導光板25の一側端部に配置された光源26と、導光板25の光出射面とは反対側の面を覆う反射板27等を備えている。光源26は、図示の例ではLED等の複数の点光源で構成したが、蛍光管等の単数又は複数の線状光源が用いられてもよい。また、発光体24として有機ELのような面発光源が用いられてもよい。
導光板25と第1の偏光子23Aとの間には、導光板25側から拡散シート28、第1のプリズムシート29Aおよび第2のプリズムシート29Bが順に配置されている。拡散シート28は、導光板25から出射された光を所定角度範囲にわたって拡散出射する機能を有し、発光体24の輝度分布の一様化を図るために設けられている。第1のプリズムシート29A及び第2のプリズムシート29Bは、光学シート組合せ体30を構成する本発明の第1の光学シート及び第2の光学シートにそれぞれ対応し、拡散シート28から出射された光を液晶表示パネル22の正面方向に集光し正面輝度の向上を図る輝度向上シートとして機能する。
以下、光学シート組合せ体30を構成する本発明に係る第1,第2のプリズムシート29A,29Bの詳細について説明する。
第1プリズムシート29Aおよび第2プリズムシート29Bはそれぞれ、光の出射面に、立体構造であるプリズムPa,Pbが多数連続して配列されてなり、各々のプリズム形成面を液晶表示パネル22側に向けて配置されている。プリズムシート29A,29Bは、各々のプリズムPa,Pbの稜線方向(延在方向)が互いに直交するように重ね合わされている。なお、これらプリズムシート29A,29Bは接着層を介して一体化されていてもよい。この場合、上記接着層としては、プリズムシート29A,29Bよりも低屈折率の透明材料が好ましい。
プリズムPa,Pbは、三角柱形状のプリズム体からなるが、頂角やプリズム高さ、配列ピッチ等は特に制限されない。また、プリズムPaおよびプリズムPbの間で、これら頂角やプリズム高さ、配列ピッチ等を相互に異ならせてもよい。また、立体構造は上述したプリズム体に限られず、シリンドリカルレンズ等のレンチキュラーレンズ体で構成されてもよい。
第1,第2のプリズムシート29A,29Bは、プリズムPa,Pbの延在方向(以下、プリズム延在方向ともいう。)に平行な光学軸(第1の光学軸)とその配列方向(以下、プリズム配列方向ともいう。)に平行な光学軸(第2の光学軸)とで異なる屈折率を有している。このように、プリズムシート29A,29Bの屈折率に面内異方性をもたせることによって、プリズムシート29A,29Bへ入射する光の透過特性を偏光状態に応じて異ならせることが可能となる。
ここで、プリズム延在方向の屈折率(第1の屈折率)の方がプリズム配列方向の屈折率(第2の屈折率)よりも大きい場合を例に挙げて、入射光の偏光状態に応じた透過特性の相違について図2および図3を参照して説明する。
図2および図3は、表面にプリズムPが多数連続して配列されたプリズムシートを透過する光の経路を模式的に示している。プリズムシートの上面側のプリズム形成面は光出射面とされ、下面側の平坦面は光入射面とされている。a軸はプリズムPの延在方向、b軸はプリズムPの配列方向、そして、c軸はプリズムシート19の厚み方向をそれぞれ示している。Laは、バックライト光Lのうちプリズム延在方向に振動する偏光成分を示し、Lbは、バックライト光のうちプリズム配列方向に振動する偏光成分を示している。ここで、図2に示すプリズムシート19bは、プリズム延在方向の屈折率(na)がプリズム配列方向の屈折率(nb)よりも大きい(na>nb)。また、図3に示すプリズムシート19aは、プリズム延在方向の屈折率(na)がプリズム配列方向の屈折率(nb)よりも小さい(na<nb)。
図2を参照して、プリズムシート19bの光入射面に対して斜め方向から入射角θ1で入射したバックライト光は、プリズムPの延在方向と配列方向とでプリズムシート19bの屈折率が異なることから、バックライト光の偏光成分Laと偏光成分Lbは互いに異なる屈折角ra,rb(ra<rb)でそれぞれ屈折するとともに、異なる出射角φa,φbでプリズム斜面から出射する。このとき、偏光成分Laの出射角φaよりも、偏光成分Lbの出射角φbの方が小さい(φa>φb)。
以上の例においては、両偏光成分La,Lbのいずれもが、プリズムシート19bの光出射面(プリズム形成面)から出射されることになる。しかし、プリズム延在方向とプリズム配列方向とで異なる屈折率を有しているので、これら各方向に振動する偏光成分は、プリズムシート19bの光入射面およびプリズム斜面といった界面において、互いに異なる反射率で反射されることになる。すなわち、この例では、プリズム延在方向に振動する偏光成分Laの方が、偏光成分Lbに比べて反射量が大きい。その結果、このプリズムシート19bを透過するバックライト光は、偏光成分Laよりも偏光成分Lbの方が光量的に多いことになる。
また、プリズム斜面から出射する各偏光成分La,Lbの出射角は、φa>φbの関係となるので、プリズムシート19bへ入射するバックライト光の入射角がある条件を満たすと、偏光成分Laがプリズム斜面で全反射を繰り返して戻り光となり、偏光成分Lbのみがプリズムシート19bを透過する完全な偏光分離状態を実現することができる。この例が入射角θ2の条件下で成立する様子を図2に示している。θ2の具体例としては、na=1.9、nb=1.6およびプリズムPの頂角が90度の条件において、約11度〜25度である。
なお、このプリズムシート19bに対するバックライト光の入射角が小さくなり過ぎると、バックライト光がプリズムシート19bの光入射面に対して垂直に入射する場合と変わらなくなる。この場合、図2に示したように、バックライト光Lは偏光状態に関係なく、プリズムPの傾斜面において全反射を繰り返して、バックライト側へ戻る戻り光となる。
バックライト側に戻された戻り光は、拡散シート28の拡散効果や反射板27の反射によって偏光解消され、無偏光となった状態で再度プリズムシート19bに入射する。これを繰り返すことで、最終的にも偏光成分Laよりも偏光成分Lbの光量が多くなる。
これに対して、プリズム延在方向の屈折率の方がプリズム配列方向の屈折率よりも小さい場合は、図3に示すように、偏光成分Lbの出射角φbよりも偏光成分Laの出射角φaの方が小さい(φa<φb)。すなわち、この例では、プリズム配列方向に振動する偏光成分Lbの方が、偏光成分Laに比べて反射量が大きくなる結果、プリズムシート19aを透過するバックライト光は、偏光成分Lbよりも偏光成分Laの方が光量的に多いことになる。
バックライト側に戻された戻り光は、拡散シート28の拡散効果や反射板27の反射によって偏光解消され、無偏光となった状態で再度プリズムシート19aに入射する。これを繰り返すことで、最終的にも偏光成分Lbよりも偏光成分Laの光量が多くなる。
本実施形態において、第1のプリズムシート29Aは、図4に示すように、プリズムPaの配列方向(X軸方向)の屈折率よりもプリズムPaの延在方向(Y軸方向)の屈折率の方が小さく構成されている(図3のプリズムシート19aに相当)。また、第2のプリズムシート29Bは、図5に示すように、プリズムPbの配列方向(Y軸方向)の屈折率よりもプリズムPbの延在方向(X軸方向)の屈折率の方が大きく構成されている(図2のプリズムシート19bに相当)。
そして、本実施形態の光学シート組合せ体30においては、これら第1のプリズムシート29Aおよび第2のプリズムシート29Bは、各々の面内の異方性光学軸のうち屈折率の小さい方の光学軸(以下「低屈折率側光学軸」という。)がそれぞれ同一方向となるように配置されている。これにより、各プリズムシート29A,29Bを透過するバックライト光の偏光分離特性が高められることになる。
図6は、光学シート組合せ体30と第1の偏光子23Aとの関係を説明する斜視図、図7は、第1の偏光子23Aと第2のプリズムシート29Bとの関係を説明する概略側面図である。図6に示すように、第1のプリズムシート29Aの低屈折率側光学軸29AaはプリズムPaの延在方向であり、第2のプリズムシート29Bの低屈折率側光学軸29BbはプリズムPbの配列方向である。図6は、これらシートの低屈折率側光学軸29Aa,29Bbを同一方向(図6においてY軸方向)に配置させた例を示している。このとき、各プリズムシート29A,29Bのプリズム延在方向あるいはプリズム配列方向は、互いに交差(直交)する関係となる。これにより、各プリズムシート29A,29Bを透過するバックライト光は効率よく正面方向に集光されることになる。
また、本実施形態では、図1および図6に示したように、第1,第2のプリズムシート29A,29Bの低屈折率側光学軸29Aa,29Bbは、液晶表示パネル22の光入射側に配置される第1の偏光子23Aの透過軸aの方向と略平行に配置されている。ここで「略平行」とは、低屈折率側光学軸29Aa,29Bbと透過軸aとが平行である場合のほか、若干、平行状態からずれた状態を含む実質的平行を意味する。これにより、第1,第2のプリズムシート29A,29Bで偏光分離したバックライト光の液晶表示パネル22に対する入射光量が高められ、正面輝度の向上が図れるようになる。
次に、以上のように構成される第1,第2のプリズムシート29A,29Bの製造方法の一例について説明する。
本実施形態の第1,第2のプリズムシート29A,29Bは、一方の面にプリズム構造面が形成された樹脂シートを成形する工程と、この樹脂シートをプリズムの延在方向に延伸して、プリズムの延在方向とその配列方向とで屈折率に差をもたせる工程を経て、製造される。
上記樹脂シートの成形方法は特に限定されないが、例えば、熱プレス法や溶融押出し加工法等が適用可能である。また、平坦な樹脂シートをベースとし、その上にプリズム層を作製してもよい。なお、樹脂シートは、ロール方式で連続的に作製できる方法が好ましい。
作製した樹脂シートは、プリズム延在方向に延伸されることで屈折率異方性が付与される。図8(A),(B)に樹脂シートの延伸工程を概略的に示す。図8(A)に示すように、樹脂シート50は、樹脂シート50のプリズム延在方向に延伸される。延伸率は、目的とするプリズム形状、面内屈折率差等に応じて適宜設定される。
延伸方向をプリズム延在方向とするのは、延伸前後におけるプリズム形状の変動によって、目的とする光学特性が変化することを抑えるためである。図8(B)は延伸前後におけるプリズム構造面の外形状の変化を示しており、実線は延伸前、一点鎖線は延伸後を示している。延伸方向をプリズム延在方向(a軸方向)とすることにより、延伸後のプリズム断面形状が延伸前のプリズム断面形状に対してほぼ相似的に縮小した形状となるので、光学特性の変動が抑えられ、必要とするプリズム形状、高さ、配列ピッチ等を高精度に制御することが可能となる。
ここで、第1のプリズムシート29Aは、プリズム配列方向の屈折率よりもプリズム延在方向の屈折率の方が小さく構成される。このため、第1のプリズムシート29Aを構成する樹脂シートとしては、延伸方向に屈折率が小となる樹脂材料が用いられる。延伸方向に屈折率が小となる樹脂材料としては、ポリメチルメタクリレート等のメタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、及びこれらの混合物等が挙げられる。
一方、第2のプリズムシート29Bは、プリズム配列方向の屈折率よりもプリズム延在方向の屈折率の方が大きく構成される。このため、第2のプリズムシート29Bを構成する樹脂シートとしては、延伸方向に屈折率が大となる樹脂材料が用いられる。延伸方向に屈折率が大となる樹脂材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)及びこれらの混合物またはPET−PENコポリマー等の共重合体、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリアミド等が挙げられる。
第1,第2のプリズムシート29A,29Bの複屈折の大きさは特に制限されないが、例えば0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。複屈折が大きいほど偏光選択性が高まり、正面輝度の向上率を増加させることができる。
また、一般に、延伸方向に屈折率が大となる樹脂材料に比べて、延伸方向に屈折率が小となる樹脂材料の方が、延伸により得られる複屈折は小さい。すなわち、同じ延伸率でも延伸方向に屈折率が大となる樹脂材料の方が大きな複屈折が得られる。従って本実施形態では、第1のプリズムシート29Aに比べて、第2のプリズムシート29Bの方が大きな複屈折が得られやすい。
そこで、本実施形態の形態では、第2のプリズムシート29Bは第1のプリズムシート29Aと第1の偏光子23Aの間に配置されている。このように偏光選択性の高い方のプリズムシート29Bを第1の偏光子23Aの光入射側に配置することによって、第1の偏光子23Aの透過軸に平行な偏光成分の出射光量を高めることが可能となる(図7)。
次に、以上のように構成される本実施形態の液晶表示装置21の基本動作について図1を参照して説明する。光源26からの射出光は、導光板25に入射した後、導光板25の上面(光出射面)から出射される。導光板25から出射した光は、拡散シート28に入射してむらなく拡散された後、光学シート組合せ体30(第1のプリズムシート29Aおよび第2のプリズムシート29B)によって正面方向に配置されて、第1の偏光子23Aを介して液晶表示パネル22へ入射する。液晶表示パネル22に入射した光は、画素ごとに透過量が制御された後、カラーフィルタ(図示略)、第2の偏光子23Bを介して観察者側へ出射される。これにより、液晶表示パネル22の前面にカラーの画像表示が行われる。
ここで、光学シート組合せ体30の作用について説明する。
図6に示したように、第1のプリズムシート29Aと第2のプリズムシート29Bは、各々のプリズム構造面が第1の偏光子23A側に対向するように設置される。第1のプリズムシート29AのプリズムPaの延在方向(Y軸方向)と第2のプリズムシート29BのプリズムPbの延在方向(X軸方向)は、互いに直交している。そして、第1のプリズムシート29Aの低屈折率側光学軸29AaはプリズムPaの延在方向(Y軸方向)に向けられており、第2のプリズムシート29Bの低屈折率側光学軸29BbはプリズムPbの配列方向(Y軸方向)に向けられている。これら低屈折率側光学軸29Aa,29Bbの配置方向は、第2の偏光子23Aの透過軸aの方向と一致する。なお「b」は、第2の偏光子23Bの透過軸方向を示しており、第1の偏光子23Aの透過軸aと直交関係にある。また、「b」は第1の偏光子23Aの吸収軸にも相当する。
上記構成において、光学シート組合せ体30に入射した光のうち、XZ面内を進行する光は、第1のプリズムシート29AのプリズムPaを屈折透過することによって正面方向(Z軸方向)に偏向される。一方、YZ面内を進行する光は、第2のプリズムシート29BのプリズムPbを屈折透過することによって正面方向に偏向される。このように、2枚のプリズムシートを直交配置させることによって、バックライト光は効率よく正面方向に配向される。これにより、液晶表示装置21の正面輝度の向上が図られ、特にモバイル用途の液晶表示装置に用いて好適となる。
また、第1プリズムシート29Aに入射した光は、この第1のプリズムシート29Aの面内異方性(nx>ny)によって、Y軸方向に振動する偏光成分の方が、X軸方向に振動する偏光成分に比べて光量的に多く出射される。一方、第2のプリズムシート29Bに入射した光は、この第2プリズムシート29Bの面内異方性(nx>ny)によって、Y軸方向に振動する偏光成分の方が、X軸方向に振動する偏光成分に比べて光量的に多く出射される。
したがって、光学シート組合せ体30を透過するバックライト光(L)は、Y軸方向に振動する偏光成分(Ly)の出射光量の方が、X軸方向に振動する偏光成分(Lx)の出射光量よりも多い。なお、偏光成分Lxに対する偏光成分Lyの量的割合は、プリズムシート29A,29Bの各々の面内屈折率異方性(複屈折)の大きさ、プリズムシート29A,29Bの立体構造の形状、プリズムシート29A,29Bに入射する発光体の光の入射角の分布などに依存する。
本実施形態の光学シート組合せ体30によれば、集光作用だけでなく、一定の偏光分離作用を得ることができる。これにより、図7に示したように、第2プリズムシート29Bから出射するバックライト光のうち、プリズムPbの延在方向(X軸方向)の偏光成分Lxの出射光量をプリズムPbの配列方向(Y軸方向)の偏光成分Lyの出射光量よりも少なくでき、第1の偏光子23Aにおけるバックライト光の吸収量を低減して、バックライト光の有効利用を図れるようになる。すなわち、バックライト光の取出し効率を高めて正面輝度の向上を図ることが可能となる。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置21によれば、導光板25と第1の偏光子23Aとの間に光学シート組合せ体30を配置することにより、プリズムシートを2枚重ねて配置することで得られる輝度向上効果に加えて、従来の反射性偏光シートと同様の機能をもつことから、当該反射性偏光シートを不要とすることが可能となる。これにより、正面輝度の向上に必要とされる光学シートの設置枚数を少なくすることができるので、光学シートのトータル厚みを小さくすることが可能となり、液晶表示装置の薄型化に十分に対応することが可能となる。
また、本実施形態によれば、第1のプリズムシート29Aに比べて複屈折が大きい第2のプリズムシート29Bを第2のプリズムシート29Aの光出射側に配置して光学シート組合せ体30を構成しているので、第1の偏光子23Aの直下位置で所望の偏光成分を効率よく取り出すことが可能となる。これにより、第1の偏光子23Aに対する偏光成分の透過光量が高められ、正面輝度の向上に大きく貢献することが可能となる。
一方で、液晶表示パネルとしてのコントラスト向上など、輝度向上と別の目的で、第1の偏光子23Aの透過軸の向きがプリズムシート29A,29Bの低屈折率の軸から若干傾いたとしても、本発明の効果がなくなるわけではない。ただし、プリズムシート29A,29Bの低屈折率の軸と第1の偏光子23Aの透過軸の向きのなす角度が小さいほど輝度が向上するため、この角度は0度〜45度である必要があり、望ましくは、0度〜20度であり、更に望ましくは0度、つまり略平行に配置されることである。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、面発光装置33として、無偏光のバックライト光を出射する発光体24を用いたが、これに代えて、出射光に偏光の偏りがある発光体を用いることができる。例えば「APPLIED OPTICS /Vol.43, No24 /20 August 2004」誌には、導光板の光出射面のマイクロ構造体に屈折率異方性を有するフィルムを貼り合わせることで、出射光に偏光の偏りを持たせることができる構成が開示されている。この原理を利用して例えば図9に示すように発光体を構成することにより、第1の偏光子23Aの透過軸方向(第1,第2のプリズムシート29A,29Bの低屈折率側光学軸方向)に振動する偏光成分を優先的に出射させることが可能となり、光利用効率を更に高めて正面輝度の向上を図ることができる。使用用途に応じた正面輝度や輝度視野角を実現するため、場合によっては、プリズムシートは1枚でも構わない。
図9は、偏光選択性を備えた発光体の概略構成を示している。この面発光装置は、導光板35の光出射面に、マイクロプリズム36aが離散的に配列された構造層36が設置され、更にこの構造層36の表面が複屈折層37で覆われた構成を有している。マイクロプリズム36aの斜面は、X軸方向に振動する偏光成分Lxは透過しY軸方向に振動する振動成分Lyは反射する適宜の角度(ブリュースター角)に設定されている。したがって、この面発光装置を、偏光成分Lyの振動方向が第1偏光子23Aの透過軸方向と一致するように構成することにより、偏光成分Lyが光量的に多いバックライト光を生成することが可能となる。
また、発光体24として、そもそも偏光発光する発光体を用いてもよい。例えば特開2006−228861号公報には、有機EL素子の分子を配向させることで、偏光発光する発光体が報告されている。また「Applied Physics Letters / Vol.87, 243503 / 2005」誌にも、ポリフルオレンを配向させることで偏光発光する有機EL素子が報告されている。いずれにしても、この偏光発光した光の偏光方向に対し、第1,第2のプリズムシート29A,29Bの低屈折率の軸を合わせ、さらに偏光子の透過軸を合わせることで、光利用効率を更に高めて正面輝度の向上を図ることができる。使用目的に応じた正面輝度や輝度視野角を実現するため、場合によっては、プリズムシートは1枚でも構わない。
[第3の実施形態]
続いて、図10を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図10は本発明の第2の実施形態による面発光装置38の構成を概略的に示す斜視図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の面発光装置38は、発光体44と、拡散板32と、拡散シート28と、光学シート組合せ体31と、液晶表示パネル(図示略)の光入射側に配置される第1の偏光子23Aとを備えている。
発光体44は、蛍光管(CCFL)からなる複数の線状光源46と反射板47を備えた直下型のバックライトユニットで構成されている。光学シート組合せ体31は、第1の実施形態と同様に、第1のプリズムシート29Aと第2のプリズムシート29Bで構成されている。
本実施形態では、第1のプリズムシート29Aは、図4に示したように、第2のプリズムシート29Bと偏光子23Aの間に配置されている。第1のプリズムシート29Aは、プリズム配列方向の屈折率よりもプリズム延在方向の屈折率の方が小さく構成されている。また、第2のプリズムシート29Bは、プリズム配列方向の屈折率よりもプリズム延在方向の屈折率の方が大きく構成されている。そして、これら第1のプリズムシート29Aおよび第2のプリズムシート29Bは、各々の面内の異方性光学軸のうち屈折率の小さい方の光学軸(低屈折率側光学軸)が偏光子23Aの偏光軸aとほぼ平行となるように配置されている。
本実施形態の面発光装置38において、第1のプリズムシート29Aは、プリズム配列方向の屈折率(nx)に比べてプリズム延在方向の屈折率(ny)が小さく、そのプリズム延在方向が第1の偏光子23Aの透過軸aに対して略平行に配置されている。そして、本実施形態では、第1のプリズムシート29Aの厚み方向に平行な光学軸(第3の光学軸)方向における屈折率(第3の屈折率)をnzとしたときに、nz>nyとなるように第1の光学シート29Aが構成されている。
本実施形態においても上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。特に本実施形態によれば、第1のプリズムシート29Aは、その厚み方向の屈折率(nz)がそのプリズム延在方向の屈折率(ny)よりも大きいので、例えばnz=nyの場合に比べて、正面輝度及び光の取出効率を高めることができる。nzの大きさは、nyよりも大きければよく、例えば、プリズム配列方向の屈折率とほぼ同等(nz=nx)とすることができる。
[実施例1]
図11に示す面発光装置100のシミュレーションモデルを構成し、光学シート組合せ体41を構成する2枚のプリズムシート40A,40Bの3軸方向の屈折率をそれぞれ図14に示すように設定し、それぞれのサンプルについて第1の偏光子23Aから出射する光の正面輝度及び取出効率を計算した。
図11において、図10と対応する部分についてはこれらと同一の符号を付している。以下の説明では、偏光子23A側に位置するプリズムシート40Aを「第1のプリズムシート」、拡散シート28側に位置するプリズムシート40Bを「第2のプリズムシート」とそれぞれ称する。
第1、第2のプリズムシート40A、40Bについては、その光の出射面に形成される立体構造が断面三角形状のプリズムで構成し、各々のプリズムの延在方向が互いに直交するように配置した。第1のプリズムシート40Aのプリズム配列方向については、偏光子23Aの透過軸aとほぼ平行に配置した。発光体34は直下型のバックライトユニットを採用し、拡散シート28、拡散板32、反射板47は、それぞれ、一般的な液晶テレビに用いられる典型的なものを用いた。また、偏光子23Aは、透過軸(a)方向の偏光は100%透過し、吸収軸(b)方向の偏光は100%吸収する理想的な特性を有するものとした。
図12は、評価の基準に用いる面発光装置101のシミュレーションモデルである。この面発光装置101は、図11に示した面発光装置100における光学シート組合せ体41が設けられていない構成に相当する。図13に、図12のシミュレーションモデルの輝度角度分布を示す。輝度角度分布は、図12におけるX軸方向を水平方向(Horizontal)、Y軸方向を垂直方向(Vertical)として示している。このときの光の取出効率は、50%であった。なお、取出効率とは、光源が放射する光量を100%としたときの面発光装置から出射される光の割合をいう。
プリズムシート40A,40Bの面内の屈折率(nx、ny)について、図14に示す代表的な4つのケース(ケース1〜4)を設定した。ケース1は、2枚のプリズムシート40A,40Bのいずれもが等方的な屈折率を有する場合(nx1=ny1、nx2=ny2)に相当する。ケース2とケース3は、2枚のプリズムシート40A,40Bがいずれも屈折率異方性を有し、いずれか一方のプリズムシートのみ屈折率の小さな方向が偏光子23Aの透過軸と略平行である場合に相当する。そして、ケース4は、2枚のプリズムシート40A,40Bがいずれも屈折率異方性を有し、これらの屈折率の小さな方向がともに偏光子23Aの透過軸と略平行である場合に相当する。
ケース1〜4について、面発光装置101で得られた正面輝度を基準としたときの面発光装置100の正面輝度の上昇率及びその光の取出効率を測定した。その結果を図15に示す。なお、ケース1〜4のシミュレーション条件は、面発光装置101のシミュレーション条件と同一とした。
図15の結果から、2枚のプリズムシート40A,40Bの面内の光学異方性のうち屈折率の小さい方向を偏光子の透過軸に合わせたケース4が、正面輝度の上昇率及び光の取出効率が最も高いことがわかる。一方で、ケース2及びケース3は、2枚の等方性プリズムシートを用いたケース1にも劣る結果となった。
以上の結果から明らかなように、光学シート組合せ体41を構成する2枚のプリズムシート40A,40Bの両方がともに面内の光学異方性の屈折率の小さな方向を偏光子23Aの透過軸と略平行にすることが重要であることが確認された。
[実施例2]
次に、偏光子23Aの透過軸aと第1のプリズムシート40Aのプリズム延在方向との関係、ならびに2枚のプリズムシート40A,40Bの厚み方向の屈折率による影響についてシミュレーションを行った。
偏光子23Aの透過軸aと第1のプリズムシート40Aのプリズム延在方向との関係を、図16に示す面発光装置100Aのようにそれらが垂直となる場合と、図17に示す面発光装置100Bのようにそれらが平行になる場合の代表的な2つの例について考える。また、2枚のプリズムシート40A,40Bの厚み方向の屈折率nzによる影響も考慮すべく、図18に示す各ケース(S1〜S5、P1〜P5)についてシミュレーションを行った。図12に示した比較例としての面発光装置101で得られた正面輝度を基準としたときの面発光装置100A、100Bの正面輝度の上昇率及びその光の取出効率を測定した。その結果を図19に示す。なお、ケースS1〜S5、P1〜P5のシミュレーション条件は、面発光装置101のシミュレーション条件と同一とした。
ケースS1及びP1は、2枚のプリズムシート40A,40Bのいずれもが等方的な屈折率を有する場合(nx1=ny1、nx2=ny2)に相当し、それ以外のケースはすべて、2枚のプリズムシート40A,40Bが、nx≠nyの条件を満たす光学軸異方性を有する場合に相当する。特に、第1のプリズムシート40Aについて、ケースS2、S3、P2及びP3は、nx>nzの関係を満たし、ケースS4、S5、P4及びP5は、nx=nzの関係を満たす。一方、第2のプリズムシート40Bについて、ケースS2、S4、P2及びP4は、nx>nzの関係を満たし、ケースS3、S5、P3及びP5は、nx=nzの関係を満たす。
ケースS2〜S5を比較するとわかるように、偏光子23Aの透過軸aと第1のプリズムシート40Aのプリズム延在方向が垂直となる場合(図16)は、プリズムシート40A及び40Bの厚み方向の屈折率nz1及びnz2の依存性は小さく、正面輝度を十分に向上させることができる。
また、ケースP2とP4、及び、ケースP3とP5を比較するとわかるように、偏光子23Aの透過軸aと第1のプリズムシート40Aのプリズム延在方向が平行な場合は、第1のプリズムシート40の厚み方向の屈折率nz1の依存性が大きく、nz1が大きい方が正面輝度を大きくすることができる。一方、ケースP2とP3、及び、ケースP4とP5を比較するとわかるように、第2のプリズムシート40Bの厚み方向の屈折率nz2の依存性はそれほど大きくはないものの、この値が小さい方が正面輝度を向上させることができる。
以上の結果から、偏光子23Aの透過軸aと第1のプリズムシート40Aのプリズム延在方向が平行である場合は、第1のプリズムシート40Aの厚み方向の屈折率nz1は大きくする方がよく、第2のプリズムシート40Bの厚み方向の屈折率nz2は小さくても大きくてもよいことが確認された。
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の第1の実施形態では、光学シート組合せ体30を構成するに際して2枚の異方性プリズムシートを用いたが、更にその枚数を増やすことによってバックライト光の偏光分離特性を更に高めることが可能となる。
また、以上の第1の実施形態の面発光装置33においては、発光体24をエッジライト型のバックライトユニットで構成したが、これに代えて、第2の実施形態で説明したような直下型のバックライトユニットで構成してもよい。同様に、第2の実施形態の面発光装置38においては、発光体44を直下型のバックライトユニットで構成したが、これに代えて、第1の実施形態で説明したようなエッジライト型のバックライトユニットで構成してもよい。
また、以上の実施形態では、第1,第2のプリズムシート29A,29Bの屈折率異方性の発現に延伸を用いるとしたが、これに限られず、例えば、屈折率異方性をもった液晶材料を配向させるか、あるいは、屈折率異方性を有する結晶材料を用いてプリズムシートあるいはプリズム(立体構造)を構成することによって、プリズム延在方向とプリズム配列方向の間に屈折率異方性を発現させるようにしてもよい。
本発明の第1の実施形態による液晶表示装置の概略構成を示す斜視図である。 プリズム延在方向の屈折率がプリズム配列方向の屈折率よりも大きいプリズムシートを透過する光の経路の説明図である。 プリズム配列方向の屈折率がプリズム延在方向の屈折率よりも大きいプリズムシートを透過する光の経路の説明図である。 本発明に係る光学シート組合せ体を構成する第1のプリズムシートの構成を示す概略斜視図である。 本発明に係る光学シート組合せ体を構成する第2のプリズムシートの構成を示す概略斜視図である。 本発明の第1の実施形態による光学シート組合せ体と第1の偏光子との関係を説明する斜視図である。 図6の第1の偏光子と第2のプリズムシートとの関係を説明する概略側面図である。 本発明に係る面内屈折率異方性を有するプリズムシートの製造方法を説明する概略図である。 本発明の第2の実施形態による面発光装置の要部の概略側面図である。 本発明の第3の実施形態による面発光装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の一実施例に係る面発光装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の比較例に係る面発光装置の概略構成を示す斜視図である。 図12の面発光装置の輝度角度分布を示す図である。 図11の面発光装置のシミュレーション条件を示す図である。 図11の面発光装置のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の他の実施例に係る面発光装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の更に他の実施例に係る面発光装置の概略構成を示す斜視図である。 図16及び図17の面発光装置のシミュレーション条件を示す図である。 図16及び図17の面発光装置のシミュレーション結果を示す図である。
符号の説明
21・・・液晶表示装置
22・・・液晶表示パネル
23A・・・第1の偏光子
23B・・・第2の偏光子
24、44・・・発光体
25・・・導光板
26、46・・・光源
27、47・・・反射板
28・・・拡散シート
29A、40A・・・第1のプリズムシート(第1の光学シート)
29B、40B・・・第2のプリズムシート(第2の光学シート)
30、31、41・・・光学シート組合せ体
33、38、100、100A、100B・・・面発光装置
50・・・樹脂シート
a・・・第1の偏光子の透過軸
b・・・第1の偏光子の吸収軸
P、Pa、Pb・・・プリズム(立体構造)

Claims (14)

  1. 発光体と、
    前記発光体から出射される光を透過する透過軸を有する偏光子と、
    前記発光体と前記偏光子の間に配置された、複数枚の光学シートからなる光学シート組合せ体とを具備し、
    前記複数枚の光学シートは、光入射面と、プリズムが連続して配列された構造面でなる光出射面とをそれぞれ有し、
    前記プリズムは、前記プリズムの延在方向に平行な第1の屈折率を有する第1の光学軸と、前記プリズムの配列方向に平行であり前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率有する第2の光学軸とを含み、かつ、前記光入射面に斜め方向から入射した一部の光については、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率のうち屈折率が大きい方向の偏光成分を前記光入射面側へ反射させるとともに屈折率が小さい方向の偏光成分を透過させ、前記光入射面に垂直方向から入射した光については、偏光状態に関係なく前記光入射面側へ反射させる一対の斜面を有し、
    前記複数枚の光学シートは、前記第1の屈折率及び前記第2の屈折率のうち屈折率の小さい方の前記光学軸が前記偏光子の前記透過軸とほぼ平行となるようにそれぞれ配置されている
    面発光装置。
  2. 請求項1に記載の面発光装置であって、
    前記光学シート組合せ体は、
    前記第2の屈折率よりも前記第1の屈折率の方が小さい第1の光学シートと、
    前記第2の屈折率よりも前記第1の屈折率の方が大きい第2の光学シートとを有する
    面発光装置。
  3. 請求項2に記載の面発光装置であって、
    前記第1及び第2の光学シートは、前記立体構造の延在方向に延伸された樹脂シートからなる
    面発光装置。
  4. 請求項3に記載の面発光装置であって、
    前記第1の光学シートは、延伸方向に屈折率が小となる樹脂シートからなり、
    前記第2の光学シートは、延伸方向に屈折率が大となる樹脂シートからなる
    面発光装置。
  5. 請求項4に記載の面発光装置であって、
    前記第1の光学シートは、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合体及びこれらの混合物の中から選択される樹脂材料からなる
    面発光装置。
  6. 請求項4に記載の面発光装置であって、
    前記第2の光学シートは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PETとPENの混合物及びこれらの共重合体の中から選択される樹脂材料からなる
    面発光装置。
  7. 請求項2に記載の面発光装置であって、
    前記第2の光学シートは、前記第1の光学シートと前記偏光子の間に配置されている
    面発光装置。
  8. 請求項2に記載の面発光装置であって、
    前記第1の光学シートは、前記第2の光学シートと前記偏光子の間に配置されており、かつ、前記第1の光学シートの前記第1の屈折率よりも大きい、厚み方向に平行な第3の屈折率を有する
    面発光装置。
  9. 請求項8に記載の面発光装置であって、
    前記第3の屈折率は、前記第1の光学シートの前記第2の屈折率とほぼ等しい
    面発光装置。
  10. 請求項9に記載の面発光装置であって、
    前記第1の光学シートの前記第1の光学軸は、前記偏光子の前記偏光軸と略平行である
    面発光装置。
    面発光装置。
  11. 請求項に記載の面発光装置であって、
    前記プリズムは、複屈折を有する液晶材料からなる
    面発光装置。
  12. 液晶表示パネルと、
    前記液晶表示パネルを照明する発光体と、
    前記液晶表示パネルの光入射側に配置され、前記発光体から出射される光を透過する透過軸を有する第1の偏光子と、
    前記液晶表示パネルの光出射側に配置された第2の偏光子と、
    前記第1の偏光子と前記発光体の間に配置された、複数枚の光学シートからなる光学シート組合せ体とを具備し、
    前記複数枚の光学シートは、光入射面と、プリズムが連続して配列された構造面でなる光出射面とをそれぞれ有し、
    前記プリズムは、前記プリズムの延在方向に平行な第1の屈折率を有する第1の光学軸と、前記プリズムの配列方向に平行であり前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率有する第2の光学軸とを含み、かつ、前記光入射面に斜め方向から入射した一部の光については、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率のうち屈折率が大きい方向の偏光成分を前記光入射面側へ反射させるとともに屈折率が小さい方向の偏光成分を透過させ、前記光入射面に垂直方向から入射した光については、偏光状態に関係なく前記光入射面側へ反射させる一対の斜面を有し、
    前記複数枚の光学シートは、前記第1の屈折率及び前記第2の屈折率のうち屈折率の小さい方の前記光学軸が前記第1の偏光子の前記透過軸とほぼ平行となるようにそれぞれ配置されている
    液晶表示装置。
  13. 出射される光の偏光状態に偏りがある発光体と、
    前記発光体から出射される光を透過する透過軸を有する偏光子と、
    前記偏光子と前記発光体の間に配置された、複数枚の光学シートからなる光学シート組合せ体とを具備し、
    前記複数枚の光学シートは、光入射面と、プリズムが連続して配列された構造面でなる光出射面とをそれぞれ有し、
    前記プリズムは、前記プリズムの延在方向に平行な第1の屈折率を有する第1の光学軸と、前記プリズムの配列方向に平行であり前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率有する第2の光学軸とを含み、かつ、前記光入射面に斜め方向から入射した一部の光については、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率のうち屈折率が大きい方向の偏光成分を前記光入射面側へ反射させるとともに屈折率が小さい方向の偏光成分を透過させ、前記光入射面に垂直方向から入射した光については、偏光状態に関係なく前記光入射面側へ反射させる一対の斜面を有し、
    前記複数枚の光学シートは、前記第1の屈折率及び前記第2の屈折率のうち屈折率の小さい方の前記光学軸が前記偏光子の前記透過軸とほぼ平行となるようにそれぞれ配置されている
    面発光装置。
  14. 発光体と、前記発光体から出射される光を透過する透過軸を有する偏光子との間に配置される光学シート組合せ体であって、
    光入射面と、
    プリズムが連続して配列された構造面でなる光出射面とを具備する、複数枚の光学シートからなり、
    前記プリズムは、前記プリズムの延在方向に平行な第1の屈折率を有する第1の光学軸と、前記プリズムの配列方向に平行であり前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率有する第2の光学軸とを含み、かつ、前記光入射面に斜め方向から入射した一部の光については、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率のうち屈折率が大きい方向の偏光成分を前記光入射面側へ反射させるとともに屈折率が小さい方向の偏光成分を透過させ、前記光入射面に垂直方向から入射した光については、偏光状態に関係なく前記光入射面側へ反射させる一対の斜面を有し、
    前記複数枚の光学シートは、前記第1の屈折率及び前記第2の屈折率のうち屈折率の小さい方の前記光学軸が前記偏光子の前記透過軸とほぼ平行となるようにそれぞれ重ねて配置されている
    光学シート組合せ体。
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