以下、本発明を実施する上で好ましい形態について説明する。図1に第1の実施形態による媒体取扱装置を組み込んだ媒体取扱端末機の外観構成を示す。図1の媒体取扱端末機100は、全体を覆う筐体101に、媒体取扱装置1、顧客表示操作部102、カード処理部103、および本体制御部104を組み込みあるいは組み付けた構成となっている。
顧客表示操作部102は、例えばタッチパネル付きのディスプレイ構造で構成され、利用者に取引の内容を表示し、また利用者が取引の内容を入力するのに用いられる。カード処理部103は、利用者が提示する磁気カードやICカードなどから必要な情報を取得して利用者を特定するのに用いられる。本体制御部104は、媒体取扱端末機100全体の制御を司る。媒体取扱装置1については後述する。
図2に媒体取扱端末機100における制御関係の構成をブロック図で示す。媒体取扱装置1、顧客表示操作部102およびカード処理部103は、データバス104dを介して本体制御部104と接続されており、本体制御部104の制御にしたがってそれぞれにおける所定の動作を行う。本体制御部104は、媒体取扱装置1、顧客表示操作部102およびカード処理部103に対する制御を自動的に行う自動制御部104a、媒体取扱端末機100の係員による手動制御を必要とする場合にそれを行うための手動制御部104b、および各種情報を蓄積するための外部記憶装置104cを備える。そしてこれらには電源部105から駆動用の電力が供給される。
図3に媒体取扱装置1の全体構成を示す。媒体取扱装置1は、利用者が媒体(紙幣と各種非紙幣媒体)の投入や取出しを行う取扱口2、紙幣と非紙幣媒体をともに搬送する共用搬送路3a、紙幣のみの搬送に用いられる紙幣専用搬送路3b、非紙幣媒体のみの搬送に用いられる非紙幣媒体専用搬送路3c、媒体の種類を判別する品種判別機4、媒体の搬送方向や搬送先を媒体の種類などに応じて振り分ける複数のゲート5(5a〜5f)、紙幣の金種や真贋を鑑別する紙幣鑑別機6、入金された紙幣を取引成立まで保管する一時保管庫7、入金され紙幣や出金に使用する紙幣を収納する紙幣収納部8、非紙幣媒体に対する処理を行う非紙幣媒体処理部10、およびこれら各モジュールの制御を司る制御部11を備えている。
ここで、「紙幣」とは、通常の紙幣の他に、通常の紙幣と同等な単位時間当たりの処理数量を必要とし、しかも紙幣と同様な柔軟性を有する媒体も含むものとし、「非紙幣媒体」とは、「紙幣」に比べて単位時間当たりの処理数量が大幅に少ない媒体、つまり「紙幣」に比べて処理速度が遅くてよい媒体を指すものとする。そのような非紙幣媒体には、例えば通帳、小切手、証書、チケット、カードなどがある。これらの非紙幣媒体は、一般に紙幣に比べて厚くて剛性が大きいため曲げることが困難であり、また媒体が有する情報の処理にも紙幣の場合に比べて多くの時間を要するのが通常である。
以下では媒体取扱装置1における上記各構成要素についてより具体的に説明する。取扱口2は、媒体取扱装置1で取引を行う利用者がその取引における媒体(紙幣や各種非紙幣媒体)を媒体取扱装置1とやり取りする部位であり、図4に示すように、シャッタ201を有し、利用者が媒体を投入するときや受け取るときにシャッタ201を開放して、トレー202への媒体の出し入れを行えるようにされている。投入された媒体は、トレー202の底板203に載る。底板203は、矢印イで示す方向、つまり上ガイド209の方向とその逆の方向で底板駆動装置204により移動できるようにされており、媒体が載せられると上ガイド209の方向へ移動することにより、媒体取込み/放出機構のピックアップローラ205に媒体を接触させる。
媒体取込み/放出機構は、ピックアップローラ205に加えてフィードローラ206を備えている。これらピックアップローラ205とフィードローラ206は、外周面にゴムなどの高摩擦材を周設して形成されており、媒体の取込みに際しては図示を省略のモータにより矢印ロの方向へ媒体を取り込むように回転し、一方、媒体(非紙幣媒体)の放出に際しては矢印ロの方向とは反対の方向へ媒体を放出するように回転する。ピックアップローラ205は、ブラケット207で支持されるとともに、ブラケット207に取り付けられたバネ208により矢印ハの方向つまり底板203上で媒体を押し付ける方向に付勢されており、この付勢による押付けと高摩擦材の効果が合わさって媒体を底板203上から取り込む力あるいは媒体を底板203上に送り出す力を発生する。
媒体取込み/放出機構はまた、ゲートローラ210と搬送ローラ211を備えている。ゲートローラ210は、ピックアップローラ205により媒体が重なって取り込まれた場合にそれを1葉ずつに分けるのに機能する。つまりゲートローラ210は、重なり送り防止に機能する。そのためにゲートローラ210は、フィードローラ206や搬送ローラ211との間で挟持する媒体に矢印ロの方向への移動に対しては抵抗力を与えるように、ワンウェイクラッチなどの機構を用いて一方向(図4の状態で時計方向)にのみ回転できるように構成されている。またゲートローラ210は、その位置が媒体の厚み方向(矢印ニの方向)に可変となるようにゲートローラフック212にて支持され、ゲートローラバネ213を介して接続することにより、媒体の厚みに対応して矢印ニの方向に移動できるようにされている。このため、厚さの異なる媒体が投入された場合においても、1葉ずつの分離が容易となる。
搬送ローラ211は、ピックアップローラ205やフィードローラ206と同様にモータにて回転駆動されるようになっており、媒体取込み/放出機構で取り込んだ媒体を共用搬送路3aに送り出すのに機能し、また共用搬送路3aで搬送されてくる非紙幣媒体を放出のために媒体取込み/放出機構に送り込むのに機能する。媒体の放出の場合には、搬送ローラ211が取込みの場合とは逆方向に回転し、これにより共用搬送路3aから非紙幣媒体が媒体取込み/放出機構に送り込まれ、さらにフィードローラ206とピックアップローラ205により送られて非紙幣媒体が底板203上に放出される。そして利用者は、底板203上から非紙幣媒体を取り出すことができる。
ここで、フィードローラ206、ゲートローラ210および搬送ローラ211による媒体の挟持位置は、共用搬送路3aへ媒体を送り出す方向と略平行に構成されている。このような構成とすることにより、剛性が高くて曲げにくい媒体であっても、共用搬送路3aへ容易に送り出すことがで、また放出のために共用搬送路3aから容易に取り込むことができる。
取扱口2は、以上のような媒体取込み/放出機構とともに紙幣の放出に関する機構系も備えている。紙幣放出機構は、搬送ガイド214と搬送ローラ215を含んでおり、紙幣専用搬送路3bで搬送されてくる紙幣を搬送ガイド214により受け入れて搬送ローラ215にてトレー202の押板216の上に放出する。そして利用者は、押板216上から紙幣を取り出すことができる。
共用搬送路3aと紙幣専用搬送路3bは何れも、回転駆動するローラあるいはベルトで媒体を挟持して搬送するように構成されている。共用搬送路3aは、取扱口2で共通に取り扱われる紙幣と非紙幣媒体の何れの搬送にも用いられる。つまり剛性が高くて曲げにくいものも含まれる非紙幣媒体の搬送にも用いられる。このため共用搬送路3aは、取扱口2から非紙幣媒体専用搬送路3cに向けて直線状に延びる部分だけからなるように構成することで、高剛性の媒体も難なく搬送できるようにされている。
紙幣専用搬送路3bは、曲げ易い紙幣の搬送のみに用いられる。そのため紙幣専用搬送路3bは、共用搬送路3aに設けられているゲート5aの部位において、紙幣を曲げながらその搬送方向を変えて共用搬送路3aから受け取るように共用搬送路3aに接続されている。より具体的にいうと、紙幣専用搬送路3bは、紙幣専用搬送路3bと同様に回転駆動するローラやベルトで媒体を挟持して搬送するように構成される接続搬送路3dを介して共用搬送路3aに接続されており、その接続搬送路3dにより紙幣の搬送方向を共用搬送路3aに対してほぼ直角方向に変え、さらに接続搬送路3dに対しても紙幣の搬送方向をほぼ直角方向に変えながら受け取るように、共用搬送路3aに接続されている。また紙幣専用搬送路3bは、紙幣の曲げ容易性を利用したターン部が設けられており、このターン部で搬送方向を180度変えるようにされている。そしてターン部を境にした一方の側は紙幣収納部8に向かうようにされ、他方の側は一時保管庫7に向かうようにされている。また紙幣専用搬送路3bは、放出用として搬送されてくる紙幣を取扱口2に送り出せるようにするために、紙幣放出搬送路3eを介して取扱口2の紙幣放出機構における搬送ガイド214に接続するようにされている。以上のような構成は、搬送距離が長くなる紙幣専用搬送路3bをコンパクトに収めることを可能とし、これにより媒体取扱装置1の小型化を図ることができる。
非紙幣媒体専用搬送路3cは、剛性が高くて曲げにくいものも含まれる非紙幣媒体を搬送するのに用いられると同時に、非紙幣媒体をその種類に応じて非紙幣媒体処理部10で振り分ける非紙幣媒体振分け手段としての機能も有している。そのため非紙幣媒体専用搬送路3cは、図1中に縦の矢印で示すように移動かご9を直線的に移動させ、その移動かご9で非紙幣媒体を保持して搬送することで非紙幣媒体を曲げることなく搬送できるように構成されている。また非紙幣媒体専用搬送路3cは、移動かご9を必要な位置で停止させ、非紙幣媒体処理部10における後述のような各処理ユニット10a〜10cとの間で非紙幣媒体を曲げることなくやり取りして非紙幣媒体の振分けをなせるように構成されている。
移動かご9は、図5にその例を示すように、駆動ローラ401と従動ローラ402からなるローラ対を複数(図の例では3対)、筐体404の内部に配するとともに、これらのローラ対に沿って上ガイド405と下ガイド406を配し、これらローラ対および上ガイド405と下ガイド406で非紙幣媒体を挟んで保持するように構成される。より具体的には、バネ403を介して筐体404に支持させた従動ローラ402が非紙幣媒体にその厚みに応じた挟持圧を駆動ローラ401との間で与えるようにされ、図示を省略のモータにより駆動ローラ401が回転駆動されることで駆動ローラ401と従動ローラ402が非紙幣媒体を適切な挟持圧で挟みながら上ガイド405と下ガイド406の間に取り込み、あるいは上ガイド405と下ガイド406の間から送り出せるようにされている。また移動かご9は、無端的に走行するベルトやチェーンなどで構成される駆動機構407に接続されており、この駆動機構407により上述の直線的な移動をなすようにされるとともに、移動かご9に取り付けられている位置検出センサ408により各処理ユニット10a〜10cに対する停止位置を検出し、この位置検出センサ408の停止位置検出に応じた制御部11からの制御によりその停止位置で停止して各処理ユニット10a〜10cとの間での非紙幣媒体のやり取りをすることによる非紙幣媒体の振分けをなせるようにされている。
品種判別機4は、媒体の種類を判別するモジュールであり、取扱口2に近接する付近で共用搬送路3aの途中に設けられており、例えばCCDセンサなどのような光学的センサで取得する媒体の形状や媒体に印刷の情報、あるいは磁気センサで取得する媒体に記録の磁気情報などにより媒体の種類、すなわち紙幣であるか非紙幣媒体であるか、さらに非紙幣媒体であれば、例えば通帳、小切手、証書、チケット、カードなどの何れであるかを判別する。この品種判別機4による判別結果は、制御部11へ送信されて媒体の種類に応じた振分けなどの制御に用いられる。
ゲート5a〜5fは、それぞれ共用搬送路3aまたは紙幣専用搬送路3bの途中に設けられており、媒体の搬送経路(搬送方向や搬送先)を媒体の種類などに応じて振り分ける振分け手段を構成している。ゲート5aは、共用搬送路3aにその終端(取り込んだ媒体の搬送における終端)付近で設けられており、紙幣/非紙幣媒体振分け手段として機能する。すなわち上述のようにして媒体取扱装置1に取り込まれて共用搬送路3aで搬送されてくる媒体を紙幣か非紙幣媒体であるかに応じてそれぞれの搬送方向に振り分ける。より具体的には、紙幣であれば紙幣専用搬送路3bに向け、非紙幣媒体であれば非紙幣媒体専用搬送路3dに向けるという振分けを行う。
ゲート5b〜5fは、何れも紙幣専用搬送路3bの途中に設けられており、紙幣振分け手段を構成している。すなわちゲート5bは、取扱口2で取り込まれて共用搬送路3aから接続搬送路3dを経て紙幣専用搬送路3bに送られてくる紙幣の搬送方向を一時保管庫7の方向へ振り分ける紙幣振分け手段として機能し、ゲート5cは、放出のために紙幣専用搬送路3bで搬送されてくる紙幣の搬送方向を紙幣放出搬送路3eの方向へ振り分ける紙幣振分け手段として機能し、ゲート5d〜5fは、紙幣収納部8における後述のような各紙幣庫(入金庫8a、出金庫8b、還流庫8c、リジェクト庫8d)に紙幣の搬送先を振り分ける紙幣振分け手段として機能する。
紙幣鑑別機6は、紙幣の金種や真贋を鑑別するモジュールであり、一時保管庫7に向かう紙幣専用搬送路3bの途中に設けられており、例えばCCDセンサなどのような光学的センサで取得する紙幣の形状や紙幣に印刷の情報、あるいは磁気センサにより取得する紙幣に記録の磁気情報などにより紙幣の金種や真贋を鑑別する。この紙幣鑑別機6による鑑別結果は、制御部11へ送信されて紙幣についての各種処理の制御に用いられる。
一時保管庫7は、入金された紙幣を取引成立まで保管するモジュールであり、一例として図6に示すような構成とされる。図6の一時保管庫7は、側板301で囲って形成した収納空間に、紙幣を積み重ねて載置するための底板302が設けられている。底板302は、底板駆動装置303により紙幣の積み重ね方向に移動する、つまり上下動することで、紙幣の積み重ね量に応じて適切な高さ位置を保てるようにされている。また底板302は、紙幣を放出する際に、紙幣取込み/放出機構の上ガイド304の側へ上昇して紙幣を紙幣取込み/放出機構のピックアップローラ305に接触さることで紙幣の放出をなせるようにされている。
紙幣取込み/放出機構は、ピックアップローラ305に加えてフィードローラ306とピンチローラ311を備えている。ピックアップローラ305とフィードローラ306は、外周面にゴムなどの高摩擦材を周設して形成されており、紙幣の取込みに際しては図示を省略のモータにより紙幣専用搬送路3b(図1)から紙幣を取り込むように回転し、一方、紙幣の放出に際しては紙幣専用搬送路3bへ向けて紙幣を送り出すように回転する。ピックアップローラ305は、ブラケット307で支持されるとともに、ブラケット307に取り付けられたバネ308により底板302上で紙幣を押し付ける方向に付勢されており、この付勢による押付けと高摩擦材の効果が合わさって紙幣を底板302上から送り出す力あるいは紙幣を底板302上に取り込む力を発生する。フィードローラ306は、これと接触しながら回転するピンチローラ311との間で紙幣を挟持して搬送するようにされている。
紙幣取込み/放出機構はまたゲートローラ309を備えている。ゲートローラ309は、ピックアップローラ305により紙幣が重なって取り込まれた場合にそれを1葉ずつに分けて重なり送りを防止するのに機能する。そのためにゲートローラ309は、ピックアップローラ305からフィードローラ306へと受け渡されて送り出されて行く紙幣をフィードローラ306との間で挟持し、その挟持において紙幣の送り出し方向の移動に対して抵抗力を与えるように、ワンウェイクラッチなどの機構を用いて一方向(図6の状態で反時計方向)にのみ回転できるように構成されている。
紙幣取込み/放出機構の上ガイド304は、ゲートガイド310と対になってフィードローラ306による紙幣の搬送をガイドする。すなわち上ガイド304とゲートガイド310は、紙幣の通過を可能とする円弧状のガイド間隙をフィードローラ306に沿う状態でフィードローラ306の紙幣接触側において形成しており、そのガイド間隙により紙幣がフィードローラ306の円周面に沿って搬送されるようにガイドする。
紙幣収納部8は、入金され紙幣や出金に使用する紙幣を収納する機能部位であり、複数の紙幣庫を設けて構成されている。本実施形態では、紙幣庫として、入金された紙幣を収納することにのみ用いられる入金庫8a、予め紙幣を収納しておいて出金にのみ用いられる出金庫8b、入金した紙幣を収納するとともにそれを出金にも使用する還流庫8c、および金種や状態により出金に使用することのない紙幣を収納するリジェクト庫8dを設けている。このような紙幣庫は、媒体取扱端末機100の運用形態に応じた適宜な組み合わせで設けることになる。なお入金庫8a、出金庫8b、還流庫8cおよびリジェクト庫8dは、何れも一時保管庫7と同様の構造を有しているので、それについての説明は省略する。
非紙幣媒体処理部10は、非紙幣媒体に関する種々の処理を行う機能部位であり、取り扱う非紙幣媒体の種類などに応じて必要となる各種処理のための処理ユニットを設けて構成される。本実施形態では、処理ユニットとして、光学的読取処理ユニット10a、電子情報読書処理ユニット10b、および印刷処理ユニット10cを設けている。
光学的読取処理ユニット10aは、例えば図7に示す例のように構成される。図7の例の光学的読取処理ユニット10aは、搬送ローラ501と搬送ガイド502で構成される搬送路を設け、この搬送路により非紙幣媒体専用搬送路3cの移動かご9から非紙幣媒体を受け取ることができるようにするとともに、その搬送路に沿って配してある光学的読取手段503にて非紙幣媒体Pから必要な情報を取得できるようにし、さらに情報の取得を終えた非紙幣媒体で収納の必要のある非紙幣媒体Pを搬送路の先に設置の収納部505へ収納できるように構成されている。図の例では収納部505が2箇所設けられており、各収納部505へ非紙幣媒体Pの収納をゲート504で切り替えるようにされている。なお利用者に返却する必要のある非紙幣媒体は、搬送路を逆送して移動かご9に戻され、非紙幣媒体専用搬送路3cから共用搬送路3aを経て最終的に取扱口2に放出される。このような光学的読取処理ユニット10aでは、例えば小切手や振り込み伝票などの非紙幣媒体が処理される。
電子情報読書処理ユニット10bは、例えば図8に示す例のように構成される。図8の例の電子情報読書処理ユニット10bは、光学的読取処理ユニット10aと同様に、搬送ローラ501と搬送ガイド502で構成される搬送路が設けられており、この搬送路により移動かご9から非紙幣媒体を受け取ることができるようにされている。またこの搬送路に沿って配してある電子情報読書手段506にて非紙幣媒体Pから必要な情報を取得し、あるいは非紙幣媒体Pに必要な情報を書き込むことができるようにされ、さらに情報の取得や書込みを終えた非紙幣媒体で収納の必要のある非紙幣媒体Pを搬送路の先に設置の収納部505へ収納できるようにされている。電子情報読書処理ユニット10bで処理する非紙幣媒体については利用者に新たな非紙幣媒体を発行する場合もある。そのために保管部507が搬送路の先に設けられており、この保管部507から取り出した非紙幣媒体に電子情報読書手段506で必要な情報を書き込んで新たな非紙幣媒体の発行を行えるようにされている。保管部507からの非紙幣媒体の取り出しは分離手段508により1葉ずつ行われる。分離手段508は、上で説明した一時保管庫7におけるピックアップローラ305、フィードローラ306およびゲートローラ309からなる機構と同様に構成される。このような電子情報読書処理ユニット10bでは、例えばICチップが内蔵されたプラスチックカードやRFIDタグが付与された有価証券などの非紙幣媒体が処理される。なおこれらの非紙幣媒体には電子情報の代わりに磁気情報が記録されるものもある。そのような非紙幣媒体については電子情報読書処理ユニット10bと同様な磁気情報読書処理ユニットを別途設けるか、または電子情報と磁気情報の両方について読書きをできるようにした処理ユニットを設けることで対応できるようにすることになる。
印刷処理ユニット10cは、例えば図9に示す例のように構成される。図9の例の印刷処理ユニット10cは、光学的読取処理ユニット10aと同様に、搬送ローラ501と搬送ガイド502で構成される搬送路が設けられており、この搬送路により移動かご9から非紙幣媒体を受け取ることができるようにされている。搬送路には印刷手段509が設けられており、この印刷手段509により非紙幣媒体に文字などを印刷できるようにされている。必要な印刷を終えた非紙幣媒体は、搬送路を逆送して移動かご9に戻され、非紙幣媒体専用搬送路3cから共用搬送路3aを経て取扱口2で利用者に返却される。また印刷処理ユニット10cには、電子情報読書処理ユニット10bの場合と同様に、利用者に新たな非紙幣媒体を発行できるようにするために、保管部507を設けてあり、この保管部507から分離手段508で取り出した非紙幣媒体に印刷手段509で必要な印刷を行って新たな非紙幣媒体の発行をなせるようにされている。印刷処理ユニット10cで扱う非紙幣媒体には、例えば通帳のように、ページめくり動作を伴う処理を必要とする場合がある。そのために搬送路の先にページめくり装置510が設けられており、必要時にはゲート504で搬送方向を切り替えてページめくり装置510に搬送し、そこでページめくりを行った後に印刷手段509の部位に戻して必要な印刷を行えるようにされている。このような印刷処理ユニット10cでは、例えば通帳や証書などの非紙幣媒体が処理される。
制御部11は、図10に示すように、媒体取扱端末機100の本体制御部104における自動制御部104aとデータバス104dを介して接続され、自動制御部104aからの指令および媒体取扱装置1の状態検出に応じて、媒体取扱装置1の制御を行う。また、媒体取扱装置1の状態を必要に応じて自動制御部104aに送信する。媒体取扱装置1に対する制御部11の主な制御内容としては、媒体取扱装置1を構成する各モジュール(取扱口2、共用搬送路3a、紙幣専用搬送路3b、非紙幣媒体専用搬送路3c、品種判別機4、ゲート5、紙幣鑑別機6、一時保管庫7、紙幣収納部8の各紙幣庫、非紙幣媒体処理部10の各処理ユニット)における駆動モータやセンサなどと接続し、センサで状態を検出しながら、モータなどを制御することである。
次に、以上のような構成の媒体取扱装置1における媒体の取り扱い過程について説明する。図11に示すのは媒体として紙幣が投入され、利用者が入金額を確認するまでの紙幣の搬送経路である。図中に実線で示してある搬送経路で紙幣が搬送される。取扱口2に投入された紙幣は1葉ずつに分離されて共用搬送路3aへ送り出されて搬送され、この間に品種判別機4を通過し、紙幣であると判断される。その情報は制御部11に送られ、これに応じて制御部11がゲート5aとゲート5bを切り替え、これにより紙幣の搬送方向が接続搬送路3dに振分けられて紙幣専用搬送路3bに入り、さらに紙幣専用搬送路3bにより紙幣鑑別機6の方向へ搬送される。紙幣鑑別機6では紙幣の金種や真贋、損傷などを鑑別し、鑑別結果を制御部11へ送信する。制御部11は、紙幣が正常とみなされた場合には当該紙幣を一時保管庫7へ搬送するようにゲート5cを切り替える。一方、紙幣が異常とみなされた場合には、当該紙幣を紙幣放出搬送路3eから取扱口2へ返却するようにゲート5cを切り替える。投入された紙幣の全てについて一時保管庫7への収納または取扱口2へ返却を終えたら、金種と枚数から入金額を計算し、その結果を顧客表示操作部102(図1)へ表示する。
図12に示すのは入金額の確認後に紙幣を紙幣収納部8の紙幣庫へ収納するまでの紙幣の搬送経路である。一時保管庫7から紙幣を1葉ずつ紙幣専用搬送路3bへ送り出す。紙幣は再度紙幣鑑別機6を通過し、金種の再確認がなされる。その結果は制御部11へ送信され、制御部11は当該紙幣をその金種や損傷状態などに応じて収納先とされる紙幣庫(入金庫8a、還流庫8c、リジェクト庫8dの何れか)へ搬送するようにゲート5b、5d、5e、5fを切り替える。一時保管庫7に保管の紙幣の全てを紙幣収納部8に収納すれば入金処理が終了となる。
図13に示すのは紙幣を利用者へ出金するまでの紙幣の搬送経路である。制御部11は、紙幣収納部8の出金庫8bと還流庫8cを制御して、利用者が指定した金額と金種に応じた紙幣を1葉ずつ送り出す。紙幣は紙幣専用搬送路3bで搬送され、その途中で紙幣鑑別機6により異常の有無を鑑定される。ここでの異常とは、紙幣の損傷状態や重ね送りなどである。この判断結果は制御部11へ送信され、制御部11は紙幣が正常ならば、ゲート5cを切り替えて、紙幣放出搬送路3eから取扱口2へ紙幣を導く。指定の金額が取扱口2に放出されたらシャッタ201を開いて紙幣を利用者に出金する。一方、紙幣が異常であると判断された場合には、当該紙幣を一時保管庫7へ導くようにゲート5cを切り替える。一時保管庫7に収納された異常紙幣は、取引が終了した後にリジェクト庫8dへ収納される。
図14に示すのは媒体として非紙幣媒体が投入された場合の搬送経路である。取扱口2に投入された非紙幣媒体は1葉ずつに分離されて共用搬送路3aへ送り出されて搬送され、この間に品種判別機4を通過し、非紙幣媒体であると判断される。その情報は制御部11に送られ、これに応じて制御部11がゲート5aを切り替え、これにより非紙幣媒体はその搬送方向が振分けられて非紙幣媒体専用搬送路3cに送り込まれる。非紙幣媒体専用搬送路3cに送り込まれた非紙幣媒体は、移動かご9に受け渡され、非紙幣媒体専用搬送路3cにおける上述のような非紙幣媒体振分け機能により、非紙幣媒体処理部10において該当する処理ユニット(光学的読取処理ユニット10a、電子情報読書処理ユニット10b、印刷処理ユニット10cの何れか)に振り分けられる。すなわち該当する処理ユニットの位置で移動かご9が停止して当該処理ユニットに非紙幣媒体を渡す。
非紙幣媒体処理部10から非紙幣媒体を発行する場合には以上とは逆に、まず制御部11が移動かご9の位置を制御して該当する処理ユニットの位置へ移動させて停止させる。この状態で移動かご9は当該処理ユニットから非紙幣媒体を受け取る。非紙幣媒体を受け取った移動かご9は共用搬送路3aと接続する位置まで移動し、そこで共用搬送路3aに非紙幣媒体を渡す。それから共用搬送路3aが非紙幣媒体を取扱口2へ搬送して放出する。利用者が指定した非紙幣媒体を取扱口2に放出し終えたらシャッタ201を開き、非紙幣媒体の発行が完了となる。
ここで、以上のような紙幣と非紙幣媒体の処理は、一つの取扱口2を複数種の媒体について共用しながら同時並行的に進めることができる。すなわち利用者が紙幣の入金や出金と同時に非紙幣媒体に関する取引も行いたい場合には。まず処理に時間のかかる非紙幣媒体の取引を最初に開始し、それに関する処理が非紙幣媒体処理部10で進められている間に紙幣の取引を同時並行的に進めることができる。このように一つの取扱口2を各種媒体について共用しながら紙幣についての取引と非紙幣媒体についての取引の同時並行的処理を可能とするのが本発明の大きな特徴である。このような本発明の特徴は、媒体の搬送路として、共用搬送路3a、紙幣専用搬送路3b、および非紙幣媒体専用搬送路3cの3種類を設けるとともに、搬送経路の振分けについて、紙幣/非紙幣媒体振分け手段による1段目の振分けをなした後に、紙幣については紙幣振分け手段による振分けを、そして非紙幣媒体については非紙幣媒体振分け手段による振分けをそれぞれ2段目の振分けとしてなすようにした構成により可能となる。すなわち共用搬送路3aに加えて、紙幣専用搬送路3bと非紙幣媒体専用搬送路3cを設け、そして共用搬送路3aで紙幣と非紙幣媒体についての1段目の振分けをなすとともに、紙幣専用搬送路3bと非紙幣媒体専用搬送路3cのそれぞれにおいて紙幣や非紙幣媒体に対する処理の内容などに応じた2段目の振分けをなすようにしたことにより、処理速度の遅い非紙幣媒体による影響が紙幣の処理に及ぶのを避けることができ、この結果、一つの取扱口2での複数種媒体の共通取扱いおよび紙幣と非紙幣媒体の同時並行的処理を、全体の処理効率の低下を招くことなく実現することが可能となる。
以上の実施形態では、高速な処理が可能な紙幣についての処理系を媒体取扱装置1の下方に配し、処理速度が遅いのが通常である非紙幣媒体についての処理系を媒体取扱装置1の上方に配する構成となっている。このような構成としたのは、紙幣庫に紙幣を収納するのに紙幣を上部から投入して重力を利用して紙幣の堆積をなさせる構造が、紙幣の安定集積を比較的簡素な機構で実現する上で有利である、という理由からである。またこのような構成には、紙幣庫8の上部で紙幣の受け渡しを行えるため、紙幣専用搬送路3bを比較的が短く済ませることができ、コスト削減と小型化を図れるという利点もある。
以下では他の実施形態について説明する。図15に第2の実施形態による媒体取扱装置の全体構成を示す。本実施形態の媒体取扱装置1000は、第1の実施形態における非紙幣媒体処理部10の拡張性を高めるために、第1の実施形態におけるのと同様な非紙幣媒体処理部10を外付けで設けるようにしている。すなわち共用搬送路3aの端に連結部12を設け、この連結部12で非紙幣媒体処理部10の非紙幣媒体専用搬送路3cを共用搬送路3aに連結することで非紙幣媒体処理部10の外付け設置をなすようにしている。この他の構成については第1の実施形態による媒体取扱装置1におけるのと同様なので、説明を省略する。なお図15では非紙幣媒体処理部10の図示を省略している。
図16に第3の実施形態による媒体取扱装置の全体構成を示す。本実施形態の媒体取扱装置2000は、第1の実施形態における非紙幣媒体処理部10に代えてそれに対応する非紙幣媒体処理部2010を設けている。非紙幣媒体処理部2010は、より多くの種類の非紙幣媒体を扱えるようにされており、図の例では2010a〜2010fの6個の処理ユニットが設けられている。この他の構成については第1の実施形態による媒体取扱装置1におけるのと基本的に同様なので、説明を省略する。