JP4276386B2 - 骨プレート - Google Patents

Description

【０００１】
（技術分野）
本発明は、請求項１のプレアンブルに記載の骨プレートおよび請求項１５のプレアンブルに記載の、この種の骨プレートによる固定装置に関する。
【０００２】
（背景技術）
基本的に、骨プレートを使用して行う２種の骨接合術がある。
第１のものは、“剛な骨接合術”に関する。剛な骨接合術は、関節骨折の処置、簡単な幹軸骨折の処置（釘止めを実施できない場合）および骨切り術において使用される。解剖学的整復方式以外に、骨自体が、骨接合術の安定性を支援し、従って、四肢のより早期の且つ苦痛のない負荷が可能である。骨の血液潅流が外傷条件によって強く減少された場合も、安定な骨折処置の利点を認めることができる。“癒着不能”の処置の場合または感染の存在時、骨の治癒を実現できるよう且つ骨折間隙の不安定性によって感染を更に刺激することのないよう、骨折を安定に処置しなければならない。
【０００３】
第２は、“フレキシブルな骨接合術”に関する。フレキシブルな（生物学的）骨接合術の最大の利点は、管状骨の幹軸範囲の複雑骨折の処置の場合に認められる。この種の骨折の場合、骨の長さを保持し骨端（関節）を正しい相互位置に保持するということが目的となる。この場合、骨折ゾーンを直接に固定または処置するのではなく、従って、上記ゾーンの血液潅流が、更に負荷を受けることはない。骨プレートは、骨幹端にのみ固定される固定用髄内釘と同様に機能する。
【０００４】
さて、プレート骨接合術のこれら双方の極端例を考察すれば、上記極端例が相互にどの程度離れているかということが知られる。上記双方の種類の骨接合術の１つにすべての骨折を必ずしも分類できる訳ではないので、外科医は、概ね、妥協方策を取らなければならない。なぜならば、外科医には、双方の方法を妥協なく組合せることができるインプラントを使用する可能性が与えられてないからである。このような組合せは、例えば、関節骨折を骨プレートを介して引張ネジによって圧縮でき、すべての関節部分を、内部固定具を介して角度安定なネジによって骨幹に結合する場合に、合目的的である。他の用例は、例えば、粗鬆性骨の場合である。この場合、角度安定な軸線方向ネジによって骨幹端破片に骨プレートを固定できる。この場合、骨幹範囲において、骨折を介するプレート引張ネジの支援によって、安定なプレート張付けを行うことができる。この処置に基づき、１次骨折安定化を達成できる。
【０００５】
この状況が誘因となって、双方の種類の骨接合術のための骨インプラントが開発され、市販された。双方のインプラントグループは、当該の方法のために最適に設計されている。即ち、これら双方のシステムの欠点は、その組合せ可能性の欠如にある。
【０００６】
ＴＡＬＯＳらのＵＳ５，７０９，６８６には、長穴の中心部分に円筒形ネジ部を設置した形式のこの種の組合せプレートが記載されている。この公知のプレートの欠点を以下に示す：
１）長穴のネジ部が、円筒形に構成されている；従って、螺着時にプレート表面に支持できる特殊構造のネジ頭部を使用しなければならない。
２）プレートの長穴のネジ部の中心位置が、ネジ範囲を６０°から１７９°に制限する。
３）プレートの長穴（固定穴）のネジ部の中心位置が、長穴の側部ウェブが拡張されるという危険性を有する。
【０００７】
ここで、本発明に基づき、支援手段を創成する。本発明の課題は、双方の純正プレート処置法に制限されることなく両種の骨接合術をそれ自体で組合せる骨プレートを創成することにある。従って、本発明は、圧縮プレートとしての且ついわゆる内部固定具としてのプレートの妥協のない使用を可能とすることを意図する。
【０００８】
（発明の開示）
本発明は、請求項１の特徴を有する骨プレートによって設定課題を解決する。
【０００９】
本発明に係る骨プレートには、プレートの穴の円錐形ネジ部および使用したネジ頭部の対応する円錐形ネジ部によってネジの固定が行われるという利点がある。自己タッピング性ネジを使用する場合、この種の固定は、特に重要である。ネジの頭部範囲の円錐形ネジ部に基づき、プレートとは無関係に、骨へのネジの螺着操作を行うことができる。プレートの長穴の雌ネジにネジ頭部の円錐ネジ部を螺着して初めて、ネジがブロックされる。プレート穴の円錐部のネジ始端と骨のネジ始端が異なっていても、ネジ頭部の円錐形ネジ部は、プレートの円錐ネジ部に調心される。円錐形ネジを締付ると、プレート穴内に半径方向力が生ずる。上記半径方向力を十分に吸収するため、円錐形プレート穴は、十分な安定性を有することとなる。
【００１０】
骨プレートの下面へ向かって円錐形に狭窄する雌ネジが、５から２０°、典型的には、１０°の円錐角を有していれば合目的的である。
【００１１】
内部固定具としてプレートを使用することによって、プレートとネジの境界面の機械的応力が極めて増大される。なぜならば、プレートが、骨に押圧され、かくして、骨折部が、プレートと骨との間の摩擦によって固定されるからである。本発明の好ましい実施例の場合、長穴のネジ部を少なくとも１８０°の範囲にわたって構成し、従って、ネジ頭部ネジを少なくとも上記角度範囲だけ囲むことによって、上記の機械的過負荷を考慮する。薄い骨プレートの場合、この状況は、特に重要である。
【００１２】
他の好ましい実施例の場合、穴は、特徴ＡおよびＢに基づき、相互に同一であり、従って、雌ネジは、プレート縦軸線の方向へ測定した穴径Ｄ_Lがプレート縦軸線に垂直に測定した穴径Ｄ_Qよりも大きい穴の内部に設置されている。
【００１３】
本発明の他の実施例の場合、雌ネジは、−プレート縦軸線の方向へ見て−長穴の双方の端部の１つに雌ネジを設置する。上記位置に基づき、構造的に、ネジ範囲から形成された幾何学的ボデーの、例えば、１９０°から２８０°、好ましくは、２００°から２５０°の範囲にわたって延びている拡大されたネジ範囲を実現できる。
【００１４】
長穴の円錐形に基づき、プレートの下面または上面における雌ネジの寸法の測定値は、異なる大きさを示す。上面において測定した場合、ネジ範囲が１８０°から２３０°にわたって延びれば好ましく、下面において測定した場合、ネジ範囲が２００°から２７０°にわたって延びれば好ましい。
【００１５】
更に他の好ましい実施例の場合、末端の円錐形ネジ部は、長穴（固定穴）に、プレート中心により近い端部に設置する。かくして、プレート固定穴の固定機能が損なわれることはないという利点が得られる。
【００１６】
他の好ましい実施例の場合、穴の少なくとも１つは、特徴Ａに基づき、上面に向くその上部部分に、球形頭部を有する骨ネジを受容する凹の、好ましくは、球状の拡張部分を有する。従来の骨ネジの球形ネジ頭部は、この凹の球状拡張部に最適に受容される。これは、骨折部圧縮の達成のために必要であるが、骨ネジを偏心状態に設置した場合に特に、好ましい。
【００１７】
他の好ましい実施例の場合、下面を凹に構成する。プレートの凹の下面によって、プレートは、脛骨、大腿骨、上腕骨および前腕骨の丸い骨横断面により良く適合できる。プレート下面の凹形状によって、従来の骨ネジをプレート穴に斜めに挿入できる。これは、プレートに引付ける必要がある小さい骨片の把持のために特に重要である。
【００１８】
他の好ましい実施例の場合、雌ネジは、できる限り高い安定性の達成のため、下面から上面まで骨プレートの全高さにわたって延びている。
【００１９】
他の好ましい実施例の場合、長穴は、ネジのない部分において、即ち、下面に向く下部部分において拡張され、従って、骨ネジの偏位が可能である。
【００２０】
他の好ましい実施例の場合、比Ｄ_L／Ｄ_Qは、１．０１−３．００の範囲、好ましくは、１．１−１．５の範囲にある。この比は、−ネジの若干の固定ストロークを必要とする−圧縮穴とネジ穴との組合せから生ずる。求めた比Ｄ_L／Ｄ_Qは、固定可能性と組合せ穴によるプレート強度の最小の低下との妥協点をなす。
【００２１】
他の実施例は、本発明に係る骨プレート以外に、更に、雌ネジに対応し、好ましくは、自己タッピング性に構成された雄ネジをネジ頭部に設置した少なくとも１つの骨ネジを含む。
【００２２】
圧縮プレートとして骨プレートを使用する場合、プレートボアの固定穴ジオメトリが、末端の円錐形ネジ穴４によってマイナスの影響を受けることはない。ネジ穴の円錐形構造の利点は、プレートとは無関係に骨にネジを螺着できるという点にある。この場合、ネジは、締付けて始めて、対応して円錐形に構成しネジを切ったネジ頭部を介してプレートに結合される。これは、自己タッピング性、自己切削性ネジを使用する場合に特に有利である。
【００２３】
（発明を実施するための最良の形態）
以下に、模式的に示した実施例を参照して、本発明および本発明の構成を更に詳細に説明する。
【００２４】
図１に示した本発明に係る骨プレートは、上面１と、骨と接触する下面２と、プレート縦軸線３に沿って配置され上面１および下面２を結合する２つの骨ネジ受容穴４とを有する。
【００２５】
矢印７で、骨プレートの一端への方向を示し、他方、矢印８でプレート中心への方向を示した。
【００２６】
プレート中心のより近くに設けた穴４の直径Ｄ_Lは、プレート縦軸線３の方向へ測定して、プレート縦軸線３に垂直に測定した上記穴の直径Ｄ_Qよりも大きい。直径Ｄ_Lは、５．２ｍｍであり、直径Ｄ_Qは、３ｍｍである。
【００２７】
上記長穴は、上面１に向くその上部部分に、球形頭部を有する骨ネジを受容するための凹の、好ましくは、球状の拡張部分６を有する。
【００２８】
プレート端のより近くに設けた穴４は、上記穴から形成された幾何学的ボデーの３６０°にわたって延びている雌ネジ５を有する。上記プレート穴は、下面２へ向かって狭窄する円錐形状を有し、従って、雌ネジ５は、同じく、１０°の円錐角で骨プレートの下面２へ向かって円錐形に狭窄する。雌ネジ５は、二重ネジ山として構成するのが好ましい。
【００２９】
図３に示した如く、プレート端のより近くにある穴４（図１）の雌ネジ５は、上面１から下面２まで骨プレートの全高さにわたって延びている。
【００３０】
図２と４に示した本発明の好ましい実施例の場合、図１の骨プレートの双方の穴４は、相互に組合せてあり、従って、雌ネジ５は、双方の長穴４内に設置されている。この場合、雌ネジ５は、プレート中心のより近くにある長穴端に設置されている。更に、双方の長穴は、図１の実施例の場合と同一に構成されている。
【００３１】
雌ネジ５は、上面１で測定して、円弧９で示した如く２２３°の範囲にわたって延び、下面２で測定して、円弧１０で示した如く２５６°の範囲にわたって延びている。
雌ネジ５の径に応じて、下記の好ましいパラメータが生ずる：
【００３２】
【表１】

【００３３】
図５に、図４の骨プレートによる固定装置を示した。この場合、骨ネジ１１のネジ頭部１３には、骨プレートの雌ネジ５に対応する雄ネジ１２が設けてある。骨ネジ１１は、自己タッピング性且つ自己切削性に構成するのが合目的的である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ネジのない長穴と別個のネジ穴とを有する本発明に係る骨プレートの上面図である。
【図２】 ネジを切った長穴を有する本発明に係る骨プレートの上面図である。
【図３】 図１のネジ穴の縦断面図である。
【図４】 図２のネジ付長穴の縦断面図である。
【図５】 本発明に係る骨プレートおよびネジを切った長穴に挿入された骨ネジの斜視図である。

Claims (15)

1. 上面（１）と、骨と接触する下面（２）と、プレート縦軸線（３）に沿って配置され上面（１）および下面（２）を結合する、骨ネジ（１１）を受容する複数の穴（４）とを有する骨プレートであって、
   Ａ）プレート縦軸線（３）に沿って配置された前記穴（４）のうち少なくとも１つの穴の直径Ｄ_Lが、プレート縦軸線（３）に垂直に測定した前記穴（４）の直径Ｄ_Qよりも大きく；
   Ｂ）前記穴（４）の少なくとも１つが雌ネジ（５）を有し、
   Ｃ）前記穴（４）の少なくとも１つが、前記特徴Ａに基づき、上面（１）に、球形頭部（１３）を有する骨ネジ（１１）を受容するための凹状の球状の拡張部分（６）を有する形式のものにおいて、
   Ｄ）前記雌ネジ（５）が、骨プレートの下面へ向かって円錐形に狭窄しており、
   Ｅ）前記雌ネジ（５）が、該雌ネジによって形成された幾何学的ボデーの１９０°から２８０°にわたって延びていることを特徴とする骨プレート。
2. 雌ネジ（５）が、穴（４）の全周にわたって形成された請求項１に記載の骨プレート。
3. 雌ネジ（５）が、穴（４）の２００°から２５０°にわたって形成された請求項１に記載の骨プレート。
4. 雌ネジ（５）が、上面（１）において測定して穴（４）の１８０°から２３０°にわたって形成され、下面（２）において測定して穴（４）の２００°から２７０°にわたって形成された請求項１から３のいずれか１項に記載の骨プレート。
5. 穴（４）が、特徴Ａ）およびＢ）に基づき、相互に同一であり、これにより、雌ネジ（５）が、プレート縦軸線（３）の方向へ測定した穴径Ｄ_Lがプレート縦軸線（３）に垂直に測定した上記穴（４）の径Ｄ_Qよりも大きい穴（４）の内部に設置されていることを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の骨プレート。
6. 雌ネジ（５）が、プレート縦軸線（３）の方向へ見て、特徴Ａに基づき、長穴（４）の双方の端部の１つに、プレート中心（８）のより近くに設置された請求項５に記載の骨プレート。
7. 凹の拡張部分（６）が球状に形成された請求項１から６のいずれか１項に記載の骨プレート。
8. 下面（２）が、凹状に形成された請求項１から７のいずれか１項に記載の骨プレート。
9. 雌ネジ（５）が、骨プレートの全厚みにわたって延びる請求項１から８のいずれか１項に記載の骨プレート。
10. 穴（４）が、ネジのない部分において、骨プレートの下部部分において拡張された請求項１から８のいずれか１項に記載の骨プレート。
11. 比Ｄ_L／Ｄ_Qが、１．０１−３．００の範囲にある請求項１から１０のいずれか１項に記載の骨プレート。
12. 比Ｄ_L／Ｄ_Qが、１．１−１．５の範囲にある請求項１１に記載の骨プレート。
13. 請求項１から１２のいずれか１項に記載の骨プレートを有する固定装置において、該固定装置が、更に、雌ネジ（５）に対応する雄ネジ（１２）をネジ頭部（１３）に設置した少なくとも１つの骨ネジ（１１）を含む固定装置。
14. 骨ネジ（１１）が、自己切削性に構成されていることを特徴とする請求項１３に記載の固定装置。
15. 骨ネジ（１１）が、自己タッピング性に構成されていることを特徴とする請求項１３または１４に記載の固定装置。

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