JP4275545B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析法を用いた生体高分子の配列構造解析技術に関する。
人のDNA配列の解析が終了した今日、この遺伝情報を用いて生成させるタンパク質、またこのタンパク質をもとに細胞内で翻訳後修飾され機能する生体高分子の構造解析が重要になっている。
その構造解析手段の1つとして、質量分析法(Mass Spectrometry)がある。質量分析法を用いて、生体高分子を構成するアミノ酸がペプチド結合でつながったペプチドやタンパク質の配列などの情報を得ることができる。とくに高周波電場を用いたイオントラップやQマスフィルターを用いた質量分析法や、飛行時間型質量分析法(Time-of-Flight:TOF)は高速分析法のため、液体クロマトグラフィー装置などに代表される試料を分離する前処理手段との結合性がよい。そこで、大量の試料を連続解析することが求められるプロテオーム解析などの目的に合致しており、幅広く使われている。
一般に質量分析法では、試料分子をイオン化して真空中に導入し(または真空中でイオン化し)、電磁場中におけるそのイオンの運動を測定することにより、対象とする分子イオンの電荷と質量の比が測定される。得られる情報が質量と電荷の比という巨視的な量であるため、単に1度の質量分析操作では内部構造情報まで得ることは出来ない。そこで、タンデム質量分析法と呼ばれる方法が用いられる。すなわち、1回目の質量分析操作で試料分子イオンを特定する、もしくは、選択する。このイオンを親イオンとよぶ。つづいて、この親イオンを何らかの手法で解離する。解離したイオンをフラグメントイオンと呼ぶ。そのフラグメントイオンをさらに質量分析することにより、フラグメントイオンの生成パターンの情報を得る。解離手法により、解離パターンの法則性があるので、親イオンの配列構造を推察することが可能となる。とくに、タンパク質を骨格とする生体分子の分析分野では、解離手法として衝突励起解離(Collision Induced Dissociation:CID)、赤外多光子吸収(Infra Red Multi Photon Dissociation:IRMPD)、そして、電子捕獲解離(Electron Capture Dissociation:ECD)が使われる。
タンパク解析分野において、現在もっとも広く使われている手法がCIDである。親イオンに運動エネルギーを与えてガスと衝突させる。衝突により分子振動が励起されて、分子鎖の切れやすい部分で解離する。また、最近使われるようになった方法がIRMPDである。親イオンに赤外レーザ光を照射して、多数の光子を吸収させる。分子振動が励起されて、分子鎖の切れやすい部位で解離する。CIDやIRMPDで切れやすい部位は、アミノ酸配列からなる主鎖のうち、図10で示したようなa−x、b−yで命名されている部位である。a−x、b−yの部位であっても、アミノ酸配列パターンの種類により切れにくい場合があるために、CIDやIRMPDのみでは完全な構造解析ができないことが知られている。そのために、酵素などを用いた消化などの前処理が必要になり、高速な分析を妨げている。また、翻訳後修飾を受けた生体分子では、CIDやIRMPDを用いると、翻訳後修飾による側鎖が切れやすい傾向がある。側鎖が切れやすいため、失われた質量から修飾分子種と修飾されているかどうかの判定は可能である。ただし、どのアミノ酸部分で修飾されていたかという修飾部位に関する重要な情報は失われる。
一方、他の解離手段であるECDは、アミノ酸配列に依存せず、アミノ酸配列の主鎖上で図10で示したようなc−z部位の1箇所を切断する。そのために、タンパク質分子を質量分析的手法のみで完全解析出来る。また、側鎖を切断しにくいという特徴をもっていることから、翻訳後修飾の研究・解析の手段として適している。このために、近年特に注目を受けているのが、このECDという解離手法である。
ECD反応を発生させるために必要な電子のエネルギーは、ほぼ1電子ボルトであることが知られている(文献:Frank Kjeldsen and Roman Zubarev)。また、ECDとは異なる原理により、10電子ボルト近傍でも、電子捕獲反応が発生することが知られている。この反応は高エネルギーECD(HECD)と呼ばれる。c−z部位を選択的に切断する反応は、前者のECDであり、後者のHECDではc−z部位に加え、a−x部位、b−y部位を含む他の部位も切断されたフラグメントイオンを多数生成する。このために、簡便な解析手段としてECDが好ましい。ただし、実際の分析ではHECDを併用することも検討される。すなわち、ECDとHECDを使い分けるには、1eV以下の精度での電子のエネルギーの制御が必要となる。ECDがタンパク質構造解析・翻訳後修飾解析に対し有効であることがFT−ICRを用いた研究で実証されている。
以上のように、CIDとIRMPD、ECDはそれぞれ異なる配列情報を与えるために、互いに相補的に利用できる。1つの方法はCID、IRMPDを主たる解離手段として用い、CID、IRMPDでは完全な解析が不可能な場合、ECDを補完的に用いるという方法が考えられる。
しかしながら、現時点で、ECDはフーリエ変換型質量分析装置(FT−ICR)でのみ実現されており、産業上広く利用されている高周波イオントラップや、Qマスフィルタなどの高周波質量分析装置では実現されていない。FT−ICRでいち早くECDが実現された理由は、イオンをトラップする原理による。FT−ICRではイオンを保持するために、高周波のような変動電磁場を用いず、静電磁場を用いている。静電磁場を用いていることからイオンをトラップした状態で、電子を1電子ボルトという低運動エネルギーでトラップしているイオンまで導くことができる。すなわち変動電磁場により電子が加速減速されることがない。
しかしながら、FT−ICRは超伝導磁石を用いて、平行強磁場(数テスラ以上)が必要となるため、高価かつ大型である。また、1つのスペクトルを得るために、必要な測定時間は数秒から10秒、スペクトルを得るために必要なフーリエ解析に10秒程度必要である。都合、数10秒必要となるFT−ICRは、10秒程度で1つのピークが現れる液体クロマトグラフィーとの結合性は良いとは言えない。つまり、高速度タンパク質解析には利用しにくいという欠点がある。
高価なFT−ICRを用いずに、しかも高速なECDを実現できれば産業上の利用価値は高い。そのために、FT−ICRを用いずにECDを実現する方法の提案が幾つかなされている。Vachetらは3次元高周波イオントラップに電子線を入射することにより、ECDの実現を試みた(例えば、非特許文献1参照)。しかし、入射電子が高周波電場により高速に加熱され、イオントラップ外に失われてしまうことから、ECDの実現には至らなかった。
最近、FT−ICRを用いずにECDを実現する、以下に示す3つの方法が提案された。
1つめの方法(方法A)は、図11に模式的に示した方法である。4重極静電場31と静磁場11からなるペニングトラップ静電磁場イオントラップを用いる。ペニングトラップ内部に多数の電子線29を捕獲する。電子は静磁場11の磁力線に巻きつくようにして、r方向に捕捉される。また、静電場31のz方向成分によりz方向に捕捉される。負電荷をもつ電子を捕捉するために、トラップの中心に対し、z方向両側の電位は負電位にする。このように捕捉された電子線29にイオン源16で発生させた親イオン1を矢印36のように入射して、電子雲と衝突されることによりECD反応を起こさせるというものである(例えば、非特許文献2参照)。反応で生成したフラグメントイオンは、矢印37のように取り出され、質量分析手段17で同定される。
2つめの方法(方法B)を、図12に模式的に示した。静磁場32と静磁場11からなるペニングトラップに親イオン1を捕捉する。正電荷の親イオンを捕捉するために、トラップ中心に対し、z方向両側の電位は正電位にする。ここに捕捉した親イオン1に、電子線29を照射するというものである(例えば、非特許文献2参照)。電子は、磁場(11)の磁力線に巻きつくように、磁力線に沿って親イオン1に到達する。ECD反応で生じたフラグメントイオンは矢印37のように取り出され、質量分析手段17で同定される。図11、12では、静電場をあらわす線31、32は実の静電場なので、実線で示した。
3つめの方法(方法C)は、図13に示すように、3次元高周波イオントラップを用いた方法である。3次元高周波イオントラップのリング電極に開口した穴から電子線29を入射する。このとき、電子入射方向に磁場11を印加しておき、電子を高い効率でイオントラップ中心にある親イオン1まで導くというものである(例えば、非特許文献3参照)。
フラグメントイオンの分析はおなじ3次元高周波イオントラップを使い、従来法であるイオントラップ質量分析法を用いて同定される。
図13では、3次元高周波イオントラップポテンシャルを記述する擬ポテンシャルを点線33で表した。擬ポテンシャルとは、高周波電場(変動電場)が時間平均として作り出す擬似的なポテンシャルで、近似として静電場的描像で考えることができる。ただし、実際には高周波により、荷電粒子の運動には変動電場の影響がマイクロモーション、高周波加熱などとして現れる。
以上の3つの方法A、B、Cは、原理の提案として発表されたもので、現時点でECD反応は実証されていない。
R. W. Vachet, S. D. Clark, G. L. Glish:proceedings of the 43th ASMS conference on Mass Spectrometry and Allied Topics (1995)1111
T. Baba, D. Black and G. L. Glish:51st ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, Montreal, Canada (2003)MPK227/ThPJ1 165 I. Ivonin and R. Zubarev:51st ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, Montreal, Canada (2003)ThPE057
上述した3つの方法A、B、Cは、それぞれ以下に示すような課題を有する。
方法Aで示した電子捕獲・イオン入射の方法では、反応時間を制御し、長くとることが難しいという課題を有する(課題1)。なぜなら、親イオン1が電子雲29を通過する時間が反応時間であるため、反応時間はせいぜい1ミリ秒程度である。親イオンを行ったり来たりさせて反応時間を増大させることも提案されているが、ペニングトラップへのイオンの通過効率が100%ではないために、イオンのロスを招く。反応時間の短さがECD反応を実現できない原因と指摘できる。
この課題1は、親イオン1を捕捉し、電子29を入射するということにより解決し得る。それが方法Bと方法Cであり、FT−ICRで採用されている方法である。すなわち、親イオンを捕捉し、電子の入射時間を調整することにより、長時間の反応時間を得ることが可能である。
しかし、方法Bで示したECDの実現方法は、入射時の親イオン29のトラップ効率が低いこと、また、液体クロマトグラフと結合して従来より用いられているイオントラップTOF質量分析装置やQ−TOF質量分析装置でのイオントラップ部分やQマスフィルター部分の一般的な低真空(1×10-2パスカル程度)の場合、イオンの蓄積寿命がECD反応に必要な時間(数ミリ秒以上)よりも短いという課題を有する(課題2)。図12において、入射時の親イオンのトラップ効率を大きくする目的で静電ポテンシャル32のz方向を深くすると、親イオンのr方向の安定性が失われイオンをトラップすることが出来ない。また、低真空環境では、親イオンは真空の残留ガスイオンと衝突しその運動エネルギーが失われる。すると、イオンのz軸を回る周回軌道は大きくなる。つまり、ペニングトラップは、低真空環境ではイオンを長時間安定に保持することができない。
方法Cで示した3次元高周波4重極イオントラップに弱磁場を印加する方法を用いれば、方法Bにおける課題は解決される。なぜなら、3次元高周波イオントラップは、実用的なイオンの入射効率を持っていることは既知の事実であり、また、イオンの安定条件を満たせば、イオントラップの中心がポテンシャルの最低点であるため、真空の残留ガスとの衝突により、むしろイオンはイオントラップ中心に収束される。
しかしながら、方法Cでは、3次元高周波イオントラップを用いているために、電子の軌跡に高周波電場が印加され、外部から入射された電子の加速減速による加熱は避けられない。結局、電子が入射された高周波電場の位相により、HECD(5eV以上の加熱された電子との反応)とECD(1eV以下の電子による反応)がともに発生する。これは本来制御すべき重要なパラメータである電子のエネルギーが有意に制御できないという課題を有することを意味する(課題3)。この課題3は、方法Aおよび方法Bでは高周波電場を用いないため課題とならない。
以上の課題をまとめると、入射時に親イオンを高い効率で捕捉することが可能で、低真空中(1×10−2パスカル程度)でも長時間保持することが可能で、さらに電子のエネルギーを1eV近辺の運動エネルギー領域で1eV以下の精度で制御可能な方法が求められている。これが、可能となれば、高い効率で反応を起こさせ、ECDとHECDを区別しながら分析操作を進めることが可能となる。
そこで、本発明の目的は、FT−ICRを用いることなく、高効率でかつ高速なECDを可能にする質量分析技術を提供することにある。
本発明では、2次元結合型イオントラップ(Combined ion trap)をイオントラップ手段として用い、トラップした親イオンに2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って略平行に、電子を照射することにより上記課題を解決する。
結合型イオントラップとは、高周波電場、静磁場、必要により静電場からなるイオントラップのことである。本発明では、特に2次元結合型イオントラップを用いることが有効である。
図14は、本発明の原理的構成を示す。2次元結合型イオントラップは、図14に模式的に示したように、r方向に印加した2次元高周波電場と、高周波が印加されない方向(z方向)にイオンを捕捉するために用いる静電場35、それと静磁場からなる。図14では、2次元高周波電場がつくる擬ポテンシャルを点線34、z方向に印加した静電場を実線35で表した。2次元結合型イオントラップのことを、線形結合型イオントラップ(Linear combined ion trap)と表現することもある。
2次元結合型イオントラップに親イオン1を保持し、そこに電子線29を照射することにより、上述した課題1が解決される。それは、方法Bや方法Cと同様にイオンを保持することにより反応時間を長くとることが出来るからである。
2次元結合型イオントラップを用いることで、上述した課題2も解決される。入射時に2次元結合型イオントラップに親イオン1を捕捉する効率は高い。2次元結合型イオントラップを用いればほぼ100%の捕捉効率が得られている。それは、z方向の静電圧ポテンシャルの深さをr方向のイオン保持の安定性を損なわないまま、実用に耐えるレベルまで大きくとることができるからである。ただし、必要以上に大きくとると、高周波によるr方向の安定性を上回るr方向の静電圧による発散が作用して、イオンは不安定になる。2次元結合型イオントラップの場合、磁場はイオンの入射は妨げないが、イオンの安定性に影響を与える。イオンの安定性に求められる条件は、後述する実施例1のなかで議論する。
また、2次元結合型イオントラップでは、イオントラップ中心軸が高周波電場による擬ポテンシャルの底であり、また、静電場によるz方向のポテンシャルがz方向の収束力を与えるので、イオンが真空の残留ガスとの衝突によりエネルギーを失った場合は、イオンはより収束され、イオントラップに保持される。さらに、2次元結合型イオントラップにはイオンを入射するz方向にそって、高周波が印加されていないので、イオントラップ導入口付近での高周波による跳ね返しの影響がない。そのために、イオンの導入効率が高いことが知られている(参考文献:J. Am. Soc. Mass Spectrom. 2003 vol. 13 Page 659)。
以上のように、2次元結合型イオントラップへの入射効率は高く、真空の残留ガスとの衝突はイオン保持に有利に働くので、課題2が解決される。
2次元結合型イオントラップを用いることで、上述した課題3も解決される。2次元結合型イオントラップに保持した親イオン1に電子線29を照射してECD反応を起こす。電子は、高周波電場振幅がゼロである2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って入射することにより、この入射経路には高周波が印加されていないので、高周波電場による電子の加熱を防ぐことができる。さらに、磁場11の印加方向は2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って略平行に印加する。中心軸方向に印加した磁場に電子を巻きつけることにより中心軸近傍に電子軌道を制限することができる。このことにより、親イオンとの空間分布の重複を大きくするとともに、高周波電場による電子の損失を阻止する。0.05テスラ以上という磁場の強さの加減を設定することにより、電子の有効な軌道制限と損失阻止を行なう。2次元結合型イオントラップ内部での電子が加熱されることなく1電子ボルト程度で導入される様子は、後述する実施例1で示す。以上のように、2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って略平行に、電子を導入することにより、課題3が解決される。
ECD反応で生成したフラグメントイオンは矢印37のように取り出され、質量分析手段17を用いて同定される。
以上、本発明による方式を用いれば、上述した課題1〜3を解決することができる。
なお、本発明では2次元高周波電場として、4重極、6重極、8重極など高周波成分を採用することができる。2次元四重極高周波電場を用いれば、親イオンを中心軸上に強く収束させることができるとともに、4本の電極棒で済むという装置構成上簡単であるという有利性がある。また、2次元6重極高周波電場、2次元8重極高周波電場を採用することにより、2次元四重極高周波電場に比べ、同じ電荷質量比のイオンに対して同じイオントラップポテンシャルの深さを得る条件で、中心軸近傍の高周波振幅を小さくすることができる。これは、電子への加熱効果を小さくできるという利点である。本発明では、4重極高周波がもつ収束性の有利性と簡便性、多重極高周波がもつ電子の加熱低減の有利性をともに利点として有する。
本発明のよれば、FT−ICRを用いることなく、高効率でかつ高速なECDを可能にする質量分析技術を実現できる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳述する。
図1に、本発明の第1の実施例を示す。本実施例のECDを実施できる質量分析装置は、2次元結合型イオントラップ2−11と電子源部12、13、21、27からなる電子捕獲解離反応(ECD反応)を発生させる反応セルと、イオン源部15、16、質量分析部17として飛行時間型質量分析部からなる。これらの各部はコンピュータ30で制御される。図中、1はトラップされている親イオンを表す。
本実施例では、2次元結合型イオントラップとして、2次元4重極電極2〜5を用いている。例示のように、4本のロッドからなる電極2〜5に高周波電源8を用いて高周波電圧を印加し、ロッド電極がつくる間隙内部に高周波4重極電場を発生させる(図中、電極3、5については、説明の便宜上、それらの一部を点線で示してある)。2次元4重極電極2〜5には、静電圧電源9を用いて、その静電位を調整する。イオンを中心軸に沿った方向に捕捉するために、静電圧電源10を用いて静電圧を印加した2つの電極、すなわち端電極6、7を配置する。図1では端電極6、7は穴のあいた永久磁石で形成される。この磁石が形成する磁力線を11として示した。磁気回路の記載は簡便のため省略している。磁気回路を含めた2次元結合型イオントラップの実施例は、後述する図6、7、8において説明する。
イオン源部15、16は、多価イオンを生成しやすいという特徴をもつ、電子スプレー型イオン源(Electro Spray Ion Source:ESI)16を用いる。電子との反応をめざすので、ESIは正電荷を生成するモードで動作させる必要がある。ESIは、一般的手法のためここでは詳細な説明を省略する。イオン源16の後段には、Qマスフィルタまたは2次元高周波イオントラップ質量分析手段等の質量分析手段15を備える。ここで、親イオンの純度を上げるための分離(isolation)や、選択的質量挿引(Precursor scan)を実施する。
電子源部12、13、21、27は、電子源12、4重極偏向器13、静電レンズ27、磁気遮蔽21からなる。電子源12として、大電流を発生することができるディスペンサーカソード(dispenser cathode)を用いる。発生した電子線は静電レンズ27を用いて収束して高効率で2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って、その中心部まで導く。
以上のディスペンサーカソードと静電レンズを2次元結合型イオントラップの入口もしくは出口部分に接近させて設置すると、親イオンの入射とフラグメントイオンの取り出しが出来なくなるので、この問題を回避するために4重極偏向器13を設置する。4重極偏向器を設置すると荷電粒子の入射方向を都合3つとることが出来る。電子源とイオン源の設置位置として、いろいろな組み合わせが考えられる。本実施例では、電子と親イオンを2次元結合型イオントラップへの入射方向に対して90度の方向から入射する例を示した。2次元結合型イオントラップの漏れ磁場により電子の軌道が大きく影響を受ける可能性がある。この悪影響を回避するために、電子源12と4重極偏向器13の部分を磁気遮蔽箱21に収めた。
本実施例では、フラグメントイオンを飛行時間型質量分析器17を用いて高分解能質量分析をおこなう。この実施例ではリフレクトロン19を備えたV字型の飛行経路をもつ飛行時間型質量分析器である。加速部分18で加速されたイオンがリフレクトロン19で反射され、マルチチャンネルイオン検出器20で計数する。本発明では、飛行時間型質量分析器の詳細に依存しないため、詳細な説明を省略する。
図6〜8は、2次元結合型イオントラップの実施例を示す。いずれの例も、2次元結合型イオントラップの中心軸を含む面で切断した断面で表示した。
図6は、2次元結合型イオントラップを構成する磁気回路の一例である。本図では、高周波電圧を印加する4本の電極ロッドからなる4重極電極のうちの2本の電極107、108を示している。磁場は、穴を持つ板状の永久磁石101、102を用いて発生させる。軟鉄で製作した磁気回路103〜106を用いて4重極電極107、108外部の磁束を閉じ込める。これは、漏れ磁場により電子線源12で発生し、静電レンズ27と4重極偏向器13を経由する電子線29の軌道への悪影響をできるだけ小さくする目的である。2次元結合型イオントラップの中心部分の磁束密度は、永久磁石101、102が発生する磁束密度とほぼ等しいかやや弱くなる。永久磁石としてネオジウム・鉄・ボロン磁石を用いると1テスラ程度の磁束密度を発生することができる。また、この種の磁石は電気伝導性をもつので、端電極としてそのまま用いることができる。端電極である永久磁石103、104に独立に静電圧を印加できるようにするために、絶縁体109〜112を挿入している。
図7は、永久磁石を端電極部分から除去した2次元結合型イオントラップの別の一例である。本図では、高周波電圧を印加する4本の電極ロッドからなる4重極電極のうちの2本(205、206)をしめしている。図7において、201、202が円柱形状をした永久磁石である。電気伝導性のない磁石(フェライトなど)を用いる場合に有効である。また、図6の例は単純な構成ではあるが、磁束密度を調整したり、任意の値に設計することが難しい。図7の例では、永久磁石の円柱の数を調整することにより、2次元結合型イオントラップ中心部分での磁束密度を調整することが可能となる。磁極203、204に透磁率が小さく、飽和磁化の大きい軟鉄を用いることにより、磁束を収束することができ、2次元結合型イオントラップの中心部に強い磁場を印加することが出来る。端電極として動作する磁極203、204に独立に静電圧を印加できるようにするために、絶縁体207〜210を挿入している。
以上説明した図6、図7は、永久磁石を用いることにより、電場を発生させるための電源を必要としない装置構成である。
図8は、常伝導電磁石を用いた2次元結合型イオントラップのさらに別の一例である。実施の際のパラメータとして任意に磁場の強さを変化させたいという要求が生じる場合がある。その場合には、図7の永久磁石に換えて常伝導電磁石を用いる。コイル301、302を磁心305、306に巻きつけ、磁場を発生させる。発生した磁場は、磁極303、304を経て2次元4重極電極307,308に印加される。端電極として動作する磁極303、304に独立に静電圧を印加できるようにするために、絶縁体309〜312を挿入している。本実施例では磁場の強さを可変に出来るという利点があるけれども、電磁石を動作させるための電源(図示してない)と、コイルの放熱システムが必要になるので、装置構成は多少複雑となる。
以上例示した3つの磁気回路は、それぞれ特徴と欠点を持つので、ニーズによって選ぶ。図1での構成した実施例では、図6の穴のあいた永久磁石を2次元4重極電極の両端に配置する方式を採用している。ただし、磁気回路と絶縁体は図示していない。
2次元結合型イオントラップに印加する最適な静磁場の強さは4重極電極のサイズ、高周波周波数、親イオンの質量やフラグメントイオンの最大・最小電荷質量比に依存する。コンピュータによるイオン軌道計算から導かれる結果を参照して装置設計することが現実的である。以下に示すような典型的な大きさの2次元結合型イオントラップの形状を規定し、磁場決定の例を示していく。
4重極電極のサイズ(イオントラップ中心軸と電極までの距離:ro)を10mm、高周波周波数1MHz、分析対象とする親イオンの最大電荷質量比:1000[Da]、フラグメントイオンの最小電荷質量比:100[Da]と設定する。このとき、イオンが安定に反応セル内部に保持される条件を図2から図5に示した。以下では、高周波振幅:Vrf、高周波周波数:Ω、端電極電圧:Vdc、2次元4重極電極の長さ:a、磁束密度:Bと記述する。さらにイオンの質量:m、電荷:Zeと記述する。
図2、図3では、高周波振幅、端電極電圧、磁束密度を規格化した形で表記している。規格化された高周波振幅:q、規格化された端電極電圧:a、規格化された磁束密度:gを以下のように定義する。
Figure 0004275545
・・・・・・・・(数1)
Figure 0004275545
・・・・・・・・(数2)
Figure 0004275545
・・・・・・・・(数3)

図2、図3では、磁束密度:gを与えた場合、イオンが安定に2次元結合型イオントラップの中に滞在する高周波振幅:qと端電極電圧:aをハッチであらわした。パラメータ:g、q、aは電荷質量比依存性を持つので、(数1)〜(数3)を利用して図2、図3を換算して、特定の電荷質量比をもつイオンの安定条件を議論することができる。
2次元結合型イオントラップの設置される真空槽の真空度は10−2パスカル程度を想定する。このときは、イオンと真空中のガスとの衝突により、イオンは運動エネルギーを失う。この条件下では、磁場が印加されていても、イオンの安定領域を規定する境界線のうち、a0ラインはg=0の場合に等しい。b1ラインは真空度による影響を受けない。
図2、図3によると、磁束密度を2.0テスラ以下に選ぶことにより、電荷質量比:100−1000[Da]をもつイオンを安定にトラップする条件を得ることが出来る。磁束密度が2.0テスラを超えると、電荷質量比:100[Da]を持つイオンは高周波電場による共鳴の影響を受けて不安定になる。
図4は、電荷質量比(m/Z):1000[Da]、図5は、電荷質量比(m/Z):100[Da]を持つイオンの安定領域を示した。それぞれ、磁束密度が0の場合と、2.0テスラの場合を示してある。
電荷質量比:1000[Da]のイオンと電荷質量比:100[Da]のイオンが同時に保持できる条件は、以下のように決定する。
すなわち、電荷質量比:1000[Da]のイオンのa0(B=0)ライン(図中、点線で示す)、b1(B=2.0)ライン(図示できない領域にあるため、省略)、電荷質量比:100[Da]のイオンのa0(B=0)ライン、b1(B=2.0)ラインで囲まれる領域が電荷質量比:100〜1000[Da]のイオンを同時に捕捉できる条件である。ECD反応をおこなう期間はこの安定領域を与える高周波振幅と端電極電圧を印加する。
電子の軌道を磁力線につよく巻きつけて軌道を制限し、1電子ボルト程度の低温電子が高周波電場により加熱されることなくイオントラップの中心に至るためには、磁場の強さを0.05テスラ以上にしておくことが必要となる。以下において、電子の運動についてのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
図17から図21には、コンピュータを用いて計算した2次元結合型イオントラップの外部から中心軸にそって入射した電子のエネルギー分布を示した。計算では端電極から5ミリメートル離れた面で中心軸を中心とする半径1mmの円内で乱数で決定した確率的に均一な面分布で、中心軸に平行に0.2電子ボルトのエネルギーを持って電子を射出させた。その多数の電子の軌道を追跡し、イオントラップ中心面(z=0)に到達したときの電子の運動エネルギー分布を示したものである。高周波電場の位相は乱数で等確率に与えている。電子射出面の電位は-1ボルト、端電極電位は5ボルト、イオントラップ高周波電圧は100ボルトに設定した。電位空間分布はラプラス方程式を数値的に解くことにより求めた。
図17は、結合型イオントラップの磁場の強さ0.1テスラの場合、2次元結合型イオントラップの中心における電子のエネルギー分布を計算から求めた結果である。50回の繰り返し試行の結果、電極に衝突して失われた試行が2試行あった。トラップ内のイオン分布に至る確率は96±3%と計算される。電子のエネルギー分布の平均値は0.89電子ボルト、分布の標準偏差は0.42電子ボルトであった。高周波の位相依存性はほとんどみられなかった。以上のように、本発明の方式を用いれば、3次元結合型イオントラップを用いた従来例(非特許文献3)では実現されないECD反応とHECD反応を区別できることを示している。
また、図18は、結合型イオントラップの磁場の強さ0.1テスラの場合、2次元結合型イオントラップの中心における電子のr方向空間分布を計算から求めた結果である。z=0平面内でのイオントラップ中心軸からの距離を表示した。平均距離は0.78mmでその標準偏差は0.28mmであった。親イオンの空間分布は1mm程度と推定されるので、両者の十分なオーバーラップ空間分布を得られている。
図17、図18のように、磁場の強さが0.1Tの場合、電子をイオントラップの中心軸に沿って磁場にまきつけて入射すれば、ほぼ1電子ボルトの電子線を導入可能でECD反応を発生させることができることを示すことが出来た。また、その電子エネルギーの分布幅が1電子ボルトよりも小さいのでECDとHECDの差を制御できるような電子エネルギーの制御が可能であることを示すことが出来た。
続いて磁場の強さに対する電子の挙動を議論する。このとき、磁場の強さB=0においては、1例の試行もイオントラップ中心z=0には到達することはなかった。そこで、図19、20、21では、B=0.005T以上の結果を示した。また。B=1T以上では、磁場による電子の周回運動すなわちシンクロトロン運動の周波数が大きくなるため、計算ステップがちいさくなりすぎ、現実的な時間では計算を遂行することができなかった。B=1テスラをこえる強磁場の場合、電子の磁力線への巻きつけが十分に強くなるので電子の損失や加熱はより発生しなくなる傾向である。0.1〜0.5テスラで十分な性能が得られているので、それ以上の磁場において、電子の制御性が失われることはないと考えられる。
図19は、2次元結合型イオントラップの中心に電子が到達できる確率の、磁場の強さに対する関係を計算から求めた図である。イオントラップ中心z=0に到達した電子の割合をパーセンテージで表示した。到達しない試行は、高周波4重極電極ロッドに衝突し失われている。磁場の強さ0.02T以上において、ほぼ100%の到達効率を得ることが出来ることを示している。
図20は、2次元結合型イオントラップの中心における電子エネルギーの、磁場の強さに対する関係を計算から求めた図である。高周波4重極電極ロッドに衝突しなかった事象について、z=0において、その平均運動エネルギーを白丸で、分布の幅(標準偏差)を実線で示した。磁場の強さ0.02T以上において、高周波電場によって加速されることなく、ECD反応に必要なエネルギーである1電子ボルトで電子をトラップ中心に到達することができることを示している。
図21は、2次元結合型イオントラップの中心における電子のr方向空間分布の、磁場の強さに対する関係を計算から求めた図である。4重極電極ロッドに衝突しない事象について、z=0におけるトラップ中心軸を中心とした半径を表示した。各磁場の強さの値における半径の平均値を白丸、分布の幅(標準偏差)を実線で示した。磁場の強さ0.05T以上において、電子の分布半径を1mmとすることが出来ることを示している。この半径は、典型的な親イオン分布半径と等しい。つまり、磁場の強さ0.05Tにおいて、親イオンと電子との分布の重畳を十分にとることが出来る。
以上、図19、20、21より、1電子ボルト程度の電子を加熱なしに2次元結合型イオントラップ中心に導き入れるためには、図19、20、21の重複部分、すなわち、0.05テスラ以上の磁場を印加することが有効であることが示された。
次に、本実施例の操作手順を、図1と図15を用いて説明する。はじめに、ESIイオン源16で親イオンを生成する。生成したイオンは細孔から真空中に導入される。Qマスフィルター部15の真空度を保つため、差動排気系を備えたイオン光学系を用いて、イオンをQマスフィルター部15に導く。ここで、注目する特定の電荷質量比をもつイオンを親イオンとして選択する。選択した親イオンは4重極偏向器13を経由して、2次元結合型イオントラップに蓄積される。このようにして導入されたイオンが、図1での親イオン1である。イオンを保持するために、4重極電極2〜5に高周波電源8を用いてイオントラップ高周波電圧を与える。また、端電極6、7には、4重極電極2〜5に対して正の電位を持たせる。そのために、直流電源10、28を用いる。
トラップした親イオン1に電子線14を照射してECD反応を発生させる。ディスペンサーカソード12にヒーター電流を通電して、加熱しておく。ディスペンサーカソード12と電子レンズ部27との間に電圧を印加することにより、熱電子がディスペンサーカソード12から放出される。電子を4重極偏向器で偏向させて、2次元結合型イオントラップに導入する。その電子の流れを、図1では矢印29で表示している。ECD反応に関与する電子のエネルギーはディスペンサーカソード12とDC電源9で規定されるイオントラップ電圧で決定されるので、両者の電位差を1ボルトとする。ECD反応を起こさせる操作のうち反応期間では、高周波電圧は親イオン・フラグメントイオンの保持が可能な限りで最低にセットする。これは、電子29への高周波による加熱を回避するためである。フラグメントイオンは結合型イオントラップの内部に保持される。
ECD反応期間が終了したら、4重極電圧にDC電源9、10、28を用いて2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って、イオンをTOF質量分析装置17にむけてイオンを排出するような電場勾配を形成し、フラグメントイオンを含むイオン群をTOF質量分析部分17に導く。導かれたイオンを加速器18で加速し、リフレクトロン19を経由して、そのイオンをマルチチャンネルプレート検出器20で検出する。加速器18で加速した時刻とマルチチャンネルプレート検出器20によってイオンが検出された時刻の時間差からイオンの電荷質量比を計算し、フラグメントイオンを同定する。
ECDと相補的関係にある他の分子解離方法によるスペクトルを取得するために、衝突励起解離(CID)用電源系、赤外多光子吸収解離(IRMPD)用レーザシステムをオプションとして備える質量分析装置の例として、図9を示す。
ECDと、CIDおよびIRMPDは相補的な配列構造情報を与える分子解離方法なので、両者を同一装置内で行うことは、分子種同定に対し有効である。ECDに関連する部分である2次元結合型イオントラップ部2〜11、28には、あらたに衝突励起解離(CID)用交流電源26を備える。電子源部12、13、21、27はあらたにレーザ光の入射穴25を備える。このレーザ光は2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って入射されるので、中心軸の延長上に穴25は開口されるべきである。赤外レーザ装置23が発生したレーザ光を矢印24で示した。イオン源部分15、16は、実施例1で示したものと同等のものである。これらの各部はコンピュータ30で制御される。
質量分析部22は原理的に、実施例1で示したTOF質量分析装置にかぎらず、多種多用な質量分析法から選択できる。質量分析部22として、現時点の質量分析技術をかんがみると、高速かつ高質量分解能をもつ飛行時間型質量分析装置が、汎用性と価格対効果の面で好ましい。しかし、応用によっては、飛行時間型質量分析装置よりも高い質量分解能を有するフーリエ変換型質量分析装置(FT−ICR)を採用する場合が考えられる。また、現在、タンパク質分析装置として多数用いられているトリプルQ質量分析装置(2台のQマスフィルタの間にCID反応セルを有する)との互換性から、質量分析部分22にQマスフィルタを設置することも考えられる。また、イオントラップ型を用いれば、複数回のCIDを高効率に行う技術が確立している。これを利用することにより、ECDで得たフラグメントイオンにつく側鎖の解析などが可能となる。とくに2次元イオントラップを用いれば、反応セルとイオントラップとの高い輸送効率での結合が可能となる。
以上のように、本実施例では、質量分析部22としてその分析原理を限定するものではない。
2次元結合型イオントラップに親イオンを共振させる共鳴交流電圧を印加し、そのイオンの運動エネルギーを増大させれば、ガスとの衝突により解離し、CIDを実施することができる。この目的のために交流電源26を備える。磁場の影響により磁場が印加されない既存の2次元イオントラップ質量分析法の場合に比べて共鳴周波数が変化する。磁場の影響を考慮した共鳴周波数の式は、結合型イオントラップに関する公知の文献の中に散見される。
また、IRMPDを実施するために赤外レーザ装置23を備える。このとき、イオン1とレーザビーム24との重複を大きく取るために、レーザビームは2次元結合型イオントラップの中心軸と同軸に入射する。そのために、電子源12とイオン源15、16は2次元結合型イオントラップの入射軸に対し90度方向に設置し、レーザビームは2次元結合型イオントラップの入射軸に対し略平行に入射する。
本実施例の操作方法を図16に示す。すでに、手法として確立されているCIDやIRMPDを主に用い、これらでは完全な解析が不可能な場合にECDを補完的に用いることが考えられる。この場合、2次元結合型イオントラップを用いて、Qマスフィルタ15で選択された親イオンをCIDやIRMPDで解離し、質量分析部22を用いて質量分析する操作が基本となる。CID反応やIRMPD反応はECD反応セル内部で行なう。もし、この操作で得ようとする配列構造情報が取得できなかった場合、再度、親イオンを2次元結合型イオントラップに導入し、電子線を照射することにより、ECD反応をおこさせる。この結果のフラグメントイオンを質量分析部22を用いて質量分析することにより、完成された配列情報を得る。さらに具体的な操作手順は、実施例1において図15で示した手順を参照して行う。
また、図22に、別の操作手順の例として、翻訳後修飾解析を行なう操作方法の一例を示す。
はじめに、修飾されている分子種を決定する。すなわち、親イオンを2次元結合型イオントラップに導入し、これにCIDやIRMPDを適用して、一般的にCIDやIRMPDにより結合が切断さやすい性質をもつ修飾分子の分子種を決定する。以上のステップでは、ECD反応セルをCIDの手段、IRMPDの手段として用いている。
つづいて、ECDを用いて主鎖の配列構造を決定する。すなわち、再度、親イオンを2次元結合型イオントラップに導入し、CIDやIRMPDを用いて修飾部位をはずす。修飾分子のはずれた主鎖の配列構造をCID、IRMPDもしくはECDを用いて決定する。図16の操作方法に示したように、CIDかIRMPDで解析を試み、もし配列が決定できなかった場合、ECDを使うことが有効である。
つづいて、翻訳後修飾された部位を決定する。再度、親イオンを2次元結合型イオントラップに導入し、ECDを適用する。修飾分子がはずれることなく主鎖が切断されるので、修飾部位が結合したままのフラグメントイオンが生成される。修飾分子と主鎖配列がわかっているので、ECDで生成されたフラグメントイオンのうち、修飾分子の質量分だけ重くなっているフラグメントイオンが修飾分子と結合しているということになる。つまり、この手順で修飾部位が決定できる。ここでの具体的なECDの実施方法は、実施例1において図15で示した手順と同様である。
以上のように、本発明の方式を用いてECDを実現すれば、高速なECDを安価に提供することが可能となる。特に、本発明を実施することにより、100%に近い高効率の親イオンの捕捉効率が実現され、また、電子を低温のままエネルギー制御して親イオンにまで導入することができるので、高効率のECDが実現され、結局、生体内部のタンパク質や他の生体高分子の解析が高速化する。また、側鎖の結合部位などの翻訳後修飾の情報を得ることができる。以上で得た情報をもとにして、創薬の分野などへの貢献が期待できる。
また、本発明では、質量分析部として、飛行時間型質量分析装置の他に、フーリエ変換型質量分析装置、Qマスフイルター型質量分析装置、磁場セクター型質量分析装置、2重収束型質量分析装置、イオントラップ型質量分析装置、2次元イオントラップ型質量分析装置であっても適用可能である。
本発明の第1の実施例を説明する図。 イオンの安定領域(1)を示す図。 イオンの安定領域(2)を示す図。 イオンの安定領域(3)を示す図。 イオンの安定領域(4)を示す図。 2次元結合型イオントラップを構成する磁気回路の一例を示す断面図。 2次元結合型イオントラップを構成する磁気回路の別の一例を示す断面図。 2次元結合型イオントラップを構成する磁気回路のさらに別の一例を示す断面図。 本発明の第2の実施例を説明する図。 タンパク質のフラグメントを説明する図。 従来法の一例を説明する図。 従来法の別の例を説明する図。 従来法のさらに別の例を説明する図。 本発明の原理を説明する図。 本発明の第1の実施例における操作手順を説明する図。 本発明の第2の実施例における操作手順の一例を説明する図。 結合型イオントラップの磁場0.1テスラの場合、2次元結合型イオントラップの中心での電子のエネルギー分布を計算から求めた図。 結合型イオントラップの磁場0.1テスラの場合、2次元結合型イオントラップの中心での電子のr方向空間分布を計算から求めた図。 2次元結合型イオントラップの中心に電子が到達できる確率の、磁場の強さに対する関係を計算から求めた図。 2次元結合型イオントラップの中心での電子エネルギーの磁場の強さに対する関係を計算から求めた図。 2次元結合型イオントラップの中心での電子のr方向空間分布の、磁場の強さに対する関係を計算から求めた図。 本発明の第2の実施例における操作手順の別の一例を説明する図。
符号の説明
1…親イオンおよびフラグメントイオン、2…4重極電極、3…4重極電極、4…4重極電極、5…4重極電極、6…端電極、7…端電極、8…高周波電源、9…直流電源、10…直流電源、11…磁場をしめす矢印、12…電子源(ディスペンサーカソード)、13…4重極偏向器、14…電子の流れをしめす矢印、15…質量分析手段、16…ESIイオン源、17…質量分析部、18…加速部分、19…リフレクトロン、20…マルチチャンネルプレートイオン検出器、21…磁気遮蔽箱、22…質量分析部、23…赤外レーザ、24…赤外レーザ光を示す矢印、25…赤外レーザ光入射穴、26…衝突解離用交流電源、27…静電レンズ、28…直流電源、29…電子線、30…制御装置(コンピュータ)、31…ペニングトラップの電場ポテンシャル、32…ペニングトラップの電場ポテンシャル、33…3次元高周波4重極イオントラップの擬ポテンシャル、34…2次元結合型イオントラップの高周波電場がつくる擬ポテンシャル、35…2次元結合型イオントラップの静電場ポテンシャル、36…親イオンの入射を示す矢印、37…フラグメントイオンの取り出しを示す矢印、101…穴を持つ円盤型永久磁石、102…穴を持つ円盤型永久磁石、103…磁気回路、104…磁気回路、105…磁気回路、106…磁気回路、107…4重極電極、108…4重極電極、109…絶縁体、110…絶縁体、111…絶縁体、112…絶縁体、201…永久磁石、202…永久磁石、203…磁極と磁気回路、204…磁極と磁気回路、205…4重極電極、206…4重極電極、207…絶縁体、208…絶縁体、209…絶縁体、210…絶縁体、301…コイル、302…コイル、303…磁極と磁気回路、304…磁極と磁気回路、305…磁気回路、306…磁気回路、307…4重極電極、308…4重極電極、309…絶縁体、310…絶縁体、311…絶縁体、312…絶縁体。

Claims (16)

  1. 試料のイオンを生成するイオン源と、2次元高周波電場と静電場とからなる2次元高周波イオントラップ電場と磁場を印加する2次元結合型イオントラップおよび電子線を発生する電子源を具備し、前記2次元結合型イオントラップに保持した前記イオンに前記電子線を照射して電子捕獲解離反応を行うための反応セルと、前記反応セル内で生成した解離イオンの質量分析を行なう質量分析部とを具備してなることを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記磁場の印加方向が、前記2次元結合型イオントラップ部の中心軸に沿って略平行であることを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記電子線の前記2次元結合型イオントラップへの入射方向が、前記2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って略平行であることを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記磁場の印加方向が、前記2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って略平行であり、前記電子線の前記結合型イオントラップへの入射方向が、前記2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って略平行であることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記2次元高周波イオントラップ電場が、2次元4重極高周波電場を含むことを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記2次元高周波イオントラップ電場は、2次元6重極高周波電場または2次元8重極高周波電場を主成分とすることを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記イオンと前記電子線の偏向を行なう4重極偏向器を、2次元結合型イオントラップの中心軸上に配したことを特徴とする質量分析装置。
  8. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記磁場の強さは、2テスラ以下、0.05テスラ以上であることを特徴とする質量分析装置。
  9. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記磁場を発生させる、永久磁石または常伝導磁石を有することを特徴とする質量分析装置。
  10. 請求項1に記載の質量分析装置において、レーザ光を発生する装置と、前記レーザ光を前記2次元結合型イオントラップに入射させる手段とを有することを特徴とする質量分析装置。
  11. 請求項10に記載の質量分析装置において、前記イオンおよび前記電子線の偏向を行なう4重極偏向器を有し、前記イオン及び前記電子線は、前記4重極偏向器により偏向され、前記2次元結合型イオントラップの中心軸に沿って略平行な方向から前記2次元結合型イオントラップに入射し、前記レーザ光は、前記2次元結合型イオントラップ中心軸に沿って略平行な方向から前記2次元結合型イオントラップに入射することを特徴とする質量分析装置。
  12. 請求項1又は10に記載の質量分析装置において、前記イオンを衝突解離させるために、交流電場を前記2次元結合型イオントラップに印加するための交流電源を有することを特徴とする質量分析装置。
  13. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記イオン源により生成された前記イオンから特定電荷質量比を有するイオンの選択を行なう質量分析手段を、前記イオン源と前記2次元結合型イオントラップとの間に有することを特徴とする質量分析装置。
  14. 請求項13に記載の質量分析装置において、前記質量分析手段が、Qマスフィルターまたは2次元高周波イオントラップ質量分析手段であることを特徴とする質量分析装置。
  15. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記質量分析部は、飛行時間型質量分析装置、フーリエ変換型質量分析装置、Qマスフイルター型質量分析装置、磁場セクター型質量分析装置、2重収束型質量分析装置、イオントラップ型質量分析装置、2次元イオントラップ型質量分析装置のうち、いずれか一つであることを特徴とする質量分析装置。
  16. 請求項7又は11に記載の質量分析装置において、前記2次元結合型イオントラップの漏れ磁場の影響を遮断するために、前記電子源と前記4重極偏向器とを覆う磁気遮蔽箱を有することを特徴とする質量分析装置。
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