JP7429276B2 - 異なるガス圧におけるイオン光学装置間のイオン輸送 - Google Patents

異なるガス圧におけるイオン光学装置間のイオン輸送 Download PDF

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Description

本開示は、イオン光学装置、例えば、多重極イオン光学装置を備える、質量分析計に関する。
抽出イオントラップは、対にされた質量分析器のためのイオン蓄積及び準備装置として機能し、イオン源から連続ビームを取り込み、分析器アクセプタンスに通常合致する空間及びエネルギー特性を有する冷却されたイオンパケットをパルス出力する。このような装置は、通常、飛行時間(ToF)及び軌道トラップ型質量分析器と対にされる。ToF分析器に適した抽出トラップは、US9312114 B2に記載されている。軌道トラップ型質量分析器と組み合わせた抽出トラップのための器具は、US7425699 B2に記載されている。
最初に図1aを参照すると、既存の例示的な抽出イオントラップの縦断面図が示され、図1bを参照すると、図1aの抽出イオントラップの横断面図が示されている。これは、軸方向の入口及び出口開口10と、質量分析器20へのイオンの抽出のための直交抽出開口15と、を備える。抽出のために印加されるRF及びDC電圧も示されている。
このようなトラップは、通常、4つの平行なロッド電極の四極アセンブリであり、反対の極性のRF波形が適用された対向ロッドの各対が、ラジアルトラップ擬ポテンシャルを提供する。ロッド電極は、図1a及び1bに示されるように、平板電極の形態を採り得る。ロッドセットは、DC電圧が印加された電極によって終端され、イオンが軸方向に逃げるのを防止する。これらの電極の開口は、イオンが、隣接するイオン光学装置から受け入れられることを可能にする。
別の一般的な構造は、1対のDCエンドキャップ電極間に四重極トラップ場をまとめて生成する、RF電圧が印加されたリング電極で構成された3D又はポールトラップである(R.E.March et al.;「Quadrupole Storage Mass Spectrometry」,John Wiley & Sons,pp.31-110,1989)。
トラップに入ると、イオンは緩衝ガス(通常は窒素又はヘリウム)との衝突によって冷却され、トラップの中央に圧縮されたパケットを形成し、これは、入口及び出口開口の反発DC電圧を増加させることによって更に圧縮され得る。イオンパケットは、パルスDC(図1a及び1bの「プッシュ」、「プル」)をロッド電極のうちの1つ以上に印加して、トラップ軸に直交する強力なDC場を生成することによって、抽出され、イオンは、1つのロッド内に切り込まれたスロットを通して放出される。抽出の前に、US7250600 B2及びUS9312114 B2に記載されているように、適用されたRF電圧を最適な位相で最初にクエンチして、イオンの空間分布及び/又はエネルギー分布を最適化し、抽出プロセスでのRFからの干渉を最小限に抑えるのが通常である。
イオンの軸方向トラップは、必ずしも末端電極又は開口によって実行される必要はない。(US8981287 B2に記載されているように)RFロッド自体がセグメント化されている場合、異なるDC電圧を各セグメントに印加して、イオンを保持するための軸方向トラップウェル又はイオンを抽出領域に誘導するためのDC勾配のいずれかを形成し得る。別の代替案は、RFロッド間のスペースに取り付けられ、ロッド全体の長さの一部分に対してのみ延長された補助DCトラップ電極を介して軸方向DCを提供することである(GB2570435A及びStewartら、「A Rectilinear Pulsed-Extraction Ion Trap with Auxiliary Axial DC Trapping Electrodes」,American Society for Mass Spectrometry Conference,San Antonio,2018)。補助DC電極を使用して重畳された軸方向勾配又はトラップウェルを生成する他の方法は周知であり、くさび状電極(US2014/0353491 A1)、セグメント化されたロッド(US2014/0353491 A1)、及びPCBベースの電極のチェーン(US9396919 B2)を介したものを含む。
抽出トラップが直面する主な課題は、注入されたイオンを数eVエネルギーから効率的に捕捉し、急速に熱化することである。これは、通常、2×10-3mbar(0.2Pa)を超える、相対的に高い圧力の緩衝ガスに有利に働く。しかしながら、効率的なパルス抽出は、特に質量の大きいイオンの場合、熱化されたイオンと緩衝ガスとの衝突を最小限に抑える必要がある。飛行時間型、多重反射飛行時間型、及び軌道トラッピング質量分析器は、非常に低い圧力を要求し、トラップから分析器への最小限のガス漏れに有利に働く。単純な解決策は、GB2439107 Bに記載されているように、パルスガスバルブを使用することだが、これらは、動作が遅いため、100Hzよりも大きいものが要求されるときに、分析器の繰り返しレートが約10Hzに制限される。
別の解決策は、高圧トラップ領域においてイオンを急速に予冷し、次いで、低エネルギーを有するイオンを低圧抽出領域に移送することである(Stewartら、「A Robust C-Trap Ion Injection Method Incorporating Electrodynamic Squeezing」,American Society for Mass Spectrometry Conference,2020)。ここで、図2を参照すると、例示的な二圧力領域抽出配置及び例示的な印加されたDC軸電位が概略的に示されている。抽出配置は、補助DC勾配を有する(例えば、1×10-2mbar又は1Paに)加圧された四重極イオンガイド(「イオンルーティング多重極」又は「IRM」と呼ばれる)200に結合された湾曲した電極を有する四重極抽出トラップ(Cトラップ)100を備える。Cトラップ100は、入口レンズ110及び出口レンズ120を有する。
イオンは最初にイオン源からCトラップ100を通って、急速に冷却されるIRM200に向かって通過する。これは、入口レンズ110に印加される加速レンズ電位101及びIRM注入電位201を使用して達成され、IRM200へのイオン注入を引き起こす。次いで、イオンは、IRM200において冷却される。数ミリ秒後、冷却されたイオンは、入口レンズ101に印加されたトラップ電位102及びパージ電位202を有するはるかに低い圧力のCトラップ100にパージされる。追加的に、IRM200及びCトラップ100の出口レンズ120に小さな動的DCランプ電位203が印加されて、反射イオンが戻ってきてレンズに衝突するか、又は適切に冷却される前にトラップを出るのを防止する。中間のDCオフセットステップは、図2には示されていない。
このスキームの限界は、イオン移送を妨げ、かつ実質的な損失を回避するために数eVのイオンエネルギーを必要とする小さい開口のレンズ(Cトラップ100の出口レンズ120)をイオンが依然として通過しなければならないことである。開口は、2つの領域間の圧力差を維持し、別々のRF場の相互作用によって引き起こされるフリンジ場効果を排除するために必要である。最も望ましいのは、領域間のイオンのエネルギー移送が低いことであり、それにもかかわらず、ガスのコンダクタンスを十分に制限するバリアフリーの界面が必要である。
US2019/0103263 A1は、ガスコンダクタンス制限セグメントによって分離された2つの圧力領域を組み込んだセグメント化されたトラップを記載している。この文献の図3(a)に示されているように、ガスコンダクタンス制限セグメントは、バリアに囲まれた小さな内接半径を有するセグメントである。AC(RF)電圧源は、半径方向の閉じ込め又は抽出を引き起こす電圧を供給する。好適なDC電圧の印加により、イオンを軸方向に閉じ込めるか、異なる圧力の2つの領域間で位相させることができる。それにもかかわらず、このようなトラップの実用的な実装形態は実現されていない。
この背景に対して、請求項1に記載の質量分析計が提供される。更なる任意選択的な特徴及び/又は有利な特徴は、従属請求項で定義される。
US2019/0103263 A1に示される設計(2つの多重極イオン光学装置、典型的には四重極のものを備え、一方は、高ガス圧力領域にあり、他方は、低ガス圧力領域にあり、その間にガスコンダクタンス制限がある)は、有利な利点を提供する可能性がある。例えば、トラップパラメータqに一致するように低半径セグメントに好適に分割されたAC電圧により、高圧力領域において予冷及び予蓄積されたイオンは、原則として、実質的に1eVを超えるエネルギーなしで界面セグメントを横切って移送することができ、したがって、大量のイオンの損失又は過剰な冷却時間なしに、抽出領域においてはるかに低い圧力(5x10-4mbar又は0.05Pa以下)を利用可能であろう。
しかしながら、高圧力領域及び低圧力領域からのRF場が重なり合うフリンジ場は、実質的なバリアを作成することがあり、貫通するためにはより高いイオンエネルギーを必要とし、装置の利点の多くを除去することが現在認識されている。これは、トラップパラメータqが一致しているが、位相、周波数、及び/又は振幅が一致していない場合でも発生することが確立されている。単一のRF電源を使用する場合、各側のRFが最適化されないことがあるため、質量対電荷比(m/z)が大幅に異なる可能性がある異なるイオン集団が提供される場合、追加の問題が提示される。2つの異なる圧力領域にあるイオン光学(多重極)装置に独立したRF電源を提供することによって、特にRF振幅の独立した制御を可能にすると、この影響が軽減され得る。この問題は、イオン光学装置のうちの一方又は両方が多重極イオン光学装置ではなく、RF電位を使用してイオンを閉じ込めるように構成されている場合でも当てはまることがある。他のこのようなイオン光学装置の例は、スタックされたリングイオンガイド、イオントンネル装置、及び1つ以上のイオンカーペットを含むイオン光学装置を含む。例えば、イオン光学装置は、交差したイオンカーペット(下流のイオンカーペット又は複数のイオンカーペットが、上流のイオンカーペット又は複数のイオンカーペットに垂直又は直角に配向されている)を含み得る。
特に、フリンジ場は、2つの異なる圧力領域におけるRF場のRF周波数及び位相が同じであるように構成され得る。これにより、RF場が重なり合って実質的なバリアを形成するフリンジ場が特に軽減される。
ガスコンダクタンス制限部は、ダイアフラムを備え得、及び/又はイオン光学装置の内接半径(r0)よりも大きい開口を有し得る。追加的又は代替的に、r0よりも小さい半径を有する高圧イオン光学装置と低圧イオン光学装置との間には何もない(例えば、イオン光学装置がない)。一方又は両方のイオン光学装置(特に多重極)のRF電極は、他のイオン光学装置、例えば多重極の電極に向かって延在するリップを有し得る(また、ガスコンダクタンス制限部に進入し得る)。小さなリップは、四重極ロッドが(例えばダイアフラムの)開口に到達するか、又は開口に入り、互いに近接してフリンジ場効果を更に低減することを可能にし得る。高圧イオン光学装置(多重極)から遠位の低圧イオン光学装置(多重極)の端部でのRF電極間のブリッジは、半径方向の閉じ込めに加えて、イオンの軸方向の閉じ込めのためのRF疑似電位を提供し得る。軸方向の閉じ込めは、代替的に、低圧イオン光学装置(多重極)の遠位端でのDC電極を用いて達成することができる。
したがって、有利な動作モードは、低圧又は抽出領域が高圧力領域とは別々のRF供給で動作し、1つのイオンパケットは、別のイオン集団が高圧力領域において蓄積及び冷却されるのと並行して(例えば、RFをクエンチすることによって)分析器に抽出され得るようにすることである。これにより、抽出トラップにおいて高速並列処理及び低圧の達成が可能になり得る。
下流の低圧力領域及び少なくとも1つの上流の高圧力領域を含む3つのトラップ領域(例えば、上流の質量フィルタ及び/又は衝突セルを使用)を有する高度に並列化された充填シーケンスにより、機器の高速動作を有益に許容する。1つ又は2つのイオンパケットが上流の装置又は複数の装置に蓄積され得、別のイオンパケットが抽出トラップの高圧(多重極)領域に蓄積され、更なるイオンパケットが抽出トラップの低圧(多重極)領域から抽出される。任意選択的に、更に別のイオンパケットを同時に下流の質量分析器において分析し得る。これは、四重極の前(下流)で2つのトラップ段階を並行して使用するだけの既存のアプローチとはかなり異なる。提案されたアプローチでは、3つ、4つ、又は5つのイオンパケットを高い繰り返しレート(200Hz以上)で同時に処理し得る。このアプローチは、好ましくは、上で考察される質量分析計設計と一緒に、又は独立して実装される。
イオン光学装置(多重極)のうちの一方又は両方は、(絶縁スペーサによって分離された)電極のスタックによって形成され得る。第1の(低圧)イオン光学装置(多重極)は、印加される第1の位相のRF電圧及び反対極性のDC電圧を有する第1の対の対向電極、及び直交スプリット対向電極によって形成され得る。スプリット対向電極は、第1の位相と反対の第2の位相のRF電圧及び極性が反対のDC電圧を有する。第2の(高圧)イオン光学装置(多重極)は、印加される第1の位相のRF電圧を有する第1の対の対向電極と、第1の位相と反対の第2の位相のRF電圧を有する(第1の対から直交に配向された)第2の対の対向電極とによって形成され得る。
2つの異なる四重極セルの組み合わせにも、特に利点があり、一方は、イオントラップに有利に働く(斜めに取り付けられた)補助DC電極を備え、スプリットRFトラップ電極と効果的なイオン抽出に最も好適である(赤道に取り付けられた)補助DC電極を備えた別の四重極に移行する。補助DC電極は、イオン光学装置(多重極)の軸に沿って先細にされ得、及び/又はその半径の周りにほぼ等しく離間され得る(例えば、四重極イオントラップに対して4つの補助DC電極があり得る)。
2つの独立したRF電源は、コアRF生成器を共有し得る。2つのRF電源は、別個のコイル(変圧器)配置を使用し得る。位相調整器を使用して、コアRF生成器又は電源のうちの1つによって生成されたRFを取得し、それを使用して、第2のRF電源にRFを提供し得る(この場合、サンプラーを使用して、生成されたRF電圧のうちの1つをサンプリングし得る)。
本発明は、多くの方法で実施し得、好適な実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に記載し得る。
図1aは既存の例示的な抽出イオントラップの縦断面図を示し、図1bは図1aの抽出イオントラップの横断面図を示す。 例示的な二重圧力領域抽出配置及び例示的な印加されたDC軸電位の例を模式的に示す。 本開示による結合イオントラップ構成の実施形態の例示的な概略レイアウトを例示する。 図3の実施形態の縦軸に沿った距離に対する軸方向DC電位のプロットを描写する。 低圧力領域における多重極イオン光学装置の例示的な電極構造の端面図を示す。 図5aの電極構造の斜視図を示す。 高圧力領域における多重極イオン光学装置の例示的な電極構造の端面図を示す。 図6aの電極構造の斜視図を示す。 第1の可能な電源配置のブロック図を概略的に例示する。 第2の可能な電源配置のブロック図を概略的に例示する。 図5及び6の実施形態による、結合イオントラップの縦軸に沿った距離に対するシミュレートされた圧力をプロットする。 図5及び6の実施形態による、2つの四重極間の界面を通過したイオン集合体のシミュレーションからの時間に対する速度のトレースプロットを示す。 2つの異なる圧力での1022m/zのイオンの高圧から低圧への移行時間に対する正規化された信号面積をプロットする。 3つの異なる高圧から低圧への移行時間での202m/zのイオンの低圧力領域における圧力推定値に対する信号面積を示す。 2つの領域に印加されるRFが同相又は180度逆位相であるときの高圧力領域と低圧力領域との間の相対電圧オフセットに対する信号面積をプロットする。 開示された抽出トラップを組み込んだ質量分析計の概略図を示す。 図14の質量分析計の改善された処理シーケンスを概略的に描写する。 本開示による、各々がそれぞれのイオンカーペットを含む、2つのイオン光学装置の例示的な構成の上面図を概略的に描写する。 図16Aの例の正面図を模式的に例示する。
異なる図面間で同じ参照番号を使用することは、同じ特徴を示すことを意図している。図面は、特に記載されない限り、本質的に概略的なものとして考慮されるべきである。
上で考察されるように、結合イオントラップを使用して、数eVのエネルギーからの注入イオンの効率的な捕捉及び急速な熱化が提供される可能性があることが以前に理解されていた。これは、高圧冷却領域、低圧抽出領域、及び領域間の界面における最小バリアを組み込み、領域間のイオンの移送を低減されたエネルギーで可能にし、冷却時間及びイオン損失を最小限に抑える。この構成の利点を実現するために、イオンは、抽出領域内の過剰な緩衝ガス圧力又は過剰な移送及び冷却時間を必要とせずに、望ましくは抽出領域内に移送される。
本開示のアプローチは、多様な注入イオンの効率的な並列化された蓄積及び抽出を介して、高い繰り返しレートで動作し得る抽出RFトラップを提供する。特に、これは、低圧抽出領域内での急速なイオン熱化を可能にするために、圧力界面を横切るバリアフリーの低エネルギー移送によって達成され得る。
換言すれば、結合抽出トラップは、高圧冷却(及び/又はフラグメンテーション)領域及び並列化された低圧抽出領域を組み込み、これらは、コンダクタンス制限部によって分離されるが、このコンダクタンス制限部は、イオン移送に対する実質的なバリアを提示しない。各領域には別個の多重極イオン光学装置が提供されている。有益には、RFは、2つの独立したRF生成器を介して、界面の両側の多重極に供給される。有利に、2つの独立したRF生成器の出力は、例えばコア周波数生成器を共有することによって、位相及び周波数がロックされる。
ここで、図3を参照すると、本開示による結合イオントラップ構成の実施形態の例示的な概略レイアウトが例示されている。これは、低圧力領域300及び高圧力領域400を含む。第1のRF電圧(RF)を有する第1のトラップ電極310が低圧力領域300に提供され、第2のRF電圧(RF2)を有する第2のトラップ電極410が高圧力領域400に提供される。イオンの動きを理解するために、縦(x)軸も表示されている。
低圧力領域300では、真空ポンプ320が約20L/秒のレートで提供されている。高圧力領域400では、N2緩衝ガス420が毛細管425を通して提供されている。低圧力領域300と高圧力領域400との間にダイアフラム350が提供されている。
低圧力領域300及び高圧力領域400の両方では、補助DC電極が提供されている。低圧補助DC電極330及び高圧補助DC電極430のプロファイルが、それらの形状を例示するために、トラップの上に概略的に示されている。
第1のトラップ電極310及び第2のトラップ電極410は、コンダクタンス制限部、この場合にはダイアフラム350によって分離された、100mmの長さ及び2mmの内接半径r0を有する、それぞれのトラップRF多重極アセンブリを形成する。ダイアフラム350は、イオントラップ領域に干渉しないように、多重極r0よりもはるかに大きい開口を有する薄い壁である。2つのトラップRF多重極アセンブリは、四重極場構造に一致するように、同じ内接半径を有するべきである。変動に対する特定の許容範囲が可能あるが、通常、いかなる変動も重要ではない。ダイアフラム350は、多重極アセンブリ間のキャパシタンスを最小にするという更なる利益を有し、RF電源設計をより実現可能にする。
第1のトラップ電極310は、それらに切り込まれている小さなリップ315を有し、同様に、第2のトラップ電極410は、それらに切り込まれている小さなリップ415を有する。これらのリップは、ダイアフラム350に対して壊れることなく、クリティカルエッジを(おそらくダイアフラム内でさえも)可能な限り近づけることを可能にし得る。多重極電極は、理想的には、電気的破壊を引き起こさずに、互いに可能な限り近接している。通常、約0.5mmのギャップが好ましい。ダイアフラム350は、この距離を更に0.5mm延ばしてもよく、リップ315、415の存在は、距離を0.5mm以上低減するように作用し得る。
トラップRFは、2つの電源(図示せず)から2つの多重極アセンブリに供給され、(2つの異なるイオンパケットを並行して処理するために)振幅は独立した制御であるが、周波数及び位相は同一である。これにより、RFバリアの形成、及び領域間の界面での加熱プロセスが緩和される。各多重極アセンブリのDCオフセットは、好ましくは独立して制御可能である。セグメント化された多重極ガイドにおけるフリンジ場の問題は、US7034292 B1において報告されており、移送前のイオンの冷却を最大化するなどの軽減策が挙げられている。
窒素緩衝ガス420は、毛細管425を通して第2のトラップ電極410又は高圧力領域400に供給され、その領域において5×10-3mbar(0.5Pa)の領域の圧力に達するようにするが、分析対象のイオンに応じて、1~20×10-3mbar(0.1Pa~2Pa)が正常である。ガスコンダクタンス制限部と低圧力領域300における約20L/秒のポンピング速度との組み合わせにより、イオン抽出点で5~10倍の圧力低下が保証されるはずである。
補助DC電極330、430は、くさび形(すなわち、それらの長さに沿って先細にされる)であり、RFトラップ電極310、410間に組み込まれて、トラップの長さに沿って重畳された軸方向DC勾配を作成する。これらは、ガスで充填されたトラップ領域を横切ってイオンを迅速に導き、それらを抽出点に蓄積するために望ましい。代替案として、軸方向DC勾配は、RFトラップ電極310、410の大幅なセグメント化によって提供され得るが、これは達成するのに実質的に機械的及び電子的により複雑になると予想される。イオン360は、入口レンズ440を介して高圧力領域400に入る。図に示した補助電極に印加されるDC電圧の極性は、正に帯電したイオンの捕捉及び透過に適切である。電圧の極性を切り替えることによって、負に帯電したイオンをこのように捕捉して透過させることができることが理解されるであろう。
任意選択的に、低圧力領域300において第1のRFトラップ電極310をブリッジするために、ブリッジ340が背面で提供され得る。これにより、イオンがトラップから軸方向に逃げるのを防止するために、追加のRF阻止疑ポテンシャルを作成され得る。代替的に、追加のDC電極を提供することによって、同じ効果が達成され得る。
次に、縦軸(x)に沿った距離に対する軸方向DC電位500のプロットが図3の実施形態に対して描写される図4を参照して、(飛行時間又はToF)質量分析器へのイオン注入、移送、及び抽出のプロセスを説明する。図3に対するものと同じ参照ラベルが使用されている場合、同じ特徴が例示されている。
第1のステップ510では、源からのイオンが、入口レンズを通して高圧力領域400に注入され、この入口レンズは、好ましくは高圧力領域400よりも高いDCオフセットに保持される。高圧力領域400はまた、イオンが逃げるのを防止するために、低圧抽出領域300よりもこの点でより低いDCオフセットを有するべきである。これは、注入イオンのフラグメンテーションを誘発するレベルにセットされ得、及び/又は衝突エネルギーは、フラグメンテーションに使用され得る。次いで、イオンは冷却され、重畳されたDC勾配によって高圧力領域400の遠端(入口レンズ440の遠位)にある領域界面に移動する。
妥当な冷却期間(約1ms)の後、第2のステップ520が行われる。高圧力領域400におけるDC補助電極に印加される電位は、低圧力領域300のDC補助電極に印加される電位のすぐ上までわずかに(+10V)リフトされる。その結果、図に示されているように、軸方向DC場がトラップの中央に電位ウェルを作成するように構成されていることにより、イオン525は、低圧力領域300内にドリフトし、その領域内のトラップの中央において冷却される。高圧力領域400に印加されるDCオフセットは、低圧力領域300に適用されるオフセット(約0.25V)のすぐ上のレベルまで増加され、イオンが最小のエネルギーで低圧力領域内に注入され、抽出点(この場合、トラップの中央)に向かって冷却される。
0.5ms~20msの冷却時間の後、第3のステップ530が任意選択的に行われ、低圧力領域300におけるDC補助電極に印加されるオフセットが、例えば4KVまで増加される。結果として、イオンは、トラップされたままになり、(ToF)質量分析器への注入の準備が整う。この期間中、高圧力領域400におけるDC電極及びRF電極に印加される電位は、低圧力領域300の場によって制約されない。したがって、この時点で、例えば、イオン源から高圧力領域400におけるイオントラップに新しいイオン(新しいイオンパケット)が注入され得る。
最後に、第4のステップ540では、低圧力領域300における電極に印加されるRFがクエンチされ、抽出DCパルス電圧が印加される。これにより、イオンが質量分析器に放出される。
補助DC電極を使用して、高圧力領域においてイオンを捕捉することと、それらを低圧力領域に導くことと、の両方を行いうるので、2つの圧力領域間のRFトラップ電極のセグメント化は、基本的に必要ではないと理解することができる。しかしながら、高圧力領域は抽出領域からイオンを放出する電子信号を見るため、並びに、したがって、トラップ動作が大幅に遅くなるため、これは、両方の領域での異なるイオンの並列処理を除外する。
大まかに言えば、相対的に低いガス圧力領域にある第1のイオン光学装置と、相対的に高いガス圧力領域にある第2のイオン光学装置と、相対的に高いガス圧力領域から相対的に低いガス圧力領域へのガスの流れを制限するように構成されているガスコンダクタンス制限部と、を備える質量分析計が考慮され得る。第1のイオン光学装置は、第1のイオン光学装置のトラップ領域にイオンを閉じ込める第1のRF場を生成するためのRF電圧を第1のRF電源から受容するように構成されている。第2のイオン光学装置は、第2のイオン光学装置のトラップ領域にイオンを閉じ込める第2のRF場を生成するためのRF電圧を第2のRF電源から受容するように構成されている。ガスコンダクタンス制限部は、イオンが第2のイオン光学装置から第1のイオン光学装置に通過することを可能にする開口を有する。有利に、第1及び第2のRF電源は独立しており、特に、第1のRF場を生成するためのRF電圧が、第2のRF場を生成するためのRF電圧とは異なる振幅を有することを可能にする。
本開示の一態様は、イオン光学装置又は質量分析計の配置の形態で考慮されるが、イオンを処理する方法として考慮され得る。このような方法は、構成された機能により、配置又は質量分析計の構造コンポーネントを提供及び/又は動作させるステップを含み得る。本明細書において考察される構造的特徴の全ては、質量分析計を提供又は動作させる方法におけるプロセスステップとして同等に考慮され得る。
実施形態では、第1及び第2のイオン光学装置の各々は、それぞれの多重極イオン光学装置である。本開示の利点は、閉じ込めのためにRF場を使用するイオン光学装置(例えば、イオンガイド)、特に多重極イオン光学装置(例えば、四重極、六重極、八重極、十重極、十二重極など)に適用可能であり得る。
有益に、第1のRF電源及び第2のRF電源は、第1のRF場を生成するためのRF電圧及び第2のRF場を生成するためのRF電圧を、同一の周波数及び整合された位相で提供するように構成されている。
好ましくは、第1のRF電源及び第2のRF電源は、第2のRF場を生成して、第2のイオン光学装置においてイオンをトラップするようにRF電圧を供給するのと同時に、第1のイオン光学装置からイオンを排出又は抽出するように第1のRF場を生成するためのRF電圧を設定するように構成されている(排出又は抽出のためのRF電位はゼロ振幅を有し得、すなわち、第1のRF場はクエンチされ得る)。
いくつかの実装形態では、ガスコンダクタンス制限部は、ダイアフラムを備える。追加的又は代替的に、ガスコンダクタンス制限部の開口(ダイアフラムの開口であり得る)は、第1のイオン光学装置及び/又は第2のイオン光学装置の内接半径r0よりも大きい。好ましくは、第1のイオン光学装置及び第2のイオン光学装置の半径よりも小さい半径を有する第1のイオン光学装置と第2のイオン光学装置との間にイオン光学装置がない。
有利に、第1のイオン光学装置及び第2のイオン光学装置のうちの一方又は両方の少なくとも1つの多重極又はRF電極(任意選択的に、2つ以上の多重極又はRF電極であり、他方のイオン光学装置の電極に向かって延在するリップを有する。リップは、ガスコンダクタンス制限部に侵入し得る。
任意選択的に、所望の圧力に到達するように緩衝ガスが毛細管を介して相対的に高い圧力領域に供給される。追加的又は代替的に、相対的に高い圧力領域において所望の圧力を達成するように相対的に低い圧力領域のポンピング速度が選択される。好ましくは、緩衝ガス及び/又はポンピング速度は、(第2のイオン光学装置又は多重極における)イオン抽出領域で5~10倍の圧力低下を達成するようにセットされ得る。
特定の実装形態では、第1のイオン光学装置の多重極又はRF電極は、特にブリッジが軸方向の閉じ込めのためのRF疑ポテンシャルを引き起こすことにより、第2のRF場が半径方向及び軸方向の閉じ込めの両方を提供するように、ブリッジを更に備え得る。
一般的な用語での本発明の更なる詳細は、以下で再度考察される。他の特定の実装形態の詳細が最初に提示される。
結合イオントラップのためのRF電極の特定の実施形態についての更なる詳細がここで提供される。次に、図5aを参照すると、低圧力領域における多重極イオン光学装置(イオントラップ)(一般的な意味での第1の多重極イオン光学装置)の例示的な電極構造の端面図が示されている。図5aの電極構造の斜視図を示す図5bも参照する。この構造は、GB2570435A及びStewartらの「A Rectilinear Pulsed-Extraction Ion Trap with Auxiliary Axial DC Trapping Electrodes」,American Society for Mass Spectrometry Conference,San Antonio,2018に示されているものと同様の印加電位を有する同様のスキームに従う。
トラップは、絶縁スペーサで分離された細長い電極のスタックから形成される。電極構造は、(印加されるRF及びDC電位は括弧内に示される)プル電極610(+RF1、-DCPP)、プッシュ電極620(+RF1、+DCPP)、スプリットプル電極630(-RF1、-DCPP)、スプリットプッシュ電極640(-RF1、+DCPP)、補助DC電極650、スペーサ660、絶縁ロッド670、及び排出スロット680を備える。
したがって、RFの1つの位相が上部電極及び下部電極(プル電極610及びプッシュ電極620)に印加され、180度位相シフトされたRFが赤道面からオフセットされた4つの電極(スプリットプル電極630及びスプリットプッシュ電極640)に印加され、トラップ疑ポテンシャルを作成する。2mmのr0トラップの場合、振幅が200~2000Vピーク-ピークの4MHzの印加RFが、一般的な分析対象のイオンに好適である。
補助DC電極650(図3に示されるようにくさび形である)は、赤道面に沿っており、そこに小さな電圧が印加されて弱い軸方向電位勾配、例えば、トラップからの抽出点における電位ウェルを作成する。任意選択的に、領域間のコンダクタンス制限部を更に改善するために、入口からトラップの長さの約半分まで延在する電極間に絶縁ロッド670が挿入され得る。
イオンが放出(又は抽出)スロット680でトラップされ、十分に冷却されるときに、抽出領域全体の電位が任意選択的にリフトされ得、次いで、RF電位がクエンチされ、好ましくは、(上で言及した同様のスキームにおいて考察されるように)最初に電極610をプルし、電極620をプッシュし、半サイクル後にプッシュ/プル電極630、640をスプリットする。負の抽出、又はプッシュ/プルpp、(イオン極性に対して)DCがプル電極610及びスプリットプル電極630に印加されるが、正のDCがプッシュ電極620及びスプリットプッシュ電極640に印加され、抽出スロット680を通じてイオンが放出する。この相対的に複雑な電圧の印加により、トラップの中央に強力で均一な場を作成するが、プル電極610若しくはプッシュ電極620にのみ、又はその両方に抽出DCのみを印加することなどのより単純な方法も機能する。250~500V/mmの抽出場は、飛行時間分析器に対する放出に好適であると考えられる。補助DC電極650は、抽出DC勾配のゼロ電位ラインにあるため、抽出点に追加の電位を印加する必要はない。
スプリットRF電極は、2つの独立した有利な点を有し得る。第1に、それらの使用は、トラップの中央においてパルス抽出場を強化し得、第2に、補助DC電極650を導入するための空間を作成し得る。そうでなければ、非赤道補助DC電極(つまり、4つの角から入ってくる)が提供され得るが、それらに抽出DCを印加しなければならず、これは非常に電子的に複雑になり得る。
次に、図6aを参照すると、高圧力領域における多重極イオン光学装置(イオントラップ)(一般的な意味での第2の多重極イオン光学装置)の例示的な電極構造の端面図が示されている。図6aの電極構造の斜視図を示す図6bも参照する。この図では、入口開口(レンズ)は示されていない。
電極構造は、外側トラップ電極710(RF電位+RF2が印加される)と、内側トラップ電極720(RF電位-RF2が印加される)と、スペーサ730と、補助DC電極740と、を備える。この電極スタックは、周波数ロックされた第2のRF電源から同相及び180度逆位相のRFが交互に印加される4つのトラップ電極しかないため、抽出領域の対応するスタックよりも単純である。
この場合、(RF電極710、720間にインターリーブされた)トラップ領域の周囲の角に突出するように取り付けられ、かつ突出部が領域の長さ方向に減少するようにくさび状になっている4つの補助DC電極740がある。反対の傾向も可能であるが、ロッド電位と補助DC電極740からの摂動との合計になるため、界面での絶対DC電位を決定することが少し難しくなり得る。4つの補助DC電極740の使用は、抽出領域において赤道DC電極650によって与えられる4極摂動よりも重畳8極DC場によって半径方向トラップ疑ポテンシャルがはるかに摂動されないので、この領域には好ましい。
トラップ又は透過に好適な補助電極を備えた高圧力領域における多重極イオン光学装置の四重極レイアウトと、低圧力領域における抽出に好適なレイアウトとの間の切り替えは、非常に有利である。どのようにして、このような電極レイアウトが絶縁カバーによって取り囲まれて、ガスの流れを制御し得るかは、容易に分かる。
上で考察される開示の一般的な意味に戻ると、更なる任意選択的な詳細及び/又は好ましい詳細が考慮され得る。例えば、第1及び/又は第2の(多重極)イオン光学装置は、絶縁スペーサによって分離された細長い電極のスタックによって形成され得る。有利に、第1のイオン光学装置は、第1のイオン光学装置及び第2のイオン光学装置の共通軸に沿って第2のイオン光学装置からイオンを受容することと、軸に直交する方向に沿った受容されたイオンの抽出を可能にすることとを行うように構成され得る。
有利に、第1のイオン光学装置及び/又は第2のイオン光学装置は、それぞれのRF場に重畳される軸方向DC勾配を作成するようにDC電位を受容するように配置された補助DC電極を備える。補助DC電極は、それぞれのイオン光学装置の軸に沿って先細にされ得る。いくつかの実装形態では、補助DC電極は、それぞれの(多重極)イオン光学装置の半径の周りにほぼ等しく離間されている。第1の(多重極)イオン光学装置は、電極スタックの中央に補助DC電極を有する電極スタックを備え得る。追加的又は代替的に、第2の(多重極)イオン光学装置は、RF場を生成するための等しく離間されたRF電極を備え得、補助DC電極は、RF電極間にインターリーブされ得る。
一実装形態では、第1のイオン光学装置は、第1の多重極イオン光学装置であり、第1の多重極イオン光学装置は、RFの大きさ及び第1の位相の同じRF電圧と、DC電圧レベルの反対極性のDC電圧を有する第1の対の対向電極と、第2の対の対向電極配置とを備える。対向電極配置の各々は、RFの大きさ及び第1の位相と反対である第2の位相の同じRF電圧と、DC電圧レベルの反対極性のDC電圧とを印加した2つの別個の電極部分を備えるスプリットRF電極を備える。次いで、スプリットRF電極の2つの分離された電極部分間に補助DC電極が提供され得る。任意選択的に、第1の多重極イオン光学装置は、第1の多重極イオン光学装置の第1の対の対向電極間にブリッジを更に備え、第1のRF場は、半径方向及び軸方向の両方の閉じ込めを提供するようにする。追加的又は代替的に、第2のイオン光学装置は、第2の多重極イオン光学装置であり、第2の多重極イオン光学装置は、RFの大きさ及び第1の位相の同じRF電圧が印加される第1の対の対向電極と、そのRFの大きさ及び第1の位相と反対の第2の位相のRF電圧が印加される第2の対の対向電極と、を備える。第1対の対向電極の各々と第2対の対向電極のそれぞれ1つとの間に補助DC電極が提供され得る。
第1及び/又は第2の多重極イオン光学装置は、イオン光学装置の多重極電極間に絶縁ロッドを備え得る。次いで、絶縁ロッドは、イオン光学装置の入口からイオン光学装置の長さの約半分まで延在し得る。
ここで、本開示の追加の具体的な詳細が考察される。一般的な意味による更なる説明は、後で詳述する。
ここで、高圧力領域及び低圧力領域における(多重極)イオン光学装置のためのRF電源の可能な実施形態が考慮される。両方の圧力領域に対するRF電源が同じ周波数を共有することが非常に望ましい。これは、領域の境界面での強いフリンジ場効果の生成を緩和し得るためである。それにもかかわらず、RF電源は、有益には、別個の電源として構成され、例えば、高圧力領域に印加されるRF場が、低圧力領域のクエンチにおけるRF場のクエンチ、抽出のための高電圧オフセットに耐えられるようにする。
小さい周波数誤差であっても、短時間では各領域に完全に異なる場をもたらし得るため、2つの電源は、有利に、周波数ロックされる。これを達成するための1つの方法は、同じ周波数生成器から各電源の一次コイルを駆動することであり、出力RF位相の整合を可能にするために、1つの電源に位相シフトを生成する手段も組み込む。
次に図7を参照すると、第1の可能な電源配置のブロック図が概略的に例示されている。これは、周波数生成器800は、一次巻線811及び二次巻線815、816、817、818を備えるRF1コイル配置810と、VプッシュDC電源821と、VプルDC電源822、一次巻線831及び二次巻線835、836を備えるRF2コイル配置830と、位相調整ブロック840と、を備える。したがって、プッシュおよびプル抽出DC電位の追加だけでなく、各電源における2次コイルの組み込みは、各々出力RF位相を駆動する。これにより、プッシュ電極電位825と、プル電極電位826と、スプリットプッシュ電極電位827と、スプリットプル電極電位828と、高圧力領域に対する+RF838と、高圧力領域に対する-RF839と、を提供する。これは、隣接するセグメントへのRF電力供給が、共通の周波数生成器又はクロックを共有することによって周波数ロックされる、US6340814B1で採用されたアプローチと同様である。
このようなシステムの不利点は、2つの領域が独立して周波数微調整されないことがあることである。通常、周波数は共振について各電源に対して微調整される。このような電源スキームで見出された別の不利点は、位相が振幅とともにシフトし得ることであり、このため、代替的な配置も考慮される。
次に図8を参照すると、第2の可能な電源配置のブロック図が概略的に例示されている。図7のものと同じブロックが例示されている場合、同じ参照番号が使用されている。これは、第1のRF電源の1つの位相の出力(例えば、スプリットプル電極電位828)を使用し、測定ブロック841を使用してこの出力をサンプリングし、それを使用して(位相調整ブロック840を通じて)第2の電源を駆動することにより、周波数及び/又は位相ロックを提供して、第2の電源を第1の電源における位相シフトから保護する。
上で詳述した一般的な意味を参照すると、第1及び第2のRF電源は、電源システムの少なくとも一部を形成し得る。次いで、電源システムは、特定の周波数のRF波形を提供するように構成されているコアRF生成器と、RF波形を受信し、第1のRF場を生成するためのRF電圧を供給するように構成されている第1のコイル構成(又は変圧器)と、RF波形から導出されたRF信号を受信し、第2のRF場を生成するためのRF電圧を供給するように構成されている第2のコイル構成(又は変圧器)と、を備え得る。コアRF生成器及び第1のコイル構成は、第1のRF電源を画定し得、コアRF生成器及び第2のコイル構成は、第2のRF電源を画定し得る。
任意選択的に、電源システムは、RF波形又はRF波形から生成された波形である信号を受信するように、かつ、RF信号の位相を所望のレベルにセットすることによって、受信された信号に基づいて、RF波形から導出されるRF信号を第2のコイル構成に(又は代替的に、第1のコイル構成に)提供するように構成されている位相調整器を更に備える。
いくつかの実装形態では、電源システムは、第1のコイル構成から第1のRF場を生成するためのRF電圧のうちの1つ(又は代替的に、第2のコイル構成から第2のRF場を生成するためのRF電圧のうちの1つ)をサンプリングし、サンプリングされたRF電圧に基づいて、RF波形から生成された波形を位相調整器に提供するように構成されているサンプラーを更に備える。
ここで考察される一般的な意味に戻る前に、特定の実装形態のパフォーマンス結果及び追加の詳細について更に記載する。
ここで、記載された実施形態の効果を例示するためにシミュレーション結果を提示する。ここで、図9を参照すると、図5及び6の実施形態による、結合イオントラップの縦軸(Z)に沿った距離に対するシミュレートされた圧力がプロットされている。このプロットは、抽出領域電極間にコンダクタンス制限シリンダを組み込んだかどうかにかかわらず、結合抽出トラップのモデルに対してイオン光学モデリングソフトウェアパッケージ(MASIM 3D)において実施されたガスダイナミクスシミュレーションの結果を示す。10,000個のガス粒子の軌道が計算され、トラップの長さにわたって圧力勾配が推定された。
追加のコンダクタンス制限器に関係なく、高圧力領域から抽出点までの圧力のほぼ10倍の低下が観察される。しかしながら、これらのシリンダは、界面においてより高い圧力を維持するのに役立ち、イオンが抽出ポイントに輸送されるときにイオンの冷却をわずかに改善することを可能にする。
図10は、図5及び6の実施形態による、2つの四重極間の界面を通過したイオン集合体のシミュレーションからの時間に対する速度のトレースプロットを示す。上の2つのプロットは、半径方向の速度を示し、下の2つのプロットは、軸方向の速度を示す。シミュレーションは、4MHzで400VのRFを使用し、左側のプロットでは、ロックされた周波数及び5%の位相及び振幅誤差を使用しており、右側のプロットでは、10%の周波数誤差(3.8MHz~4.2MHz)を使用している。
900での軸方向のエネルギーの小さな変化によって示されるように、実際の電源に容易に存在する可能性がある小さな位相又は振幅の違いによって、イオンの動きが実質的に妨げられないことは明らかである。しかしながら、周波数誤差は、イオン910のかなりの半径方向の加熱を引き起こし、いくつかのイオンが反射される強力な軸方向バリア(大きな軸方向のエネルギー変化)920を提示する。
更なる結果は、飛行時間分析器に結合され、エレクトロスプレーイオン源を介してイオンが供給される、図5及び6に開示された装置を代表する抽出トラップを構成することによって取得された。ここで、これによる実験結果について記載する。
ここで、図11を参照すると、2つの異なる圧力(約4×10-3mbar又は0.4Pa及び9×10-4mbar又は0.09Pa)での1022m/zのイオンの高圧から低圧への移動時間に対する正規化された信号面積がプロットされている。図12も参照すると、3つの異なる高圧力から低圧力への移行時間での202m/zのイオンの低圧力領域における圧力推定値に対する信号面積を示す。高圧力から低圧力への移送時間は、図4を参照して図示及び考察される4KVのリフト及び抽出の前に、イオンが高圧力領域から低圧力領域に渡る際のイオンの移送及び冷却のための時間を含む。冷却が不十分なイオンは、4KVリフト中に抽出領域から失われ、検出されない。
約4x10-3mbar(0.4Pa)の従来の抽出領域の圧力では、1022m/zのイオンは、最小2msまで、ほとんど任意の移送時間で完全に保持される。しかしながら、1x10-3mbar(0.1Pa)未満の低圧に移動することは、信号を最大化するためにかなりの冷却時間が必要とされることを意味する。この効果は、202m/zのイオンについても、はるかに少ない程度で存在し、圧力が2x10-3mbar(0.2Pa)よりも低いときに、2msの冷却時間でいくつかのトラップ損失を被るが、5ms又は10msの転送では損失は観察されなかった。
これは、この設計の限界を表し得る。非常に高速な動作(全サイクル約5ms)では、通常、1eV未満エネルギーで急速に注入されたイオンを冷却するのでさえ1x10-3mbar(0.1Pa)~2x10-3mbar(0.2Pa)の圧力を有することが望ましいだろう。抽出中又は分析装置内での不要な衝突の危険性により、最小ガス圧を要求し得る、大きな多価イオンの場合は、より低い圧力及びより長い待機時間が所望されると考えられる。抽出領域のDCオフセットの約0.5Vリップルなどのいくつかの実験的ファクタにより、イオンにエネルギーが追加され、冷却時間が多少増加した可能性があることに注意されたい。
ここで、図13を参照すると、2つの領域に印加されるRFが同相又は180度逆位相のいずれかであるときに、高圧力領域と低領域領域との間の相対電圧オフセットに対する信号面積がプロットされている。したがって、これは、高圧力領域及び低圧力領域のオフセットのシフトと、524m/zのイオンの検出信号への影響と、によって定義される、注入エネルギーのスキャンを示している。逆位相RFでは、イオンは界面RFバリアを克服するためにかなり大きな注入エネルギーを必要とし、同位相RF実験に比べて信号損失が常に存在すると考えられることが観察される。
同相RFスキャンは、低注入エネルギーでの高い信号の「スイートスポット」も示しており、これは、最適な冷却によるか、過剰なエネルギーで一部のイオンが、使用される相対的に弱いトラップRF(700V)を貫通し、補助DCピン又はトラップの端に打ち付けられることができると考えられたためであり得る。これは、2つのRF電源を周波数ロックすることの実用的な利点だけでなく、良好な位相整合を維持することの実用的な利点を示し得る。
次に、図14を参照すると、開示された抽出トラップを組み込んだ質量分析計の概略図が示されている。これは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)イオン源1010、RFレンズ1020と、イオンガイド1030と、質量フィルタ1040と、イオンゲート1050と、更なるイオンガイド1060と、湾曲イオントラップ(Cトラップ)1070と、Zレンズ1080と、軌道トラップ型質量分析器1090と、衝突セル1100と、下流イオントラップ1110と、抽出トラップ1120と、傾斜イオンミラー1140と、デフレクタ1150と、補正ストライプ電極1160と、検出器1170と、を備える。
これは、四重極質量フィルタ1040、軌道トラップ型質量分析器1090、及び多重反射飛行時間型(MR-ToF)質量分析器1130を組み合わせたハイブリッド機器である。抽出トラップ装置1120は、この例では、MR-ToF分析器1130に供給するために使用される。このような一般的な器具のレイアウトは、例えば、US10699888B2及びUS10593525B2に以前に記載されている。US10699888B2は、一般的なデータに依存しない取得方法を記載しており、これにより、イオン源1010からの完全なイオンビームがCトラップ1070(抽出トラップの形態)によって時折サンプリングされ、軌道トラップ型質量分析器1090によって測定されるが、ほとんどの場合ビームは質量順次方式でフィルタリングされ、衝突セル1100においてフラグメント化され、フラグメントはMR-ToF分析器1130において分析される。MR-ToF分析器1130は、WO2013/110587A2に詳細に記載されているが、多くの従来の飛行時間分析器を代用することができる。
このような機器を高い繰り返しレートで動作させるときに、かなりの問題が発生し得る。イオンが約10-2mbar(1Pa)の圧力の短い領域を移動するのにかかる時間は、イオンを熱化するのに必要な時間に加えて、約1msのオーダーである。解決する四重極(質量フィルタ1040)を切り替えて、孤立したイオンの新しいパケットを送信する時間も、このレベル付近である。200Hzの繰り返しレートで動作する機器の場合、四重極を切り替え、イオンを抽出トラップ1120の高圧力領域に送り、冷却してトラップの抽出領域に移送し、冷却してMR ToF1130内に抽出するための時間は、繰り返しレートによって可能な5ミリ秒を容易に超過し得る。
US2019/0103263A1に記載されているように、低圧力領域がそのシーケンス(イオン冷却、4KVリフト、ToFへの抽出)を完了する間、抽出トラップ1120の高圧力領域においてイオンを予備トラップすることによる段階の並列化は、いくらかの時間を稼ぐ。しかしながら、抽出トラップ1120の高圧力領域から低圧力領域へのイオン移送のレート決定ステップは、依然として繰り返しレートを制限し得る。更に悪いことに、四重極自体がイオンを送るための時間がなくなることがあり、質量フィルタ1040の前に予備蓄積ステップがない限り、ビームがほとんどサンプリングされないことがある(低デューティサイクル)。空間電荷効果が急速に圧倒的になるため、これは非常に望ましくない。
本開示による抽出トラップを注意深く使用すると、性能が大幅に向上し得る。ここで、図15を参照すると、図14の質量分析計の改良された処理シーケンスが概略的に描写されている。図14の特徴が例示されている場合、同じ参照番号が使用されている。各動作は矢印によって示され、左から右に時系列で順序付けされており、矢印の垂直レベルは、どのイオンパケットが時間におけるスライスで支配的であるかを示している。
このプロセスは、データ依存取得(DDA、Data Dependent Acquisition)源切り替え1200、イオンパケット5の高速四重極切り替え1210、イオンパケット4の衝突セル1100における充填時間及びトラップ1230、衝突セル1100から抽出トラップ1120の高圧力領域1121へのイオンパケット3の移送1240、抽出トラップ1120の高圧力領域1121から抽出トラップ1120の低圧力領域1122へのイオンパケット3の移送1250、4kVリフト及び抽出を介したイオンパケット2の抽出プロセス1260、及びイオンパケット1のToF分析1270を同時に含む。200Hzの繰り返しレートの最大注入時間は、4msである。
このアプローチは、四重極質量フィルタ1040、この場合は衝突セル1100に隣接する追加のトラップ段階を利用する。次いで、四重極1040からのイオンは、移送段階と並行して蓄積され得、四重極1040から抽出トラップ低圧力領域1122への低速移送は、2つのはるかに高速な並行ステップ1230、1240、1250に分けられる。
図4を参照して上で考察されるように、衝突セル移送段階1240では、(高圧力領域400における多重極に印加された)RF2は、入ってくるイオンパケットを受け入れるようにセットされた振幅を有するべきである。対照的に、低圧力移送段階1250では、(低圧力領域300における多重極に印加された)RF1及びRF2は、高圧力領域から低圧力領域へのバリアフリーのイオン移送を促進するためにほぼ等しい振幅を有するべきである(ただし、RF2は、RF1よりもわずかに高い場合がある)。
図15では、5つの異なるイオンパケットの同時考慮と3つの加圧力領域での同時トラップを含む、高度に並列化された段階のシーケンスが利用されている。このようにして、四重極衝突セル充填段階1230は、完全に並列化され、約1msの最小時間のみを有し、5msの200Hzのシーケンスにおいてイオン充填に利用な可能な4msを残し、80%のデューティサイクルとなる。残りの20%は、このような少量では必ずしもそれほど空間電荷を制限しないため、質量フィルタ1040の前に予備トラップすることによって復元されやすいが、注意すべきである。また、他の段階は全て約2msにセットされているため、より難しいイオン又はより高い繰り返しレートのオーバーヘッドを与えることにも留意されたい。原則として、抽出プロセス1260(4KVリフト)及びToF分析1270の並列化は、必ずしも200Hzの繰り返しレートである必要がないが、他の段階と比較して達成するのが簡単であり、抽出領域における総イオン冷却時間を延ばすことを可能にする。
0.25×10-3mbar(0.025Pa)~2×10-3mbar(0.2Pa)の低圧力領域1122の低圧では、移送段階1250は、イオンが急速かつ低いエネルギーで移送される場合、そのような短い期間にしか設定することができないことが強調されるべきである。これを達成する能力は、開示された装置の重要な利点である。望ましい注入エネルギーは、最良の場合でも少なくとも0.05eV以上であるべきであり、これにより、距離をカバーするのに十分なイオン速度を可能にし、電源ノイズ及び不整合によって引き起こされる十分に制御された残留バリアを克服する。少なくとも0.1eV、及び更には0.5eVのエネルギーがイオン注入エネルギーとして実用的であり、2eV以上の高いエネルギーでも動作し得るが、装置の利点を犠牲にすることがある。
シーケンスには、切り替えるソース光学系に対する相対的に長い(3ms~5ms)段階1200が含まれる。透過m/z範囲がm/z間のシフトよりも広い場合、これはデータ独立取得(DIA)中のファクタではない。ただし、四重極がターゲットピーク間で非常に大きなm/zジャンプを行う可能性があるデータ依存取得(DDA)では、この遅延が制限的になり得る。各段階に許容されるタイミングは、注入されたイオンm/zの透過時間又は任意のフラグメントのターゲット範囲の知識に基づいて、コントローラによって固定又は動的に修正され得る。並列段階間に並列化不可能ないくらかの重複がしばしば存在する可能性があること留意すべきであり、例えば、衝突セル1100を空にするのに約100μsかかり、電源が全て自分の切り替え時間を有し、これがいくらかの更なる遅延を導入し得ると理解されるだろう。
図15では、並列処理はチェーンに沿ってMR ToF質量分析器1130(ToFモード)にのみ適用されることにも留意する。Cトラップ1070及びイオンガイド1060、1110は、イオンがそれらを通過するだけであり、タイミングスキームに関連するには速すぎるため、この図では省略されている。Cトラップ1070は、機器がToFモードで動作している場合、トラップとして無効になることがあり、代わりに非常に短いイオンガイドになる。軌道トラップ型質量分析器1090の動作もこの図には示されていないが、連鎖を断ち切り、Cトラップ1070又は衝突セル1100を充填することだけを伴い、次にイオンをCトラップ1070に戻す。
本開示の一般的な意味をもう一度参照すると、質量分析計は、更なる装置で実装され得る。例えば、少なくとも1つの更なるイオン光学装置を第2の(多重極)イオン光学装置の上流に提供し得る。少なくとも1つの更なるイオン光学装置は、イオントラップ、イオン選択(例えば、質量フィルタ)及びイオン処理(例えば、衝突セル)のうちの1つ以上のために構成され得る。質量分析計は、第1の(多重極)イオン光学装置の下流に質量分析器を更に備える。更なるイオン抽出トラップを第2の(多重極)イオン光学装置の上流に提供し得る。次いで、更なるイオン抽出トラップは、イオンを選択的に第2の(多重極)イオン光学装置又は上流の質量分析器に向けるように構成され得る(例えば、ハイブリッド質量分析計、タンデム質量分析計又はMSn構成を提供するために)。
実装形態では、少なくとも1つの更なるイオン光学装置を第2の(多重極)イオン光学装置の上流に提供し得る。次いで、質量分析計は、第1のイオンサンプルが上流の少なくとも1つの更なるイオン光学装置において格納(蓄積)及び/又は処理されることと、第2のイオンサンプルが第2の(多重極)イオン光学装置に格納されることと、第3のイオンサンプルが、第1の(多重極)イオン光学装置に格納されるか、又は第1のイオン光学装置から排出されることと、を同時に行うように構成されているコントローラを更に備え得る。任意選択的に、少なくとも1つの上流イオン光学装置は、2つのイオン光学装置を備え得る。次いで、コントローラは、第1のイオンサンプルが2つの上流のイオン光学装置のうちの第1のものにおいて格納又は処理されることと、第2のイオンサンプルが2つの上流のイオン光学装置のうちの第2のものにおいて格納又は処理されることと、第3のイオンサンプルが第2の(多重極)イオン光学装置に格納されることと、第4のイオンサンプルが第1の(多重極)イオン光学装置に格納されるか、又は第1のイオン光学装置から排出されることと、を同時に行うように構成され得る。少なくとも1つの上流イオン光学装置は、質量フィルタ及び/又は衝突セルを備え得る。
質量分析計は、第2の(多重極)イオン光学装置の下流に質量分析器を更に備え得る。次いで、コントローラは、イオンが上流の少なくとも1つの更なるイオン光学装置、第1の(多重極)イオン光学装置及び第2の(多重極)イオン光学装置において格納及び/又は処理されるのと同時に、更なるイオンサンプルが質量分析器において分析されることを行うように更に構成され得る。
(本明細書に開示される態様の任意の他の特徴と組み合わされ得る)本開示の別の態様によれば、質量分析計を動作する方法が考慮され得る。この方法は、第1の期間中に、相対的に低いガス圧力領域にある第1のイオン光学装置から下流のイオン処理装置に第1のイオンサンプルを抽出することと、第1の期間中、ガスコンダクタンス領域によって、第1のイオン光学装置の上流にあり、かつ第1のイオン光学装置から分離された相対的に高いガス圧力領域にある第2のイオン光学装置において第2のイオンサンプルを処理することと、第1の期間中、第2のイオン光学装置の上流の第3のイオン光学装置において第3のイオンサンプルを処理することと、を含む。次いで、第1の期間の直後の第2の期間中に、方法は、第2のイオン光学装置から第1のイオン光学装置に第2のイオンサンプルを移送することと、第3のイオン光学装置から第2のイオン光学装置に第3のイオンサンプルを移送することと、を更に含み得る。典型的には、第1、第2及び第3のイオン光学装置のうちの1つ、いくつか、又は全てが多重極イオン光学装置である。この方法はまた、それに応じて構成されたコントローラを備えた質量分析計として実装され得る。質量分析計は、本明細書に開示されている質量分析計に従うものであり得るか、又は相違点が存在し得る(例えば、イオン光学装置のうちの1つ以上が多重極イオン光学装置でない場合があり、かつ、例えば、スタックされたリングイオンガイド、イオントンネル装置、又はイオンカーペットを備えるイオン光学装置である場合がある)。
このアプローチでは、少なくとも3つのイオンサンプル(又はパケット)が並列して処理される。処理は、例えば、イオンを受容すること、閉じ込めること、及び移送することのうちの1つ以上を含み得る(ただし、イオンの冷却、質量選択又は分析も含み得る)。有利に、イオンのこの並列処理は、迅速な機器動作に特に有利であり得る。特に、第1の期間及び第2の期間の各々は、5ms以下(好ましくは5ms未満)の持続時間を有し、潜在的には4ms又は3msを有し得る。
好ましくは、下流のイオン処理装置は質量分析器であり、これは、特定の実装形態において飛行時間型質量分析器又は軌道トラップ型質量分析器であり得る。例えば、第1の期間中、第5のイオンサンプルが下流のイオン処理装置で分析され得る。
第1の期間中、第3のイオンサンプルは、衝突冷却又は質量選択によって処理され得る。任意選択的に、第4のイオンサンプルも、第3のイオン光学装置の上流の第4のイオン光学装置で処理され得、処理は、衝突冷却又は質量選択を含み得る。追加的又は代替的に、第2の期間中、第4のイオンサンプルを上流から(例えば、第4のイオン光学装置又は上流のイオン源から)第3のイオン光学装置に移送し得る。
実装形態では、第1及び第2(及び任意選択的に第3)のイオン光学装置は、共通の軸に沿って整合される。次いで、抽出するステップは、第1のイオンサンプルを下流のイオン処理装置に共通軸に直角に移送するステップを含み得る。
本開示による実施形態は、特定のタイプの装置及び用途(特に質量分析計)を参照して説明されており、実施形態は、本明細書で考察されるように、そのような場合に特定の利点を有するが、本開示によるアプローチは、他のタイプの装置及び/又は用途に適用され得る。質量分析計及び/又はイオン抽出装置及び関連する使用の特定の構造、配置、製造の詳細、及び動作の詳細(例えば、電位)は、(特に既知の製造上の制約及び能力を考慮して)潜在的に有利であるが、類似又は同一の動作を有する装置又は動作モードに到達するように実質的に変動し得る。本明細書に開示される各特徴は、別段の指定のない限り、同一、同等、又は類似の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えら得る。したがって、別段の指定のない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等又は類似の特徴の単なる一例である。
くさび形又は先細りの補助DC電極の代替として、それらの長さに沿ってRFトラップ電極によって画定される軸に対して角度を付けた補助DC電極を位置決めすることが可能であり得る。追加的又は代替的に、イオンを閉じ込めるために抽出点でのポテンシャルウェルを形成する傾向がある低圧力領域における補助DC電極は、他の形態、例えば、10,734,210の図に示されているような閉じ込め「ピン」形態、又は、同時係属中の英国特許出願第2104522.4号に記載されているような、閉じ込め第1若しくは第2のDC電極の形態で提供され得る。
各々が四重極を含む第1及び第2の多重極イオン光学装置に関して特定の実施形態を上で記載したが、多重極イオン光学装置のうちの一方又は両方が、任意の他のタイプの多重極イオンガイド、例えば、六重極、八重極子、十重極などを備えることも可能であろう。
更に、第1及び第2の多重極イオン光学装置を参照して実施形態を記載したが、一方又は両方の多重極イオン光学装置が、例えばスタックされたリングイオンガイド、イオントンネル装置、又はイオンカーペットを備えるイオン光学装置を含む、閉じ込めのためにRF場を使用する任意の同等のイオン光学装置で置き換えることができる。
スタックされたリングイオンガイド(又は、イオントンネル)装置は、中央軸に沿って整合された複数の開口付き(例えば、リング)電極を備える。装置内にイオントラップ領域を作成するために、RF電圧の反対の位相が、隣接する開口付き電極に印加され得る。任意選択的に、中央軸に平行な方向にイオンを促すために、軸方向DC電場が、イオントラップ領域内に形成され得る。
イオンカーペット(RFカーペットと呼ばれることもある)は、電極の既知の構成であり、イオン反発表面を提供し得、別の電極又は電極配置と組み合わせて、特に別のイオン反発表面(例えば、別のイオンカーペットであり得る)を提供するようにして、イオン光学装置が提供され得る。完全を期すために、そのような構成を以下で更に説明する。
イオンカーペットを備えるイオン光学装置のイオンカーペットは、一次元又は二次元の電極アレイを備え得る。イオン反発表面を作成するために、RF電圧の反対の位相が、隣接する電極に印加され得る。イオンカーペットと平行に第2のイオン反発表面を配置することによって、イオンカーペットと第2のイオン反発表面との間にイオントラップ領域が作成され得る。第2のイオン反発表面は、イオンカーペットと平行に配置されたDC反発電極から形成され得る。代替的に、第2のイオン反発表面は、第1のイオンカーペットと平行に配置された第2のイオンカーペットから形成され得る。1つ以上の追加のDC及び/又はRF電極が、他の方向に追加のイオントラップを提供するように提供され得る。
ここで、図16Aを参照すると、本開示による、各々がそれぞれのイオンカーペットを含む、2つのイオン光学装置の例示的な構成の上面図が概略的に描写されている。図16Aの例の正面図を概略的に例示する図16Bも参照する。相対的に低い圧力の第1のイオン光学装置1200及び相対的に高い圧力の第2のイオン光学装置1250が示されている。第1のイオン光学装置1200は、ハウジング1240によって取り囲まれ、このハウジング1240は、ガスコンダクタンス制限部として作用し、ガスを制限するが、イオンが第2のイオン光学装置1250から第1のイオン光学装置1200に通過することを可能にする開口を提供する。イオン軸1230は、第2のイオン光学装置1250を通って第1のイオン光学装置1200に入るイオン移動の一般的な方向を示す。
第1のイオン光学装置(又はイオンガイド)1200は、第1の(上部)イオンカーペット1210及び第2の(下部)イオンカーペット1220を備える。第1のイオンカーペット1210は、有利に、イオン軸1230に平行な平面を有する平面に配置された複数の電極から形成される。第2のイオンカーペット1220は、第1イオンカーペット1210と平行であり、第1イオンカーペット1210と第2イオンカーペット1220との間にトラップ領域を形成し、イオン軸1230は、トラップ領域を通過する。第1のイオン光学装置1200からのイオンの直交排出を可能にするために、開口1215が第1のイオンカーペット1210に提供される。
第2のイオン光学装置(又はイオンガイド)1250は、第3のイオンカーペット1260及び第4のイオンカーペット1270を備える。第3のイオンカーペット1260及び第4のイオンカーペット1270の各々は、図16Aの上面図の平面に垂直であり、図16Bの正面図の平面に垂直な平面内に延在する電極配置を備える。したがって、第3のイオンカーペット1260及び第4のイオンカーペット1270の平行平面は、第1のイオンカーペット1210及び第2のイオンカーペット1220の平行平面に垂直である。
本質的に、第1のイオン光学装置1200及び第2のイオン光学装置1250のガイドは両方とも、交互のRF位相(及び軸方向場のDC分布、図示せず)を有する古典的な平面イオントンネルとして見られ得るが、電極はイオンの動きに沿って伸びるのではなくイオンの動きに垂直である。これら2つの装置のための電極は、特に小さい必要はない。電極の空間周期が、(例えば、イオン軸1230に基づく)電極とイオンとの間の距離よりも2倍以上小さいことで十分であり得る。イオン軸1230上のイオンの拘束は、追加の横断DC電圧(図示せず)によっても促進することができる。
第1のイオン光学装置1200から抽出するために、例えば、図2~4に示される実装形態と同様に、RFをオフに切り替え、DCを印加して電極システムを通してイオンを発射し得る。
平面電極アセンブリを互いに対して垂直に位置させることにより、導電性はそれらの間の交点に限定される。このようにして、ハウジング1240は、先に記載された実装形態と同様に、ガスコンダクタンス制限部として作用することができる。
そのような実装形態では、各イオンカーペットの正確な構成は、変動し得る。また、特定のイオンカーペットは、例えば、DC電位が供給される(平面)デフレクタ電極で置き換えられ得る。例えば、第1のイオンカーペット1210及び/又は第3のイオンカーペット1260は、このような電極で置き換えることができる。デフレクタ電極は、図16A及び16Bのそれぞれのイオンカーペットを形成する電極配置とほぼ同じサイズ及び形状を有し得る。
したがって、上で考察される開示の一般的な意味に戻ると、特定の実施形態では、第1の(低圧)イオン光学装置及び/又は第2の(高圧)イオン光学装置は、(i)多重極イオン光学装置(四重極、六重極、八重極、十重極など)、(ii)スタックされたリングイオンガイド(又はイオントンネル)装置、及び(iii)イオンカーペットを備えるイオン光学装置のうちのいずれかであり得ると理解されよう。2つのイオン光学装置は、同じタイプのものであり得るか、又は異なるタイプのものであり得る。2つのイオン光学装置が同じタイプのものである場合、それらは異なる(例えば、垂直又は直交する)配向を有し得、これは、一次元での垂直を含み得る。一例として、第1のイオン光学装置は、第1の平面に配向された第1のイオンカーペットを備え得、第2のイオン光学装置は、第1の平面に直交する(又はこれに垂直な)第2の面に配向された第2のイオンカーペットを備え得る。第1のイオン光学装置はまた、典型的には第1のイオンカーペットに平行な電極配置(DC電極又は更なるイオンカーペットを備え得る)を備え得る。第1のイオン光学装置のイオントラップ領域は、それによって画定され得る。第2のイオン光学装置はまた、典型的には第2のイオンカーペットに平行な電極配置(DC電極又は更なるイオンカーペットを備え得る)を備え得る。第2のイオン光学装置のイオントラップ領域は、それによって画定され、イオン軸が、第1及び第2のイオン光学装置のそれぞれのトラップ領域間の重複によって画定され得る。ガスコンダクタンス制限部は、第2のイオン光学装置の少なくとも一部の周囲にハウジングを含み得、有利に、第1及び第2のイオン光学装置のトラップ領域間のイオン輸送を可能にする。
有益には、上記のように、第1のイオン光学装置は、イオンを質量分析器に排出するように構成されており(すなわち、第1のイオン光学装置は抽出トラップとして構成されている)、第2のイオン光学装置は、蓄積され冷却されたイオンを質量分析器への排出のために第1のイオン光学装置に渡す前に、イオンを蓄積及び冷却するように構成されている。
この態様は、第1及び第2の多重極イオン光学装置を含む実施形態に関連して上記に記載された任意選択的な特徴のうちのいずれか1つ以上又は各々を含む、本明細書で記載された任意選択的な特徴のうちの任意の1つ以上と(その実装形態において)組み合わせることができる。
特許請求の範囲内を含む、本明細書において使用される際、特に文脈が示さない限り、本明細書における用語の単数形は、複数形を含むものとして解釈され、逆の場合も同様である。例えば、特に文脈が示さない限り、特許請求の範囲において「a」又は「an」(イオン多重極装置(an ion multipole device)など)などを含む単数形の参照は、「1つ以上」(例えば、1つ以上のイオン多重極装置)を意味する。本開示の明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」、「含む」(including)、「有する(having)」、及び「含む(contain)」などの語、並びに、語の変形、例えば、「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」又は同様のものは、「~を含むが、これに限定されない」ことを意味し、他のコンポーネントを排除することを意図したものではない。
本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(「例えば(for instance)」、「など(such as)」、「例えば(for example)」など)の使用は、単に本発明をよりよく説明するためのものであり、範囲の限定を示すものではなく、別段の主張がない限り、本発明の範囲内である。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に不可欠であると主張されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
本明細書に記載された任意のステップは、異なるように記載されていない限り、又は文脈により別の意味が必要とされない限り、任意の順序で、又は同時に実行され得る。
本明細書で開示される態様及び/又は特徴の全ては、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に記載されているように、質量分析計及び/又はイオン移動度分析計で使用するためのイオンガイドの態様など、更なる利益のある態様の特定の組み合わせが存在し得る。特に、本発明の好適な特徴は、本発明の全ての態様に適用可能であり、任意の組み合わせで使用され得る。同様に、必須ではない組み合わせで記載された特徴は、(組み合わせではなく)別々に使用され得る。

Claims (23)

  1. 質量分析計であって、
    相対的に低いガス圧力領域にある第1のイオン光学装置であって、前記第1のイオン光学装置のトラップ領域にイオンを閉じ込める第1のRF場を生成するためのRF電圧を第1のRF電源から受容するように構成されている、第1のイオン光学装置と、
    相対的に高いガス圧力領域にある第2のイオン光学装置であって、前記第2のイオン光学装置のトラップ領域にイオンを閉じ込める第2のRF場を生成するためのRF電圧を第2のRF電源から受容するように構成されている、第2のイオン光学装置と、
    前記相対的に高いガス圧力領域から前記相対的に低いガス圧力領域へのガスの流れを制限するように構成されている、ガスコンダクタンス制限部であって、イオンが前記第2のイオン光学装置から前記第1のイオン光学装置に通過することを可能にする開口を有する、ガスコンダクタンス制限部と、を備え、
    前記第1のRF電源及び前記第2のRF電源は、前記第1のRF場を生成するための前記RF電圧が、前記第2のRF場を生成するための前記RF電圧とは異なる振幅を有することを可能にするように、独立しており、前記第1のRF電源及び前記第2のRF電源は、前記第1のRF場を生成するための前記RF電圧及び前記第2のRF場を生成するための前記RF電圧を、同一の周波数及び整合された位相で提供するように構成されている、質量分析計。
  2. 前記第1のRF電源及び前記第2のRF電源は、前記第2のRF場を生成して、前記第2のイオン光学装置においてイオンをトラップするために、前記RF電圧を供給するように、かつ同時に、前記第1のイオン光学装置からイオンを排出するために、前記第1のRF場を生成するための前記RF電圧を構成するように構成されている、請求項に記載の質量分析計。
  3. 前記第1のイオン光学装置は、第1の多重極イオン光学装置であり、前記第2のイオン光学装置は、第2の多重極イオン光学装置である、請求項に記載の質量分析計。
  4. 前記第1の多重極イオン光学装置及び前記第2の多重極イオン光学装置のうちの一方又は両方の少なくとも1つの多重極電極は、他方のイオン光学装置の電極に向かって延在するリップを有する、請求項に記載の質量分析計。
  5. 前記第1の多重極イオン光学装置は、RFの大きさ及び第1の位相の同じRF電圧と、DC電圧レベルの反対極性のDC電圧とを印加した第1の対の対向電極と、第2の対の対向電極配置であって、前記対向電極配置の各々は、前記RFの大きさ及び前記第1の位相とは反対の第2の位相の同じRF電圧と、前記DC電圧レベルの反対極性のDC電圧とを印加した2つの分離した電極部分を備えるスプリットRF電極を備える、第2の対の対向電極配置と、前記スプリットRF電極の前記2つの分離した電極部分間の補助DC電極と、を備え、並びに/又は
    前記第2の多重極イオン光学装置は、RFの大きさ及び第1の位相の同じRF電圧を印加した第1の対の対向電極と、前記RFの大きさ及び前記第1の位相とは反対の第2の位相のRF電圧を印加した第2の対の対向電極と、前記第1の対の対向電極の各々と前記第2の対の対向電極のうちのそれぞれ1つとの間の補助DC電極と、を備える、請求項に記載の質量分析計。
  6. 前記第1の多重極イオン光学装置は、前記第1の多重極イオン光学装置の前記第1の対の対向電極間のブリッジを更に備え、そのため、前記第1のRF場は、半径方向及び軸方向の両方の閉じ込めを提供するようにする、請求項に記載の質量分析計。
  7. 前記第1の多重極イオン光学装置及び/又は前記第2の多重極イオン光学装置は、前記イオン光学装置の多重極電極間に絶縁ロッドを備え、前記絶縁ロッドは、前記イオン光学装置の入口から前記イオン光学装置の長さの約半分まで延在する、請求項に記載の質量分析計。
  8. 前記第1のイオン光学装置及び/又は前記第2のイオン光学装置の各々は、多重極イオン光学装置、スタックされたリングイオンガイド、イオントンネル装置、及びイオンカーペットを備えるイオン光学装置のうちの1つである、請求項に記載の質量分析計。
  9. 前記第1のイオン光学装置は、第1の平面に配向された第1のイオンカーペットを備え、前記第2のイオン光学装置は、前記第1の平面に直交する第2の面に配向された第2のイオンカーペットを備える、請求項に記載の質量分析計。
  10. 前記ガスコンダクタンス制限部は、ダイアフラムを備え、並びに/又は前記ガスコンダクタンス制限部の前記開口は、前記第1のイオン光学装置及び/若しくは前記第2のイオン光学装置の内接半径r0よりも大きい、請求項に記載の質量分析計。
  11. 前記第1のイオン光学装置及び前記第2のイオン光学装置の半径よりも小さい半径を有する前記第1のイオン光学装置と前記第2のイオン光学装置との間にイオン光学装置がない、請求項に記載の質量分析計。
  12. 前記質量分析計は、
    所望の圧力に到達するように緩衝ガスが毛細管を介して前記相対的に高い圧力領域に供給されることと、
    前記相対的に高い圧力領域において前記所望の圧力を達成するように前記相対的に低い圧力領域のポンピング速度が選択されることと、のうちの一方又は両方となるように構成されている、請求項に記載の質量分析計。
  13. 前記第1のイオン光学装置及び/又は前記第2のイオン光学装置は、前記それぞれのRF場に重畳される軸方向DC勾配を作成するようにDC電位を受容するように配置された補助DC電極を備える、請求項に記載の質量分析計。
  14. 前記補助DC電極は、前記それぞれのイオン光学装置の軸に沿って先細にされているか、又は前記軸に対して角度が付けられていることと、
    前記補助DC電極は、前記それぞれのイオン光学装置の半径の周りにほぼ等しく離間されていることと、
    前記第1のイオン光学装置は、電極スタックの中央に前記補助DC電極を有する前記電極スタックを備えることと、
    前記第2のイオン光学装置は、前記RF場を生成するための等しく離間されたRF電極を備え、前記補助DC電極は、前記RF電極間にインターリーブされていることと、のうちの1つ以上である、請求項13に記載の質量分析計。
  15. 前記第1のイオン光学装置及び/又は前記第2のイオン光学装置は、絶縁スペーサによって分離された細長い電極のスタックによって形成されている、請求項に記載の質量分析計。
  16. 前記第1のRF電源及び前記第2のRF電源は、電源システムの少なくとも一部を形成し、前記電源システムは、
    特定の周波数のRF波形を提供するように構成されているコアRF生成器と、
    前記RF波形を受信し、前記第1のRF場を生成するための前記RF電圧を供給するように構成されている第1のコイル構成であって、前記コアRF生成器及び前記第1のコイル構成は、前記第1のRF電源を画定する、第1のコイル構成と、
    前記RF波形から導出されたRF信号を受信し、前記第2のRF場を生成するための前記RF電圧を供給するように構成されている第2のコイル構成であって、前記コアRF生成器及び前記第2のコイル構成は、前記第2のRF電源を画定する、第2のコイル構成と、を備える、請求項に記載の質量分析計。
  17. 前記電源システムは、前記RF波形又は前記RF波形から生成された波形である信号を受信し、前記RF信号の位相を所望のレベルにセットすることによって、前記受信した信号に基づいて、前記RF波形から導出される前記RF信号を前記第2のコイル構成に提供するように構成されている位相調整器を更に備える、請求項16に記載の質量分析計。
  18. 前記電源システムは、前記第1のコイル構成から前記第1のRF場を生成するための前記RF電圧のうちの1つをサンプリングし、かつ前記サンプリングしたRF電圧に基づいて、前記RF波形から生成される前記波形を前記位相調整器に提供するように構成されている、サンプラーを更に備える、請求項17に記載の質量分析計。
  19. オントラップ、イオン選択、及びイオン処理のうちの1つ以上のために構成されている少なくとも1つの更なるイオン光学装置が、前記第2の多重極イオン光学装置の上流に提供されていることと、
    前記第1のイオン光学装置は、前記第1のイオン光学装置及び前記第2のイオン光学装置の共通軸に沿って第2のイオン光学装置からイオンを受容することと、前記軸に直交する方向に前記受容されたイオンの抽出を可能にすることと、を行うように構成されていることと、
    前記質量分析計は、前記第1のイオン光学装置の下流に質量分析器を更に備えることと、のうちの1つ以上である、請求項に記載の質量分析計。
  20. 少なくとも1つの更なるイオン光学装置が、前記第2のイオン光学装置の上流に提供されており、前記質量分析計は、第1のイオンサンプルが前記上流の少なくとも1つの更なるイオン光学装置において格納及び/又は処理されることと、第2のイオンサンプルが前記第2のイオン光学装置に格納されることと、第3のイオンサンプルが、前記第1のイオン光学装置に格納されるか、又は前記第1のイオン光学装置から排出されることと、を同時に行うように構成されている、コントローラを更に備える、請求項に記載の質量分析器。
  21. 前記上流の少なくとも1つのイオン光学装置は、2つのイオン光学装置を備え、前記コントローラは、第1のイオンサンプルが前記2つの上流のイオン光学装置のうちの第1のものにおいて格納又は処理されることと、第2のイオンサンプルが前記2つの上流のイオン光学装置のうちの第2のものにおいて格納又は処理されることと、第3のイオンサンプルが前記第2のイオン光学装置に格納されることと、第4のイオンサンプルが前記第1のイオン光学装置に格納されるか、又は前記第1のイオン光学装置から排出されることと、を同時に行うように構成されている、請求項20に記載の質量分析計。
  22. 前記少なくとも1つの更なるイオン光学装置は、質量フィルタ及び/又は衝突セルを備える、請求項20に記載の質量分析計。
  23. 前記質量分析計は、前記第1のイオン光学装置の下流に質量分析器を更に備え、前記コントローラは、イオンが前記上流の少なくとも1つの更なるイオン光学装置、前記第1のイオン光学装置、及び前記第2のイオン光学装置に格納及び/又は処理されるのと同時に、更なるイオンサンプルが前記質量分析器において分析されることを行うように更に構成されている、請求項20に記載の質量分析計。
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