JP4274413B2 - 車輪用軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両の車輪を車体に対して回転自在に支承した車輪用軸受に関し、特に回転検出用の磁気エンコーダを一体化したシール構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車輪の回転を検出するための磁気エンコーダを一体化したシール装置を備えた車輪用軸受は従来から知られている。
図5は従来の車輪用軸受を示す縦断面図で、内方部材50と外方部材60と、この両部材50、60間に収容した複列の転動体70、70とを備えている。内方部材50は、ハブ輪51と、このハブ輪51に外嵌した別体の内輪52とからなる。ハブ輪51は、その一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ53を一体に有し、この車輪取付フランジ53の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト54を植設している。ハブ輪51に形成した小径段部55に内輪52を圧入し、さらに、小径段部55の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部56により、ハブ輪51に対して内輪52が軸方向へ抜けるのを防止している。
【0003】
外方部材60は外周にナックルNに取り付けるための車体取付フランジ61を一体に有し、内周には複列の外側転走面60a、60aを形成している。一方、内方部材50は、外方部材60の複列の外側転走面60a、60aに対向する複列の内側転走面51a、52aをそれぞれハブ輪51と内輪52の外周に一体形成し、それぞれの転走面60a、51aと60a、52a間に複列の転動体(ボール)70、70を収容している。保持器71、71は、これら複列の転動体70、70を転動可能に保持している。また、外方部材60の端部にはシール装置62、63を装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩を防止すると共に、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。このような構造は第3世代の車輪用軸受と呼称されている。
【0004】
こうした車輪用軸受において、シール装置63は、図6に拡大して示すように、内輪52と外方部材60にそれぞれ装着された第1および第2の環状のシール板64、65を有している。これらシール板64、65は、それぞれ円筒部64a、65aと立板部64b、65bとでなる断面L字状に形成されて互いに対向している。第1のシール板64の立板部64bは、軸受外方側に磁性体粉が混入されたエンコーダ66が一体に加硫接着されている。このエンコーダ66は、周方向に交互に磁極N、Sが形成されたゴム磁石からなり、車輪回転速度の検出用のロータリエンコーダを構成している。
【0005】
第2のシール板65は、第1のシール板64の立板部64bに摺接するサイドリップ67aと円筒部64aに摺接するラジアルリップ67b、67cとを一体に有するシール部材67が加硫接着されている。第2のシール板65の円筒部65aと、第1のシール板64の立板部64b先端とは僅かな径方向すきまを介して対峙させ、このすきまでラビリンスシール68を構成している。
【0006】
こうした車輪用軸受において、スリンガとなる第1のシール板64と内輪52とは、圧入状態で嵌合しているも、その嵌合部から微量の水が軸受内部に浸入する恐れがある。このような水の浸入は、軸受内部に封入した潤滑グリースを劣化させて軸受寿命を低下させるばかりでなく、第1のシール板64が発錆し、その結果シールリップの摩耗が生じることがある。
【0007】
この問題を対策したものとして、本出願人は図7に示すようなシール構造を提案している。このシール構造は、エンコーダ66から延びた突出片66aを、加締部56に弾性接触させたもので、内輪52の露出面69(図5参照)を密封すると共に、内輪52の端面と加締部56との衝合面から水が浸入するのを抑制することができる(例えば、特許文献1)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−215132号公報(第8、9頁、第18図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の車輪用軸受において、エンコーダ66を構成するゴム磁石は、磁性体粉が多く混入させたものであり、高価になる上、シール部材としての適切な弾性を期待することは難しい。さらに、小径段部55の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部56により内輪52を固定しているため、加締工程によって内輪52の外径、すなわち第1のシール板64との嵌合面にはフープ応力が発生していることがある。このような状況下でこの部位の腐食が進展すると、環境下に存在する拡散性水素が内輪52の組織内に侵入して金属粒界が破壊する、所謂「遅れ破壊」が発生し易くなって好ましくない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、シール板の嵌合部における水の浸入を防止して軸受寿命の向上を図った車輪用軸受を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、一端に車輪取付フランジを一体に有し、外周に内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部を形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、外周に内側転走面を形成した内輪とからなる内方部材と、外周に車体取付フランジを一体に有し、内周に前記内側転走面に対向する複列の外側転走面を形成した外方部材と、この外方部材と前記内方部材間に収容した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材間の環状空間を密封するシール装置とを備え、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部を形成し、この加締部で前記内輪を前記ハブ輪に対して軸方向に固定した車輪用軸受において、前記シール装置のうちインボード側のシール装置は、前記内輪に装着された第1のシール板と、この第1のシール板に対向して前記外方部材に装着された第2のシール板とからなり、前記第1のシール板は、前記内輪の外径に圧入される嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向外方に延びる立板部、および前記加締部を覆う底部とを一体に有するキャップ状に形成され、前記立板部に磁性体粉が混入されたエラストマが接合されて周方向に交互に磁極が形成され、前記第2のシール板は円筒部と立板部とでなる断面略L字状に形成され、前記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップを一体に有し、この第2のシール板の円筒部と前記第1のシール板の立板部の先端とを僅かな径方向すきまを介して対峙させると共に、前記第1のシール板で前記内輪の端面を覆うようにした構成を採用した。
【0012】
このように、第3世代の車輪用軸受におけるシール装置のうちインボード側のシール装置は、内輪に装着された第1のシール板と、この第1のシール板に対向して外方部材に装着された第2のシール板とからなり、第1のシール板は、前記内輪の外径に圧入される嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向外方に延びる立板部、および前記加締部を覆う底部とを一体に有するキャップ状に形成され、前記立板部に磁性体粉が混入されたエラストマが接合されて周方向に交互に磁極が形成され、第2のシール板は円筒部と立板部とでなる断面略L字状に形成され、第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップを一体に有し、この第2のシール板の円筒部と第1のシール板の立板部の先端とを僅かな径方向すきまを介して対峙させると共に、第1のシール板で内輪の端面を覆うようにしたので、外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入することがない。また、嵌合面をはじめ内輪および内輪の端面と加締部との衝合面は外部に露出することはなく、腐食が進展して環境下に存在する拡散性水素が内輪の組織内に侵入して遅れ破壊が誘発するのを可及的に防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、一端に車輪取付フランジを一体に有し、外周に内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部を形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、外周に内側転走面を形成した内輪とからなる内方部材と、外周に車体取付フランジを一体に有し、内周に前記内側転走面に対向する複列の外側転走面を形成した外方部材と、この外方部材と前記内方部材間に収容した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材間の環状空間を密封するシール装置とを備え、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部を形成し、この加締部で前記内輪を前記ハブ輪に対して軸方向に固定した車輪用軸受において、前記シール装置のうちインボード側のシール装置は、前記内輪に装着された第1のシール板と、この第1のシール板に対向して前記外方部材に装着された第2のシール板とからなり、前記第1のシール板は、前記内輪の外径に圧入される嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向外方に延びる立板部と、前記内輪の端面に当接され、前記加締部により前記内輪と一体に固定される円板状の固定部とを有し、この固定部を収容する凹所を前記加締部に設け、前記立板部に磁性体粉が混入されたエラストマが接合されて周方向に交互に磁極が形成されると共に、前記第2のシール板は円筒部と立板部とでなる断面略L字状に形成され、前記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップを一体に有し、この第2のシール板の円筒部と前記第1のシール板の立板部の先端とを僅かな径方向すきまを介して対峙させると共に、前記第1のシール板で前記内輪の端面を覆うようにした構成を採用した。これにより、外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入することがなく、嵌合面をはじめ内輪は外部に露出しないので、内輪の嵌合面等が発錆することはなく、内輪の遅れ破壊を確実に防止することができると共に、加締部を形成する際の塑性変形に伴う第1のシール板の変形を最小限に抑制することができる。
【0016】
また、請求項に記載の発明は、前記第2のシール板は、前記内輪の外径に摺接するラジアルリップを一体に有しているので、軸受スペースやシール板の形状・寸法に制約されず、確実に外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入するのを防止することができる。
【0017】
また、請求項に記載の発明は、前記エラストマは、前記第1のシール板の立板部における径方向外方端部から前記内輪の外径を越えて内方に亙って接合されているので、エンコーダの面積が大きくなり、磁極N、Sの着磁力を大きく設定することができる。また、請求項5に記載の発明のように、前記第2のシール板は、前記第1のシール板の立板部に摺接する一対のサイドリップを一体に有していても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る車輪用軸受の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は図1の要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)、中央寄り側をインボード側(図面右側)という。
【0019】
この車輪用軸受は、内方部材1と外方部材10と、この両部材1、10間に収容された複列の転動体20、20とを備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に外嵌された別体の内輪3とからなる。ハブ輪2は、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト4aを植設している。ハブ輪2に形成された小径段部2bに内輪3を圧入し、さらに、小径段部2bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部2cにより、ハブ輪2に対して内輪3が軸方向へ抜けるのを防止している。
【0020】
外方部材10は外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周には複列の外側転走面10a、10aを形成している。一方、内方部材1は、外方部材10の複列の外側転走面10a、10aに対向する複列の内側転走面2a、3aをそれぞれハブ輪2と内輪3の外周に一体形成している。そして、それぞれの転走面10a、2aと10a、3a間に複列の転動体(ボール)20、20を収容している。保持器21、21は、これら複列の転動体20、20を転動可能に保持している。また、外方部材10の端部にはシール装置11、12を装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩を防止すると共に、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。このような構造は第3世代の車輪用軸受と呼称されている。ここで転動体20、20をボールとした複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
【0021】
ハブ輪2は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、アウトボード側の内側転走面2aをはじめ、シール装置11が摺接するシールランド部、および小径段部2bを高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理している。なお、加締部2cは、鍛造後の素材表面硬さ24HRC以下の未焼入れ部としている。一方、内輪3は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで54〜64HRCの範囲で硬化処理している。
【0022】
外方部材10は外周にナックルNに取り付けるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周には複列の外側転走面10a、10aが形成されている。これら複列の外側転走面10a、10aと、これらに対向する内側転走面2a、3aとの間に複列の転動体(ボール)20、20を収容し、保持器21、21によってこれら複列の転動体20、20を転動可能に保持している。これら複列の転動体20、20と外方部材10および前記内方部材1を備えた構造を第3世代の車輪用軸受と呼称している。また、外方部材10の端部にはシール11、12を装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩を防止すると共に、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。
【0023】
外方部材10は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、複列の外側転走面10a、10aをはじめ、シール装置11、12が嵌合する端部内径面を高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理している。
【0024】
インボード側のシール装置12は、図2に拡大して示すように、内輪3と外方部材10にそれぞれ装着された第1および第2のシール板13、14を有している。第1のシール板13は、重合して形成された嵌合部13aと、この嵌合部13aの端部から径方向外方に延びる立板部13b、および加締部2cを覆う底部13cとを一体に有するキャップ状に形成されている。この第1のシール板13は、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて成形されている。立板部13bは、軸受外方側に磁性体粉が混入されたエンコーダ15が加硫接着等で一体に接合されている。このエンコーダ15は、ゴム等からなるエラストマにフェライト等からなる強磁性体粉を混入させ、周方向に交互に磁極N、Sがピッチ円直径(PCD)において、所定のピッチとなるように着磁され、車輪回転速度の検出用のロータリエンコーダを構成している。
【0025】
第2のシール板14は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からなり、円筒部14aと立板部14bとを有し、断面略L字状にプレス加工にて形成されている。そして第1のシール板13の立板部13bに摺接するサイドリップ16a、16bと内輪3の外径に摺接するラジアルリップ16cとを一体に有するシール部材16が加硫接着されている。これにより、軸受スペースやシール板の形状・寸法に制約されず、このラジアルリップ16cでもって確実に外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入するのを防止することができる。また、第2のシール板14の円筒部14aと、第1のシール板13の立板部13b先端とは僅かな径方向すきまを介して対峙させ、このすきまでラビリンスシール17を構成している。
【0026】
ここで、本実施形態では、一対のサイドリップ16a、16bとラジアルリップ16cとで構成したものを例示したが、これに限らず、適宜目的およびスペースに応じて変更でき、例えばサイドリップを単一とし、ラジアルリップを一対としたものであっても良い。また、ラジアルリップ16cを一対設け、少なくとも一方を嵌合部13aの外径に摺接させるようにしても良い。
【0027】
本実施形態では、第1のシール板13を、底部13cを有するキャップ状に形成すると共に、重合した嵌合部13aでもって内輪3の外径に圧入したので、外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入することがない。また、嵌合面をはじめ内輪3および内輪3の端面と加締部2cとの衝合面は外部に露出することはなく、腐食が進展して環境下に存在する拡散性水素が内輪3の組織内に侵入して遅れ破壊が誘発するのを可及的に防止することができる。
【0028】
図3は本発明に係る車輪用軸受の第2の実施形態を示す要部拡大図である。なお、前述した実施形態と異なるのは第1のシール板の構成のみで、その他同一部位、同一部品には同じ符号を付けてその詳細な説明を省略する。
【0029】
この実施形態におけるインボード側のシール装置18は、第1の実施形態と同様、第2のシール板14は外方部材10に装着されているが、第1のシール板19は円板状に形成され、内輪3の端面と加締部2cとによって挟持されている。この第1のシール板19は、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて成形されている。また、その径方向外方端部の軸受外方側に磁性体粉が混入されたエンコーダ15が一体に接合されている。
【0030】
本実施形態では、第1のシール板19を円板状に形成し、ハブ輪2の小径段部2bの端部を径方向外方に塑性変形させて加締部2cを形成する際、内輪3の端面に当接させて内輪3と一体に固定したので、外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入することがなく、また、嵌合面をはじめ内輪3は外部に露出しない。したがって、内輪3の嵌合面等が発錆することはなく、内輪3の遅れ破壊を確実に防止することができる。
【0031】
図4は本発明に係る車輪用軸受の第3の実施形態を示す要部拡大図である。なお、前述した実施形態と異なるのは第1のシール板と加締部の構成のみで、その他同一部位、同一部品には同じ符号を付けてその詳細な説明を省略する。
【0032】
この実施形態におけるインボード側のシール装置12’は、第1および第2の実施形態と同様、第2のシール板14は外方部材10に装着されている。一方、第1のシール板13’は、重合して形成された嵌合部13aと、この嵌合部13aの端部から径方向外方に延びる立板部13b、および内輪3の端面に当接する円板状の固定部13c’とからなる。そして、嵌合部13aを内輪3の外径に圧入すると共に、ハブ輪2の小径段部2bの端部を径方向外方に塑性変形させて加締部2c’を形成する際、内輪3の端面に当接させて内輪3と一体に固定している。加締部2c’には予め固定部13c’を収容する凹所5を設けておき、塑性変形に伴う第1のシール板13’の変形を最小限に抑制している。また、立板部13bおよび嵌合部13aに亙って磁性体粉が混入されたエンコーダ15’が一体に接合されている。
【0033】
本実施形態では、前述した実施形態と同様、外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入することがなく、嵌合面をはじめ内輪3は外部に露出しないので、内輪3の嵌合面等が発錆することはなく、内輪3の遅れ破壊を確実に防止することができると共に、エンコーダ15’の面積を大きくしたので、磁極N、Sの着磁力を大きく設定することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る車輪用軸受は、一端に車輪取付フランジを一体に有し、外周に内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部を形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、外周に内側転走面を形成した内輪とからなる内方部材と、外周に車体取付フランジを一体に有し、内周に前記内側転走面に対向する複列の外側転走面を形成した外方部材と、この外方部材と前記内方部材間に収容した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材間の環状空間を密封するシール装置とを備え、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部を形成し、この加締部で前記内輪を前記ハブ輪に対して軸方向に固定した車輪用軸受において、前記シール装置のうちインボード側のシール装置は、前記内輪に装着された第1のシール板と、この第1のシール板に対向して前記外方部材に装着された第2のシール板とからなり、前記第1のシール板は、前記内輪の外径に圧入される嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向外方に延びる立板部、および前記加締部を覆う底部とを一体に有するキャップ状に形成され、前記立板部に磁性体粉が混入されたエラストマが接合されて周方向に交互に磁極が形成され、前記第2のシール板は円筒部と立板部とでなる断面略L字状に形成され、前記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップを一体に有し、この第2のシール板の円筒部と前記第1のシール板の立板部の先端とを僅かな径方向すきまを介して対峙させると共に、前記第1のシール板で前記内輪の端面を覆うようにしたので、外部から雨水やダスト等が軸受内に侵入することがない。また、嵌合面をはじめ内輪および内輪の端面と加締部との衝合面は外部に露出することはなく、腐食が進展して環境下に存在する拡散性水素が内輪の組織内に侵入して遅れ破壊が誘発するのを可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輪用軸受の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】同上、要部拡大図である。
【図3】本発明に係る車輪用軸受の第2の実施形態を示す要部拡大図である。
【図4】本発明に係る車輪用軸受の第3の実施形態を示す要部拡大図である。
【図5】従来の車輪用軸受を示す縦断面図である。
【図6】同上、要部拡大図である。
【図7】従来の他の車輪用軸受を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・内方部材
2・・・・・・・・・・ハブ輪
2a、3a・・・・・・内側転走面
2b・・・・・・・・・小径段部
2c、2c’・・・・・加締部
3・・・・・・・・・・内輪
4・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
4a・・・・・・・・・ハブボルト
5・・・・・・・・・・凹所
10・・・・・・・・・外方部材
10a・・・・・・・・外側転走面
10b・・・・・・・・車体取付フランジ
11・・・・・・・・・アウトボード側のシール装置
12、12’、18・・インボード側のシール装置
13、13’、19・・第1のシール板
13a・・・・・・・・嵌合部
13b、14b・・・・立板部
13c・・・・・・・・底部
13c’・・・・・・・固定部
14・・・・・・・・・第2のシール板
14a・・・・・・・・円筒部
14b・・・・・・・・立板部
15、15’・・・・・エンコーダ
16・・・・・・・・・シール部材
16a、16b・・・・サイドリップ
16c・・・・・・・・ラジアルリップ
17・・・・・・・・・ラビリンスシール
20・・・・・・・・・転動体
21・・・・・・・・・保持器
50・・・・・・・・・内方部材
51・・・・・・・・・ハブ輪
51a、52a・・・・・内側転走面
52・・・・・・・・・・内輪
53・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
54・・・・・・・・・・ハブボルト
55・・・・・・・・・・小径段部
56・・・・・・・・・・加締部
60・・・・・・・・・・外方部材
60a・・・・・・・・・外側転走面
61・・・・・・・・・・車体取付フランジ
62・・・・・・・・・・アウトボード側のシール装置
63・・・・・・・・・・インボード側のシール装置
64・・・・・・・・・・第1のシール板
64a、65a・・・・・円筒部
64b、65b・・・・・立板部
65・・・・・・・・・・第2のシール板
66・・・・・・・・・・エンコーダ
66a・・・・・・・・・突出片
67・・・・・・・・・・シール部材
67a・・・・・・・・・サイドリップ
67b、67c・・・・・ラジアルリップ
68・・・・・・・・・・ラビリンスシール
69・・・・・・・・・・露出面
70・・・・・・・・・・転動体
71・・・・・・・・・・保持器
N・・・・・・・・・・・ナックル

Claims (5)

  1. 一端に車輪取付フランジを一体に有し、外周に内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部を形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、外周に内側転走面を形成した内輪とからなる内方部材と、外周に車体取付フランジを一体に有し、内周に前記内側転走面に対向する複列の外側転走面を形成した外方部材と、この外方部材と前記内方部材間に収容した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材間の環状空間を密封するシール装置とを備え、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部を形成し、この加締部で前記内輪を前記ハブ輪に対して軸方向に固定した車輪用軸受において、
    前記シール装置のうちインボード側のシール装置は、前記内輪に装着された第1のシール板と、この第1のシール板に対向して前記外方部材に装着された第2のシール板とからなり、前記第1のシール板は、前記内輪の外径に圧入される嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向外方に延びる立板部、および前記加締部を覆う底部とを一体に有するキャップ状に形成され、前記立板部に磁性体粉が混入されたエラストマが接合されて周方向に交互に磁極が形成され、前記第2のシール板は円筒部と立板部とでなる断面略L字状に形成され、前記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップを一体に有し、この第2のシール板の円筒部と前記第1のシール板の立板部の先端とを僅かな径方向すきまを介して対峙させると共に、前記第1のシール板で前記内輪の端面を覆うようにしたことを特徴とする車輪用軸受。
  2. 一端に車輪取付フランジを一体に有し、外周に内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部を形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、外周に内側転走面を形成した内輪とからなる内方部材と、外周に車体取付フランジを一体に有し、内周に前記内側転走面に対向する複列の外側転走面を形成した外方部材と、この外方部材と前記内方部材間に収容した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材間の環状空間を密封するシール装置とを備え、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部を形成し、この加締部で前記内輪を前記ハブ輪に対して軸方向に固定した車輪用軸受において、
    前記シール装置のうちインボード側のシール装置は、前記内輪に装着された第1のシール板と、この第1のシール板に対向して前記外方部材に装着された第2のシール板とからなり、前記第1のシール板は、前記内輪の外径に圧入される嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向外方に延びる立板部と、前記内輪の端面に当接され、前記加締部により前記内輪と一体に固定される円板状の固定部とを有し、この固定部を収容する凹所を前記加締部に設け、前記立板部に磁性体粉が混入されたエラストマが接合されて周方向に交互に磁極が形成されると共に、前記第2のシール板は円筒部と立板部とでなる断面略L字状に形成され、前記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップを一体に有し、この第2のシール板の円筒部と前記第1のシール板の立板部の先端とを僅かな径方向すきまを介して対峙させると共に、前記第1のシール板で前記内輪の端面を覆うようにしたことを特徴とする車輪用軸受。
  3. 前記第2のシール板は、前記内輪の外径に摺接するラジアルリップを一体に有している請求項1または2に記載の車輪用軸受。
  4. 前記エラストマは、前記第1のシール板の立板部における径方向外方端部から前記内輪の外径を越えて内方に亙って接合されている請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受。
  5. 前記第2のシール板は、前記第1のシール板の立板部に摺接する一対のサイドリップを一体に有している請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受。
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