JP4273511B2 - 有撚紡績単糸、パイル布帛およびスライバー加撚法 - Google Patents
有撚紡績単糸、パイル布帛およびスライバー加撚法 Download PDFInfo
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何故なら、短繊維に成る無撚状態のスライバーを加撚(下撚り)しただけの有撚紡績単糸は、その短繊維間の結束が弱く、自動織機や編み機を使用する織編工程ではヤーンガイドや綜絖、筬、ニードル等と擦れ合って毛羽立ち、短繊維が綻び出て糸切れを起こし易く、布帛の織成・編成が困難になるからである。
しかし、下撚りしただけの有撚紡績単糸は、短繊維間の結束が弱いが故に紡績合撚糸に比して嵩高で軟らかく、それ故に織編密度やパイル密度を緻密に設定し易く、特に、嵩高に開毛し易い点ではパイル布帛に好適な面もあり、手織りの緞帳や段通に使用される。
このため、複数個のパイル片16a・16b・16c・16d………の根元を挟持して隣り合う緯糸18aと緯糸18bの間の寸法(パイル経密度)は、複数本のパイル糸12a・12b・12c・12d………の合計繊度(太さ)ではなく、個々のパイル糸12
の繊度(太さ)に相応したものとなる。
即ち、下撚りの施された複数本の有撚紡績単糸(12a・12b・12c・12d………)に下撚りを施して合撚した紡績合撚糸をパイル糸に使用するときは、パイル片(16)の根元を挟持して隣り合う緯糸(18a)と緯糸(18b)の間の寸法(パイル経密度)は、複数本の有撚紡績単糸の合計繊度(太さ)に相応したものとなるが、本発明においては、図2に図示するように、そのパイル片16の根元を挟持して隣り合う緯糸18aと緯糸18bの間の寸法(パイル密度)は、1本の有撚紡績単糸の繊度(太さ)に相応するものとなる。
従って、本発明において、”有撚紡績単糸”とは、解撚によって無撚のスライバーの状態になる糸条を意味する。
しかし、紡績合撚糸は、短繊維に成る無撚状態のスライバーを加撚(下撚り)して成る有撚紡績単糸を複数本合撚して構成されているので、それを解撚すれば複数本の有撚紡績単糸に分かれるだけで、無撚状態のスライバーにはならない。
これに対し、本発明に係る有撚紡績単糸12は、無撚状態のスライバー(11a・11b)を撚り合わせたものであるから、それを解撚すれば、1条のスライバーを加撚して成る在来の有撚紡績単糸を解撚した場合と同様に、元の無撚のスライバーの状態になる。
又、紡績合撚糸では、撚り合わされた複数本の有撚紡績単糸間の境目(14)の続く上撚り方向と複数本の各有撚紡績単糸の短繊維の続く下撚り方向とが異なるので、その複数本の有撚紡績単糸間の境目(14)は、ハッキリした撚山となって現われる。
これに対し、本発明に係る有撚紡績単糸12では、撚り合わされた複数条のスライバー11a・11bの間の境目14の続く下撚り方向と複数条の各スライバー11a・11bの短繊維の続く筋目15の方向とは並行になるので、その複数条のスライバー11a・11bの間の境目14が撚山となってハッキリ現われることはない(図1)。
このように、本発明に係る有撚紡績単糸12と在来の紡績合撚糸とは、某か複数条の糸条を撚り合わさせて成る点において共通し、感覚的には同一であるかの如き印象を与える要素を具備するものの、その撚り合わされた糸条の形態、糸条間の境目(14)の形態、それらの糸条を構成している短繊維の形態(糸条間の境目14と短繊維の筋目15)、解撚後の形態等の相違によって技術的には明確に区別される。
従って、本発明におけるスライバーの”無撚状態”とは、極く僅かの張力によって破断してスライバーの引張強度が測定し得ず、スライバーの糸条として実用し得ない状態を意味し、短繊維を長さ方向に並行に揃えるカード工程やギル工程を経た直後の完全に無撚の状態だけを意味するのではなく、加撚して有撚紡績単糸とする前にスライバーとしての形態を維持するために必要とされる僅かな撚の施された状態、概して20回/m以下となる撚の施された状態をも意味する。
本発明に係る有撚紡績単糸12は、複数本引き揃えて使用することも出来、複数本撚り合わせて紡績合撚糸として使用することも出来る。本発明に係る有撚紡績単糸12を複数本引き揃えて使用するときは、織編工程で分離して取り扱い難くならない程度に軽く撚り合わせてもよい。
しかし、その2条のスライバー11a・11bを撚り合わせて有撚紡績単糸にすると、それらのスライバー11の2倍の太さの1条のスライバーを加撚した有撚紡績単糸よりも、撚り数が同じであっても、細い2条のスライバー11a・11bを撚り合わせた有撚紡績単糸の引張強度は、太い1条のスライバーを加撚した有撚紡績単糸よりも強くなる。
即ち、スライバー11a・11bを構成している短繊維が、撚り合わせて成る有撚紡績単糸12の軸芯O−Oと成す捩れ角度γが、太い1条のスライバーを加撚して成る有撚紡績単糸における短繊維の成す捩れ角度(γ)よりも大きくなる。このため、2条のスライバー11a・11bの短繊維は、太い1条のスライバーの短繊維に比して有撚紡績単糸12の長さ方向(軸芯O−O)にズレ移動し難くなることによるものと考えられる。
事実、太い1条のスライバーを加撚して成る有撚紡績単糸における短繊維の成す捩れ角度(γ)と本発明の有撚紡績単糸における短繊維の成す捩れ角度(γ)を比較したところ、総繊度と撚り数が同じであっても、本発明の有撚紡績単糸における短繊維の成す捩れ角度(γ)は、太い1条のスライバーを加撚して成る有撚紡績単糸における短繊維の成す捩れ角度(γ)よりも40〜50%(1.4〜1.5倍)大きくなっていることが確認された。
このため、その一方のスライバー11aの短繊維と、その他方のスライバー11bの短繊維とは、その接触面13において交叉して擦れ合うことになり、それら2条のスライバー11a・11bの短繊維は、その接触面13においてズレ移動し難くなる。
しかし、太い1条のスライバーを加撚(下撚り)して成る有撚紡績単糸では、それを構成している全ての短繊維が並行に引き揃えられており、短繊維と短繊維が交叉して擦れ合うことがないために、2条のスライバー11a・11bを撚り合わせた有撚紡績単糸12に比して、紡績単糸の長さ方向にズレ移動し易くなることによるものと考えられる。
そのように強度的に安定した有撚紡績単糸12とするためには、スライバー11a・11bを構成する短繊維の繊度は20dtex以下とし、スライバー11a・11bの総繊度は1000dtex以上、好ましくは2000dtex以上とし、有撚紡績単糸12の撚り数は80回/m以上、好ましくは100回/m以上とする。
羊毛繊維に成る総繊度2222.2dtexの2条のスライバー11a・11bをリング精紡機のフロントロールの離れた部位から別々に分けて引き出し、それら2条のスライバー11a・11bの軸芯P・Qを合撚点Rに向けて60°の交叉角度θをもって交叉させ、155回/mとなる撚り数をもって2条のスライバーをS撚りに撚り合わせて総繊度3846.2dtex(2.6メートル番手)の有撚紡績単糸12とする。
羊毛繊維に成る総繊度4700dtexの1条のスライバーをリング精紡機のフロントロールから引き出し、155回/mとなる撚り数をもってS撚りに加撚して総繊度3846.2dtex(2.6メートル番手)の有撚紡績単糸とする。
羊毛繊維に成る総繊度4700dtexの1条のスライバーをリング精紡機のフロントロールから引き出し、220回/mとなる撚り数をもってS撚りに加撚して総繊度3846.2dtex(2.6メートル番手)の有撚紡績単糸とする。
実施例による有撚紡績単糸と比較例による有撚紡績単糸の引張強度をJIS−L−1095−9.6.1試験規格に従って引張試験機によって測定した結果、表1と図3に示す通り、実施例による有撚紡績単糸の伸び率3.0%時の引張強度は662.2g/本、伸び率5.0%時の引張強度は1225.0g/本、伸び率10.0%時の引張強度は1812.5g/本、破断時の引張強度は1893.7g/本、伸び率は18.5%であり、比較例1による有撚紡績単糸の伸び率3.0%時の引張強度は606.7g/本、伸び率5.0%時の引張強度は1087.3g/本、伸び率10.0%時の引張強度は1592.5g/本、破断時の引張強度は1675.6g/本、伸び率は14.4%であり、比較例2による有撚紡績単糸の伸び率3.0%時の引張強度は661.8g/本、伸び率5.0%時の引張強度は1182.4g/本、伸び率10.0%時の引張強度は1710.5g/本、破断時の引張強度は17898.5g/本、伸び率は16.9%であり、実施例による有撚紡績単糸が、比較例1による有撚紡績単糸に比して引張強度が強く伸び難く、又、強撚した比較例2による有撚紡績単糸に比しても引張強度が強く伸び難いことが確認された。尚、実施例と比較例1・2において用いたスライバーは、それを引っ張ると短繊維が素っぽ抜けて破断し、その引張強度は測定不能であった。
図3において、実施例のデータは「〇印」で、比較例1のデータは「◎印」で、比較例2のデータは「◇印」でそれぞれ示す。
12:有撚紡績単糸
13:接触面
14:境目
15:筋目
16:パイル片
17:経糸
18:緯糸
19:パイル
O,P,Q:軸芯
R:合撚点
Claims (4)
- 短繊維に成る無撚状態のスライバー(11a・11b)を複数条撚り合わせて成る有撚紡績単糸(12)によってパイル(19)が構成されており、その撚り合わされた複数条のスライバー(11a・11b)の間の境目(14)の続く下撚り方向と複数条の各スライバー(11a・11b)の短繊維の続く筋目(15)の方向とが並行になっているパイル布帛。
- 無撚状態のスライバー(11a・11b)を複数条撚り合わせて成る有撚紡績単糸(12)に解撚トルクが発生しておらず、その撚り合わされた複数条のスライバー(11a・11b)を撚りの状態が安定している前掲請求項1に記載のパイル布帛。
- パイル(19)を構成している有撚紡績単糸の数が複数本であり、それら複数本の有撚紡績単糸(12a・12b・12c・12d………)が引き揃えられた状態でパイル(19)を形成している前掲請求項1と2の何れかに記載のパイル布帛。
- 引き揃えられてパイル(19)を構成している複数本のパイル糸(12a・12b・12c・12d………)のそれぞれが形成するパイル片(16a・16b・16c・12d………)の根元が、扁平糸のように一列に並んでいる前掲請求項3に記載のパイル布帛。
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