JP4272600B2 - 冷凍食肉塊解凍装置 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍食肉塊を高周波解凍するための冷凍食肉塊解凍装置に関し、特に、厚みを有する不定形な冷凍豚ロース原料肉(食肉塊)の品質を低下させることなく完全解凍を行うことのできる冷凍食肉塊解凍装置に関するものである。
一般に、冷凍食肉塊の解凍、特に、原料を加工する段階で冷凍食肉塊を解凍する際には、種々の解凍手法が用いられている。例えば、(1)浸漬解凍又は散水解凍等のように水を利用して解凍を行う水解凍手法、(2)自然解凍手法、(3)温度及び湿度を所定の状態に制御・調節しつつ解凍を行う調温調湿解凍手法、(4)高周波誘導加熱によって解凍を行う高周波解凍手法等がある。
前述の水解凍手法においては、水を用いて解凍を行うため、不可避的に汚水が発生するという問題があり、バッチ方式で解凍処理を行う結果、解凍に要する時間が半日以上かかってしまい、しかも、多量の冷凍食肉塊を一度に解凍処理することが難しい。自然解凍手法及び調温調湿解凍手法は、大量の冷凍食肉塊を解凍処理する際に適しているものの、解凍時間に数時間〜数日を要してしまい、生産計画に支障が生じることもある。
一方、高周波解凍手法では、短時間に冷凍食肉塊を解凍できるものの、例えば、60mm以上の厚みを有し不定形な冷凍豚ロース原料肉等の食肉塊を解凍しようとすると、昇温を行うことができるものの、水と氷の電磁波吸収能の相違に起因して、所謂解凍ムラが生じる。最悪の場合には、加熱変性を引き起こしてしまう。このため、例えば、−3℃程度の半解凍状態で解凍を止めて、温度均一化のため低温保管倉庫に半解凍状態の食品を保管する必要がある。
このように、高周波解凍手法は、冷凍食肉塊を解凍する際に補助的に使用されているに過ぎず、高周波解凍手法を用いて冷凍食肉塊の品質を良好に維持しつつ、冷凍食肉塊を完全解凍(例えば、温度0℃以上まで)することは難しい。特に、100MHz以上の高周波を用いた際には、解凍の際、冷凍食肉塊に対して過加熱が生じてしまい、解凍後の冷凍食肉塊の品質を良好に維持することが難しい。
ところで、冷凍食肉塊の解凍を行う際、解凍に要する総解凍時間を複数の段階に区分(例えば、第1及び第2の段階)して、第1の段階では、高出力で解凍を行い、第2段階では、低出力で解凍を行うようにしたものがあり、ここでは、第1の段階における解凍時間を約30%、第2の段階における解凍時間を約70%の比率で制御して解凍を行うようにしている(特許文献1参照)。
特開平7−132074号公報(段落(0017)〜段落(0020)、第1図)
特許文献1に記載されたように、解凍時間を第1及び第2の段階に区分して、第1の段階においては高出力で解凍を行い、第2の段階においては、低出力で解凍を行ってみても、マイクロ波においては、高い温度における誘電損率が大きい関係上、温度の高い部分が特に加熱されてしまい、所謂ランナウェー現象が発生する。このため、第2の段階では断続的に出力制御を行わなければならず、迅速な解凍を行うことが難しい。
また、連続的に出力制御を行って、迅速な解凍を行おうとすると、マイクロ波においては、不定形な冷凍食肉塊においてその角部に電磁波が集中して加熱変性が著しく、浸透性も小さいため、特に厚みのある豚原料肉においては、電磁波がその中心部まで到達せず、直接的に加熱することが難しい。
加えて、冷凍食肉塊解凍後の品質の良し悪しを決定する要因として、解凍速度、解凍終了温度、及び解凍方法等があるが、例えば、水分を70%〜80%含有する生鮮食品の場合、最も氷が融ける氷結晶融解帯における解凍において、緩慢解凍を行うと、蛋白質の変性等の品質劣化の原因となる。いずれにしても、従来の高周波加熱による解凍では、解凍ムラを防止して冷凍食肉塊を均一にしかも迅速に解凍することが難しいという課題がある。
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、冷凍食肉塊、特に、厚みを有し不定形な豚ロース原料肉を解凍する際、解凍ムラを防止して、均一にしかも迅速に完全解凍を行うことのできる冷凍食肉塊解凍装置を提供することを目的とする。
本発明の冷凍食肉塊解凍装置は、上電極及び下電極を有する一対の電極部からなり、冷凍食肉塊が前記電極部に位置づけられている状態で前記冷凍食肉塊を高周波加熱する高周波加熱手段の高周波加熱により冷凍食肉塊を解凍する冷凍食肉塊解凍装置であって、
前記高周波加熱手段に高周波として6.7MHzの高周波を印加する高周波印加手段と、前記冷凍食肉塊が配置された空間の温度を0℃〜10℃に制御し且つ該空間に流入する空気の風速を0.5m/secを越え、2.0m/sec以下に制御した状態で、前記高周波印加手段の前記高周波の出力を上昇させて前記冷凍食肉塊の潜熱帯で前記高周波の出力を最も大きくする制御手段とを有することを特徴とするものである。
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本発明の冷凍食肉塊解凍装置では、高周波として6.7MHzの高周波を印加して、冷凍食肉塊を高周波加熱するようにしたので、表面及び中心部において温度ムラが生じることがなく、解凍ムラを防止でき、均一にしかも迅速に完全解凍を行うことができるという効果がある。
本発明の冷凍食肉塊解凍装置では、6.7MHzの高周波の出力を上昇させて冷凍食肉塊の潜熱帯で高周波の出力を最も大きくするようにしたので、冷凍食肉塊の品質を劣化させることなく、急速解凍を行えるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
まず、図1を参照して、図示の冷凍食肉塊解凍装置10には上電極10a及び下電極10bを有する一対の電極部(高周波加熱手段)11が備えられ、上電極10a及び下電極10bの少なくとも一方は、冷凍食肉塊(例えば、冷凍豚ロース原料肉)のサイズに応じて図中上下方向に移動可能となっている。そして、この電極部11は解凍室12内に配置され、電極部11には高周波電源(高周波印加手段)13が接続されて、高周波電源13は制御装置14によって制御される。
図示はしないが、解凍室12には、第1の搬送体(コンベア)及び第2の搬送体(コンベア)が配置されており、これら第1及び第2の搬送体によって冷凍豚ロース原料肉が搬送される。第2の搬送体の上流側には、前述の電極部11が配置されており、温湿度調節装置(図示せず)では、予め設定された温湿度に調節された空気を解凍室12内に供給して、解凍室12内の温度湿度を調節することになる。
いま、冷凍豚ロース原料肉(以下単に食肉塊と呼ぶ)を解凍しようとする際には、第1の搬送体で食肉塊を搬送しつつ、冷凍温度等がモニタリングされる(投入モニタリング)。そして、投入モニタリングが終了すると、食肉塊は第1の搬送体から第2の搬送体に投入される。
制御装置14では、食肉塊が電極部11の位置に達すると(この位置には検知センサ(図示せず)が備えられ、この検知センサで食肉塊が検知されることになる)、制御装置14は第2の搬送体を停止する。この際には、食肉塊は電極部11に位置づけられている。そして、制御装置14は高周波電源13を制御して、高周波電源13から高周波を電極部11に印加して、電極部11に位置づけられた食肉塊に対して高周波加熱を行い、食肉塊の解凍を実行する。
予め設定された時間が経過すると(この時間は、食肉塊の大きさに応じて設定され、例えばその中心部がゼロ度に達するに要する時間である)、制御装置14は高周波加熱を停止し、第2の搬送体を駆動する。これによって、解凍後の食肉塊は、第2の搬送体によって出口側へと搬送される。そして、上述のようにして解凍処理が終了した食肉塊は、解凍後の温度等がモニタリングされ(完了モニタリング)、完了モニタリングが終了すると、解凍済み食肉塊として解凍室12から搬出される。
ところで、「食品や生体の解凍を目的とした誘電加熱における氷の誘電損失特性(日本冷凍空調学会論文集,Trans. of the JSRAE Vol.16, No.3(1999) pp.263〜271)」によれば、3MHz付近の氷の誘電損率(誘電損失係数)のピークが存在し、3MHzにおける氷の誘電損率のピークは温度が高くなるに連れて減少するため、この周波数の電場を印加すると、均一に急速解凍が行える旨記載されている。
ところが、図2(a)に示すように、豚ミンチ肉について、1MHz〜1000MHzの高周波に対する誘電損失係数を計測してみたところ、3MHz近傍において、ピークは存在しないことが分かる。同様に、図2(b)に示すように、豚ロース肉についても、3MHz近傍にピークは存在しないことが分かる。なお、図2(a)及び(b)において、曲線L1は−20℃の冷凍温度(解凍前温度)、曲線L2は−10℃の冷凍温度、曲線L3は−5℃の冷凍温度の場合を示している。
一方、周波数40MHz、13.5MHz、27MHz、及び3MHzの高周波を用いて、豚ロース肉(長さ100mm、幅50mm、高さ60mm、約250グラム)の高周波加熱を行ってみたところ、図3に示す結果が得られた。なお、図3においては、高周波加熱を行わないで静止空気中に豚ロース肉を放置して解凍してみた。また、この際の豚ロース肉の解凍前温度は約−15℃であり、芯温ゼロ度(完全解凍)となるまでの時間を測定した。
図3に示すように、40MHzの高周波を用いた際には、短時間で完全解凍できるものの芯温が急激に上昇してしまった(つまり、加熱されてしまった)。また、周波数13.5MHz及び周波数27MHzにおいても短時間で解凍できるものの、後述するように、解凍の際芯温及び表面で温度ムラが生じる。
一方、3MHzの高周波を用いた際には、解凍に時間が掛かり、しかも後述するように、解凍の際芯温及び表面で温度ムラが生じる。そして、静止空気中における解凍に要する時間を1とすると、3MHzでは約1/4、13.5MHz、27MHz、及び40MHzでは約1/5であった。
いま、13.5MHzの高周波及び3MHzの高周波を用いて、豚ロース肉を解凍したところ、図4及び図5に示す結果が得られた。図4は13.5MHzの高周波を用いた際の解凍結果であり、図5は3MHzの高周波を用いた際の解凍結果である。
図4及び図5において、曲線L4〜L6はそれぞれ上側表面温度の変化、芯温の変化、及び下側表面温度の変化を表しており、図4及び図5を比べると、芯温がゼロ度に達するまでの時間はほぼ同一であり、つまり、潜熱帯(最大氷結晶体)までの時間がほぼ同一で解凍時間もほとんど変わらず、3MHzが13.5MHzに比べて優位ではない。しかも、3MHz及び13.5MHzともに表面及び芯(中心)の解凍時間に差があり、温度ムラが生じてしまう。
図1で説明した冷凍食肉塊解凍装置10では、6.7MHzの高周波を用いており、ここで、6.7MHz、13.5MHz、27MHz、及び40MHzの高周波を用いて冷凍豚ロース肉(長さ100mm、幅70mm、高さ43mm、273.6グラム)を解凍した。その結果、図6〜図9に示す結果が得られた。図6は6.7MHzの高周波を用いた際の解凍結果であり、図7は13.5MHzの高周波を用いた際の解凍結果である。そして、図8は27MHzの高周波を用いた際の解凍結果であり、図9は40MHzの高周波を用いた際の解凍結果である。
図6〜図9において、曲線L7〜L9はそれぞれ芯温の変化、下側表面温度の変化、及び側面(左側)温度の変化を表しており、図6に示すように、6.7MHzにおいて、芯温及び下側表面温度ともに、ほぼ同一の変化で温度ゼロ度まで達しており、つまり、表面及び芯の解凍時間にほとんど差がなく、温度ムラが生じることがない(肉塊側面は下電極と接触していないために側面(左側)温度は参考値)。一方、図7〜図9に示すように、13.5MHz、27MHz、及び40MHzの場合には、芯及び下側表面においてゼロ度に達するまでの時間に差があり、つまり、解凍時間に差があり、温度ムラが生じてしまう。
このように、6.7MHzの周波数を用いて解凍を行うと、温度ムラが生じることなく、完全解凍を行うことができ、その結果、解凍ムラを防止して、均一にしかも迅速に完全解凍を行うことができることになる。
上述の説明では、電極部11から6.7MHzの高周波を食肉塊に印加して高周波加熱を行うようにしたが、この際、制御装置14は高周波電源13を制御して、その出力を段階的(連続的)に上げて、潜熱帯(最大氷結晶温度)においてその出力を最大とすることが望ましい。
このようにして、高周波電源13の出力を制御するようにすると、前述のように、6.7MHzの周波数においては、芯及び表面に解凍時間の差がなく、温度ムラは生じないから、出力を段階的に上げて潜熱帯(最大氷結晶温度)で最大出力とすれば、さらに急速に解凍を行うことができ、品質に悪影響を及ぼすこともない。
また、6.7MHzの高周波を用いて解凍を行った際には、図6に示すように、食肉塊の温度変化はその下電極10bと接する下側表面及び芯(中心部)でほぼ同一であるから、食肉塊の下側表面の温度を計測すれば、その中心部の温度も分かることになって、容易に潜熱帯に達するまで高周波電源13の出力を上昇させることができることになる。
なお、上述の例では、冷凍豚ロース肉を解凍する例について説明したが、豚ロース肉に限らず、鶏肉等他の冷凍食肉塊を解凍する際においても、図1に示す冷凍食肉塊解凍装置10を用いれば、解凍ムラをなくして均一にしかも迅速に解凍できることが確認できた。
前述したように、温湿度調節装置では、予め設定された温湿度に調節された空気を解凍室12内に供給しているが、ここでは、解凍室12に供給する空気の風速を制御するとともに、解凍室12内の温度を制御してみた。
ここでは、電極部11から6.7MHzの高周波を食肉塊に印加して高周波加熱を行っており、食肉塊として、豚ロース肉(長さ580mm、幅90mm、高さ60mm、約2500グラム)を用い、豚ロース肉の解凍前温度は約−15℃であり、芯温ゼロ度(完全解凍)となるまでの時間を測定した。その結果を図10に示す。
図10(a)は風速が0.5m/secの際の解凍時間を示す図であり、図10(b)は風速が1.0m/secの際の解凍時間を示す図である。図10(a)及び(b)において、曲線M1〜M3はそれぞれ豚ロース肉の表面温度、中心部の温度(芯温)、及び表面と中心部との中間部分の温度(中間温度)の変化を示しており、図10(a)では温度ゼロ度付近まで表面温度、芯温、及び中間温度ともにほぼ同一に上昇して、その後、表面温度が急激に上昇し、続いて中間温度が上昇を開始することが分かる。そして、芯温は温度ゼロ度まで徐々に上昇する。
一方、図10(b)では、温度ゼロ度付近まで表面温度、芯温、及び中間温度ともにほぼ同一に上昇して、その後、表面温度が上昇を開始し、芯温及び中間温度は温度ゼロ度まで徐々に上昇することが分かる。このように、風速を1.0m/secとすると、風速が0.5m/secの時よりも解凍ムラが少なくなって、豚ロース肉を良好に解凍することができる。
発明者らの実験によれば、風速が0.5m/secを越え、2.0m/sec以下であると、豚ロース肉を6.7MHzの高周波を用いて解凍した際解凍ムラを少なくすることができることが確認でき、風速が2.0m/secを越えてもそれ以上の効果を得られなかった。そして、風速が高くなるほどエネルギー使用が多くなることを考慮すると、解凍室12に供給する空気流の風速は0.5m/secを越え2.0m/sec以下であることが好ましい。
次に図11を参照して、ここでは、解凍室12内の温度を制御するとともに、高周波電源13を制御して、その出力を段階的に上げて、潜熱帯(最大氷結晶温度)においてその出力を最大として、解凍時間、ロース豚肉の変性状態、及び氷残について観察した。図11において、ロース豚肉(ここでは試料と呼ぶ)No.1については、出力ステップ数を4として出力を最大とし、解凍室12内温度(庫内温度)を10℃とした。同様にして、試料No.2〜No.4については、出力ステップ数を5として出力を最大にし、試料No.2〜No.4において庫内温度をそれぞれ10℃、−5℃、及び0℃とした。さらに、試料No.5及びNo.6については出力ステップ数をそれぞれ6及び7とし、庫内温度を5℃とした。
試料No.1〜No.4については、解凍後の試料の変性状態を観察したところ、その変性状態が「大」であり、試料No.5については、その変性状態は「中」であった。また、試料No.6については、その変性状態は「無」であった。さらに、氷残を調べたところ、試料No.3及びNo.4については、氷残が確認された。
さらに、試料No.1〜No.5について出力ステップ数がゼロの場合について(つまり、出力を段階的に変化させない場合について)、その解凍時間を測定し、出力を段階的に変化させた場合と比べたところ、予想短縮時間で示すように、解凍時間が短縮されることが確認できた(なお、試料No.6における出力ステップ数7は解凍を行う際の基準ステップ数である)。
図12(a)及び(b)を参照すると、図12(a)は解凍に当って庫内温度を10℃とした際の豚ロース肉の温度変化を示す図であり、図12(b)は解凍に当って庫内温度を5℃とした際の豚ロース肉の温度変化を示す図である(なお、高周波として6.7MHzの高周波を用いた)。図12(a)及び(b)において、曲線M1〜M3はそれぞれ豚ロース肉の表面温度、芯温、及び中間温度の変化を示しており、図12(a)では温度ゼロ度付近まで表面温度、芯温、及び中間温度ともにほぼ同一に上昇して、その後、表面温度が上昇を開始し、芯温及び中間温度は温度ゼロ度まで徐々に上昇することが分かる。
一方、図12(b)では温度ゼロ度付近まで表面温度、芯温、及び中間温度ともにほぼ同一に上昇して、その後、表面温度及び中間温度が上昇を開始し、芯温は温度ゼロ度まで徐々に上昇することが分かる。
発明者らの実験によれば、出力ステップ数を、例えば、7以上として、庫内温度を0℃〜10℃に制御すると、氷残が無くしかも変性状態がほとんどないことが確認された。つまり、庫内温度が0℃未満であると、誘電損率の相違によって氷が残り、10℃を越えると誘電損率の相違によって温度ムラが発生する。一方、前述の風速が0.5m/sec以下であると、加熱ムラが大きくなってしまう。
続いて、6.7MHzの高周波を用いて豚ロース肉を解凍した際の解凍時間及び品質について他の解凍手法と比べてみた。図13(a)において、曲線N1は6.7MHzの高周波を用いて、豚ロース肉を解凍した際の芯温変化を示し、曲線N2は低温高湿状態下(20〜5℃)における芯温の変化を示し、曲線N3は豚ロース肉にアルミを接触させて解凍する接触式における芯温の変化を示しており、さらに、曲線N4は空気(10℃)による解凍を行った際の芯温の変化を示している。
図13(b)に示すように、「高周波(6.7MHz)」の場合には、解凍時間は1時間であり、解凍後の豚ロース肉の歩留まり(品質が良であるもの)は97%であった(なお、ここでは、100個の試料を用いて歩留まりを求めた)。一方、「低温高湿」、「接触」、及び「空気」の場合には、解凍時間はそれぞれ7時間、13時間、及び14時間であり、また、歩留まりはそれぞれ93%、95%、及び93%であった。このように、6.7MHzの高周波を用いて解凍を行うと、解凍時間を大幅に短縮できるばかりでなく、歩留まりも向上することが分かる。
さらに、豚ロース肉について、解凍前の生菌数と6.7MHzの高周波を用いて解凍した後の生菌の数を比較してみた。なお、解凍時間は約1時間であった。図14に示すように、解凍前と解凍後の一般生菌の数(ここでは対数で示す:単位(CFU/g))はほとんど変わらず、衛生的であることが確認できた。
高周波として6.7MHzの高周波を印加して、前記冷凍食肉塊が配置された空間の温度を0℃〜10℃に制御し且つ該空間に流入する空気の風速を0.5m/secを越え、2.0m/sec以下に制御した状態で、前記高周波印加手段の前記高周波の出力を上昇させて前記冷凍食肉塊の潜熱帯で前記高周波の出力を最も大きくすることにより、前記冷凍食肉塊を高周波加熱するようにしたので、下側電極と接する下側表面及び中心部において温度ムラが生じることがなく、解凍ムラを防止でき、均一にしかも迅速に完全解凍を行うことができる結果、各種冷凍食品を解凍する冷凍食肉塊解凍装置に適用できる。
本発明による冷凍食肉塊解凍装置の一例を示すブロック図である。 高周波と誘電損失係数との関係を説明するための図であり、(a)は豚ミンチ肉に関して示す図、(b)は豚ロース肉に関して示す図である。 周波数40MHz、13.5MHz、27MHz、及び3MHzの高周波を用いて、豚ロース肉の高周波加熱を行った際の解凍時間を示す図である。 13.5MHzの高周波を用いて豚ロース肉を解凍した際のその表面温度及び芯温の変化を示す図である。 3MHzの高周波を用いて豚ロース肉を解凍した際のその表面温度及び芯温の変化を示す図である。 6.7MHzの高周波を用いて冷凍豚ロース肉を解凍した際の表面温度及び芯温の変化を示す図である。 13.5MHzの高周波を用いて冷凍豚ロース肉を解凍した際の表面温度及び芯温の変化を示す図である。 27MHzの高周波を用いて冷凍豚ロース肉を解凍した際の表面温度及び芯温の変化を示す図である。 40MHzの高周波を用いて冷凍豚ロース肉を解凍した際の表面温度及び芯温の変化を示す図である。 解凍室内の空気流の風速を制御した際の冷凍食肉塊の温度変化を示す図であり、(a)は風速0.5m/secの際の温度変化を示す図、(b)は風速1.0m/secの際の温度変化を示す図である。 解凍室内温度を制御するとともに高周波出力を段階的に変化させて解凍を行った際の冷凍食肉塊の変性状態及び氷残の有無を示す図である。 解凍室内温度を制御した際の冷凍食肉塊の温度変化を示す図であり、(a)は解凍室内温度10℃の際の温度変化を示す図、(b)は解凍室内温度5℃の際の温度変化を示す図である。 6.7MHzの高周波による解凍を他の解凍手法と比較して示す図であり、(a)は冷凍食肉塊を解凍した際の温度変化を示す図、(b)は解凍時間及び歩留まりを示す図である。 6.7MHzの高周波を用いて解凍を行った際、解凍前の生菌数と解凍後の生菌数を比較して示す図である。
10 冷凍食肉塊解凍装置
11 電極部
12 解凍室
13 高周波電源
14 制御装置

Claims (1)

  1. 上電極及び下電極を有する一対の電極部からなり、冷凍食肉塊が前記電極部に位置づけられている状態で前記冷凍食肉塊を高周波加熱する高周波加熱手段の高周波加熱により冷凍食肉塊を解凍する冷凍食肉塊解凍装置であって、
    前記高周波加熱手段に高周波として6.7MHzの高周波を印加する高周波印加手段と、前記冷凍食肉塊が配置された空間の温度を0℃〜10℃に制御し且つ該空間に流入する空気の風速を0.5m/secを越え、2.0m/sec以下に制御した状態で、前記高周波印加手段の前記高周波の出力を上昇させて前記冷凍食肉塊の潜熱帯で前記高周波の出力を最も大きくする制御手段とを有することを特徴とする冷凍食肉塊解凍装置。
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