JP4272321B2 - パルス密度変調回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力されるディジタル信号のディジタル値に応じた密度を有するパルス列からなる信号を生成するパルス密度変調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の回路は、例えば、通信用受信機におけるいわゆるAGC制御信号を得るような場合に必要とされるものである。すなわち、入力されたディジタル信号の値に応じて振幅が異なるアナログ信号を得る必要がある場合、そのアナログ信号を発生する前段階で、ディジタル信号の値に応じた密度のパルス列信号を得、その後、そのパルス列を基にアナログ信号を生成することを行うが、このような構成において入力されたディジタル信号の値に応じた密度のパルス列信号を発生するのがパルス密度変調回路である。
かかる従来回路としては、例えば、米国特許第5,337,338号に開示された構成を有してなるものが公知・周知となっている。
【0003】
図8には、このような従来のパルス密度変調回路の一構成例が示されており、以下、同図を参照しつつこの従来のパルス密度変調回路について説明すれば、この回路は、カウンタ20と、ビット順反転回路21と、比較回路22とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
このパルス密度変調回路には、予め定められた入力ディジタル信号のビット数Mに応じた数の入力端子811,812,・・・,81Mが設けられており、外部から入力されるMビットのディジタル信号がM個の入力端子811,812,・・・,81Mに印加され、比較回路22へ入力されるようになっている。
カウンタ20は、外部クロック入力端子23を有しており、これに印加されるクロックに同期して計数動作がなされるように構成されてなるものである。このカウンタ20の段数、換言すれば、計数の最大値は、入力端子811,812,・・・,81Mに入力されるディジタル信号のビット数Mにより定まるもので、例えば、M=3の場合、カウンタ20の段数は、23=8となり、計数が8になると同時に零にリセットされるものとなる。
【0004】
カウンタ20からの出力信号は、ビット順反転回路21により、そのビットの順序が反転されて比較回路22に入力されるようになっている。このビット順反転回路21は、例えば、先に述べた米国特許第5,337,338号に開示されたように、比較回路22へ対する結線の順序を単純に入れ替えるようにして実現され得るものである。
そして、比較回路22には、入力端子811,812,・・・,81Mから入力されたディジタル信号と、ビット順反転回路21からの信号とが入力され、双方の値の比較が行われ、入力端子811,812,・・・,81Mからの入力信号が、ビット順反転回路21からの入力信号より大であれば“1”が、そうでない場合には“0”が、パルス密度変調信号出力として、出力端子24から出力されるようになっている。
【0005】
図9には、外部から入力されるディジタル信号のビット数Mが3ビットの場合のパルス密度変調信号の出力例が示されている。同図において、図9(A)は、カウンタ20に印加されるクロックの波形を表し、同図(B)乃至同図(I)には、入力端子811,812,・・・,81Mにディジタル信号が零(2進数の“000”)から7(2進数の“111”)まで順に入力された場合の、それぞれのパルス密度変調信号が示されている。なお、図9は、2単位時間分の信号の変化が示されたものとなっている。ここで、1単位時間とは、カウンタ20の計数動作が開始されてその計数値が最大値となって零にリセットされるまでの時間を意味するものである。
なお、図8には図示されていないが、通常は、このパルス密度変調信号は、後段に設けられたローパスフィルタなどの平滑化回路を通過せしめられた後、そのディジタル値の大きさに応じたアナログ信号に変換されて、先に述べたように、例えば、AGC制御信号のようなものとして用いられるようになっているものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような構成のパルス密度変調回路においては、入力されるディジタル信号のビット数Mに応じた比較回路22を必要とするため、入力されるディジタル信号のビット数Mが大きい場合には、比較回路22の回路規模やデータの処理量が大きくなるだけでなく、パルス密度変調回路全体としての回路規模、データの処理量も大きくなり、高価格化を招くという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で所望のパルス密度の変調信号を得ることのできるパルス密度変調回路を提供するものである。
本発明の他の目的は、入力されるディジタル信号のビット数が大きい場合であっても、従来に比して回路規模や処理量が小さくて済むパルス密度変調回路を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記発明の目的を達成するため、本発明に係るパルス密度変調回路は、
入力ディジタル信号の値に応じて、パルス列の密度が異なる信号が出力されるよう構成されてなるパルス密度変調回路であって、
出力信号としてのパルス密度変調信号が出力される単位時間内のパルス数に応じた出力端子を有し、予め定められたパターンに基づいて出力タイミング毎に指定される前記入力ディジタル信号のビットが、前記出力端子の各々に対応するよう構成されてなる分配回路と、
前記分配回路の出力端子が前記出力タイミング毎に選択されて、前記出力タイミング毎に指定された前記入力ディジタル信号のビットデータが出力されるよう構成されてなるスイッチ回路と、を具備してなるものである。
【0010】
かかる構成においては、分配回路とスイッチ回路によりパルス密度変調信号が得られるよう構成することにより、従来のような入力データと所定のデータとを比較する比較回路が不要となり、構成が簡素となり、従来に比して回路規模や処理量が小さくて済むパルス密度変調回路を提供することが可能となるものである。
【0011】
特に、上記構成において、分配回路は、入力ディジタル信号のビット数に応じた数の入力端子を有し、当該入力端子は、出力タイミング毎に指定される前記入力ディジタル信号のビットが予め定められたパターンに基づいて、前記出力タイミング毎で指定されるビットとそれぞれの出力端子とが対応するよう接続されてなるものが好適である。
また、スイッチ回路は、分配回路の出力端子の数に応じた数の接点を有すると共に、外部入力されるクロック信号に同期して前記接点との接続が切り替えられるよう動作する切替接点を有し、当該切替接点を介して、前記分配回路のデータが選択出力されるよう構成されてなるものが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図7を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、第1の構成例について図1乃至図3を参照しつつ説明する。
この第1の構成例におけるパルス密度変調回路S1は、分配回路1と、スイッチ回路2とを主たる構成要素としてなるものである。
分配回路1は、入力されたディジタル信号を、予め定めたパターンにしたがって分配出力するもので(詳細は後述)、入力されるディジタル信号のビット数Mに応じた数の複数の入力端子111,112,・・・,11Mを有すると共に、先のパターンにしたがって定まる数の出力端子を有してなるものである。
スイッチ回路2は、分配回路1の出力信号を入力し、それらを外部入力されるクロックに同期して順次出力するようになっているものである。すなわち、スイッチ回路2は、分配回路1の出力端子数Nに応じた数の接点2a−1〜Nを有し、切替接点2bがクロック入力端子3を介して外部から入力されるクロックに同期して接点2a−1〜Nの切替を行うように構成されてなるものである。そして、切替接点2bは、出力端子4に接続されており、クロックに同期した切替接点2bの切り替え動作に応じて、出力端子4には分配回路1からの1ビットの出力信号が順次得られるようになっている。
【0015】
図2には、入力ディジタル信号のビット数M=3の場合のより具体的な分配回路1Aの回路構成例が示されており、以下、同図を参照しつつこの構成例について説明する。
まず、入力段は、M=3に対応して3個の第1乃至第3の入力端子211,212,213が設けられたものとなっており、入力される3ビットのディジタル信号の最下位ビットを0、次の上位のビットを1、最上位ビットを2とすれば、入力端子211には、ビット0のデータが、入力端子212には、ビット1のデータが、入力端子213には、ビット2のデータが、それぞれ入力されるようにしてある。
一方、出力段は、7個の出力端子、すなわち第1乃至第7の出力端子221〜227が設けられたものとなっている。これは、この図2の構成例の場合、7クロックを単位時間とし、この単位時間の中で、クロック毎に入力信号の各々のビットを出力に割り当てるものとしたことに対応するものである。ここで、単位時間は、一連のビット割当が繰り返される周期をいう。すなわち、この構成例における分配回路1Aは、入力されたディジタル信号が、1単位時間の間に、ビット2、ビット1、ビット2、ビット0、ビット2、ビット1、ビット2というように出力されるものと予め定められ、それを実現すべく、第1乃至第3の入力端子211〜213と第1乃至第7の出力端子221〜227とが次述されるように結線されたものとなっている。
【0016】
まず、第1の入力端子211は、第4の出力端子224と接続されたものとなっている。また、第2の入力端子212は、第2の出力端子222及び第6の出力端子226と接続されたものとなっている。そして、第3の入力端子213は、第1、第3、第5及び第7の出力端子221,223,225,227と接続されたものとなっている。
かかる構成の分配回路1Aを用いる場合、スイッチ回路2の接点数は7個となり、図1に示されたスイッチ回路2で言えば、最も上方に位置する接点2a−1から順に、分配回路 の第1の出力端子221、第2の出力端子222、・・・と接続されるものとなる。そして、切替接点2bの動作にしたがって、順に出力端子4から第1の出力端子221の出力データ、第2の出力端子222の出力データ、・・・の如く出力信号が、換言すればパルス密度変調信号が得られることとなる。
なお、図1には示されていないが、通常は、このスイッチ回路2の出力端子4の後段には、ローパスフィルタなどの平滑化回路が設けられ、入力端子111〜11Mへ入力されたディジタル信号の値に応じた振幅のアナログ信号が生成されるようになっている。
【0017】
次に、図3を参照しつつ、図2に示された構成の分配回路1Aを用いた場合のパルス密度変調回路S1の動作について説明する。
まず、同図において、(A)は、スイッチ回路2に入力されるクロック信号の波形を表したものであり、(B)は、入力データのいずれのビットがクロック信号に同期して出力されるかを表したビット割当であり、(C)乃至(J)は、第1乃至第3の入力端子211〜213に2進数表示で“000”から“111”までデータが順次入力された場合の出力変化を順次示したものである。なお、図3は、2単位時間分の信号変化を示したものとなっている。
【0018】
例えば、第1乃至第3の入力端子211〜213に2進数表示で“000”のデータが入力された場合について説明すれば、まず、この構成例におけるビット割当は、クロックに同期して2→1→2→0→2→1→2と変化するのを基本としてこれが循環的に繰り返されるように予め定められている。
最初のクロックでビット割当は「2」であり、これに対応して入力信号のビット2のデータが出力される分配回路1Aの第1出力端子221が、スイッチ回路2の切替接点2bによって選択される状態となり、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“0”が出力されることとなる。第2のクロックでは、ビット割当は「1」となり、これに対応して入力信号のビット1のデータが出力される分配回路1Aの第2の出力端子222が、スイッチ回路2の切替接点2bによって選択される状態となり、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“0”が出力されることとなる。以下、同様にしてビット割当に対応して入力信号の対応するビットデータが出力されることとなるが、この場合、入力信号は、2進数表示で“000”であることから、結局、出力端子4は常時“0”の出力状態となる(図3(C)参照)。
【0019】
次に、第1乃至第3の入力端子211〜213に2進数表示で“010”のデータが入力された場合を例に採り説明する。
まず、最初のクロックでビット割当「2」であるため、これに対応して入力信号のビット2のデータが出力される分配回路1Aの第1の出力端子221が、スイッチ回路2の切替接点2bによって選択される状態となり、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“0”が出力されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。2番目のクロックでは、ビット割当「1」であるため、これに対応して入力信号のビット1のデータが出力される分配回路1Aの第2の出力端子222が、スイッチ回路2の切替接点2bによって選択される状態となり、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“1”が出力されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。3番目のクロックでは、ビット割当が再び「2」であるため、最初のクロックの場合と同様に、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“0”が出力されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。4番目のクロックでは、ビット割当が「0」であり、これに対応して入力信号のビット0のデータが出力される分配回路1Aの第4の出力端子224が、スイッチ回路2の切替接点2bによって選択される状態となり、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“0”が出力されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。5番目のクロックでは、ビット割当が再度「2」となり、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“0”が出力されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。6番目のクロックでは、ビット割当が再度「1」となり、これに対応して入力信号のビット1のデータが出力される分配回路1Aの第6の出力端子226が、スイッチ回路2の切替接点2bによって選択される状態となり、スイッチ回路2の出力端子4には、2進数表示の“1”が出力されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。第7番目のクロックでは、ビット割当は「2」となり、これに対応して入力信号のビット2のデータが出力される第7の出力端子227が、スイッチ回路2の切替接点2bによって選択される状態となり、スイッチ回路2の出力端子には、2進数表示の“0”が出力されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。そして、8番目のクロック以降は、ビット割当が最初に戻り、上述した動作が繰り返されることとなる(図3(A),(B),(E)参照)。
なお、上述した入力データ以外の場合における動作についても、その基本的な動作は上述したと同様であるので、個々の詳細な説明は省略することとする。
【0020】
次に、第2の構成例について、図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、図1に示された構成例における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の構成例におけるパルス密度変調回路S2は、スイッチ回路2Aの構成が以下に説明するように図1に示されたものと異なる点を除けば、他の基本的な構成は図1に示された構成と同一のものである。
すなわち、スイッチ回路2Aは、分配回路1の出力端子数Nに接続されるN個の接点2a−1〜Nに加えて、アースに接続された接点2a−(N+1)を有してなる構成となっている点が先の図1に示されたスイッチ回路2と異なるものとなっている。
そして、スイッチ回路2Aの出力端子4の出力状態は、ビット割当が繰り返される際に、強制的に出力零の状態とされるようになっている。すなわち、この構成例では、単位時間は8クロック周期となっている。
【0021】
かかる構成における動作について、図5を参照しつつ説明する。
まず、前提条件として、図5は、入力ディジタル信号のビット数M=3の場合の例である。そして、分配回路1の具体的な構成は、先に図2に示された構成であるとする。
そして、図5において、(A)は、スイッチ回路2Aに入力されるクロック信号の波形を表したものであり、(B)は、入力データのいずれのビットがクロック信号に同期して出力されるかを表したビット割当であり、(C)乃至(J)は、第1乃至第3の入力端子211〜213に2進数表示で“000”から“111”までデータが順次入力された場合の出力変化を順次示したものである。なお、図5は、2単位時間分の信号変化を示したものとなっている。
かかる前提条件の下、ビット割当は、単位時間と単位時間との間がビット割当が休止される点を除けば先の図3で説明した動作例と同一である。すなわち、ビット割当は、クロックに同期して2→1→2→0→2→1→2と変化し、この後のクロックにより、スイッチ回路2Aの切替接点2bがアースに接続された接点2a−(N+1)に接続されるため、ビット割当はなく(換言すれば休止)、次のクロックから再び先と同様なビット割当が繰り返されることとなる(図5(A),(B)参照)。
したがって、ビット割当がない部分を除けば、スイッチ回路2Aから出力されるパルス密度変調信号は、先に図3で説明したと同様のものであるので、ここでの詳細な説明は省略することとする。
【0022】
次に、第3の構成例について、図6及び図7を参照しつつ説明する。なお、図1に示された構成例における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の構成例におけるパルス密度変調回路S3は、カウンタ5と、デコーダ6と、セレクタ7とを主たる構成要素としてなるものである。
カウンタ5は、クロック入力端子3を介して外部から入力されるクロックに同期して計数動作を行いその計数値を出力するもので、所定数の計数を行った後は、零にリセットされて再び同様に計数を繰り返すよう構成されてなるものである。このカウンタ5の段数は、入力端子111,112,・・・,11Mに入力されるディジタル信号のビット数Mによって定まるもので、例えばM=3の場合、カウンタ5の段数は23=8となり、計数値が8になると同時に零にリセットされることとなり、カウンタ5の出力ビットは、3ビットとなる。そして、この場合、単位時間は8クロック周期となる。
【0023】
デコーダ6は、カウンタ5から入力されたデータを基に、このパルス密度変調回路S3に予め定めてあるビット割当にしたがって、順次このビット割当に対応するビットを指定する信号が出力されるようになっているものである。換言すれば、デコーダ6は、ビット割当に対応する出力ビットに“1”を出力するよう構成されてなるものである。ここで、ビット割当は、先の第1及び第2の構成例におけるビット割当と同意義である。
【0024】
図7には、ビット数M=3の場合のデコーダ6Aの具体的構成例が示されており、以下、同図を参照しつつこの構成例について説明する。
まず、前提として、このパルス密度変調回路S3のビット割当は、先の第2の構成例の場合と同様であるとする。したがって、クロック信号とビット割当及び出力状態を示すタイミング図としては図5に示されたものと同一となるので、以下の説明においては必要に応じて図5を流用することとする。
図7に示されたデコーダ6Aは、第1及び第2の反転回路8,9並びに第1及び第2のAND回路10,11を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
また、第1乃至第3の入力端子711〜713は、第1の入力端子711が最下位ビット(LSB)に対応してビット順に設けられたものとなっており、第3の入力端子713が最上位ビット(MSB)となっている。すなわち、換言すれば、第1の入力端子711は、ビット0に、第2の入力端子712は、ビット1に、第3の入力端子713は、ビット2に、それぞれ割り当てられたものとなっている。
【0025】
一方、第1乃至第3の出力端子741〜743も、上述の第1乃至第3の入力端子711〜713と同様に第1の出力端子741が、ビット0に、第2の出力端子742がビット1に、第3の出力端子743が、ビット2に、それぞれ割り当てられたものとなっている。
そして、第1及び第2の反転回路8,9並びに第1及び第2のAND回路10,11は、次のような観点から相互の接続がなされたものとなっている。
まず、図5において、単位時間内で、最初のビット割当が生ずるクロックの時点を仮に時刻t1(奇数時刻)とし、次のクロックの時点を時刻t2(偶数時刻)というように、以下昇順に時刻を表すものとする。
かかる前提の下、まず、カウンタ5の出力値(計数値)と時刻とは次のように対応するものとなる。
すなわち、時刻t1において、出力値“001”、時刻t2において、出力値“010”、時刻t3において、出力値“011”、時刻t4において、出力値“100”、時刻t5において、出力値“101”、時刻t6において、出力値“110”、時刻t7において、出力値“111”、時刻t8において、出力値“000”の如くである。
【0026】
一方、ビット割当の変化を見ると、まず最初に、奇数時刻においては、ビット2が割り当てられている(図5(A),(B)参照)。
そして、奇数時刻におけるカウンタ5の出力値は、LSBが必ず“1”である。したがって、第1の入力端子711が“1”の場合に、第3の出力端子743を同じく“1”とすればよい。このため、第1の入力端子711と第3の出力端子743が直接接続されており、第1の入力端子711に入力された“1”がそのまま第3の出力端子743へ出力され、ビット2の指定がなされるようになっている。
【0027】
次に、ビット1のビット割当を見ると(図5(B)参照)、時刻t2及び時刻t6において生ずるものとされている。時刻t2と時刻t6とでは、共にカウンタ5の出力値の下位から2番目のビットが“1”である。そこで、奇数時刻という条件の反転したもの(偶数時刻)を得るため、第1の入力端子711へ第1の反転回路8の入力段が接続され、その出力と、第2の入力端子712への入力信号との論理積(AND)を得るため、第1のAND回路10の入力段に、第1の反転回路8の出力段と第2の入力端子712とが接続されている。そして、第1のAND回路10の出力段が第2の出力端子742に接続されており、時刻t2及び時刻t6にビット1の指定がなされるようになっている。
【0028】
最後に、ビット0について見ると(図5(B)参照)、時刻t4においてビット割当が生ずるものとされており、その際、カウンタ5の出力値は、“100”である。したがって、偶数時刻で、カウンタ5の出力が下位から2番目のビットが“0”で、かつ、下位から3番目のビット(この場合はMSB)が“1”のときにビット0のビット割当が生ずるとすることができる。そのため、まず、偶数時刻という条件を得るべく第2の反転回路9の入力段が第1のAND回路10の出力段に接続されて、第2の反転回路9の出力段は、第2のAND回路11の入力段に接続されている。
またさらに、第2のAND回路11には、第1の反転回路8の出力段と第3の入力端子743が接続されており、時刻t4においてビット0の指定がなされるようになっている。
【0029】
一方、セレクタ7は、先の第2の構成例におけるスイッチ回路2Aに相当する機能を有するもので、入力端子111,112,・・・,11Mへ入力されたディジタル信号について、デコーダ6によって指定されたビットのデータを選択して出力するよう構成されてなるものである。なお、このセレクタ7は、デコーダ6の出力値が全て零の場合には、予め定めた信号(例えば図5の例の場合には“0”)が出力されるようになっているものである。
【0030】
かかる構成における動作は、入力端子111,112,・・・,11Mのビット数M=3を例に採れば、結局、先に図5を用いて説明した第2の構成例の場合と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
なお、デコーダ6の構成は、ビット数Mが3以外であっても、上述したと同様に、ビット割当とクロックの時刻との関係に基づいて、反転回路とAND回路を用いて同様に構成し得るものである。
【0031】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明によれば、出力信号の個々のタイミングにおける値が、入力ディジタル信号の特定のビットと一意に対応するような構成とすることにより、従来と異なり、入力ディジタル信号のビット数の増大しても回路規模やデータの処理量の増大が比較的小さくて済み、装置価格の低減を図ることが可能となるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるパルス密度変調回路の第1の構成例を示す構成図である。
【図2】図1に示されたパルス密度変調回路に用いられる分配回路の具体的回路構成例を示す回路図である。
【図3】入力ビット数が3の場合の第1の構成例におけるパルス密度変調回路の主要部のタイミング図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるパルス密度変調回路の第2の構成例を示す構成図である。
【図5】入力ビット数が3の場合の第2の構成例におけるパルス密度変調回路の主要部のタイミング図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるパルス密度変調回路の第3の構成例を示す構成図である。
【図7】図6に示されたパルス密度変調回路に用いられるデコーダの具体的構成例を示す回路図である。
【図8】従来のパルス密度変調回路の構成例を示す構成図である。
【図9】従来のパルス密度変調回路の主要部のタイミング図である。
【符号の説明】
1…分配回路
2…スイッチ回路
3…クロック入力端子
4…出力端子
5…カウンタ
6…デコーダ
7…セレクタ
Claims (3)
- 入力ディジタル信号の値に応じて、パルス列の密度が異なる信号が出力されるよう構成されてなるパルス密度変調回路であって、
出力信号としてのパルス密度変調信号が出力される単位時間内のパルス数に応じた出力端子を有し、予め定められたパターンに基づいて出力タイミング毎に指定される前記入力ディジタル信号のビットが、前記出力端子の各々に対応するよう構成されてなる分配回路と、
前記分配回路の出力端子が前記出力タイミング毎に選択されて、前記出力タイミング毎に指定された前記入力ディジタル信号のビットデータが出力されるよう構成されてなるスイッチ回路と、
を具備してなることを特徴とするパルス密度変調回路。 - 分配回路は、入力ディジタル信号のビット数に応じた数の入力端子を有し、当該入力端子は、出力タイミング毎に指定される前記入力ディジタル信号のビットが予め定められたパターンに基づいて、前記出力タイミング毎で指定されるビットとそれぞれの出力端子とが対応するよう接続されてなることを特徴とする請求項1記載のパルス密度変調回路。
- スイッチ回路は、所定の固定値が単位時間毎に出力されるよう構成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパルス密度変調回路。
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