JP4272237B2 - 車両のリヤフレーム構造 - Google Patents

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Description

本発明は、左右のリヤフレームにリヤホイールハウスがそれぞれ設けられ、左右のリヤフレームの後方にリヤエンドパネルが設けられた車両のリヤフレーム構造に関する。
車両の後部フレーム構造のなかには、低速時のオフセット衝突で車体後部に衝撃荷重が作用した場合に対応させて、後部フレームに補強部材を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−119358公報
特許文献1の後部フレーム構造は、車体前後方向に向けて左右のリヤフレームが延出され、左右のリヤフレーム間に渡ってクロスメンバが設けられている。
リヤフレームとクロスメンバとの各結合部から左右のダイアゴナルメンバが車体後方に向けてリヤエンドパネルが車体中央まで直線状に延出され、リヤエンドパネルの車体中央にガードブロックが設けられている。
特許文献1の後部フレーム構造は、左右のダイアゴナルメンバが車体後方に向けて直線状に延出されている。
このため、車体後部に衝撃荷重が作用した場合に、衝撃荷重を左右のダイアゴナルメンバで左右のリヤフレームやクロスメンバに伝えて分散させることは可能である。
しかし、左右のダイアゴナルメンバは直線状に延出されているので、車体後部に衝撃荷重が作用した場合に、それぞれのダイアゴナルメンバを好適に変形させて衝撃荷重を吸収することは難しい。
本発明は、衝撃荷重(衝撃エネルギー)を良好に吸収することができる車両のリヤフレーム構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、左右のリヤフレームに後輪を収容するリヤホイールハウスがそれぞれ設けられ、前記左右のリヤフレームの後方にリヤエンドパネルが設けられ、前記左右のリヤフレーム間で、かつ前記リヤエンドパネルの車体前方側に衝撃吸収部材が設けられた車両のリヤフレーム構造において、前記衝撃吸収部材は、延性に優れた金属製の補強部材であって、前記左リヤフレームおよび前記左リヤホイールハウスの左接続部に設けられた左端部と、前記右リヤフレームおよび前記右リヤホイールハウスの右接続部に設けられた右端部と、車体後方に向けて突出させて折り曲げられ、前記左右の端部に対して下方に変位させることで前記衝撃荷重が作用する位置に設けられた中央部と、前記中央部から前記左端部まで直線状に上り勾配で延出された左側部と、前記中央部から前記右端部まで直線状に上り勾配で延出された右側部と、を有し、前記左右の側部、前記左右の端部および前記中央部で平面視略V字状に形成されたことを特徴とする。
請求項2に係る発明において、前記中央部は前記リヤエンドパネルに設けられたことを特徴とする。
ここで、衝撃吸収部材を車体に安定させた状態で取り付けるためには、衝撃吸収部材の中央部を車体に取り付けることが好ましい。
一方、衝撃吸収部材で衝撃荷重を良好に吸収するためには、中央部を車体前方に良好に移動させることが好ましい。
そこで、リヤエンドパネルが、車体後方からの衝撃荷重が作用する部位であり、衝撃荷重が作用した際に、車体前方に向けて良好に変形することに着目し、中央部をリヤエンドパネルに設けることにした。
請求項3に係る発明は、前記左右の端部に高張力鋼板の取付ブラケットがそれぞれ設けられ、前記左右の取付ブラケットが前記左右の接続部にそれぞれ設けられたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、衝撃吸収部材を、延性に優れた金属製の補強部材で形成した。よって、衝撃吸収部材を平面視で略V字状に折り曲げるとともに、中央部を左右の端部に対して下方に変位させて衝撃荷重の作用位置に設けることができる。
加えて、左右の側部をそれぞれ中央部から左右の端部まで直線状に上り勾配で延出させることができる。
これにより、衝撃荷重を中央部で受けて、衝撃荷重の一部を左右の側部に対して軸方向に圧縮荷重として作用させることができる。
したがって、左右の側部をそれぞれ軸方向に変形(圧縮)させて、圧縮荷重(すなわち、衝撃荷重の一部)を吸収することができる。
さらに、中央部で受けた衝撃荷重のうち、残りの衝撃荷重で中央部が車体前方に移動する。
これにより、左右の側部をそれぞれ車体前方に向けて曲げ変形させて、残りの衝撃荷重を吸収することができる。
このように、左右の側部をそれぞれ軸方向に変形(圧縮)させるとともに、車体前方に向けて曲げ変形させることで、衝撃荷重(衝撃エネルギー)を良好に吸収することができるという利点がある。
請求項2に係る発明では、中央部をリヤエンドパネルに設けた。リヤエンドパネルは、車体後方からの衝撃荷重が作用する部位であり、衝撃荷重が作用した際に、良好に車体前方に向けて変形する。
よって、リヤエンドパネルに中央部を設けることで、衝撃荷重が作用した際に、中央部をリヤエンドパネルとともに車体前方に向けて良好に移動させることができる。
これにより、左右の側部をそれぞれ車体前方に向けて安定的に曲げ変形させて、残りの衝撃荷重を安定的に吸収することができるという利点がある。
請求項3に係る発明では、左右の端部に高張力鋼板の取付ブラケットを設けた。高張力鋼板は剛性が高いので、衝撃荷重が作用した際に、左右の端部が曲げ変形することを取付ブラケットで防止することができる。
これにより、衝撃荷重が作用した際に、左右の側部を車体前方に向けて安定的に曲げ変形させて、衝撃荷重を安定的に吸収することができるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は作業者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
図1は本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す断面図である。
なお、本実施の形態においては、本発明に係る車両のリヤフレーム構造10をハイブリッド自動車に適用した例について説明するが、本発明は通常の自動車に適用することも可能である。
車両のリヤフレーム構造10は、車体前後方向に向けて配置された左右のリヤフレーム11,12と、左リヤフレーム11に設けられた左リヤホイールハウス14と、右リヤフレーム12に設けられた右リヤホイールハウス15と、左右のリヤフレーム11,12に渡って設けられたリヤフロア17と、左右のリヤフレーム11,12の後端部よびリヤフロア17の後端部に設けられたリヤエンドパネル18と、左右のリヤフレーム11,12間で、かつリヤエンドパネル18の車体前方側に設けられた衝撃吸収手段20とを備える。
左リヤホイールハウス14は、左リヤフレーム11に設けられ、左後輪および左後ダンパー(図示せず)を収容する部材である。
右リヤホイールハウス15は、右リヤフレーム12に設けられ、右後輪および右後ダンパー(図示せず)を収容する部材である。
リヤフロア17は、左取付側部31が左リヤフレーム11の上部に設けられるとともに、左リヤホイールハウス14の壁面に設けられ、右取付側部32が右リヤフレーム12の上部に設けられるとともに、右リヤホイールハウス15の壁面に設けられている。
このリヤフロア17は、左取付側部31の内辺から下方に垂下する左壁部33(図4も参照)と、右取付側部32の内辺から下方に垂下する右壁部34と、左壁部33の下辺および右壁部34の下辺に設けられた底部35とを有する。
左右の壁部27,28および底部35でバッテリー収納空間37が形成される。
バッテリー収納空間37にバッテリー38が収納されている。バッテリー38は、ハイブリッド自動車用のモータ(図示せず)に電圧を供給する大型バッテリーである。
リヤエンドパネル18は、図3に示すように、左右のリヤフレーム11,12の後端部およびリヤフロア17の後端部に設けられ、車体後方からの衝撃荷重(衝撃エネルギー)F1作用する部材である。
衝撃吸収手段20は、リヤエンドパネル18の車体前方側に設けられ、リヤエンドパネル18に作用した衝撃荷重F1(図3参照)を吸収する衝撃吸収部材21と、衝撃吸収部材21の左端パイプ部(左端部)22を取り付ける左取付ブラケット41と、衝撃吸収部材21の右端パイプ部(右端部)23を取り付ける右取付ブラケット42と、衝撃吸収部材21の中央パイプ部(中央部)24を取り付ける中央ブラケット43とを備える。
以下、衝撃吸収手段20の各構成を図2〜図4に基づいて詳しく説明する。
図2は本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す分解斜視図、図3は本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す平面図である。
衝撃吸収部材21は、延性に優れた金属製の補強部材である。衝撃吸収部材21は、図3に示すように、平面視において車体後方に突出するように略V字状に形成された部材である。
金属製の補強部材としては、一例として、閉断面に形成された鉄製パイプ(筒状部材)が該当するが、鉄製部材に限定するものではなく、その他の延性に優れた金属製の補強部材を用いることも可能である。
また、補強部材は、円筒形の筒状部材に限定するものではなく、断面矩形状や断面多角形状の筒部材を用いることも可能である。
さらに、補強部材のパイプ成形は、曲げ成形(ベント)に限らないで、ハイドロフォーム成形を用いることも可能である。また、鋼板をプレス加工して溶接することで形成することも可能である。
加えて、補強部材として、例えば、プレス成形において、断面略C字状や断面略コ字状などの開放断面(開断面)に形成したプレス部材を用いることも可能である。
衝撃吸収部材21は、低速時のオフセット衝突で車体後部に衝撃荷重F1が作用した場合に衝撃荷重を吸収して、衝撃吸収部材21の車体前方側に設けられたバッテリー38を保護することを主な役割とする部材である。
この衝撃吸収部材21は、左接続部45に設けられた左端パイプ部22と、右接続部46に設けられた右端パイプ部23と、衝撃荷重F1(図3参照)が作用する位置に設けられた中央パイプ部24と、中央パイプ部24から左端パイプ部22まで直線状に上り勾配で延出された左側パイプ部(左側部)25と、中央パイプ部24から右端パイプ部23まで直線状に上り勾配で延出された右側パイプ部(右側部)26とを有する。
左接続部45は、左リヤフレーム11および左リヤホイールハウス14が接続された部位である。
左端パイプ部22は、左取付ブラケット41に溶接されている。左取付ブラケット41は左接続部45に4本のボルト48で取り付けられている。
この左端パイプ部22は、左取付側部31に沿って水平に配置された状態で、左取付ブラケット41を介して左接続部45に設けられている。
右接続部46は、右リヤフレーム12および右リヤホイールハウス15が接続された部位である。
右端パイプ部23は、右取付ブラケット42に溶接されている。右取付ブラケット42は右接続部46に4本のボルト49で取り付けられている。
この右端パイプ部23は、右取付側部32に沿って水平に配置された状態で、右取付ブラケット42を介して右接続部46に設けられている。
中央パイプ部24は、車体後方に向けて突出させて湾曲状に折り曲げられた部位である。中央パイプ部24は、左右端のパイプ部22,23に対して下方にH寸法(図4参照)だけ変位させることで衝撃荷重F1が作用する位置(高さ位置)に設けられている。
具体的には、図6(b)に示すように、後方車両71の衝突面72がリヤエンドパネル18に衝突した場合に、衝突面72からリヤエンドパネル18に衝突荷重F1が作用する位置(高さ位置)に中央パイプ部24が設けられている。
なお、衝突荷重F1が作用する位置(高さ位置)は法規要件で求められる。
この中央パイプ部24は、中央取付ブラケット43に溶接されている。中央取付ブラケット43はリヤエンドパネル18のうち、車幅方向中央部位19にボルト51で取り付けられている。
よって、中央パイプ部24は、中央取付ブラケット43を介してリヤエンドパネル18の車幅方向中央部位19に設けられている。
左側パイプ部25は、中央パイプ部24の左端24aから左端パイプ部22の内側端22aまで直線状に上り勾配で延出されている。
右側パイプ部26は、中央パイプ部24の右端24bから右端パイプ部23の内側端23aまで直線状に上り勾配で延出されている。
図3に示すように、衝撃吸収部材21は、左右端のパイプ部22,23、左右側のパイプ部25,26、および中央パイプ部24で平面視略V字状に形成された部材である。
図2に示す左取付ブラケット41は、剛性の高い高張力鋼板で形成された部材である。
なお、左取付ブラケット41は、アルミ材、ステンレス材など金属材料であればよく、特に、剛性の高い高張力鋼板で形成したものを用いることが好ましい。
この左取付ブラケット41は、衝撃吸収部材21の左端パイプ部22の先端部22bを受け入れる受入凹部55と、受入凹部55に一体に形成された取付部56とを有する。
受入凹部55は、先端部22bの円筒体を受け入れるように内壁55aが凹状に形成されている。
左端パイプ部22の先端部22bを受入凹部55で受け入れた状態で、内壁55aは、先端部22bに沿って配置されている。
受入凹部55は先端部22bに溶接で一体に取り付けられている。
取付部56は、受入凹部55の前辺から車体前方に張り出した前張出片61と、受入凹部55の後辺から車体後方に張り出した後張出片62と、受入凹部55の外端から張り出した上張出片63とを有する。
前張出片61の各取付孔にボルト48…を差し込み、差し込んだボルト48…を左取付側部31側にねじ結合する。
後張出片62の各取付孔にボルト48…を差し込み、差し込んだボルト48…を左取付側部31側にねじ結合する。
同様に、上張出片63の各取付孔にボルト48…を差し込み、差し込んだボルト48…を左取付側部31側にねじ結合する。
よって、左取付ブラケット41が左接続部45に設けられ、左端パイプ部22の先端部22bが左接続部45に取り付けられる。
具体的には、左端パイプ部22は、左取付側部31に沿って水平に配置され、かつ、図3に示すように車体後方に向けて車体中央側に徐々に近づくようにテーパ状に配置されている。
右取付ブラケット42は、左取付ブラケット41と略左右対称の部材である。右取付ブラケット42の構成部材に、左取付ブラケット41と同一符号を付して説明を省略する。
以下、右取付ブラケット42を右接続部46に取り付ける例について説明する。
前張出片61の各取付孔にボルト48…を差し込み、差し込んだボルト48…を右取付側部32側にねじ結合する。
後張出片62の各取付孔にボルト48…を差し込み、差し込んだボルト48…を右取付側部32側にねじ結合する。
同様に、上張出片63の各取付孔にボルト48…を差し込み、差し込んだボルト48…を右取付側部32側にねじ結合する。
よって、右取付ブラケット42が右接続部46に設けられ、右端パイプ部23の先端部23bが右接続部46に取り付けられる。
具体的には、右端パイプ部23は、右取付側部32に沿って水平に配置され、かつ、図3に示すように車体後方に向けて車体中央側に徐々に近づくようにテーパ状に配置されている。
なお、左右の取付ブラケット41,42を、剛性の高い高張力鋼板で形成した理由については図7で詳しく説明する。
中央ブラケット43は、衝撃吸収部材21の中央パイプ部24を受け入れる中央受入凹部65と、中央受入凹部65に一体に形成された中央取付部66とを有する。
この中央ブラケット43には、中央受入凹部65および中央取付部66に渡って補強用のリブ67が形成されている。
中央受入凹部65は、中央パイプ部24の円筒体上半分を受け入れるように内壁が凹状に形成されている。
中央パイプ部24を中央受入凹部65で受け入れた状態で、中央受入凹部65が中央パイプ部24に溶接により一体に取り付けられている。
中央取付部66の各取付孔にボルト51…を差し込み、リヤエンドパネル18の車幅方向中央部位19にねじ結合する。
よって、中央取付ブラケット43がリヤエンドパネル18の車幅方向中央部位19に設けられ、中央パイプ部24が車幅方向中央部位19に略水平に取り付けられる。
具体的には、中央パイプ部24は、略水平で、かつ、平面視において車体後方に突出した状態でリヤエンドパネル18の車幅方向中央部位19に取り付けられている。
よって、通常状態において、衝撃吸収部材21を車体に安定させた状態で取り付けることができる。
なお、中央パイプ部24をリヤエンドパネル18の車幅方向中央部位19に設けた(取り付けた)理由は、図7で詳しく説明する。
図3に示すように、車両のリヤフレーム構造10は、バッテリー収納空間37の車体前方において、左右のリヤフレーム11,12に渡ってクロスメンバー58が設けられている。
クロスメンバー58の後方にメンテナンス用のカバー59が着脱自在に設けられている。カバー59の下方に燃料タンク(図示せず)が設けられている。
図4は本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す側面図である。
衝撃吸収部材21の左端パイプ部22は、左リヤフレーム11の上部(詳しくは、左取付側部31)に左取付ブラケット41で取り付けられている。
また、図3に示すように、衝撃吸収部材21の右端パイプ部23は、右リヤフレーム12の上部(詳しくは、右取付側部32)に右取付ブラケット42で取り付けられている。
すなわち、左右端のパイプ部22,23はバッテリー収納空間37の上方に取り付けられている。
衝撃吸収部材21の中央パイプ部24は、リヤエンドパネル18の車幅方向中央部位19に中央取付ブラケット43で取り付けられている。
中央パイプ部24は、バッテリー収納空間37の後部において、上下方向略中央に配置されている。
この中央パイプ部24は、後方車両71が車体後部(すなわち、リヤエンドパネル)18に当たった際に、衝撃荷重F1が作用する位置に設けられている。
換言すれば、中央パイプ部24は、後方車両71の衝突面72において、上下方向の中央72aに一致した位置(対応した位置)に設けられている。
衝撃吸収部材21の左側パイプ部25は、中央パイプ部24の左端24aから左端パイプ部22の内側端22aまで直線状に上り勾配で延出されている。
図1に示すように、衝撃吸収部材21の右側パイプ部26は、中央パイプ部24の右端24bから右端パイプ部23の内側端23aまで直線状に上り勾配で延出されている。
このように、左側パイプ部25および右側パイプ部26を上り勾配で延出させることで、左右端のパイプ部22,23をバッテリー収納空間37の上方に設けた状態で、中央パイプ部24をバッテリー収納空間37内の衝撃荷重F1が作用する位置に設けることができる。
左右端のパイプ部22,23をバッテリー収納空間37の上方に設けることで、バッテリー収納空間37を大きく確保することができる。
また、衝撃吸収部材21の左端パイプ部22を左リヤフレーム11の上部(詳しくは、左接続部45)に取り付け、衝撃吸収部材21の右端パイプ部23を右リヤフレーム12の上部(詳しくは、右接続部46)に取り付けた。
左接続部45は、左リヤフレーム11および左リヤホイールハウス14が接続された部位であり、衝撃変形の少ない部位である。
右接続部46は、右リヤフレーム12および右リヤホイールハウス15が接続された部位であり、衝撃変形の少ない部位である。
衝撃吸収部材21の左右端のパイプ部22、23をそれぞれ衝撃変形の少ない部位に取り付けることで、衝撃吸収部材21による衝撃荷重(衝撃エネルギー)の吸収効率を向上させることができる。
つぎに、車両のリヤフレーム構造10の作用を図5〜図7に基づいて説明する。
図5は本発明に係るリヤフレーム構造を備えた車両に後方車両がオフセット衝突する例を説明する図である。以下、本発明に係るリヤフレーム構造10を備えた車両を車両70として説明する。
車両70の後方から、車両(すなわち、後方車両)71が低速で矢印Aの如くオフセット衝突する。
具体的には、車両70に対して後方車両71が右側にオフセットした状態で、低速衝突する。
図6(a),(b)は本発明に係るリヤフレーム構造を備えた車両に後方車両がオフセット衝突した状態示す図である。
(a)に示すように、車両70のリヤエンドパネル18に後方車両71の衝突面72がオフセットした状態で低速衝突することで、衝突面72は左リヤフレーム11の後端部に当たらない。
ここで、衝撃吸収部材21は、中央パイプ部24が車体後方に突出するように、平面視で略V字状に折り曲げられている。
中央パイプ部24は、中央ブラケット43でリヤエンドパネル18の車幅方向中央部位19に取り付けられている。
このため、後方車両71の衝突面72がオフセットした状態でリヤエンドパネル18に低速衝突すると、衝突荷重F1が衝撃吸収部材21の中央パイプ部24に作用する。
(b)に示すように、衝撃吸収部材21の中央パイプ部24を左右端のパイプ部22,23に対して下方に変位させることで、中央パイプ部24は衝撃荷重F1の作用位置(作用高さ位置)に設けられている。
さらに、左側パイプ部25は、中央パイプ部24から左端パイプ部22まで直線状に上り勾配で延出されている。また、右側パイプ部26は、中央パイプ部24から右端パイプ部23まで直線状に上り勾配で延出されている。
加えて、衝撃吸収部材21は延性に優れた金属製の補強部材で形成されている。
よって、衝撃荷重F1を中央パイプ部24で受けて、衝撃荷重F1の一部を左右側のパイプ部25,26に対して軸方向に圧縮荷重F2として矢印の如く作用させることができる。
右側パイプ部26に作用する圧縮荷重F2は図6(a)に示す。
さらに、中央パイプ部24で受けた衝撃荷重F1のうち、残りの衝撃荷重F3は、中央パイプ部24を車体前方に移動させる荷重として矢印の如く作用させることができる。
図7(a),(b)は本発明に係る衝撃吸収部材で衝撃荷重を吸収した状態を示す図である。
(a)に示すように、左右側のパイプ部25,26に軸方向に圧縮荷重F2を作用させることで、左右側のパイプ部25,26を軸方向に変形(圧縮)させる。
左右側のパイプ部25,26が軸方向に変形(圧縮)することで、圧縮荷重F2(図6参照)を吸収する。
さらに、残りの衝撃荷重F3は、中央パイプ部24を車体前方に移動させる。中央パイプ部24が車体前方に移動することで、左側パイプ部25を内側端22aを支点にして矢印Bの如く車体前方に曲げ変形させる(図7(b)も参照)。
同時に、右側パイプ部26を内側端23aを支点にして矢印Cの如く車体前方に曲げ変形させる。
左右側のパイプ部25,26が車体前方に向けて曲げ変形することで、残りの衝撃荷重F3(図6参照)を吸収する。
ここで、リヤエンドパネル18は、車体後方からの衝撃荷重F1が作用する部位であり、衝撃荷重F1が作用した際に、良好に車体前方に向けて変形する。
よって、リヤエンドパネル18に中央パイプ部24を設けることで、衝撃荷重F1が作用した際に、中央パイプ部24をリヤエンドパネル18とともに車体前方に向けて良好に移動させることができる。
これにより、左右側のパイプ部25,26をそれぞれ車体前方に向けて安定的に曲げ変形させて、残りの衝撃荷重F3を安定的に吸収することができる。
なお、リヤエンドパネル18に中央パイプ部24を設けることで、衝撃荷重F1の一部をリヤエンドパネル18に分散させることも可能である。
加えて、左端パイプ部22は高張力鋼板の左取付ブラケット41で左接続部45に取り付けられ、右端パイプ部23は高張力鋼板の右取付ブラケット42で右接続部45に取り付けられている。
よって、残りの衝撃荷重F3が作用した際に、左右端のパイプ部22,23が曲げ変形することを左右の取付ブラケット41,42で防止することができる。
これにより、残りの衝撃荷重F3が作用した際に、左右側のパイプ部25,26を車体前方に向けて安定的に曲げ変形させて、残りの衝撃荷重F3を安定的に吸収することができる。
このように、左右側のパイプ部25,26をそれぞれ軸方向に変形(圧縮)させるとともに、車体前方に向けて曲げ変形させることで、衝撃荷重(衝撃エネルギー)F1を良好に吸収することができる。
衝撃荷重F1を良好に吸収することで、バッテリー収納空間37の大型バッテリー38を確実に保護することができる。
なお、前記実施の形態では、左端パイプ部22に左取付ブラケット41を溶接で固定し、右端パイプ部23に右取付ブラケット42を溶接で固定した例について説明したが、これに限らないで、ボルトなどの締結部材で固定することも可能である。
本発明のリヤフレーム構造は、左右のリヤフレームにリヤホイールハウスがそれぞれ設けられ、車体後部にリヤエンドパネルが設けられた自動車への適用に好適である。
本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す断面図である。 本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す分解斜視図である。 本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す平面図である。 本発明に係る車両のリヤフレーム構造を示す側面図である。 本発明に係るリヤフレーム構造を備えた車両に後方車両がオフセット衝突する例を説明する図である。 本発明に係るリヤフレーム構造を備えた車両に後方車両がオフセット衝突した状態示す図である。 本発明に係る衝撃吸収部材で衝撃荷重を吸収した状態を示す図である。
符号の説明
10…車両のリヤフレーム構造、11…左リヤフレーム、12…右リヤフレーム、14…左リヤホイールハウス、15…右リヤホイールハウス、18…リヤエンドパネル、21…衝撃吸収部材、22…左端パイプ部(左端部)、23…右端パイプ部(右端部)、24…中央パイプ部(中央部)、25…左側パイプ部(左側部)、26…右側パイプ部(右側部)、41…左取付ブラケット、42…右取付ブラケット、45…左接続部、46…右接続部。

Claims (3)

  1. 左右のリヤフレームに後輪を収容するリヤホイールハウスがそれぞれ設けられ、前記左右のリヤフレームの後方にリヤエンドパネルが設けられ、前記左右のリヤフレーム間で、かつ前記リヤエンドパネルの車体前方側に衝撃吸収部材が設けられた車両のリヤフレーム構造において、
    前記衝撃吸収部材は、延性に優れた金属製の補強部材であって、
    前記左リヤフレームおよび前記左リヤホイールハウスの左接続部に設けられた左端部と、
    前記右リヤフレームおよび前記右リヤホイールハウスの右接続部に設けられた右端部と、
    車体後方に向けて突出させて折り曲げられ、前記左右の端部に対して下方に変位させることで前記衝撃荷重が作用する位置に設けられた中央部と、
    前記中央部から前記左端部まで直線状に上り勾配で延出された左側部と、
    前記中央部から前記右端部まで直線状に上り勾配で延出された右側部と、
    を有し、
    前記左右の側部、前記左右の端部および前記中央部で平面視略V字状に形成されたことを特徴とする車両のリヤフレーム構造。
  2. 前記中央部は前記リヤエンドパネルに設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両のリヤフレーム構造。
  3. 前記左右の端部に高張力鋼板の取付ブラケットがそれぞれ設けられ、
    前記左右の取付ブラケットが前記左右の接続部にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両のリヤフレーム構造。
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