JP4271975B2 - スティック化粧品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スティック化粧品に関し、更に詳細には、折れやすいスティック状化粧組成物を安定に収納してなり、使用時や誤って落としたときに折れにくいスティック化粧品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スティック化粧品は、その内容物であるスティック状の化粧料組成物を肌、口唇、眼粘膜等の身体の部位に塗布する時にスティックに力がかかり、折れる場合がある。また、スティック化粧品を落とした時にはその衝撃により容器内でスティックが曲がったり、折れたりする場合がある。
【0003】
特に、多量の化粧用粉体を油剤や結合剤等で固めた、いわゆるパウダースティックを装填したスティック化粧品が現在チークカラー、フェイスパウダー、ファンデーション、アイシャドウ、アイブラウ、コンシーラー等として使用されているが、これらの製品は化粧用粉体粒子ののつなぎとなる油剤や結合剤の量が少ないため、かなりもろいスティックとなる。
【0004】
その上、このような多量の化粧用粉体を固めたスティックは、前工程で一度スティック状に成形した化粧料組成物をその後嵌入するかたちで容器に装填しなければならないことが多いためスティックが傷つきやすく、それが原因となって、使用時や、例えば誤って落とした時に折れやすくなる場合があった。
【0005】
従来、スティック状の化粧料組成物(以下、「スティック化粧組成物」という)を装填するスティック化粧品について、その折れや損傷を防ぐための技術が多く報告されている。例えば、棒状化粧料容器のスリーブを、底面側が上面側より大きくなるように形成し、棒状化粧料を当該スリーブの上部開口側端部で保持するようにした棒状化粧料容器が報告されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、棒状化粧料への衝撃を緩衝する工夫がなされた化粧料容器も報告されている(特許文献2ないし4参照)。
【0007】
しかしながら、これらの工夫は、ワックス類で系を固めた油性棒状化粧料のように相対的に固いものであれば効果があるが、パウダースティックのようなもろいスティック状化粧組成物、特に前工程で成形したスティック状化粧組成物を後で内皿に嵌入させるスティック化粧品では十分な効果を得ることは困難であった。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−179247号
【特許文献2】
特許第3322306号
【特許文献3】
特開2001−128734
【特許文献4】
実用新案第2599293号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、使用時や誤って落としたときにも折れにくく、例え上記のようなもろく、折れやすいとされるパウダースティックを容器中に装填したとしても、これを安定に保持し、安心して使用できるスティック化粧品の提供をその課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、スティック状化粧組成物を成形した後に容器の内皿に嵌入させるパウダースティックのようなスティック化粧品において、該スティック状化粧組成物が折れる原因について検討を行った結果、その原因の多くは内皿側面の皿の厚さ等に由来するスティック状化粧組成物とスリーブの間の隙間であり、この隙間があるため外部からの衝撃や力が加わるとスティック状化粧組成物の自由端がスリーブ内を横方向に動いてスリーブと接触し、スティック状化粧組成物が大きな衝撃を受けて折れやすいこと、また、スティック状化粧組成物と内皿が直接接触する部分において外部からの衝撃や力が集中するため、特にこの接触部分において折れやすいことを知った。
【0011】
そしてこれらのような接触の防止は、スリーブ内側に保護線条設けてスティック状化粧組成物の横方向の動き(ブレ)を押さえたり、また、内皿とスティック状化粧組成物の間に緩衝シートを設けて外部からの衝撃や力が両者の接触部分に集中するのを避けることにより可能であることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
すなわち本発明は、外筒、スリーブ及びスティック状化粧組成物を載置した内皿を有し、内皿がスリーブに沿って上下し、スティック状化粧組成物を出没させることのできるスティック化粧品において、当該スティック状化粧組成物が直接スリーブおよび/または内皿に接することを防ぐ手段が設けられていることを特徴とするスティック化粧品であり、特に外筒が回転筒であり、この回転筒を回転することにより内皿がスリーブに沿って上下し、スティック状化粧組成物を出没させることのできるスティック化粧品である。
【0013】
また本発明は、上記スティック化粧品において、スティック状化粧組成物が直接スリーブに接することを防ぐ手段が、当該スリーブ内側に設けられた保護線条であり、内皿の当該保護線条に対応する部分に切り込み部が設けられていることを特徴とするスティック化粧品である。
【0014】
更に本発明は、上記スティック化粧品において、スティック状化粧組成物が直接内皿に接することを防ぐ手段が、スティック状化粧組成物と内皿の載置部との間に敷設された緩衝シートであることを特徴とするスティック化粧品である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施態様を示す図面と共に、本発明を更に詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明のスティック化粧品の外観を示す図面であり、1はスティック化粧品、2は回転筒(外筒)、3はスリーブ、5は係止部を示す。本図は、商品としての装飾であるキャップおよび外筒を外した状態を示すものであり、スティック(図示せず)はスリーブ3の中に装填されている。このスティック化粧品は、スリーブ3の中に内皿4を装着し、更に回転筒2を係止部5により取り付けたものである。
【0017】
このスリーブ3は、図2の正面図および図3のA−A'線断面図に示すような形状をした上下両端が開放された筒状体であり、更に下端が開放され、上端に停止孔6aを設けたガイド溝6が下部に設けられ、ほぼ中央には係止溝13がそれぞれ設けられている。また、図3に示すように、上部円筒内側には保護線条7が設けられている。
【0018】
一方、スリーブ3内に装着される内皿4は、図4の正面図および図5のB−B'線断面図に示すような形状をしたものであり、複数の上方に開放された切り欠き部9と、スティック状化粧組成物を裁置するための裁置部8が設けられている。また、内皿4の外側には、やや斜め上方向に向いた小突起10が設けられている。
【0019】
更に、回転筒2は、図7の縦断面図に示すように、内側にねじ溝11が設けられており、また上部には係止部5が、上部内側には係止突起12が設けられている。
【0020】
本発明のスティック化粧品は、内皿4をスリーブ3の下側から、小突起10がガイド溝6に合うように挿入し、次いで、内皿4を挿入したスリーブ3の外側から、回転筒2を、係止部5および係止突起12と、スリーブ3の係止溝13を嵌合させて容器を組み立て、その後内皿4の載置部8にスティック状化粧組成物を装填することにより組み立てることができる。なお、内皿4の載置部8にスティック状化粧組成物を載置した後に、上記と同様の方法を用いて組み立てることもできる。
【0021】
そして、回転筒2を右に回転させることにより、小突起10は、内側のねじ溝11によって、右上方向に移動する力を受けるが、これがガイド溝6中にあるため、ガイド溝6の右端に沿って上部へと移動する。この小突起10の移動と共に、これが取り付けられた内皿4もスリーブ3内を上方に移動し、この結果、裁置部8に裁置されたスティック状化粧組成物が繰り出されるのである。
【0022】
この繰り出しに当たって、スティック状化粧組成物は、スリーブ3の内側に若干突出するように設けられた保護線条7と、これに対応して内皿4に設けられた切り欠き部9を介して接するが、スリーブ3自体には接することがなく、スティック状化粧組成物の横方向の動き(ブレ)がないため、衝撃や外部からの力に対して折れにくくなる。そして、この保護線条7をゴムやエラストマー等の弾性部材で形成すれば、たとえスティック状化粧組成物自体に力が加わったとしても、スティック状化粧組成物自体への衝撃が緩和され、更に折れにくくなる。なお、保護線条7は、上にまっすぐ伸びる縦線状であっても、回転しながら伸びるらせん状であっってもよいが、本発明においては、操作性の点から、上にまっすぐ伸びる縦線状のものが好ましい。また、内皿4に設けられた切り欠き部9はこれに対応させた形状で形成する必要がある。
【0023】
また、スリーブ上部の開口部円周に同じく弾性部材で形成された保護リング(図示しない)を設ければ、この部分でもスティック状化粧組成物はスリーブと接することなく、より衝撃の影響を受けにくくなる。
【0024】
一方、スティック状化粧組成物の収納は、回転筒2を左に回転させることにより、上記と逆に、小突起10がガイド溝6の左端に沿って下降し、これに伴い内皿4も下降することにより行われる。
【0025】
また、本実施態様においては、スティック状化粧組成物に対する衝撃や外力が特定の部位に集中することを防ぐために、スティック状化粧組成物と内皿4の載置部8との間に、緩衝シート14が敷設することが好ましい。この緩衝シートを図8、図9、図10及び図11で示す。図中15はスティック状化粧組成物を示す。この緩衝シート14は、例えば、図8や図9に示すように、多角形形状の中心部14aから帯状片14bが伸び出した形状(例えば、三叉型、十字形等)であり、中心部14a(図中、点線で示す)は、内皿の円周(図中、一点鎖線で示す)より小さいものであることが好ましい。
【0026】
またその材質も、ゴムやエラストマー等の弾性部材で形成されたものであることが望ましい。この緩衝シート14は図10に示すようにスティック状化粧組成物15を内皿4に装填する際に、その多角形状中心部の中心をスティック状化粧組成物底面の中心及び内皿4の中心にほぼ合わせた状態でスティック状化粧組成物15と内皿4の間に配置し、そのまま嵌入させる。嵌入後、スティック状化粧組成物15は図11に示す状態で内皿4に装填されるため直接内皿4に接することがなく、従ってスティック化粧品1に衝撃や外力が加わっても内皿4からスティック状化粧組成物15の特定部位に力が集中して加えられることがないため、折れにくくなる。
【0027】
なお、本発明のスティック化粧品は、そのままの状態でも使用できるが、一般には、更に回転筒2の外側を外筒で覆い、また、スリーブにはキャップをかぶせることにより、商品とされる。
【0028】
【作用】
本発明のスティック化粧品は、スティック状化粧組成物、とりわけ衝撃や外力を受けた場合に折れやすいパウダースティックとスリーブの接触をなくし、その間に好ましくは弾性部材で形成される保護線条を設けてこれで接触するようにしたものであるため、スティック状化粧組成物が折れにくくなっている。
【0029】
ここでいうパウダースティックとは、多量の化粧用粉体を油剤や結合剤等で固めた粉末固形状の組成物を示し、現在チークカラー、フェイスパウダー、ファンデーション、アイシャドウ、アイブラウ、コンシーラー等として使用されているものである。このパウダースティックは、一般に組成物全量中の粉体の含有量が50質量%以上、好ましくは70〜100質量%の粉末固形状組成物として示すことができ、このようなパウダースティックとしては、例えば特開2000−344616号公報等に記載されるものを示すことができる。このようなパウダースティックは化粧用粉体粒子のつなぎとなる油剤や結合剤の量が少ないため、一般にもろいスティックとなる場合が多いものである。
【0030】
また、本発明のスティック化粧品は、内皿とスティック状化粧組成物の間に緩衝シートを設けて直接の接触をなくし、外部からの衝撃や力が内皿とスティック状化粧組成物の接触部分に集中するのを避けるようにしたものであるため、スティック状化粧組成物が折れにくくなっている。
【0031】
更に、スリーブの上部開口部に保護リングを設ければ、これによってもスティック状化粧組成物の横方向のブレが少なくなるため、更に折れにくくなる。
【0032】
【発明の効果】
本発明のスティック化粧品によれば、スティック状化粧組成物、とりわけもろいとされるパウダースティックを衝撃や外力から効果的に保護することができる。
【0033】
従って、スティック状化粧組成物が本来有する性質を生かしながら、折れにくいパウダースティック、例えば、チークカラー、フェイスパウダー、ファンデーション、アイシャドウ、アイブラウ、コンシーラー等の化粧料として有利に使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明スティック化粧品の一態様の外観を示す図面
【図2】 スリーブの正面図
【図3】 スリーブの図2のA−A'線断面図
【図4】 内皿の正面図
【図5】 内皿の図4のB−B'線断面図
【図6】 回転筒の正面図
【図7】 回転筒の縦断面図
【図8】 緩衝シートの一態様を示す平面図
【図9】 緩衝シートの別の態様を示す平面図
【図10】 緩衝シートを内皿に取り付ける状態を示した図面
【図11】 緩衝シートを内皿に取り付けた後の状態を、内皿を透視して示した図面
【符号の説明】
1 … … スティック化粧品
2 … … 回転筒(外筒)
3 … … スリーブ
4 … … 内皿
5 … … 係止部
6 … … ガイド溝
7 … … 保護線条
8 … … 裁置部
9 … … 切り欠き部
10 … … 小突起
11 … … ねじ溝
12 … … 係止突起
13 … … 係止溝
14 … … 緩衝シート
15 … … スティック状化粧組成物
以 上

Claims (12)

  1. 外筒、スリーブ及びスティック状化粧組成物を載置した内皿を有し、内皿がスリーブに沿って上下し、スティック状化粧組成物を出没させることのできるスティック化粧品において、前記スリーブ内側に保護線条を設け、前記内皿の当該保護線条に対応する部分に切り込み部を設けることによって前記スティック状化粧組成物が直接スリーブに接することを防ぐことを特徴とするスティック化粧品。
  2. 前記外筒が回転筒であり、回転筒を回転させることにより内皿がスリーブに沿って上下し、スティック状化粧組成物を出没させることができる請求項1に記載のスティック化粧品。
  3. 前記保護線条が、縦線状である請求項1または2の何れか1項に記載のスティック化粧品。
  4. 前記保護線条が、弾性部材で形成されたものである請求項1〜3の何れか1項に記載のスティック化粧品。
  5. 外筒、スリーブ及びスティック状化粧組成物を載置した内皿を有し、内皿がスリーブに沿って上下し、スティック状化粧組成物を出没させることのできるスティック化粧品において、前記スティック状化粧組成物が直接内皿に接することを防ぐ手段が設けられていることを特徴とするスティック化粧品。
  6. 前記スティック状化粧組成物が直接内皿に接することを防ぐ手段が前記スティック状化粧組成物と内皿の載置部との間に敷設された緩衝シートであることを特徴とする請求項5に記載のスティック化粧品。
  7. 前記緩衝シートが、弾性部材で形成されたものである請求項6に記載のスティック化粧品。
  8. 前記緩衝シートの形状が、多角形形状の中心部から帯状片が伸び出した形状であり、多角形は、内皿の円周よりも小さいものである請求項6または7何れか1項に記載のスティック化粧品。
  9. 外筒、スリーブ及びスティック状化粧組成物を載置した内皿を有し、内皿がスリーブに沿って上下し、スティック状化粧組成物を出没させることのできるスティック化粧品において、前記スリーブ内側に保護線条を設け、前記内皿の当該保護線条に対応する部分に切り込み部を設けることによって前記スティック状化粧組成物が直接スリーブに接することを防ぐとともに、前記スティック状化粧組成物が直接内皿に接することを防ぐ手段が設けられていることを特徴とするスティック化粧品。
  10. 前記スリーブ上部の内側に、リング状の保護部材を設けたことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のスティック化粧品。
  11. スティック状化粧組成物を載置した内皿が、先ずスティック状化粧組成物を成形し、その後これを内皿に嵌入したものであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のスティック化粧品。
  12. スティック状化粧組成物が、パウダースティックであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のスティック化粧品。
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