JP4271596B2 - 鋳型用砂、鋳型および鋳型砂再生装置 - Google Patents
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しかし、高耐火度と低熱膨張が必要となるため、SiO2含有量が90〜99%で粒形の丸い鋳型砂が必要とされるが、国内では入手が容易ではなく、海外から輸入するケースが増加してきている。
近来、特に環境問題が大きく注目され、これまで使用した鋳物砂の廃棄が更に困難になってきている。従って、使用した砂をできるだけ回収して再利用する事を前提として砂の選定が検討されている。
天然の珪砂を使用した場合の回収・再生率は約95%であり、5‰が廃棄物として発生するが、最近では更に回収率を98%以上にする要求に応えるために、回収率の高い人工砂が注目されその適用が拡大しつつある。
例えば、粗目の砂を鋳型に使用する特許はいくつか出願されており、代表的なものに特許文献1や特許文献2がある。また、ニッケル鉱滓から製作した人工砂の特許として、特許文献3や特許文献4ならびに特許文献5が提案されており、粒度分布が30μm(約400メッシュ)〜850μm(約20メッシュ)と細かい粒度分布の砂が対象となっている。
例えばAl2O3を主成分とするムライト系の人工砂では、高耐火度で低熱膨張及び耐破砕性に優れてはいるが、焼結法により製造される過程で細粒のものから粗粒のものまで発生するため、鋳物用に適用できない粗粒の人工砂は別の用途に振り向けざるを得ない。従って、鋳物用の細粒の人工砂の価格が高く、ユーザーも積極的に適用できないのが実情である。
また、2MgO・SiO2を主成分とするフォルステライト系の人工砂では、フェロニッケルの製錬時に発生する副産物の溶融鉱滓を風砕して製造されるため、鋳物用の細粒の人工砂は全体に約10%以下でその殆どは別の用途に振り向けざるを得ないため安価ではあるが安定供給が困難である。これらについては、別の安定な用途として建築や道路の充填材等が考えられるが、要求される品質と価格が鋳物砂と異なるためその適用は容易でない。
また、特許文献1や特許文献2に示される人工砂は、何れも肌砂ではなく鋳肌の品質に直接影響しない裏砂に使用されているにすぎない。
(1)粗粒の人工砂の内、比較的細目の砂と高濃度の塗型とを併用して鋳型表層の砂粒間隙を塗型の耐火物で充填することにより従来の細粒の肌砂と同等の機能を持たせる。
(2)粗粒の人工砂と細粒の天然珪砂やムライト砂及び高濃度の塗型材とを併用して、鋳型表層の砂粒間隙を細かい珪砂と塗型耐火物で充填することにより従来の細粒の肌砂と同等の機能を持たせる。
表1に鋳型用珪砂の日本工業規格JISG5901−1974を示す。
塗型材の濃度についてはその種類にもよるが、例えばアルミナ系のアルコール塗型の場合はブッカケ用塗型材で25〜35ボーメ、ハケ塗り塗型材では40〜60ボーメで適用するのが望ましい。
このときに細粒砂の比率は、人工砂に対し、質量%で50〜90%が好ましい。より好ましくは50〜70%である。上記比率が50%未満であると、塗型材によっても砂粒間隙を充填することが困難になる。一方、90%を超えると、細粒砂100%と同程度のコストとなり、コストダウンの効果がない。
(1)人工砂製造時に大量に発生する大径の粗粒砂は、これまでその用途が限られていて、鋳物用の小径の人工砂の供給が制限されていたが、本発明により、著しくこれらを改善できる。
(2)本発明により、樹脂粘結剤の使用量が大きく低減されるため、鋳物製造コストが大幅に低減できる。
(3)本発明により、低膨張の人工砂の適用が拡大されるため、製品での焼着欠陥が減少し製造コストが大幅に低減できる。
(4)本発明により、使用砂の廃棄量が著しく低減できるため、環境改善に貢献できる。
肌砂として、2MgO・SiO2を主成分とするフォルステライト系の人工砂またはAl2O3を主成分とするムライト系の人工砂を用意する。ただし、この実施形態では、人工砂の粒度構成は、JISG5901−1974に規定された粒度の10号〜20号未満に該当するものとする。また、人工砂の他に、JISG5901−1974に規定された粒度の48号〜200号に該当する細粒砂を用意し、上記人工砂と細粒砂とを混合して肌砂とする。なお、この際に、細粒砂の混合比率は人工砂に対し、質量%で50〜90%とする。この肌砂は、前記実施形態と同様に裏砂とともに砂型を構成するために用いられる。この砂型においても前記と同様に、表面に表層の砂粒間隙を充填する塗型材を塗布する。塗型材の種別は前記と同様のものでよい。これにより鋳型が得られ、表面性状の良好な鋳造物を製造することができる。
次に、上記で示した混合砂で肌砂を構成した鋳型砂を再生する装置について説明する。
鋳型の終了によって回収された鋳型砂は、篩分装置1に収容され、JISG5901−1974に規定された粒度の10号〜20号未満に該当する粗目粒と、JISG5901−1974に規定された粒度の48号〜200号に該当する細目粒とに分離する。分離した砂は、それぞれ異なる細目粒タンク2、粗粒タンク3に収容する。タンク2、3には、それぞれ単位時間当たりで所定量の砂を切り出すことができる切り出し装置2a、3aを備えている。該切り出し装置2a、3aの下流側に移送装置としての計量ベルトコンベヤ4が配置され、計量ベルトコンベヤ4の下流側には粒径の異なる砂と粘結剤とを混合するためのミキサ5が配置されている。
この装置によれば、粒径の異なる細目砂と粗目砂がそれぞれ異なるタンク2、3に収容されるので、必要に応じてそれぞれのタンクから所定量の砂を切り出して移送、混合することで所望の比率で粗目砂と細目砂が混合された再生砂が確実かつ効率よく得られる。この再生砂は、鋳型用の砂として繰り返し使用することができる。
以下に本発明の実施例を説明する。
以上の結果から、人工砂への天然珪砂の混合は50%以上が適切と考えられる。従って、鋳型用砂の約50%に粗目の人工砂を有効利用でき、樹脂添加量も20%以上低減できることから、コストと環境の改善に大きく役立つものと考えられる。
2 細粒砂タンク
2a 切り出し装置
3 粗粒砂タンク
3a 切り出し装置
4 コンベア
5 ミキサ
Claims (5)
- 鋳型の表層に使用する肌砂が、2MgO・SiO2を主成分とするニッケル鉱滓の溶融スラグを風砕して得られ、JISG5901−1974に規定された粒度の10号〜20号未満に該当する鋳型用人工砂と、JISG5901−1974に規定された粒度の48号〜200号に該当する細粒砂とが混合されたものであることを特徴とする鋳型用砂。
- 鋳型の表層に使用する肌砂が、Al2O3を主成分とするムライト系で、JISG5901−1974に規定された粒度の10号〜20号未満に該当する鋳型用人工砂と、JISG5901−1974に規定された粒度の48号〜200号に該当する細粒砂とが混合されたものであることを特徴とする鋳型用砂。
- 前記鋳型用人工砂に対し、細粒砂が50〜90%混合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鋳型用砂。
- 請求項1〜3のいずれかに記載された鋳型用砂を回収して篩い分けする篩分装置と、篩い分けした砂をそれぞれ収容する分離タンクと、該分離タンクからそれぞれ個別に所定量切り出す切り出し装置とを備えることを特徴とする鋳型用砂再生装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載された鋳型砂を肌砂とする砂型と該砂型の表層に砂粒間隙を充填する塗型材が塗布されていることを特徴とする鋳型。
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