JP4271489B2 - N−フェニルカルバゾール誘導体ポリマー、有機発光素子および、有機発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機発光材料、有機発光素子および有機発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、平面型ディスプレイパネル、携帯表示機等に適用される有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略称する場合がある)素子の研究開発が盛んに行われている。有機EL素子を用いた発光装置は、高輝度、低電圧駆動、フルカラーが可能である。
【0003】
しかも、有機EL素子から構成される発光装置は、自発光型であって視野角依存性がなく、高コントラストでバックライトが不要であり、応答速度が速く、成膜が容易であり、さらに全体が固体から構成されるため衝撃に強く、軽量で低価格の製品の提供が可能である。このように、有機発光装置は、液晶表示装置(LCD)とは異なる種々の優れた特徴を有している。
【0004】
有機EL素子は、たとえば、透明導電材よりなる下部電極と、薄膜状の有機発光層と、金属等よりなる上部電極とを含む積層体をガラス基板上に形成した構造を有し、その全体の厚さを数mm程度まで薄くすることが可能である。そして、下部電極と上部電極との間に直流電流を印加することによって有機発光層を発光させる。その光は下部電極およびガラス基板を透過して外部に出力される。
【0005】
有機EL素子は、電極からの電子や正孔のキャリアの注入により、作動時のみキャリア数を増加させて再結合により発光させるという、注入型電界発光素子である。
【0006】
有機EL素子の有機発光層に用いられる発光材料には、モノマー系材料とポリマー系材料とがある。モノマー系材料は、一般的に真空蒸着法により成膜され、ポリマー系材料は一般的にコーティング法により成膜される。コーティング法は、高価な装置を必要とせず、素子形成にとって経済的なメリットが大きい。
【0007】
ポリマー系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV、poly(para−phenylenevinylene))を使用した有機EL素子が知られている(たとえば特許文献1参照。)。このPPVまたはその誘導体を有機発光層の材料として用いた有機EL素子は緑からオレンジ色までの色を発光する。
【0008】
一方、現在まで知られた青色発光材料は他の色相の発光材料に比べて蛍光発光効率が劣る問題点があり、新たな青色発光材料の開発が必要とされている。
【0009】
現在までに知られた青色発光材料にはポリフルオレン誘導体が挙げられるが、キャリア輸送能やキャリア注入効率が低いために蛍光発光効率が劣る。しかし、側鎖または主鎖に窒素原子を含む分子構造、たとえばカルバゾールやトリフェニルアミンなどを修飾したポリフルオレンはキャリア輸送能やキャリア注入効率が改善され、輝度の向上が報告されている。
【0010】
ポリカルバゾール系発光材料に関しては、窒素原子を含有する複素環であるカルバゾールによりポリマー主鎖を形成しているポリマーとして、カルバゾールの3,6位で結合したポリ(3,6−カルバゾーリレン)が挙げられる(たとえば、非特許文献1,2参照。)。しかしながら、3,6位の結合位置ではポリマー主鎖に沿ってパイ電子共役が広がらず、十分な発光を得ていない。
【0011】
また、2,7位で結合したポリ(N−アルキル−2,7−カルバゾーリレン))誘導体(たとえば、特許文献2,3、非特許文献3,4参照。)は、ポリマー主鎖に沿ってパイ電子共役が広がっていると考えられるが、これを有機発光層に用いた有機EL素子では、キャリア輸送能やキャリア注入効率は優れているものの、最大輝度が400cd/m2以下であり、十分な発光が実現されていない。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−326675号公報(特許請求の範囲)
【0013】
【特許文献2】
米国特許出願公開第2002/0103332号公報(クレーム)
【0014】
【特許文献3】
米国特許出願公開第2003/0008172号公報(クレーム)
【0015】
【非特許文献1】
「シンソリッドフィルムズ」((Thin Solid Films),2000年03月01日,第363巻,p.118
【0016】
【非特許文献2】
「シンセチックメタルズ」(Synthetic Metals),1999年10月15日,第106巻,p.115
【0017】
【非特許文献3】
「マクロモレキュールズ」(Macromolecules),2001年07月03日,第34巻,p.4680
【0018】
【非特許文献4】
「アプライドフィジックスレターズ」(Applied Physics Letters),2002年01月21日,第80巻,p.341
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、蛍光発光効率が高く、高輝度の有機発光材料を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の態様によれば、構造式(1)や構造式(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーやコポリマーが提供される。
【0021】
【化5】
(構造式(1)において、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11は、各々独立に、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、置換基を有していてもよい脂環基、または置換基を有していてもよい芳香族基である。ただし、R7,R8,R9,R10,R11が同時に水素であることはない。)
【0022】
【化6】
(構造式(2)において、R1',R2',R3',R4',R5',R6',R7',R8',R9',R10',R11'は、各々独立に、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、置換基を有していてもよい脂環基、または置換基を有していてもよい芳香族基である。ただし、R7',R8',R9',R10',R11'が同時に水素であることはない。Arは、置換基を有していてもよい芳香族基である。mとnとは、各々独立に、1以上の整数である。)
これらのポリマーやコポリマーは、有機EL素子に代表される有機発光素子における有機発光材料として好適に使用することができ、単独層として、有機発光層を形成することができる。
【0023】
また、このような有機発光素子は、たとえば、有機ELディスプレイ(有機LED(Light Emitting Display)と呼ばれることもある。)に代表される有機発光装置のために好適に使用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図、表、式、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、表、式、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0025】
上記構造式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーやコポリマーが、蛍光発光効率が高く、高輝度の有機発光材料となることが判明した。構造式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーやコポリマーは、それぞれが単独でも混合物の状態でもよく、また、両者の混合物でもよい。なお、ポリマーやコポリマー中の繰り返し単位の数には、特に制限はないが、2〜20程度が好ましい。
【0026】
恐らく、カルバゾール基の2,7位で選択的に結合させたため、十分にパイ電子共役が広がったことと、安定な共役構造である芳香族基をカルバゾール基のN位に導入させたこととによるものと思われる。
【0027】
なお、本発明において芳香族基と言う場合、明示しない限り、アリール基、非ベンゼノイド芳香族基、複素環式芳香族基も含まれる。
【0028】
上記構造式(1)において、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11は、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、置換基を有していてもよい脂環基、または置換基を有していてもよい芳香族基から各々独立に選択することができる。なお、芳香族基による共役構造の十分な広がりを確保するには、R7,R8,R9,R10,R11が同時に水素でないことが重要である。R7,R8,R9,R10,R11は、少なくとも一つが、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状のアルコキシ基または、置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
【0029】
置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状のアルキル基としては、炭素数1〜60のアルキル基を挙げることができる。オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルへキシル基等が好ましい。
【0030】
置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状のアルケニル基としては、炭素数2〜20のアルケニル基を挙げることができる。エテニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が好ましい。
【0031】
置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状のアルコキシ基としては、炭素数1〜60のアルコキシ基を挙げることができる。オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ基等が好ましい。
【0032】
置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状のアルキルシリル基としては、炭素数1〜20のアルキルシリル基を挙げることができる。メチルシシル基、プロピルシリル基、オクチルシリル基等が好ましい。
【0033】
置換基を有していてもよい脂環基としては、炭素数3〜12の脂環基を挙げることができる。シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が好ましい。
【0034】
また、置換基を有していてもよい芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレン基、ペリレン基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、フルオレニル基等を挙げることができる。
【0035】
上記構造式(2)のR1',R2',R3',R4',R5',R6',R7',R8',R9',R10',R11'については、それぞれ、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11に対応させて、上記と同様に考えることができる。
【0036】
なおArについて、置換基を有していてもよい芳香族基としては、上記の置換基を有していてもよい芳香族基を2価にしたものを挙げることができる。ビフェニレンを好ましい例として挙げることができる。
【0037】
mとnとは、N−フェニルカルバゾール誘導体コポリマー中の繰り返し単位中の組成比を表し、各々独立に、1以上の整数である。ただし、このmとnとは、N−フェニルカルバゾール誘導体コポリマー中の平均値を表すため、整数ではなく、実数を意味する。
【0038】
これらのN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーやコポリマーは、有機発光素子における有機発光材料として、好適に使用される。たとえば、有機EL素子における発光層を形成することができる。
【0039】
有機EL素子は、正極と負極との間に有機発光層や、正孔輸送層、電位輸送層等の他の層を積層してなるが、この有機発光層に本発明に係るN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーやコポリマーを使用すると、蛍光発光効率が高く、高輝度の有機EL素子やそれを用いた有機発光装置を形成することができる。特に青色発光の場合に好適に使用できる。
【0040】
なお、これらのN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーやコポリマーは、単独で発光層を形成できるが、ゲストとして、ホストとともに用いることもできる。
【0041】
ゲストとして用いる場合におけるホストとしては、ポリビニルカルバゾール、ターシャリブチルフェニルオキサジアゾール類を挙げることができる。
【0042】
本発明に係る有機EL素子の断面構造を例示すると図2のようになる。図2は、正極/正孔注入層/有機発光層/負極の構成例である。図2において、有機EL素子はガラス製の基板1上にITOよりなる正極2、正孔注入層3、有機発光層4、金属よりなる負極6が積層されている。このような構成において、有機発光層4に使用する有機発光材料を変えることにより、赤の発光、緑の発光、青の発光等が実現される。
【0043】
本発明に係る有機EL素子は、その他の構成を取ることもできる。たとえば、正極と負極との間に正孔注入層,正孔輸送層,有機発光層,電子輸送層,電子注入層等を挟んだ構成を有することもできる。また、正孔注入層,正孔輸送層,電子輸送層,電子注入層が存在しない場合もある。他の層を含んでいてもよい。一つの層で複数の機能を受け持ってもよい。通常、ガラス等からなる透明基板の上に上記積層体を構成する。本発明に係る有機EL素子にはこの透明基板を含めることもできる。
【0044】
層の構成例を示すと次のようなものを挙げることができる。
【0045】
・正極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/負極
・正極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/負極
・正極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/負極
・正極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/負極
・正極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層兼電子輸送層/電子注入層/負極
・正極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層兼電子輸送層/負極
・正極/正孔輸送層/有機発光層兼電子輸送層/電子注入層/負極
・正極/正孔輸送層/有機発光層兼電子輸送層/負極
・正極/正孔注入層/正孔輸送層兼有機発光層/電子輸送層/電子注入層/負極
・正極/正孔注入層/正孔輸送層兼有機発光層/電子輸送層/負極
・正極/正孔輸送層兼有機発光層/電子輸送層/電子注入層/負極
・正極/正孔輸送層兼有機発光層/電子輸送層/負極
・正極/正孔輸送層兼電子輸送層兼有機発光層/負極
また、各層に使用する材料と各層の膜厚とを例示すると次のようになる。
【0046】
・正極
正極の材料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、たとえば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも仕事関数が4eV以上の材料が好ましい。
【0047】
正極の材料の具体例としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IDIXO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、これらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性金属酸化物が好ましく、生産性、高伝導性、透明性などの観点からはITOが特に好ましい。
【0048】
正極の厚みとしては特に制限はなく、材料等により適宜選択可能であるが、1〜5000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
【0049】
正極は、通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス、透明樹脂等の基板上に形成される。基板としてガラスを用いる場合、ガラスからの溶出イオンを少なくする観点からは、無アルカリガラス、シリカ、バリアコートを施したソーダライムガラスが好ましい。
【0050】
基板の厚みとしては、機械的強度を保つのに充分な厚みであれぱ特に制限はないが、基材としてガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上であり、0.7mm以上が好ましい。
【0051】
・正孔注入層
正孔注入層の材料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
正孔注入層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、たとえば1〜500nm程度が好ましく、10〜100nmがより好ましい。
【0053】
・正孔輸送層
正孔輸送層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、たとえば、芳香族アミン化合物、カルバゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、スチリルアミン、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマーおよびポリマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマーおよびポリマー、カーボン膜などが挙げられる。なお、これらの正孔輸送層の材料を発光層の材料と混合して製膜すると正孔輸送層兼発光層を形成することができる。
【0054】
これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、芳香族アミン化合物が好ましい。
【0055】
正孔輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常1〜500nmであり、10〜100nmが好ましい。
【0056】
・電子輸送層
電子輸送層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)などのヒドロキシキノリン錯体、BAlqなどのヒドロキシキノリン−オキシアリール錯体、オキサジアゾール化合物、トリアゾール化合物、フェナントロリン化合物、ペリレン化合物、ピリジン化合物、ピリミジン化合物、キノキサリン化合物、ジフェニルキノン化合物、ニトロ置換フルオレン化合物などが挙げられる。なお、これらの電子輸送層の材料を発光層の材料と混合して製膜すると発光層兼電子輸送層を形成することができ、更に正孔輸送層の材料も混合させて製膜すると正孔輸送層兼発光層兼電子輸送層を形成することができる。
【0057】
電子輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、通常1〜500nm程度であり、10〜50nmが好ましい。
【0058】
・電子注入層
電子注入層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、フッ化リチウムなどのアルカリ金属フッ化物、フッ化ストロンチウムなどのアルカリ土類金属フッ化物等を好適に使用できる。電子注入層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、通常0.1〜10nm程度であり、0.5〜2nmが好ましい。
【0059】
・負極
負極の材料としては、特に制限はなく、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層や分子との密着性、イオン化ポテンシャル、安定性等に応じて適宜選択することができ、たとえば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。
【0060】
負極の材料の具体例としては、アルカリ金属(たとえば、Li,Na,K,Csなど)、アルカリ土類金属(たとえばMg,Caなど)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、これらの合金などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、仕事関数が4eV以下の材料が好ましく、アルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属などがより好ましい。
【0061】
負極の厚みとしては、特に制限はなく、負極の材料等に応じて適宜選択することができるが、1〜10000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
【0062】
【実施例】
次に本発明の実施例を詳述する。
【0063】
【実施例1】
(ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン)の合成)
図6の反応式(1)に示される経路によりポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン)を合成した。
【0064】
(1)1−ブロモ−4−ドデシルオキシベンゼン(化合物1)の合成
三つ口フラスコにジムロート冷却管、マグネティックスターラーを装着し、フラスコに100mmoL(17.30g)の4−ブロモフェノール、150mmoL(20.73g)の炭酸カリウムを加え、ロータリーポンプを用いて減圧し、系内をアルゴンで置換した。
【0065】
このアルゴン雰囲気下において、ジメチルホルムアミド(DMF)150mLを加え、完全溶解を確認した後、100mmoL(24.92g)の1−ブロモドデカンを加えた。溶解後、反応液を90℃において2日間撹拌した。
【0066】
反応液を濾過し、炭酸カリウムを除去した後、水を加え、生成物をジクロロメタンにより水層から抽出した。得られた有機層を濃縮後、ジクロロメタンを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、1−ブロモ−4−ドデシルオキシベンゼン(化合物1)の黄色油状物、19.45g(収率57%)を得た。物性は次のようであった。
【0067】
・IR(cm-1)
2919,2848((C-H,methylene),1591,1474((ring,phenyl),1240((C-O-C),822((C-H,phenyl)
・1H−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=0.88(3H,CH3),1.26−1.77(20H,CH2,methylene),3.90(2H,CH2−O),6.76,7.35(4H,phenyl)
・13C−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=14.5(CH3),23.1,26.4,29.6,29.77,29.79,29.98,30.01,30.05,30.08,32.3(CH2),68.7(CH2−O),113.0(C−Br),116.7,132.6(phenyl),158.7(C−O,phenyl)
(2)4,4’−ジクロロ−2−ニトロビフェニル(化合物2)の合成
三つ口フラスコにジムロート冷却管、マグネティックスターラーを装着し、フラスコに30mmoL(7.09g)の2−ブロモ−4−クロロニトロベンゼン、30mmoL(4.69g)の4−クロロフェニルボロン酸を加え、ロータリーポンプを用いて減圧し、系内をアルゴンで置換した。
【0068】
アルゴン雰囲気下の原料に、ベンゼン40mLを加え、完全溶解を確認した後、ベルジャー内でアスピレーターにより減圧し、脱気した2moL/Lの炭酸カリウム水溶液60mLを加えた。10分間撹拌した後、0.15mmoL(0.17g)のテトラキス(トリフェニルフホスフィン)パラジウム(0)を加え、80℃において一晩撹拌した。
【0069】
反応終了後、反応液に水を加え、生成物をジエチルエーテルにより水層から抽出した。得られた有機層を濃縮後、メタノールより再結晶することで4,4’−ジクロロ−2−ニトロビフェニル(化合物2)の黄色結晶5.87g(収率73%)を得た。物性は次のようであった。
【0070】
・IR(cm-1)
3093((C-H,phenyl),1519((N=O),1246((C-O-C),818((C-H,phenyl)
・1H−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=7.22,7.39,7.40,7.61,7.88(7H,phenyl)
・13C−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=124.8,129.5,129.6,133.0,133.3,134.1,134.8,135.2,135.3(phenyl)149.6(C−NO2,phenyl)
(3)2,7−ジクロロカルバゾール(化合物3)の合成
シュレンク型フラスコにジムロート冷却管、マグネティックスターラーを装着し、フラスコに10mmoL(2.86g)の4,4’−ジクロロ−2−ニトロビフェニル(化合物2)を加え、ロータリーポンプを用いて減圧し、系内をアルゴンで置換した。
【0071】
このアルゴン雰囲気下において、約100mmoL(16g)の亜リン酸トリエチルを加えた。155℃まで昇温した後、反応系を密閉し3日間撹拌した。反応液をロータリーポンプにより減圧して、亜リン酸トリエチルを除去し、水を加え、生成物をジエチルエーテルにより水層から抽出した。
【0072】
得られた有機層を濃縮後、ジクロロメタンを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、2,7−ジクロロカルバゾール(化合物3)の黄色の固体2.19g(収率93%)を得た。物性は次のようであった。
【0073】
・IR(cm-1)
3416((N-H),1605,1428((ring,carbazole),1246((C-O-C),805((C-H,carbazole)
・1H−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=7.23,7.57,8.08,8.10(6H,carbazole)
・13C−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=109.6,111.3,111.4,120.0,120.1,121.6,121.7,121.8,121.9,131.5,141.3,141.4(phenyl)
(4)2,7−ジクロロ−N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバゾール(化合物4)の合成
50mLシュレンク型フラスコにジムロート冷却管、マグネティックスターラーを装着し、フラスコに3mmoL(1.02g)の1−ブロモ−4−ドデシルオキシベンゼン(化合物1)、3mmoL(0.71g)の2,7−ジクロロカルバゾール(化合物3)、0.03mmoL(0.006g)のよう化銅、6.3mmoL(1.34g)のリン酸三カリウムを加え、ロータリーポンプを用いて減圧し、系内をアルゴンで置換した。
【0074】
このアルゴン雰囲気下において、ジオキサン3mLを加え、完全溶解を確認した後、0.3mmoL(0.22g)の1,2−シクロヘキサンジアミン、0.6mmoL(0.10g)のドデカンを加えた。溶解後、反応系を密閉し、110℃において1日間撹拌した。反応液を濾過し、リン酸三カリウムを除去した後、水を加え、生成物をジエチルエーテルにより水層から抽出した。
【0075】
得られた有機層を濃縮後、ジクロロメタンを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、2,7−ジクロロ−N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバゾール(化合物4)の白色固体1.41g(収率95%)を得た。物性は次のようであった。
【0076】
・IR(cm-1)
2925,2853((C-H,methylene),1593,1455((ring,carbazole,phenyl),1425((C-O-C),834((C-H,phenyl),795((C-H,carbazole)
・1H−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=0.88(3H,CH3,methylene),1.26−1.87(20H,CH2,methylene),3.89(2H,CH2−O),6.75−7.97(10H,carbazole,phenyl)
・13C−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=14.6(CH3),23.1,26.4,29.6,29.7,29.8,30.02,30.08,30.11,30.13,32.4(CHd2),68.9(CH2−O),110.5,116.3,121.6,128.9,142.7,158.7(carbazole),113.0,116.7,132.2,158.7(phenyl)
(5)ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン)(ポリマー5)の合成
50mLシュレンク型フラスコにマグネティックスターラーを装着し、アルゴン雰囲気下で4mLのジメチルホルムアミド、2.4mmoL(0.37g)の2,2'−ビピリジン、2.4mmoL(0.66g)のビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)を加え撹拌し、触媒溶液とした。
【0077】
別のアルゴン雰囲気下のシュレンク型フラスコ中で、1mmoL(0.50g)の2,7−ジクロロ−N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバゾール(化合物4)を5mLのテトラヒドロフランに溶解させ、重合用溶液とした。
【0078】
この重合用溶液を、注射器を用いて触媒溶液に滴下し、滴下終了後、ジムロート冷却管を装着し70℃において3日間還流した。反応時間終了後、2規定に希釈した塩酸−メタノール溶液1000mLを撹拌し、その中に反応溶液を滴下することで重合を停止した。
【0079】
この混合液を24時間撹拌し続けることでポリマーの洗浄を行った。沈殿物をガラスフィルターで濾過した後、沈殿物を極少量のクロロホルムに溶解させ、ポリマーの洗浄操作を再度行った。沈殿物を濾過した後、アセトンを溶媒としたソックスレー抽出を1日間行い、ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバゾーリレン)(ポリマー5)の緑色固体0.33g(収率68%)を得た。物性は次のようであった。なお、ポリマー中の本発明にかかる繰り返し単位の数は、14.0であった。
【0080】
・IR(cm-1)
2923,2852((C-H,methylene),1603,1514,1453((ring,carbazole,phenyl),1244((C-O-C),831((C-H,phenyl),798((C-H,carbazole)
・1H−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=0.88(3H,CH3,methylene),1.27−1.85(20H,CH2,methylene),4.05(2H,CH2−O),6.93−8.13(10H,carbazole,phenyl)
・13C−NMR(CDCl3,ppm,TMS)
(=14.6(CH3),23.1,26.5,29.8,29.87,29.93,30.11,30.14,32.4(CH2),68.8(CH2−O),109.1,120.9,122.5,128.9,140.7,142.9,158.7(carbazole),115.2,116.1,130.3,159.0(phenyl)
ポリマー5をクロロホルムに溶解した状態の蛍光スペクトル(励起波長286nm)を図1の破線で、クロロホルムを除去した後の膜状態での蛍光スペクトル(励起波長364nm)を図1の実線で示す。すなわち、膜状態のポリマー5は430〜500nmの範囲で発光可能であることが理解される。
【0081】
クロロホルムに溶解した状態でのポリマー5の蛍光量子収率は約1.0であった。これは、9,10−ジフェニルアントラセンのエタノール溶液を標準サンプルとして比較し算出したものである。
【0082】
【実施例2】
(ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン)(ポリマー5)を有機発光層に用いた有機EL素子の作製)
図2は、有機EL素子を示す断面図である。本実施例では、図2に従って、ガラス(透明)基板1上に下部電極(陽極)2としてITO(インジウム錫酸化物)膜を200nmの厚さにスパッタ法により形成した。ITO膜は、表面を清浄にするために、あらかじめ、その表面を酸素またはオゾンプラズマ等に曝してもよい。
【0083】
次に、図2に示す正孔注入層3として、ポリ(エチレンジオキシドチオフェン)/ポリスルフォン酸を、スピンコーティング法により下部電極2上に100nmの厚さに形成した。
【0084】
次に、有機発光層4としてポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン)(ポリマー5)をスピンコーティング法により正孔注入層3上に100nmの厚さに形成した。ポリマー5をスピンコートするためには、そのポリマーを溶媒、たとえばトルエンに常温で溶解して溶液を作成し、その溶液を正孔注入層3上に塗布した後に、溶媒を乾燥により除去する。乾燥の温度は、溶媒の気化温度以上であって、150℃以下であり、150℃で乾燥する場合には、約30分の乾燥時間とする。より好ましい乾燥条件は、温度90℃で乾燥時間60分である。これにより、正孔注入層3上に残ったポリマー5は図2に示すように有機発光層4として使用される。
【0085】
次に、図2に示すように、上部電極(陰極)5としてカルシウムおよびアルミニウムを有機発光層4上に蒸着法により300nmの厚さに形成した。なお、上部電極5を蒸着する際に、蒸着源と基板との間にメタルマスクを置くことによって上部電極5をパターニングしながら成長してもよい。
【0086】
以上のような工程によって形成された有機EL素子において、下部電極2を正側に、上部電極5を負側にして電圧を印加して電流を流すと、発光素子から緑の光が発光し、その光は下部電極2およびガラス基板1を透過して外に出射された。
【0087】
なお、上記した有機EL素子では、ガラス基板側から光を出力するような構造となっているが、電極の構成を逆にして上側に光透過導電膜を形成して、上側から光を出力するようにしてもよい。また、上記した有機EL素子では、有機発光層を直に一対の電極により挟んだ構造を示したが、有機発光層と負側電極の間に有機物の電子伝送層を形成するか、有機発光層と正側電極の間に有機物よりなる正孔伝送層を形成してもよい。
【0088】
上記したポリマー5を使用した有機EL素子のELスペクトルを、図3の実線で示す。すなわち、この有機EL素子は430〜500nmの範囲で発光可能であることが理解できる。
【0089】
上記したポリマー5を使用した有機EL素子の電圧−輝度特性は図4の実線で示す。このときの電圧−電流密度特性を図4の破線で示す。これらの図より、この有機EL素子は駆動開始電圧が約4V、最高輝度が2200cd/m2であることが理解できる。また電圧−電流密度特性より、キャリア輸送能が高いことが理解できる。
【0090】
【実施例3】
(ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン−1,4−ビフェニレン)の合成)
図7の反応式(2)に示される経路によりポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン−1,4−ビフェニレン)を合成した。
【0091】
(1)4,4’−ビフェニレンビス(ボロン酸プロパンジオールエステル)(化合物6)の合成
三つ口フラスコにジムロート冷却管、マグネティックスターラーを装着し、フラスコに110mmoL(2.67g)のマグネシウムを加え、ロータリーポンプを用いて減圧し、系内をアルゴンで置換した。
【0092】
この系を熱し、十分に乾燥した後、テトラヒドロフラン100mLを加えた。これに50mmoL(15.6g)の4,4’−ジブロモビフェニルを加え、70℃において一晩還流し、グリニャール試薬を作製した。
【0093】
別の三つ口フラスコに、テトラヒドロフラン100mL、200mmoL(8.28g)のトリメトキシボランを加え、溶解させた。この溶液を−78℃下で撹拌し、十分に冷却した。
【0094】
グリニャール試薬を室温に戻した後、これを注射器により採取し、トリメトキシボラン混合溶液に加えた。この反応液を、室温に戻しながら一晩撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し2規定の塩酸を200mL加え、室温において一晩撹拌した。
【0095】
懸濁した反応液をガラスフィルターにより濾過し、濾過残留物を回収した。この固体をナスフラスコに入れ、これにトルエン200mL、および120mmoL(9.13g)の1,3−プロパンジオールを加えた。この反応液を100℃において一晩還流した。
【0096】
反応終了後、反応液を濃縮し、エタノールを加え、再結晶を行い、4,4’−ビフェニレンビス(ボロン酸プロパンジオールエステル)(化合物6)の白色結晶9.50g(収率59%)を得た。物性は次のようであった。
【0097】
・IR(cm-1);2952,2892((C-H,methylene),1609,1481((ring,carbazole,phenyl),1311((B-O-C),822((C-H,phenyl)
(2)ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン−1,4−ビフェニレン)(コポリマー7)の合成
シュレンク型フラスコにマグネティックスターラーを装着し、0.5mmoL(0.16g)の4,4’−ビフェニレンビス(ボロン酸プロパンジオールエステル)(化合物6)、0.5mmoL(0.25g)の2,7−ジクロロ−N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバゾール(化合物4)、5mmoL(0.53g)の炭酸ナトリウムを加え、ロータリーポンプを用いて減圧し、系内をアルゴンで置換した。
【0098】
その後テトラヒドロフラン10mLおよび水5mL中を加え、0.03mmoL(0.04g)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え、ジムロート冷却管を装着し、60℃で3日間撹拌した。
【0099】
反応時間終了後、2規定に希釈した塩酸−メタノール溶液1000mLを撹拌し、その中に反応溶液を滴下することで重合を停止した。その混合液を24時間撹拌し続けることでコポリマーの洗浄を行った。
【0100】
沈殿物をガラスフィルターで濾過した後、沈殿物を極少量のクロロホルムに溶解させ、コポリマーの洗浄操作を再度行った。沈殿物を濾過した後、アセトンを溶媒としたソックスレー抽出を1日間行い、ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン−1,4−ビフェニレン)(コポリマー7)の緑色固体0.11g(収率40%)を得た。物性は次のようであった。なお、ポリマー中の本発明にかかる繰り返し単位の数は、5.8であった。
【0101】
・IR(cm-1)
2923,2851((C-H,methylene),1603,1515,1458((ring,carbazole,phenyl),1273((C-O-C),804((C-H,carbazole,phenyl)
コポリマー7をクロロホルムに溶解した状態の蛍光スペクトル(励起波長284nm)を図5の破線で示す。クロロホルムを除去した後の膜状態での蛍光スペクトル(励起波長363nm)は図5の実線で示してある。この図から、膜状態のコポリマー7は350〜450nmの範囲で発光可能であることが理解できる。
【0102】
クロロホルムに溶解した状態でのコポリマー7の蛍光量子収率は約1.0であった。これは9,10−ジフェニルアントラセンのエタノール溶液を標準サンプルとして比較し算出したものである。
【0103】
以上述べたように、反応式(1),(2)で示されるポリマーやコポリマーは高い蛍光発光効率を示した。また、これらのポリマーやコポリマーを有機発光層として用いた有機EL素子は電流密度が高く、またこれまでに知られているポリカルバゾールに比べ5倍以上の輝度を示した。
【0104】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0105】
(付記1) 構造式(1)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマー。(1)
【0106】
【化7】
(構造式(1)において、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11は、各々独立に、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、置換基を有していてもよい脂環基、または置換基を有していてもよい芳香族基である。ただし、R7,R8,R9,R10,R11が同時に水素であることはない。)
【0107】
(付記2) 構造式(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体系コポリマー。(2)
【0108】
【化8】
(構造式(2)において、R1',R2',R3',R4',R5',R6',R7',R8',R9',R10',R11'は、各々独立に、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、置換基を有していてもよい脂環基、または置換基を有していてもよい芳香族基である。ただし、R7',R8',R9',R10',R11'が同時に水素であることはない。Arは、置換基を有していてもよい芳香族基である。mとnとは、各々独立に、1以上の整数である。)
【0109】
(付記3) 有機発光素子における有機発光材料として使用される、付記1に記載のN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマー。
【0110】
(付記4) 有機発光素子における有機発光材料として使用される、付記2に記載のN−フェニルカルバゾール誘導体コポリマー。
【0111】
(付記5) 正極と負極との間に有機発光層を有する有機発光素子において、当該有機発光層が、構造式(1)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーを有機発光材料として含有する有機発光素子。(3)
【0112】
【化9】
(構造式(1)において、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11は、各々独立に、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、置換基を有していてもよい脂環基、または置換基を有していてもよい芳香族基である。ただし、R7,R8,R9,R10,R11が同時に水素であることはない。)
【0113】
(付記6) 前記有機発光層が、構造式(1)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーの単独層である、付記5に記載の有機発光素子。
【0114】
(付記7) 正極と負極との間に有機発光層を有する有機発光素子において、当該有機発光層が、構造式(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体コポリマーを有機発光材料として含有する有機発光素子。(4)
【0115】
【化10】
(構造式(2)において、R1',R2',R3',R4',R5',R6',R7',R8',R9',R10',R11'は、各々独立に、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、置換基を有していてもよい、直鎖状または枝分かれ状の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、置換基を有していてもよい脂環基、または置換基を有していてもよい芳香族基である。ただし、R7',R8',R9',R10',R11'が同時に水素であることはない。Arは、置換基を有していてもよい芳香族基である。mとnとは、各々独立に、1以上の整数である。)
【0116】
(付記8) 前記有機発光層が、構造式(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体コポリマーの単独層である、付記7に記載の有機発光素子。
【0117】
(付記9) 付記5〜8のいずれかに記載の有機発光素子を用いた有機発光装置。(5)
【0118】
【発明の効果】
本発明により、蛍光発光効率が高く、高輝度の有機発光材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る有機発光材料の蛍光スペクトルを示す図である。
【図2】有機EL素子の断面図である。
【図3】本発明の実施例2に係る有機EL素子の電界発光スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の実施例2に係る有機EL素子の、電圧−輝度特性および電圧−電流密度特性を示す図である。
【図5】本発明の実施例3に係る有機発光材料の蛍光スペクトルを示す図である。
【図6】ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン)の合成経路を示す反応式である。
【図7】ポリ(N−(4−ドデシルオキシフェニル)−2,7−カルバゾーリレン−1,4−ビフェニレン)の合成経路を示す反応式である。
【符号の説明】
1 基板
2 下部電極
3 正孔注入層
4 有機発光層
5 上部電極
Claims (7)
- 構造式(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体系コポリマー。
- R 7 ,R 8 ,R 9 ,R 10 ,R 11 は、少なくとも一つが、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシまたは2−エチルヘキシルオキシ基である、請求項1に記載のN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマー。
- R 7' ,R 8' ,R 9' ,R 10' ,R 11' は、少なくとも一つが、オクチルオキシ、デシルオキ シ、ドデシルオキシまたは2−エチルヘキシルオキシ基である、請求項1に記載のN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマー。
- 正極と負極との間に有機発光層を有する有機発光素子において、
当該有機発光層が、構造式(1)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体ポリマーを有機発光材料として含有する有機発光素子。
- 正極と負極との間に有機発光層を有する有機発光素子において、
当該有機発光層が、構造式(2)で表される繰り返し単位を有するN−フェニルカルバゾール誘導体コポリマーを有機発光材料として含有する有機発光素子。
- 請求項5または6に記載の有機発光素子を用いた有機発光装置。
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