JP4270793B2 - パール調印刷物の印刷方法およびパール調印刷物 - Google Patents

パール調印刷物の印刷方法およびパール調印刷物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パール調印刷物の反りを低減または防止する方法、および当該方法により印刷されたパール調印刷物に関する。
本発明の利用分野は、商品券、株券、入場券、乗車券、チケット等の金券類、および証明書等の重要書類、およびキャッシュカード、クレジットカード、定期券、IDカード等のカード類等の分野において複写防止の目的のため、または包装材料、商業印刷物、書籍、刊行物の分野において意匠性の向上を目的として使用される。
【0002】
【従来技術】
パール顔料を含有する印刷インキはシルクスクリーン印刷用、あるいはグラビア印刷用インキとして従来から存在し、金券類やカード類の複写を防止して高い偽造防止効果が得られることと、高度の意匠性を付与できることから、従来よりこれら各種の印刷物に使用されている。
しかし、近年、製版作業や印刷速度の面で、一層の効率を高めることができ、汎用性もある凸版印刷、平版印刷でのパールインキの実用化が求められてきている。
【0003】
このパールインキの先行技術に、特開平7- 34021号「オフセット印刷インク」や特開2001−240786号「印刷用パールインキおよびパール調印刷物」がある。
特開平7- 34021号には、真珠光沢顔料を含有する平版印刷用インクが開示されていて、平版印刷の場合にはシルクスクリーン印刷やグラビア印刷の場合と比較して、原理的にインキ転移量が少ないことから一般的とされる平版印刷条件よりもインキ転移量を多くする方法や、複数回重ねて絵柄を印刷する方法でパール印刷絵柄の輝度を増加させる必要があることが述べられている。
【0004】
また、特開2001−240786号は、紫外線硬化性等の不飽和結合を有するバインダー成分を用いたパールインキ、を提案している。当該パールインキにより従来不可能であった、高速輪転オフセット印刷やプラスチックシートへの印刷が可能となるとのことである。
【0005】
平版印刷や凸版印刷の場合には、シルクスクリーン印刷やグラビア印刷の場合と比較して、原理的にインキ転移量が少ないことから、平版印刷や凸版印刷で一般的とされる印刷条件よりもインキ量を多くしてパール印刷絵柄の輝度を増加させる必要がある。また、絵柄としても視認性を向上させる目的から比較的面積の大きなベタ絵柄になる傾向がある。
【0006】
しかし、平版印刷や凸版印刷でパールインキ量を多くして上記のような絵柄を印刷した場合、基材に転移したインキの乾燥もしくは硬化に伴い、インキ樹脂分が収縮することに起因して基材の反りが大きくなる問題がある。
基材の反りが大きい場合には、印刷物の外観を損なうだけでなく、光学読み取りや磁気読み取りなどの機械処理が行われる場合に搬送不良等のトラブルの原因となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように本発明は、従来は多用されることのなかった、凸版印刷、平版印刷におけるパール印刷において、印刷物において生じる反りを低減すべく研究して完成したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第1は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて少なくとも絵柄の一部分が表面のパール印刷絵柄と重なるように平版もしくは凸版印刷により絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にあり、要旨の第2は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に同一絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にあり、要旨の第3は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にあり、要旨の第4は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にある。
【0009】
本発明の要旨の第は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて少なくとも絵柄の一部分が表面のパール印刷絵柄と重なるように平版もしくは凸版印刷により絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にあり、要旨の第6は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に同一絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にあり、要旨の第7は、 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にあり、要旨の第8は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法、にある。かかる印刷方法であるため、反りのないパール調印刷物が得られる。
【0010】
本発明の要旨の第9は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、少なくとも絵柄の一部分が表面パール印刷絵柄と重なるように紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで平版もしくは凸版印刷により絵柄印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にあり、要旨の第10は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで同一絵柄を印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にあり、要旨の第11は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にあり、要旨の第12は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にある。
【0011】
本発明の要旨の第13は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、少なくとも絵柄の一部分が表面パール印刷絵柄と重なるように紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで平版もしくは凸版印刷により絵柄印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にあり、要旨の第14は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで同一絵柄を印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にある。
【0012】
本発明の要旨の第15は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にあり、要旨の第16は、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物、にある。かかる印刷物であるため、反りのないパール調印刷物となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上述のように、平版印刷や凸版印刷でパールインキ量を多くして上記のような絵柄を印刷した場合、基材に転移したインキの乾燥もしくは硬化に伴い、インキ樹脂分が収縮することに起因して基材の反りが大きくなる。
図3は、基材と印刷したパールインキの断面を示す図である。
基材1にパールインキが印刷されると、パールインキ層2内で樹脂分の収縮が生じるので、インキ面を内側にして反り(カール)が生じる。
この現象はパールインキが酸化重合型、紫外線硬化型のいずれの場合にも発生するが、一般的に紫外線硬化型インキの方が硬化収縮の度合いが大きく顕著である。
【0014】
印刷による基材の反りを低減する方法として、図1のように、基材の反対側面にも印刷を設けることが考えられる。
図1は、基材とその片面に印刷したパールインキと反対側面の印刷層を示す断面図である。このようにパールインキ層2と反対側に反り低減用絵柄3を設けることにより基材1の反りが低減して平面性が保たれる。
その反対側面印刷を特定の条件で行うことで顕著な効果が得られたので、以下、順次説明する。
【0015】
パールインキ印刷を片面に行った場合に、反りの発生が予測される場合は、両面印刷を行う仕様で印刷設計する。その実施態様は次のようになる。
(1)平版もしくは凸版印刷によりパールインキ印刷をする表面部分の裏面に、少なくとも絵柄の一部分が表面のパール印刷絵柄と重なるように平版もしくは凸版印刷により反り低減用絵柄(以下および特許請求の範囲において、単に「絵柄」とも表現する。)3を印刷する。
この場合のパールインキは、紫外線硬化型インキ、あるいは酸化重合型インキが通常である。当該インキの場合の反りが顕著だからである。
また、この場合の裏面印刷のインキは、表面印刷と同様の紫外線硬化型インキ、あるいは酸化重合型インキとすることができる。これらの型のインキであれば表裏のバランスが取れて適正に反りが調整されるからである。
裏面印刷用のインキは無色透明であっても良く有色であっても良い。また、表面印刷と同様に、紫外線硬化型パールインキ、あるいは酸化重合型パールインキであっても良い。
【0016】
(2)平版もしくは凸版印刷によりパールインキ印刷をする表面部分の裏面に、表面パール印刷の絵柄と同一位置に同一絵柄を印刷する。この場合、表裏の絵柄を透かして見ると印刷絵柄が正しく重なる状態となる。
また、裏面絵柄を表面絵柄の実寸よりも太らせるか、もしくは拡大することができ、裏面絵柄を表面絵柄の実寸よりも細らせるか、もしくは縮小することもできる。太らせるか細らせる場合は、表裏の絵柄が相似形となることになる。
【0017】
(3)平版もしくは凸版印刷によりパールインキ印刷をする表面部分の裏面に、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を印刷する。この場合、表裏の絵柄を透かして見ると表面絵柄が裏面絵柄の中に納まる。
(4)平版もしくは凸版印刷によりパールインキ印刷をする表面部分の裏面に、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を印刷する。この場合、表裏の絵柄を透かして見ると裏面絵柄が表面絵柄の中に納まる。
この(3)、(4)の場合は相似形の絵柄である必要はなく、ぼぼ任意の絵柄であってよい。
【0018】
これら(2)、(3)、(4)の場合のパールインキは、(1)の場合と同様に紫外線硬化型インキ、あるいは酸化重合型インキが通常である。
また、これらの場合の裏面印刷のインキも、表面印刷と同様の紫外線硬化型インキ、あるいは酸化重合型インキとすることができる。
裏面印刷用のインキは無色透明であっても良く有色であっても良いこと、表面印刷と同様に、紫外線硬化型パールインキ、あるいは酸化重合型パールインキであっても良いことも(1)の場合と同様である。
【0019】
上述のように、基材の反りを低減させる手段は各種の方法が採用できるが、印刷物に要求される特性や設備的な条件から適用する方法を選ぶ必要がある。
例えば、裏面印刷にて微細な文字等を印刷する必要があり、かつ、同一の版を反り低減の目的としても印刷する必要がある場合は、微細な文字がつぶれないようにインキ量を一定レベル以下に抑制する必要があるが、このような場合には裏面印刷に硬化収縮の度合いが大きい紫外線硬化型インキの使用が有効である。
また、設備的条件で裏面印刷面に紫外線照射ができない場合に紫外線硬化型インキの使用ができないのは当然のことである。
【0020】
裏面印刷には、請求項2、請求項13記載の発明のように、表面のパール印刷絵柄と同一位置の裏面に同一絵柄の裏面印刷するのが最も有効であることが認められている。しかし、設備の見当精度などの問題から、当該手段を採用できない場合は、裏面絵柄を実寸よりも太らせるか拡大し、あるいは実寸よりも細らせるか縮小する手段を採用することができる。または、裏面絵柄が表面のパール印刷絵柄と異なる絵柄で、裏面絵柄が表面絵柄よりも大きいかあるいは反対に小さい絵柄を採用することもできる。太らせるか細らせるかは、0.2〜2mmの範囲であるが、上下左右均等に拡大または縮小するのが好ましい。
【0021】
金券類の印刷においては、裏面に使用上の注意等を示す文章が表示される場合があるが、この文章部分と反り低減絵柄を共存させることが意匠上困難な場合には、上記のように表面のパール印刷絵柄と同一位置の裏面に同一絵柄を印刷した中に、ネガ文字として文章の一部を配置することができる。
図2は、パール調印刷物の裏面の文章の一部をネガ文字とした例を示す図である。反り低減用絵柄3と文章4の文字を重ねて印刷することは版数が多くなるので無駄が多いが、重ならない部分は、ポジ文字4pで印刷し、重なる部分はネガ文字4nとすれば版数を増やさず結果的に文章4と反り低減用絵柄3が共存することになる。これにより文章全体が容易に判読できるようになる。
【0022】
ところで、このようなパールインキを用いた平版印刷、凸版印刷は、該印刷用途に開発されている各種のインキを選択して使用することができる。
パールインキを主としてインキの乾燥形態から分類すると、▲1▼紫外線硬化型インキ、▲2▼酸化重合型インキ、▲3▼蒸発乾燥型インキ、▲4▼浸透乾燥型インキ、▲5▼ヒートセット型インキ、に分類することができる。
それぞれ、以下のような特徴がある。
【0023】
(1)紫外線硬化型インキ
この型のインキは、電磁波の一種である紫外線を照射することで硬化するインキで、ビジネスフォーム、一般包装材、プリント基板、各種コーティング等に用いられる。熱を加えられない印刷体の乾燥に適する。多官能モノマーとアクリレートオリゴマーに増感剤が配合され、紫外線が照射されると増感剤がラジカルを形成してオリゴマー、モノマーの連鎖反応を起こす。顔料の紫外線吸収の差によって硬化速度に影響があり、増感剤の量、組み合わせを調整する必要がある、とされる。
【0024】
高速オフ輪印刷用の紫外線硬化型インキとして、特開2001−240786号公報は、「少なくとも、(a)一個以上の不飽和結合を有するモノマーもしくはオリゴマーの一種類以上からなるバインダー成分25〜95重量部、および(b)パール顔料5〜60重量部とを含む組成物からなることを特徴とする印刷用パールインキ。」を提案している。
当該出願の技術に基づき、オリゴエステル系アクリレートやポリオール系アクリレートをバインダーとする印刷インキにより十分なパール光沢と硬化皮膜を有する印刷物が得られている。当該インキは、紙、もしくはプラスチック等の任意の素材への印刷が可能である。
【0025】
この場合、印刷自体は通常の印刷と同様に行ない、印刷後、排出側に予め設置しておいた、電子線照射機もしくは紫外線照射機により、直ちに電子線もしくは紫外線を照射して、インキ塗膜を硬化させることにより、パール調印刷物を得ることができる。印刷後は、インキが硬化済みであるため、枚葉印刷機でプラスチックに印刷する場合も高速輪転機で紙もしくはプラスチックフィルムに印刷する場合であっても、印刷物を積み重ねたり、巻き取りしてもインキが貼り着くようなことはない。
【0026】
(2)酸化重合型インキ
この型のインキは、ビヒクルの酸化重合による固化、不溶化によって皮膜をつくるもので、乾性油ワニス・乾性アルキドなどを含むインキがこの部類に入る。一般平版インキ・凸版インキなどがその例である。平版インキ・凸版インキには若干の高沸点石油を含むいわゆるクイックセットインキもあるが、これらも最終的な乾燥は酸化重合によるものである。
この型のインキはオフセット印刷に適用できるが、枚葉印刷や比較的低速の輪転印刷に好適に用いられる。
【0027】
(3)蒸発乾燥型インキ
この型のインキは、ビヒクル中の溶剤の揮散によって固体樹脂が皮膜をつくるものでグラビア、フレキソおよびシルクスクリーンインキのある種のものがこれに該当する。常温で迅速に乾く特性がある。
本発明では、アルコール溶剤を使用するフレキソ紙印刷に好適に使用できる。
(4)浸透乾燥型インキ
この型のインキは、インキ中の低粘度成分が被印刷材料に浸透することにより、固着乾燥するインキをいい、紙に印刷されたインキは印圧により浸透し、また印刷後も徐々に浸透しセットする。この型のインキは印刷後ビヒクルの低粘度成分が紙中に浸透し、顔料は繊維間隙に固着成分などにより固定される。
したがって、多孔質で浸透性の大きい中質紙、ザラ紙などへの印刷に用いることが多い。
(5)ヒートセット型インキ
この型のインキは、加熱時に軟化し冷却時に固化するインキをいう。平版、凸版の比較的高速の印刷に用いられる。ビヒクルとしてワックス、植物油、鉱物油、石油系溶剤が用いられる。
この型のインキは配送伝票の感圧複写層の印刷等に使用されることが多い。
【0028】
パールインキは上記のような各種タイプのインキバインダー中に、微細なフレーク(薄片)の外側を、金属酸化物もしくは金属酸化物の混合物より被覆したものを使用する。微細なフレークとしては、雲母、タルク、カオリン、オキシ塩化ビスマス、あるいは、ガラスフレーク、SiO2 フレーク、もしくは合成セラミックのフレーク等があり、これらの微細なフレークの外側を被覆する金属酸化物の例としては、TiO2 、Fe2 3 、SnO2 、CrO3 、ZnOがある。
これらの組合せの中でも、雲母、ガラスフレーク、もしくはSiO2 フレークを、TiO2 被覆および/またはFe2 3 被覆されたものが好ましい。パール顔料の個々のフレークの大きさは、1〜100μmである。
【0029】
パール印刷に使用する被印刷基としては、印刷用に従来から使用されている上質紙、中質紙、OCR紙、MICR紙、ノーカーボン紙、感熱紙、塗工紙、各種プラスチックフィルム、プラスチックシート等を使用できる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
表面には紫外線硬化型のパールインキ(平版用)を使用し、裏面には、▲1▼市販の紫外線硬化型平版印刷用インキ(パールと非パール)と、▲2▼酸化重合型インキ(パールと非パール)を使用して印刷した。基材にはコート紙(64g/m2 )を使用し印刷は両面平版で行った。
印刷後のシートを2cm×5cmの長方形に印刷したパール絵柄に沿って裁断して机上に静置し、反りによる机上からの浮きあがりが最大となる部分で机上からの距離を測定し、反りの度合いを評価した。
なお、裏面印刷は反りが小さくなるようにインキ量を調節し、最適条件の場合において、以下の<表1>の評価結果が得られた。
【0031】
表中の各用語は、次の内容を意味する。
表裏同一 ; 表面と裏面とで同一の反り低減絵柄を用いたこと。
裏面拡大 ; 裏面には表面と同一の絵柄であるが拡大した反り低減絵柄を用いたこと。
裏面縮小 ; 裏面には表面と同一の絵柄であるが縮小した反り低減絵柄を用いたこと。
表面より大; 裏面には表面と異なる絵柄で、表面よりは面積の大きい反り低減絵柄を用いたこと。
表面より小; 裏面には表面と異なる絵柄で、表面よりは面積の小さい反り低減絵柄を用いたこと。
位置ずれ ; 表面と裏面の反り低減絵柄の位置が表裏で重ならないこと。
【0032】
【表1】
Figure 0004270793
【0033】
(実施例2)
表面には酸化重合型のパールインキ(平版用)を使用し、裏面には、▲1▼市販の紫外線硬化型平版印刷用インキ(パールと非パール)と、▲2▼酸化重合型インキ(パールと非パール)を使用して印刷した。
その他の条件は、実施例1と同様にして、以下の<表2>の評価結果が得られた。評価方法も実施例1と同一である。
【0034】
【表2】
Figure 0004270793
【0035】
本発明は、上述のような特徴を有するので、商品券、株券、入場券、乗車券、チケット類、および証明書等の重要書類、およびキャッシュカード、クレジットカード、定期券、IDカード等のカード類等の複写防止機能および意匠性が要求される各種印刷物や、包装材料、商業印刷物、書籍刊行物等の各種印刷物に使用でき、これらの印刷物に反りを生じることがない。
【0036】
【発明の効果】
上述のように、本発明のパール調印刷物の印刷方法では、基材裏面に反り低減のための絵柄を印刷するので基材の反りを適正に調整することができる。
本発明のパール調印刷物は、反りがないので外観的に優れ、かつ光学読取装置や磁気読取装置において搬送不良等のトラブルが生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基材とその片面に印刷したパールインキと反対側面の印刷層を示す断面図である。
【図2】 パール調印刷物の裏面の文章の一部をネガ文字とした例を示す図である。
【図3】 基材と印刷したパールインキの断面を示す図である。
【符号の説明】
1 基材
2 パールインキ層
3 反り低減用絵柄
4 文章
4n ネガ文字
4p ポジ文字

Claims (16)

  1. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて少なくとも絵柄の一部分が表面のパール印刷絵柄と重なるように平版もしくは凸版印刷により絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  2. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に同一絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  3. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  4. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  5. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて少なくとも絵柄の一部分が表面のパール印刷絵柄と重なるように平版もしくは凸版印刷により絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  6. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に同一絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  7. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  8. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかであるパールインキを用いて平版もしくは凸版印刷により印刷する場合の基材の反りを低減する印刷方法において、パール印刷する基材のパール印刷とは反対側の面に、紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキである裏面印刷用のパールインキを用いて表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を印刷することを特徴とするパール調印刷物の印刷方法。
  9. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、少なくとも絵柄の一部分が表面パール印刷絵柄と重なるように紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで平版もしくは凸版印刷により絵柄印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
  10. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで同一絵柄を印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
  11. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
  12. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型インキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
  13. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、少なくとも絵柄の一部分が表面パール印刷絵柄と重なるように紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで平版もしくは凸版印刷により絵柄印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
  14. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と同一位置の裏面に紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで同一絵柄を印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
  15. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの大きい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
  16. 紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキのいずれかで平版もしくは凸版印刷されたパール調印刷物であって、パール印刷した基材のパール印刷面とは反対側の裏面に、前記基材の反りを低減するように、表面パール印刷の絵柄と異なる絵柄で、表面よりもサイズの小さい絵柄を紫外線硬化型インキあるいは酸化重合型パールインキで印刷したことを特徴とするパール調印刷物。
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