JP4268508B2 - 膜厚測定方法及び膜厚測定装置 - Google Patents

膜厚測定方法及び膜厚測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、基材上に配設された誘電体の薄膜の膜厚の測定方法及び測定装置に関する。
粘着シートの剥離用シートとしてケイ素樹脂(シリコーン)を薄膜塗布した紙が広く用いられている。その構造は、セルロースを主体とした紙の表面に直接シリコーン皮膜が形成されるものや、紙上にポリエチレンやPETの樹脂ラミネートを施した上にシリコーン皮膜を形成するものなどがある。
これらの剥離シートを目的としたシリコーン皮膜の厚みは、通常1μm前後と非常に薄いため、シリコーンコート剥離紙を製造する工程では、その膜厚をオンラインでモニタし、その測定結果をシリコーンコート剥離紙製造装置にフィードバックして、その膜厚を制御するようにすることが好ましい。
従来、基材の表面に塗布された薄膜の厚みを測定する方式として、特開昭52−77757号公報(特許文献1)に開示されているように、薄膜に放射線を照射し、蛍光X線強度を測定することにより塗膜の厚みを求めるという技術が知られている。この技術を上記シリコーンコートの厚み測定に用い、Si元素のX線による蛍光を利用した蛍光X線装置によって測定された製造装置が実用化されている。
しかし、蛍光X線装置は、一般に高価なうえ、大掛かりな付帯設備を必要とし、また、測定値が紙の厚みや材質に左右されるという問題もあり、必ずしも好適な測定方法ではなかった。
一方、一般的に薄膜の測定方法としては、赤外線による吸光度測定が知られている。ケイ素と酸素の架橋構造からなるケイ素樹脂は、その透過スペクトルの1260cm−1(7.9μm)付近に特性吸収帯があることが知られている。この透過スペクトルにおける吸光度の大きさは透過した樹脂の厚みによりその吸収量が決定される。したがって、赤外線吸収測定方法は、ケイ素樹脂の膜厚測定に利用できそうである。
しかし、ケイ素樹脂が紙の表面に塗布された粘着シートの剥離用シートの膜厚測定に吸光度測定を利用すると、紙(主にその主成分のセルロース)の持つ大きな特性吸収がこの7.9μm付近のケイ素樹脂の吸収帯と重なるため、ケイ素樹脂を透過した光は紙面に到達した時点でほぼ完全に吸収されて検出できなくなり、ケイ素樹脂自体の透過率を測定することが困難であった。
また、薄膜の厚みを光学的に測定する方法として、物体の表面で光が反射する際の偏光状態の変化を観察する偏光解析装置(エリプソメータ)が広く知られており、例えば、特開2002−340528号公報(特許文献2)はその改良を提案するものである。しかし、エリプソメータは光が物質に斜めに入射するとき、偏光の向きが入射面に垂直か、入射面内にあるかで反射の際の位相の飛びが異なることを利用して物質の膜厚を計算するものであり、光を偏光させるための装置が必要となり、また、特許文献2に開示されているように、エリプソメータを用いた膜厚の計測には多くの手間を有する。
特開昭52−77757号公報 特開2002−340528号公報 南茂夫、合志陽一編、「分光技術ハンドブック」、朝倉書店、1990年10月、p34−41
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、上記問題を解決し、簡便な方法で基材の上に設けられた薄膜の膜厚を測定する方法及び装置を提供することである。
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の膜厚測定方法を提供する。本発明の第1態様の膜厚測定方法は、赤外線に対して透明材料又は赤外線を吸収する材料で構成された基材の表面に誘電体材料の薄膜が設けられた測定サンプルの前記薄膜の膜厚を測定する方法であって、
前記測定サンプル及び反射率演算の基準となる基準サンプルの表面にそれぞれ前記誘電体材料の反射スペクトルの反射率がピークを示す波長にほぼ等しい波長である第1の波長の赤外線及び反射率の変化がほとんどない領域の第2の波長の赤外線を照射し、
それぞれの波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプル表面で反射した表面反射光の強度を測定し、
前記それぞれ測定された前記測定サンプル及び基準サンプルの前記第1及び第2の赤外線に対する反射光の強度からそれぞれの波長における測定サンプルの反射率を演算し、
前記第2の波長に対する反射率と前記第1の波長に対する反射率の差に基づいて、前記測定サンプルの反射スペクトルが前記薄膜の膜厚に応じて変化する領域で前記誘電体材料の薄膜の膜厚を算出することを特徴とする。
本発明は、非特許文献1に開示されているように、従来膜厚により変化することがないと考えられていた反射スペクトルが誘電体の膜の厚みがごく薄い領域では厚みによる反射スペクトルに挙動の変化が起こることを見出し、完成させるに至ったものである。
光は電磁波であり、その周波数に応じた電場と磁場を形成しながら空間中を伝播するが、誘電体物質(非金属)を通過するときには、光の振動数が分子の振動数に近いところで共鳴を起こし、その付近では屈折率が異常な変化を示す。これを物質の異常分散という。反射率は物質の屈折率によって決定される物理量であり、その共鳴周波数近傍では、光は吸収されると同時にそもそも物質内に入りにくく、反射率が高くなっている(図1(a)参照)。本来、上記反射率は誘電体物質に固有の値となり、物質の厚みとは関係ないものと考えられる。例えば、ケイ素樹脂表面の反射率は光の振動数(波長)が決まれば、図1(b)のように、一意に決定するべきものである。しかし、そのためには物質の厚みが光の波長に対して十分な大きさであることが必要であり、逆に十分な厚みに到達しない領域では、反射スペクトル自体が厚みによって変化することを見出した。この反射スペクトルの変化を利用して薄膜の表面で反射し膜厚の情報を含む赤外線の強度(反射スペクトル)から算出される反射率を演算することにより、薄膜の厚みを導くことができる。また、本発明は、測定に必要な光は被測定薄膜から反射される光であり、膜下の基材が透明体又は赤外線吸収材料で構成される場合でも、基材からの反射光とは無関係に測定光を得ることができる。したがって、例えば、ケイ素樹脂が紙の上に塗布された粘着シートの剥離用シートの膜厚を測定することが可能である。
本発明の第2態様にかかる膜厚測定方法は、反射率の変化がほとんどない領域の波長であって前記第2の波長と異なる第3の波長の赤外線を照射して前記第3の波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプルの表面で反射した表面反射光の強度を測定し、前記それぞれ測定された前記測定サンプル及び基準サンプルの前記第3の赤外線に対する反射光の強度から第3の波長についての反射率を演算し、三波長演算により求められた反射率差に基づいて前記誘電体材料の薄膜の膜厚を測定することを特徴とする。
本発明の第3態様にかかる膜厚測定方法は、第2態様において第3の波長の赤外線は、前記ピークに対して前記第2の波長と反対側のほとんど反射率の変化のない領域の波長である。
上記各方法によれば、第1から第3の波長の赤外線により、反射スペクトルのピークの挙動の変化に関する情報をより正確に得ることができる。第1から第3の波長は、前記誘電体材料がケイ素樹脂である場合に、前記第1の波長を7.9μm、前記第2の波長を7.5μm、前記第3の波長を8.3μmとすることができる。
また、上記各態様において、好ましくは、前記反射率の差が前記誘電体材料の薄膜の膜厚に応じて略比例変化する範囲において、薄膜の膜厚を測定する。前記誘電体材料が例えばケイ素樹脂である場合は、その薄膜は具体的には、ほぼ1.5μm(1.5g/mで前記基材の表面に略均一に設けられる程度の厚み)よりも薄い厚みとなる。上記範囲においては、薄膜の反射スペクトル強度から計算される反射率(A=−log(Ib/Is))の厚みによる変化は比例関係を有し、ほぼ直線上となるため、膜厚の測定を一義的に決定することができ、測定の精度を高くすることができる。ここで、Ibはゼロ点基準となる基準サンプルの反射強度、Isは測定サンプルの反射強度である。基準サンプルとしては、薄膜を設けていない基材もしくは測定に用いられる波長付近で反射スペクトルが平坦な材料の板などが用いられる。
また、好ましくは、上記各態様において、前記赤外線は、前記誘電体材料の薄膜に対して45〜55度の入射角で照射される。上記方法において、照射する赤外線の入射角度が小さいほど、膜厚に対する反射吸光度は大きくなり、測定の感度は向上する、一方、入射角度が小さくなると反射率は小さくなり、反射光自体が観測困難になる。よって両者のバランスを取り、上記範囲の最適な入射角を決定することができる。
また、本発明は、第4態様として、以下の構成の膜厚測定装置を提供する。すなわち、膜厚測定装置は、透明材料又は赤外線を吸収する材料で構成された基材の表面に誘電体材料の薄膜が設けられた測定サンプル及び反射率演算の基準となる基準サンプルに当該誘電体材料の反射スペクトルの反射率がピークを示す波長とほぼ等しい波長の第1の波長及び反射率の変化がほとんどない領域の第2の波長の赤外線を照射する赤外線照射装置と、
前記赤外線照射装置から照射されたそれぞれの波長の赤外線の前記測定サンプル又は基準サンプル表面での正反射光の強度を測定する受光センサと、
前記受光センサにより受光したそれぞれの波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプル表面で反射した表面反射光の強度からそれぞれの波長における測定サンプルの反射率を演算し、前記第2の波長に対する反射率と前記第1の波長に対する反射率との差に基づいて前記誘電体材料の薄膜の膜厚を算出する演算部とを備える。
上記構成において、赤外線照射装置は第1の波長及び第2の波長の赤外線を照射するものであり、例えば、単波長を照射する複数の光源のみから構成されていてもよいし、第1の波長及び第2の波長の赤外線を含む複合波長の赤外線を照射する光源と、光源からの照射光又は測定サンプル又は基準サンプル表面からの反射光を第1及び第2の波長の赤外線に分光する分光手段を備えるものであってもよい。
上記構成において、前記分光手段は、前記光源からの赤外線の光路に前記第1の波長の赤外線及び第2の波長の赤外線のみを透過させる複数の光学フィルタを備え、前記複数の光学フィルタを前記赤外線の光路に選択式に挿入可能に配置されたフィルタユニットであることが好ましい。
また、好ましくは、前記赤外線照射装置は前記第1の波長及び前記第2の波長の赤外線のほかに、反射率の変化がほとんどない領域の波長であって前記第2の波長と異なる第3の波長の赤外線を照射可能であり、
前記演算部は、前記第3の波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプルの表面で反射した表面反射光の強度を測定し、前記それぞれ測定された前記測定サンプル及び基準サンプルの前記第3の赤外線に対する反射光の強度から第3の波長についての反射率を演算し、三波長演算により求められた反射率差に基づいて前記誘電体材料の薄膜の膜厚を演算する。
本発明によれば、誘電体材料の薄膜の膜厚を簡単な光学的方法で測定することができる。すなわち、赤外線を照射して、薄膜表面で反射した膜厚の情報を含む反射光の強度を測定し、この情報に基づいて薄膜の膜厚を測定する。よって、従来行われていた膜厚測定方法に比べて極めて簡単に測定することができ、また、大掛かりな付帯設備も不要となる。
また、薄膜を構成する誘電体材料の厚みを適正な範囲とすることにより、反射率の差の変化が膜厚に対して直線的な比例関係を有することから、より正確な膜厚測定を行うことができる。さらに、本発明は、光学的な手段により簡単に薄膜の厚みを測定することができるので、例えば、シリコーンコート剥離紙などを製造する工程で膜厚をオンラインでモニタし、その測定結果をシリコーンコート剥離紙製造装置にフィードバックして、その膜厚を制御するようにすることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の膜厚測定方法の実施形態について説明する。図2は、本発明の方法において使用される膜厚測定装置の概略構成を示す図である。
本実施形態の膜厚測定装置は、従来膜厚により変化することがないと考えられていた反射スペクトルが誘電体の膜の厚みがごく薄い領域では厚みによる反射スペクトルに挙動の変化が起こることを利用したものである。誘電体に赤外線を照射すると、特性吸収帯の波長において、透過スペクトルに吸収のピークが見られることは従来から知られている。誘電体材料としてケイ素樹脂を用いた場合には、特性吸収帯は、7.9μm、9.5μm、12.5μmであり、この波長の赤外線を誘電体材料に照射した場合においては、その透過率が著しく低下する。同時に当該材料から反射してくる反射光のスペクトルにも同様に反射率のピークがみられる。この現象は誘電体材料に特有の性質である。透過スペクトルは、膜を透過した赤外線の強度を測定するため、その測定値は膜厚の影響を受けて透過率が変化する一方、反射スペクトルの場合は、膜の表面で反射した光の強度であるため、スペクトルの挙動は一様に決定され、その厚みに対する影響はみられないと考えられていた。
しかし、誘電体材料が振動数(波長)に対して十分な厚みを持たない場合、すなわち、誘電体材料の膜厚が非常に薄い状態では、その反射スペクトルの挙動は厚みに応じて変化することがみとめられた。本実施形態にかかる膜厚測定装置は、この変化を膜厚の定量測定に利用したものである。
図3は、ケイ素樹脂の膜厚と反射スペクトルの関係を示す図である。紙の上にケイ素樹脂を0.51〜3.94g/mの厚み範囲で塗布した場合の膜厚と反射スペクトルの関係を示す図である。図3においては、紙の上に直接ケイ素樹脂を塗工した場合の反射強度スペクトルと、塗工量0g/mの基準サンプル(ポリエチレン樹脂板)の反射強度スペクトルとの差を示したものである。図3より明らかなように、塗工量が十分な2.86g/m及び3.94g/mのものを除き、その他の反射スペクトルは、特性吸収帯である7.9μm(以下測定波長という。)における反射強度が、その前後の波長(第1参照波長(7.5μm)及び第2参照波長(8.3μm))における反射強度よりも大きくなっている。基準サンプルの反射強度に対する測定サンプルの反射強度の吸光度を計算した際、測定波長と参照波長の吸光度の差(3波長吸光度)は塗工量に応じて変化する。
図4に塗工量と反射率差との関係を示す。図4に示すように、ケイ素樹脂では塗工量が1.5g/m程度までは、反射率差は塗工量(膜厚)とほぼ比例する関係にあることが判明している。なお、この反射スペクトルを得た測定の入射角、反射角は各々45°で正反射角度は90°である。本実施形態にかかる膜厚測定装置は、この吸光度差と塗工量との関係を利用し、以下の処理を行うことにより、基材の上に設けられた誘電体材料の薄膜の膜厚を測定する。
図2の膜厚測定装置1は、筐体10内に光源2、フィルタユニット3、受光センサ4、演算部5を備える。光源2は、赤外線領域における多数の波長成分を含む赤外線を照射可能な赤外線ランプである。この光源2から発光された赤外線L1は、干渉フィルタユニット3を透過することにより、単波長の赤外線の状態で、サンプル100の表面に照射される。干渉フィルタユニット3は、3つの干渉フィルタ3a〜3cを備えている。干渉フィルタユニット3は、3つの干渉フィルタ3a〜3cを切り替え可能に構成されており、光源2からの光路Lにどの干渉フィルタ3a〜3cが配置されるかによって、サンプル100に照射される赤外線の波長を選択することができる。
サンプル100の薄膜101の表面で反射した各波長の赤外線L2は、赤外線L1の入射方向に対して正反射に対向した位置に設けられた受光センサ4に到達する。赤外線L2の光強度は受光センサ4によって測定され、演算部5に送信される。なお、赤外線L1及びL2の光路にはそれぞれ赤外線を受光センサ4の受光面上で結像させるための光学系6、7が設けられている。
測定対象であるサンプル100は、透明体又は赤外線吸収材料で構成された基材102の表面に誘電体材料の薄膜101を付したものである。基材102としては、ポリエチレンフィルム、紙等のほか、紙の表面にポリエチレンやPET等の樹脂ラミネートを施したものなどを用いることができる。また、薄膜を構成する材料としては、ケイ素樹脂などの誘電体材料であることが必要である。紙の上にケイ素樹脂の薄膜を付したものは、粘着シートの剥離用シートとして広く用いられるものであり、通常薄膜の厚みは1μm前後と非常に薄く設けられており、後述するように本実施形態の膜厚測定装置においてその膜厚を測定することができる。
図5に本実施形態の膜厚測定装置で測定されるサンプル表面での赤外線の光路を示す。上記のように、光源2から照射された赤外線は、所定の入射角度でサンプル100の薄膜101表面に到達する。入射された赤外線は、薄膜101表面で反射する赤外線L1と薄膜を透過する赤外線Laに分光される。赤外線Laは、誘電体101の薄膜を透過して、基材102に到達する。基材102は、上述の透明体または赤外線を吸収する材料で構成されており、裏面まで透過または吸収され、基材表面ではほとんど反射しない。したがって、受光センサ4に到達可能な赤外線L2は、薄膜101の表面で反射されたものであり、薄膜101の膜厚dにのみ影響を受ける。
図6は入射角と吸光度の差の関係を示すグラフである。図7は入射角と受光強度の関係を示すグラフである。図7は、入射角65度に対する受光強度の相対値である。図6に示すように、反射スペクトルに見られる反射強度のピークの大きさは、薄膜の厚みが同じであれば入射角度が小さいほど大きくなる。一方、図7に示すように、入射角度が小さくなると反射光度自体が小さくなり、受光センサでの強度の測定が困難になる。よって、両者のバランスをとって入射角度を設定する。光源2からの赤外線の入射角αは、具体的には、45〜55度の範囲とすることが好ましい。
本実施形態にかかる膜厚測定装置の測定の手順について説明する。図8は本実施形態にかかる膜厚測定装置の測定手順を示すフロー図である。本実施形態としては、強度測定に用いる波長として、第1参照波長を7.5μm、第2参照波長を8.3μm、測定波長を7.9μmを用いることとし、そのために干渉フィルタユニット3は、それぞれ上記波長のみを透過可能な干渉フィルタ3a,3b,3cを備えている。
先ず、光源から第1参照波長、第2参照波長、測定波長の各波長の赤外線を含む赤外光を基準サンプルに照射する。基準サンプルは、その表面にケイ素樹脂の薄膜を設けていない測定サンプルの基材の紙を用いる。上記波長のうち光路に配置されている干渉フィルタ3a〜3cにより、当該干渉フィルタを透過可能な波長の赤外線のみがこれを透過して、基準サンプルに到達する(#10)。照射された赤外線が基準サンプル表面で反射した赤外線の強度を受光センサ4により測定する(#11)。1つの波長の赤外線の測定が終了すると、光路中に位置する干渉フィルタ3a〜3cを切り替えてサンプルに照射される赤外線の波長を変更し、同様に強度を測定する。干渉フィルタ3a〜3cの切り替えによる3つ波長の赤外線の強度の情報は、演算部5に送られて一時的に保存される。この基準サンプルの各波長における赤外線反射光の強度は、吸光度を測定するための基準として用いられる。
次に測定サンプルについて、上記と同様に3波長の赤外線を照射する(#12)と共に、各波長での反射光の強度を測定する(#13)。測定サンプルについての3つの波長の赤外線の強度の情報は、演算部5に送られて一時的に保存される。
これらの基準サンプル及び測定サンプルについての各波長の反射光強度の情報をもとに各波長における反射率を演算する(#14)。反射率は、−log(Ib/Is)の式により演算される。ここで、Ibはゼロ点基準となる基準サンプルの反射強度、Isは測定サンプルの反射強度である。
次いで、演算部は、三波長演算により反射率の差を演算する(#15)。図9は三波長演算の演算手法を説明するための図である。三波長演算は、測定波長(7.9μm)における反射率の値a、第1参照波長(7.5μm)における反射率の値b、第2参照波長(8.3μm)における反射率の値cを用いて値b、cに対する値aの値の変化量を演算する。具体的には、値b、cを直線lでつないだときに、測定波長におけるlの座標dと、値aとの差を求める。
上記の通り、薄膜がごく薄い範囲では、反射率の差の値は、膜厚に比例して変化するため、反射率の差の値を参照して膜厚の測定が行われる(#16)。膜厚の測定においては、演算部5に格納されている検量データを参照することにより行う。具体的には、上記演算された反射率の差の値を演算部5に格納されている検量データと比較し、測定サンプルの薄膜101の厚みを算出する。
ポリエチレンのラミネートを施した紙の基材の上にケイ素樹脂の薄膜を塗布したサンプルを用い、図2の膜厚測定装置により膜厚測定を行った。すなわち、サンプルに第1及び第2の参照波長及び測定波長の赤外線をそれぞれ照射し、その反射光の強度を測定した。これらの強度の情報から求められる各波長での反射率に基づいて反射率差を算出し、予め有している検量データを用いることにより膜厚を測定した。
一方、測定された膜厚の精度を確認するために、重量法によって塗工量を算出した。すなわち、薄膜塗布前の基材のみの重量と薄膜を塗布した後の重量を測定し、その差を取ることによりケイ素樹脂の塗工量を求めた。図10に膜厚算出の結果について示す。
図10に示すように、本発明にかかる膜厚測定方法により測定された膜厚測定値は、重量法による膜厚比較値との比較において、膜厚がごく薄い範囲においては、両者の差がほとんど生じることがなかった。但し、1.5g/mを越えると重量法による膜厚比較値との差が大きくなり、その測定精度が若干低くなる。
以上説明したように、本発明にかかる膜厚測定方法及び膜厚測定装置は、簡単な光学的構成を取ることにより、基材の上に設けられた薄膜の厚みを測定することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
誘電体物質の光学特性を示すグラフであり、(a)は、屈折率及び吸収両と振動数の関係を示すグラフであり、(b)は誘電体物質の一般的な反射スペクトルの挙動を示す図である。 本発明の実施形態にかかる膜厚測定装置の概略構成図である。 ケイ素樹脂の膜厚と反射スペクトルの関係を示す図である。 塗工量と反射率差との関係を示す図である。 図1の膜厚測定装置で測定されるサンプル表面での赤外線の光路を示す。 入射角と吸光度差の関係を示すグラフである。 入射角と受光強度の関係を示すグラフである。 図2の膜厚測定装置の測定手順を示すフロー図である。 三波長演算の演算手法を説明するための図である。 図2の膜厚測定装置の測定結果を示すグラフである。 ケイ素樹脂の吸光度スペクトルを示すグラフである。
符号の説明
1 膜厚測定装置
2 光源
3 干渉フィルタユニット
4 受光センサ
5 演算部
6,7 光学手段
10 筐体
100 サンプル
101 薄膜
102 基材

Claims (13)

  1. 赤外線に対して透明材料又は赤外線を吸収する材料で構成された基材の表面に誘電体材料の薄膜が設けられた測定サンプルの前記薄膜の膜厚を測定する方法であって、
    前記測定サンプル及び反射率演算の基準となる基準サンプルの表面にそれぞれ前記誘電体材料の反射スペクトルの反射率がピークを示す波長にほぼ等しい波長である第1の波長の赤外線及び反射率の変化がほとんどない領域の第2の波長の赤外線を照射し、
    それぞれの波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプル表面で反射した表面反射光の強度を測定し、
    前記それぞれ測定された前記測定サンプル及び基準サンプルの前記第1及び第2の赤外線に対する反射光の強度からそれぞれの波長における測定サンプルの反射率を演算し、
    前記第2の波長に対する反射率と前記第1の波長に対する反射率の差に基づいて、前記測定サンプルの反射スペクトルが前記薄膜の膜厚に応じて変化する領域で前記誘電体材料の薄膜の膜厚を算出することを特徴とする、膜厚測定方法。
  2. 反射率の変化がほとんどない領域の波長であって前記第2の波長と異なる第3の波長の赤外線を照射して前記第3の波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプルの表面で反射した表面反射光の強度を測定し、前記それぞれ測定された前記測定サンプル及び基準サンプルの前記第3の赤外線に対する反射光の強度から第3の波長についての反射率を演算し、三波長演算により求められた反射率差に基づいて前記誘電体材料の薄膜の膜厚を測定することを特徴とする、請求項1に記載の膜厚測定方法。
  3. 第3の波長の赤外線は、前記ピークに対して前記第2の波長と反対側のほとんど反射率の変化のない領域の波長であることを特徴とする、請求項2に記載の膜厚測定方法。
  4. 前記誘電体材料がケイ素樹脂である場合に、前記第1の波長を7.9μm、前記第2の波長を7.5μm、前記第3の波長を8.3μmとすることを特徴とする、請求項3に記載の膜厚測定方法。
  5. 前記反射率の差が前記誘電体材料の薄膜の膜厚に応じて略比例変化する範囲において、薄膜の膜厚を測定することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の膜厚測定方法。
  6. 前記赤外線は、前記誘電体材料の薄膜に対して45〜55度の入射角で照射されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の膜厚測定方法。
  7. 赤外線に対して透明材料又は赤外線を吸収する材料で構成された基材の表面に誘電体材料の薄膜が設けられた測定サンプル及び反射率演算の基準となる基準サンプルに当該誘電体材料の反射スペクトルの反射率がピークを示す波長とほぼ等しい波長の第1の波長及び反射率の変化がほとんどない領域の第2の波長の赤外線を照射する赤外線照射装置と、
    前記赤外線照射装置から照射されたそれぞれの波長の赤外線の前記測定サンプル又は基準サンプル表面での正反射光の強度を測定する受光センサと、
    前記受光センサにより受光したそれぞれの波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプル表面で反射した表面反射光の強度からそれぞれの波長における測定サンプルの反射率を演算し、前記第2の波長に対する反射率と前記第1の波長に対する反射率との差に基づいて、前記測定サンプルの反射スペクトルが前記薄膜の膜厚に応じて変化する領域で前記誘電体材料の薄膜の膜厚を算出する演算部とを備えることを特徴とする、膜厚測定装置。
  8. 前記赤外線照射装置は、
    前記第1の波長及び第2の波長の赤外線を含む赤外線を照射する光源と、
    前記光源からの照射光又は測定サンプル又は基準サンプル表面からの反射光を前記第1及び第2の波長の赤外線に分光する分光手段と、
    を含むことを特徴とする、請求項7に記載の膜厚測定装置。
  9. 前記分光手段は、前記光源からの赤外線の光路に前記第1の波長の赤外線及び第2の波長の赤外線のみを透過させる複数の光学フィルタを備え、前記複数の光学フィルタを前記赤外線の光路に選択式に挿入可能に配置されたフィルタユニットであることを特徴とする、請求項8に記載の膜厚測定装置。
  10. 前記赤外線照射装置は前記第1の波長及び前記第2の波長の赤外線のほかに、反射率の変化がほとんどない領域の波長であって前記第2の波長と異なる第3の波長の赤外線を照射可能であり、
    前記演算部は、前記第3の波長の赤外線について前記測定サンプル及び基準サンプルの表面で反射した表面反射光の強度を測定し、前記それぞれ測定された前記測定サンプル及び基準サンプルの前記第3の赤外線に対する反射光の強度から第3の波長についての反射率を演算し、三波長演算により求められた反射率差に基づいて前記誘電体材料の薄膜の膜厚を演算することを特徴とする、請求項7に記載の膜厚測定装置。
  11. 前記誘電体材料がケイ素樹脂である場合に、前記第1の波長を7.9μm、前記第2の波長を7.5μm、前記第3の波長を8.3μmであることを特徴とする、請求項10に記載の膜厚測定装置。
  12. 前記反射率の差が前記誘電体材料の薄膜の膜厚に応じて略比例変化する範囲において、薄膜の膜厚を測定することを特徴とする、請求項7から11のいずれか1つに記載の膜厚測定方法。
  13. 前記光源は、前記赤外線を前記誘電体材料の薄膜に対して45〜55度の入射角で照射可能に配置されていることを特徴とする、請求項7から12のいずれか1つに記載の膜厚測定装置。
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